JP2008239530A - アルコキシピリジン類の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、医薬中間体として有用なアルコキシピリジン類の製造方法に関する。
従来、式(3):
本発明者が、アルコキシピリジン類(3)の一つである2−メチル−3−イソプロポキシピリジンの製造を従来法により試みたところ、反応終了後の反応混合物は黒褐色に着色していた。そこで、蒸留による精製を試みたところ、得られた2−メチル−3−イソプロポキシピリジンは、蒸留直後は微黄色程度であったものの、経時的に着色が進み、24時間後には反応混合物と同程度の黒褐色に着色した(後述の比較例1参照。)。
従って本発明は、従来法と比べて、アルコキシピリジン類(3)の経時着色が少ない、精製アルコキシピリジン類(3)の製造方法を提供することを課題とする。
従って本発明は、従来法と比べて、アルコキシピリジン類(3)の経時着色が少ない、精製アルコキシピリジン類(3)の製造方法を提供することを課題とする。
本発明は、塩基の存在下で、ヒドロキシピリジン類(1)をハロゲン化アルキル類(2)と反応せしめて得られた粗製のアルコキシピリジン類(3)(以下、粗アルコキシピリジン類(3)という。)を酸水溶液で処理することを特徴とする精製アルコキシピリジン類(3)の製造方法に関する。
本発明の製造方法によって、経時着色の少ない、より高い品質のアルコキシピリジン類(3)を容易に得ることができる。
以下に本発明を詳細に説明する。
式(1)及び式(3)中、R1は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示し、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基である。炭素数1〜4のアルキル基としては、直鎖状若しくは分岐鎖状の炭素数1〜4のアルキル基が挙げられ、具体的には例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基及びtert−ブチル基が挙げられる。また、R1が炭素数1〜4のアルキル基の場合、好ましい置換位置は、ピリジン環が有する窒素原子の隣接位である。
式(1)及び式(3)中、R1は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示し、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基である。炭素数1〜4のアルキル基としては、直鎖状若しくは分岐鎖状の炭素数1〜4のアルキル基が挙げられ、具体的には例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基及びtert−ブチル基が挙げられる。また、R1が炭素数1〜4のアルキル基の場合、好ましい置換位置は、ピリジン環が有する窒素原子の隣接位である。
式(2)及び式(3)中、R2で示される炭素数1〜4のアルキル基としては、上述の直鎖状若しくは分岐鎖状の炭素数1〜4のアルキル基が挙げられる。R1及びR2は同じであっても異なっていてもよい。
式(2)中、Xで示されるハロゲン原子としては、例えば塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
ヒドロキシピリジン類(1)の具体例としては、例えば3−ヒドロキシピリジン、3−ヒドロキシ−2−メチルピリジン、3−ヒドロキシ−4−メチルピリジン、3−ヒドロキシ−5−メチルピリジン、5−ヒドロキシ−2−メチルピリジン、2−エチル−3−ヒドロキシピリジン、4−エチル−3−ヒドロキシピリジン、3−エチル−5−ヒドロキシピリジン、2−エチル−5−ヒドロキシピリジン、3−ヒドロキシ−2−プロピルピリジン、3−ヒドロキシ−4−プロピルピリジン、3−ヒドロキシ−5−プロピルピリジン、5−ヒドロキシ−2−プロピルピリジン、3−ヒドロキシ−2−イソプロピルピリジン、3−ヒドロキシ−4−イソプロピルピリジン、3−イソプロピル−5−ヒドロキシピリジン、5−ヒドロキシ−2−イソプロピルピリジン、2−ブチル−3−ヒドロキシピリジン、4−ブチル−3−ヒドロキシピリジン、3−ブチル−5−ヒドロキシピリジン、2−ブチル−5−ヒドロキシピリジン、2−sec−ブチル−3−ヒドロキシピリジン、4−sec−ブチル−3−ヒドロキシピリジン、3−sec−ブチル−5−ヒドロキシピリジン、2−sec−ブチル−5−ヒドロキシピリジン、2−tert−ブチル−3−ヒドロキシピリジン、4−tert−ブチル−3−ヒドロキシピリジン、3−tert−ブチル−5−ヒドロキシピリジン、2−tert−ブチル−5−ヒドロキシピリジンが挙げられる。
ハロゲン化アルキル類(2)の具体例としては、塩化メチル、臭化メチル、ヨウ化メチル、塩化エチル、臭化エチル、ヨウ化エチル、塩化プロピル、臭化プロピル、ヨウ化プロピル、塩化イソプロピル、臭化イソプロピル、ヨウ化イソプロピル、塩化ブチル、臭化ブチル、ヨウ化ブチル、塩化イソブチル、臭化イソブチル、ヨウ化イソブチル、塩化sec−ブチル、臭化sec−ブチル、ヨウ化sec−ブチル、塩化tert−ブチル、臭化tert−ブチル、ヨウ化tert−ブチルが挙げられる。
アルコキシピリジン類(3)の具体例としては、上述のヒドロキシピリジン類(1)とハロゲン化アルキル類(2)との組み合わせにより得られるものが挙げられ、例えば、3−メトキシピリジン、3−メトキシ−2−メチルピリジン、5−メトキシ−2−メチルピリジン、2−エチル−3−メトキシピリジン、2−エチル−5−メトキシピリジン、3−メトキシ−2−プロピルピリジン、5−メトキシ−2−プロピルピリジン、2−ブチル−3−メトキシピリジン、2−ブチル−5−メトキシピリジン、3−エトキシピリジン、3−エトキシ−2−メチルピリジン、5−エトキシ−2−メチルピリジン、3−エトキシ−2−エチルピリジン、5−エトキシ−2−エチルピリジン、3−エトキシ−2−プロピルピリジン、5−エトキシ−2−プロピルピリジン、2−ブチル−3−エトキシピリジン、2−ブチル−5−エトキシピリジン、3−プロポキシピリジン、2−メチル−3−プロポキシピリジン、2−メチル−5−プロポキシピリジン、2−エチル−3−プロポキシピリジン、2−エチル−5−プロポキシピリジン、3−プロポキシ−2−プロピルピリジン、5−プロポキシ−2−プロピルピリジン、2−ブチル−3−プロポキシピリジン、2−ブチル−5−プロポキシピリジン、3−イソプロポキシピリジン、3−イソプロポキシ−2−メチルピリジン、5−イソプロポキシ−2−メチルピリジン、2−エチル−3−イソプロポキシピリジン、2−エチル−5−イソプロポキシピリジン、3−イソプロポキシ−2−プロピルピリジン、5−イソプロポキシ−2−プロピルピリジン、2−ブチル−3−イソプロポキシピリジン、2−ブチル−5−イソプロポキシピリジン、3−ブトキシピリジン、3−ブトキシ−2−メチルピリジン、5−ブトキシ−2−メチルピリジン、3−ブトキシ−2−エチルピリジン、5−ブトキシ−2−エチルピリジン、3−ブトキシ−2−プロピルピリジン、5−ブトキシ−2−プロピルピリジン、3−ブトキシ−2−ブチルピリジン、5−ブトキシ−2−ブチルピリジン、3−イソブトキシピリジン、3−イソブトキシ−2−メチルピリジン、5−イソブトキシ−2−メチルピリジン、2−エチル−3−イソブトキシピリジン、2−エチル−5−イソブトキシピリジン、3−イソブトキシ−2−プロピルピリジン、5−イソブトキシ−2−プロピルピリジン、2−ブチル−3−イソブトキシピリジン、2−ブチル−5−イソブトキシピリジン、3−sec−ブトキシピリジン、3−sec−ブトキシ−2−メチルピリジン、5−sec−ブトキシ−2−メチルピリジン、3−sec−ブトキシ−2−エチルピリジン、5−sec−ブトキシ−2−エチルピリジン、3−sec−ブトキシ−2−プロピルピリジン、5−sec−ブトキシ−2−プロピルピリジン、3−sec−ブトキシ−2−ブチルピリジン、5−sec−ブトキシ−2−ブチルピリジン、3−tert−ブトキシピリジン、3−tert−ブトキシ−2−メチルピリジン、5−tert−ブトキシ−2−メチルピリジン、3−tert−ブトキシ−2−エチルピリジン、5−tert−ブトキシ−2−エチルピリジン、3−tert−ブトキシ−2−プロピルピリジン、5−tert−ブトキシ−2−プロピルピリジン、3−tert−ブトキシ−2−ブチルピリジン、5−tert−ブトキシ−2−ブチルピリジン等が挙げられる。
本発明の製造方法における反応の態様は、上述の公知の反応、具体的には、塩基の存在下にヒドロキシピリジン類(1)をハロゲン化アルキル類(2)と溶媒中で反応せしめる方法である。
ハロゲン化アルキル類(2)の使用量は、ヒドロキシピリジン類(1)1モルに対して、通常1.0モル以上、好ましくは1.0〜2.0モル、特に好ましくは1.2〜1.7モルである。
塩基としては、通常公知の塩基が用いられ、具体的には、例えばナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、例えば、水素化ナトリウム等の水素化アルカリ金属類、例えばナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムブトキシド等のアルカリ金属アルコキシド類、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物類、例えば炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウム等のアルカリ金属炭酸塩等が挙げられ、その取扱いの容易さなどから、好ましくはアルカリ金属水酸化物及びアルカリ金属炭酸塩である。かかる塩基の使用量は、ヒドロキシピリジン類(1)1モルに対して、通常1.0モル以上、好ましくは1.0〜10.0モル、特に好ましくは1.2〜5.0モルである。
溶媒としては、反応に影響を与えなければ特に限定されないが、極性溶媒が好ましく、具体的には、例えばピリジン、ピコリン等のピリジン系溶媒、例えばテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒、例えばメタノール、エタノール等のアルコール系溶媒、例えばアセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル系溶媒、例えばジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒、例えばジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒等が挙げられる。かかる溶媒の使用量は、特に限定されないが、ヒドロキシピリジン類(1)1重量部に対して、通常1重量部以上、好ましくは2〜50重量部である。
反応温度は、使用する原料、塩基、溶媒等によって最適の温度が異なるが、通常10〜100℃の範囲である。
本反応には、必要に応じて、例えばヨウ化銅等のハロゲン化銅化合物、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン等のアミン化合物、例えばテトラブチルホスホニウム=クロリド、テトラブチルホスホニウム=ブロミド等の相間移動触媒を加えてもよい。
本発明の製造方法は、上述の反応終了後に得られる粗アルコキシピリジン類(3)を酸水溶液で処理することを特徴とする(以下、酸処理という。)。具体的には、該粗アルコキシピリジン類(3)と酸水溶液とを混合し、適当な有機溶媒を同時に若しくは後から混合してアルコキシピリジン類(3)を有機層に抽出すればよい。このようにすれば、黒褐色を呈している粗アルコキシピリジン類(3)の着色成分が水層に除去できる。なお、本発明の粗アルコキシピリジン類(3)には、反応終了後の反応混合物、該反応混合物から不溶物を濾過した濾液、該濾液を濃縮して溶媒の全部乃至は一部を除去した濃縮残、該濃縮残を濾過した濾液、その後蒸留して得られる経時着色するアルコキシピリジン類(3)等が含まれる。
酸としては、例えば塩酸、硫酸、リン酸等の鉱酸類、例えばメタンスルホン酸等のスルホン酸類、例えば酢酸等のカルボン酸等が挙げられ、好ましくは鉱酸類であり、さらに好ましくは塩酸である。かかる酸の使用量は、粗アルコキシピリジン類(3)に含まれるアルコキシピリジン類(3)1モルに対して、通常1.0〜80モル%、好ましくは1.5〜50モル%、特に好ましくは2.0〜30モル%である。酸を大過剰に用いると、アルコキシピリジン類(3)の酸塩の量が多くなり、該酸塩の水層への溶解量が増加して収率が低下するため好ましくない。
酸水溶液は、反応混合物と混合する前に調整して用いてもよいし、先に反応混合物と酸を混合した後に水を加えるか、或いは反応混合物と水を混合した後に酸を加えて、系内で調整してもよい。水の使用量は、着色成分を十分に水層に除去できる量であれば、特に限定されないが、粗アルコキシピリジン類(3)に含まれるアルコキシピリジン類(3)1重量部に対して、通常0.3重量部以上、好ましくは0.5〜10重量部、特に好ましくは0.5〜5重量部である。
有機溶媒としては、アルコキシピリジン類(3)を溶解し、かつ水と混ざらないものであれば特に限定されず、具体的には例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒等が挙げられる。また、酸処理の実施温度は、通常0℃〜50℃である。
酸処理後に得られるアルコキシピリジン類(3)を含む有機層を、必要に応じて水、弱塩基性水溶液(例えば、炭酸水素ナトリウム水溶液等)等により洗浄した後、溶媒を除去し、得られた残渣を、蒸留、再結晶等の所望の精製手段により精製すれば、経時的な着色が少ない、高品位のアルコキシピリジン類(3)を得ることができる。
次に、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によってなんら限定されるものではない。
実施例1
3−ヒドロキシ−2−メチルピリジン200.0g(1.84モル)、臭化イソプロピル338.1g(2.75モル)及びアセトニトリル2000gの混合液に、25℃で炭酸カリウム759.8g(5.50モル)を添加し、65〜70℃で24時間反応した。反応終了後、25℃で濾過し、濾液を濃縮して析出した無機物を濾過して、黒褐色の反応混合物272.4g(3−イソプロポキシ−2−メチルピリジンの含有量及び収率はそれぞれ246.6g及び88.6%であった)を得た。
該反応混合物272.4g、1重量%塩酸水溶液272.5g(塩酸として0.075モル、3−イソプロポキシ−2−メチルピリジンに対して4.6モル%)及びトルエン272.3gを混合して酸処理(抽出)を行った。酸処理後の有機層は赤褐色、水層は黒褐色であった。
該有機層を2.5重量%炭酸水素ナトリウム水溶液272.5gで洗浄し、濃縮してトルエンを留去後、得られた残渣を蒸留して、微黄色の3−イソプロポキシ−2−メチルピリジン214.7g(AHPA100)を得た。得られた3−イソプロポキシ−2−メチルピリジンを空気雰囲気下で24時間静置しても、色相に変化はなかった。
3−ヒドロキシ−2−メチルピリジン200.0g(1.84モル)、臭化イソプロピル338.1g(2.75モル)及びアセトニトリル2000gの混合液に、25℃で炭酸カリウム759.8g(5.50モル)を添加し、65〜70℃で24時間反応した。反応終了後、25℃で濾過し、濾液を濃縮して析出した無機物を濾過して、黒褐色の反応混合物272.4g(3−イソプロポキシ−2−メチルピリジンの含有量及び収率はそれぞれ246.6g及び88.6%であった)を得た。
該反応混合物272.4g、1重量%塩酸水溶液272.5g(塩酸として0.075モル、3−イソプロポキシ−2−メチルピリジンに対して4.6モル%)及びトルエン272.3gを混合して酸処理(抽出)を行った。酸処理後の有機層は赤褐色、水層は黒褐色であった。
該有機層を2.5重量%炭酸水素ナトリウム水溶液272.5gで洗浄し、濃縮してトルエンを留去後、得られた残渣を蒸留して、微黄色の3−イソプロポキシ−2−メチルピリジン214.7g(AHPA100)を得た。得られた3−イソプロポキシ−2−メチルピリジンを空気雰囲気下で24時間静置しても、色相に変化はなかった。
比較例1
3−ヒドロキシ−2−メチルピリジン250.0g(2.29モル)を用い、実施例1と同じ使用比率で他の原料、溶媒等を用いた以外は実施例1と同様にして得られた黒褐色の反応混合物333.3gをそのまま蒸留して、微黄色の3−イソプロポキシ−2−メチルピリジン251.3g(AHPA100)を得た。得られた3−イソプロポキシ−2−メチルピリジンを空気雰囲気下で静置すると徐々に着色が進み、24時間後には反応混合物と同程度の黒褐色(ガードナー18以上)となった。
3−ヒドロキシ−2−メチルピリジン250.0g(2.29モル)を用い、実施例1と同じ使用比率で他の原料、溶媒等を用いた以外は実施例1と同様にして得られた黒褐色の反応混合物333.3gをそのまま蒸留して、微黄色の3−イソプロポキシ−2−メチルピリジン251.3g(AHPA100)を得た。得られた3−イソプロポキシ−2−メチルピリジンを空気雰囲気下で静置すると徐々に着色が進み、24時間後には反応混合物と同程度の黒褐色(ガードナー18以上)となった。
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