JP2008237464A - 海綿状身体洗浄具 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】スライバーパイルニット生地が湿熱接着性の鞘芯構造繊維を含むスライバーを用いたパイル用繊維と、レギュラー合成繊維フィラメントからなるグランド用繊維とを用いて編成されており、芯体を被覆した被覆体の略円形状の開口部を閉鎖した閉鎖部及び該閉鎖部以外の被覆体の表層面が海綿状構造からなる。
【選択図】図2
Description
海綿は、この網目構造により適度の保水性、柔軟性と復元力が肌になじみ身体洗浄具として最適であり、古くから重宝されてきた実績を有するが、海綿は海産物であり、産出量が少なく、また製品に加工するには熟練した技能が必要であり、多量供給用としては不向きな素材である。かかる事情から、普及用として安定供給できる工業素材で海綿の代替素材が求められている。
また、モール糸を袋状に製編して洗浄用払拭布を製造するには、製造工程が煩雑であり、製造コストがかかるという問題もある。
本発明は、上記の如き実情に鑑み、簡便で、製造コストがかからずに製造でき、更に、多孔質体が飛び出すことがなく、閉鎖した箇所で身体を洗浄しても身体を傷つけることもなく、使用感触が天然海綿のように良好な身体洗浄具を提供することを課題とする。
請求項2に係る発明は、前記パイル用繊維がエチレンビニールアルコール共重合体とポリエステルとからなることを特徴とする。
請求項3に係る発明は、前記閉鎖部が前記被覆体の開口部の外側縫込部からなることを特徴とする。
請求項4に係る発明は、前記閉鎖部が前記被覆体と別体のスライバーパイルニット生地からなることを特徴とする。
請求項5に係る発明は、前記芯体が立方体、直方体、略球状体等の1つからなることを特徴とする。
又、該洗浄具をどの様に使用しても被覆体から芯体が飛び出すことがなく、該洗浄具の何れの表面、例えば、閉鎖した箇所で身体を洗浄しても使用感触が同じで、身体を傷つけることもなく、安心して利用できるという顕著な効果も奏するものである。
更に、芯体の形状を任意に選択すれば該洗浄具の形状を芯体の形状に対応したものにすることが容易にできるという顕著な効果も奏するものである。
そして、該洗浄具を製造する工程が簡単であるので、製造コストが安くすむ。
本発明に係る海綿状身体洗浄具は、所定の繊維素材からなるスライバーパイルニット生地を編成する工程と、前記スライバーパイルニット生地を所定の形状に裁断する工程と、裁断したスライバーパイルニット生地を所定の工程により袋状体を形成する工程と、形成された袋状体に加熱処理を行う工程とにより製造できるものである。
前記海綿状身体洗浄具の製造に用いられる繊維素材は、エチレンビニールアルコール共重合体とポリエステルとからなる湿熱接着性の鞘芯構造繊維を含むスライバーを用いたパイル用繊維と、レギュラー合成繊維フィラメントからなるグランド用繊維とを用いて、スライバーニット機により編成されたスライバーパイルニット生地が用いられる。
前記エチレンビニールアルコール共重合体とポリエステルを含む湿熱接着性の鞘芯構造繊維としては、例えば、鞘芯型の商品名「ソフィスタ」 (株式会社クラレ製) を用いることができる。
前記湿熱接着性の鞘芯構造繊維と前記レギュラー繊維とを混合して用いる場合には、該レギュラー合成繊維の混量が50%を超えない範囲で適宜両者を調整することができる。
レギュラー合成繊維を上記範囲で混用するのは、強度物性的な補強用としてのためである。
この生地をシャリングしてパイル長が一定なパイル生地とする。
上記の如くレギュラー合成繊維を用いることで、身体洗浄具の強度が向上する。
前記スライバーパイルニット生地のパイル長により、得られる海綿状身体洗浄具の表層面のセル状空隙部の大きさが変化する。パイル長は、適宜調整できるものであるが、5mm以上が好ましく、10mm以上がより好ましく、15mm以上が一層好ましい。また、パイル長の上限としては、製造機器の観点から35mm以下である。
まず、第1工程は、前記の如くパイル用繊維とグランド用繊維とを用いて、スライバーニット機により、スライバーパイルニット生地を編成する工程である。
パイル用繊維、グランド用繊維及びスライバーパイルニット生地については、前記で説明したものと同じである。
裁断の形状としては、適時調整できるものであり、例えば、円形、楕円形、正方形等が挙げられる。また、裁断する際の大きさについても、適時調整できるものである。裁断する際の使用機器についても従来用いられている機器(例えば、トムソン裁断機等)を使用できる。
該第3工程については、図1〜図3を用いて説明する。
図1にスライバーパイルニット生地1の略平面図を示す。
前記縫込糸2として具体的には、30番手以上の綿糸、300デニール以上のポリエステル糸或いはポリアミド糸が用いられる。スライバーパイルニット生地に縫込糸を挿通させる場合の間隔は、適宜調整できるものであるが、作業性等の観点から、3〜10mmのピッチ間隔が好ましい。
尚、本実施形態においては、円形に裁断したスライバーパイルニット生地を用いたが、四角形に裁断したスライバーパイルニット生地でもよい。四角形に裁断すると、製作時の裁断が容易であり、無駄に捨てる部分が少なくてすむため、経済的である。
前記芯体5は、前記スライバーパイルニット生地1に加熱処理を行う際の収縮抵抗体として、又前記海綿状構造の層の厚さを略一定にするために用いるものであり、例えば、ポリエステル繊維15dtex程度のモノフィラメントよりなる不織布を用いることが好ましい。そのため、従来、芯体として用いられている例えば、ポリウレタン等のスポンジは上記理由のため、使用することは好ましくはない。
前記芯体5は、前記不織布を所定形状(例えば、立方体、直方体、略球状体等)に形成して用いることができる。
なお、前記引っ張り部4を結縛した結び目は、形成された襞の内側に挿入されるように押し込む。
それは仮袋状体6の開口部7が閉鎖された後に、加熱処理して形成される海綿状構造中に該結び目を埋没させるためである。
前記開口部7の上又は下から該別体のスライバーパイルニット生地10で覆うようにして開口部7を閉じ、後工程で行う加熱処理により、開口部7を完全に閉鎖することにより閉鎖部が形成される。
本願において用いるスライバーパイルニット生地1には、湿熱接着性の繊維が用いられているため、開口部7の芯体5を被覆するように配置された外側縫込部3bの繊維と、開口部を閉鎖するのに用いた別体の繊維とがセル状空間部を形成すると共に、両者が接着することで完全に閉鎖することができ、且つ強度的にも優れたものとなる。
前記スライバーパイルニット生地1で、開口部を閉鎖する際には、前記開口部の大きさよりも大きめの生地1を用いることが好ましい。
図4Aは、別体のスライバーパイルニット生地10の周縁端部が開口部7の外側縫込部3bに若干乗り上げた状態で、前記開口部7を閉じている形態を示したものである。
また、図4Bは、別体のスライバーパイルニット生地10の周縁端部が開口部7の外側縫込部3bに若干潜り込んだ状態で、前記開口部7を閉じている形態を示したものである。
上記の如き形態で閉じれば、別体のスライバーパイルニット生地の周縁端部と開口部の外側縫込部3bとを仮縫い或いは仮止めしなくとも、後工程の加熱処理ができるため、製造工程が簡便化される。
また、別体のスライバーパイルニット生地の周縁端部と開口部の周縁部との重なりがあるため、加熱処理を行うことで、より一層接着が良好となり、且つ強度的にも優れたものとなる。
袋状体6を水に浸漬させて、マイクロ波で処理を行えば、前記袋状体6表層面のパイル内部の水が沸騰することで、湿熱接着性の鞘芯構造繊維の作用、即ち、鞘芯構造繊維(中心部にポリエステル、それを取り巻くようにエチレンビニルアルコール共重合体が配置された繊維)を用いることで、水中において前記エチレンビニルアルコール共重合体を加熱することで融点降下が起こり、近接する繊維の接点同士が接着されることにより多数のセル状空隙部がパイル内部に形成され、海綿状構造を形成することができる。
この際、被覆体に内設された芯体が、スライバーパイルニット生地1の収縮抵抗体として、又前記海綿状構造の層の厚さを略一定にするために柔軟な袋状体6に仕上げることができる。
本発明において、袋状体6を2450MHzのマイクロ波により加熱処理する方法は、ガラス、陶器、ポリプロピレン製等の容器に水を入れて、袋状体6を浸漬した状態で、電子レンジを用いて3分〜5分程度マイクロ波により処理する。
また、使用する水に界面活性剤、キトサン・コラーゲンによる保湿剤、親水性ポリウレタン処理剤を添加することは有効である。また、染料を用いて、染色(例えば、建染色)することもできる。尚、電子レンジの出力については、製造する身体洗浄具の大きさに合わせて適宜調整できるものであり、例えば、出力2〜9kwのものを使用できる。
その後の後工程で行う加熱処理により、前記外側縫込部3bの繊維と対向する位置にある繊維同士がセル状空間部を形成すると共に、両者が接着されることで開口部を完全に閉鎖することができることは上記の製造工程と同様である。
前記湿熱接着性の鞘芯構造繊維であるスライバーパイルニット生地1は、パイル用繊維1aとグランド用繊維1cから成り、袋状体6を水に浸漬した状態でマイクロ波を用いて加熱処理を行うことにより、繊維間の交絡したパイル用繊維1aとセル状空間部1bを併用した空間部を有する多孔性繊維層1Aが形成される。又、袋状体6の外側縫込部3bと別体のスライバーパイルニット生地10とが重なった部分は、加熱処理により多孔性繊維層1Aと同じ空間部を有する多孔性繊維層1Bが形成され、両者は強く接着される。そして、上記した芯体5が前記海綿状構造の層の厚さを略一定にするので、図5に示すように前記重なった部分が略一定の厚さの層(図5の符号20がその層を示しており、以下、その層を「閉鎖部20」という。)になる。
このように、多孔性繊維層1A及び多孔性繊維層1Bの両層の厚さが略一定であり、そして、両層が完全に同じ海綿状の構造であり、その表面も天然海綿と類似した海綿状の構造である。
湿熱接着性繊維:商品名「ソフィスタ」(株式会社クラレ製)単糸繊度2dtexよりなるカット長さ50mmのスライバーをパイル用繊維とし、グランド用繊維には、レギュラーポリエステルのマルチフィラメントを用いて、スライバーニット機によりゲージ14本/インチ、度目14/インチ、パイル長20mmのスライバーパイルニット生地を作成した。
該スライバーパイルニット生地を直径25cmの円形に裁断し、該生地の周縁部に近接して円形に
縫込糸(30番手のナイロン糸)を約5mm間隔で挿通して縫込部を形成させた。次に、パイル面が外側になるようにし、前記縫込部の内側にポリエステル単糸15dtexの短繊維よりなる厚さ10mmの不織布を6枚を内設し、縫込糸の延設部を引っ張り、袋状に形成し、延設部の縫込糸を結縛して仮袋状体6とした。
前工程で得られた袋状体6をガラス容器に水を入れた中に浸漬して、電子レンジ(出力2kw)にて2450MHzのマイクロ波により5分間処理した。機器より取り出して乾燥することにより、海綿状の身体洗浄具が得られた。得られた身体洗浄具は、使用感触が良好であった。
湿熱接着性繊維:商品名「ソフィスタ」(株式会社クラレ製)単糸繊度1dtex/60fよりなる短繊維を70重量%、レギュラーポリエステルの短繊維を30重量%よりなるカット長50mmのスライバーをパイル用繊維とし、グランド用繊維には、レギュラーポリエステルのマルチフィラメントを用いて、スライバーニット機で、パイル長20mmのスライバーパイルニット生地を作成した。
該スライバーパイルニット生地を直径25cmの円形に裁断し、該生地の周縁部に近接して円形に縫込糸(30番手のナイロン糸)を約5mm間隔で挿通して縫込部を形成させた。次に、パイル面が外側になるようにし、前記縫込部の内側にポリエステル単糸15dtexの短繊維よりなる厚さ10mmの不織布を6枚を内設し、縫込糸の延設部を引っ張り、袋状に形成し、延設部の縫込糸を結縛して仮袋状体6とした。
次いで、仮袋状体6頂部の開口部7を閉鎖するため、前記と同様のスライバーパイルニット生地(直径4cm)を用いて開口部7を閉じた。
2 縫込糸
3 縫込部
4 延設部
5 芯体
6 仮袋状体
7 開口部
8 パイル面
10 別体のスライバーパイルニット生地
20 閉鎖部
Claims (5)
- 高反発性の弾性体の芯体とその芯体を被覆するスライバーパイルニット生地の被覆体とからなる海綿状身体洗浄具であって、
前記被覆体が湿熱接着性の鞘芯構造繊維を含むスライバーを用いたパイル用繊維と、レギュラー合成繊維フィラメントからなるグランド用繊維とを用いて編成されており、
前記芯体を被覆した被覆体の略円形状の開口部を閉鎖した閉鎖部及び該閉鎖部以外の被覆体の層が同じ海綿状構造からなることを特徴とする海綿状身体洗浄具。 - 前記パイル用繊維がエチレンビニールアルコール共重合体とポリエステルとからなることを特徴とする請求項1に記載の海綿状身体洗浄具。
- 前記閉鎖部が前記被覆体の開口部の外側縫込部からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の海綿状身体洗浄具。
- 前記閉鎖部が前記被覆体と別体のスライバーパイルニット生地からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の海綿状身体洗浄具。
- 前記芯体が立方体、直方体、略球状体等の1つからなることを特徴とする請求項1〜4の何れか1記載の海綿状身体洗浄具。
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