JP2008236633A - 圧電薄膜デバイス - Google Patents

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知義 多井
Yukihisa Osugi
幸久 大杉
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和幸 水野
Masahiro Sakai
正宏 坂井
Shoichiro Yamaguchi
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Abstract

【課題】電極への給電経路を確保しつつ、不要振動を抑制することができる圧電薄膜デバイスを提供することを目的とする。
【解決手段】下面電極141と上面電極161とは、対向領域191において圧電体薄膜15を挟んで対向し、直列腕共振子101を形成している。下面電極142と上面電極162とは、対向領域193において圧電体薄膜15を挟んで対向し、並列腕共振子102を形成している。下面電極141と上面電極162とは、自由振動領域192,194の外側の領域195において圧電体薄膜15を挟んで対向し、12個のバイアホール155によって電気的に接続されている。下面電極142と上面電極163とは、自由振動領域192,194の外側の領域197において圧電体薄膜15を挟んで対向し、12個のバイアホール156によって電気的に接続されている。バイアホール155,156には、樹脂17が充填されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、単数又は複数の圧電薄膜共振子を含む圧電薄膜デバイスに関する。
圧電薄膜共振子(FBAR;Film Bulk Acoustic Resonator)は、支持体に支持された圧電体薄膜の両主面に電極を形成し、圧電体薄膜を挟んで電極を対向させた構造を有する。圧電薄膜共振子は、圧電体薄膜を挟んで電極が対向する対向領域に励振された厚み縦振動や厚みすべり振動に起因する電気的な応答を利用した共振子となっている。
このような圧電薄膜共振子では、支持体に支持された側の主面に形成された電極への給電経路を確保しなければならない。例えば、特許文献1には、圧電体薄膜に開口を設けて露出させた電極に直接給電を行う圧電薄膜共振子が開示されている。
特開2005−124107号公報
ただ、圧電体薄膜に開口を設けて電極を露出させた場合、開口における弾性波の反射により、副共振の原因となる不要振動が発生しやすくなるという問題がある。この問題は、特許文献1でいう「開口」に限られず、電極への給電経路を確保するために圧電体薄膜に何らかの加工を施した場合には常に問題となる。
本発明は、この問題を解決するためになされたもので、電極への給電経路を確保しつつ、不要振動を抑制することができる圧電薄膜デバイスを提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、単数又は複数の圧電薄膜共振子を含む圧電薄膜デバイスであって、第1の主面と第2の主面とを貫通するバイアホールが形成された圧電体薄膜と、前記第1の主面に形成された第1の電極と、前記第2の主面に形成され、前記第1の電極と前記圧電体薄膜を挟んで対向して前記圧電薄膜共振子を形成する第2の電極と、前記第2の主面に形成され、前記第1の電極と前記圧電体薄膜を挟んで対向し、前記バイアホールによって前記第1の電極と電気的に接続された第3の電極と、前記バイアホールに充填された充填物とを備える圧電薄膜デバイスである。
請求項2の発明は、前記充填物が感光性の樹脂である請求項1に記載の圧電薄膜デバイスである。
請求項3の発明は、前記第2の主面に前記圧電薄膜共振子が形成された領域を囲む隔壁が前記充填物と同一の材料で形成されている請求項1又は請求項2に記載の圧電薄膜デバイスである。
本発明によれば、電極への給電経路を確保しつつ、不要振動を抑制することができる。
請求項2の発明によれば、フォトリソグラフィにより充填物を精密にパターニングすることができる。
請求項3の発明によれば、圧電薄膜共振子を保護することができる。
以下では、2個の圧電薄膜共振子(FBAR;Film Bulk Acoustic Resonator)を組み合わせたラダー型フィルタを例として、本発明の圧電薄膜デバイスの望ましい実施形態について説明する。しかし、以下で説明する実施形態は、本発明の圧電薄膜デバイスが2個の圧電薄膜共振子を組み合わせたラダー型フィルタに限定されることを意味するものではない。すなわち、本発明における圧電薄膜デバイスとは、一般的にいえば、単数又は複数の圧電薄膜共振子を含む圧電薄膜デバイス全般を意味しており、単一の圧電薄膜共振子を含む発振子及びトラップ等並びに複数の圧電薄膜共振子を含むフィルタ、デュプレクサ、トリプレクサ及びトラップ等を包含している。
<第1実施形態>
<1.1 全体構造>
図1〜図3は、本発明の第1実施形態のラダー型フィルタ1の模式図である。図1は、ラダー型フィルタ1の斜視図、図2は、ラダー型フィルタ1の平面図、図3は、図2のIII-IIIで示される切断線におけるラダー型フィルタ1の断面図となっている。図1〜図3には、説明の便宜上、左右方向をX軸方向、前後方向をY軸方向、上下方向をZ軸方向とする共通のXYZ直交座標系が定義されている。また、図4は、ラダー型フィルタ1の回路図である。
図1〜図3に示すように、ラダー型フィルタ1は、支持基板11の上に、接着層12、キャビティ形成膜13、下面電極14(141,142)、圧電体薄膜15及び上面電極16(161,162,163)をこの順序で積層した構造を有している。ラダー型フィルタ1の製造にあたっては、単独で自重に耐え得る圧電体基板18(後述)を除去加工することにより圧電体薄膜15を得ているが、除去加工によって得られる圧電体薄膜15は単独で自重に耐え得ない。このため、ラダー型フィルタ1の製造にあたっては、除去加工に先立って、キャビティ形成膜13及び下面電極14を形成した圧電体基板18を支持体となる支持基板11にあらかじめ接着している。
<1.2 支持基板>
支持基板11は、ラダー型フィルタ1の製造途上で圧電体基板18を除去加工するときに、キャビティ形成膜13及び下面電極14が下面に形成された圧電体基板18を接着層12を介して支持する支持体としての役割を有している。加えて、支持基板11は、ラダー型フィルタ1の製造後に、キャビティ形成膜13及び下面電極14が下面に形成され、上面電極16が上面に形成された圧電体薄膜15を接着層12を介して支持する支持体としての役割も有している。したがって、支持基板11には、圧電体基板18を除去加工するときに加わる力に耐え得ることと、ラダー型フィルタ1の製造後にも強度が低下しないこととが要請される。
支持基板11の材料及び厚さは、このような要請を満足するように、適宜選択することができる。ただし、支持基板11の材料を、圧電体薄膜15を構成する圧電材料と近い熱膨張率、より望ましくは、圧電体薄膜15を構成する圧電材料と同じ熱膨張率を有する材料、例えば、圧電体薄膜15を構成する圧電材料と同じ材料とすれば、ラダー型フィルタ1の製造途上において、熱膨張率の差に起因する反りや破損を抑制することができ、ラダー型フィルタ1の製造後において、熱膨張率の差に起因する特性変動や破損を抑制することができる。なお、熱膨張率に異方性がある材料を用いる場合、支持基板11と圧電体薄膜15とで各方向の熱膨張率がともに同じとなるように配慮することが望ましく、支持基板11と圧電体薄膜15とに同じ圧電材料を用いる場合、支持基板11と圧電体薄膜15とで結晶方位を一致させることが望ましい。
<1.3 接着層>
接着層12は、ラダー型フィルタ1の製造途上で圧電体基板18を除去加工するときに、キャビティ形成膜13及び下面電極14が下面に形成された圧電体基板18を支持基板11に接着固定する役割を有している。加えて、接着層12は、ラダー型フィルタ1の製造後に、キャビティ形成膜13及び下面電極14が下面に形成され、上面電極16が上面に形成された圧電体薄膜15を支持基板11に接着固定する役割も有している。したがって、接着層12には、圧電体基板18を除去加工するときに加わる力に耐え得ることと、ラダー型フィルタ1の製造後にも接着力が低下しないこととが要請される。
このような要請を満足する接着層12の望ましい例としては、有機接着剤、望ましくは、充填効果を有し、接着対象が完全に平坦ではなくても十分な接着力を発揮するエポキシ接着剤(熱硬化性を利用するエポキシ樹脂の接着剤)やアクリル接着剤(光硬化性及び熱硬化性を併用するアクリル樹脂の接着剤)により形成された接着層12を挙げることができる。このような樹脂を採用することにより、支持基板11と圧電体基板18との間に期待しない空隙が生じることを防止し、当該空隙により圧電体基板18の除去加工時にクラック等が発生することを防止可能である。ただし、このことは、これ以外の接着層12によって支持基板11と圧電体薄膜15とが接着固定されることを妨げるものではない。
<1.4 キャビティ形成膜>
キャビティ形成膜13は、絶縁材料を成膜することにより得られた絶縁体膜である。キャビティ形成膜13は、自由振動領域192,194の外側に形成され、自由振動領域192,194において圧電体薄膜15を支持基板11から離隔させるキャビティ(空洞)135,136を形成している。このようなスペーサとしての役割を有するキャビティ形成膜13により、自由振動領域192,194において圧電体薄膜15が支持基板11と干渉しなくなり、自由振動領域192,194における励振が阻害されることがなくなる。
キャビティ形成膜13を構成する絶縁材料は、特に制限されないが、二酸化ケイ素(SiO2)等の絶縁材料から選択することが望ましい。
<1.5 圧電体薄膜>
圧電体薄膜15は、圧電体基板18を除去加工することにより得られる。より具体的には、圧電体薄膜15は、単独で自重に耐え得る厚み(例えば、50μm以上)を有する圧電体基板18を、単独で自重に耐え得ない膜厚(例えば、10μm以下)まで除去加工で薄肉化することにより得られる。
圧電体薄膜15を構成する圧電材料としては、所望の圧電特性を有する圧電材料を選択することができるが、水晶(SiO2)、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)、タンタル酸リチウム(LiTaO3)、四ホウ酸リチウム(Li2B4O7)、酸化亜鉛(ZnO)、ニオブ酸カリウム(KNbO3)及びランガサイト(La3Ga3SiO14)等の粒界を含まない単結晶材料を選択することが望ましい。圧電体薄膜15を構成する圧電材料として単結晶材料を用いることにより、圧電体薄膜15の電気機械結合係数及び機械的品質係数を向上することができるからである。
また、圧電体薄膜15における結晶方位も、所望の圧電特性を有する結晶方位を選択することができる。ここで、圧電体薄膜15における結晶方位は、ラダー型フィルタ1の共振周波数や反共振周波数の温度特性が良好となる結晶方位とすることが望ましく、周波数温度係数が「0」となる結晶方位とすることがさらに望ましい。
圧電体基板18の除去加工は、切削、研削及び研磨等の機械加工並びにエッチング等の化学加工等により行う。ここで、複数の除去加工方法を組み合わせ、加工速度が速い除去加工方法から、加工対象に生じる加工変質が小さい除去加工方法へと除去加工方法を段階的に切り替えながら圧電体基板を除去加工すれば、高い生産性を維持しつつ、圧電体薄膜15の品質を向上し、ラダー型フィルタ1の特性を向上することができる。例えば、圧電体基板18を固定砥粒に接触させて削る研削及び圧電体基板18を遊離砥粒に接触させて削る研磨を順次行った後に、当該研磨によって圧電体基板18に生じた加工変質層を仕上げ研磨により除去するようにすれば、圧電体基板18を削る速度が早くなり、ラダー型フィルタ1の生産性を向上することができるとともに、圧電体薄膜15の品質を向上することにより、ラダー型フィルタ1の特性を向上することができる。
このようなラダー型フィルタ1では、圧電体薄膜15をスパッタリング等により成膜した場合と異なり、圧電体薄膜15を構成する圧電材料や圧電体薄膜15における結晶方位が下地の制約を受けないので、圧電体薄膜15を構成する圧電材料や圧電体薄膜15における結晶方位の選択の自由度が高くなっている。したがって、ラダー型フィルタ1では、所望の特性を実現することが容易になっている。
この圧電体薄膜15には、圧電体薄膜15の下面と上面との間を貫通するバイアホール155,156が形成されている。バイアホール155は、その内側面に成膜された導電体薄膜により下面電極141と上面電極162とを電気的に接続し、バイアホール156は、その内側面に成膜された導電体薄膜により下面電極142と上面電極163とを電気的に接続する。
バイアホール155,156は、その内側面に成膜された導電体薄膜により下面電極14と上面電極16とを接続するものであるから、下面電極14と上面電極16との間の導通抵抗は、バイアホール155,156の総孔周長(孔周長を全てのバイアホール155,156について総計したもの)が長くなるほど低下する。
一方、下面電極14及び上面電極16の配線抵抗は、バイアホール155,156の総孔面積(孔面積を全てのバイアホール155,156について総計したもの)が広くなるほど上昇する。
したがって、ラダー型フィルタ1においては、バイアホール155,156の径やバイアホール155,156の間隔が特定の範囲内となる場合に、ラダー型フィルタ1の全体としての損失が最も小さくなるが、極端に大きなバイアホール155,156を圧電体薄膜15に形成することやバイアホール155,156の間隔を極端に狭くすることはラダー型フィルタ1の製造上困難であるという制約もある。
本願出願人は、これらの事情を勘案して検討した結果、バイアホール155,156の径を圧電体薄膜15の膜厚の2倍以上20倍以下とするとともに、バイアホール155,156の間隔をバイアホール155,156の径の2倍以上、望ましくは3倍以上とすれば、バイアホール155,156を容易に形成することができるとともに、下面電極14と上面電極16との間の導通抵抗を低下させ、下面電極14及び上面電極16の配線抵抗の上昇を回避できることを見出した。
ここで、バイアホール155,156の径とは、バイアホール155,156の孔形状が円形である場合には直径であり、楕円形である場合には長軸の長さであり、多角形である場合には最も長い対角線の長さである。また、バイアホール155,156の間隔がバイアホール155,156の径の2倍以上とは、全てのバイアホール155,156について、着目しているバイアホール155,156と最も近い他のバイアホール155,156との距離が、着目しているバイアホール155,1561の径の2倍以上であることを意味している。
<1.6 下面電極及び上面電極>
下面電極14及び上面電極16は、それぞれ、圧電体薄膜15の平坦に研磨された下面及び上面に導電材料を成膜することにより形成された導電体薄膜である。ここで、圧電体薄膜15の下面及び上面が「平坦」であるとは、研磨後に不可避的に残存する表面粗さを超えるような凹凸がない状態をいう。
下面電極14及び上面電極16を構成する導電材料は、特に制限されないが、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、銅(Cu)、白金(Pt)、金(Au)、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)及びタンタル(Ta)等の金属から選択することが望ましい。もちろん、下面電極14及び上面電極16を構成する導電材料として合金を用いてもよい。また、複数種類の導電材料を重ねて成膜することにより、下面電極14及び上面電極16を形成してもよい。
下面電極141と上面電極161とは、細長矩形の自由振動領域192に内包された同じく細長矩形の対向領域191において圧電体薄膜15を挟んで対向し、図4に示す直列腕共振子101を形成している。直列腕共振子101は、厚み縦振動又は厚みすべり振動を利用したエネルギー閉じ込め型の共振子として機能する。同様に、下面電極142と上面電極162とは、細長矩形の自由振動領域194に内包された細長矩形の対向領域193において圧電体薄膜15を挟んで対向し、図4に示す並列腕共振子102を形成している。並列腕共振子102も、厚み縦振動又は厚みすべり振動を利用したエネルギー閉じ込め型の共振子として機能する。
また、下面電極141と上面電極162とは、自由振動領域192,194の外側の領域195において圧電体薄膜15を挟んで対向し、12個のバイアホール155によって電気的に接続されている。同様に、下面電極142と上面電極163とは、自由振動領域192,194の外側の領域197において圧電体薄膜15を挟んで対向し、12個のバイアホール156によって電気的に接続されている。
このような下面電極14及び上面電極16のパターン並びにバイアホール155,156による電気的な接続により、ラダー型フィルタ1は、図4の回路図に示すフィルタとして機能する。
なお、上述の説明では、自由振動領域192,194が対向領域191,193を内包しているとしたが、自由振動領域192,194と対向領域191,193とが一致している場合や対向領域191,193が自由振動領域192,194を内包している場合にも本発明は適用可能である。
<1.7 樹脂(充填物)>
ラダー型フィルタ1では、バイアホール155,156に樹脂17が充填されている。樹脂17の充填は、バイアホール155,156に起因する副共振を抑制するために行われている。バイアホール155,156に樹脂17を充填することにより副共振を抑制することができるのは、バイアホール155,156に樹脂17を充填すると、バイアホール155,156が形成された領域における音響インピーダンスの乱れが小さくなるので、不要振動の原因となる弾性波の反射が起こりにくくなり、発生した不要振動も樹脂17の音響抵抗により吸収されるようになることによる。
実際、バイアホール155,156に樹脂17を充填した場合、図5の周波数−インピーダンス特性に示すように、右側のみにバイアホール155が配置された直列腕共振子101のQ値も、右側及び左側にバイアホール155,156が配置された並列腕共振子102のQ値も良好であるが、バイアホール155,156に樹脂17を充填しない場合、図6の周波数−インピーダンス特性に示すように、直列腕共振子101のQ値は良好であるが、並列腕共振子102のQ値は良好でない。この並列腕共振子102のQ値の低下は、Q値の低い副共振が主共振の反共振周波数の付近に重畳していることによる。
また、バイアホール155,156に樹脂17を充填すると、下面電極14が樹脂17によって保護されるので、ラダー型フィルタ1の製造途上の酸洗浄や製造後の高温高湿試験によって下面電極14が腐食してしまうことを防止することもできる。換言すれば、下面電極14を構成する導電材料を選択する際に、耐酸性や耐湿性よりも電気特性を優先することができるようになり、ラダー型フィルタ1の特性を向上することができる。例えば、下面電極14を構成する導電材料として抵抗率が小さいタングステンを選択し、ラダー型フィルタ1の挿入損失を減らすことができる。
なお、バイアホール155,156に充填する樹脂17の材料は特に制限されないが、フォトリソグラフィによる精密なパターニングが可能で耐湿性に優れる材料とすることが望ましく、感光性のポリイミドやフォトレジストとすることが望ましい。フォトレジストとしては、例えば、エポキシ樹脂のフォトレジスト、望ましくは、エポキシ樹脂、シクロペンタノン、プロピレンカーボネート及びヘキサフルオロアンチモン酸塩の混合物であり、永久膜向けのフォトレジストとして設計されたSU−8(化薬マイクロケム、東京都千代田区)を用いることができる。この他、コーティング剤として用いられるカルドポリマーも好適に用いることができる。また、樹脂の硬化物以外のものを充填物として用いることも差し支えない。
なお、上述の樹脂17の役割からすれば、バイアホール155,156の全部に樹脂17を充填することが望ましいが、一部のみに樹脂17を充填した場合でもある程度の効果を得ることはできる。
また、バイアホール155,156の各々に樹脂17を完全に充填することが望ましいが、樹脂17が圧電体薄膜15の上面に達しないような不完全な充填であってもある程度の効果を得ることはできる。
<1.8 製造方法>
続いて、支持基板11及び圧電体薄膜15を構成する圧電材料としてニオブ酸リチウムの単結晶、接着層12を構成する材料としてエポキシ接着剤、キャビティ形成膜13を構成する絶縁材料として二酸化ケイ素、下面電極14を構成する導電材料としてタングステン、上面電極16を構成する導電材料としてクロム及び金を用いた場合を例として、ラダー型フィルタ1の製造方法を説明する。
なお、以下で説明する製造方法は例示に過ぎず、所望の特性に応じて材料を変更することを妨げるものではない。また、圧電体薄膜15を圧電体基板18の除去加工により得ることも必須ではなく、従来から行われているように、基板の上に下面電極14、圧電体薄膜15及び上面電極16をスパッタリング等の付加加工で順次成膜することによりラダー型フィルタ1を製造してもよい。
なお、以下で説明する製造方法においては、ラダー型フィルタ1は、製造原価の低減のために、多数(典型的には、数100個〜数1000個)のラダー型フィルタ1を一体化したマザー基板を作製し、当該マザー基板をダイシングソーで切断して個々のラダー型フィルタ1へ分離することによって得られている。
以下では、便宜上、当該マザー基板に含まれる1個のラダー型フィルタ1に着目して説明を進めるが、マザー基板に含まれる他のラダー型フィルタ1も着目したラダー型フィルタ1と同時平行して製造されている。
ラダー型フィルタ1の製造にあたっては、最初に、圧電体基板18の下面の全面にタングステン膜をスパッタリングにより成膜し、一般的なフォトリソグラフィプロセスを用いてパターニングを行い、図1〜図3に示すパターンを有する下面電極14を得る(図7)。
続いて、圧電体基板18の下面の全面に二酸化ケイ素膜をスパッタリングにより成膜し、一般的なフォトリソグラフィプロセスを用いてパターニングを行い、キャビティ形成膜13を形成する(図8)。
さらに続いて、支持基板11の上面に接着層12となるエポキシ接着剤を塗布し、支持基板11の上面と、キャビティ形成膜13及び下面電極14が形成された圧電体基板18の下面とを張り合わせる。そして、支持基板11及び圧電体基板18に圧力を印加してプレス圧着を行う。しかる後に、エポキシ接着剤を硬化させ、支持基板11と圧電体基板18を接着する(図9)。
支持基板11と圧電体基板18との接着が完了した後、圧電体基板18を支持基板11に接着した状態を維持したまま、支持基板11の下面を研磨治具に接着固定し、圧電体基板18の上面を固定砥粒の研削機で研削加工し、圧電体基板18を薄肉化する。さらに、圧電体基板18の上面をダイヤモンド砥粒で研磨加工し、圧電体基板18をさらに薄肉化する。最後に、ダイヤモンド砥粒による研磨加工で圧電体基板18に生じた加工変質層を除去するために、遊離砥粒及び不繊布系研磨パッドを使用して圧電体基板18の仕上げ研磨を行い、所望の膜厚の圧電体薄膜15を得る(図10)。
次に、圧電体薄膜15の上面(研磨面)を有機溶剤で洗浄し、クロム膜と金膜とを圧電体薄膜15の上面に順次成膜し、得られた積層膜を一般的なフォトリソグラフィプロセスを用いてパターニングすることにより、圧電体薄膜15の、バイアホール155,156を形成すべき部分のみを露出させたエッチングマスク18を得る(図11)。
エッチングマスク18の形成後、加熱したバッファードフッ酸で圧電体薄膜15のエッチングを行い、圧電体薄膜15の上面と下面との間を貫通するバイアホール155,156を形成して下面電極14を露出させるとともに、エッチングマスク18をエッチングにより除去した(図12)。
そして、クロム膜と金膜とを圧電体薄膜15の上面に順次成膜し、得られた積層膜を一般的なフォトリソグラフィプロセスを用いてパターニングすることにより、図1〜図3に示すパターンを有する上面電極16を得る(図13)。このとき、バイアホール155,156の内側面にもクロム膜と金膜とが成膜され、下面電極14と上面電極16との導通が確保される。なお、バイアホール155,156には樹脂17が充填されるので、下面電極14がクロム膜と金膜とより完全に被覆されていなくても問題とはならない。このような不完全な被覆は、バイアホール155,156の断面形状がテーパー形状となっており、その径が上面から下面に向かって大きくなってゆく場合に起こりやすい。
続いて、圧電体薄膜15の上面にフォトレジスト膜をスピンコートした。そして、フォトリソグラフィによりフォトレジスト膜のパターニングを行い、すなわち、露光、プリベーク、現像及びポストベークを順次行い、バイアホール155,156に樹脂17が充填されたラダー型フィルタ1を得た(図14)。
<2 第2実施形態>
図15,図16は、本発明の第2実施形態のラダー型フィルタ2の模式図である。図15は、ラダー型フィルタ2の平面図、図16は、図15のXVI-XVIで示される切断線におけるラダー型フィルタ2の断面図となっている。図15,図16には、説明の便宜上、左右方向をX軸方向、前後方向をY軸方向、上下方向をZ軸方向とする共通のXYZ直交座標系が定義されている。
図15,図16に示すように、ラダー型フィルタ2は、支持基板21の上に、接着層22、キャビティ形成膜23、下面電極24(241,242)、圧電体薄膜25及び上面電極26(261,262,263)をこの順序で積層した構造を有している。ラダー型フィルタ2の支持基板21、接着層22、キャビティ形成膜23、下面電極24、圧電体薄膜25、上面電極26及び樹脂27は、それぞれ、ラダー型フィルタ1の支持基板11、接着層12、キャビティ形成膜13、下面電極14、圧電体薄膜15、上面電極16及び樹脂27に相当しており、同様の材料で構成することができる。
ラダー型フィルタ1とラダー型フィルタ2との違いは、樹脂27が、バイアホール255,256に充填されているだけでなく、上面電極16が形成された圧電体薄膜15の上面の領域298,299を覆っている点にある。すなわち、ラダー型フィルタ2では、樹脂27が、12個のバイアホール255を内包する矩形の領域298及び12個のバイアホール256を内包する矩形の領域299にも膜状に形成されている。
このような樹脂27によっても、バイアホール255,256に起因する副共振を抑制することができ、下面電極24が腐食してしまうことを防止することができる。
<3 第3実施形態>
図17,図18は、本発明の第3実施形態のラダー型フィルタ3の模式図である。図17は、ラダー型フィルタ3の平面図、図18は、図17のXVIII-XVIIIで示される切断線におけるラダー型フィルタ3の断面図となっている。図17,図18には、説明の便宜上、左右方向をX軸方向、前後方向をY軸方向、上下方向をZ軸方向とする共通のXYZ直交座標系が定義されている。
図17,図18に示すように、ラダー型フィルタ3は、支持基板31の上に、接着層32、キャビティ形成膜33、下面電極34(341,342)、圧電体薄膜35及び上面電極36(361,362,363)をこの順序で積層した構造を有している。ラダー型フィルタ3の支持基板31、接着層32、キャビティ形成膜33、下面電極34、圧電体薄膜35、上面電極36及び樹脂37は、それぞれ、ラダー型フィルタ1の支持基板11、接着層12、キャビティ形成膜13、下面電極14、圧電体薄膜15、上面電極16及び樹脂27に相当しており、同様の材料で構成することができる。
ラダー型フィルタ1とラダー型フィルタ3との第1の違いは、下面電極14のパターンと下面電極34のパターンとが異なっており、バイアホール155,156の形成位置とバイアホール355,356の形成位置とが異なっている点にある。
また、ラダー型フィルタ1とラダー型フィルタ3との第2の違いは、樹脂37が、バイアホール355,356に充填されているだけでなく、直列腕共振子が形成される対向領域391及び並列腕共振子が形成される対向領域393を取り囲む隔壁ともなっている点にある。
このような樹脂37によっても、バイアホール355,356に起因する副共振を抑制することができ、下面電極34が腐食してしまうことを防止することができる。
さらに、このような樹脂37によれば、図19の断面図に示すように、ラダー型フィルタ3をバンプ42を介して基板41にフリップチップ実装してサイドフィル方式で封止した場合でも、封止剤43や異物が対向領域391,393に達してラダー型フィルタ3の特性を劣化させてしまうことを防止することができる。
本発明の第1実施形態のラダー型フィルタの斜視図である。 ラダー型フィルタの平面図である。 図2のIII-IIIで示される切断線におけるラダー型フィルタの断面図である。 ラダー型フィルタの回路図である。 直列腕共振子及び並列腕共振子の周波数−インピーダンス特性を示す図である。 直列腕共振子及び並列腕共振子の周波数−インピーダンス特性を示す図である。 製造途上の圧電薄膜共振子の断面図である。 製造途上の圧電薄膜共振子の断面図である。 製造途上の圧電薄膜共振子の断面図である。 製造途上の圧電薄膜共振子の断面図である。 製造途上の圧電薄膜共振子の断面図である。 製造途上の圧電薄膜共振子の断面図である。 製造途上の圧電薄膜共振子の断面図である。 製造途上の圧電薄膜共振子の断面図である。 本発明の第2実施形態のラダー型フィルタの平面図である。 図15のXVI-XVIで示される切断線におけるラダー型フィルタの断面図である。 本発明の第3実施形態のラダー型フィルタの平面図である。 図17のXVI-XVIで示される切断線におけるラダー型フィルタの断面図である。 ラダー型フィルタを基板にフリップチップ実装した状態を示す断面図である。
符号の説明
1,2,3 圧電薄膜共振子
11,21,31 支持基板
12,22,32 接着層
13,23,33 キャビティ形成膜
14,24,34 下面電極
15,25,35 圧電体薄膜
16,26,36 上面電極
17,27,37 樹脂

Claims (3)

  1. 単数又は複数の圧電薄膜共振子を含む圧電薄膜デバイスであって、
    第1の主面と第2の主面とを貫通するバイアホールが形成された圧電体薄膜と、
    前記第1の主面に形成された第1の電極と、
    前記第2の主面に形成され、前記第1の電極と前記圧電体薄膜を挟んで対向して前記圧電薄膜共振子を形成する第2の電極と、
    前記第2の主面に形成され、前記第1の電極と前記圧電体薄膜を挟んで対向し、前記バイアホールによって前記第1の電極と電気的に接続された第3の電極と、
    前記バイアホールに充填された充填物と、
    を備える圧電薄膜デバイス。
  2. 前記充填物が感光性の樹脂である請求項1に記載の圧電薄膜デバイス。
  3. 前記第2の主面に前記圧電薄膜共振子が形成された領域を囲む隔壁が前記充填物と同一の材料で形成されている請求項1又は請求項2に記載の圧電薄膜デバイス。
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