JP2008235629A - 回路基板及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の回路基板は、絶縁層、配線層及び密着層を少なくとも有し、前記配線層表面に前記密着層を介して前記絶縁層を有してなる回路基板において、前記密着層が、スルホニル基、スルホ基及びスルホニルジオキシ基から選択される少なくとも1種と、カルボキシ基とを含む。本発明の回路基板の製造方法は、配線層を形成する配線層形成工程と、前記配線層の表面を処理して、スルホニル基、スルホ基及びスルホニルジオキシ基から選択される少なくとも1種とカルボキシ基とを含む密着層を形成する密着層形成工程と、前記密着層を覆う絶縁層を形成する絶縁層形成工程とを少なくとも含む。
【選択図】図1
Description
多層ビルドアップ基板においては、基板の上に積み重ねられた複数の導体配線を含み、各導体配線の間(配線層間)には絶縁膜(いわゆる層間絶縁膜)が形成されており、該絶縁膜には、配線層間の導通を取るために、ビアホールと称される微細な穴が形成されている。このような多層ビルドアップ基板の製造は、感光性樹脂を用いたフォトリソグラフィ技術を利用したり、レーザー光を照射することにより、絶縁膜にビアホールを形成し、次いで、無電解めっき及び電気めっきによって絶縁膜上に導体を形成した後、これをエッチングして新たな配線パターンを形成することにより行われる。その後、必要に応じて絶縁膜の形成から配線パターンの形成までの工程を繰り返し行うことにより、回路の集積度を高めることができる。
前記処理としては、例えば、塩化第二銅液、塩化第二鉄液、硫酸過酸化水素水液、及び蟻酸系水溶液などを用いて、銅配線表面をエッチング(化学研磨)により粗化し、10点平均表面粗さが2μm以上の微細突起を作製し、微細突起のアンカー効果により、銅配線上に形成される樹脂を銅配線表面に強固に固定する処理が行われており、0.8kgf/cmのピール強度が得られている。
しかし、このような処理が施された銅配線は、その表面に凹凸形状を有し、高周波信号、特に1GHz以上を超える周波数領域の信号を通すと、高周波伝送に特徴的な表皮効果により、伝送損失、特に導体損が大きくなることから、高周波パッケージ用途には対応することができないという問題がある。したがって、銅配線の表面を粗化することなく、樹脂との密着性を確保する技術の開発が求められている。
また、トリアジンチオール皮膜を有機めっきして成膜する方法が提案されている(非特許文献1及び特許文献2参照)。この方法では、まず、逆バイアスを印加することにより銅表面の酸化皮膜を除去した後、トリアジンチオールを有機めっきする。しかし、めっきを行うためには、シード電極層が必須であり、孤立部位への適用が困難である。
更に、有機酸を混合することにより、アゾール化合物からなる膜を形成する方法が提案されている(特許文献3参照)。この場合、銅との密着性には優れるが、官能基を有しないため、絶縁層との密着性に劣るという問題がある。
本発明の回路基板は、絶縁層、配線層及び密着層を少なくとも有し、前記配線層表面に前記密着層を介して前記絶縁層を有してなる回路基板において、
前記密着層が、スルホニル基、スルホ基及びスルホニルジオキシ基から選択される少なくとも1種と、カルボキシ基とを含むことを特徴とする。
該回路基板においては、スルホニル基、スルホ基及びスルホニルジオキシ基から選択される少なくとも1種と、カルボキシ基とを含む前記密着層を介して、前記配線層表面に前記絶縁層が形成されている。このため、粗化処理によるアンカー効果によらずに、前記配線層と前記絶縁層とが強固に密着され、高周波伝送が可能である。
該回路基板の製造方法では、前記配線層形成工程において、前記配線層が形成される。前記密着層形成工程において、前記配線層の表面が処理されて、前記密着層が形成される。前記絶縁層形成工程において、前記密着層を覆うように前記絶縁層が形成される。その結果、回路基板が製造される。また、前記配線層形成工程、前記密着層形成工程、及び前記絶縁層形成工程を含む一連の工程を、必要に応じて繰り返し行うと、高周波伝送可能な多層回路基板が効率よく製造される。このため、本発明の前記回路基板の製造方法は、本発明の前記回路基板の製造に特に好適に使用可能である。
本発明の回路基板は、絶縁層、配線層及び密着層を少なくとも有し、前記配線層表面に前記密着層を介して前記絶縁層を有してなり、更に必要に応じて適宜選択した、支持基板などのその他の部材(層)を有してなる。
前記配線層は、絶縁性を有する基材上に形成されるのが好ましく、該基材としては、特に制限はなく、その材料、形状、構造、厚みなどについては公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、後述する支持基板が挙げられる。
前記配線層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、銅などで形成されるのが好ましい。具体的には、銅張積層板における銅層、RCC(Resin Coated Copper Foil:樹脂付銅箔)を用いた基板における銅箔等をエッチングして形成した導体回路(銅配線)、電解又は/及び無電解めっきにより形成した導体回路(銅配線)などが挙げられる。
前記密着層は、スルホニル基(−SO2−)、スルホ基(−SO3H)及びスルホニルジオキシ基(−SO4)から選択される少なくとも1種と、カルボキシ基(−COOH)とを少なくとも含んでなり、更に必要に応じて適宜選択した、その他の成分を含んでなる。
前記密着層形成用材料としては、前記スルホニル基、前記スルホ基及び前記スルホニルジオキシ基から選択される少なくとも1種と、前記カルボキシ基とを少なくとも含む溶液が挙げられ、該密着層形成用材料は、市販品であってもよいし、適宜合成したものであってもよい。
前記密着層が積層構造である場合、該密着層としては、スルホニル基、スルホ基及びスルホニルジオキシ基から選択される少なくとも1種と、カルボキシ基とを含む第1の密着層と、カップリング剤及びトリアジンチオールの少なくともいずれかを含む第2の密着層とからなるのが好ましい。なお、前記第1の密着層が、前記配線層と接触して設けられ、前記第2の密着層が、前記絶縁層と接触して設けられる。
前記密着層が、前記第1の密着層及び前記第2の密着層の二層からなると、前記密着層表面と前記絶縁層との密着性をより向上させることができる。
前記シランカップリング剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、分子中に、アミノ基、メルカプト基、エポキシ基、イミダゾール基、ビニル基、ジアルキルアミノ基、及びピリジン基から選択される少なくとも1種を含むものが好ましい。この場合、前記絶縁層と反応することができる官能基が多様になるため、絶縁樹脂の選択の幅が広がる。
前記ベタの膜形状を有する密着層の形成方法としては、例えば、前記密着層形成用材料に前記配線層を浸漬し、該配線層表面の全面にベタの密着層を形成する方法、などが挙げられる。
前記パターン状の密着層の形成方法としては、例えば、前記配線層の表面にレジストでパターン(例えば、ライン状パターン)を形成して、ウェット又はドライでエッチングする方法などで配線パターンを形成し、次に、前記密着層形成用材料を塗布し、配線パターンの上部だけでなく、側面にも前記密着層を形成する。
前記厚みが、1nm未満であると、配線層表面に均一な密着層を形成することができないことがあり、200nmを超えても、これに見合った密着性の向上効果が得られないことがある。
前記その他の成分の前記密着層における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記絶縁層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、耐熱性に優れ、絶縁層としての性能を有する点で、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、ビスマレイミド樹脂、マレイミド樹脂、シアネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、オレフィン樹脂、フッ素含有樹脂、液晶ポリマー、ポリエーテルイミド樹脂、及びポリエーテルケトン樹脂から選択される少なくとも1種を含むものが好ましい。また、前記樹脂から選択される少なくとも1種を含むプリプレグを選択することもできる。
前記絶縁層の形状、構造、大きさなどの諸物性については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記その他の部材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、支持基板、電極、配線パターンなどが挙げられる。
前記電極、及び前記配線パターンとしては、電気を導通可能である限り特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができる。
前記密着強度は、例えば、ピール強度を用いて表すことができる。一般的に、ピール強度の測定は、JIS C−6481に準じた90度剥離試験により行うことができる。
前記ピール強度は、通常、粗面化処理が行われている場合には、1kgf/cm程度であるが、粗面化処理が行われていない場合には、0.3kgf/cm以下であることが知られている。このような背景から、前記ピール強度は、0.8kgf/cm以上が好ましく、1.0kgf/cm以上がより好ましい。
前記ピール強度が0.8kgf/cm未満であると、配線部が剥離し、多層化することができないことがある。
また、最近は半田リフロー後のピール強度も0.6kgf/cm以上が望まれている。
前記半田リフロー後のピール強度が、0.6kgf/cm未満であると、その後の信頼性試験などで剥離が生じる場合がある。
図1に示す多層回路基板100は、支持基板上に絶縁層と金属層(配線層)とが1層ずつ交互に積層され、インナービアホールを有する多層回路基板(多層ビルドアップ基板)である。該多層回路基板においては、支持基板10上に絶縁層20が形成され、更に絶縁層20上には配線層(電気めっき銅)30が形成されている。また、配線層30の表面には、前記スルホニル基、前記スルホ基及び前記スルホニルジオキシ基から選択される少なくとも1種と、前記カルボキシ基とを含む密着層40が形成されている。更に、密着層40を覆うように、絶縁層50が形成されている。
図2に示す多層回路基板200では、図1に示す多層回路基板100において、密着層40が、積層構造を有しており、前記スルホニル基、前記スルホ基及び前記スルホニルジオキシ基から選択される少なくとも1種と、前記カルボキシ基とを含む第1の密着層42と、前記シランカップリング剤及び前記トリアジンチオールの少なくともいずれかを含む第2の密着層44とからなる。本態様においては、第2の密着層44が、絶縁層50との密着性に優れるため、配線層30と絶縁層50との密着性が、より向上される。
本発明の回路基板の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択した公知の方法により製造することができるが、以下の本発明の回路基板の製造方法により、好適に製造することができる。
本発明の回路基板の製造方法は、配線層形成工程と、密着層形成工程と、絶縁層形成工程と、を少なくとも含み、更に必要に応じて適宜選択した、その他の工程を含む。
前記配線層形成工程は、配線層を形成する工程である。
前記配線層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、銅を含むのが好ましい。
前記配線層は、絶縁性を有する基材上に形成されるのが好ましい。
前記配線パターン形成工程は、前記絶縁層上に、通電層を形成した後、該通電層上に、例えば、公知のレジスト材料を用いてレジスト膜を形成し、該レジスト膜に対して選択露光及び現像を行い、該レジスト膜の無い部分に電気めっきにより所望の配線パターンを形成し、レジスト剥離後、最後に通電層を除去するセミアディティブ工程である。また、全面に金属層形成後、例えば、公知のレジスト材料を用いてレジスト膜を形成し、該レジスト膜に対して選択露光及び現像を行い、該レジスト膜の無い部分をエッチングし所望の配線パターンを形成し、最後にレジストを剥離するサブトラクティブ工程を用いてもよい。
前記通電層の形成は、スパッタ法、公知のメッキ方法、例えば、無電解メッキ、電解メッキ等の常用メッキ法、などを用いて行うことができる。
以上の工程により、前記配線層が形成される。
前記密着層形成工程は、前記配線層の表面を処理して、スルホニル基、スルホ基及びスルホニルジオキシ基から選択される少なくとも1種とカルボキシ基とを含む密着層を形成する工程である。
前記処理の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、浸漬、塗布、スプレーによる吹付けなどが挙げられる。これらの方法により、前記配線層の上部だけでなく前記配線層の側面にも前記密着層を形成することができる。
なお、前記カップリング剤の詳細については、上述した通りである。
以上の工程により、前記密着層が前記配線層表面に形成される。
前記絶縁層形成工程は、前記密着層を覆う絶縁層を形成する工程である。
前記絶縁層の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、絶縁層形成用材料を、前記密着層を覆うように塗布することにより行うことができる。
前記絶縁層形成用材料の塗布の方法としては、特に制限はなく、公知の方法の中から適宜選択することができる。また、前記塗布の後には、乾燥及び硬化するのが好ましい。
前記全面加熱における加熱温度としては、100〜300℃が好ましく、150〜250℃がより好ましい。
前記加熱温度が100℃未満であると、加熱処理による前記絶縁層形成用材料の硬度の向上が得られないことがあり、300℃を超えると、前記樹脂組成物中の樹脂の分解が生じ、膜質が弱く脆くなることがある。
前記全面加熱における加熱時間としては、10〜120分間が好ましく、15〜90分間がより好ましい。
前記全面加熱を行う装置としては、特に制限はなく、公知の装置の中から、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ドライオーブン、ホットプレート、IRヒーターなどが挙げられる。
前記その他の工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、ビアホール形成工程などが挙げられる。
前記ビアホールの形成は、例えば、前記ビアホール部分に適当な露光量のレーザー光を照射することにより行う。
前記レーザー光としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、炭酸ガスレーザー、エキシマレーザー、YAGレーザーなどが挙げられる。
また、前記配線層形成工程、前記密着層形成工程、前記絶縁層形成工程、及び前記ビアホール形成工程の一連の工程は、必要に応じて繰り返し行うことにより、回路の集積度の高い多層回路基板を製造することができる。
まず、図3Aに示すように、回路を形成したガラス繊維強化樹脂基板300上に、ビルドアップ絶縁膜(前記絶縁層)310を形成する。なお、ビルドアップ絶縁膜310には、密着性付与を目的として、例えば粗化処理などの表面処理を行う。次いで、ビルドアップ絶縁膜310上に、無電解めっき、スパッタ法等により金属の通電層320を形成する。
図3Bに示すように、レジスト330を用いてパターニングを行い、図3Cに示すように、開口部340に電気銅めっき350を成長させる。図3Dに示すように、レジスト330を剥離し、図3Eに示すように、通電層320をエッチングして除去する。
次いで、図3Fに示すように、配線層350表面を、前記スルホニル基、スルホ基及びスルホニルジオキシ基から選択される少なくとも1種とカルボキシ基とを含む溶液を用いて、浸漬法やスプレーによる吹付け法等により処理し、配線層350の上部及び側面を覆うように、第1の密着層362を形成する。
図3Gに示すように、第1の密着層362の表面を、カップリング剤及びトリアジンチオールを含む溶液の少なくともいずれかを用いて表面処理し、第2の密着層364を形成する。なお、表面処理は、浸漬法、スプレーによる吹付け法等により行うことができる。
そして、図3Hに示すように、第1の密着層362及び第2の密着層364を覆うように、絶縁層400を形成する。更に、上下の配線の導通をとるために、ビアホールを形成する。これら一連の工程を繰り返すことにより、多層回路基板を製造することができる。
なお、ガラス繊維強化樹脂基板300における回路(銅箔)表面を、前記スルホニル基、スルホ基及びスルホニルジオキシ基から選択される少なくとも1種とカルボキシ基とを含む溶液を用いて、浸漬法やスプレーによる吹付け法等により処理してもよい。
また、以下の実施例及び比較例では、銅箔(前記配線層に相当)と、エポキシ樹脂(前記絶縁層に相当)との密着強度として、ピール強度を、JIS C−6481に準じた90度剥離試験により測定した。
厚さ35μmの電気めっき銅箔を、硫黄酸化物であるスルホニル基(−SO2−)、スルホ基(−SO3H)、及びスルホニルジオキシ基(−SO4)から選択される少なくとも1種とカルボキシ基(−COOH)とを含む処理液(「ダインスマットPd−280」;大和化成製の水溶液)中に5分間浸漬した。次に、この銅箔を1wt%のγ-アミノプロピルトリエトキシシラン(「KBE−903」;信越化学工業製)水溶液で浸漬処理し、100℃で30分間のベークで乾燥させ、カップリング剤処理を行った。処理面に対して、半硬化状態(Bステージ)の熱硬化性エポキシ樹脂シートが接するように重ね、真空プレスで150℃、1MPaの条件で5分間プレスした。その後、真空プレスから取り出し、大気圧下で、180℃、1時間の加熱でエポキシ樹脂を硬化させた。
ここで、銅箔の表面を、飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF−SIMS)、オージェ電子分光法(AES)、X線光電子分光法(XPS)、により分析したところ、スルホニル基、スルホ基、スルホニルジオキシ基、及びカルボキシ基が存在している層と、この層の表面に、Siが存在している層とが形成されていることが確認された。
また、銅箔を1cm幅に切り込み、ピール強度を測定した。その結果、1.0kgf/cmと高いピール強度が得られた。また、半田リフロー履歴後も0.9kgf/cmと高いピール強度が得られた。
厚さ35μmの電気めっき銅箔を、硫黄酸化物であるスルホニル基(−SO2−)、スルホ基(−SO3H)、及びスルホニルジオキシ基(−SO4)から選択される少なくとも1種とカルボキシ基(−COOH)とを含む処理液(「ダインスマットPd−280」;大和化成製と、p−スルホ安息香酸カリウム;関東化学製との混合水溶液)中に5分間浸漬処理を行った。処理面に対して、半硬化状態(Bステージ)の熱硬化性エポキシ樹脂シートが接するように重ね、真空プレスで150℃、1MPaの条件で5分間プレスした。その後、真空プレスから取り出し、大気圧下で、180℃、1時間の加熱でエポキシ樹脂を硬化させた。
ここで、銅箔の表面を、飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF−SIMS)、オージェ電子分光法(AES)、X線光電子分光法(XPS)により分析したところ、スルホニル基、スルホ基、スルホニルジオキシ基、及びカルボキシ基が存在していることが確認された。
また、銅箔を1cm幅に切り込み、ピール強度を測定した。その結果、0.9kgf/cmと高いピール強度が得られた。また、半田リフロー履歴後も0.8kgf/cmと高いピール強度が得られた。
厚さ35μmの電気めっき銅箔を、硫黄酸化物であるスルホニル基(−SO2−)、スルホ基(−SO3H)、及びスルホニルジオキシ基(−SO4)とカルボキシ基(−COOH)とを含む処理液(テトラメチレンスルホン;関東化学製と、p−スルホ安息香酸カリウム;関東化学製と、硫酸;関東化学製との混合水溶液)中で5分間の浸漬処理を行った。次に、この銅箔を0.01wt%のγ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン(「KBM−803」;信越化学工業製)水溶液で浸漬処理し、100℃で30分間のベークで乾燥させ、カップリング剤処理を行った。処理面に対して、半硬化状態(Bステージ)の熱硬化性エポキシ樹脂シートが接するように重ね、真空プレスで150℃、1MPaの条件で、5分間プレスした。その後、真空プレスから取り出し、大気圧下で、180℃、1時間の加熱でエポキシ樹脂を硬化させた。
ここで、銅箔の表面を、飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF−SIMS)、オージェ電子分光法(AES)、X線光電子分光法(XPS)により分析したところ、スルホニル基、スルホ基、スルホニルジオキシ基、及びカルボキシ基が存在している層と、この層の表面に、Siが存在している層とが形成されていることが確認された。
また、銅箔を1cm幅に切り込み、ピール強度を測定した。その結果、1.1kgf/cmと高いピール強度が得られた。また、半田リフロー履歴後も0.9kgf/cmと高いピール強度が得られた。
厚さ35μmの電気めっき銅箔を、硫黄酸化物であるスルホ基(−SO3H)とカルボキシ基(−COOH)とを含む処理液(p−スルホ安息香酸カリウム;関東化学製の水溶液)中に5分間浸漬した。次に、この銅箔を1wt%の2,4,6−トリメルカプト−1,3,5−トリアジン1ナトリウム塩(「サンチオールN−1」;三協化成製)水溶液で浸漬処理し、100℃で30分間のベークで乾燥させ、カップリング剤処理を行った。処理面に対して、半硬化状態(Bステージ)の熱硬化性エポキシ樹脂シートが接するように重ね、真空プレスで150℃、1MPaの条件で、5分間プレスした。その後、真空プレスから取り出し、大気圧下で、180℃、1時間の加熱でエポキシ樹脂を硬化させた。
ここで、銅箔の表面を、飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF−SIMS)、オージェ電子分光法(AES)、X線光電子分光法(XPS)により分析したところ、スルホ基及びカルボキシ基が存在している層と、この層の表面に、トリアジンチオールが存在している層とが形成されていることが確認された。
また、銅箔を1cm幅に切り込み、ピール強度を測定した。その結果、1.05kgf/cmと高いピール強度が得られた。また、半田リフロー履歴後も0.8kgf/cmと高いピール強度が得られた。
厚さ35μmの電気めっき銅箔を、カルボキシ基のみを含む安息香酸(関東化学製)と水酸化ナトリウムとを含む水溶液で5分間浸漬処理を行った。次に、100℃で30分間のベークを行い乾燥した。処理面に対して、半硬化状態(Bステージ)の熱硬化性エポキシ樹脂シートが接するように重ね、真空プレスで150℃、1MPaの条件で、5分間プレスした。その後、真空プレスから取り出し、大気圧下で180℃、1時間エポキシ樹脂を硬化させた。銅箔を1cm幅に切り込み、ピール強度を測定したところ、0.3kgf/cmのピール強度しか得られなかった。
厚さ35μmの電気めっき銅箔を、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン(「KBE−903」;信越化学工業製)水溶液1wt%を含む水溶液を用い、室温で5分間浸漬処理し、100℃で30分間のベークで乾燥した。処理面に対して、半硬化状態(Bステージ)の熱硬化性エポキシ樹脂シートが接するように重ね、真空プレスで150℃、1MPaの条件で、5分間プレスした。その後、真空プレスから取り出し、大気圧下で、180℃、1時間の加熱でエポキシ樹脂を硬化させた。
銅箔を1cm幅に切り込み、ピール強度を測定した。その結果、0.1kgf/cmのピール強度しか得られなかった。
また、これら各層の表面に対して、更に、実施例1及び3では、シランカップリング剤を含む層が形成され、実施例4では、トリアジンチオールを含む層が形成されているので、実施例2に比して、より高い密着強度が得られることが判った。
更に、実施例1〜4では、半田リフロー履歴後も高い密着強度が得られ、その後の信頼性試験などにおける剥離を充分に抑制可能であると考えられる。
本発明の回路基板の製造方法は、各種回路基板、例えば多層回路基板の製造に好適に使用可能であり、特に本発明の回路基板の製造に好適に使用可能である。
20 絶縁層
30 配線層
40 密着層
42 第1の密着層
44 第2の密着層
50 絶縁層
100 多層回路基板
300 ガラス繊維強化樹脂基板
310 ビルドアップ絶縁膜
320 通電層
330 レジスト
340 開口部
350 配線層
362 第1の密着層
364 第2の密着層
400 絶縁層
Claims (6)
- 絶縁層、配線層及び密着層を少なくとも有し、前記配線層表面に前記密着層を介して前記絶縁層を有してなる回路基板において、
前記密着層が、スルホニル基、スルホ基及びスルホニルジオキシ基から選択される少なくとも1種と、カルボキシ基とを含むことを特徴とする回路基板。 - 前記密着層が、スルホニル基、スルホ基及びスルホニルジオキシ基から選択される少なくとも1種と、カルボキシ基とを含む第1の密着層と、
カップリング剤及びトリアジンチオールの少なくともいずれかを含む第2の密着層とからなる請求項1に記載の回路基板。 - 前記配線層が、銅を含む請求項1又は2に記載の回路基板。
- 前記絶縁層が、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、ビスマレイミド樹脂、マレイミド樹脂、シアネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、オレフィン樹脂、フッ素含有樹脂、液晶ポリマー、ポリエーテルイミド樹脂、及びポリエーテルエーテルケトン樹脂から選択される少なくとも1種を含む請求項1から3のいずれかに記載の回路基板。
- 配線層を形成する配線層形成工程と、
前記配線層の表面を処理して、スルホニル基、スルホ基及びスルホニルジオキシ基から選択される少なくとも1種とカルボキシ基とを含む密着層を形成する密着層形成工程と、
前記密着層を覆う絶縁層を形成する絶縁層形成工程と、
を少なくとも含むことを特徴とする回路基板の製造方法。 - 前記密着層形成工程は、更に、カップリング剤及びトリアジンチオールの少なくともいずれかを用いて、前記密着層の表面を処理することを含む請求項5に記載の回路基板の製造方法。
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