JP2008235479A - 半導体装置の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】
多孔質シリカ前駆体膜を用い、研磨を行なってもマイクロスクラッチや剥離の発生を抑制できる半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】
半導体装置の製造方法は、(a)半導体ウエハの下地上に、ノンテンプレートタイプの多孔質シリカ前駆体膜をスピン塗布する工程と、(b)多孔質シリカ前駆体膜の外周から内側に向けて走査しつつリンス液を噴射する工程を含み、多孔質シリカ前駆体膜の外周部で外側に向かって厚さが減少する傾斜部を形成する工程と、(c)多孔質シリカ前駆体膜をキュア処理して多孔質シリカ膜に変換する工程と、を含む。
【選択図】 図1−1

Description

本発明は、半導体装置の製造方法に関し、特に塗布型低誘電率膜を有する半導体装置の製造方法に関する。
半導体集積回路の多層配線において、信号伝播速度の遅延は、配線の抵抗Rと配線間の寄生容量Cの積による時定数RCによって決定される。半導体集積回路の集積度の増加、素子密度の向上に伴い、配線幅、配線間隔は狭くなり、配線抵抗と配線間の寄生容量が増大している。信号伝播速度の高速化を図るには、配線の低抵抗化と配線間の寄生容量の低減が必須である。配線材料は、アルミニウムから銅へ変更され、更なる低抵抗化は困難になっている。配線間の寄生容量を低減することが望まれる。
配線厚さを薄くし、隣接配線の対向面積を低減すれば、配線の寄生容量は低減する。しかし、配線厚さを薄くすることは配線断面積を減少することになり、配線抵抗の上昇を招き、時定数の増大を招いてしまう。残る可能性として配線間を絶縁する誘電体膜の低誘電率化がある。種々の誘電体膜の低誘電率化が行なわれている。
従来誘電体材料として、酸化シリコン、窒化シリコン、燐珪酸ガラス(PSG)等の無機材料、ポリイミド等の有機材料が用いられてきた。最もよく用いられてきた化学気相堆積(CVD)による酸化シリコン膜の比誘電率は4程度である。低誘電率化のためFを添加したCVD−SiOF膜の比誘電率は3.3〜3.5程度である。より低誘電率化の可能な材料として塗布型ポラス材料がある。比誘電率約1.0のポアを含むことにより誘電体膜の比誘電率の大幅な低下が行なえる。塗布型ポラス材料として、ダウケミカル社のSiLK(登録商標)やハネウェル社のFLARE(登録商標)に代表される有機ポリマー材料が広く知られている。有機誘電体材料は、従来用いられていた無機誘電体と性質が大きく異なり、取り扱いが容易でない面もある。
特開2003−197621号は、SiLK等の有機ポリマー系塗布膜は、乾燥後も溶剤に溶融し、リンス剤によるエッジカットを行なうと、ウエハ短部に幅2mm〜3mmの塗布膜の除去されたエッジリンス部とその内側で幅1mm程度の表面が傾斜した傾斜部を生じることを指摘し、有機ポリマー層のウエハエッジ付近の機械的強度の不足を、有機ポリマー層を上下の酸化シリコン層でサンドイッチ状に挟み、有機ポリマー層の辺縁部を包むことにより防止することを提案する。
近年、SiO骨格を有し、比誘電率約1.0の空孔(ポア)を有する塗布型多孔質(ポラス)シリカが注目されている。塗布型多孔質シリカは、キュアリングの際ポアサイズを制御することが可能であり、均一かつ微細なポアを形成でき、ポア導入による膜強度の低下を抑制することが可能である。塗布型多孔質シリカ前駆体膜は、スピン塗布、乾燥、キュアリングの際、ウエハ端面に材料が付着し、そのまま取り扱うとウエハキャリアと衝突してパーティクルを発生する。そこで、スピン塗布後、ウエハ端面から数mmの領域で塗布膜を除去するエッジカットを行なっている。エッジカットした側面は、下地表面に対してほぼ直角になる。
特開2003−78005号は、低誘電率膜は膜密度が低く、外気の影響を受けやすいので外気透過性の低い保護膜で覆う必要がある、多層層間絶縁膜を形成する際上層に向かうほど外側に張り出すように層間絶縁膜を形成すれば、下層の低誘電率膜の側面は保護されるが、ウエハの利用可能面積が狭くなることを指摘し、上下に配置するメチルシロキサン等の低誘電率膜を同じ半径方向位置でエッジカットすることを提案する。
特開2004−96096号は、垂直な側壁を有する膜を研磨すると応力集中により剥離が生じやすいことを指摘し、シロキサン系ポリマーを塗布して塗布膜を形成し、ノズルから溶剤を吐出してエッジカットを行い、ほぼ垂直な側壁を形成した後、端部にプラズマを照射して、端部を侵食し、傾斜部を形成することにより、研磨工程での剥離を防止することを提案する。
特開2003−197621号公報 特開2003−78005号公報 特開2004−96096号公報
多孔質シリカを形成する多孔質シリカ前駆体膜は、エッジカットを行なうと、ほぼ垂直な側面が形成され、研磨時にマイクロスクラッチや剥離を生じることがある。
本発明の目的は、多孔質シリカ前駆体膜を用い、研磨を行なってもマイクロスクラッチや剥離の発生を抑制できる半導体装置の製造方法を提供することである。
本発明の1観点によれば、
(a)半導体ウエハの下地上に、多孔質シリカ前駆体膜をスピン塗布する工程と、
(b)多孔質シリカ前駆体膜の外周から内側に向けて走査しつつ、ノズルからリンス液を噴射する工程を含み、多孔質シリカ前駆体膜の外周部で外側に向かって厚さが減少する傾斜部を形成する工程と、
(c)多孔質シリカ前駆体膜をキュアして多孔質シリカ膜に変換する工程と、
を含む半導体装置の製造方法
が提供される。
ウエハ上に多孔質シリカ前駆体膜を塗布した後、リンス液を半径方向端部から内側に向けて走査することにより、傾斜部を作成することができる。傾斜部は、マイクロスクラッチや剥離の発生を抑制するのに有効である。
塗布型被膜形成用材料として、有機SOG、多孔質シリカ前駆体、多孔質ポリアリレン等が挙げられる。この内、材料単体の誘電率が低いと言う観点では多孔質シリカ前駆体が好ましい。このような多孔質シリカ前駆体としては、有機SOGに熱分解性樹脂等を添加し、加熱により熱分解させることにより空孔を形成するテンプレートタイプと、アルカリ中でシリカ粒子を形成し、粒子間の隙間を利用して空孔を形成するノンテンプレートタイプが挙げられる。アルカリは、合成触媒として、シロキサンポリマを合成する時に添加する。塗布液はアルカリ溶液になる。微細な空孔を均一に形成できる点でノンテンプレートタイプが好ましい。
ノンテンプレートタイプの多孔質シリカ前駆体としては、触媒化成工業社製のNSCシリーズ、JSR社製のLKDシリーズ等が挙げられる。また、ノンテンプレートタイプの多孔質シリカ前駆体は、作成することもできる。この場合は、原料のシリコン化合物として、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、テトライソプロポキシシラン等のテトラアルコキシシラン、および、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリプロポキシシラン、フェニルトリブトキシシラン、フェニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリプロポキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン等のトリアルコキシシラン、ならびに、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジプロポキシシラン、ジメチルジブトキシシラン、ジメチルジイソプロポキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン、フェニルメチルジプロポキシシラン、フェニルメチルジブトキシシラン、フェニルメチルジイソプロポキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン、フェニルメチルジプロポキシシラン、フェニルメチルジブトキシシラン、フェニルメチルジイソプロポキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジフェニルジプロポキシシラン、ジフェニルジブトキシシラン、ジフェニルジイソプロポキシシラン等のジアルコキシシランを用い、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラエチルアンモニウムオキサイド、テトラプロピルアンモニウムオキサイド、テトラブチルアンモニウムオキサイド等のテトラアルキルアンモニウムハイドロオキサイド(TAAOH)の存在下で加水分解して得られる有機珪素化合物を含む液状組成物が好ましい。これは、10GPa以上の弾性率、1GPa以上の硬度を可能とする。
ノンテンプレートタイプ多孔質シリカ前駆体の溶剤は、多孔質シリカ前駆体のシロキサン樹脂を溶解できれば、特に制限されないが、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、イソブチルアルコール、ターシャリブチルアルコール等のアルコール系、フェノール、クレゾール、ジエチルフェノール、トリエチルフェノール、プロピルフェノール、ノニルフェノール、ビニルフェノール、アリルフェノール、ノニルフェノール等のフェノール系、シクロヘキサン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン等のケトン系、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のセロソルブ系、ヘキサン、オクタン、デカン等の炭化水素系、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のグリコール系などの溶剤を単体もしくは混合溶剤として用いることができる。
多孔質シリカ前駆体溶液をウエハ上にスピン塗布すると、ウエハ端面にも付着する膜が生じる。この端面の付着膜は、そのままにしておくとウエハキャリアとの摩擦、衝突によりパーティクルを発生するので、エッジカットアームのノズルからリンス液を噴射して端部から幅数mm程度エッジカットを行なう。
エッジカットに用いるリンス液としては、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、イソブチルアルコール、ターシャリブチルアルコール等のアルコール系、フェノール、クレゾール、ジエチルフェノール、トリエチルフェノール、プロピルフェノール、ノニルフェノール、ビニルフェノール、アリルフェノール、ノニルフェノール等のフェノール系、シクロヘキサン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン等のケトン系、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のセロソルブ系、ヘキサン、オクタン、デカン等の炭化水素系、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のグリコール系、アニソール、乳酸メチル、乳酸エチル、ガンマブチロラクトン、ヘキサン、テトラヒドロフラン等の溶剤を単体もしくは混合溶剤として用いることができる。
通常のエッジカットを行なうと、膜側面が下地表面に対してほぼ直角になり、後の化学機械研磨(CMP)工程に置いて、マイクロスクラッチや剥離の原因となる。
本発明者らは、エッジカット工程においてエッジカットアームをウエハの半径方向にスキャンさせながらリンス液を噴射させ、多孔質シリカ前駆体膜のエッジ部分に、表面が傾斜した傾斜部を作成することを検討した。
塗布後の多孔質シリカ前駆体膜は、例えば基板を80°〜350℃の温度で加熱乾燥する工程、基板を350℃〜450℃の温度でキュアする工程によって多孔質シリカ膜に変換される。なお、基板を80°〜350℃の温度で加熱乾燥する工程、基板を350℃〜450℃の温度でキュアする工程は、酸素濃度100ppm以下の不活性雰囲気中で行なうのが好ましい。被膜の酸化による耐湿性の低下を防止するためである。
層間絶縁膜を形成した後、配線用の凹部を形成して銅配線を埋め込むダマシン工程を行う。層間絶縁膜を多孔質シリカ膜のみで形成することは困難であり、CVD酸化膜との組合せとする。さらに銅拡散防止やエッチストッパ、CMPストッパとしての機能を果たすSiN膜やSiC膜も積層する。以下ストッパ膜と称する。多層配線を形成する場合、層間絶縁膜形成工程、配線形成工程を繰り返す。
本発明者らは、エッジカット工程で傾斜部を作成した時の効果を調べるため、条件を変えた多層層間絶縁膜のサンプルを作成し、その結果を調べた。但し、絶縁積層のみを形成し、デバイス構造や配線構造は省略した。
実験に用いた材料、ストッパ膜、装置等の主なものは以下の通りである。
ウエハ:厚さ100nmの熱酸化膜を形成した8インチシリコンウエハ;
多孔質シリカ膜形成装置:東京エレクトロン社製ACT12SOD;
多孔質シリカ前駆体溶液:触媒化成工業社製セラメートNCS(ノンテンプレートタイプ多孔質シリカ前駆体溶液);
エッジリンス液:ガンマブチロラクトン;
化学機械研磨装置;
プラズマCVD装置。
図1A〜1Eがサンプル作成工程を概略的に示す断面図である。
図1Aに示すように、シリコンウエハ11表面にプラズマCVDで厚さ50nmのSiC:N:H膜(以下SiC膜と称する)12を形成する。CVD膜は、シリコンウエハ端部で薄くなり、端面には堆積せず、パーティクルの原因にはならない。
図1Bに示すように、SiC膜12を形成したシリコンウエハ11を多孔質シリカ膜形成装置ACT12SODに装荷し、SiC膜12の上に、セラメートNCS液(ノンテンプレートタイプ多孔質シリカ前駆体溶液)をスピン塗布し、多孔質シリカ前駆体膜13を作成する。
図1Cに示すように、エッジカットアームのノズル15からリンス液(ガンマブチロラクトン)16を回転するウエハ上に噴射させ、ウエハ端部のエッジカットを行なう。ノズル径は、0.5mm〜1.0mm、リンス液噴射量は15ml/分〜20ml/分程度である。リンス液16の当たった多孔質シリカ前駆体膜13は除去され、エッジカット部17が形成されると共に、多孔質シリカ前駆体膜13にはほぼ垂直な側壁が形成される。シリコンウエハ11周縁部の多孔質シリカ前駆体膜は完全に除去され、パーティクル発生は防止される。
なお、多孔質シリカ前駆体膜13形成後、加熱Hが、150℃1分、250℃1分、350℃1分と行われ、多孔質シリカ前駆体膜13は乾燥される。多孔質シリカ前駆体膜13は完全に乾燥すると、リンス液には溶解しなくなる。
図1Dに示すように、エッジカットアームのノズル15をウエハ端部から半径方向内側にスキャンしつつ、リンス液16を回転するウエハ上に噴射させ、多孔質シリカ前駆体膜13端部の傾斜除去を行なう。スキャンした幅の傾斜部18が形成される。傾斜部幅を、0.0,0.5,0.7,1.0,1.5,2.0(mm)に設定し、スキャン速度を0.1、0.2、0.5,1.0,1.2(mm/秒)に設定した。
図1Eに示すように、エッジカット部、傾斜部を形成した多孔質シリカ前駆体膜13を、450℃30分キュアリング(C)し、多孔質シリカ膜19に変換する。
図1Fに示すように、多孔質シリカ膜19の上に、テトラエトキシシラン(TEOS)をシリコンソースとしてプラズマCVDにより、酸化シリコン膜21を厚さ100nm堆積する。
図1Gに示すように、化学機械研磨により、酸化シリコン膜21を厚さ50nm研磨する。1層分の層間絶縁膜が形成できたことになる。
図1Hに示すように、図1A〜1Fに示す工程を6回繰り返し、6層の下層配線用多孔質シリカ層間絶縁膜ILD1〜ILD6を積層する。なお、図1Hは、見やすくするためにスケールを変えて示している。
下層層間絶縁膜ILD1〜ILD6の上にSiOC層を用いた3層の中層層間絶縁膜ILD7〜ILD9をCVDで形成する。さらに最上層にSiO層を用いた上層層間絶縁層ILD10をCVDで形成する。
このようにして、10層の層間絶縁膜を形成した各サンプルにおいて、エッジカット部分を光学顕微鏡で観察して剥離等の欠陥が生じていないかを観察した。欠陥として、剥離の他残渣も検出し、傾斜部が形成されたか否かも検出した。
図2は、結果をまとめて示すグラフである。横軸が傾斜部幅を単位(mm)で示し、縦軸がスキャン速度を単位(mm/秒)で示す。サンプルをグラフ中のプロットで示す。剥離のあるものは×、残渣のあるものは△、傾斜部を形成できなかったものは−、これらの欠陥がなかったものは○で示す。スキャン速度に関しては、0.1mm/秒では、残渣が残るが、0.2mm/秒以上1.0mm/秒以下で残渣はない。1.2mm/秒では、残渣が残ったり、傾斜部が形成されない。スキャン速度が遅すぎると、乾燥が進みすぎてしまうと考えられ、スキャン速度が速すぎると傾斜部を作るに至らないと考えられる。
傾斜部幅に関しては、0.0mm(傾斜部幅なし)では剥離が生じる。傾斜部なしは、従来技術に対応し、課題である剥離が生じることが確認できる。傾斜部幅0.5mm以上では剥離は生じない。傾斜部を形成することにより剥離防止に有効であることが確認できた。なお、傾斜部の幅は0.5mm以上あれば、確実に剥離防止効果が得られよう。なお、エッジカット部と傾斜部の幅は半導体装置として利用できない領域になるので、エッジカット部と傾斜部の幅の和は4mm以下とするのが望ましい。
図1Iに示すように、エッジカット部のリンスと傾斜部のリンスとを分けずに、シリコンウエハ11端部から半径方向中心側にエッジカットアームのノズル15を連続的にスキャンしてもよい。シリコンウエハ端部に多孔質シリカ前駆体膜が残らないように注意する。外側から内側にスキャンさせた後、折り返して内側から外側にスキャンしてもよい。
なお、多孔質シリカ前駆体膜は完全に乾燥するとリンス液に溶解しなくなるが、完全乾燥直前に物理的に削られるような現象を示す。
図1Jに示すように、エッジカットアームのノズル15を外側に向けて2度から10度程度、例えば約5度傾け、リンス液16がウエハ半径方向外側から内側に向かうようにするのも有効である。垂直に立った多孔質シリカ前駆体膜側壁の陵(角部)を効果的に消滅できよう。
半導体集積回路装置のルールは縮小を続け、0.14μm以下が多くなっている。ロジックLSIにおいては、90nmルールが主となっている。配線と配線間隔とがハーフピッチずつの場合配線幅と配線間隔は各45nmとなる。配線間隔45nm以下の多層配線においては、寄生容量の抑制が強く望まれ、多孔質シリカの採用が有効である。以下、実施例による半導体装置の製造方法を説明する。
図3Aに示すように、シリコンウエハ101の表面部に選択的に素子分離領域102を形成し、素子分離領域102で囲まれた活性領域を画定する。なお、LOCOSで素子分離領域を形成する場合を示したが、シャロートレンチアイソレーション(STI)で素子分離領域を形成してもよい。活性領域表面にゲート絶縁膜を形成し、その上に多結晶シリコン等のゲート電極層を堆積し、ホトリソグラフィとエッチングでパターニングしてゲート電極104を形成する。酸化シリコン等の絶縁膜を堆積し、リアクティブイオンエッチング等の異方性エッチングを行なって、ゲート電極側壁上にサイドウォールスペーサ103を形成する。ゲート電極、サイドウォールスペーサをマスクとしたイオン注入を行い、ソース領域105a、ドレイン領域105bを形成する。
図3Bに示すように、ゲート電極104を覆ってシリコンウエハ101上にPSG(燐ガラス)の層間絶縁膜106、SiN等のストッパ膜107を堆積し、層間絶縁膜を形成する。ホトリソグラフィとエッチングで電極取り出し用のコンタクトホールを形成する。
図3Cに示すように、コンタクトホール内面を覆って、厚さ50nm程度のTiNバリア膜108をスパッタリングで堆積し、その上にWFと水素の還元反応でブラケットW膜109を堆積する。CMPにより、ストッパ膜107上の金属層を除去し、コンタクトホール内にバリア膜108、W膜109の導電性プラグを残す。このCMPにおいて、SiNのストッパ膜107は、CMPのストッパとして機能する。なお、以上の工程は公知のものであり、公知の種々の変更、置換等が可能である。
図3Dに示すように、導電性プラグを覆うように、層間絶縁膜上にSiN,SiC等のストッパ膜110を堆積する。ストッパ膜110の上に、ノンテンプレートタイプの多孔質シリカ前駆体膜111を平坦部上の厚さが150nmとなる条件で塗布し、その際、図1C,1Dを参照して説明したようにリンス液を周縁部に噴射し、エッジカット部、傾斜部を形成する。例えばスキャン速度0.5mm/秒で、幅0.5mmの傾斜部を形成する。その後、キュアリングを行い多孔質シリカ前駆体膜を多孔質シリカ膜111に変換する。
図3Eに示すように、多孔質シリカ膜111の上にTEOSをSiソースとしたCVDで酸化シリコン膜112を厚さ100nm程度堆積し、保護膜とする。
図3Fに示すように、配線パターン形状の開口を有するレジストマスクを用いて酸化シリコン膜112、多孔質シリカ膜111をCF/CHFガスを用いたFプラズマでエッチング加工する。一旦ストッパ膜110でエッチングをストップし、その後ストッパ膜110もエッチングする。
図3Gに示すように、TaNの拡散バリア層113を厚さ10nm程度スパッタリングで堆積し、その上にCuのシード層を厚さ50nm程度スパッタリングで堆積する。電解メッキによりCu層114を厚さ600nm程度成長し、CMPによって、保護層112より上の金属層を除去する。このようにして、シングルダマシン構造のCu配線が形成される。
図3Hに示すように、SiN、SiC等のストッパ膜115厚さ50nm程度プラズマCVDによって堆積する。ストッパ膜115の上に、図3Dに示した工程同様、多孔質シリカ前駆体膜116を平坦部上の厚さが250nmとなる条件で塗布し、その際、図1C,1Dを参照して説明したようにリンス液を周縁部に噴射し、エッジカット部、傾斜部を形成する。例えばスキャン速度0.5mm/秒で、幅0.5mmの傾斜部を形成する。その後、キュアリングを行い多孔質シリカ前駆体膜を多孔質シリカ膜116に変換する。
さらに、多孔質シリカ膜116の上にストッパ膜117を厚さ50nm程度プラズマCVDで形成し、そのうえに多孔質シリカ膜118を厚さ150nm程度多孔質シリカ膜116と同様の工程で作成する。多孔質シリカ膜118の上に酸化シリコンの保護膜119をプラズマCVDによって堆積する。
ビアパターン形状の開口を有するレジストマスクを用いて酸化シリコン膜119、多孔質シリカ膜118、ストッパ膜117、多孔質シリカ膜116、ストッパ膜115をCF/CHFガスを用いたFプラズマで、途中でガス組成を変更して、エッチング加工する。ビア孔が形成される。必要に応じてビア孔に詰め物をし、次に配線パターン形状の開口を有するレジストマスクを用いて酸化シリコン膜119、多孔質シリカ膜118、ストッパ膜117をCF/CHFガスを用いたFプラズマで、途中でガス組成を変更して、エッチング加工する。配線溝が形成される。
図3Iに示すように、TaNの拡散バリア層120を厚さ50nm程度スパッタリングで堆積し、その上にCuのシード層を厚さ50nm程度スパッタリングで堆積する。電解メッキによりCu層121を厚さ1400nm程度成長し、CMPによって、保護層119より上の金属層を除去する。このようにして、デュアルダマシン構造のCu配線が形成される。
以下、同様の工程により例えば6層の下層配線層を形成する。下層配線層の上にテトラメチルシランをソースとしたプラズマSiOC膜を層間絶縁膜に用いた中層配線層を3層形成し、さらにシランをソースとしたSiOを層間絶縁膜に用いた上層配線層を1層形成する。
図4は、作成される半導体装置の構成を概略的に示す断面図である。シリコン基板101の表面部にCMOSトランジスタを含むデバイス層DLが形成され、その上に多孔質シリカ膜を層間絶縁膜に用いた下層配線層LWが形成され、その上にSiOC膜を層間絶縁膜に用いた中層配線層MWが形成され、その上に酸化シリコン膜を層間絶縁膜に用いた上層配線層UWが形成され、最上層にパッドPDが形成される。なお、下層配線層LW,中層配線層MWの層数は、簡略化して示している。層数の多い多層配線を形成しても、多孔質シリカ膜周辺に傾斜部を設けることにより、マイクロスクラッチや剥離の発生を効率的に防止できる。
図5A,5Bは、変形例による半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図5Aに示すように、図3Gの工程に続き、SiN,SiC等のストッパ層115を堆積した後、多孔質シリカ前駆体膜116を形成する。多孔質シリカ前駆体膜116は、平坦部上の厚さが400nmとなる条件で塗布し、その際、図1C,1Dを参照して説明したようにリンス液を周縁部に噴射し、エッジカット部、傾斜部を形成する。その後、キュアリングを行い多孔質シリカ前駆体膜を多孔質シリカ膜116に変換する。多孔質シリカ膜116の上に酸化シリコンの保護膜119をプラズマCVDによって堆積する。
図5Bに示すように、ビアパターン形状の開口を有するレジストマスクを用いて酸化シリコン膜119、多孔質シリカ膜116、ストッパ膜115をCF/CHFガスを用いたFプラズマで、途中でガス組成を変更して、エッチング加工する。ビア孔を形成した後、必要に応じてビア孔に詰め物をし、次に配線パターン形状の開口を有するレジストマスクを用いて酸化シリコン膜119の全厚さ、多孔質シリカ膜118の中間までの厚さをCF/CHFガスを用いたFプラズマで、エッチング時間によってエッチング量を制御したコントロールエッチングによって、エッチング加工する。
TaNの拡散バリア層120を厚さ50nm程度スパッタリングで堆積し、その上にCuのシード層を厚さ50nm程度スパッタリングで堆積する。電解メッキによりCu層121を厚さ1400nm程度成長し、CMPによって、保護層119より上の金属層を除去する。このようにして、デュアルダマシン構造のCu配線が形成される。同様の工程で複数層の配線層を形成する。
以上実施例に沿って、本発明を説明したが、本発明はこれらに制限されるものではない。例えば、種々の変更、改良、置換、組み合わせなどが可能なことは、当業者に自明であろう。
以下、本発明の特徴を付記する。
(付記1)
(a)半導体ウエハの下地上に、多孔質シリカ前駆体膜をスピン塗布する工程と、
(b)多孔質シリカ前駆体膜の外周から内側に向けて走査しつつ、ノズルからリンス液を噴射する工程を含み、多孔質シリカ前駆体膜の外周部で外側に向かって厚さが減少する傾斜部を形成する工程と、
(c)多孔質シリカ前駆体膜をキュアして多孔質シリカ膜に変換する工程と、
を含む半導体装置の製造方法。
(付記2)
前記多孔質シリカ前駆体膜がノンテンプレートタイプのシロキサン樹脂溶液で形成され、前記リンス液がガンマブチロラクトンである付記1記載の半導体装置の製造方法。
(付記3)
前記工程(b)は、リンス液の噴射するノズルを外側に2度から10度傾け、前記半導体ウエハの外側から内側に向かうようにリンス液を噴射させる工程を含む付記1記載の半導体装置の製造方法。
(付記4)
前記工程(b)が、傾斜部の外側に多孔質シリカ前駆体膜が除去されたエッジカット部を形成する付記1記載の半導体装置の製造方法。
(付記5)
前記傾斜部の幅は0.5mm以上であり、前記傾斜部と前記エッジカット部との合計幅は4mm以下である付記4記載の半導体装置の製造方法。
(付記6)
前記工程(b)が、
(b−1)前記多孔質シリカ前駆体膜の周縁部にリンス液を噴射し、一定幅のエッジカット部を形成する工程と、
(b−2)残った前記多孔質シリカ前駆体膜の端部に、外周から内側に向けて走査しつつリンス液を噴射し、前記傾斜部を形成する工程と、
を含む付記4記載の半導体装置の製造方法。
(付記7)
(d)前記多孔質シリカ膜の上にCVDで酸化膜を形成し、前記多孔質シリカ膜と共に層間絶縁膜を形成する工程と、
(e)前記層間絶縁膜に銅配線をダマシン工程により埋め込む工程と、
をさらに含む付記1記載の半導体装置の製造方法。
(付記8)
前記工程(d)がテトラエトキシシランをシリコン原料として酸化シリコン膜を堆積する付記7記載の半導体装置の製造方法。
(付記9)
(f)前記工程(a)〜(e)を繰返し、複数層の配線を形成する工程を含む付記7記載の半導体装置の製造方法。
(付記10)
(g)前記工程(f)の後、上部層間絶縁膜と上部配線を形成する工程を含む付記9記載の半導体装置の製造方法。
(付記11)
前記上部層間絶縁膜は、酸化膜をCVDで形成する付記10記載の半導体装置の製造方法。
(付記12)
前記上部層間絶縁膜は、SiOC膜を含む中層層間絶縁膜とSiO膜を含む上層層間絶縁膜とを含む付記11記載の半導体装置の製造方法。
図1A〜1Hは、実験を行なったサンプルの製造工程を示す半導体ウエハの断面図であり、図1I,1Jは変形例による製造工程を示す半導体ウエハの断面図である。 図2は、実験結果をまとめて示すグラフである。 図3A〜3Iは、実施例による半導体装置の製造方法の主要工程を示す半導体ウエハの断面図である。 図4は実施例により作成される半導体装置の構成を概略的に示す半導体基板の断面図である。 図5A,5Bは、変形例による半導体装置の製造方法を示す半導体ウエハの断面図である。
符号の説明
11 シリコンウエハ、
12 SiC膜、
13 多孔質シリカ前駆体膜、
15 ノズル、
16 リンス液、
17 エッジカット部、
18 傾斜部、
19 多孔質シリカ膜、
21 (TEOS)酸化シリコン膜、
ILD 層間絶縁膜、
101 シリコンウエハ、
102 素子分離領域、
103 サイドウォールスぺーサ、
104 ゲート電極、
105 ソース/ドレイン領域、
106 PSG膜、
107 ストッパ膜、
108 バリア膜、
109 W膜、
110 ストッパ膜、
111 多孔質シリカ前駆体膜、
112 保護膜、
113 バリア膜、
114 Cu膜、
115 ストッパ膜、
116 多孔質シリカ前駆体膜、
117 ストッパ膜、
118 多孔質シリカ前駆体膜、
119 ストッパ膜

Claims (10)

  1. (a)半導体ウエハの下地上に、多孔質シリカ前駆体膜をスピン塗布する工程と、
    (b)多孔質シリカ前駆体膜の外周から内側に向けて走査しつつ、ノズルからリンス液を噴射する工程を含み、多孔質シリカ前駆体膜の外周部で外側に向かって厚さが減少する傾斜部を形成する工程と、
    (c)多孔質シリカ前駆体膜をキュアして多孔質シリカ膜に変換する工程と、
    を含む半導体装置の製造方法。
  2. 前記多孔質シリカ前駆体膜がノンテンプレートタイプのシロキサン樹脂溶液で形成され、前記リンス液がガンマブチロラクトンである請求項1記載の半導体装置の製造方法。
  3. 前記工程(b)は、リンス液の噴射するノズルを外側に2度から10度傾け、前記半導体ウエハの外側から内側に向かうようにリンス液を噴射させる工程を含む請求項1記載の半導体装置の製造方法。
  4. 前記工程(b)が、傾斜部の外側に多孔質シリカ前駆体膜が除去されたエッジカット部を形成する請求項1記載の半導体装置の製造方法。
  5. 前記傾斜部の幅は0.5mm以上であり、前記傾斜部と前記エッジカット部との合計幅は4mm以下である請求項4記載の半導体装置の製造方法。
  6. 前記工程(b)が、
    (b−1)前記多孔質シリカ前駆体膜の周縁部にリンス液を噴射し、一定幅のエッジカット部を形成する工程と、
    (b−2)残った前記多孔質シリカ前駆体膜の端部に、外周から内側に向けて走査しつつリンス液を噴射し、前記傾斜部を形成する工程と、
    を含む請求項4記載の半導体装置の製造方法。
  7. (d)前記多孔質シリカ膜の上にCVDで酸化膜を形成し、前記多孔質シリカ膜と共に層間絶縁膜を形成する工程と、
    (e)前記層間絶縁膜に銅配線をダマシン工程により埋め込む工程と、
    をさらに含む請求項1記載の半導体装置の製造方法。
  8. (f)前記工程(a)〜(e)を繰返し、複数層の配線を形成する工程を含む請求項7記載の半導体装置の製造方法。
  9. (g)前記工程(f)の後、上部層間絶縁膜と上部配線を形成する工程を含む請求項8記載の半導体装置の製造方法。
  10. 前記上部層間絶縁膜は、SiOC膜を含む中層層間絶縁膜とSiO膜を含む上層層間絶縁膜とを含む請求項9記載の半導体装置の製造方法。
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