JP2008234990A - 有機エレクトロルミネッセンス装置 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス装置 Download PDF

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昌宏 内田
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Abstract

【課題】水分に起因する表示品質の劣化を抑制することで、長期間に亘って信頼性の高い表示品位を得る、有機エレクトロルミネッセンス装置を提供する。
【解決手段】陰極54及び陽極41間に有機機能層40が挟持されてなる発光素子200を基板P上に有する有機エレクトロルミネッセンス装置1である。陰極54の有機機能層40とは反対側の面を覆う緩衝層45と、緩衝層45を覆う吸湿性を有する吸湿性部材46と、が設けられる。
【選択図】図3

Description

本発明は、有機エレクトロルミネッセンス装置に関するものである。
有機エレクトロルミネッセンス装置(以下、有機EL装置と称す)では、正孔注入層や発光層等の有機機能層における酸素や水分等による劣化や、陰極の酸素や水分等による導電性低下等により、ダークスポットと呼ばれる非発光領域が発生してしまい、発光素子としての寿命が短くなるといった課題があった。そこで、陰極上に保護膜を設け、外部からの水分や酸素の浸入を抑制することで発光素子の寿命を向上させる技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
ところで、一般的に有機EL装置では製造工程中に内部に混入した不純物及びパーティクル、あるいはTFT配線構造及び隔壁構造によって、数100nm〜数μmオーダーの大きな段差が形成される場合がある。このような段差を覆った状態に保護膜を形成すると、外部応力が集中することによりクラックや剥離が生じ、陰極を良好に保護できない可能性がある。そこで、樹脂等の応力に強い緩衝層によって陰極をカバーする保護する技術も知られている(例えば、特許文献2参照)。
特開2003−142274号公報 特開2005−100943号公報
ところが、例えばウエットプロセスを用いて上記緩衝層を形成する場合、有機機能層の内部に水分が多く含まれてしまう。そこで、焼成処理を行うことで内部に含まれる水分を蒸発させる必要がある。しかしながら、有機機能層を構成する発光層は熱に弱いため、上述したような緩衝層の焼成処理を行うことが困難となる。したがって、有機EL装置の長期使用に伴い、緩衝層中に含有される水分が内部に浸入することで、上述したダークスポットが発生し表示品質の低下を招いてしまう。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、水分に起因する表示品質の劣化を抑制することで、長期間に亘って信頼性の高い表示品位を得る、有機エレクトロルミネッセンス装置を提供することを目的としている。
本発明は、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。
すなわち、本発明の有機エレクトロルミネッセンス装置は、陰極及び陽極間に有機機能層が挟持されてなる発光素子を基板上に有する有機エレクトロルミネッセンス装置であって、前記陰極の前記有機機能層とは反対側の面を覆う緩衝層と、該緩衝層を覆う吸湿性を有する吸湿性部材と、が設けられることを特徴とする。
ウエットプロセス(湿式法)によって形成された緩衝層中には水分が多く含まれるおそれがある。また、陰極は水分反応性有する材料を含んで構成されることがある。このような場合に、本発明の有機エレクトロルミネッセンス装置を採用すれば、長期使用に伴って前記緩衝層から外部に排出された水分が吸湿性を有する部材により吸収できるので、陰極が劣化することでダークスポットが発生するといった不具合を抑制することができる。したがって、水分に起因する表示品質の劣化を抑制することで、長期間に亘って信頼性の高い表示を得ることができる。
また、上記有機エレクトロルミネッセンス装置においては、前記吸湿性部材を覆う封止層が設けられるのが好ましい。
この構成によれば、封止層により有機EL装置の機械的な強度を高めるとともに、外部からの装置内部への水分の浸入を抑制することができる。
また、上記有機エレクトロルミネッセンス装置においては、前記陰極は、複数の金属層が積層されてなるのが好ましい。
この構成によれば、積層構造からなる陰極を備えるので、例えば電子注入層を具備することで発光特性を向上させることができる。
また、上記有機エレクトロルミネッセンス装置においては、前記陰極がアルカリ金属、或いはアルカリ土類金属を含んで構成されるのが好ましい。
例えばCa等のアルカリ土類金属は電子注入層として好適に用いられるものの、水分に対して弱いといった問題がある。そこで、本発明を採用すれば、水分による電子注入層の劣化を防止することで、電子注入層としてCaを好適に用いることが可能となり、発光特性が高いものとなる。
また、上記有機エレクトロルミネッセンス装置においては、前記吸湿性部材は、前記陰極を構成する材料から構成されるのが好ましい。
この構成によれば、吸湿性部材と陰極の形成材料とを共通化することができ、製造工程が簡略化され、これに伴って製造コストを低減できる。
また、上記有機エレクトロルミネッセンス装置においては、前記緩衝層が平坦化層を兼ねるのが好ましい。
平坦化層(緩衝層)は湿式法等のウエットプロセスにより形成される。この場合、緩衝層中に水分が多く含まれてしまう。そこで、本発明を採用すれば、吸湿性部材により水分を良好に吸収でき、効果的である。
また、上記有機エレクトロルミネッセンス装置においては、前記吸湿性部材は前記陰極を構成する材料に対して同等以上の水分反応性を有するのが好ましい。
この構成によれば、緩衝層から水分が排出された場合に、この水分は吸湿性部材に先に吸収されるので、水分反応性の高い材料を含む陰極にダメージが及ぶのを防止することができる。
また、上記有機エレクトロルミネッセンス装置においては、前記封止層は、前記陰極を構成する材料から構成されるのが好ましい。
この構成によれば、封止層と陰極の形成材料とを共通化することができ、製造工程が簡略化され、これに伴って製造コストを低減できる。
また、上記有機エレクトロルミネッセンス装置においては、前記封止層は、少なくとも前記吸湿性部材を覆うパッシベーション膜で構成されるのが好ましい。
この構成によれば、吸湿性部材がパッシベーション膜によって覆われるので、吸湿性部材への外部からの水分の浸入を良好に防止することができる。
また、上記有機エレクトロルミネッセンス装置においては、前記基板の周縁部にて接着層を介して封止する缶封止構造により密閉されているのが好ましい。
この構成によれば、缶封止構造によって基板が封止されたものとなっているので、外部からの水分の浸入を確実に防止することができ、高い封止性能を備えた信頼性の高いものとなる。
また、上記有機エレクトロルミネッセンス装置においては、前記陰極が前記基板上に形成された断面視テーパー状の側面を有した段差構造に沿って形成され、前記段差構造におけるテーパー角は60°以上であるのが好ましい。
テーパー角が60°以上になると、段差構造に沿って形成される陰極のカバレッジが低下する。この場合、陰極を構成する複数層のうち、水分反応性が高い電子注入層が外部に露出する可能性がある。そこで、本発明を採用すれば、吸湿性部材により水分が良好に吸収できるので特に効果的である。
このとき、前記段差構造の段差の高さが100nm以上であるのが望ましい。
段差の高さが100nm以上の場合、上述したカバレッジが大きく低下することから、水分反応性が高い電子注入層が外部に露出する可能性が高く、発光特性が低下するおそれがあるので、特に大きな効果を得ることができる。
(有機エレクトロルミネッセンス装置)
以下、本発明の有機エレクトロルミネッセンス装置(以下、有機EL装置と称す)実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1は本実施形態の有機EL装置の回路構成図、図2は、同有機EL装置に備えられた各画素領域の平面構造を示す図であって陰極や有機機能層を取り除いた状態を示す図である。また図3は画素領域を示す断面図である。本実施形態の有機EL装置は、例えば後述するような電子機器等の表示手段として好適に用いることができるものである。
図1に示すように、有機EL装置1は、透明の基板上に、複数の走査線31と、これら走査線31に対して交差する方向に延びる複数の信号線32と、これら信号線32に並列に延びる複数の共通給電線33とがそれぞれ配線されたもので、走査線31及び信号線32の各交点に画素領域71が設けられて構成されたものである。
信号線32に対しては、シフトレジスタ、レベルシフタ、ビデオライン、及びアナログスイッチ等を備えるデータ側駆動回路72が設けられている。一方、走査線31に対しては、シフトレジスタ及びレベルシフタ等を備える走査側駆動回路73が設けられている。また、画素領域71の各々には、走査線31を介して走査信号(電力)がゲート電極に供給されるスイッチング用TFT(薄膜トランジスタ)42と、このスイッチング用TFT42を介して信号線32から供給される画像信号を保持する保持容量capと、保持容量capによって保持された画像信号がゲート電極に供給される駆動用TFT43と、この駆動用TFT43を介して共通給電線33に電気的に接続したときに共通給電線33から駆動電流が流れ込む画素電極(陽極)141と、この画素電極41と陰極54との間に挟み込まれる有機層(有機機能層)40と、が設けられている。そして、前記画素電極41と陰極54と、有機層40とによって構成される素子が有機EL発光素子(発光素子)である。
このような構成のもとに、走査線31が駆動されてスイッチング用TFT42がオンとなると、そのときの信号線32の電位(電力)が保持容量capに保持され、該保持容量capの状態に応じて、駆動用TFT43のオン・オフ状態が決まる。そして、駆動用TFT43のチャネルを介して共通給電線33から画素電極41に電流(電力)が流れ、さらに有機層40を通じて陰極54に電流が流れることにより、有機層40は、これを流れる電流量に応じて発光する。
次に、図2に示す画素領域71の平面構造をみると、画素領域71は、平面視略矩形状の画素電極41の四辺が、信号線32、共通給電線33、走査線31及び図示しない他の画素電極用の走査線によって囲まれた配置となっている。
(断面構造)
本実施形態に係る有機EL装置1は所謂ボトムエミッション型の有機EL装置であり、前記基板P側から光を取り出す構成である。よって、前記基板Pはガラス等の透明基板を主体として構成される。
図3に示す画素領域の断面構造をみると、基板(基体)P上に有機EL発光素子(発光素子)200が形成されている。なお、実際には、前記基板Pはガラス等の光透過性を有する基材と該基材上に設けられた前記駆動用TFT、及びこれを覆う絶縁膜が形成されているが、簡単のため図示を省略している。有機EL発光素子200は画素電極41と、陰極54との間に有機層40を挟持した構成となっている。
前記画素電極41はITO等の光透過性材料から構成されている。画素電極41は、図2に示したドレイン電極36に接続されることで駆動用TFT43と画素電極41とが電気的に接続されている。
前記有機層40は、正孔注入層40Aと、発光層40Bとを積層した構成の有機機能層である。正孔注入層40Aは、発光層40Bへの電荷輸送性を高め、発光効率を高めることを目的として設けられる層であり、その形成材料としては、例えばポリチオフェン誘導体、ポリピロール誘導体等、またはそれらのドーピング体等が用いられる。具体的には、3,4−ポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルフォン酸(PEDOT/PSS)の分散液等が用いられる。この分散液に用いる溶媒には、例えばイソプロピルアルコール(IPA)、n−ブチルアルコール、γ−ブチロラクトン、N−メチルピロリドン(NMP)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)及びその誘導体、カルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート等のグリコール類等の極性溶媒を挙げることができる。
前記発光層40Bの形成材料としては、蛍光あるいは燐光を発光することが可能な公知の発光材料を用いることができる。発光層40Bの形成に際しては、上記に挙げた形成材料を溶媒に溶解して調製した液体材料を、正孔注入層40A上に配し、溶媒を蒸発させて機能層を得る方法が適用される。前記溶媒としては、シクロへキシルベンゼン、ジハイドロベンゾフラン、トリメチルベンゼン、テトラメチルベンゼン等の非極性溶媒を例示できる。
発光層40Bの形成材料の具体例としては、(ポリ)フルオレン誘導体(PF)、(ポリ)パラフェニレンビニレン誘導体(PPV)、ポリフェニレン誘導体(PP)、ポリパラフェニレン誘導体(PPP)、ポリビニルカルバゾール(PVK)、ポリチオフェン誘導体、ポリメチルフェニルシラン(PMPS)等を好適なものとして挙げることができる。
また、これらの高分子材料に、ペリレン系色素、クマリン系色素、ローダミン系色素等の高分子系材料や、ルブレン、ペリレン、9,10−ジフェニルアントラセン、テトラフェニルブタジエン、ナイルレッド、クマリン6、キナクリドン等の低分子材料をドープして用いることもできる。
尚、上述した高分子材料に代えて、従来公知の低分子材料を用いることもできる。また、必要に応じて発光層40B上に、フッ化リチウムとカルシウムの積層膜等の電子注入層を設けてもよい。
また、本実施形態に係る有機EL装置1はボトムエミッション構造であるため、陰極54は光反射性の導電材料から構成されるのが望ましい。具体的に本実施形態では、陰極54はAl等の高反射率を有する金属層からなる反射電極層54aを主体として構成される。また、陰極54は発光効率を向上させるため、有機層40側にCa、Ba等で構成される電子注入層54bが設けられた構成となっている。すなわち、陰極54は電子注入層54bと反射電極層54aとが順に積層されることで構成されたものとなっている。
前記陰極の形成方法としては、真空蒸着法が用いられる。具体的には、真空蒸着法により有機層40上にCa、Ba等のアルカリ土類金属からなる電子注入層54bを形成する。本実施形態では、膜厚が5nm以下のCa薄膜を成膜した。続けて、前記電子注入層54b上に真空蒸着法によりAl膜(例えば、膜厚が300nm程度)を成膜し、反射電極層54aを形成する。これにより、陰極54が形成される。前記電子注入層54bを構成するCa薄膜は水分反応性が高いものとなっている。このように本実施形態に係る有機EL装置1では、陰極54が水分反応性を有する材料(電子注入層54b)を含んで構成されたものとなっている。
ところで、前記電子注入層54bを形成する際に、Caの突沸(スプラッシュ)等により、図3に示されるようなCaの塊がパーティクルPAとして有機層40上に形成されてしまうことがある。すると、前記電子注入層54b上に成膜されるAl膜(反射電極層54a)が十分にカバレッジできず、パーティクルPAの周辺に隙間が生じこの隙間から浸入した水分により電子注入層54bが変質し、これによって発光欠陥を生じさせる可能性がある。
また本実施形態では陰極54を覆った状態に膜厚が1μmの緩衝層45が設けられている。この緩衝層45はアクリル等の樹脂材料から構成され、陰極54を覆い、基板Pの表面を平坦化する平坦化層として機能し、上記パーティクルPAによって生じたカバレッジに起因する欠陥の防止を目的とするものである。また、緩衝層45は、基板P等の反りによって生じた応力を吸収することで有機EL装置の機械的強度を向上させ、かつ外部からの水分の浸入を防止している。
上記緩衝層45は、インクジェット、スピンコート、塗布等のウエットプロセスによって形成される。このようにウエットプロセスで形成された緩衝層45には比較的多くの水分が含まれた状態となる。そのため、緩衝層45中に含まれる水分を焼成し蒸発させるプロセスが必要となる。しかしながら、前記緩衝層45の下層に設けられる有機層40は熱に弱いため、上記の焼成処理を行うことは難しい。すると、有機EL装置1の長期使用に伴って、前記緩衝層45中に含まれる水分が有機EL発光素子200内に浸入することで、ダークスポット(非表示欠陥)が生じて、輝度の低下、及び寿命の短縮を招く可能性がある。
このような不具合を解消するため、本実施形態に係る有機EL装置1は前記緩衝層45を覆う吸湿性を有する吸湿性部材46を備えている。ここで、吸湿性部材46とは、水分と化学的に反応することで内部に水分を留める特性を有したものを意味している。前記吸湿性部材46は、前記陰極54に含まれる電子注入層54bに比べて、同等以上の水分反応性(吸湿性)を有するのが好ましい。具体的に本実施形態では、前記吸湿性部材46の形成材料として前記電子注入層54bと同一材料であるCa薄膜(膜厚が200nm)を用いた。なお、前記吸湿性材料46の形成材料としては、Caに限定されることはなく、Caよりも吸湿性の高い材料からなるものであれば適宜採用することができる。
さらに、前記吸湿性部材46を覆ってパシベーション層(封止層)47が形成されている。このパシベーション層47としてはAl,SiN等が好適に用いられ、本実施形態ではAl(膜厚500nm)層を用いた。これにより、パッシベーション層47と前記陰極54を構成する反射電極層54aとの形成材料が共通化され、これによって製造コストの低減が図られたものとなる。
前記パシベーション層47は、有機EL発光素子200に対する外部からの衝撃等を防止するとともに、有機EL装置1内部(前記吸湿性部材46)への水分の入り込みを遮断している。この構成により、前記吸湿性部材46は前記緩衝層45中から発生する水分に対して十分な吸収機能を持続することができる。
本実施形態では、前記有機EL発光素子200上に缶封止基板48が配置されている。この缶封止基板48は基板P上に封止樹脂(接着層)49によって接着されており、これにより有機EL装置1が構成されている。
前記封止樹脂49としては、熱硬化樹脂あるいは紫外線硬化樹脂等が用いられるが、特にエポキシ樹脂が好適に用いられる。この封止樹脂49は、例えばマイクロディスペンサ等によって基板Pの周囲に環状に塗布され、基板Pと封止基板48とを接合したものである。このような構成のもとに封止樹脂49は、基板Pと缶封止基板48との間から缶封止基板48内部に水や酸素が侵入するのを防止するようになっている。
缶封止基板48はガラス又は金属からなるもので、その内側には凹部48aが形成されている。この凹部48aには水や酸素を吸収するゲッター剤(例えば、CaO、BaO等)44が貼り付けられており、缶封止基板48の内部に侵入した水又は酸素を吸収できるようになっている。
このように本実施形態に係る有機EL装置1は、上記の吸湿性部材46を覆うパシベーション層47に加え、缶封止基板48によって封止された構造となっていることから、水分による有機層40の劣化が防止され、ダークスポットの発生といった不具合を抑制することができる。したがって、水分に起因する表示品質の劣化を抑制することで長期間に亘って、信頼性の高い表示品位を得ることができる。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る有機EL装置について説明する。図4は本実施形態に係る有機EL装置の概略構成を示し、上記第1実施形態の図3に相当する図である。なお、第1実施形態と同様となる部分については、その詳細な説明を省略する。また、図4中では、画素電極41に電気的に接続される駆動用TFT等の図示を省略している。
(断面構造)
本実施形態に係る有機EL装置における画素領域71の断面構造をみると、図4に示すように基板P上に立設されたバンク構造(段差構造)50に囲まれる領域内に有機発光素子200が設けられている。
前記バンク構造50は、画素電極41の周辺部に一部乗り上げ、画素電極41の一部(上面)を露出させた状態に、SiO、SiN等の絶縁性無機材料からなる無機バンク50Bと、該無機バンク50B上にアクリル等の有機材料からなる有機バンク50Aとから構成されている。ここで、前記有機バンク50Aの側面は、断面視した状態でテーパー形状をなす傾斜面となっている。なお、前記傾斜面におけるテーパー角は60°以上に設定されている。すなわち、このバンク構造50によって規定される開口部51内に有機層40が配置されたものとなっている。
前記陰極54は、前記バンク構造50の上面、さらにはバンク構造50の側面(テーパー状の傾斜面)を形成する壁面を覆った状態で基板P上に形成される。そして、基板Pの端縁部には陰極取り出し端子55が設けられており、この陰極取り出し端子55に陰極54が電気的に接続される。また、陰極取り出し端子55は外部に設けられた電源部等に接続され、これにより陰極54の電位が所望の値に設定可能となる。
ところで、陰極54は電子注入層54bと反射電極層54aとが積層されることで構成されている。本実施形態では、前記傾斜面におけるテーパー角が60°以上に設定されているので前記バンク構造50は急峻な段差を備えたものとなっている。また、この段差のうち、最も大きい高さ(有機バンク50A上面と前記陰極取り出し端子55の上面との高さ)は100nm以上となっている。そのため、陰極54を構成するAlからなる反射電極層54aのカバレッジが不十分となり、前記有機バンク50Aの側面部分(図4中に示される領域A)にて、その膜厚が極端に薄くなってしまう。すると、有機EL装置1を長期使用する間に反射電極層54aの膜厚が薄い部分に例えば外的要因(外力等)によって亀裂が生じ、この亀裂から浸入した水分により電子注入層54bが変質し、これによって発光欠陥が生じる可能性がある。
このような不具合をさけるため、本実施形態では膜厚1μmの緩衝層45によって前記陰極54を覆っている。この緩衝層45はアクリル等の樹脂材料から構成され、上記急峻な傾斜面に起因するカバレッジ欠陥を防止するためのものである。また、緩衝層45は、例えば基板P等の反りによって生じた応力を吸収することで有機EL装置の機械的強度を向上させ、かつ外部からの水分の浸入を防止している。なお、図示は省略しているものの、前記電子注入層54bを形成する際に、Caの突沸(スプラッシュ)等によりCaの塊がパーティクルPAとして有機層40上に形成されてしまうことがある(図3参照)。このような場合でも、緩衝層45はパーティクルPAによって生じたカバレッジ欠陥を防止できる。
上記緩衝層45は、上記実施形態と同様にインクジェット、スピンコート、塗布等のウエットプロセスによって形成されることから水分を多く含んだ状態となっている。そのため、緩衝層45中に含まれる水分を蒸発させるプロセスが必要となるものの、前記緩衝層45の下層に設けられる有機層40が熱に弱いことから焼成処理を行うことができない。したがって、有機EL装置1の長期使用に伴って、前記緩衝層45中に含まれる水分によって、ダークスポット(非表示欠陥)が生じ、輝度の低下、及び寿命の短縮を招く可能性がある。
そこで本実施形態に係る有機EL装置では、上記第1実施形態と同様に緩衝層45を覆って吸湿性部材46が設けられている。吸湿性部材46は前記陰極54に含まれる電子注入層54bに比べて、同等以上の水分反応性(吸湿性)を有するのが好ましい。具体的に本実施形態では、前記吸湿性部材46の形成材料として前記電子注入層54bと同一材料であるCa薄膜(膜厚が200nm)を用いた。なお、前記吸湿性材料46の形成材料としてはCaに限定されず、Caよりも吸湿性の高い材料からなるものであれば適宜採用することができる。
さらに、前記吸湿性部材46を覆ってパシベーション層(封止層)47が形成されている。このパシベーション層47としてはAl,SiN等が好適に用いられ、本実施形態ではAl(膜厚500nm)層を用いた。これにより、パッシベーション層47と前記陰極54を構成する反射電極層54aとの形成材料が共通化され、これによって製造コストの低減が図られたものとなる。
図示は省略するものの、上記実施形態と同様に有機EL発光素子200上に封止樹脂によって缶封止基板が接着されることで有機EL装置が構成されている。
このように本実施形態に係る有機EL装置によれば、緩衝層45によりバンク構造50により生じた段差構造に起因するカバレッジ欠陥を防止するとともに、緩衝層45内部から発生する水分による有機層40の劣化を防止できる。したがって、水分に起因する表示品質の劣化(ダークスポットの発生)を抑制することで長期間に亘って、信頼性の高い表示品位が得られる有機EL装置を提供できる。
なお、本発明に係る有機EL装置は上述した実施形態に限定されることがなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態ではボトムエミッション型の有機EL装置について説明したが、本発明はこれに限定されず、トップエミッション型の有機EL装置についても適用可能である。また、上記実施形態では、陰極54上に緩衝層45、吸湿性部材46、及びパシベーション層47を順に積層した構成としたが、これらを繰り返し複数積層する構成としてもよい。また、緩衝層45と吸湿性部材46とを複数積層し、最上層のみにパシベーション層47を設ける構成としてもよい。このようにすれば、結果的に有機EL発光素子200が厚い膜で覆われることで外部からの水分浸入を良好に防止できる。また、緩衝層45上には吸湿性部材46が常に積層された状態となっているので、有機EL装置の長期使用に伴い緩衝層45から水分が発生した場合でも吸湿性部材46により確実に吸収でき、陰極54を構成する電子注入層54bの劣化を防止できる。
(電子機器)
次に、本発明の有機EL装置に係る他の応用例として、有機EL装置を備えた電子機器について説明する。図5は、携帯電話の表示部に本発明の有機EL装置を適用した例についての概略構成図である。同図に示す携帯電話300は、上記実施形態の有機EL装置を小サイズの表示部301として備え、複数の操作ボタン302、受話口303、及び送話口304を備えて構成されている。上記各実施の形態の有機EL装置は、上記携帯電話に限らず、電子ブック、プロジェクタ、パーソナルコンピュータ、ディジタルスチルカメラ、テレビジョン受像機、ビューファインダ型あるいはモニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた機器等々の画像表示手段として好適に用いることができ、かかる構成とすることで、水分に起因する表示品質の劣化を抑制することで、長期間に亘って信頼性の高い表示を得る表示部を備えた電子機器を提供できる。
有機EL装置の回路構成を示す図である。 有機EL装置に備えられた各画素領域の平面構造を示す図である。 画素領域を示す断面図である。 第2実施形態に係る有機EL装置の概略構成を示す断面図である。 本発明の電子機器の一実施形態としての携帯電話の概略構成図である。
符号の説明
P…基板、1…有機EL装置(有機エレクトロルミネッセンス装置)、40…有機機能層、41…陽極、45…緩衝層、46…吸湿性部材、47…パシベーション層(封止層)、48…缶封止基板、49…封止樹脂(接着層)、50…バンク構造(段差構造)、54…陰極、200…有機EL発光素子(発光素子)

Claims (12)

  1. 陰極及び陽極間に有機機能層が挟持されてなる発光素子を基板上に有する有機エレクトロルミネッセンス装置であって、
    前記陰極の前記有機機能層とは反対側の面を覆う緩衝層と、該緩衝層を覆う吸湿性を有する吸湿性部材と、が設けられることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス装置。
  2. 前記吸湿性部材を覆う封止層が設けられることを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
  3. 前記陰極は、複数の金属層が積層されてなることを特徴とする請求項1又は2に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
  4. 前記陰極がアルカリ金属、或いはアルカリ土類金属を含んで構成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
  5. 前記吸湿性部材は、前記陰極を構成する材料から構成されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
  6. 前記緩衝層が平坦化層を兼ねることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
  7. 前記吸湿性部材は前記陰極を構成する材料に対して同等以上の水分反応性を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
  8. 前記封止層は、前記陰極を構成する材料から構成されることを特徴とする請求項2〜7のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
  9. 前記封止層は、少なくとも前記吸湿性部材を覆うパッシベーション膜で構成されることを特徴とする請求項2〜8のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
  10. 前記基板の周縁部にて接着層を介して封止する缶封止構造により密閉されていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
  11. 前記陰極が前記基板上に形成された断面視テーパー状の側面を有した段差構造に沿って形成され、前記段差構造におけるテーパー角は60°以上であることを特徴とする請求項3〜10のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
  12. 前記段差構造の段差の高さが100nm以上であることを特徴とする請求項11に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
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