JP2010092709A - 有機el装置および電子機器 - Google Patents

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Abstract

【課題】輝度と寿命が向上した有機EL装置および電子機器を提供すること。
【解決手段】有機EL装置100は、基板10と、基板10上に配列された画素2と、基板10上に、画素2に対応して形成された陽極24と、陽極24上に形成された発光層34を含む有機機能層30と、有機機能層30上に形成された陰極36と、陰極36上に形成されており、互いに隣り合う画素2同士の間に選択的に配置された吸収層38と、を備えている。
【選択図】図3

Description

本発明は、有機EL装置および電子機器に関する。
有機エレクトロルミネセンス装置(以下有機EL装置と呼ぶ)は、陽極と、少なくとも発光層を含む有機機能層と、陰極とが積層された有機エレクトロルミネセンス素子(以下有機EL素子と呼ぶ)を有している。有機EL装置内に酸素や水分が浸入すると、有機EL素子の電極や有機機能層の有機材料が酸化あるいは変質して発光特性が劣化し、有機EL装置の寿命を低下させてしまう。
そこで、有機EL装置において、酸素や水分が有機EL素子に侵入するのを防止するため、有機EL素子の周囲を缶状の封止体で封止し、封止体の内側に乾燥剤を配置する構成が提案されている(例えば、特許文献1)。また、有機EL素子を封止層で封止し、有機EL素子と封止層との間に酸素や水分を吸収する吸収層や酸化防止層を配置する構成が提案されている(例えば、特許文献2および特許文献3)。
特開2003−317942号公報 特開2003−142274号公報 特開2004−119086号公報
しかしながら、封止体の内側に乾燥剤を配置する構成では、乾燥剤が有機EL素子から射出される発光光を遮るため、封止体側から発光光を取り出す構造を取ることは困難である。また、有機EL素子と封止層との間に吸収層や酸化防止層を配置する構成では、吸収層や酸化防止層により有機EL素子から射出される発光光の透過量が少なくなるため、封止層側から発光光を取り出す場合、有機EL装置の輝度が低下してしまうという課題があった。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
[適用例1]本適用例に係る有機EL装置は、基板と、前記基板上に配列された画素と、前記基板上に、前記画素に対応して形成された第1の電極と、前記第1の電極上に形成された少なくとも発光層を含む有機機能層と、前記有機機能層上に形成された第2の電極と、前記第2の電極上に形成されており、互いに隣り合う前記画素同士の間に選択的に配置された吸収層と、を備えたことを特徴とする。
この構成によれば、酸素や水分を吸収する吸収層が第2の電極上に形成されているので、酸素や水分による第2の電極や有機機能層の劣化が抑制される。また、吸収層が画素同士の間に選択的に配置されているので、第2の電極側に射出された有機機能層の発光光は吸収層で遮られることなく射出される。これにより、有機EL装置の輝度を低下させることなく、有機EL装置の寿命を向上することができる。
[適用例2]上記適用例に係る有機EL装置であって、前記吸収層は、互いに隣り合う前記画素に亘って連なって形成されていてもよい。
この構成によれば、吸収層が連なって形成されているので、吸収層の総体積を大きくできる。これにより、吸収層で吸収される酸素や水分の量を多くできる。
[適用例3]上記適用例に係る有機EL装置であって、前記画素はマトリクス状に配列されており、前記吸収層は、前記画素の行方向および列方向において、互いに隣り合う前記画素同士の間に形成されていてもよい。
この構成によれば、吸収層が画素の行方向および列方向に形成されているので、吸収層の総体積をより大きくできる。これにより、吸収層で吸収される酸素や水分の量をより多くできる。
[適用例4]上記適用例に係る有機EL装置であって、前記第2の電極の表面に形成されており、前記吸収層と同層または前記吸収層よりも下層に配置された第3の電極をさらに備えていてもよい。
この構成によれば、第2の電極の表面に形成された第3の電極により、第2の電極の電気抵抗が低減される。このため、第2の電極に電流が流れる際の電圧降下を小さくすることができる。これにより、有機EL装置の発光輝度を高めることができる。
[適用例5]上記適用例に係る有機EL装置であって、前記第3の電極は、互いに隣り合う前記画素同士の間に選択的に配置されているとともに、前記吸収層に平面的に重ならないように配置されていてもよい。
この構成によれば、第3の電極と吸収層とのそれぞれの膜厚を個別に適宜設定できる。
[適用例6]上記適用例に係る有機EL装置であって、前記第3の電極および前記吸収層は、同パターンかつ同ピッチで交互に配置されていてもよい。
この構成によれば、第3の電極および吸収層を成膜する際に、それぞれの位置に対応してマスクをスライドさせることで、同一のマスクを用いて第3の電極および吸収層を成膜できる。
[適用例7]上記適用例に係る有機EL装置であって、前記第3の電極および前記吸収層は、同パターンかつ同ピッチで配置されているとともに積層されていてもよい。
この構成によれば、第3の電極および吸収層を成膜する際に、同一のマスクを用いて位置を変えることなく第3の電極および吸収層を成膜できる。
[適用例8]上記適用例に係る有機EL装置であって、前記第3の電極および前記吸収層は、同じ材料からなっていてもよい。
この構成によれば、吸収層を厚く成膜することで、吸収層の役割と第3の電極の役割とを兼ねることができる。
[適用例9]本適用例に係る電子機器は、上記に記載の有機EL装置を備えたことを特徴とする。
この構成によれば、電子機器は輝度と寿命が向上した有機EL装置を備えているので、優れた表示品質を有する電子機器を提供できる。
以下に、本実施の形態について図面を参照して説明する。なお、参照する図面において、構成をわかりやすく示すため、構成要素の膜厚や寸法の比率等は適宜異ならせてある。また、それぞれの図面において、説明に必要な構成要素以外は図示を省略する場合がある。
<有機EL装置>
(第1の実施形態)
まず、第1の実施形態に係る有機EL装置の構成について図を参照して説明する。図1は、第1の実施形態に係る有機EL装置の電気的構成を示すブロック図である。図2は、第1の実施形態に係る有機EL装置の概略構成を示す平面図である。図3は、第1の実施形態に係る有機EL装置の概略構成を示す断面図である。詳しくは、図2のA−A線に沿った部分断面図である。
有機EL装置100は、スイッチング素子としてTFT(Thin Film Transistor:薄膜トランジスタ)素子を備えたアクティブマトリクス型である。
図1に示すように、有機EL装置100は、基板10上に、X軸方向に沿って延びる複数の走査線16と、各走査線16に対して直角に交差しY軸方向に沿って延びる複数の信号線17と、各信号線17に並列に延びる複数の電源線18とがそれぞれ配線された構成を有している。走査線16と信号線17との交差に対応して画素2が配列されている。なお、図1を含め以降の図面において、X軸は画素2の行方向を示し、Y軸は画素2の列方向を示している。
有機EL装置100は、基板10上に画素2のそれぞれに対応して設けられた、TFT素子11,12と、保持容量13と、第1の電極としての陽極24と、有機機能層30と、第2の電極としての陰極36とを備えている。
有機機能層30は、順に積層された正孔輸送層32(図3参照)と、発光層34(図3参照)とで構成されている。陽極24と、陰極36と、有機機能層30と、によって有機EL素子8が構成される。有機EL素子8では、正孔輸送層32から注入される正孔と、陰極36から注入される電子とが、発光層34で再結合することにより発光が得られる。
基板10上には、さらに、データ線駆動回路14と、走査線駆動回路15とが設けられている。走査線駆動回路15には走査線16が接続されており、走査線16を介して走査信号がTFT素子11のゲート電極に供給される。一方、データ線駆動回路14には信号線17が接続されており、TFT素子11がオン状態になると、信号線17を介して供給される画像信号が保持容量13に保持され、この保持容量13の状態に応じてTFT素子12のオン・オフ状態が決まる。
そして、TFT素子12を介して電源線18に電気的に接続したとき、電源線18から陽極24に駆動電流が流れ、さらに有機機能層30を通じて陰極36に電流が流れる。有機機能層30の発光層34は、陽極24と陰極36との間に流れる電流量に応じた輝度で発光する。
次に、有機EL装置100の概略構成を説明する。図2に示すように、有機EL装置100は、基板10上に、略矩形の平面形状を有する画素部3(一点鎖線枠内)を備えている。画素部3は、中央部分の実発光領域4(二点鎖線枠内)と、実発光領域4の周囲に配置されたダミー領域5(一点鎖線および二点鎖線の間の領域)とを有している。実発光領域4は実質的に発光に寄与する領域であり、ダミー領域5は実質的に発光に寄与しない領域である。
実発光領域4には、赤(R)、緑(G)、青(B)のいずれかの表示に寄与する画素2が、X軸方向およびY軸方向にそれぞれ離間してマトリクス状に配列されている。画素2は、有機EL装置100の表示の最小単位であり、R、G、Bのそれぞれに発光する有機EL素子8により得られた光を表示光として出力するようになっている。有機EL装置100では、画素2(R),2(G),2(B)から一つの画素群が構成され、それぞれの画素群において画素2(R),2(G),2(B)のそれぞれの表示の輝度を適宜変えることで、種々の色の表示を行うことができる。
実発光領域4の図2における両側には、走査線駆動回路15が配置されている。また、実発光領域4の図2における上側には、検査回路19が配置されている。検査回路19は、有機EL装置100の作動状況を検査するための回路である。検査回路19は、例えば、検査結果を外部に出力する検査情報出力手段(図示しない)を備え、製造途中や出荷時の有機EL装置100の品質、欠陥の検査を行うことができるように構成されている。基板10の外周部には、陰極用配線36aが配置されている。
図3に示すように、有機EL装置100は、基板10と、回路層22と、陽極24と、絶縁層26と、隔壁28と、有機機能層30と、陰極36と、吸収層38(図4および図5参照)と、封止体40とを備えている。有機EL装置100は、例えば、有機機能層30から発した光が封止体40側に射出されるトップエミッション方式である。
基板10の材料は、有機EL装置100がトップエミッション方式であることから、透光性材料および不透光性材料のいずれであってもよい。透光性材料としては、例えば、ガラス、石英、樹脂(プラスチック、プラスチックフィルム)等があげられる。不透光性材料としては、例えば、アルミナ等のセラミックス、ステンレススチール等の金属シートに表面酸化等の絶縁処理を施したもの、熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂、およびそのフィルム(プラスチックフィルム)等があげられる。基板10は、例えばSiO2等からなる保護層に覆われていてもよい。
回路層22は、基板10上に形成されている。回路層22は、陽極24を駆動するためのTFT素子12と、各種回路と、導通部と、層間絶縁層等で構成されている。TFT素子12は、画素2のそれぞれに対応して設けられている。TFT素子12は、図示しないが、半導体膜と、ゲート絶縁層と、ゲート電極と、ドレイン電極と、ソース電極とを備えている。以下の説明では、基板10と、基板10上に形成された回路層22とを含めて、基体20と称する。
半導体膜には、ソース領域と、ドレイン領域と、チャネル領域とが形成されている。半導体膜は、ゲート絶縁層に覆われている。ゲート電極は、ゲート絶縁層を間に挟んで半導体膜のチャネル領域に重なるように位置している。ドレイン電極は、層間絶縁層に設けられたコンタクトホールを介して、半導体膜のドレイン領域に導電接続されている。ソース電極は、同様にコンタクトホールを介して、半導体膜のソース領域に導電接続されている。
陽極24は、基体20上に、画素2の領域のそれぞれに対応して形成されている。陽極24は、透光性導電材料からなり、例えばITO(Indium Tin Oxide)からなる。なお、反射性をより高めるために、例えば反射層/無機絶縁層の上に陽極24が積層された構成であってもよい。陽極24は、回路層22に設けられたコンタクトホールを介してTFT素子12に電気的に接続されている。陽極24の表面には、O2プラズマ処理等の親液化処理が施されていてもよい。
基体20上のダミー領域5には、ダミーパターン(図示しない)が設けられている。ダミーパターンは、島状に配置されており、陽極24と略同形状を有している。ダミーパターンは、実発光に寄与せず、TFT素子12に接続されていない。
絶縁層26は、基体20上に形成されている。絶縁層26は、画素2のそれぞれに対応した開口部26aを有している。絶縁層26は、開口部26aの周囲に沿って陽極24の周縁部に所定幅で乗り上げるように形成されている。絶縁層26は、ダミーパターンを覆っている。絶縁層26は、例えばSiO2等の無機酸化物からなる。絶縁層26の表面には、O2プラズマ処理等の親液化処理が施されていてもよい。
隔壁28は、絶縁層26上に形成されている。隔壁28は開口部28aを有しており、画素2の領域を区画している。開口部28aは、開口部26aよりも一回り大きい。開口部28aは、ダミーパターン上にも設けられている。隔壁28は、例えばアクリル樹脂等の有機材料からなる。隔壁28の表面には、CF4プラズマ処理等の撥液化処理が施されていてもよい。
有機機能層30は、隔壁28により区画された画素2の領域に形成されており、陽極24上に位置している。有機機能層30は、ダミーパターン上の隔壁28により区画された領域にも形成されている。有機機能層30は、順に積層された正孔輸送層32と発光層34とで構成されている。有機機能層30では、正孔輸送層32から注入される正孔と、陰極36から注入される電子とが発光層34で再結合することにより、R、G、Bのいずれかの発光が得られる。なお、有機機能層30は、発光層34の上に積層された電子注入層をさらに有していてもよいし、発光層34を含む4層以上の機能層で構成されていてもよい。
正孔輸送層32の材料としては、例えばポリチオフェン誘導体、ポリピロール誘導体等、またはそれらのドーピング体等を用いることができる。具体的には、3,4−ポリエチレンジオシチオフェン/ポリスチレンスルフォン酸(PEDOT/PSS)の分散液、すなわち、分散媒としてのポリスチレンスルフォン酸に3,4−ポリエチレンジオシチオフェンを分散させ、さらにこれを水に分散させた分散液等を用いることができる。
発光層34の材料としては、蛍光あるいは燐光を発光することが可能な公知の発光材料を用いることができる。具体的には、(ポリ)フルオレン誘導体(PF)、(ポリ)パラフェニレンビニレン誘導体(PPV)、ポリフェニレン誘導体(PP)、ポリパラフェニレン誘導体(PPP)、ポリビニルカルバゾール(PVK)、ポリチオフェン誘導体、ポリメチルフェニルシラン(PMPS)等のポリシラン系等が好適に用いられる。
また、発光層34の材料として、これらの高分子材料に、ペリレン系色素、クマリン系色素、ローダミン系色素等の高分子系材料や、ルブレン、ペリレン、9,10−ジフェニルアントラセン、テトラフェニルブタジエン、ナイルレッド、クマリン6、キナクリドン等の低分子材料をドープして用いてもよい。上述した高分子材料に代えて、公知の低分子材料を用いてもよい。なお、これらの有機材料の多くは、酸素や水分と反応し劣化し易い性質を有している。
有機機能層30は、例えば、インクジェット法等の液滴吐出法により形成される。有機機能層30の材料として低分子材料を用いる場合は、真空蒸着法により有機機能層30を形成してもよい。
陰極36は、隔壁28と有機機能層30とを覆うように形成されている。陰極36は、画素部3(図2参照)の領域よりも広い領域を有しており、基体20の外周部で陰極用配線36aに電気的に接続されている。この陰極用配線36aにはフレキシブル基板(図示しない)が接続されており、これによって、陰極36は陰極用配線36aを介してフレキシブル基板上の駆動IC(図示しない)に電気的に接続されている。
陰極36は、例えば、アルカリ金属やアルカリ土類金属またはその化合物等からなる。陰極36の材料としては、発光層34への電子注入性を高めるため、仕事関数が小さな金属材料が好ましく、例えば、カリウム(K)やナトリウム(Na)を好適に用いることができる。陰極36の材料は、カルシウム(Ca)、リチウム(Li)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)等であってもよい。これらの金属材料は、いずれも水分と反応し易い性質を有している。
有機EL装置100がトップエミッション方式であることから、陰極36は、透光性が得られる膜厚に形成されている。陰極36の膜厚は、例えば、100nm〜200nm程度である。陰極36は、例えば、真空蒸着法により形成される。陰極36上には、吸収層38(図4および図5参照)が配置されている。吸収層38については後述する。
封止体40は、基体20上に、有機EL素子8を覆うように配置されている。封止体40は、缶形状を有している。より具体的には、封止体40は略矩形の平面形状を有しており、封止体40の有機EL素子8に対向する側には凹部40aが形成されている。凹部40aは、その開口形状が略矩形状であり、内壁が開口側に向けて広がるテーパ形状を有している。封止体40の周縁部は、基体20の周縁部に平面的に重なっている。基体20の周縁部には基体20の外周に沿うように接着層42が環状に設けられており、封止体40の周縁部は接着層42を介して基体20に固着されている。
封止体40は、透光性を有する材料からなり、例えば、ソーダ石灰ガラスや珪酸塩ガラス等のガラス類、またはアクリル系樹脂やスチレン系樹脂等の樹脂類からなる。接着層42は、例えば、熱硬化樹脂や紫外線硬化樹脂等からなる。封止体40および接着層42は、有機EL素子8を封止し、大気中の酸素や水分(水蒸気)等を遮断するためのものである。
一般に、有機EL素子は大気中の酸素や水分等により劣化することが知られている。このような劣化は、有機EL素子の電極や有機機能層の材料が酸素や水分等と反応して酸化あるいは変質することにより生じる。有機EL素子が劣化すると、発光特性が低下してしまい、有機EL装置の寿命が低下する原因となる。有機EL装置100では、大気中の酸素や水分による有機EL素子8の劣化を防止するため、封止体40および接着層42によって有機EL素子8を封止している。
有機EL装置100では、発光層34から陰極36側に発した光は、封止体40側に射出される。また、発光層34から陽極24側に発した光は、例えば陽極24により反射されて、封止体40側に射出される。
次に、有機EL装置100が備える吸収層38について図を参照して説明する。図4は、第1の実施形態に係る有機EL装置100が備える吸収層38の配置を示す平面図である。図4は、図2における実発光領域4の拡大図でもある。図5は、第1の実施形態に係る有機EL装置100が備える吸収層38の配置を示す断面図である。詳しくは、図4のB−B線に沿った部分断面図である。
図5に示すように、吸収層38は、陰極36上に形成されている。また、図4に示すように、吸収層38は、互いに隣り合う画素2同士の間に選択的に配置されている。吸収層38は、例えば、画素部3(図2参照)の領域に亘って、X軸方向に沿って所定の長さで略等間隔を隔てて配置されている。なお、図4では、構成をわかりやすく示すため、吸収層38に斜線を施して表示している。
吸収層38のX軸方向における幅は、互いに隣り合う画素2同士の間隔よりも狭く、例えば30μm〜40μm程度である。吸収層38の厚さは、陰極36と封止体40との間の間隙よりも薄く、例えば100nm〜10μm程度である。なお、吸収層38は、Y軸方向に沿って配置されていてもよい。
吸収層38は、無機材料からなり、例えば、アルカリ金属やアルカリ土類金属またはその化合物等からなる。吸収層38の材料としては、酸素や水分を吸収するため、酸素や水分と反応し易い金属材料が好ましく、例えば、カリウム(K)やカルシウム(Ca)を好適に用いることができる。
有機EL装置100において、有機EL素子8は封止体40および接着層42によって封止されているが、封止された空間内の雰囲気中の酸素や水分を完全に排除することは困難である。吸収層38は、この封止された空間内の雰囲気中の酸素や水分を吸収する機能を有している。封止体40および接着層42によって封止された空間内に万が一酸素や水分が侵入した場合でも、吸収層38がこの酸素や水分を吸収するので、有機EL素子8の劣化を抑制することができる。したがって、有機EL装置100の寿命を向上することができる。
吸収層38は、例えば、真空蒸着法により、吸収層38に対応する位置に開口部を有するマスクを用いて、陰極36上に選択的に吸収層38の材料を成膜することにより形成される。このとき、吸収層38による酸素や水分の吸収量をより多くするため、吸収層38の総体積は大きい方が好ましい。吸収層38の膜厚は、封止体40に接触しない範囲であれば適宜設定することができる。また、吸収層38の幅は、画素2の領域に平面的に重ならない範囲であれば適宜設定することができる。
なお、吸収層38の材料は、陰極36の材料よりも酸素や水分と反応し易い材料であることが好ましいが、吸収層38の総体積を大きくすることで酸素や水分の吸収量を多くすることができるので、酸素や水分との反応のし易さが陰極36の材料と同等であってもよい。また、吸収層38により雰囲気中の酸素や水分が吸収されるので、陰極36の材料として酸素や水分と反応し易いが仕事関数がより小さい材料を用いることが可能となる。このように、吸収層38により、陰極36の材料の選択における自由度が高められる。
ところで、封止体40と同様の缶形状の封止体で封止された構造を有する従来の有機EL装置では、封止された空間内の雰囲気中の酸素や水分を吸収するための乾燥剤が封止体の有機EL素子に対向する側に配置された構成が多く用いられている。しかしながら、このような構成によれば、乾燥剤が有機EL素子から射出される発光光を遮るため、封止体側から発光光を取り出すトップエミッション構造を取ることは困難であった。
本実施形態に係る有機EL装置100では、封止体40で封止された空間内の雰囲気中の酸素や水分を吸収する吸収層38が、画素2同士の間に選択的に配置されている。このため、有機機能層30から陰極36側に射出された発光光、および有機機能層30から陽極24側に射出されて反射された発光光は、吸収層38で遮られることなく封止体40側に射出される。したがって、封止体40側から発光光を取り出すトップエミッション構造を容易に実現することができる。
また、吸収層38を、陰極36と同様に真空蒸着法により形成すれば、陰極36の製造装置を用いて陰極36の製造工程と同様の工程で形成することができる。したがって、従来の有機EL装置の製造方法と比較して、製造工程を煩雑にすることなく容易に有機EL装置100を製造することができる。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係る有機EL装置の構成について図を参照して説明する。図6は、第2の実施形態に係る有機EL装置が備える吸収層の配置を示す平面図である。なお、第1の実施形態と共通する構成要素については同一の符号を付しその説明を省略する。
第2の実施形態に係る有機EL装置110は、第1の実施形態に係る有機EL装置100に対して、吸収層38aの平面形状が異なっているが、その他の構成は同じである。
図6(a)に示すように、有機EL装置110が備える吸収層38aは、互いに隣り合う画素2に亘って連なって形成されている。吸収層38aは、例えば、X軸方向に沿って延在するように配置されている。吸収層38aは、例えば、第1の実施形態に係る吸収層38の形成に用いるマスクを図6(a)のX軸方向に沿ってスライドさせて、吸収層38の材料を蒸着することで形成することができる。
第2の実施形態に係る有機EL装置110では、吸収層38aが互いに隣り合う画素2に亘って連なって形成されているので、吸収層38aの総体積を大きくできる。したがって、封止体40および接着層42によって封止された空間内に存在する酸素や水分を多く吸収できる。なお、吸収層38aは、図6(b)に示すように、Y軸方向に沿って延在するように配置されていてもよい。
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態に係る有機EL装置の構成について図を参照して説明する。図7は、第3の実施形態に係る有機EL装置が備える吸収層の配置を示す平面図である。なお、上記の実施形態と共通する構成要素については同一の符号を付しその説明を省略する。
第3の実施形態に係る有機EL装置120は、第1の実施形態に係る有機EL装置100に対して、吸収層38bの平面形状および配置が異なっているが、その他の構成は同じである。
図7(a)に示すように、有機EL装置120が備える吸収層38bは、画素2の行方向(X軸方向)および列方向(Y軸方向)において、互いに隣り合う画素2同士の間に形成されている。吸収層38bは、例えば、X軸方向およびY軸方向に沿って所定の長さで略等間隔を隔てて配置されており、矩形状を有する画素2の4辺のそれぞれに沿うように配置されている。
第3の実施形態に係る有機EL装置120では、吸収層38bが画素2の行方向および列方向において互いに隣り合う画素2同士の間に形成されているので、吸収層38bの体積をより大きくできる。したがって、封止体40および接着層42によって封止された空間内に存在する酸素や水分をより多く吸収できる。
吸収層38bの平面形状および配置は上記の形態に限定されない。吸収層38bは、図7(b)に示すように、X軸方向に沿う部分とY軸方向に沿う部分とが直交するように形成され、X軸方向およびY軸方向において互いに隣り合う4つの画素2の角部に挟まれるように配置されていてもよい。
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態に係る有機EL装置の構成について図を参照して説明する。図8は、第4の実施形態に係る有機EL装置の概略構成を示す平面図である。図9は、第4の実施形態に係る有機EL装置の概略構成を示す断面図である。詳しくは、図9(a)は、図8のC−C線に沿った部分断面図である。図9(b)は、図8のD−D線に沿った部分断面図である。なお、上記の実施形態と共通する構成要素については同一の符号を付しその説明を省略する。
第4の実施形態に係る有機EL装置200は、第1の実施形態に係る有機EL装置100に対して、第3の電極をさらに備えた点が異なっているが、その他の構成は同じである。
図9(a)に示すように、有機EL装置200は、基体20と、陽極24(図3参照)と、絶縁層26と、隔壁28と、有機機能層30(図3参照)と、陰極36と、第3の電極としての補助陰極37と、吸収層38cと、封止体40とを備えている。補助陰極37は、陰極36の表面に形成されており、吸収層38cと同層に配置されている。
図8に示すように、吸収層38cは、例えば、Y軸方向に沿って、画素2の4辺のうちY軸方向に沿った辺の長さよりも短い所定の長さで略等間隔を隔てて配置されている。補助陰極37は、互いに隣り合う画素2同士の間に選択的に配置されているとともに、吸収層38cに平面的に重ならないように配置されている。補助陰極37は、例えば、互いに隣り合う画素2に亘って連なって形成されており、X軸方向に沿って延在するように配置されている。なお、図8では、構成をわかりやすく示すため、吸収層38cおよび補助陰極37に斜線を施して表示している。
図9(b)に示すように、補助陰極37は、基体20の外周部に至るまで延在しており、陰極用配線36aの一部に平面的に重なっている。補助陰極37は、陰極36に電気的に接続されているとともに、陰極用配線36aに電気的に接続されている。補助陰極37は、陰極36に電気的に接続させることにより、陰極36の電気抵抗を低減するためのものである。補助陰極37は、吸収層38cと同様に画素2同士の間に選択的に配置されているため、有機機能層30から陰極36側に射出された発光光を遮らない。
補助陰極37の材料は、導電性の高い金属材料であることが好ましく、例えば、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、金(Au)等を好適に用いることができる。補助陰極37の材料は、アルカリ金属やアルカリ土類金属等であってもよい。また、補助陰極37の材料は、仕事関数が大きな金属であってもよい。
補助陰極37は、例えば、真空蒸着法により、補助陰極37に対応する位置に開口部を有するマスクを用いて、陰極36上に選択的に補助陰極37の材料を成膜することにより形成される。補助陰極37を図8に示すような平面形状に形成する場合、例えば、第1の実施形態に係る吸収層38の形成に用いるマスクと同様のマスクを図8のX軸方向に沿ってスライドさせて、補助陰極37の材料を蒸着することで形成することができる。なお、補助陰極37は、陰極36の表面に電気的に接続させて形成するため、吸収層38cより先に形成することが好ましい。
このとき、陰極36の電気抵抗を低減するため、補助陰極37の体積は大きい方が好ましい。補助陰極37は有機機能層30から陰極36側に射出された発光光を遮らないので、補助陰極37の膜厚は厚くてもよく、封止体40に接触しない範囲であれば適宜設定することができる。また、補助陰極37の幅は、画素2の領域に平面的に重ならない範囲であれば適宜設定することができる。
補助陰極37と吸収層38cとは平面的に重ならないように配置されているので、補助陰極37の膜厚と吸収層38cの膜厚を、封止体40に接触しない範囲で個別に適宜設定することができる。また、この構成によれば、補助陰極37と吸収層38cとを積層する構成としたときに、補助陰極37と吸収層38cとの密着性が不十分となる等により剥離し易くなる場合や、補助陰極37と吸収層38cとの材料間で品質的な影響が考えられる場合等に、このようなリスクを回避できる。
補助陰極37を、陰極36および吸収層38cと同様に真空蒸着法により形成すれば、陰極36の製造装置を用いて陰極36の製造工程と同様の工程で形成することができる。したがって、従来の有機EL装置の製造方法と比較して、製造工程を煩雑にすることなく、有機EL装置200を製造することができる。
第4の実施形態に係る有機EL装置200では、第1の実施形態に係る有機EL装置100と同様に、酸素や水分を吸収する吸収層38cを備えているので、有機EL素子8の劣化を抑制できる。有機EL装置200では、さらに、陰極36の表面に形成された補助陰極37を備えていることにより、陰極36の電気抵抗が低減されるので、陰極36に電流が流れる際の電圧降下を小さくすることができる。これにより、有機EL素子8の発光輝度を高めることができる。
また、補助陰極37により陰極36の電気抵抗が低減されるので、陰極36の材料として導電性が低いが酸素や水分と反応しにくい材料を用いることが可能となる。一方、吸収層38cにより雰囲気中の酸素や水分が吸収されるので、陰極36の材料として酸素や水分と反応し易いが仕事関数が小さい材料を用いることも可能である。このように、吸収層38cと補助陰極37とを備えることにより、陰極36の材料の選択における自由度がより高められる。
なお、補助陰極37および吸収層38cの平面形状および配置は上記の形態に限定されない。補助陰極37と吸収層38cとのX軸方向およびY軸方向における位置関係が入れ替わっていてもよい。補助陰極37と吸収層38cとは、互いに交差していてもよいし、互いに一部が平面的に重なっていてもよい。補助陰極37は、所定の長さで略等間隔を隔てて配置されていてもよいし、陰極用配線36aに接続されていなくてもよい。補助陰極37は、透光性が得られる膜厚であれば、陰極36を覆うように形成されていてもよい。
また、第2の実施形態に係る有機EL装置110または第3の実施形態に係る有機EL装置120において、補助陰極37がさらに備えられた構成としてもよい。
(第5の実施形態)
次に、第5の実施形態に係る有機EL装置の構成について図を参照して説明する。図10は、第5の実施形態に係る有機EL装置が備える吸収層および補助陰極の配置を示す平面図である。なお、上記の実施形態と共通する構成要素については同一の符号を付しその説明を省略する。
第5の実施形態に係る有機EL装置210は、第4の実施形態に係る有機EL装置200に対して、補助陰極37aおよび吸収層38dの平面形状および配置が異なっているが、その他の構成は同じである。
図10(a)に示すように、有機EL装置210が備える補助陰極37aおよび吸収層38dは、同一パターンかつ同一ピッチで交互に配置されている。吸収層38dは、例えば、互いに隣り合う画素2同士の間に、Y軸方向に沿って一列置きに配置されている。補助陰極37aは、吸収層38dが配置されていない画素2同士の間に、Y軸方向に沿って一列置きに配置されている。補助陰極37aおよび吸収層38dは、同じ長さで略等間隔を隔てて配置されている。
このように、補助陰極37aおよび吸収層38dが同一パターンかつ同一ピッチで交互に配置されているので、マスクを用いて真空蒸着法により補助陰極37aおよび吸収層38dを形成する際に、同一のマスクを使用することができる。この場合、補助陰極37aを形成した後、マスクを補助陰極37aの1/2ピッチ分(画素2の1ピッチ分)X軸方向にスライドさせて吸収層38dを形成すればよい。これにより、製造工程を容易にできる。
なお、補助陰極37aおよび吸収層38dの平面形状および配置は上記の形態に限定されない。補助陰極37aおよび吸収層38dは、X軸方向に沿って一列置きに配置されていてもよい。
補助陰極37aおよび吸収層38dの平面形状および配置は、図10(b)に示すようであってもよい。すなわち、補助陰極37aおよび吸収層38dは、X軸方向に沿う部分とY軸方向に沿う部分とが直交するように形成され、X軸方向およびY軸方向において互いに隣り合う4つの画素2の角部に挟まれるように配置されている。
また、図10(b)では、吸収層38dは、X軸方向およびY軸方向において一列置きに配置されており、補助陰極37aは、吸収層38dが配置されていない位置に、X軸方向およびY軸方向において一列置きに配置されている。この場合、補助陰極37aを形成した後、マスクを補助陰極37aの1/2ピッチ分(画素2の1ピッチ分)X軸方向またはY軸方向にスライドさせて吸収層38dを形成すればよい。
(第6の実施形態)
次に、第6の実施形態に係る有機EL装置の構成について図を参照して説明する。図11は、第6の実施形態に係る有機EL装置が備える吸収層および補助陰極の配置を示す断面図である。なお、上記の実施形態と共通する構成要素については同一の符号を付しその説明を省略する。
第6の実施形態に係る有機EL装置220は、第4の実施形態に係る有機EL装置200、第5の実施形態に係る有機EL装置210に対して、補助陰極37bおよび吸収層38eが積層されている点が異なっているが、その他の構成は同じである。
図11に示すように、有機EL装置220では、陰極36の表面に形成された補助陰極37b上に吸収層38eが積層されている。補助陰極37bおよび吸収層38eは、図示しないが、平面的に同一パターンかつ同一ピッチで配置されている。補助陰極37bおよび吸収層38eの平面形状および平面的な配置は、上記実施形態のいずれと同じであってもよい。
このように、補助陰極37bおよび吸収層38eが同一パターンかつ同一ピッチで配置されているとともに積層されているので、マスクを用いて真空蒸着法により補助陰極37bおよび吸収層38eを形成する際に、同一のマスクを使用することができるとともに、マスクの位置をスライドさせることが不要となる。したがって、製造工程をより容易にできる。
なお、有機EL装置220において、補助陰極37bおよび吸収層38eが同じ材料で形成されていてもよい。換言すれば、吸収層38eが導電性を有する材料で厚く形成されており、吸収層38eが補助陰極37bとしての役割を兼ねていてもよい。
(第7の実施形態)
次に、第7の実施形態に係る有機EL装置の構成について図を参照して説明する。図12は、第7の実施形態に係る有機EL装置の概略構成を示す断面図である。なお、上記の実施形態と共通する構成要素については同一の符号を付しその説明を省略する。
第7の実施形態に係る有機EL装置300は、上記の実施形態に係る有機EL装置に対して、有機EL素子を封止する構造として、缶形状の封止体の代わりに封止層と封止基板とを備えている点が異なっているが、その他の構成は同じである。
ここでは、第4の実施形態に係る有機EL装置200の構成において、缶形状の封止体の代わりに封止層と封止基板とを備えている場合を例に取り説明する。したがって、有機EL装置300の概略構成を示す平面図として、図8を参照することができる。図12(a)は図8のC−C線に沿った部分断面に相当し、図12(b)は図8のD−D線に沿った部分断面に相当する。
図12(a)に示すように、有機EL装置300は、基体20と、陽極24(図3参照)と、絶縁層26と、隔壁28と、有機機能層30(図3参照)と、陰極36と、補助陰極37と、吸収層38cと、封止層44とを備えている。
封止層44は、基体20上に、陰極36と、補助陰極37と、吸収層38cとを覆うように配置されている。図12(b)に示すように、封止層44は、基体20の周縁部まで形成されており、陰極36と、補助陰極37と、吸収層38cとの上面や側面を含む表面を覆っている。封止層44は、有機EL素子8(図示しない)を封止し、大気中の酸素や水分等を遮断するためのものである。
封止層44は、酸素や水分が侵入しにくい無機材料からなり、例えば、SiO2、SiN、SiON等からなる。封止層44は、緻密な膜であることが望ましい。封止層44は、例えば、ECRスパッタ法やイオンプレーティング法等の高密度プラズマ成膜法を用いて形成される。封止層44は、2つ以上の層が積層された構成を有していてもよい。
封止層44上には、封止基板48と、接着層46とが配置されている。封止基板48および接着層46は、外部からの機械的衝撃に対して有機EL素子8を保護する緩衝機能を有している。接着層46は、封止層44を覆うように形成されている。接着層46は、封止層44上に封止基板48を固定させている。接着層46は、例えば、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリオレフィン系樹脂等からなる。封止基板48は、接着層46上に設けられている。封止基板48は、ガラス類、またはアクリル系樹脂やスチレン系樹脂等の樹脂類からなる。このような構成によれば、有機EL装置300を、缶状の封止体40を備えた有機EL装置200よりも薄型化することができる。
ところで、封止層44と同様の封止層で封止された構造を有する有機EL装置では、製造工程において、封止層にピンホールやクラックが発生する場合がある。また、有機EL装置の使用環境においても、封止層にクラックが発生することが考えられる。封止層にピンホールやクラックが発生すると、そこから酸素や水分等が侵入して有機EL素子が劣化することとなる。
そこで、従来の有機EL装置では、封止層のピンホールやクラックから侵入した酸素や水分を吸収するために、封止層と有機EL素子との間に有機EL素子を覆うように酸素や水分を吸収する吸収層を配置する構成が多く用いられていた。しかしながら、このような構成によれば、吸収層が有機EL素子から射出される発光光の透過量を少なくするため、封止層側から発光光を取り出すトップエミッション構造の場合、有機EL装置の輝度が低下してしまうという課題があった。
本実施形態に係る有機EL装置300では、封止層44に万が一ピンホールやクラックが発生した場合に、ピンホールやクラックから侵入した酸素や水分を吸収する吸収層38cが、画素2同士の間に選択的に配置されている。このため、有機機能層30から陰極36側に射出された発光光は、吸収層38cで遮られることなく封止層44側に射出される。したがって、封止層44側から発光光を取り出すトップエミッション構造において、有機EL装置の輝度を向上することができる。
なお、本実施形態に係る有機EL装置300における、封止層44により有機EL素子8を封止する構成は、上記いずれの実施形態における有機EL装置に適用してもよい。
<電子機器>
上記の実施形態有機EL装置100,110,120,200,210,220,300は、例えば、図13に示すように、電子機器としての携帯電話機500に搭載して用いることができる。携帯電話機500は、表示部502に有機EL装置100,110,120,200,210,220,300を備えている。この構成により、表示部502を有する携帯電話機500は優れた表示品質と寿命とを有している。
また、電子機器は、電子ブック、パーソナルコンピュータ、デジタルスチルカメラ、ビューファインダ型あるいはモニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置等であってもよい。さらに、有機EL装置100,110,120,200,210,220,300は、電子機器としての電子写真方式の画像形成装置等における露光手段として用いることも可能である。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態に対しては、本発明の趣旨から逸脱しない範囲で様々な変形を加えることができる。変形例としては、例えば以下のようなものが考えられる。
(変形例1)
上記実施形態の有機EL装置は、封止体40または封止層44により有機EL素子8を封止する構成であったが、上記の形態に限定されない。上記実施形態の有機EL装置が有する吸収層や補助陰極を備えた構成は、上記実施形態以外の封止構造(有機EL素子を封止し大気中の酸素や水分等を遮断する構造)においても適用可能である。
(変形例2)
上記実施形態の有機EL装置は、画素部3に実発光領域4とダミー領域5とを有する構成であったが、上記の形態に限定されない。有機EL装置は、画素部3にダミー領域5を有していない構成であってもよい。
(変形例3)
上記実施形態の有機EL装置は、R、G、Bの各発光色が得られる構成であったが、上記の形態に限定されない。有機EL装置は、R、G、B、または白等の単色の発光が得られる構成であってもよい。また、白色の発光色が得られる有機EL素子と、R、G、Bの各色光を選択的に透過する着色層を備えたカラーフィルタとを組み合わせることにより、カラー表示を行う構成であってもよい。
(変形例4)
上記実施形態の有機EL装置は、有機機能層30から発した光が陰極36側に射出されるトップエミッション方式であったが、上記の形態に限定されない。有機EL装置は、有機機能層30から発した光が基体20側に射出されるボトムエミッション方式であってもよい。有機EL装置がボトムエミッション方式である場合は、基板10の材料として透光性材料が用いられるとともに、封止体40または封止基板48の材料として透光性材料の他に不透光性材料を用いることができる。
第1の実施形態に係る有機EL装置の電気的構成を示すブロック図。 第1の実施形態に係る有機EL装置の概略構成を示す平面図。 第1の実施形態に係る有機EL装置の概略構成を示す断面図。 第1の実施形態に係る有機EL装置が備える吸収層の配置を示す平面図。 第1の実施形態に係る有機EL装置が備える吸収層の配置を示す断面図。 第2の実施形態に係る有機EL装置が備える吸収層の配置を示す平面図。 第3の実施形態に係る有機EL装置が備える吸収層の配置を示す平面図。 第4の実施形態に係る有機EL装置の概略構成を示す平面図。 第4の実施形態に係る有機EL装置の概略構成を示す断面図。 第5の実施形態に係る有機EL装置が備える吸収層および補助陰極の配置を示す平面図。 第6の実施形態に係る有機EL装置が備える吸収層および補助陰極の配置を示す断面図。 第7の実施形態に係る有機EL装置の概略構成を示す断面図。 本実施の形態における電子機器を示す図。
符号の説明
2…画素、3…画素部、4…実発光領域、5…ダミー領域、8…有機EL素子、10…基板、11,12…TFT素子、13…保持容量、14…データ線駆動回路、15…走査線駆動回路、16…走査線、17…信号線、18…電源線、19…検査回路、20…基体、22…回路層、24…陽極、26…絶縁層、26a…開口部、28…隔壁、28a…開口部、30…有機機能層、32…正孔輸送層、34…発光層、36…陰極、36a…陰極用配線、37…補助陰極、38…吸収層、40…封止体、40a…凹部、42,46…接着層、44…封止層、48…封止基板、100,110,120,200,210,220,300…有機EL装置、500…携帯電話機、502…表示部。

Claims (9)

  1. 基板と、
    前記基板上に配列された画素と、
    前記基板上に、前記画素に対応して形成された第1の電極と、
    前記第1の電極上に形成された少なくとも発光層を含む有機機能層と、
    前記有機機能層上に形成された第2の電極と、
    前記第2の電極上に形成されており、互いに隣り合う前記画素同士の間に選択的に配置された吸収層と、
    を備えたことを特徴とする有機EL装置。
  2. 請求項1に記載の有機EL装置であって、
    前記吸収層は、互いに隣り合う前記画素に亘って連なって形成されていることを特徴とする有機EL装置。
  3. 請求項1または2に記載の有機EL装置であって、
    前記画素はマトリクス状に配列されており、
    前記吸収層は、前記画素の行方向および列方向において、互いに隣り合う前記画素同士の間に形成されていることを特徴とする有機EL装置。
  4. 請求項1から3のいずれか一項に記載の有機EL装置であって、
    前記第2の電極の表面に形成されており、前記吸収層と同層または前記吸収層よりも下層に配置された第3の電極をさらに備えたことを特徴とする有機EL装置。
  5. 請求項4に記載の有機EL装置であって、
    前記第3の電極は、互いに隣り合う前記画素同士の間に選択的に配置されているとともに、前記吸収層に平面的に重ならないように配置されていることを特徴とする有機EL装置。
  6. 請求項5に記載の有機EL装置であって、
    前記第3の電極および前記吸収層は、同パターンかつ同ピッチで交互に配置されていることを特徴とする有機EL装置。
  7. 請求項4に記載の有機EL装置であって、
    前記第3の電極および前記吸収層は、同パターンかつ同ピッチで配置されているとともに積層されていることを特徴とする有機EL装置。
  8. 請求項7に記載の有機EL装置であって、
    前記第3の電極および前記吸収層は、同じ材料からなることを特徴とする有機EL装置。
  9. 請求項1から8のいずれか一項に記載の有機EL装置を備えたことを特徴とする電子機器。
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