JP2008233670A - サウンドマスキングシステム、マスキングサウンド生成方法およびプログラム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明に係るマスキングサウンド生成装置10は、入力された音信号(人間の声など)がスクランブルされた音信号と、ランダムノイズ(ホワイトノイズなど)とが、それぞれの音量レベルのバランスが調整された上でミキシングされてマスキングサウンドを生成する。その際、それら音信号の音量レベルのバランスなど、生成されるマスキングサウンドの特性(マスキング効果の高さおよび不快感や違和感など)に影響を持つパラメータはユーザの所望の値に調整される。
【選択図】図7
Description
(A;構成)
(A−1;全体構成)
図1は、本発明に係るサウンドマスキングシステム1の構成を示す図である。図1に示すように、音響空間20には、マイクロホン30、およびスピーカ40が天井から吊り下げられて設置されている。
スピーカ40は、マスキングサウンド生成装置10からアナログの音信号を受取り、音響空間20に向けて放音する。
また、前記スピーカ40の再生エリアにマイクロホン30が含まれないように、前記スピーカ40の再生エリアが設定される。これは、スピーカから再生された音が再びマイクロホンで収音されることで、ハウリングを発生しないようにするためである。
次に、マスキングサウンド生成装置10の構成について図2を参照して説明する。マスキングサウンド生成装置10は、マスキングサウンド(マスカー)を表す音信号を生成する。該マスキングサウンドは音響空間20において放音され、音響空間20におけるユーザの会話の内容を他のユーザに聞きとられにくくしたり(セキュリティーの保護)、他のユーザが発する音声により会話が妨害されたり作業の集中を乱されたりしないようにする(騒音のマスキング)。
図3は、操作部300の構成を示した図である。操作部300は、バランス制御部310と、動作モード選択部320と、音源選択部330と、無意味音声選択部340と、プリセットモード選択部350を有する。ユーザによりタッチパネル上の特定の領域が押下されると、該領域は同図に例示されているように選択された領域が網掛け表示されると共に、対応する選択肢が選択されたことを示す信号がCPU100に出力される。また、操作部300は、マスタボリューム部360を有する。マスタボリューム部360には、ボリューム表示窓360aおよび調整アイコン360bがあり、調整アイコン360bの押下に応じてボリューム表示窓360aの数字がインクリメントまたはデクリメントされると共に、ボリューム表示窓360aに表示された数字を示す信号がCPU100に出力される。なお、以下では、上記の信号をそれぞれバランス制御情報、動作モード選択情報、音源選択情報、無意味音声選択情報、プリセットモード選択情報、マスタボリューム情報と呼び、これらの情報をまとめて「パラメータ情報」と呼ぶ。
ROM210は、各種の記憶領域を有する。該記憶領域には、本発明に特徴的な機能をCPU100に実行させるための各種データや制御プログラムが格納されている。
RAM220は、各種の記憶領域を有する。該記憶領域は、CPU100によってワークエリアとして利用されると共に、マイクロホン30から受取った音信号やマスキングサウンドの音信号の生成に係る各種データを記憶する。
以上に説明した各ユニットは、バス600を介して接続されており、互いにデータが授受される。
以下では、ROM210に記憶されているデータについて説明する。ROM210は、無意味音信号記憶領域、ランダムノイズ波形データ記憶領域、プリセットデータ記憶領域、およびバランステーブル記憶領域を有し、それぞれ無意味音信号、ランダムノイズ波形データ、プリセットデータ、およびバランステーブルが記憶されている。
次に、ROM210に記憶されている制御プログラムについて説明する。CPU100は、制御プログラムを実行することにより、以下に説明する処理を始めとする各種の処理を実行する。
次に、本実施形態の動作について説明する。図6は、CPU100が実行するマスキングサウンド生成処理の流れを示すフローチャートである。図7は、マスキングサウンド生成装置10における各種データの流れを概念的に示した図である。
本実施形態では、1ないし3の3つの動作モードが設けられている。以下では、動作モード1ないし3のそれぞれについて説明する。
以下では、動作モード1が選択された場合の動作を説明する。本動作モードは、マスキングサウンドの生成処理に係る全てのパラメータ値がユーザにより操作部300を介して設定される。
ステップSA110において、CPU100は、操作部300からパラメータ情報を受取り、受取ったパラメータ情報を、RAM220の「パラメータ記憶領域」に書き込む。各パラメータの値がパラメータ記憶領域に書き込まれることにより、マスキングサウンドの生成に係るパラメータが設定され、CPU100は、以下の処理において設定されたパラメータを用いてマスキングサウンドを生成する。
ステップSA130において、CPU100は、RAM220の音信号バッファ領域に書き込まれた音信号を読み出し、音響特性分析処理を実行する。CPU100は、分析結果である周波数領域のスペクトルを、RAM220の「音響特性記憶領域」に書き込む。
上記の処理は以下のような効果を奏する。すなわち、上述したように、マスキングサウンドの周波数特性が対象音の周波数特性に近似しているほどそのマスキング効果は大きい。従って、本処理によりホワイトノイズのマスキング効果は更に高まると共に、音響空間20で会話をするユーザにとっては、自らの空間にもともとあったノイズと周波数特性が近似したノイズを含むマスキングサウンドがスピーカ40から放音されることから、該マスキングサウンドに対する違和感が抑制される。
音声出力部500において、D/Aコンバータ510は、受取った音信号をアナログの音信号に変換し、アンプ520に出力する。
ステップSA190において、CPU100は、RAM220のパラメータ記憶領域のマスタボリューム情報を読み出し、アンプ520の増幅率を設定する。アンプ520は、設定された増幅率により本システムのマスタボリューム(最終音量)を決定する。
ステップSA200において、アンプ520は、受取った音信号を設定された増幅率で増幅し、該音信号を出力端子530を介して出力する。
動作モード1においては、それら2つのタイプの音信号をミキシングする際のレベルの相対比率は、ユーザにより任意に指定される。前者(インフォメーションマスキング)の割合が多くなるように設定された場合には、不快感や違和感が大きくなる恐れがあるものの、高いマスキング効果が奏される。一方、後者(エネルギーマスキング)の割合が高く設定された場合には、マスキング効果に高い音量レベルが要求されるが、ユーザに引き起こす不快感や違和感が低いマスキングサウンドが生成される。
以下では、動作モード2が選択された場合の動作を説明する。本動作モードは、マスキングサウンドの不快感や違和感を許容範囲に抑えながらもマスキング効果が最大に保たれるように、マスキングサウンドの生成処理に係る複数のパラメータが連動して制御される動作モードである。本動作モードにおける基本的な動作は動作モード1と同様であるが、マスキングサウンドの生成に係るパラメータの設定方法が異なるため、以下ではパラメータ値の設定方法を中心に説明し、他の処理については説明を省略する。
ステップSA110において、CPU100はパラメータ情報を受取り、該パラメータ情報に書き込まれたパラメータ値をRAM220のパラメータ記憶領域に書き込む。
以下では、動作モード3が選択された場合の動作を説明する。本動作モードは、ユーザにより予め設定されたパラメータ条件に従ってマスキングサウンドが生成される動作モードである。動作モード2と同様に、本動作モードにおける基本的な動作は動作モード1と同様であるが、マスキングサウンドの生成に係るパラメータ値の設定方法が異なるため、以下ではパラメータ値の設定方法についてのみ説明する。
なお、プリセットデータにより設定されたパラメータを更に操作部300を介して微調整可能にしても良い。
以上に説明したように、本発明に係るマスキングサウンド生成装置10においては、人間の音声などから生成されたノイズ(インフォメーションマスキング)と、ランダムノイズから生成されたノイズ(エネルギーマスキング)とがミキシングされマスキングサウンドが生成される。その際、生成されるマスキングサウンドにおいては、動作モードに応じて上記の異なる特性を有する音のレベルの相対比率およびマスタボリュームは最適に制御される。その結果、十分なマスキング効果を有しながらも不快感や違和感が所定の範囲に抑えられたマスキングサウンドが生成される。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、かかる実施形態に以下に述べるような変形を加えても良いことは勿論である。また、以下に述べる変形を組み合わせて用いてもよい。
すなわち、CPU100は、受取った音信号の各フレームを一旦時間軸領域の信号に変換する。そして、該音信号の各フレームを時間軸において逆から読み出し、各音信号を新たな音信号へ変換する。上記の処理は、すなわち元の音信号が生成された順序とは逆の時間的順序で古いデータから読み出して新たな音信号を生成する処理である。上記の処理により生成された音信号からは、処理前の音信号に含まれていた内容を理解することはできない。
例えば、以下ではまず、上記実施形態と同様に、インフォメーションマスキングの音信号とエネルギーマスキングの音信号のマスキング効率が大きく異なる場合(ケース1)について説明する。インフォメーションマスキングの音量レベルが所定の割合だけ低くなるように相対比率が変更された場合には、マスキング効率を該変更前と同等に保つためには、エネルギーマスキングの音量レベルの増加分をインフォメーションマスキングの音量レベルの減少分より大きくする必要があるため、結果的に両者を合わせた音量レベルを高く設定する必要がある。
それに対し、インフォメーションマスキングの音信号とエネルギーマスキングの音信号のマスキング効率に大きな差がない場合(ケース2)について考える。その場合、インフォメーションマスキングの音量レベルが所定の割合だけ低くなるように相対比率が変更された場合には、マスキング効率を該変更前と同等に保つためには、エネルギーマスキングの音量レベルの増加分をケース1における増加分ほどには増大させる必要が無いため、両音信号を合わせた音量レベルはケース1における増大分ほどには増大させる必要はない。
以上に説明したように、インフォメーションマスキングとエネルギーマスキングの相対比率とマスタボリュームの対応関係は、マスキングサウンドの生成に用いられる音信号に固有のマスキング効果の度合い、音響空間20の音響特性、音響空間20の利用目的、ユーザの嗜好などを考慮して作成されていれば良い。
以上の音響処理を施すことにより、更に違和感の少ないマスキングサウンドが生成される。
Claims (14)
- 音信号を受取る受取手段と、
前記受取手段が受取った音信号を所定時間長の区間に分割して再構成することにより、前記分割した各区間の時系列を変更したスクランブル信号を生成するスクランブル手段と、
ランダムノイズを表すノイズ信号を記憶する記憶手段と、
前記スクランブル手段により生成された前記スクランブル信号と、前記記憶手段に記憶されたノイズ信号を混合して出力する出力手段と
を有することを特徴とするサウンドマスキングシステム。 - 音信号を所定時間長の区間に分割して再構成することにより、前記分割した各区間の時系列を変更して生成されたスクランブル信号およびランダムノイズを表すノイズ信号を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶されたスクランブル信号およびノイズ信号を混合して出力する出力手段と
を有することを特徴とするサウンドマスキングシステム。 - 前記出力手段は、前記スクランブル信号と前記ノイズ信号とをそれぞれ所定のレベルでミキシングして出力することを特徴とする請求項1または2に記載のサウンドマスキングシステム。
- 複数のスピーカを更に有し、
前記出力手段は、前記スクランブル信号と前記ノイズ信号とをそれぞれ別の前記複数のスピーカに出力することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のサウンドマスキングシステム。 - 前記スクランブル信号と前記ノイズ信号の各レベルを調整するレベル調整手段と、
前記レベル調整手段が前記スクランブル信号と前記ノイズ信号のレベルを調整するにあたりそのレベルの相対値を指定する指定手段と
を更に有し、
前記レベル調整手段は、前記指定手段により指定されたレベルの相対値に基づいて前記スクランブル信号と前記ノイズ信号のレベルを調整してから前記出力手段に出力することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のサウンドマスキングシステム。 - 前記記憶手段は、更に前記レベルの相対値が予め書き込まれた複数のデータを記憶し、
前記指定手段は、前記記憶手段に記憶された複数のデータから前記レベルの相対値を選択する
ことを特徴とする請求項5に記載のサウンドマスキングシステム。 - 前記記憶手段は、互いに異なる音から生成したスクランブル信号を複数記憶することを特徴とする請求項2に記載のサウンドマスキングシステム。
- 音信号を受取る受取手段と、
前記受取手段が受取った音信号の周波数特性を解析する解析手段と、
前記解析手段が解析した周波数特性に基づいて前記スクランブル信号の周波数特性を変換する変換手段と
を更に有することを特徴とする請求項2に記載のサウンドマスキングシステム。 - 前記ノイズ信号は、ホワイトノイズまたはピンクノイズであることを特徴とする請求項1ないし8に記載のサウンドマスキングシステム。
- 前記受取手段が受取った音信号の周波数特性を解析する解析手段と、
前記解析手段が解析した周波数特性に基づいて前記ノイズ信号の周波数特性を変換する変換手段と
を更に有することを特徴とする請求項1に記載のサウンドマスキングシステム。 - 音信号を受取る受取段階と、
前記受取段階において受取った音信号を所定時間長の区間に分割して再構成することにより、前記分割した各区間の時系列を変更したスクランブル信号を生成するスクランブル段階と、
ランダムノイズを表すノイズ信号を記憶装置に記憶する記憶段階と、
前記スクランブル段階において生成された前記スクランブル信号と、前記記憶装置に記憶されたノイズ信号を混合して出力する出力段階と
を有することを特徴とするマスキングサウンド生成方法。 - 音信号を所定時間長の区間に分割して再構成することにより、前記分割した各区間の時系列を変更して生成されたスクランブル信号およびランダムノイズを表すノイズ信号を記憶装置に記憶する記憶段階と、
前記記憶装置に記憶されたスクランブル信号およびノイズ信号を混合して出力する出力段階と
を有することを特徴とするサウンドマスキングシステム。 - コンピュータを、
音信号を受取る受取手段と、
前記受取手段が受取った音信号を所定時間長の区間に分割して再構成することにより、前記分割した各区間の時系列を変更したスクランブル信号を生成するスクランブル手段と、
ランダムノイズを表すノイズ信号を記憶する記憶手段と、
前記スクランブル手段により生成された前記スクランブル信号と、前記記憶手段に記憶されたノイズ信号を混合して出力する出力手段
として機能させるためのプログラム。 - コンピュータを、
音信号を所定時間長の区間に分割して再構成することにより、前記分割した各区間の時系列を変更して生成されたスクランブル信号およびランダムノイズを表すノイズ信号を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶されたスクランブル信号およびノイズ信号を混合して出力する出力手段
として機能させるためのプログラム。
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