以下、本発明の具体的な実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は本発明の実施形態に係る画像形成装置の概略構成図である。図示した画像形成装置1は、記録媒体として取り扱う連続用紙2に画像を形成する電子写真式のカラー印刷装置である。画像形成装置1は、大きくは、用紙供給部3と、複数の画像形成部4,5,6,7と、用紙収容部8と、定着器9と、用紙搬送装置とを備えた構成となっている。
用紙供給部3は、ロール状に巻かれた連続用紙(ロール紙)2が装着される用紙巻き出し部11を有している。画像形成の対象となる連続用紙2は、回転する用紙巻き出し部11から順に巻き出される。
複数の画像形成部4,5,6,7は、それぞれ異なる色の可視画像を形成し、この可視画像を連続用紙2に転写するものである。画像形成装置1がイエロー、マゼンタ、シアン及びブラックといった4色のトナーを用いてフルカラーの画像を形成するものとすると、画像形成部4は、イエローのトナーを用いて可視画像を形成し、画像形成部5は、マゼンタのトナーを用いて可視画像を形成し、画像形成部6は、シアンのトナーを用いて可視画像を形成し、画像形成部7は、ブラックのトナーを用いて可視画像を形成する。以降の説明では、各々の画像形成部4,5,6,7でトナーを用いて形成される可視画像を「トナー画像」とも記す。
各々の画像形成部4,5,6,7は、用紙搬送方向の上流側から下流側に向かって順に配置されている。すなわち、用紙搬送方向において、画像形成部5は画像形成部4の下流側に配置され、画像形成部6は画像形成部5の下流側に配置され、画像形成部7は画像形成部6の下流側に配置されている。ちなみに、用紙搬送方向は、連続用紙2の長さ方向に相当し、用紙搬送方向と直交する方向は、連続用紙2の幅方向に相当する。
各々の画像形成部4,5,6,7は互いに共通の構成を有するものである。したがって、ここでは画像形成部4の構成を代表例として説明する。画像形成部4にはドラム形状の感光体(以下、「感光体ドラム」と記す)401が設けられている。感光体ドラム401は所定の速度で矢印方向に回転するものである。感光体ドラム401の周囲には、当該感光体ドラム401の回転方向に沿って帯電器402、レーザ露光器403、現像器404、転写ロール405、クリーナブレード406、除電器407が順に設けられている。また、用紙搬送方向において、転写ロール405の両側(上流側と下流側)には案内ロール408,409が設けられている。
帯電器402は、感光体ドラム401の表面を一様な電位に帯電させるものである。レーザ露光器403は、感光体ドラム401の表面にレーザ光の露光走査によって静電潜像を形成するものである。現像器404は、感光体ドラム401の表面に形成された静電潜像をトナーによって現像するものである。転写ロール405は、感光体ドラム401の表面に形成されたトナー画像を用紙に転写するものである。クリーナブレード406は、感光体ドラム401に残留する不要なトナーを取り除くものである。除電器407は、感光体ドラム401に残留する不要な電荷を取り除くものである。案内ロール408,409は、感光体ドラム401と転写ロール405の間を通過する連続用紙2の搬送を案内するものである。
用紙収容部8は、連続用紙2を巻き取るための用紙巻き取り部12を有している。用紙搬送の途中で画像が形成された連続用紙2は、回転する用紙巻き取り部12によってロール状に巻き取られる。
定着器9は、各々の画像形成部4,5,6,7によって連続用紙2に形成(転写)されたトナー画像を紙面に定着させるものである。定着器9は、光の照射によって画像の定着を行なう光定着装置、さらに詳しくは、用紙搬送方向に並べられた複数のフラッシュランプを用いて画像の定着を行なうフラッシュ定着装置によって構成されている。この定着器9は、連続用紙2に形成されたトナー画像を、フラッシュランプの発光による熱エネルギーを利用して用紙に定着させる。
用紙搬送装置は、用紙供給部3から複数の画像形成部4,5,6,7を経由して用紙収容部8に至る用紙搬送路に沿って連続用紙2を搬送するものである。用紙搬送装置は、主として、第1の用紙搬送機構部13と第2の用紙搬送機構部14とに分けられる。第1の用紙搬送機構部13は用紙搬送方向で画像形成部4の上流側に配置され、第2の用紙搬送機構部14は用紙搬送方向で画像形成部7の下流側に配置されている。
第1の用紙搬送機構部13は、用紙供給部3から画像形成部4に至る用紙搬送路上で連続用紙2を搬送するものである。第1の用紙搬送機構部13は、案内ロール15、逆張力付与部16、第1の用紙位置補正部17、搬送案内部材18、案内ロール19、搬送基準ロール20、バックアップロール21、案内ロール22を備えた構成となっている。
案内ロール15は、用紙供給部3から用紙巻き出し部11の回転にしたがって巻き出される連続用紙2を逆張力付与部16に向けて案内するものである。逆張力付与部16は、連続用紙2に対して用紙搬送方向と逆向きの張力(バックテンション)を付与するものである。
第1の用紙位置補正部17は、画像形成部4よりも用紙搬送方向上流側で、用紙幅方向における連続用紙2の位置ずれを補正するものである。第1の用紙位置補正部17に関しては、後段で詳しく説明する。搬送案内部材18は、連続用紙2が巻き掛けられる円弧状の曲面を有し、この曲面に沿って連続用紙2の搬送を案内するものである。案内ロール19は、搬送案内部材18に沿って案内された連続用紙2を搬送基準ロール20に向けて案内するものである。
搬送基準ロール20は、図示しない搬送モータの駆動にしたがって回転するものである。バックアップロール21は、図示しない付勢部材(例えば、ばね部材など)によって搬送基準ロール20に所定の圧力で接触する状態で配置されている。搬送基準ロール20は、バックアップロール21との間に連続用紙2を挟み込んだ状態で回転することにより、連続用紙2に搬送力を付与して当該連続用紙2を搬送するものである。搬送基準ロール20は、連続用紙2の搬送速度を制御するうえで、当該搬送速度を決める基準となる搬送ロールである。このため、搬送基準ロール20の周速は、画像形成部4における感光体ドラム401の周速や、他の画像形成部5,6,7における感光体ドラムの周速と同じ速度に設定されている。搬送基準ロール20の外周部は、連続用紙2との間に滑りが生じないように、摩擦抵抗の高い部材によって形成されている。
これに対して、上述した逆張力付与部16は、連続用紙2を挟み込む一対のロールを用いて構成されている。この逆張力付与部16では、搬送基準ロール20よりも遅い速度で連続用紙2を搬送することにより、当該速度差を利用して連続用紙2に逆張力を付与する仕組みになっている。また、逆張力付与部16を構成する一対のロールの外周部は、連続用紙2との間に滑りを生じるように、搬送基準ロール20よりも摩擦抵抗の低い部材によって形成されている。このため、連続用紙2の搬送速度は、搬送基準ロール20の周速に依存したものとなる。案内ロール22は、搬送基準ロール20によって搬送された連続用紙2を画像形成部4に向けて案内するものである。
第2の用紙搬送機構部14は、画像形成部7から用紙収容部8に至る用紙搬送路上で連続用紙2を搬送するものである。第2の用紙搬送機構部14は、案内ロール23〜26、張力検出ロール27、案内ロール28、搬送案内部材29、ピンチロール30、案内ロール31、第2の用紙位置補正部32、搬送ロール対33、案内ロール34,35を備えた構成となっている。
案内ロール23〜26は、画像形成部7から送り出された連続用紙2の搬送方向を、定着器9を経由するように案内するものである。さらに詳述すると、案内ロール23は、画像形成部7と案内ロール24の間で連続用紙2の搬送を案内し、案内ロール24は連続用紙2の搬送方向を水平方向から垂直方向(上向き)に変換するように案内し、案内ロール25は連続用紙2の搬送方向を垂直方向から水平方向に変換するように案内し、案内ロール26は連続用紙2の搬送方向を水平方向から垂直方向(上向き)に変換するように案内する。定着器9は、案内ロール25から案内ロール26に至る用紙搬送路の途中に設けられている。
張力検出ロール27は、連続用紙2の張力を検出するためのロールであって、案内ロール26と案内ロール28との間で連続用紙2に所定の圧力で接触する状態に配置されている。張力検出ロール27は図の左右方向に移動可能に支持されている。また、張力検出ロール27は、図示しない付勢部材(例えば、ばね部材)によって図の左方向に付勢され、この付勢力をもって連続用紙2に接触している。このため、連続用紙2の張力が相対的に弱まると張力検出ロール27の位置は図の左方向に移動し、連続用紙2の張力が相対的に強まると張力検出ロール27の位置は図の右方向に移動する。したがって、張力検出ロール27の位置が規定の位置にあるか、規定の位置よりも右側にあるか、規定の位置よりも左側にあるかによって、連続用紙2の張力の強さ(強弱)を検出することが可能である。
搬送案内部材29は、連続用紙2が巻き掛けられる円弧状の曲面を有し、この曲面に沿って連続用紙2の搬送を案内するものである。ピンチロール30は、連続用紙2を搬送案内部材29の曲面に押し付けつつ、連続用紙2の走行にしたがって回転するものである。案内ロール31は、搬送案内部材29に沿って案内された連続用紙2を第2の用紙位置補正部32に向けて案内するものである。
第2の用紙位置補正部32は、定着器9よりも用紙搬送方向下流側で、用紙幅方向における連続用紙2の位置ずれを補正するものである。第2の用紙位置補正部32に関しては、後段で詳しく説明する。搬送ロール対33は、当該搬送ロール対33を構成する一対のロールの間に連続用紙2を挟み込んだ状態で回転することにより、連続用紙2を搬送するものである。搬送ロール対33の回転速度は、張力検出ロール27を用いて検出される連続用紙2の張力に基づいて制御(増減)される。すなわち、連続用紙2の張力が規定の下限値を下回ると搬送ロール対33の回転速度が増速され、連続用紙2の張力が規定の上限値を超えると搬送ロール対33の回転速度が減速される。案内ロール34及び案内ロール35は、搬送ロール対33によって搬送された連続用紙2を用紙収容部8に向けて案内するものである。
上記構成からなる画像形成装置1においては、画像形成の対象となる連続用紙2が、第1の用紙搬送機構部13及び第2の用紙搬送機構部14により、用紙供給部3から4つの画像形成部4,5,6,7と定着器9を順に経由して用紙収容部8へと搬送される。その際、案内ロール22から案内ロール23に向けて搬送される連続用紙2に対して、各々の画像形成部4,5,6,7によりイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナー画像が順に転写され、かつ当該トナー画像が定着器9によって定着される。トナー画像の定着を終えた連続用紙2は、案内ロール34と案内ロール35を経由して用紙収容部8に収容される。また、第1の用紙搬送機構部13は、画像形成部4の上流側で連続用紙2を搬送する動作を行ない、第2の用紙搬送機構部14は、画像形成部7の下流側で連続用紙2を搬送する動作を行なう。
また、画像形成部4においては、一定の速度で回転する感光体ドラム401の表面を帯電器402が一様な電位に帯電し、その帯電部分をレーザ露光器403がレーザ光で露光走査することにより、感光体ドラム401の表面に静電潜像を形成する。この静電潜像を現像器404がトナー画像に現像した後、転写ロール405が連続用紙2にトナー画像を転写する。クリーナブレード406は、連続用紙2への画像転写後に感光体ドラム401に残留するトナーを除去する。また、除電器407は、連続用紙2への画像転写後に感光体ドラム401を除電する。これと同様の動作が他の画像形成部5,6,7でも行なわれる。
図2は第1の用紙位置補正部17の構成を示すもので、図中(A)はその斜視図、(B)は(A)のZ矢視図である。なお、図2(A)においては、第1の用紙位置補正部17の構成が容易に理解できるように、図1とは第1の用紙位置補正部17の向きを変えている。第1の用紙位置補正部17には4つの案内ロール41,42,43,44が設けられている。これら4つの案内ロール41〜44は、それぞれ用紙搬送方向に直交する向きで配置されている。各々の案内ロール41〜44の長さは連続用紙2の幅よりも大きく設定されている。また、4つの案内ロール41〜44は用紙幅方向から見て横U字形の用紙搬送路を形成し、この用紙搬送路上で連続用紙2が各々の案内ロール41,42,43,44に巻き掛けられている。このため、搬送基準ロール20による搬送力を受けて連続用紙2が用紙搬送方向に走行すると、これにしたがって各々の案内ロール41,42,43,44が回転する。
上記4つの案内ロール41,42,43,44のうち、用紙搬送方向の上流側から数えて3つ目までの案内ロール41,42,43の回転軸は互いに平行に配置されている。これに対して、用紙搬送方向で最も下流側に配置された案内ロール44の回転軸は、当該案内ロール44の一端を支点にして当該案内ロール44の他端を図中矢印方向に移動可能に支持することにより、第1の傾き方向Y1と第2の傾き方向Y2に傾斜する構成になっている。この案内ロール44は、「第1の回転部材」として設けられたものである。案内ロール44の回転軸の傾き方向として、第2の傾き方向Y2は、用紙搬送方向と直交する軸を基準にして、案内ロール44から連続用紙2が送り出される方向になっており、第1の傾き方向Y1は、第2の傾き方向Y2と反対の方向になっている。
また、案内ロール43から案内ロール44に至る用紙搬送路の途中にはコ字形の用紙位置検出センサ45が配置されている。用紙位置検出センサ45は、用紙搬送路上で用紙幅方向の用紙端位置を検出する「第1の検出手段」として設けられたものである。
用紙位置検出センサ45は、例えば図3に示すように、発光器46と受光器47を用いて構成されている。発光器46は、ライン状に配列された複数の発光素子(例えば、発光ダイオード等)を有し、受光器47は、ライン状に配列された複数の受光素子を有するものである。発光器46と受光器47は、用紙搬送路に沿って搬送される連続用紙2を介して対向する状態に配置されている。具体的には、用紙幅方向の一方の用紙端(用紙側端)を挟み込む位置関係で発光器46と受光器47が対向状態に配置されている。
このような配置状態のもとでは、発光器46から発光した光の一部が連続用紙2によって遮られる。受光器47は、発光器46からの光を受光することで、受光量に応じた電気信号(例えば、電流)を出力するものである。つまり、受光器47の出力信号は、受光量に応じて変化する。これは、発光器46で発光させた光の一部が連続用紙2によって遮られることにより、受光器47で光を受光する受光素子の数が変化するためである。このため、用紙幅方向で連続用紙2の側端位置がずれると、それに応じて受光器47の出力信号(例えば、出力電流値)が変化する。
このことから、用紙位置検出センサ45においては、発光器46を発光させたときの受光器47の出力信号に基づいて、用紙幅方向の用紙端位置を検出する仕組みになっている。例えば、発光器46からの光がすべて連続用紙2に遮られた場合に受光器47から出力される電流値が0mAであり、発光器46からの光が連続用紙2によって50%遮られた状況で受光器47から出力される電流値が50mAであり、発光器46からの光が連続用紙2で遮られることなく受光器47に到達した場合に受光器47から出力される電流値が100mAである場合、つまり連続用紙2の用紙端の位置変動に伴って受光器47から出力される電流値がリニアに変化するものと仮定すると、発光器46を発光させた状況で受光器47から出力される電流値を基に用紙端位置を検出することになる。また、受光器47における受光素子の配列方向で、発光器46からの光を受光している受光素子と受光していない受光素子の境界部を用紙端位置として検出してもよい。さらに、受光器47から出力される電流値が0mAである場合は、用紙端位置がセンサ感知範囲よりも用紙幅方向の外側にずれた位置に存在し、受光器47から出力される電流値が100mAである場合は、用紙端位置がセンサ感知範囲よりも用紙幅方向の内側にずれた位置に存在していると判断してもよい。用紙幅方向の外側とは、用紙幅の中心位置から離れる側をいい、用紙幅方向の内側とは、用紙幅の中心位置に近づく側をいう。
図4は第2の用紙位置補正部32の構成を示すもので、図中(A)はその斜視図、(B)は(A)のZ矢視図である。第2の用紙位置補正部32には4つの案内ロール51,52,53,54が設けられている。これら4つの案内ロール51〜54は、それぞれ用紙搬送方向に直交する向きで配置されている。各々の案内ロール51〜54の長さは連続用紙2の幅よりも大きく設定されている。また、4つの案内ロール51〜54は用紙幅方向から見て横U字形の用紙搬送路を形成し、この用紙搬送路上で連続用紙2が各々の案内ロール51,52,53,54に巻き掛けられている。このため、搬送基準ロール20による搬送力を受けて連続用紙2が用紙搬送方向に走行すると、これにしたがって各々の案内ロール51,52,53,54が回転する。
上記4つの案内ロール51,52,53,54のうち、用紙搬送方向の下流側から数えて3つ目までの案内ロール52,53,54の回転軸は互いに平行に配置されている。これに対して、用紙搬送方向で最も上流側に配置された案内ロール51の回転軸は、当該案内ロール51の一端を支点にして当該案内ロール51の他端を図中矢印方向に移動可能に支持することにより、第1の傾き方向Y3と第2の傾き方向Y4に傾斜する構成になっている。この案内ロール51は、「第2の回転部材」として設けられたものである。案内ロール51の回転軸の傾き方向として、第2の傾き方向Y4は、用紙搬送方向と直交する軸を基準にして、案内ロール51に向かう連続用紙2の移動方向と反対方向になっており、第1の傾き方向Y3は、第2の傾き方向Y4と反対の方向になっている。
また、案内ロール51から案内ロール52に至る用紙搬送路の途中にはコ字形の用紙位置検出センサ55が配置されている。用紙位置検出センサ55は、用紙搬送路上で用紙幅方向の用紙端位置を検出する「第2の検出手段」として設けられたものである。用紙位置検出センサ55の構成に関しては、上述した用紙位置検出センサ45の構成と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
第1の用紙位置補正部17には、案内ロール44の回転軸を傾けるための第1の傾き駆動機構が設けられ、第2の用紙位置補正部32には、案内ロール51の回転軸を傾けるための第2の傾き駆動機構が設けられている。第1の傾き駆動機構と第2の傾き駆動機構は、基本的に同様の構成を有するものであるため、ここでは第1の傾き駆動機構の構成を代表例として説明する。
図5(A)〜(C)は第1の用紙位置補正部17に設けられる第1の傾き駆動機構の構成と動作を示す図である。図において、支持アーム61は、アーム長さ方向の中間部に設けられた支軸62を中心に揺動自在に支持されている。支持アーム61の一端部には案内ロール44の一端部が回転自在に支持されている。支持アーム61の他端部には偏心カム63が接触している。支持アーム61の他端部は、図示しない付勢手段により常に偏心カム63の外周面に接触する状態に維持されている。偏心カム63は、例えばパルスモータからなる傾き調整モータ64の駆動にしたがって回転するものである。傾き調整モータ64の回転力は、歯車等の動力伝達機構を介して偏心カム63に伝達してもよい。
まず、図5(A)において、偏心カム63が所定の角度で停止している状況で、案内ロール44の回転軸が支持アーム61によって他の案内ロール41,42,43の回転軸と平行に支持され、この状態で搬送中の連続用紙2が案内ロール44の軸方向(用紙幅方向)に移動せずに安定して走行するものと仮定する。
そうした場合、図5(B)に示すように、傾き調整モータ64の駆動により偏心カム63を反時計回り方向に回転させると、偏心カム63の偏心量に応じて支持アーム61が支軸62を中心にα方向に揺動する。これにより、案内ロール44の一端部が第1の傾き方向Y1に移動し、これにしたがって案内ロール44の回転軸が第1の傾き方向Y1に傾く。そうすると、案内ロール44に巻き掛けられて走行している連続用紙2の位置は、用紙幅方向においてX1方向に移動する。
これに対して、図5(C)に示すように、傾き調整モータ64の駆動により偏心カム63を時計回り方向に回転させると、偏心カム63の偏心量に応じて支持アーム61が支軸62を中心にβ方向(α方向と反対方向)に揺動する。これにより、案内ロール44の一端部が第2の傾き方向Y2に移動し、これにしたがって案内ロール44の回転軸が第2の傾き方向Y2に傾く。そうすると、案内ロール44に巻き掛けられて走行している連続用紙2の位置は、用紙幅方向においてX2方向に移動する。
図6は本発明の実施形態に係る画像形成装置1の制御系の構成として、特に、用紙搬送装置の制御系の構成例を示すブロック図である。図において、制御部65には、上述した用紙位置検出センサ45,55と傾き調整モータ64に加えて、傾き調整モータ66と記憶部67が電気的に接続されている。傾き調整モータ64は、上述した第1の傾き駆動機構の駆動源となるもので、傾き調整モータ66は、第2の傾き駆動機構の駆動源となるものである。制御部65は、用紙位置検出センサ45,55によって検出された用紙端位置と予め設定された制御目標位置とのずれに応じて、当該ずれを補正するように、対応する傾き調整モータ64,66の駆動を制御するものである。
制御目標位置とは、用紙幅方向で連続用紙2の側端位置を合わせるための基準(照準)となる制御上の目標位置をいう。この制御目標位置は、例えば図7において、用紙位置検出センサ45,55の感知範囲内で仮想直線(二点鎖線)Kが通過する位置に設定される。仮想直線Kは、用紙搬送方向に平行な直線であって、制御目標位置を示している。このため、連続用紙2の側端は仮想直線Kに沿って用紙搬送方向に移動することが理想的となる。
記憶部67は、制御部65が傾き調整モータ64,66の駆動を制御する際に参照する制御テーブルを記憶(格納)するものである。制御テーブルでは、図8に示すように、用紙端位置のずれ量とロール傾き角度の調整量との関係が対応付けられている。用紙端位置のずれ量は、用紙位置検出センサ45,55で検出した用紙端位置が、制御目標位置に対してどの程度ずれているかを示すものである。ロール傾き角度の調整量は、1回の角度調整で案内ロール44,51の回転軸をどの程度調整するかを示すものである。この制御テーブルにおいて、ロール傾き角度の調整量は、用紙端位置のずれ量が多くなるほど大きな値となるように設定されている。
具体的には、用紙端位置のずれ量がE1未満ではロール傾き角度の調整量がθ1に設定され、用紙端位置のずれ量がE1以上、E2未満ではロール傾き角度の調整量がθ2(>θ1)に設定され、用紙端位置のずれ量がE2以上、E3未満ではロール傾き角度の調整量がθ3(>θ2)に設定され、用紙端位置のずれ量がE3以上、E4未満ではロール傾き角度の調整量がθ4(>θ3)に設定され、用紙端位置のずれ量がE4以上ではロール傾き角度の調整量がθ5(>θ4)に設定されている。一例を挙げると、θ1=1°、θ2=2°、θ3=3°、θ4=4°、θ5=5°のように設定される。ここではロール傾き角度の調整量を5段階に分けているが、ロール傾き角度の調整段数は任意に変更可能である。
図9は画像形成装置1で連続用紙2に画像を形成する場合に、制御部65によって実行される用紙搬送制御処理の一例を示すフローチャートである。
まず、搬送基準ロール20の回転によって連続用紙2の搬送が開始されると、制御部65は、用紙位置検出センサ45を用いて用紙幅方向の用紙端位置を検出する(ステップS1)。具体的には、用紙位置検出センサ45の発光器46を発光させ、この発光中に受光器47から出力される電気信号を取り込むことにより、連続用紙2の用紙端位置を検出する。また、これと並行して制御部65は、用紙位置検出センサ55を用いて用紙幅方向の用紙端位置を検出する。
次に、制御部65は、上記ステップS1で検出した用紙端位置と予め設定された制御目標位置との比較により、制御目標位置に対する用紙端位置のずれ量とずれの方向を演算等によって求める(ステップS2)。ここでは、一例として、用紙位置検出センサ45,55によって検出された用紙端位置が制御目標位置に一致する場合に、用紙側端位置のずれ量が0(零)で算出され、用紙端位置が制御目標位置よりも用紙幅方向の内側にずれた場合に、用紙側端位置のずれ量が正の値で算出され、用紙端位置が制御目標位置よりも用紙幅方向の外側にずれた場合に、用紙側端位置のずれ量が負の値で算出されるものとする。
次に、制御部65は、上記ステップS2で用紙位置検出センサ45の検出結果に基づいて求めた用紙端位置のずれ量に対応するロール傾き角度の調整量を、予め記憶部67に格納してある制御テーブルから読み出し、その調整量に基づいて傾き調整モータ64を駆動することにより、案内ロール44の傾き角度を調整する(ステップS3、S4)。また、これと並行して制御部65は、上記ステップS2で用紙位置検出センサ55の検出結果に基づいて求めた用紙端位置のずれ量に対応するロール傾き角度の調整量を、予め記憶部67に格納してある制御テーブルから読み出し、その調整量に基づいて傾き調整モータ66を駆動することにより、案内ロール51の傾き角度を調整する。
この場合、傾き調整モータ64,66の回転量は、制御テーブルから読み出したロール傾き角度の調整量に応じて制御される。また、傾き調整モータ64,66の回転方向は、上記ステップS2で求めた用紙端位置のずれ量が正の値であるか負の値であるかによって切り替え制御される。例えば、傾き調整モータ64に関しては、制御テーブルから読み出したロール傾き角度の調整量がθ4であった場合は、案内ロール44の回転軸の傾き角度が現在の設定角度よりもθ4だけ変化するように、傾き調整モータ64の回転量が制御される。また、用紙端位置のずれ量が正の値で算出された場合は、案内ロール44の回転軸が第1の傾き方向Y1に傾くように傾き調整モータ64の回転方向が制御され、用紙端位置のずれ量が負の値で算出された場合は、案内ロール44の回転軸が第2の傾き方向Y2に傾くように傾き調整モータ64の回転方向が制御される。このため、用紙端位置が制御目標位置よりも用紙幅方向の内側にずれていた場合は、用紙端位置が制御目標位置に近づく方向で案内ロール44の傾きが調整される。また、用紙端位置が制御目標位置よりも用紙幅方向の外側にずれていた場合は、用紙端位置が制御目標位置に近づく方向で案内ロール44の傾きが調整される。
同様に、傾き調整モータ66に関しては、制御テーブルから読み出したロール傾き角度の調整量がθ2であった場合は、案内ロール51の回転軸の傾き角度が現在の設定角度よりもθ2だけ変化するように、傾き調整モータ66の回転量が制御される。また、用紙端位置のずれ量が正の値で算出された場合は、案内ロール51の回転軸が第1の傾き方向Y3に傾くように傾き調整モータ66の回転方向が制御され、用紙端位置のずれ量が負の値で算出された場合は、案内ロール51の回転軸が第2の傾き方向Y4に傾くように傾き調整モータ66の回転方向が制御される。このため、用紙端位置が制御目標位置よりも用紙幅方向の内側にずれていた場合は、用紙端位置が制御目標位置に近づく方向で案内ロール51の傾きが調整される。また、用紙端位置が制御目標位置よりも用紙幅方向の外側にずれていた場合は、用紙端位置が制御目標位置に近づく方向で案内ロール51の傾きが調整される。
次に、制御部65は、案内ロール44の傾き角度調整がOKであるかどうかを判断する(ステップS5)。また、これと並行して制御部65は、案内ロール51の傾き角度調整がOKであるかどうかを判断する。ここでのOK、NGの判断は、例えば案内ロール44に関しては、用紙位置検出センサ45を用いた用紙側端位置の検出処理を所定の時間刻みで繰り返し行ない、その検出結果において、連続用紙2の側端が仮想直線Kに沿う位置で変動せずに安定している状態が、予め設定された所定時間以上にわたって継続されたかどうかによって行なう。同様に、案内ロール51に関しては、用紙位置検出センサ55を用いた用紙側端位置の検出処理を所定の時間刻みで繰り返し行ない、その検出結果において、連続用紙2の側端が仮想直線Kに沿う位置で変動せずに安定している状態が、予め設定された所定時間以上にわたって継続されたかどうかによって行なう。連続用紙2の側端が仮想直線K上で変動せずに安定しているかどうかについては、例えば仮想直線Kに対する用紙側端のずれ量が予め設定された調整許容範囲内に収まっているかどうかによって判別すればよい。そして、案内ロール44及び案内ロール51のうち、一方又は両方の傾き角度調整がNGであると判断した場合は上記ステップS1に戻る。また、案内ロール44及び案内ロール51の傾き角度調整が両方ともOKであると判断した場合は、画像形成部4,5,6,7と定着器9を用いた連続用紙2への画像形成を開始する(ステップS6)。
次に、制御部65は、連続用紙2への画像形成が終了したかどうかを判断する(ステップS7)。例えば、連続用紙2に形成する画像をページ単位で管理する場合は、画像形成ジョブで指定されたすべてのページについて連続用紙2への画像形成を終えたかどうかを判断する。そして、画像形成が終了したと判断した場合は、その段階で一連の処理を終える。また、画像形成が終了していないと判断した場合は、上記ステップS1と同様に、用紙位置検出センサ45を用いて用紙幅方向の用紙端位置を検出するとともに、用紙位置検出センサ55を用いて用紙幅方向の用紙端位置を検出する(ステップS8)。
次に、制御部65は、ステップS8で用紙位置検出センサ45を用いて検出した用紙端位置と予め設定された制御目標位置との比較により、制御目標位置に対する用紙端位置のずれ量を演算等によって求める(ステップS9)。また、これと並行して制御部65は、ステップS8で用紙位置検出センサ55を用いて検出した用紙端位置と予め設定された制御目標位置との比較により、制御目標位置に対する用紙端位置のずれ量を演算等によって求める。
次に、制御部65は、ステップS9で用紙位置検出センサ45の検出結果に基づいて検出した用紙端位置のずれ量が予め設定された許容値を超えていないかどうかを確認する(ステップS10)。また、これと並行して制御部65は、ステップS9で用紙位置検出センサ55の検出結果に基づいて検出した用紙端位置のずれ量が予め設定された許容値を超えていないかどうかを確認する。そして、各々の用紙位置検出センサ45,55の検出結果に基づく用紙端位置のずれ量が両方とも許容値以下である場合は、上記ステップS7に戻って画像形成を継続する。
これに対して、各々の用紙位置検出センサ45,55の検出結果に基づく用紙端位置のずれ量のうち、一方が許容値を超えるか、両方とも許容値を超えている場合は、直ちに又はページの区切り部分で画像形成を中止した後(ステップS11)、上記ステップS1に戻って再びロールの傾き角度調整を行なう。
以上のような手順にしたがって案内ロール44,51の傾き角度を調整することにより、用紙搬送を開始した直後は、連続用紙2の側端位置が制御目標位置から大きく外れて、用紙端位置のずれ量が大きい状態であったとしても、上記ステップS1〜S5のループ処理を繰り返すなかで、図10に示すように、連続用紙2の側端位置が時間の経過とともに徐々に制御目標位置に収束するかたちで用紙端位置のずれ量が小さくなっていく。そして、最終的には連続用紙2の側端が制御目標位置で安定した状態となる。
また、用紙搬送方向においては、画像形成部4,5,6,7を間に挟んで、上流側に第1の用紙位置補正部17を、下流側に第2の用紙位置補正部32を配置しているため、各々の用紙位置補正部17,32で連続用紙2の位置ずれを補正することにより、画像形成部4、5,6,7から定着器9に至る用紙搬送路上で連続用紙2が傾きなく真っ直ぐに搬送されるようになる。
ちなみに、上記ステップS5で制御部65が調整OKと判断した場合は、その後、イレギュラーなケースが起こらない限り、画像形成を開始してから終了するまでの間、連続用紙2の走行が安定した状態に維持される。このため、基本的には画像形成の途中で用紙端位置のずれ量が許容値を超えることはほとんどない。ただし、イレギュラーなケースとして、例えば案内ロールと連続用紙の間にゴミ、一例として溜まった紙粉などを挟み込むなどによって連続用紙2の走行位置が用紙幅方向に大きく変動することも考えられる。そこで、そうしたイレギュラーなケースにも適切に対応するための補完処理として、ステップS8〜S11の処理を制御シーケンスに組み込んでいる。
なお、上記実施形態においては、用紙位置検出センサ45を用いた案内ロール44の傾き角度調整処理(ステップS1〜S5)と、用紙位置検出センサ55を用いた案内ロール51の傾き角度調整処理(ステップS1〜S5)を、それぞれ並行して行なうものとしたが、本発明はこれに限らず、それらの処理を交互に行ない、両方とも調整OKとなった段階でステップS6に進むようなシーケンスを採用してもよい。
1…画像形成装置、2…連続用紙、3…用紙供給部、4,5,6,7…画像形成部、8…用紙収容部、9…定着器、17…第1の用紙位置補正部、20…搬送基準ロール、32…第2の用紙位置補正部、44,51…案内ロール、45,55…用紙位置検出センサ、61…支持アーム、63…偏心カム、64,66…傾き調整モータ、65…制御部、67…記憶部