JP2008231381A - ポリピロール微粒子分散液 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】有機媒体にポリピロール微粒子が分散している分散液であって、
前記有機媒体は1種又は層分離を起こさない2種以上の有機溶媒からなり、且つ、酢酸ブチルの揮発速度を100とした場合の揮発速度が10以下となる少なくとも1種の低揮発性有機溶媒を80%以上含んでいることを特徴とする分散液。
【選択図】なし
Description
上させる目的で、前記塗料にバインダーを添加すると、形成された塗膜層は著しく抵抗値が上昇するという問題があった。
1.有機媒体にポリピロール微粒子が分散している分散液であって、
前記有機媒体は1種又は層分離を起こさない2種以上の有機溶媒からなり、且つ、酢酸ブチルの揮発速度を100とした場合の揮発速度が10以下となる少なくとも1種の低揮発性有機溶媒を80%以上含んでいることを特徴とする分散液、
2.前記有機媒体は、水への溶解度が1%以下である少なくとも1種の有機溶媒を含んでいることを特徴とする前記1.記載の分散液、
3.前記有機媒体は、水への溶解度が1%以下であり、且つ、酢酸ブチルの揮発速度を100とした場合の揮発速度が10より大きくなる少なくとも1種の高揮発性有機溶媒を含んでいることを特徴とする前記1.又は2.記載の分散液、
4.前記有機媒体は、酢酸ブチルの揮発速度を100とした場合の揮発速度が10より大きくなる高揮発性有機溶媒を含まないことを特徴とする前記1.又は2.記載の分散液、5.前記低揮発性有機溶媒が、ターペンティン系の有機溶媒であることを特徴とする前記1.ないし4.の何れか1つに記載の分散液、
6.前記ピロール微粒子の平均粒子径が10ないし100nmの範囲にあることを特徴と
する前記1.ないし5.の何れか1つに記載の分散液、
に関するものである。
トルエン、キシレン、ベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒を主とするポリピロール微粒子の分散液を塗料として使用して塗膜層を形成した場合、前記芳香族炭化水素系溶媒は高揮発性であるため、短時間で成膜されて図1に示されるように、ポリピロール微粒子3は、基材1上に形成された塗膜層2中に均一に分散されることとなる。
一方、低揮発性有機溶媒を主成分とするポリピロール微粒子の分散液を塗料として使用して塗膜層を形成した場合は、前記低揮発性有機溶媒は低揮発性であるため、揮発されにくく、そのため、成膜されるまで、ある程度の時間を必要とするため、図2に示されるように、比重の小さなポリピロール微粒子3は、基材1上に形成された塗膜層2の上側半分に多く存在することになる(少なくとも1種の低揮発性有機溶媒を80%以上含む分散液を使用した場合は、具体的には、塗膜層2の上側半分に60%以上のポリピロールが存在する構造となる。)。
特に、基材との密着性を向上させる目的でバインダーを添加した場合、塗膜層2の上側半分に多くのポリピロール微粒子3が存在するため、塗膜層2の下側半分にバインダーが多く存在することになり、その結果、基材との接着性がより向上することに加えて、導電性の低下もあまりみられなくなる。そしてこれにより加えるバインダーの量を増やすことが可能となり、更なる塗膜強度の向上及び透明性の向上を達成することができる。
また、本発明のポリピロール微粒子分散液を用いて形成した塗膜層は、経時での導電率の変化が極めて少なくないものとなる。
更に、本発明のポリピロール微粒子分散液は、低揮発性有機溶媒を使用した結果として、インクジェット法、スプレー法、印刷法等の、高揮発性有機溶媒(例えば、トルエン、キシレン、ベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒)を主とするポリピロール微粒子の分散液を使用した場合は不可能であった塗布方法での成膜を可能とすることができる。
本発明の有機媒体にポリピロール微粒子が分散している分散液は、前記有機媒体が1種又は層分離を起こさない2種以上の有機溶媒からなり、且つ、酢酸ブチルの揮発速度を1
00とした場合の揮発速度が10以下となる少なくとも1種の低揮発性有機溶媒を80%以上含んでいることを特徴とする分散液である。
(1)有機溶媒と、水と、アニオン系界面活性剤とを混合攪拌してなるO/W型の乳化液中に、ピロールおよび/またはピロール誘導体のモノマーを添加し、該モノマーを酸化重合することによる製造方法。
(2)水性媒体中に可溶化できる量のピロールおよび/またはピロール誘導体、アニオン界面活性剤および/またはノニオン界面活性剤、および酸化剤を含む水性媒体において重合を開始し、そして、ポリピロールの重合率が10〜60%となる時点で有機溶媒を該重合系に添加し更に重合を進行させることによる製造方法。
上記製造方法(1)及び(2)の製造条件及び操作に付き以下に説明する。
製造方法(1)で使用可能なピロールおよび/またはピロール誘導体のモノマーとしては、ピロール、N−メチルピロール、N−エチルピロール、N−フェニルピロール、N−ナフチルピロール、N−メチル−3−メチルピロール、N−メチル−3−エチルピロール、N−フェニル−3−メチルピロール、N−フェニル−3−エチルピロール、3−メチルピロール、3−エチルピロール、3−n−ブチルピロール、3−メトキシピロール、3−エトキシピロール、3−n−プロポキシピロール、3−n−ブトキシピロール、3−フェニルピロール、3−トルイルピロール、3−ナフチルピロール、3−フェノキシピロール、3−メチルフェノキシピロール、3−アミノピロール、3−ジメチルアミノピロール、3−ジエチルアミノピロール、3−ジフェニルアミノピロール、3−メチルフェニルアミノピロール、3−フェニルナフチルアミノピロール等が挙げられる。特に好ましいのはピロールである。
疎水性末端を複数有するアニオン系界面活性剤の中でも、スルホコハク酸ジ−2−エチルヘキシルナトリウム(疎水性末端4つ)、スルホコハク酸ジ−2−エチルオクチルナトリウム(疎水性末端4つ)および分岐鎖型アルキルベンゼンスルホン酸塩(疎水性末端2つ)が好適に使用できる。
る。
(a)アニオン系界面活性剤、有機溶媒および水を混合攪拌し乳化液を調製する工程、
(b)ピロールおよび/またはピロール誘導体のモノマーを乳化液中に分散させる工程、(c)モノマーを酸化重合しアニオン系界面活性剤にポリピロールを接触吸着させる工程、
(d)有機相を分液し導電性微粒子を回収する工程。
製造方法(2)で使用可能なピロールおよび/またはピロール誘導体としては、ピロール、N−メチルピロール、N−エチルピロール、N−フェニルピロール、N−ナフチルピロール、N−メチル−3−メチルピロール、N−メチル−3−エチルピロール、N−フェニル−3−メチルピロール、N−フェニル−3−エチルピロール、3−メチルピロール、3−エチルピロール、3−n−ブチルピロール、3−メトキシピロール、3−エトキシピロール、3−n−プロポキシピロール、3−n−ブトキシピロール、3−フェニルピロール、3−トルイルピロール、3−ナフチルピロール、3−フェノキシピロール、3−メチルフェノキシピロール、3−アミノピロール、3−ジメチルアミノピロール、3−ジエチルアミノピロール、3−ジフェニルアミノピロール、3−メチルフェニルアミノピロール、3−フェニルナフチルアミノピロール等が挙げられる。特に好ましいのはピロールである。
水性媒体中に可溶化できない量のピロールおよび/またはピロール誘導体(飽和濃度以上のピロールおよび/またはピロール誘導体)が添加されると、重合開始直後から塊状のポリピロールが生成され、目的とする微粒子は得られない。また、ピロールおよび/またはピロール誘導体のモノマーが1g/L以下では、重合反応が極めて遅くなり、所望する微粒子を得るまでの時間が長時間となることからあまり好ましくない。
また、上記のアニオン界面活性剤は単独又は2種以上の混合物として使用することができる。
上記のノニオン界面活性剤は単独又は2種以上の混合物として使用することができる。
使用する水性媒体の量は、使用するピロールおよび/またはピロール誘導体が可溶化できる量、即ち、前記で定義されたように、ピロールおよび/またはピロール誘導体の濃度が80g/L以下となる量であって、特に好ましくは、20g/Lないし1g/Lとなる量である。
特開2005−314538号公報に記載のO/W型の乳化液中での重合では、ドーパントを用いておらず、そのため、得られるポリピロールの導電率は必ずしも高いものでは
なく、また、経時変化を受けやすいものであった。
製造方法(2)では、水性媒体中に所定のドーパントを添加することで、導電率の向上と経時変化を減少させることを可能とし得る。
製造方法(2)でドーパントを使用する場合のドーパントの種類としては、ピロールおよび/またはピロール誘導体のモノマーに可溶であれば特に制限はなく、一般的にピロールおよび/またはピロール誘導体の重合体を含んでなる導電性微粒子に好適に用いられるアクセプター性ドーパントを適宜使用できるが、代表的なものとしては、例えば、ポリスチレンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、アントラキノンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、スルホサリチル酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、アリルスルホン酸等のスルホン酸類、過塩素酸、塩素、臭素等のハロゲン類、ルイス酸、プロトン酸等がある。これらは、酸形態であってよいし、塩形態にあることもできる。モノマーに対する溶解性の観点から好ましいものは、過塩素酸テトラブチルアンモニウム、過塩素酸テトラエチルアンモニウム、テトラフルオロホウ酸テトラブチルアンモニウム、トリフルオロメタンスルホン酸テトラブチルアンモニウム、トリフルオロスルホンイミドテトラブチルアンモニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸等である。
尚、重合率は、ガスクロマトグラフィーを用いて残存モノマーを測定し、当初の添加モノマー量と残存モノマー量の比から容易に算出することができる。
即ち、ポリピロールの粒径をあまり大きくせず、また、ポリピロール粒子の凝集を起こさないためには、反応系中の残存モノマー(未反応のモノマー)量が、当初に添加したモノマー量の40〜90%が残存する時点で有機溶媒を添加することが重要であるといえる。
また、同様に、有機溶媒を添加する時点において水性媒体中に分散している微粒子の大きさも極めて重要である。水性媒体中におけるポリピロールの重合率(%)とその際得られるポリピロールの平均粒子径(nm)の関係を示すグラフを図3に示すが、該グラフからポリピロールの重合率が、ある一定値を超えるとポリピロールの平均粒子径が急激に大
きくなることが判る。そのため、例えば、ポリピロールの平均粒子径が100nmを超えた時点で有機溶媒を添加しても、有機溶媒へ移行するポリピロール粒子の大きさは結果的に数百nm以上の大きな粒子となりやすく、また、分散安定性も悪いものとなりやすい。
従って、有機溶媒の添加は、ポリピロールの粒子径が100nm以下の時点で行うのが好ましい。
尚、ポリピロールの平均粒子径は、レーザードップラー法により容易に測定することができる。
また、自然由来で環境的にも配慮されている点では、リモネンが好ましい。
有機溶媒の使用量は、重合反応に使用する水の量に対して体積比で5ないし40%(v/v)が好ましく、特に好ましくは、10ないし25%(v/v)である。
5%(v/v)未満では、粒子密度が高くなるため分散性が悪くなり、結果として凝集が起こる。40%(v/v)を超える場合は相対的に粒子密度が低くなるため、粒子間の反発力が小さくなり、分散を保てなくなる。
(a)アニオン界面活性剤および/またはノニオン界面活性剤、ピロールおよび/またはピロール誘導体のモノマー及び所望によりドーパントを水に加えて混合攪拌する工程、
(b)酸化剤を加えて酸化重合を開始する工程、
(c)重合率が10〜60%となる時点で有機溶媒を添加する工程、
(d)混合攪拌して更に重合反応を進行させる工程、
(e)有機相を分液し有機溶媒層にナノ分散したポリピロール微粒子を回収する工程。
以上の操作により、本発明の有機媒体にポリピロール微粒子が分散している分散液は、前記有機媒体が1種又は層分離を起こさない2種以上の有機溶媒からなり、且つ、酢酸ブチルの揮発速度を100とした場合の揮発速度が10以下となる少なくとも1種の低揮発
性有機溶媒を80%以上含み、前記有機媒体が、水への溶解度が1%以下である少なくとも1種の有機溶媒を含む分散液となる。
尚、上記製造方法(1)により得られた有機溶媒層にナノ分散したポリピロール微粒子は、水への溶解度が1%以下である少なくとも1種の高揮発性有機溶媒(酢酸ブチルの揮発速度を100とした場合の揮発速度が10より大きくなる)にナノ分散したポリピロール微粒子であり、上記製造方法(2)により得られた有機溶媒層にナノ分散したポリピロール微粒子は、水への溶解度が1%以下である少なくとも1種の高揮発性有機溶媒(酢酸ブチルの揮発速度を100とした場合の揮発速度が10より大きくなる)、溶解度が1%以下である少なくとも1種の低揮発性溶媒(酢酸ブチルの揮発速度を100とした場合の揮発速度が10以下となる)又は溶解度が1%以下である高揮発性有機溶媒及び低揮発性有機溶媒の混合物にナノ分散したポリピロール微粒子である。
前記低揮発性有機溶媒は、単独で、又は2種以上の混合物として使用することができる。
希釈前に高揮発性有機溶媒が多く存在し、そのため低揮発性溶媒で希釈して低揮発性有機溶媒の含有量を80%以上としたときに、ポリピロール微粒子の固形分濃度が低くなり過ぎる場合は、事前に高揮発性有機溶媒をある程度留去し濃縮して、ポリピロール微粒子の固形分濃度が低くなり過ぎないように調整する。
バインダーとしては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキシド、ポリブタジエン、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、炭化水素樹脂、ケトン樹脂、フェノキシ樹
脂、ポリアミド、エチルセルロース、酢酸ビニル、ABS樹脂、ポリウレタン樹脂、メラミ
ン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂等が挙げられる。
バインダーを使用する際の使用量は、ポリピロール微粒子1質量部に対して0.2質量部ないし10質量部である。
スルホコハク酸ジ−2−エチルヘキシルナトリウム(アニオン界面活性剤:ペレックスOT−P)8mmolをイオン交換水900mLに溶解し、次いでピロールモノマー100mmolを加え30分攪拌し、次いで1M過硫酸アンモニウム水溶液50mL(50mmol相当)を加え、1時間反応を行った(重合率50%、平均粒子径78nm)。次いで、リモネン50mLを添加し、4時間攪拌した。攪拌終了後、有機相を回収し、イオン交換水で数回洗浄してリモネン中に分散した状態で固形分10%の黒色のポリピロール微粒子(平均粒子径85nm)を得た。この分散液にメチルカルビトールを添加し、該微粒子の固形分濃度を1%になるまで希釈した。これを溶液1とした。
スルホコハク酸ジ−2−エチルヘキシルナトリウム8mmolをトルエン100mLに溶解し、さらにイオン交換水800mLを加え20℃に保持しつつ乳化するまで攪拌した。得られた乳化液にピロールモノマー100mmolを加え、30分攪拌し、次いで1M過硫酸アンモニウム水溶液100mL(100mmol相当)を少量づつ滴下し、4時間攪拌した。攪拌終了後、有機相を回収し、イオン交換水で数回洗浄してトルエン中に分散した状態で固形分5%の黒色のポリピロール微粒子(平均粒子径85nm)を得た。この分散液にメチルカルビトールを添加し、該微粒子の固形分濃度を1%になるまで希釈した。これを溶液2とした。
溶液1にメラミン系バインダーであるスーパーベッカミンJ−820(大日本インキ化学)をポリピロール固形分1質量部に対して0.5質量部加え、メチルカルビトールで固形分濃度が1%となるように希釈した。これを溶液3とした。
溶液1にメラミン系バインダーであるスーパーベッカミンJ−820(大日本インキ化学)をポリピロール固形分1質量部に対して2質量部加え、メチルカルビトールで固形分濃度が1%となるように希釈した。これを溶液4とした。
溶液2にメラミン系バインダーであるスーパーベッカミンJ−820(大日本インキ化学)をポリピロール固形分1質量部に対して0.5質量部加え、メチルカルビトールで固形分濃度が1%となるように希釈した。これを溶液5とした。
溶液2にメラミン系バインダーであるスーパーベッカミンJ−820(大日本インキ化学)をポリピロール固形分1質量部に対して2質量部加え、メチルカルビトールで固形分濃度が1%となるように希釈した。これを溶液6とした。
スルホコハク酸ジ−2−エチルヘキシルナトリウム(アニオン界面活性剤:ペレックスOT−P)8mmolをイオン交換水900mLに溶解し、次いでピロールモノマー100mmolを加え30分攪拌し、次いで1M過硫酸アンモニウム水溶液50mL(50mmol相当)を加え、1時間反応を行った(重合率50%、平均粒子径78nm)。次いで、トルエン50mLを添加し、4時間攪拌した。攪拌終了後、有機相を回収し、イオン交換水で数回洗浄してトルエン中に分散した状態で固形分10%の黒色のポリピロール微粒子(平均粒子径85nm)を得た。この分散液にイソプロパノールを添加し、該微粒子の固形分濃度を1%になるまで希釈した。これを溶液7とした。
スルホコハク酸ジ−2−エチルヘキシルナトリウム8mmolをトルエン100mLに溶解し、さらにイオン交換水800mLを加え20℃に保持しつつ乳化するまで攪拌した。得られた乳化液にピロールモノマー100mmolを加え、30分攪拌し、次いで1M過硫酸アンモニウム水溶液100mL(100mmol相当)を少量づつ滴下し、4時間攪拌した。攪拌終了後、有機相を回収し、イオン交換水で数回洗浄してトルエン中に分散した状態で固形分5%の黒色のポリピロール微粒子(平均粒子径85nm)を得た。この分散液にイソプロパノールを添加し、該微粒子の固形分濃度を1%になるまで希釈した。これを溶液8とした。
スルホコハク酸ジ−2−エチルヘキシルナトリウム(アニオン界面活性剤:ペレックスOT−P)8mmolをイオン交換水900mLに溶解し、次いでピロールモノマー100mmolを加え30分攪拌し、次いで1M過硫酸アンモニウム水溶液50mL(50mmol相当)を加え、1時間反応を行った(重合率50%、平均粒子径78nm)。次いで、トルエン150mLを添加し、4時間攪拌した。攪拌終了後、有機相を回収し、イオン交換水で数回洗浄してトルエン中に分散した状態で固形分3.3%の黒色のポリピロール微粒子(平均粒子径85nm)を得た。この分散液にメチルカルビトールを添加し、該微粒子の固形分濃度を1%になるまで希釈した。これを溶液9とした。
溶液7にメラミン系バインダーであるスーパーベッカミンJ−820(大日本インキ化学)をポリピロール固形分1質量部に対して0.1質量部加え、イソプロパノールで固形分濃度が1%となるように希釈した。これを溶液10とした。
溶液7にメラミン系バインダーであるスーパーベッカミンJ−820(大日本インキ化学)をポリピロール固形分1質量部に対して2質量部加え、イソプロパノールで固形分濃度が1%となるように希釈した。これを溶液11とした。
溶液8にメラミン系バインダーであるスーパーベッカミンJ−820(大日本インキ化学)をポリピロール固形分1質量部に対して0.1質量部加え、イソプロパノールで固形分濃度が1%となるように希釈した。これを溶液12とした。
溶液8にメラミン系バインダーであるスーパーベッカミンJ−820(大日本インキ化学)をポリピロール固形分1質量部に対して2質量部加え、イソプロパノールで固形分濃度が1%となるように希釈した。これを溶液13とした。
溶液9にメラミン系バインダーであるスーパーベッカミンJ−820(大日本インキ化学)をポリピロール固形分1質量部に対して2質量部加え、メチルカルビトールで固形分濃度が1%となるように希釈した。これを溶液14とした。
上記溶液1ないし14をバーコーター#8で100μmPETフィルムに塗布し、140℃で10分間乾燥して膜厚100nmの塗膜を得た。この塗膜の初期抵抗値、抵抗値経時変化、密着性(バインダーを使用した場合のみ)及び全光線透過率を測定した。その結果を表1に示した。
(平均粒子径(nm))
Microtrac社製NanotracUPA150を用いてレーザードップラー法により測定した。
(重合率(%))
ガスクロマトグラフを用いて残存モノマーを測定し、添加量と残存モノマーの比から算出した。
(還元性微粒子存在比(上層/下層))
塗膜をウルトラミクロトーム(ライカ(株)社製:ウルトラカットS)を用いて60nmの幅に切断し、透過型電子顕微鏡(日本電子(株)社製:JEM−1200 EXM)で断面部を撮影した画像から粒子部とバインダー部の面積比率から求めた。なお、10個のサンプルを作成し、同様に測定した後に平均値を算出した値を用いた。
(初期抵抗値(Ω))
導電性塗膜の抵抗値は三菱化学(株)社のMCP−HT450型高抵抗率計で測定した。
(全光線透過率(%))
JIS K7105に準拠して、ヘイズメーターを用いて測定した。
(抵抗値経時変化)
抵抗値が一桁上昇するのにかかった時間
◎:3ヶ月以上
○:2ヶ月以上
△:1ヶ月以上2ヶ月以内
×:1ヶ月以内
(密着性)
JIS H8504テープ試験方法に基づいて、カッターで2mm角の条こんを100個作成した後に、テープ試験により引き剥がし試験を実施した。
○:剥離無し
×:90%以上剥離
尚、表中の各記載は以下を意味する。
重合方法:(1)、(2)は、それぞれ製造方法(1)、製造方法(2)による重合方法を意味する。
重合率:重合方法(2)を採用した場合(実施例1、3、4、比較例1、3、4、5、8)の有機溶媒を添加する前のポリピロールの重合率(%)。
添加前平均粒径:重合方法(2)を採用した場合(実施例1、3、4、比較例1、3、4、5、8)の有機溶媒を添加する前のポリピロールの平均粒子径(nm)。
反応後平均粒径:有機相の回収後におけるポリピロールの平均粒子径を(nm)。
有機溶媒:重合方法(1)を採用した場合は、重合前に添加される有機溶媒の種類を示し
、重合方法(2)を採用した場合は、重合途中で添加される溶媒の種類を示す。
希釈溶媒:希釈に使用した低揮発性有機溶媒の種類。
低揮発性溶媒含有量:最終的な分散液中における低揮発性有機溶媒の含有量(%)。
バインダー量:ポリピロール固形分1質量部に対する使用したバインダーの量(質量部)。
表1
実施例1(重合方法(2)を採用する)にバインダーを添加した実施例3(バインダー添加量0.5質量部)、実施例4(バインダー添加量2質量部)においては、実施例1で示された優れた効果に加えて、高い密着性を示し、また、実施例1に比して全光線透過率が向上したが、この際、塗膜の上層/下層におけるポリピロール微粒子の存在比は、実施例1と同様に、65/35であった。
実施例2(重合方法(1)を採用する)にバインダーを添加した実施例5(バインダー添加量0.5質量部)、実施例6(バインダー添加量2質量部)においては、実施例2で示された優れた効果に加えて、高い密着性を示し、また、実施例2に比して全光線透過率が向上したが、この際、塗膜の上層/下層におけるポリピロール微粒子の存在比は、実施例1と同様に、65/35であった。
実施例1で希釈溶媒として使用した低揮発性有機溶媒(メチルカルビトール)の代わりに高揮発性有機溶媒(イソプロパノール)を使用した比較例1においては、初期抵抗値は低かったものの、該抵抗値の経時変化が大きくなった。この際の塗膜の上層/下層におけるポリピロール微粒子の存在比は、実施例1とは異なり、50/50と上層、下層でポリピロール微粒子が均一に存在していた。
実施例2で希釈溶媒として使用した低揮発性有機溶媒(メチルカルビトール)の代わりに高揮発性有機溶媒(イソプロパノール)を使用した比較例2においては、初期抵抗値は低かったものの、該抵抗値の経時変化が大きくなった。この際の塗膜の上層/下層におけるポリピロール微粒子の存在比は、実施例2とは異なり、50/50と上層、下層でポリピロール微粒子が均一に存在していた。
実施例1で希釈溶媒として使用した低揮発性有機溶媒(メチルカルビトール)の使用量を減らして低揮発性有機溶媒の含有量が80%未満となる70%とした比較例3においては、初期抵抗値は低かったものの、該抵抗値の経時変化が多少大きくなった。この際の塗膜の上層/下層におけるポリピロール微粒子の存在比は、55/45と上層に多くポリピロール微粒子が存在する傾向にあったが不十分なものであった。
比較例1にバインダーを添加した比較例4(バインダー添加量0.1質量部)においては、0.1質量部程度のバインダー量では、密着性の向上及び全光線透過率の向上を示さないことが示された。この際の塗膜の上層/下層におけるポリピロール微粒子の存在比は、比較例1と同様、50/50であった。
比較例1にバインダーを添加した比較例5(バインダー添加量2質量部)においては、高い密着性を示し、また、比較例1に比して全光線透過率が向上し、抵抗値の経時変化も少なくなったが、依然として抵抗値の経時変化は、実施例1よりも劣るものであった。この際の塗膜の上層/下層におけるポリピロール微粒子の存在比は、比較例1と同様、50/50であった。
比較例2にバインダーを添加した比較例6(バインダー添加量0.1質量部)においては、0.1質量部程度のバインダー量では、密着性の向上及び全光線透過率の向上を示さないことが示された。この際の塗膜の上層/下層におけるポリピロール微粒子の存在比は、比較例2と同様、50/50であった。
比較例2にバインダーを添加した比較例7(バインダー添加量2質量部)においては、高い密着性を示し、また、比較例2に比して全光線透過率が向上し、抵抗値の経時変化も少なくなったが、依然として抵抗値の経時変化は、実施例2よりも劣るものであった。この際の塗膜の上層/下層におけるポリピロール微粒子の存在比は、比較例2と同様、50/50であった。
比較例3にバインダーを添加した比較例8(バインダー添加量2質量部)においては、高い密着性を示し、また、比較例3に比して全光線透過率が向上し、抵抗値の経時変化も少なくなったが、依然として抵抗値の経時変化は、実施例2よりも劣るものであった。この際の塗膜の上層/下層におけるポリピロール微粒子の存在比は、比較例3と同様、55/45であった。
2:塗膜層
3:ポリピロール微粒子
Claims (6)
- 有機媒体にポリピロール微粒子が分散している分散液であって、
前記有機媒体は1種又は層分離を起こさない2種以上の有機溶媒からなり、且つ、酢酸ブチルの揮発速度を100とした場合の揮発速度が10以下となる少なくとも1種の低揮発性有機溶媒を80%以上含んでいることを特徴とする分散液。 - 前記有機媒体は、水への溶解度が1%以下である少なくとも1種の有機溶媒を含んでいることを特徴とする請求項1記載の分散液。
- 前記有機媒体は、水への溶解度が1%以下であり、且つ、酢酸ブチルの揮発速度を100とした場合の揮発速度が10より大きくなる少なくとも1種の高揮発性有機溶媒を含んでいることを特徴とする請求項1又は2記載の分散液。
- 前記有機媒体は、酢酸ブチルの揮発速度を100とした場合の揮発速度が10より大きくなる高揮発性有機溶媒を含まないことを特徴とする請求項1又は2記載の分散液。
- 前記低揮発性有機溶媒が、ターペンティン系の有機溶媒であることを特徴とする請求項1ないし4の何れか1項に記載の分散液。
- 前記ピロール微粒子の平均粒子径が10ないし100nmの範囲にあることを特徴とする請求項1ないし5の何れか1項に記載の分散液。
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