JP2008230107A - 空気入りタイヤの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】シート状部材の間にエア分散用の綿糸を介在させることなくエア溜まりを確実に低減することのできる空気入りタイヤの製造方法を提供する。
【解決手段】厚さ方向両面に複数の溝5bが設けられたカーカス部材5を用いるようにしたので、カーカス部材5と他のシート状部材との間に介在するエアを各溝5bによって分散させることができ、エア溜まりを確実に低減することができる。その際、従来のようにエア分散用の綿糸を用いる必要がないので、綿糸(異物)による剥離を生ずることがなく、綿糸が吸収した水分が加硫時にガス化してエア溜まりを発生させることもない。また、綿糸を介在させる工程も必要としないので、生産性の低下を来すことがないという利点もある。更に、各溝5bがタイヤ周方向に直交するように延びているので、各溝5bの端部からエアを排出することができ、エア溜まりをより効果的に低減することができる。
【選択図】図3
【解決手段】厚さ方向両面に複数の溝5bが設けられたカーカス部材5を用いるようにしたので、カーカス部材5と他のシート状部材との間に介在するエアを各溝5bによって分散させることができ、エア溜まりを確実に低減することができる。その際、従来のようにエア分散用の綿糸を用いる必要がないので、綿糸(異物)による剥離を生ずることがなく、綿糸が吸収した水分が加硫時にガス化してエア溜まりを発生させることもない。また、綿糸を介在させる工程も必要としないので、生産性の低下を来すことがないという利点もある。更に、各溝5bがタイヤ周方向に直交するように延びているので、各溝5bの端部からエアを排出することができ、エア溜まりをより効果的に低減することができる。
【選択図】図3
Description
本発明は、例えば乗用車、トラック、バス等に用いられる空気入りタイヤの製造方法に関するものである。
一般に、この種の空気入りタイヤを製造する場合には、成形ドラムにインナーライナ及びカーカス部材を巻き付けるとともに、カーカス部材のタイヤ軸方向両端側にそれぞれビード部材を配置した後、カーカス部材をタイヤ径方向に膨張させてベルトの内周面に接触させ、カーカス部材とベルトとを組付けて未加硫タイヤを成形している。この場合、カーカス部材と他のシート状部材との間にエア溜まりが生ずると、ゴム層の剥離等の製造不良が発生するため、従来ではカーカス部材の表面と他の部材との間に複数の綿糸を介在させることにより、シート状部材間のエアを分散させるようにしている(例えば、特許文献1参照。)。
特開平2−299903号公報
しかしながら、カーカス部材の表面と他のシート状部材との間に綿糸を介在させる場合には、糸が異物となりゴムとの剥離を生じやすくなるとともに、糸が水分を吸収して加硫時にガス化し、却ってエア溜まりの原因になるという問題点があった。また、糸を介在させる工程が増える分、生産性を低下させるという問題点もあった。
本発明は前記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、シート状部材の間にエア分散用の綿糸を介在させることなくエア溜まりを確実に低減することのできる空気入りタイヤの製造方法を提供することにある。
本発明は前記目的を達成するために、厚さ方向の少なくとも一方の面がゴムからなる複数のシート状部材を互いに重ね合わせることにより製造される空気入りタイヤの製造方法において、前記シート状部材のうち所定のシート状部材に、厚さ方向の少なくとも一方の面にタイヤ周方向に直交または傾斜するように延びる複数の溝が設けられたシート状部材を用いるようにしている。
これにより、所定のシート状部材の表面に複数の溝が設けられていることから、所定のシート状部材と他のシート状部材との間に介在するエアが各溝を通って分散し、エア溜まりが低減される。
本発明によれば、所定のシート状部材と他のシート状部材との間に介在するエアを分散させることができるので、エア溜まりを確実に低減することができる。その際、従来のようにエア分散用の綿糸を用いる必要がないので、綿糸(異物)による剥離を生ずることがなく、綿糸が吸収した水分が加硫時にガス化してエア溜まりを発生させることもないという利点がある。また、綿糸を介在させる工程も必要としないので、生産性の低下を来すことがないという利点もある。更に、各溝がタイヤ周方向に直交するように延びているので、各溝の端部からエアを排出することができ、エア溜まりをより効果的に低減することができる。
図1乃至図6は本発明の一実施形態を示すもので、図1は空気入りタイヤの部分正面断面図、図2はカーカス部材の部分側面断面図、図3はその部分斜視図、図4はカーカス部材成形装置の概略側面図、図5は溝付けローラの部分斜視図、図6は検査結果を示す図である。
同図に示す空気入りタイヤは、外周面側に形成されるトレッド部1と、幅方向両側に形成されるサイドウォール部2と、サイドウォール部2のタイヤ径方向内側に形成されるビード部3とから構成されている。また、この空気入りタイヤは、タイヤ内面側に配置されるインナーライナ4と、インナーライナ4の外側に配置されるカーカス部材5と、タイヤ幅方向両側に配置される一対のビード部材6と、カーカス部材5の外側に配置されるベルト7と、タイヤ外周面側に配置されるトレッド部材8と、タイヤ両側面側に配置される一対のサイドウォール部材9とから形成されている。即ち、インナーライナ4、カーカス部材5、ベルト7及びトレッド部材8は、互いに重ね合わされるシート状部材をなす。
インナーライナ4は気密性を有するシート状のゴムからなり、カーカス部材5の内周面側に配置される。
カーカス部材5は、タイヤ周方向に配列される複数本のカーカスコード5aをゴムで被覆してシート状に形成されるとともに、その厚さ方向両面にはタイヤ周方向に直交するように延びる複数の溝5bが設けられている。各溝5bは互いにタイヤ周方向に間隔をおいて設けられ、カーカス部材5の厚さ方向一方の面の溝5bと他方の面の溝5bは互いにタイヤ周方向の位置がずれるように配置されている。この場合、各溝5bの深さHは0.1mm以上0.5mm以下、その幅Wは0.5mm以下に形成されている。また、各溝5bのタイヤ周方向の間隔Lは、2mm以上20mm以下に形成されている。
ビード部材6は、金属線等のワイヤを束ねてなるビードコア6aと、断面略三角形状のゴムからなるビードフィラー6bとからなり、ビードフィラー6bはビードコア6aの外周側に配置される。
ベルト7はスチールや高強度繊維等からなるベルトコードをシート状のゴム材で被覆してなり、カーカス部材5の外周面側に配置される。
トレッド部材8は押出成形によって形成されたゴムからなり、ベルト7の外周面側を覆うように配置される。また、トレッド部材8の外周面には、所定のトレッドパターンをなす溝8aが加硫成型時に形成される。
サイドウォール部材9は押出成形によって形成されたゴムからなり、カーカス部材5のタイヤ幅方向両側を覆うように配置される。
以上のように構成された空気入りタイヤは、成形ドラムにインナーライナ4及びカーカス部材5を巻き付けるとともに、カーカス部材5のタイヤ軸方向両端側にそれぞれ各ビード部材6を配置した後、インナーライナ4及びカーカス部材5をタイヤ径方向に膨張させてベルト7の内周面に接触させ、カーカス部材5にベルト7、トレッド部材8及びサイドウォール部材9を組付けて未加硫タイヤを成形し、未加硫タイヤを加硫成型機で加硫することにより製造される。
その際、カーカス部材5の表面にはタイヤ周方向に直交するように延びる複数の溝5bが設けられているため、カーカス部材5と他のシート状部材との間に介在するエアが各溝5bを通って分散し、エア溜まりが低減される。この場合、各溝5bの深さHが0.1mmよりも小さいと、エアの分散効果が十分に得られず、深さHが0.5mmよりも大きいと、成形後に溝5bによる空隙が残存してエア溜まりが発生するため、各溝5bの深さHは0.1mm以上0.5mm以下が望ましい。また、各溝5bの幅Wが0.5mmよりも大きいと、同様に成形後に溝5bによる空隙が残存しやすいため、各溝5bの幅Wは0.5mm以下が望ましい。
ここで、本発明の実施例及び比較例について、製造後の外観検査によりエア溜まりの発生率の検査を行ったところ、図6の結果が得られた。この場合、実施例は表面に複数の溝を有するカーカス部材を用いたものであり、比較例はこのような溝を有しないカーカス部材を用いたものである。タイヤサイズは、実施例及び比較例ともに195/65R15である。検査の結果、比較例ではエア溜まりの発生率が1.20%であったのに対し、実施例では0.20%であり、実施例の優位性が確認された。
次に、前記カーカス部材5の表面に各溝5bを形成する方法について説明する。図4に示す成形装置は、カーカス部材5を成形する一対の成形ローラ10と、成形ローラ10の下流側に配置された一対の溝付けローラ11とを備え、各溝付けローラ11の外周面には溝5bを形成するための複数の突部11aが互いにローラ周方向に間隔をおいてローラ軸方向に延びるように設けられている。
即ち、この成形装置では、ローラ送り方向に引き揃えられた複数本のカーカスコード5aにゴムを供給しながら各成形ローラ10で圧延することにより、ゴム被覆されたカーカス部材5が成形される。また、各成形ローラ10で成形されたカーカス部材5は、各溝付けローラ11間を通過しながら厚さ方向両面に各溝付けローラ11の各突部11aが押し付けられ、各突部11aによって複数の溝5bが形成される。
このように、本実施形態によれば、厚さ方向両面に複数の溝5bが設けられたカーカス部材5を用いるようにしたので、カーカス部材5と他のシート状部材との間に介在するエアを各溝5bによって分散させることができ、エア溜まりを確実に低減することができる。その際、従来のようにエア分散用の綿糸を用いる必要がないので、綿糸(異物)による剥離を生ずることがなく、綿糸が吸収した水分が加硫時にガス化してエア溜まりを発生させることもないという利点がある。また、綿糸を介在させる工程も必要としないので、生産性の低下を来すことがないという利点もある。更に、各溝5bがタイヤ周方向に直交するように延びているので、各溝5bの端部からエアを排出することができ、エア溜まりをより効果的に低減することができる。
また、溝の深さHを0.1mm以上0.5mm以下、溝の幅Wを0.5mm以下に形成するようにしたので、エアの分散効果が十分に得られるとともに、成形後に溝5bによる空隙が残存することもなく、実用化に際して極めて有利である。
更に、溝5bをカーカス部材5の厚さ方向両面に形成し、一方の面の溝5bと他方の面の溝5bが互いにタイヤ周方向にずれるように配置したので、溝5b同士の近接によるカーカス部材5の部分的な厚さ不足を生ずることがなく、ユニフォミティの低下を防止することができる。
また、溝5bを形成するための複数の突部11aが外周面に設けられた一対の溝付けローラ11をカーカス部材5の表面に押し付けて溝5bを形成するようにしたので、例えばカーカス成形装置における既存のガイドローラを溝付けローラ11に交換することにより、カーカス部材5の成形工程で容易に溝5bを形成することができる。
尚、前記実施形態では、カーカス部材5の厚さ方向両面に溝5bを形成するようにしたものを示したが、厚さ方向一方の面のみに設けたものであってもよい。
また、前記実施形態では、タイヤ周方向に直交するように延びる溝5bが設けられたものを示したが、タイヤ周方向に傾斜するように延びる溝であってもよい。
更に、前記実施形態では、シート状部材としてのカーカス部材5に溝5bを形成するようにしたものを示したが、インナーライナ4やベルト7等、他のシート状部材に溝を形成するようにしてもよい。
5…カーカス部材、5a…溝、11…溝付けローラ、11a…突部。
Claims (4)
- 厚さ方向の少なくとも一方の面がゴムからなる複数のシート状部材を互いに重ね合わせることにより製造される空気入りタイヤの製造方法において、
前記シート状部材のうち所定のシート状部材に、厚さ方向の少なくとも一方の面にタイヤ周方向に直交または傾斜するように延びる複数の溝が設けられたシート状部材を用いる
ことを特徴とする空気入りタイヤの製造方法。 - 前記溝の深さが0.1mm以上0.5mm以下、溝の幅が0.5mm以下に形成されている
ことを特徴とする請求項1記載の空気入りタイヤの製造方法。 - 前記溝がシート状部材の厚さ方向両面に形成され、一方の面の溝と他方の面の溝が互いにタイヤ周方向にずれるように配置されている
ことを特徴とする請求項1または2記載の空気入りタイヤの製造方法。 - 前記溝を形成するための複数の突部が外周面に設けられたローラをシート状部材の表面に押し付けて溝を形成する
ことを特徴とする請求項1、2または3記載の空気入りタイヤの製造方法。
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JP2007074409A JP2008230107A (ja) | 2007-03-22 | 2007-03-22 | 空気入りタイヤの製造方法 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2017105094A (ja) * | 2015-12-10 | 2017-06-15 | 住友ゴム工業株式会社 | 空気入りタイヤの製造方法、及び、ゴムストリップ |
-
2007
- 2007-03-22 JP JP2007074409A patent/JP2008230107A/ja active Pending
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