JP2009012377A - 空気入りタイヤの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】カーカスプライを構成するコードを傷つけることなく、インナーライナーとカーカスプライとの間のエアー入りを抑制する。
【解決手段】カーカスプライ14に押し付けたステッチャーロール24をインナーライナー12の幅方向中央部から端部に向けて移動させることにより、インナーライナー12とカーカスプライ14との間のエアーが、インナーライナー12の幅方向端部側に形成された小穴12Aから排出される。このため、インナーライナー12とカーカスプライ14との間のエアー入りを抑制することができる。また、小穴12Aは、カーカスプライ14ではなく、インナーライナー12に形成されるので、カーカスプライ14を構成するコードを傷つけることがない。
【選択図】図6

Description

本発明は、空気入りタイヤの製造方法に関する。
空気入りタイヤを製造する製造工程においては、タイヤの内部、例えば、インナーライナーとカーカスプライとの間にエアーが溜まることで生じる製造不良が問題となっていた。
これに対して、特許文献1では、カーカスプライに多数の小穴を形成して、インナーライナーとカーカスプライとの間のエアー入りを抑制する構成が開示されている。
特開2006−27010号公報
しかしながら、特許文献1の構成では、カーカスプライに小穴を形成する際に、カーカスプライを構成するコードに傷を付けてしまうおそれがあった。
本発明は、上記事実を考慮し、カーカスプライを構成するコードを傷つけることなく、インナーライナーとカーカスプライとの間のエアー入りを抑制することを目的とする。
本発明の請求項1に係る空気入りタイヤの製造方法は、インナーライナーとカーカスプライとをドラム上で円筒状に積層するバンド成型工程を有する空気入りタイヤの製造方法において、前記インナーライナーの幅方向端部側に周方向に断続的に小穴を形成しておき、前記インナーライナーと前記カーカスプライを積層した後に前記カーカスプライの径方向外側からステッチャーロールを押し付け、前記インナーライナーの幅方向中央部から端部に向けて前記ステッチャーロールを移動させることを特徴とする。
この構成によれば、インナーライナーの幅方向端部側に周方向に断続的に小穴を形成しておき、インナーライナーとカーカスプライを積層した後に、カーカスプライの径方向外側からステッチャーロールを押し付け、インナーライナーの幅方向中央部から端部に向けてステッチャーロールを移動させる。
このように、カーカスプライに押し付けたステッチャーロールをインナーライナーの幅方向中央部から端部に向けて移動させることにより、インナーライナーとカーカスプライとの間のエアーが、インナーライナーの幅方向端部側に形成された小穴から排出される。
このため、インナーライナーとカーカスプライとの間のエアー入りを抑制することができる。また、請求項1では、小穴は、カーカスプライではなく、インナーライナーに形成されるので、カーカスプライを構成するコードを傷つけることがない。
本発明の請求項2に係る空気入りタイヤの製造方法は、請求項1の構成において、前記小穴は、直径1.0mm〜3.0mmの円形の小穴であることを特徴とする。
小穴の直径が1.0mm未満であると、空気抜きが十分行われず、3.0mmを越えると加硫成型により小穴が塞がらない可能性がある。
請求項2の構成によれば、小穴は、直径1.0mm〜3.0mmの円形であるので、空気抜きが十分になされ、インナーライナーとカーカスプライとの間のエアー入りを抑制できる。さらに、空気入りタイヤの製造工程で行われる加硫成型工程により、小穴が塞がるので、請求項2の空気入りタイヤの製造方法で製造された空気入りタイヤ内の空気が、小穴から抜けるのを防止できる。
本発明の請求項3に係る空気入りタイヤの製造方法は、請求項1又は請求項2の構成において、前記小穴は、前記インナーライナーの幅方向端部側に貼り付けられる貼付部材に覆われる領域に形成されることを特徴とする。
この構成によれば、空気入りタイヤの製造工程で行われる加硫成型工程により、仮に、小穴が塞がらなかった場合でも、小穴は、インナーライナーの幅方向端部側に貼り付けられる部材で覆われるので、製造された空気入りタイヤ内の空気が小穴から抜けるのを防止できる。
本発明は、上記構成としたので、カーカスプライを構成するコードを傷つけることなく、インナーライナーとカーカスプライとの間のエアー入りを抑制できる。
以下に、本発明に係る実施形態の一例を図面に基づき説明する。
まず、本実施形態に係る空気入りタイヤの製造方法により形成される空気入りタイヤ50の一例を説明する。
本実施形態に係る空気入りタイヤの製造方法により形成される空気入りタイヤ50は、図1に示すように、一対のビードコア28(図1では片側のみ図示)と、一対のビードコア28にトロイド状に跨がるカーカスプライ14とを有している。
カーカスプライ14は、互いに平行に並べられた複数本のコード(図示せず)を備え、これら複数本のコードが薄肉のコーティングゴム(図示せず)に埋設されている通常の構造のものである。
カーカスプライ14は、ビードコア28の回りをタイヤ軸方向内側(矢印IN方向側)から外側(矢印OUT方向側)へ向けて折り返されている。
カーカスプライ14のビードコア28側とは反対側には、ゴムで形成されたゴムチェーファー26が配置されている。
また、カーカスプライ14の内面には、インナーライナー12が設けられている。
ゴムチェーファー26は、タイヤ内面側の端部26Aがインナーライナー12とカーカスプライ14との間へ配置される。
(本実施形態に係る空気入りタイヤの製造方法に用いられる製造装置の構成)
まず、本実施形態に係る空気入りタイヤの製造方法に用いられる製造装置の構成を説明する。
図2、図3及び図4に示すように、製造装置10は、図示しないサービサーより供給されるインナーライナー12、ゴムチェーファー26及びカーカスプライ14が外周面に巻き付けられるバンド成型ドラム16を備えている。
バンド成型ドラム16は、円筒状に形成され、インナーライナー12、ゴムチェーファー26及びカーカスプライ14を円筒状に積層するバンド成型工程に用いられる。
図2に示すように、上記サービサーとバンド成型ドラム16の間、すなわちバンド成型ドラム16の上流側には、インナーライナー12の幅方向端部側に周方向に断続的に小穴12Aを形成する穴形成装置18が配置されている。
穴形成装置18は、インナーライナー12の幅方向端部側に周方向に断続的に小穴を形成するための針20Aを備えた穴形成ロール20と、穴形成ロール20に対向配置された対向ロール22を備えている。
インナーライナー12は、バンド成型ドラム16に巻き付けられる前に、穴形成ロール20と対向ロール22との間を通過するようになっている。
穴形成ロール20の針20Aは、図5及び図6(A)に示すように、穴形成ロール20の外周面から径方向外側に向けて突出している。また、穴形成ロール20の針20Aは、穴形成ロール20と対向ロール22との間を通過するインナーライナー12の幅方向端部側の位置に、穴形成ロール20の周方向に沿って所定間隔で列状に複数形成されている。
穴形成ロール20の周方向に沿った針20Aの間隔A1(図6(A)参照)は、例えば、5mm〜30mmの範囲とされ、インナーライナー12に形成される小穴12Aは、インナーライナー12の周方向(幅方向と直交する方向)に沿った間隔A2(図5参照)が、例えば、5mm〜30mmの範囲とされる。
また、針20Aは、穴形成ロール20の軸方向(インナーライナー12の幅方向)に沿って、所定間隔で複数列形成されている。穴形成ロール20の軸方向に沿った針20Aの間隔B1(図6(A)参照)は、例えば、5mm〜10mmの範囲とされ、インナーライナー12に形成される小穴12Aは、インナーライナー12の幅方向に沿った間隔B2(図7参照)が、例えば、5mm〜10mmの範囲とされる。
本実施形態では、針20Aが3列に形成されている。なお、針20Aは、1列であっても、2列であっても、4列以上であってもよい。
また、穴形成ロール20の軸方向端に最も近い位置にある針20Aは、穴形成ロール20の軸方向端から所定距離に形成され、この距離C1(図6(A)参照)が、例えば、10mmとされており、インナーライナー12の幅方向端に最も近い位置にある小穴12Aは、インナーライナー12の幅方向端からの距離C2(図7参照)が、例えば、10mmとされる。
インナーライナー12の端部側に貼り付けられるゴムチェーファー等の貼付部材によって、小穴12Aが覆われて塞がれる領域に、小穴12Aは形成される(図9参照)。
針20Aが穴形成ロール20に形成される領域の穴形成ロール20の軸方向端からの長さD1(図6(A)参照)、及び小穴12Aがインナーライナー12に形成される領域のインナーライナー12の幅方向端からの長さD2(図7参照)が、所定長さに規定されている。
針20Aが穴形成ロール20に形成される領域の穴形成ロール20の軸方向端からの長さD1は、例えば、30mm以内とされており、小穴12Aがインナーライナー12に形成される領域のインナーライナー12の幅方向端からの長さD2が、例えば、30mm以内とされる。
また、穴形成ロール20の直径Eは、例えば、50mmとされる(図6(A)参照)。また、針20Aの長さは、例えば、4mmとされ、針20Aの先端の直径は、例えば、3mmとされ、針20Aの基端の直径は、例えば、5mmとされる(図6(B)参照)。
なお、インナーライナー12に形成される小穴12Aの直径F(図7参照)は、1.0mm〜3.0mmの範囲であることが望ましい。
1.0mm未満であると、空気抜きが十分行われず、3.0mmを越えると、空気入りタイヤの製造工程で行われる加硫成型により小穴が塞がらない可能性が生じるためである。
また、小穴12Aの直径Fを1.0mm〜3.0mmの範囲とする場合には、インナーライナー12の厚みG(図7参照)は、3.5mm以内とすることが望ましい。これ以上とすると、針20Aが貫通できない、又は、針20Aが折れてしまう可能性があるためである。
なお、穴形成装置18としては、穴形成ロール20及び対向ロール22を備える構成に限られず、インナーライナー12に小穴12Aを形成できる種々の構成を用いることができる。
また、本実施形態に係る空気入りタイヤの製造方法に用いられる製造装置10は、図8に示すように、バンド成型ドラム16に巻き付けられたインナーライナー12及びカーカスプライ14を押圧するステッチャーロール24を備えている。
ステッチャーロール24は、インナーライナー12上に円筒状に積層されたカーカスプライ14の径方向外側から押圧し、インナーライナー12とカーカスプライ14を圧着させると共に、インナーライナー12とカーカスプライ14に間のエアーを、インナーライナー12に形成された小穴から排出する機能を有する。
(本実施形態に係る空気入りタイヤの製造方法)
次に、本実施形態に係る空気入りタイヤの製造方法について説明する。
図2に示すように、先ず、図示しないサービサーより供給されるインナーライナー12が、穴形成ロール20と対向ロール22との間を通過し、穴形成ロール20によりインナーライナー12に小穴12Aが形成される。
小穴12Aは、インナーライナー12の幅方向端部側に周方向に断続的に形成される。
次に、小穴12Aが形成されたインナーライナー12は、バンド成型ドラム16の外周面に巻き付けられる。
次に、図3に示すように、インナーライナー12上にゴムチェーファー26が巻き付けられる。ゴムチェーファー26は、小穴12Aが形成されたインナーライナー12の幅方向端部側に巻き付けられる。
これにより、インナーライナー12に形成された小穴12Aがゴムチェーファー26により覆われて塞がれる。
次に、図4に示すように、インナーライナー12の上にカーカスプライ14が巻き付けられてバンド成型ドラム16の外周面に円筒状のバンドが形成される。
なお、カーカスプライ14は、互いに平行に並べられた複数本のコード(本実施形態ではスチールコード)をゴムでコーティングしたものである。
次に、図8に示すように、カーカスプライ14の径方向外側からステッチャーロール24を押し付け、インナーライナー12の幅方向中央部から一端部にむけて、ステッチャーロール24を移動させる。
さらにカーカスプライ14の径方向外側からステッチャーロール24を押し付け、インナーライナー12の幅方向中央部から他端部にむけて、ステッチャーロール24を移動させる。
これにより、インナーライナー12とカーカスプライ14が圧着される。さらに、カーカスプライ14に押し付けたステッチャーロール24をインナーライナー12の幅方向中央部から端部に向けて移動させることにより、インナーライナー12とカーカスプライ14との間のエアーが、インナーライナー12とゴムチェーファー26の間を通って、インナーライナー12の幅方向端部側に形成された小穴12Aから排出される。
このため、インナーライナー12とカーカスプライ14との間のエアー入りを抑制することができる。また、本実施形態では、小穴12Aは、カーカスプライ14ではなく、インナーライナー12に形成されるので、カーカスプライ14を構成するコードを傷つけることがない。
以上のように、インナーライナー12とカーカスプライ14とをバンド成型ドラム16上で円筒状に積層してバンドが成型されるバンド成型工程が実施される。
なお、本実施形態では、さらに、ゴムチェーファー26が、インナーライナー12の小穴12Aが形成された端部側に貼り付けられ、ゴムチェーファー26により小穴12Aが覆われる(図9参照)。
このため、空気入りタイヤ50の製造工程で行われる加硫成型工程により、仮に、小穴12Aが塞がらなかった場合でも、小穴12Aは、インナーライナー12の幅方向端部側に貼り付けられるゴムチェーファー26で覆われるので、製造された空気入りタイヤ50内の空気が小穴12Aから抜けるのを防止できる。
また、バンド成型工程後は、従来と同様の製造工程を経て、空気入りタイヤが形成される。具体的には、ベルト、トレッドゴム、ビードコア、スティフナー、サイドゴム等の各種タイヤ構成部材を貼り付ける工程を経て生タイヤが形成され、この生タイヤをモールドに装填して加硫成型することで空気入りタイヤが形成される。
(本実施形態に係る空気入りタイヤの製造方法で形成された空気入りタイヤと、比較例に係る空気入りタイヤの製造方法で形成された空気入りタイヤとの比較)
次に、本実施形態に係る空気入りタイヤの製造方法で形成された空気入りタイヤと、比較例に係る空気入りタイヤの製造方法で形成された空気入りタイヤにおいて、エアー入り発生率を比較した。
本実施形態に係る空気入りタイヤの製造方法は、上記のように、インナーライナー12に小穴12Aを形成し、カーカスプライ14には穴を形成せずに空気入りタイヤを製造する方法である。
比較例に係る空気入りタイヤの製造方法は、インナーライナー及びカーカスプライに、穴を形成せずに空気入りタイヤを製造する方法である。
本実施形態に係る空気入りタイヤの製造方法及び比較例に係る空気入りタイヤの製造方法により、100本ずつ空気入りタイヤを製造して、インナーライナーとカーカスプライの間のエアー発生率を比較した結果、比較例に係る空気入りタイヤの製造方法による場合では、20%であるのに対して、本実施形態に係る空気入りタイヤの製造方法による場合では、4%となり、比較例に係る空気入りタイヤの製造方法による場合に比べて大幅にエアー入りが改善された。
本発明は、上記の実施形態に限るものではなく、種々の変形、変更、改良が可能である。
図1は、本実施形態に係る空気入りタイヤの製造方法で形成された空気入りタイヤのビード部を示す概略図である。 図2は、本発明の実施形態に係る空気入りタイヤの製造方法に用いられる製造装置の構成を示す概略図である。 図3は、本実施形態に係るバンド成型ドラムにゴムチェーファーを巻き付ける様子を示す概略図である。 図4は、本実施形態に係るバンド成型ドラムにカーカスプライを巻き付ける様子を示す概略図である。 図5は、本実施形態に係る穴形成装置により小穴を形成する様子を示す側面図である。 図6(A)は、本実施形態に係る穴形成ロールの構成を示す概略図であり、図6(B)は、図6(A)に示す穴形成ロールに形成された針の構成を示す概略図である。 図7は、本実施形態に係る小穴が形成されたインナーライナーを示す概略図である。 図8は、本実施形態に係るカーカスプライの径方向外側からステッチャーロールを押し付け、インナーライナーの幅方向中央部から端部にむけて、ステッチャーロールを移動させる様子を示した概略図である。 図9は、本実施形態に係る空気入りタイヤの製造方法で形成された生タイヤのビード部を示す概略図である。
符号の説明
12 インナーライナー
12A 小穴
14 カーカスプライ
16 バンド成型ドラム
24 ステッチャーロール
26 ゴムチェーファー(貼付部材)

Claims (3)

  1. インナーライナーとカーカスプライとをドラム上で円筒状に積層するバンド成型工程を有する空気入りタイヤの製造方法において、
    前記インナーライナーの幅方向端部側に周方向に断続的に小穴を形成しておき、前記インナーライナーと前記カーカスプライを積層した後に前記カーカスプライの径方向外側からステッチャーロールを押し付け、前記インナーライナーの幅方向中央部から端部に向けて前記ステッチャーロールを移動させることを特徴とする空気入りタイヤの製造方法。
  2. 前記小穴は、直径1.0mm〜3.0mmの円形の小穴であることを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤの製造方法。
  3. 前記小穴は、前記インナーライナーの幅方向端部側に貼り付けられる貼付部材に覆われる領域に形成されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の空気入りタイヤの製造方法。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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