JP2008227150A - 電子機器 - Google Patents

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Abstract

【課題】発熱体を二つの冷却手段によって二方向から冷却することができ、冷却効率を向上させることができる電子機器を提供する。
【解決手段】半導体装置10は、半導体素子22と熱的に結合されるとともに冷却器12内に冷却水を強制的に循環させることで半導体素子22の冷却を該半導体素子22の一方側から行う第1の冷却手段を備える。また、半導体装置10は、冷媒収容部11内に収容され所定温度で沸騰する液体冷媒を用いた沸騰冷却によって半導体素子22の冷却を前記一方側と異なる側から行う第2の冷却手段を備える。また、半導体装置10は、冷却器12から延び、冷媒収容部11に配設され、冷却器12を通過した冷却水を冷媒収容部11に通過させるための第2接続管32と、冷媒収容部11の第2接続管32上に設けられた凝縮部37とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、発熱体を二方向から冷却する冷却装置を備える電子機器に関する。
半導体装置(電子機器)として回路基板の回路パターン上に半導体素子が搭載されたものが知られている。この半導体装置には半導体素子(発熱体)で発生した熱を冷却する冷却装置が搭載されている。冷却装置としては、例えば、液体冷媒を冷却する熱交換器を備えた冷媒収容用容器を有したものがある(特許文献1参照。なお、この冷却装置を以下、背景技術1とする)。そして、背景技術1の冷却装置は、冷媒収容用容器内の液体冷媒中に半導体素子を浸漬することにより、液体冷媒によって半導体素子を直接冷却するようになっている。また、その他の冷却装置としては、熱伝導性を有する主面板を有し、かつ、液体冷媒を流通可能にした冷媒流通用容器を有するものがある(特許文献1参照。なお、この冷却装置を以下、背景技術2とする)。そして、背景技術2の冷却装置は、冷媒流通用容器の主面板に、可撓性を有する熱伝導体を介して近接対向させた状態で半導体素子を配置することにより、冷媒流通用容器内を流通する液体冷媒により主面板及び熱伝導体を介して半導体素子を冷却するようになっている。
さらに、別の冷却装置として、熱伝導性を有する材料よりなる可撓性袋状部を有するとともに該可撓性袋状部内に液体冷媒を流通可能にした可撓性袋状体を、容器内に収容した構成のものがある(特許文献1参照。なお、この冷却装置を以下、背景技術3とする)。前記可撓性袋状部内には液体冷媒が流通し、隣り合う可撓性袋状部の間に半導体装置が配設されるようになっている。そして、背景技術3の冷却装置によれば、可撓性袋状体における複数の可撓性袋状体が液体冷媒の圧力によって膨出し、隣り合う可撓性袋状部のうち一方が半導体装置の半導体素子に、他方が回路基板に当接するようになっている。その結果、半導体装置が両側から液体冷媒によって冷却される。
また、特許文献1における半導体集積回路装置冷却装置(以下、背景技術4の冷却装置とする)は、主面板を有し、かつ液体冷媒を流通可能にした冷媒流通用容器を有している。また、背景技術4の冷却装置において、主面板における半導体装置(回路装置)に対向する位置に窓が穿設されるとともに、冷媒流通用容器内には前記窓を閉塞する熱伝導性の可撓性膜が収容されている。可撓性膜内には液体冷媒が流通するようになっている。そして、冷媒流通用容器内を流通する液体冷媒に可撓性膜が接触し、該可撓性膜は液体冷媒の圧力によって窓から半導体装置に向けて膨出し半導体素子(回路基板)に当接するようになっている。その結果、半導体素子が可撓性膜を介して液体冷媒によって冷却される。
特開昭57−178348号公報
近年においては、半導体装置は高出力、高密度化により発熱密度が増加し、冷却効率の向上が切望されている。しかし、背景技術1の冷却装置においては液体冷媒が冷媒収容用容器内に収容されているだけであるため、半導体素子の冷却効率を向上させるためには液体冷媒を攪拌させなければならない。また、背景技術2〜背景技術4の冷却装置において、半導体素子の冷却効率を向上させるために半導体装置に対する液体冷媒の伝熱面積を増加させることが考えられるが、伝熱面積を増加させると液体冷媒流れの圧力損失増大を伴い、液体冷媒を循環させるポンプの性能が一定の条件下では冷媒流速が減少し、冷却効率が向上しない。
本発明は前記従来の問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、発熱体を二つの冷却手段によって二方向から冷却することができ、冷却効率を向上させることができる電子機器を提供することにある。
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、発熱体の冷却装置を備えた電子機器であって、前記発熱体と熱的に結合される冷却部を備えるとともに該冷却部内に流体を強制的に流通させることで前記発熱体の冷却を該発熱体の一方側から行う第1の冷却手段と、冷媒収容部内に収容され所定温度で沸騰する液体冷媒を用いた沸騰冷却によって前記発熱体の冷却を前記一方側と異なる側から行う第2の冷却手段と、前記冷媒収容部内に設けられ、前記流体を流通させることで蒸発した前記液体冷媒を凝縮する凝縮部と、前記冷却部と前記凝縮部とを接続し、前記流体が流通される流体通路とよりなる冷却装置を備える。
この発明によれば、発熱体は、冷却部を流れる流体による熱の持ち去りによって一方側から冷却されると同時に、冷却部による冷却と異なる側から沸騰冷却によって冷却される。すなわち、発熱体は異なる二つの冷却手段により二方向から冷却される。したがって、この発明の電子機器は、例えば、液体冷媒を用いた冷却手段のみを備える場合のように、発熱体の冷却効率を向上させるために、液体冷媒の攪拌を行ったり、発熱体に対する液体冷媒の伝熱面積を増加させたりする必要がない。そして、発熱体は流体による強制冷却と、液体冷媒による沸騰冷却の冷却効率の異なる冷却手段によって冷却される。したがって、一つの冷却手段だけで発熱体を冷却する場合に比して冷却効率を向上させることができる。また、冷媒収容部内には流体を用いた凝縮部が設けられており、該凝縮部によって蒸発した液体冷媒を凝縮して液体冷媒に戻すことができる。よって、電子機器が異なる二つの冷却手段を備えていても両冷却手段を関連付けることで電子機器における冷却装置の構成を簡素化することができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の電子機器において、前記発熱体は絶縁回路基板に熱的に結合された半導体素子であり、前記冷却部には前記絶縁回路基板が熱的に結合され、前記第1の冷却手段により前記半導体素子が前記絶縁回路基板への結合側から冷却されるとともに、前記絶縁回路基板及び半導体素子は前記冷媒収容部内に収容されて液体冷媒に浸漬され、前記第2の冷却手段により半導体素子が絶縁回路基板への結合側と異なる側から冷却される。
この発明によれば、半導体素子で発生した熱は絶縁回路基板を介して第1の冷却手段における冷却部に伝導され、該冷却部に伝導された熱は冷却部を流れる流体に伝導されるとともに持ち去られる。すなわち、半導体素子で発生した熱が絶縁回路基板を介して効率良く除去され、結果として半導体素子が第1の冷却手段によって冷却される。また、半導体素子は液体冷媒に浸漬されているため、半導体素子の絶縁回路基板への結合側以外は液体冷媒に接触している。そして、半導体素子で発生した熱は、蒸発した液体冷媒に吸収され、半導体素子が冷却される。よって、半導体素子は、第1の冷却手段と第2の冷却手段によって二方向から冷却される。
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の電子機器において、前記発熱体は絶縁回路基板に一面が熱的に結合された半導体素子であり、前記冷却部には前記絶縁回路基板が熱的に結合され、前記第1の冷却手段により前記半導体素子が前記一面側から冷却されるとともに、前記半導体素子は他面が前記冷媒収容部に熱的に結合され、前記第2の冷却手段により半導体素子が他面側から冷却される。
この発明によれば、半導体素子で発生した熱は、半導体素子の一面から絶縁回路基板を介して第1の冷却手段における冷却部に伝導され、該冷却部に伝導された熱は冷却部を流れる流体に伝導されるとともに持ち去られる。すなわち、半導体素子で発生した熱が絶縁回路基板を介して効率良く除去され、結果として半導体素子が第1の冷却手段によって冷却される。また、半導体素子の他面は冷媒収容部を介して液体冷媒に熱的に結合されているため、半導体素子で発生した熱は、蒸発した液体冷媒によって吸収され、半導体素子の他面が冷却される。また、半導体素子は液体冷媒に浸漬されていない。このため、半導体素子に対する配線における絶縁性を確保する必要がない。
請求項4に記載の発明は、請求項2又は請求項3に記載の電子機器において、前記電子機器は半導体素子を備えた車載用の半導体装置である。この発明によれば、例えば、車両の走行用モータの駆動装置に半導体装置を用いた場合、走行状態により電流が一時的に急増して半導体装置が過渡的な過負荷状態になる場合があるが、半導体素子を第1の冷却手段と第2の冷却手段とにより二方向から冷却可能としたため、半導体素子が効率良く冷却され、過熱状態になることが抑制される。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4のうちいずれか一項に記載の電子機器において、前記液体冷媒の沸点は65〜70°Cに設定されている。この発明によれば、液体冷媒の沸点は65〜70°Cに設定されているため、半導体素子が高温になる前に液体冷媒による沸騰冷却により半導体素子を冷却することができる。
請求項6に記載の発明は、請求項1〜請求項5のうちいずれか一項に記載の電子機器において、前記流体は液体であり、前記第1の冷却手段は液冷式である。この発明によれば、冷却部を流れる流体は液体である。このため、例えば、冷却部内に空気を送り込み、第1の冷却手段を空冷式とした場合に比して発熱体の冷却効率を向上させることができる。
本発明によれば、発熱体を二つの冷却手段によって二方向から冷却することができ、冷却効率を向上させることができる。
以下、本発明の電子機器を、車両の走行用モータの駆動装置に使用される半導体装置(インバータモジュール)に具体化した第1の実施形態を図1にしたがって説明する。なお、図1は、半導体装置を模式的に示したものであり、図示の都合上、一部の寸法を誇張して分かり易くするために、それぞれの部分の幅、長さ、厚さ等の寸法の比は実際の比と異なっている。
図1に示すように、半導体装置10は、熱伝導性を有する材料より箱状に形成された冷媒収容部11を備え、該冷媒収容部11は縦長に延びるように車両に搭載される。冷媒収容部11の内部には、冷却部としての冷却器12が収容されている。冷却器12は、アルミニウム系金属や銅等で形成されている。アルミニウム系金属とはアルミニウム又はアルミニウム合金を意味する。冷却器12は、冷媒収容部11の内面に固定されている。冷却器12の内部には複数のフィン(図示せず)が設けられるとともに、流体たる冷却水が一方側(上側)から他方側(下側)に向けて流れる流路(図示せず)が形成されている。また、冷却器12において、冷媒収容部11の内部に臨み、かつ上下方向へ延びる一側面には、アルミニウム系金属や銅等からなる接合板13が接合され、接合板13と冷却器12とは熱的に結合されている。
半導体装置10は、接合板13に熱的に結合された複数の絶縁回路基板21を備え、各絶縁回路基板21には半導体素子(半導体チップ)22が半田(図示せず)を介して接合されている。すなわち、絶縁回路基板21と半導体素子22とは熱的に結合されている。詳細に説明すると、前記絶縁回路基板21はセラミック基板23を備え、該セラミック基板23の一面に金属回路24を有する。そして、金属回路24には前記半田を介して半導体素子22が接合されている。また、絶縁回路基板21はセラミック基板23の他面が金属板25を介して前記接合板13に接合されている。
そして、半導体装置10において、複数の半導体素子22は上下に位置するように接合板13に接合されている。また、半導体素子22は、絶縁回路基板21及び接合板13を介して冷却器12に熱的に結合され、半導体素子22から発生した熱は、絶縁回路基板21及び接合板13を介して冷却器12に伝導されるようになっている。そして、本実施形態においては、冷却器12と該冷却器12内を流れる冷却水は、発熱体たる半導体素子22の冷却を該半導体素子22の一方側(絶縁回路基板21側)から行う第1の冷却手段を構成している。
なお、前記半導体素子22としては、例えば、IGBT(Insurated Gate Bipolar Transistor)、MOSFET、ダイオードが用いられる。セラミック基板23は、例えば、窒化アルミニウム、アルミナ、窒化ケイ素等により形成されている。また、金属回路24は、例えば、アルミニウムや銅等で形成されている。金属板25は、セラミック基板23と接合板13とを接合する接合層として機能し、例えば、アルミニウムや銅等で形成されている。
冷媒収容部11の内面と冷却器12によって区画される領域の一部に液体冷媒が収容されている。液体冷媒は、例えば、フロンのように電気伝導性のないものであり、所定温度の沸点を有するものが用いられる。本実施形態では、液体冷媒として沸点が65〜70°Cのものが用いられる。
そして、冷媒収容部11内に液体冷媒が収容された状態では、絶縁回路基板21及び半導体素子22の全体が液体冷媒に浸漬されている。よって、半導体装置10において、半導体素子22の一方側となる絶縁回路基板21側に冷却器12が位置し、半導体素子22に対し冷却器12の反対側に液体冷媒が位置している。すなわち、半導体素子22は冷却器12と液体冷媒に挟まれた状態となっている。本実施形態においては、冷媒収容部11及び液体冷媒が、半導体素子22の冷却を、半導体素子22の一方側と異なる側から行う第2の冷却手段を構成している。なお、図示しないが絶縁を確保するように半導体素子22に配線がなされている。
前記冷却器12は、上側に流体の入口を備え、下側に出口を備える。冷却器12の入口には第1接続管31の一端が連結され、該第1接続管31の他端はポンプ34に連結されている。第1接続管31の途中にはラジエータ33が設けられ、ラジエータ33の近傍位置にはモータ(図示せず)により回転されるファン35が配設されている。また、冷却器12の出口には第2接続管32の一端が連結され、該第2接続管32の他端は前記ポンプ34に連結されている。
前記第2接続管32は、冷却器12の出口から冷媒収容部11の外部へ引き出されるとともに、その他の部位の一部が冷媒収容部11内に導入されている。すなわち、第2接続管32の一部は冷媒収容部11内に導入されている。そして、冷却器12、第2接続管32、ポンプ34、及び第1接続管31によって冷却水循環回路が形成され、ポンプ34の運転により冷却水は矢印Yに示す方向へ循環するようになっている。この冷却水循環回路においては、ポンプ34の運転により、ラジエータ33を通過した冷却水が冷却器12内に導入され、冷却器12内を冷却水が強制的に流通するようになっている。また、ポンプ34の運転により、冷却器12内を通過した冷却水は、第2接続管32によって冷媒収容部11内を通過するようになっている。
冷媒収容部11内に位置する第2接続管32の外面には多数のフィン36が第2接続管32の延びる方向に間隔を開けて取り付けられている。第2接続管32内に冷却水を流通させることで、冷媒収容部11内で蒸発した液体冷媒を冷却して凝縮するようになっており、本実施形態では第2接続管32とフィン36とから凝縮部37が形成されている。そして、第2接続管32は冷却器12と凝縮部37とを接続し、かつ前記冷却水が流通されるため、第2接続管32は本実施形態において流体通路を構成している。また、凝縮部37は、冷媒収容部11内において、液体冷媒から上側に離れた位置に配設される。そして、本実施形態の半導体装置10は、半導体素子22の冷却のために、第1の冷却手段(冷却器12及び冷却水)と、第2の冷却手段(冷媒収容部11及び液体冷媒)と、第2接続管32(流体通路)と、凝縮部37とよりなる冷却装置を備える。
次に前記のように構成された半導体装置10の作用を説明する。半導体装置10は、ハイブリッド車に搭載される。また、ハイブリッド車において、冷却水循環回路を流れる冷却水は、ラジエータ33を通過した直後は65°C程度に冷却される。半導体装置10に搭載された半導体素子22が駆動されると、半導体素子22から熱が発生する。半導体素子22から発生した熱は、絶縁回路基板21及び接合板13を介して冷却器12に伝導される。冷却器12に伝導された熱は、冷却器12内の流路を流れる65°C程度の冷却水に伝導されるとともに持ち去られる。すなわち、冷却器12は、流路を流れる冷却水によって強制冷却されるため、半導体素子22で発生した熱が絶縁回路基板21を介して効率良く除去され、結果として半導体素子22が絶縁回路基板21への結合側(接合側)から冷却される。冷却器12の流路を通過した冷却水は出口から第2接続管32内を通過して冷媒収容部11内に導入される。なお、冷却水は、冷却器12を通過する際における熱交換によって65°C程度から70°C程度まで5°C程度温度上昇する。このため、冷媒収容部11内を通過する冷却水は70°C程度になっている。
また、冷媒収容部11内において、半導体素子22から発生した熱により半導体素子22に接触する液体冷媒が直接加熱され、液体冷媒が沸点まで加熱されると液体冷媒は沸騰し蒸発する。この沸騰時の大きな蒸発潜熱により半導体素子22で発生した熱が吸収され、結果として半導体素子22が冷却される。そして、半導体素子22は、液体冷媒に全体が浸漬されているため、半導体素子22において、絶縁回路基板21への結合面以外の面全てが沸騰冷却によって冷却される。
また、冷媒収容部11内において、液体冷媒の蒸発により気泡が発生し、気泡は液体冷媒内を上昇する。そして、気泡の上昇の連続により、液体冷媒には流れが発生し、半導体素子22に向けて液体冷媒が常に流れるようになる。蒸発した液体冷媒は、凝縮部37における第2接続管32を通過する冷却水により、第2接続管32の外周面及びフィン36を介して熱交換される。すると、蒸発した液体冷媒は凝縮部37で凝縮されて液体冷媒に戻される。冷媒収容部11内を通過した冷却水は、第2接続管32を介してラジエータ33へ導出され、ファン35によってラジエータ33からの放熱が行われ、冷却水の温度が冷却器12通過前の65°C程度に戻される。
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)半導体装置10において、半導体素子22は絶縁回路基板21を介して冷却器12に熱的に結合されるとともに、冷媒収容部11内の液体冷媒に浸漬されている。そして、半導体素子22が絶縁回路基板21への結合側(一方側)から冷却器12によって冷却されるとともに、絶縁回路基板21への結合側と異なる側から液体冷媒による沸騰冷却によって冷却される。すなわち、半導体素子22は異なる冷媒を用いた二つの冷却方式により二方向から冷却される。よって、例えば、一つの冷媒(例えば液体冷媒)を用いた冷却方式において、半導体素子22の冷却効率の向上のために液体冷媒の攪拌を行ったり、発熱体に対する液体冷媒の伝熱面積を増加させる等の方策を講じる場合に比して、本実施形態の半導体装置10は半導体素子22の冷却効率を向上させることができる。
(2)半導体装置10において、第1の冷却手段は冷却水を用いた強制冷却を採用し、第2の冷却手段は冷媒の相変換を用いた沸騰冷媒を採用している。そして、強制冷却方式と沸騰冷却方式とでは半導体素子22の冷却効率が異なる。したがって、例えば、半導体素子22を一つの冷却方式を用いて異なる二方向から冷却する場合に比して、半導体素子22の冷却効率を向上させることができる。
(3)半導体装置10において、冷媒収容部11内には冷却器12に接続された第2接続管32が引き込まれ、該第2接続管32には複数のフィン36が取り付けられている。そして、冷媒収容部11内の第2接続管32を流れる冷却水とフィン36よりなる凝縮部37によって、冷媒収容部11内で蒸発した液体冷媒を凝縮して液体に戻すことができる。したがって、例えば、冷却器12による半導体素子22の冷却と、蒸発した液体冷媒の凝縮部37とを別々に半導体装置10に設ける場合に比して、半導体装置10の構成を簡素化し、製造コストを抑えることができる。
(4)半導体素子22の一つの冷却方式として沸騰冷却を採用した。そして、沸騰冷却においては、発熱した半導体素子22に熱的に結合された液体冷媒だけが沸騰するため、発熱した半導体素子22のみを選択的に冷却することができる。
(5)冷却器12を流れる流体は液体(冷却水)である。このため、例えば、冷却器12内に空気を送り込み、冷却器12を空冷式とした場合に比して半導体素子22の冷却効率を向上させることができる。
(6)冷却水はラジエータ33及びファン35によって65°C程度にまで冷却され、冷却器12を通過すると70°C程度まで温度上昇する。そして、液体冷媒の沸点が65〜70°Cに設定されているため、冷媒収容部11内を70°C雰囲気とすることができ、液体冷媒を70°C程度で沸騰させることができる。また、半導体素子22が高温になる前に液体冷媒による沸騰冷却により半導体素子22を冷却することができる。
(7)半導体装置10は車載用の半導体装置である。車両の走行用モータの駆動装置に半導体装置10を用いた場合、走行状態により電流が一時的に急増して半導体素子22が過渡的な過負荷状態になる場合があるが、半導体素子22を二方向から冷却可能としたため、半導体素子22が過熱状態になることが抑制される。
(8)冷媒収容部11を縦置きし、接合板13の上下方向に半導体素子22が並ぶように半導体装置10を構成した。このため、蒸発した液体冷媒の気泡が上昇することにより、液体冷媒全体に流れが発生する。よって、半導体素子22に向けて液体冷媒が流れるようになり、半導体素子22に液体冷媒を常に接触させることができる。したがって、液体冷媒の蒸発により、半導体素子22の周りから液体冷媒が無くなることを防止することができ、半導体素子22の冷却を常に可能とすることができる。
(第2の実施形態)
次に、本発明を具体化した第2の実施形態を図2にしたがって説明する。なお、第2の実施形態は、冷却部(冷却器)と冷媒収容部とが別体形成され、その他の構成は第1の実施形態と基本的に同様であるため、同様の部分についてはその詳細な説明を省略する。
図2に示すように、半導体装置10において、冷却器12は冷媒収容部11の外部に設けられるとともに、冷却器12の上側に冷媒収容部11が設けられている。冷却器12の接合板13上には第1の絶縁回路基板21が接合され、第1の絶縁回路基板21と冷却器12とは熱的に結合されている。また、第1の絶縁回路基板21上の半導体素子22には第2の絶縁回路基板18を介して冷媒収容部11の下面が接合されている。なお、第2の絶縁回路基板18は、セラミック基板18aを備え、該セラミック基板18aの一面に金属回路18cを有する。そして、金属回路18cには半田を介して半導体素子22が接合されている。また、第2の絶縁回路基板18はセラミック基板18aの他面が金属板18bを介して冷媒収容部11に接合されている。
すなわち、半導体素子22の一面は第1の絶縁回路基板21を介して接合板13に熱的に結合され、半導体素子22の他面は第2の絶縁回路基板18を介して冷媒収容部11と熱的に結合されている。そして、発熱体たる半導体素子22は、その下側に設けられた冷却器12と、上側に設けられた冷媒収容部11に挟まれている。冷媒収容部11内には液体冷媒が収容されるとともに、第2接続管32が引き込まれ、第2接続管32にはフィン36が取り付けられ、凝縮部37が設けられている。そして、第2の実施形態では、半導体素子22は液体冷媒に浸漬されていない。
さて、第2の実施形態の半導体装置10においては第1の実施形態と同様に、半導体素子22は冷却器12によって第1の絶縁回路基板21への結合側、すなわち一面側(一方側)から冷却される。また、半導体素子22から発生した熱は、半導体素子22の他面から第2の絶縁回路基板18及び冷媒収容部11を介して液体冷媒に伝導され、液体冷媒が加熱される。そして、液体冷媒が沸点まで加熱されると液体冷媒は沸騰し、液体冷媒は沸騰し蒸発する。この沸騰時の大きな蒸発潜熱により冷媒収容部11に伝導した熱が吸収され、該冷媒収容部11及び第2の絶縁回路基板18を介して半導体素子22で発生した熱が吸収される。よって、半導体素子22が他面側から冷却され、半導体素子22は第1の絶縁回路基板21への結合側と反対側(異なる側)から沸騰冷却により冷却される。
したがって、この実施形態によれば、第1の実施形態における(1)〜(7)と同様の効果の他に次の効果を得ることができる。
(9)半導体素子22と、第1及び第2の絶縁回路基板21,18は、冷媒収容部11の外側に設けられ、液体冷媒内に浸漬されていない。このため、半導体素子22に対する配線における絶縁性を確保する必要がなく、浸漬した場合に比して半導体素子22への配線を容易とすることができる。
(第3の実施形態)
次に、本発明を具体化した第3の実施形態を図3にしたがって説明する。なお、第3の実施形態は、冷媒収容部及び冷却部(冷却器)の構成が異なり、その他の構成は第1の実施形態と基本的に同様であるため、同様の部分についてはその詳細な説明を省略する。
図3に示すように、第3の実施形態の半導体装置40は冷媒収容部41を備え、該冷媒収容部41は、底壁42と、該底壁42から立設された複数の側壁43と、該側壁43の上部において、冷媒収容部41の上部を閉塞する天板部44とから箱状に形成されている。前記複数の側壁43のうち相対向するように配設された一対の側壁43を第1側壁43a及び第2側壁43bとする。そして、第1側壁43a、第2側壁43b及び天板部44は二重壁状に形成され、第1側壁43a、第2側壁43b及び天板部44の内側に流体たる冷却水を流すことが可能になっている。また、第1側壁43a及び第2側壁43bは、底壁42側から天板部44に向かうに従い内壁面及び外壁面が冷媒収容部41の内側に向けて傾斜するように形成され、冷媒収容部41は正断面視が略台形状に形成されている。
半導体装置40は、第1側壁43a及び第2側壁43bの内壁面に熱的に結合された複数の絶縁回路基板21を備え、各絶縁回路基板21には半導体素子22が半田(図示せず)を介して熱的に結合(接合)されている。前記絶縁回路基板21はセラミック基板23を備え、該セラミック基板23の一面に金属回路24を有する。また、絶縁回路基板21はセラミック基板23の他面が金属板25を介して第1及び第2側壁43a,43bの内壁面に熱的に接合され、半導体素子22及び絶縁回路基板21は上下方向へ延びるように第1及び第2側壁43a,43bの内壁面に接合されている。
よって、半導体素子22は、絶縁回路基板21(金属板25)を介して第1及び第2側壁43a,43bに熱的に結合され、半導体素子22から発生した熱は、絶縁回路基板21(金属板25)を介して第1及び第2側壁43a,43bに伝導されるようになっている。すなわち、本実施形態においては、冷却水が流れる第1及び第2側壁43a,43bが半導体素子22を冷却する冷却部を形成している。そして、第1側壁43a及び第2側壁43bと冷却水により、半導体素子22の冷却を該半導体素子22の絶縁回路基板21への結合側(一方側)から行う第1の冷却手段が構成されている。
半導体装置40において、冷媒収容部41内には液体冷媒が収容され、該液体冷媒に半導体素子22及び絶縁回路基板21が浸漬されている。そして、冷媒収容部41及び液体冷媒が、半導体素子22の冷却を、半導体素子22の絶縁回路基板21への結合側と異なる側から行う第2の冷却手段を構成している。
天板部44は、前記冷却部たる第1及び第2側壁43a,43bから延びるとともに、内壁面が前記冷媒収容部41に向けて露出するようになっている。そして、第1側壁43aを通過した冷却水が天板部44を通過することにより、冷却水は冷媒収容部41を通過するようになっている。なお、図示しないが絶縁を確保するように半導体素子22に配線がなされている。また、天板部44の内面には多数のフィン46が間隔を開けて取り付けられている。そして、天板部44に第1側壁43aを通過した冷却水を流通させることで、冷媒収容部41内で蒸発した液体冷媒を冷却して凝縮するようになっている。本実施形態では、天板部44とフィン46とから凝縮部47が形成されている。また、天板部44は第1側壁43aと凝縮部47とを接続し、かつ冷却水が流通されるため、天板部44は本実施形態において流体通路を構成している。なお、凝縮部47は、冷媒収容部41内において、液体冷媒から上側に離れた位置に配設される。第1側壁43a及び第2側壁43bには接続管48の両端が接続され、該接続管48にはポンプ49及びラジエータ50(ファン51)が設けられている。接続管48、第1側壁43a、天板部44、第2側壁43b及びポンプ49によって冷却水循環回路が形成され、矢印Yに示す方向へ冷却水が循環するようになっている。そして、本実施形態の半導体装置40は、半導体素子22の冷却のために、第1の冷却手段(第1及び第2側壁43a,43bと冷却水)と、第2の冷却手段(冷媒収容部41及び液体冷媒)と、天板部44(流体通路)と、凝縮部47とよりなる冷却装置を備える。
さて、第3の実施形態の半導体装置40に搭載された半導体素子22が駆動されると、半導体素子22から熱が発生する。半導体素子22から発生した熱は、絶縁回路基板21から第1及び第2側壁43a,43bに伝導される。第1及び第2側壁43a,43bに伝導された熱は、該第1及び第2側壁43a,43bを流れる冷却水に伝導されるとともに持ち去られる。すなわち、第1及び第2側壁43a,43bは、冷却水によって強制冷却されるため、半導体素子22で発生した熱が絶縁回路基板21を介して効率良く除去され、結果として半導体素子22が冷却される。第1側壁43a内を流れた冷却水は天板部44内を通過して、第2側壁43b内に導入される。なお、冷却水は、第1側壁43aにおける熱交換によって65°Cから70°C程度まで約5°C温度上昇し、70°C程度の冷却水が第2側壁43b内を通過する。
また、冷媒収容部41において、半導体素子22から発生した熱により冷媒収容部41内の液体冷媒が直接加熱され、液体冷媒の沸点まで加熱されると液体冷媒は沸騰し蒸発する。この沸騰時の大きな蒸発潜熱により半導体素子22で発生した熱が吸入され、結果として半導体素子22が冷却される。
蒸発した液体冷媒は、凝縮部47における天板部44を通過する冷却水により、天板部44の内壁面及びフィン46を介して冷却される。すると、蒸発した液体冷媒は凝縮部47で凝縮されて液体冷媒に戻る。天板部44内を通過した冷却水は、第2側壁43b内を通過してラジエータ50へ導出され、ファンによってラジエータ50からの放熱が行われ、冷却水の温度が側壁43通過前の65°C程度に戻される。
したがって、この実施形態によれば、第1の実施形態における(1)〜(8)と同様の効果の他に次の効果を得ることができる。
(10)冷媒収容部41に液体冷媒を収容し、該冷媒収容部41を形成する第1側壁43a及び第2側壁43bによって冷却部を構成するとともに天板部44内に流体通路を形成した。よって、冷媒収容部41の一つで冷却部(第1及び第2側壁43a,43b)と流体通路を構成することができ、半導体装置40の構成を簡素化することができる。
(11)第1側壁43a及び第2側壁43bは冷媒収容部41の内側に向くように傾斜し、該第1及び第2側壁43a,43bに半導体素子22が接合されている。このため、蒸発し、気泡となった液体冷媒が上昇する際、半導体素子22に接触しやすく、半導体素子22で発生した熱が吸収されやすくなる。
なお、本実施形態は以下のように変更してもよい。
○ 第1〜第3の実施形態において、冷却水の流通する方向は矢印Yと逆方向であってもよい。
○ 電子機器は、車両に搭載される半導体装置10,40に限らず他の用途に使用するものに適用してもよい。例えば、半導体素子22を備えたコンバータであってもよい。
○ 発熱体は半導体素子22ではなく、コンデンサや抵抗であり、該コンデンサや抵抗が実装された電子機器の冷却のために該電子機器に第1及び第2の冷却手段を設けてもよい。
○ 冷却器12、又は冷媒収容部41の両側壁43a,43b及び天板部44を流れる流体は冷却水(液体)に限らず、例えば、他の液体や空気などの気体であってもよい。
○ 液体冷媒は沸点が65〜70°C以外の液体冷媒を用いてもよい。又は、冷媒収容部11又は冷媒収容部41内の圧力を調整して液体冷媒の沸点を任意の温度に設定してもよい。
○ 絶縁回路基板21上に金属回路24が1個形成される構成に限らず、金属回路24が複数形成されるとともに、各金属回路24上に半導体素子22がそれぞれ接合された構成としてもよい。
○ 第2の実施形態のように、半導体素子22を液体冷媒に浸漬しない場合には、液体冷媒として電気伝導性を有するもの(例えば、アルコール)を用いてもよい。
○ 第1の実施形態の冷媒収容部11を横置きにして車両に搭載してもよい。
第1の実施形態の半導体装置を模式的に示す断面図。 第2の実施形態の半導体装置を模式的に示す断面図。 第3の実施形態の半導体装置を模式的に示す断面図。
符号の説明
10,40…電子機器としての半導体装置、12…第1の冷却手段における冷却部を構成する冷却器、11,41…第2の冷却手段を構成する冷媒収容部、18,21…絶縁回路基板、22…発熱体としての半導体素子、32…流体通路を形成する第2接続管、37,47…凝縮部、43a…第1の冷却手段における冷却部を構成する第1側壁、43b…第1の冷却手段における冷却部を構成する第2側壁、44…流体通路を形成する天板部。

Claims (6)

  1. 発熱体の冷却装置を備えた電子機器であって、
    前記発熱体と熱的に結合される冷却部を備えるとともに該冷却部内に流体を強制的に流通させることで前記発熱体の冷却を該発熱体の一方側から行う第1の冷却手段と、
    冷媒収容部内に収容され所定温度で沸騰する液体冷媒を用いた沸騰冷却によって前記発熱体の冷却を前記一方側と異なる側から行う第2の冷却手段と、
    前記冷媒収容部内に設けられ、前記流体を流通させることで蒸発した前記液体冷媒を凝縮する凝縮部と、
    前記冷却部と前記凝縮部とを接続し、前記流体が流通される流体通路と
    よりなる冷却装置を備える電子機器。
  2. 前記発熱体は絶縁回路基板に熱的に結合された半導体素子であり、前記冷却部には前記絶縁回路基板が熱的に結合され、前記第1の冷却手段により前記半導体素子が前記絶縁回路基板への結合側から冷却されるとともに、前記絶縁回路基板及び半導体素子は前記冷媒収容部内に収容されて液体冷媒に浸漬され、前記第2の冷却手段により半導体素子が絶縁回路基板への結合側と異なる側から冷却される請求項1に記載の電子機器。
  3. 前記発熱体は絶縁回路基板に一面が熱的に結合された半導体素子であり、前記冷却部には前記絶縁回路基板が熱的に結合され、前記第1の冷却手段により前記半導体素子が前記一面側から冷却されるとともに、前記半導体素子は他面が前記冷媒収容部に熱的に結合され、前記第2の冷却手段により半導体素子が他面側から冷却される請求項1に記載の電子機器。
  4. 前記電子機器は前記半導体素子を備えた車載用の半導体装置である請求項2又は請求項3に記載の電子機器。
  5. 前記液体冷媒の沸点は65〜70°Cに設定されている請求項1〜請求項4のうちいずれか一項に記載の電子機器。
  6. 前記流体は液体であり、前記第1の冷却手段は液冷式である請求項1〜請求項5のうちいずれか一項に記載の電子機器。
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