JP2008225401A - 液晶表示素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】プラスチックフィルムなど可撓性のある基板支持材にガスバリア層を設けた基板を使った液晶表示素子において、基板側面から浸入するガスを阻止する。このとき外形公差や組立作業性を低下させない。
【解決手段】
液晶層16側の基板面にガスバリア層18を設けた基板から延出した偏光板15が形成する間隙にガスバリア部材19を充填する。これにより、偏光板16の延出量と等しい厚さのガスバリア部材18で充分な機密性が確保できる。
【選択図】図1

Description

この発明は、プラスチックフィルムなど可撓性のある基板支持材にガスバリア層を設けた液晶表示素子において、液晶層に浸入するガスを阻止するため基板の側面にガスバリア部材を設けた液晶表示素子に関する。
いわゆるプラスチックフィルム基板からなる液晶表示素子は、軽量で薄いという性質を活かし携帯電話機の表示パネルとして実用化されたことがある。最近では、割れにくい、曲げられる、平面形状の自由度が高い、という特徴にも注目が集まるようになり様々な応用製品が提案されるようになった。
これら可撓性材料は、ガラスと違いガス或いは水蒸気透過性があるため、常温常圧下で
ガスあるいは水蒸気が透過する。もし仮に可撓性材料だけを使った基板で液晶表示素子を作成すると、ガスが基板を通して液晶内に溶け込み、液晶内に溶け込んだガスが飽和状態に達していると落下等の衝撃により液晶表示素子内に気泡が発生してしまう。そこで基板表面にガスが透過し難い無機物ないし有機物からなるガスバリア層を設けていた。ガスバリア層は、基板の両面に設けられる場合もあるが、製造工程を簡略化させるため基板の片側の面だけに設ける場合もある。ガスバリア層を基板の片側の面だけに設ける場合、液晶層側に設ける場合と液晶層とは反対側に設ける場合がある。基板の液晶層側には透明電極層や透明電極の密着力を高めるための中間層があるので、層構造を簡単にしたい場合はガスバリア層を液晶層とは反対側の面に設けていた。
ガスバリア層を有する液晶表示素子は、平面的にはガスの浸入を押さえ込んでいるが、基板の切断によって生じた側面(以下端面と称する)は基板支持材がむき出しになっているので、ここから基板内を通して液晶層にガスが浸入する。この結果、柔軟性はあるがガス透過度の高い有機物からなるガスバリア層を使った場合、ガスバリア層を基板の両面に形成しても、長期的にはガスが基板端面から液晶層に浸入する(例えば文献1)。
この対策として文献1に示された従来例1(文献中では実施例1)では、シールを含めた液晶表示素子の側面にエポキシ接着剤を塗布し、側面からのガスの浸入を防いでいる。この断面図を図4に示す。液晶表示素子は、図の下から、反射板48、偏光板47、基板41、透明電極42、配向膜43、スペーサ44が混入した液晶層46、配向膜43、透明電極42、基板41、偏光板47が積層している。ここで基板41は、ポリカーボネートフィルムを基板支持材とし、両面にEVA(エチレンと酢酸ビニルの共重合体)とフェノキシ樹脂からなる2層のガスバリア層を有している。表示素子の側面部では、シール45と2枚の基板41の端面とにエポキシ接着剤49が塗布されている。なお文献1の記述にあわせて基板41は基板支持材とガスバリア層から成るものとした(以下同様)。
文献1で示された従来例2(文献中では実施例4)では、液晶セル全体をエポキシ接着剤に浸潤してから偏光板を貼り付け、基板端面からのガスの浸入を防いでいる。この断面図を図5に示す。従来例1と同じ部材は同じ番号で示す。従来例1との違いは、偏光板47と基板41の間にもエポキシ接着剤49の層があること、偏光板47が基板41より外側にはみ出していること、および側面のエポキシ接着剤が左右に盛り上がっていないことである。
その他、文献1には側面にガスバリア部材を設ける例として、偏光板まで含めた液晶表示素子の側面にエポキシ接着剤を塗布する例、基板端面にのみエポキシ接着剤を塗布する
例などが示されている。
特開2001−221998
文献1の従来例1のように側面に接着剤を塗布する方法では、接着剤が垂れてシマしまい、塗布後の断面形状が基板端面の高さ、基板と接着剤の密着力や接着剤の表面張力などで決まってしまう。このため充分なガスバリア能力を発揮できるだけのガスバリア部材の厚みが確保できているか保証はない。また図4の中でエポキシ接着剤49の上下両端部が薄くなっているように、このような塗布法ではガスバリア部材の薄くなっているところからガスの浸入を許す可能性がある。さらに粘性の高い接着剤を塗布する場合は、断面形状が制御しづらいなかで盛り上がる量が大きいので液晶表示素子の外形公差を大きくせざるを得なくなる。
また文献1の従来例2のように液晶セル全体をエポキシ接着剤に浸潤してから偏光板を貼り付ける方法でも、従来例1と同様に基板端面に残るガスバリア部材の量が、基板の高さ、基板と接着剤の密着力や接着剤の表面張力などで決まってしまうため、充分なガスバリア機能を持たせられるだけの厚みを確保しづらい。また、基板表面に粘着物質が存在するため偏光板貼付けなどの組立作業に支障をきたすという課題がある。
そこで本発明の目的は、プラスチックフィルムなど可撓性のある基板支持材にガスバリア層を設けた基板を使った液晶表示素子において、液晶層に浸入するガスを阻止するため基板端面に設けたガスバリア部材が充分な機密性を有し、さらに外形公差が小さく、組立作業性の良い液晶表示素子を提供することである。
上記目標を達成するため、この発明の液晶表示素子は、2枚の可撓性を有する基板がシールを介して積層し、その基板とシールから形成された空間に液晶が注入され、液晶が注入された面とは反対側の基板面に偏光板を備えた液晶表示素子において、基板の少なくとも一方の基板面に設けられたガスバリア層と、偏光板が基板より延出することにより形成された間隙と、この間隙に充填されたガスバリア部材とを有することを特徴とする。
また、この発明の液晶表示装置は、ガスバリア層が液晶層側の基板面に形成され、このガスバリア層がシールより外側に延出し、延出したガスバリア層とガスバリア部材が接着していることを特徴とする。
偏光板で形成された間隙にガスバリア部材を充填すると、偏光板の延出量とこの延出方向に平行なガスバリア部材の厚みがほぼ等しくなる。このため基板端部におけるガスバリア部材は偏光板の延出量を任意に決めることより、充分な能力を保持できるガスバリア部材の厚みを確保できる。
また液晶表示素子の外形公差は偏光板の加工精度まで小さくできる。さらに硬化前の粘性の高いガスバリア部材は液晶表示素子の側面の極一部だけで露出しているので組立作業性が良い。
シールから延出したガスバリアー層と偏光板の間隙に充填したガスバリア部材を接着させると、液晶層はガスバリア層とガスバリア部材で完全に囲まれるので機密性が高まる。
以下、図面を参照しながらこの発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態の断面図である。本発明の液晶表示素子は、図の下から、下側の偏光板17、下側の基板、ITOからなる下側の透明電極12、ポリイミドからなる下側の配向膜13、上側の液晶層16、上側の配向膜13、透明電極12、上側の基板、上側の偏光板17が積層している。上下の基板は、偏光板17側から、厚さが約0.1mmのポリカーボネートフィルムからなる基板支持材11と、有機物ないし無機物の薄膜からなるガスバリア層18が積層している。また液晶層36にはスペーサ14が混入されている。なおガスバリア層18上と透明電極12の密着力が弱い場合はガスバリア層18と透明電極12の間に中間層を設ける。
図1は偏光板17が基板支持材11から左右に延出している。同様に基板支持材11とその表面を被覆するガスバリア層18はシール15に対し左右に延出している。2枚の偏光板17の間隙に充填されたエポキシ樹脂からなるガスバリア部材19は、基板支持材11の端面を覆い、さらにガスバリア層18の延出部と接着している。2枚の偏光板17の間隙は概ね0.2mmと狭いので、この間隙にガスバリア部材19を充填すると、ガスバリア部材19の左右の端面は概ね偏光板17の端部と一致する。
一般にエポキシ材料などの有機材料はSiO2やカーボン膜のような無機材料にくらべガス透過度が大きくガスバリア性が劣るが、厚みを0.1mm程度にすれば充分か気密性が得られる。しかし偏光板の加工精度と貼り付け精度を加味し偏光板の延出量を0.3mmとした。この結果、ガスバリア層18と充分な気密性を持ったガスバリア部材19で液晶層16を完全に取り囲んだ。
図2は本発明の実施の形態の平面図(a)とその断面図(b)であり、図2により外部回路と接続を取るための電極取り出し部の構造を説明する。図1と同じ部材は同じ番号で示している。基板11bは、基板支持材11、ガスバリア層18が積層したものである。また、透明電極12、配向膜13、液晶層16中のスペーサ14は図示していない。
図2(a)において、駆動信号は液晶表示素子に柔軟性のある回路基板22(以下FPCと称する)を介して伝達される。このFPC22の下面の配線電極(図示せず)は、下側の基板11c上に形成され上側の基板11bの切り欠き部(以下電極取り出し部と称する)から露出した透明電極(図示せず)と異方性導電シート(図示せず)を介して接着している。電極取り出し部において、上側の基板11bの切り欠き11aに対応し、上側の偏光板17の切り欠き17aと、シール15の切り欠き15aがある。なお下側の基板11cと下側の偏光板17に切り欠きはない。電極取り出し部において、FPC22の端部、上下側の基板11b,c、及び下側の基板11cの露出部は保護部材21で覆われている。
図2(b)は図2(a)の線分A−Bに沿った断面図である。下側から、下側の偏光板17、下側の基板11c、液晶層16、上側の基板11b、上側の偏光板17が積層していることと、左端において偏光板17の間隙にガスバリア部材19が充填されているのは図1で説明したとおりである。右側の電極取り出し部では、上側の偏光板17の延出部と、上側の基板11bの端面と、シール15と下側の基板11cの露出面とFPC22の端部からなる空間に、シリコーンから成る上側の保護部材21が塗布されている。同様にFCP22の下面と下側の基板11cの端面と下側の偏光板17の延出部からなる空間には下側の保護部材21が塗布されている。保護部材21は上下の基板11b、11cの端面を覆い気密性を保持しながら、透明電極(図示せず)の保護とFPC22接着の補強を兼ねている。
図3は本発明の実施の形態の工程図である。単個に分離すると液晶表示素子の基板となる複数の区画が集合した上下のマザー基板に対し、ホトリソグラフィーによりITO面を加工し電極を形成する。次にポリイミドからなる配向膜を印刷し、配向膜面をラビングする。この後、上側のマザー基板に対し、電極取り出し部となる領域の辺に切り込みを入れておく。この切り込みは、後の工程で電極取り出し部を露出させるときに使い、本例では電極取り出し部の辺のうち外形と接しない3辺に切り込んだもので、コの字型をしている。これには、切断位置と切り込み量が設定できるフィルムカッターを使用する。次にシール印刷機でシール15を印刷し、ITO面が対向するように上下のマザー基板を重ね合わせ、マザー基板を加圧し約120℃で焼成しシール15を硬化させる。液晶表示素子となる複数の区画が一列に配列した領域(以下短冊と称する)をマザー基板から切り取る。この短冊状態で電極取り出し部を覆っていた上側の基板の切り欠き部を取り外しておき、液晶注入と封孔を行う。なお液晶注入時は、まず真空チャンバーのなかで基板の焼成と液晶の脱泡を行ってガス成分を低減してから注入するのが好ましい。その後に短冊から個々の区画(以下単個セルと称する)を分離する。
単個セルに対し上下の偏光板17を貼り付ける。なお上側の偏光板17には切りかき17aが設けられている。FPC22は、120℃程度で硬化する異方性導電接着剤を使って下側の基板11cに貼り付け、FPC22の接着部周辺に保護部材21を塗布する。最後にガスバリア部材19を上下の偏光板17の間隙に充填し紫外線で硬化させる。ガスバリア部材の充填はノズルを用いて行う。ノズルの移動速度とガスバリア部材の吐出量を調整し上下の偏光板17により形成された間隙からガスバリア部材が溢れないようにしておく。なおノズルを固定し、ガスバリア部材を間隙内に流し込んでも良い。
ガスバリア層は、基板の液晶層側だけでなく、基板の両面に設けても、基板の液晶層と反対側に設けてもよい。FPC貼付け部の上下の保護部材は、同一の材料であっても異なった材料であっても良い。
本発明の実施の形態の断面図である。 本発明の実施の形態の平面図(a)と断面図(b)である。 本発明の実施の形態の工程図である。 従来例1の断面図である。 従来例2の断面図である。
符号の説明
11 基板支持材
11a 上側の基板の切り欠き
11b 上側の基板
11c 下側の基板
12,42 透明電極
13,43 配向膜
14,44 スペーサ
15,45 シール
15a 上側のシールの切り欠き
16,46 液晶層
17,47 偏光板
17a 上側の偏光板の切り欠き
18 ガスバリア層
19,49 ガスバリア部材
31 基板
48 反射板

Claims (2)

  1. 2枚の可撓性を有する基板がシールを介して積層し、該基板と該シールから形成された空間に液晶が注入され、前記液晶が注入された面とは反対側の基板面に偏光板を備えた液晶表示素子において、
    前記基板の少なくとも一方の基板面に設けられたガスバリア層と、前記偏光板が基板より延出することにより形成された間隙と、該間隙に充填されたガスバリア部材とを有することを特徴とする液晶表示素子。
  2. 前記ガスバリア層が液晶層側の基板面に形成され、前記ガスバリア層が前記シールより
    外側に延出し、該延出したガスバリア層と前記ガスバリア部材が接着していることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示素子。
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