JP2008224298A - 転がり軸受ユニットの状態量測定装置に対する演算情報の記録方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】互いに組み合わせて使用する転がり軸受ユニット11、11と状態量演算器12とをセットで出荷できない場合でも、上記各転がり軸受ユニット11、11を自動車の懸架装置に組み付ける際に、車体側に設置されている上記状態量演算器12のメモリ中に、上記各転がり軸受ユニット11、11に関する演算情報(零点及びゲイン特性に関する情報)を的確に記録できる方法を実現する。
【解決手段】車室内の一部に設置したコネクタ18と、上記状態量演算器12とを、配線17により接続する。出荷時に上記各転がり軸受ユニット11、11に対して付与された演算情報を読み取る。そして、この読み取った演算情報を、上記コネクタ18から上記状態量演算器12にシリアル通信で送信し、上記メモリ中に記録する。これにより、上記課題を解決する。
【選択図】図1
【解決手段】車室内の一部に設置したコネクタ18と、上記状態量演算器12とを、配線17により接続する。出荷時に上記各転がり軸受ユニット11、11に対して付与された演算情報を読み取る。そして、この読み取った演算情報を、上記コネクタ18から上記状態量演算器12にシリアル通信で送信し、上記メモリ中に記録する。これにより、上記課題を解決する。
【選択図】図1
Description
この発明は、転がり軸受ユニットの状態量測定装置に就いて求めた、この転がり軸受ユニットの両軌道輪同士の間に作用する外力等の状態量とセンサ情報との関係である、零点とゲイン特性とのうちの少なくとも一方を、状態量演算器が上記状態量を算出する為に利用する演算情報として、この状態量演算器に記録する方法に関する。
自動車の車輪は懸架装置に対し、複列アンギュラ型等の転がり軸受ユニットにより回転自在に支持する。又、自動車の走行安定性を確保する為に、アンチロックブレーキシステム(ABS)やトラクションコントロールシステム(TCS)、更には、電子制御式ビークルスタビリティコントロールシステム(ESC)等の車両用走行安定化装置が使用されている。この様な各種車両用走行安定化装置を制御する為には、車輪の回転速度、車体に加わる各方向の加速度等を表す信号が必要になる。そして、より高度の制御を行なう為には、車輪を介して上記転がり軸受ユニットに加わる荷重(例えばラジアル荷重とアキシアル荷重との一方又は双方)の大きさを知る事が好ましい場合がある。
この様な事情に鑑みて、特許文献1〜2には、各種構造の転がり軸受ユニットの状態量測定装置に関する発明が記載されている。このうちの特許文献1には、車輪支持用転がり軸受ユニット内に複列に配置された転動体の公転速度を測定し、これら両列の転動体の公転速度同士の関係に基づいて、上記車輪支持用転がり軸受ユニットに加わるラジアル荷重又はアキシアル荷重を求める技術が記載されている。又、特許文献2には、特殊なエンコーダを使用する事で、車輪支持用転がり軸受ユニットに加わるラジアル荷重又はアキシアル荷重を求める技術が記載されている。
図6〜8は、このうちの特許文献2に記載された発明の構造と同じ荷重の測定原理を採用している、転がり軸受ユニットの状態量測定装置の第1例を示している。この従来構造の第1例は、使用時にも回転しない静止側軌道輪である外輪1の内径側に、使用時に車輪を支持固定した状態でこの車輪と共に回転する、回転側軌道輪であるハブ2を、複数個の転動体3、3を介して、回転自在に支持している。これら各転動体3、3には、互いに逆向きの(図示の場合には背面組み合わせ型の)接触角と共に、予圧を付与している。尚、図示の例では、上記転動体3として玉を使用しているが、重量が嵩む自動車用の軸受ユニットの場合には、玉に代えて円すいころを使用する場合もある。
又、上記ハブ2の内端部(軸方向に関して「内」とは、自動車への組み付け状態で車両の幅方向中央側を言い、図1〜6、9、11の右側。反対に、自動車への組み付け状態で車両の幅方向外側となる、図1〜6、9、11の左側を、軸方向に関して「外」と言う。本明細書全体で同じ。)には、円筒状のエンコーダ4を、上記ハブ2と同心に支持固定している。又、上記外輪1の内端開口を塞ぐ有底円筒状のカバー5の内側に、1対のセンサ6a、6bを保持すると共に、これら両センサ6a、6bの検出部を、上記エンコーダ4の被検出面である外周面に近接対向させている。
このうちのエンコーダ4は、磁性金属板製である。このエンコーダ4の先半部(軸方向内半部)には、透孔7、7と柱部8、8とを、円周方向に関して交互に且つ等間隔で配置している。これら各透孔7、7と各柱部8、8との境界は、上記被検出面の軸方向(幅方向)に対し同じ角度だけ傾斜させると共に、この軸方向に対する傾斜方向を、上記被検出面の軸方向中間部を境に互いに逆方向としている。従って、上記各透孔7、7と上記各柱部8、8とは、軸方向中間部が円周方向に関して最も突出した「く」字形となっている。そして、上記境界の傾斜方向が互いに異なる、被検出面である上記エンコーダ4の外周面の軸方向外半部と軸方向内半部とのうち、軸方向外半部を第一特性変化部9とし、軸方向内半部を第二特性変化部10としている。尚、これら両特性変化部9、10を構成する各透孔は、図示の様に互いに連続した状態で形成しても良いし、互いに独立した状態と(各透孔を「ハ」字形に配置)しても良い。又、測定精度は劣るが、上記両特性変化部9、10のうちの何れか一方の特性変化部の境界のみを軸方向に対し傾斜させ、他方の特性変化部の境界を軸方向と平行にする事もできる。
又、上記1対のセンサ6a、6bはそれぞれ、永久磁石と、検出部を構成する、ホールIC、ホール素子、MR素子、GMR素子等の磁気検知素子とから成る。そして、これら両センサ6a、6bのうち、一方のセンサ6aの検出部を上記第一特性変化部9に、他方のセンサ6bの検出部を上記第二特性変化部10に、それぞれ近接対向させている。これら両センサ6a、6bの検出部が上記両特性変化部9、10に対向する位置は、上記エンコーダ4の円周方向に関して同じ位置(図示の例では、下端部)としている。又、上記外輪1とハブ2との間にアキシアル荷重が作用しない、中立状態で、上記各透孔7、7及び柱部8、8の軸方向中間部で円周方向に関して最も突出した部分(境界の傾斜方向が変化する部分)が、上記両センサ6a、6bの検出部同士の間の丁度中央位置に存在する様に、各部材の設置位置を規制している。
上述の様に構成する従来構造の第1例の場合、外輪1とハブ2との間にアキシアル荷重が作用(これら外輪1とハブ2とがアキシアル方向に相対変位)すると、上記両センサ6a、6bの出力信号が変化する位相がずれる。即ち、上記外輪1とハブ2との間にアキシアル荷重が作用していない、中立状態では、上記両センサ6a、6bの検出部は、図8の(A)の実線イ、イ上、即ち、上記最も突出した部分から軸方向に同じだけずれた部分に対向する。従って、上記両センサ6a、6bの出力信号の位相は、同図の(C)に示す様に一致する。これに対して、上記エンコーダ4を固定したハブ2に、図8の(A)で下向きのアキシアル荷重が作用した場合には、上記両センサ6a、6bの検出部は、図8の(A)の破線ロ、ロ上、即ち、上記最も突出した部分からの軸方向に関するずれが互いに異なる部分に対向する。この状態では上記両センサ6a、6bの出力信号の位相は、同図の(B)に示す様にずれる。更に、上記エンコーダ4を固定したハブ2に、図8の(A)で上向きのアキシアル荷重が作用した場合には、上記両センサ6a、6bの検出部は、図8の(A)の鎖線ハ、ハ上、即ち、上記最も突出した部分からの軸方向に関するずれが、逆方向に互いに異なる部分に対向する。この状態では上記両センサ6a、6bの出力信号の位相は、同図の(D)に示す様に、上記(B)の場合とは逆方向にずれる。
上述の様に、従来構造の第1例の場合には、上記両センサ6a、6bの出力信号の位相が、上記外輪1とハブ2との間に加わるアキシアル荷重の作用方向(これら外輪1とハブ2とのアキシアル方向の相対変位の方向)に応じた向きにずれる。又、このアキシアル荷重(相対変位)により上記両センサ6a、6bの出力信号の位相がずれる程度は、このアキシアル荷重(相対変位)が大きくなる程大きくなる。従って、上記両センサ6a、6bの出力信号の位相ずれの有無、ずれが存在する場合にはその向き及び大きさに基づいて、上記外輪1とハブ2とのアキシアル方向の相対変位の向き及び大きさ、並びに、これら外輪1とハブ2との間に作用しているアキシアル荷重の作用方向及び大きさを求められる。
尚、実際には、上記両センサ6a、6bの出力信号同士の間に存在する位相差比(位相差/1周期、特許請求の範囲に記載した「少なくとも1個のセンサの出力信号に関する情報」)に基づいて上記アキシアル方向の相対変位及び荷重を算出するが、この算出処理は、図示しない状態量演算器により行なう。この為、この状態量演算器のメモリ中には、予め理論計算や実験により調べておいた、上記位相差比と、上記アキシアル方向の相対変位又は荷重との関係{零点及びゲイン特性(演算情報)}を記録(インストール)しておく。
又、上述した従来構造の第1例の場合には、それぞれの検出部を第一、第二両特性変化部9、10に対向させた1対のセンサ6a、6bから成るセンサ組を1組だけ設けている。これに対し、図示は省略するが、特願2006−143097、特願2006−345849には、それぞれが1対のセンサから成るセンサ組を複数組設ける事で、多方向の変位或は外力を求められる構造が開示されている。
次に、図9〜10は、転がり軸受ユニットの状態量測定装置に関する、従来構造の第2例を示している。この従来構造の第2例の場合、ハブ2の内端部に外嵌固定した、磁性金属板製で円筒状のエンコーダ4aの先半部に、スリット状の透孔7a、7aと柱部8a、8aとを、円周方向に関して交互に且つ等間隔で配置している。これら各透孔7a、7aと各柱部8a、8aとの境界はそれぞれ、上記エンコーダ4aの軸方向に対し同方向に同じ角度だけ傾斜した、直線状である。又、外輪1の内端部にカバー5を介して支持した1対のセンサ6a、6bの検出部を、上記被検出面の上下2個所位置に近接対向させている。
自動車の車輪支持用転がり軸受ユニットの場合、上記外輪1と上記ハブ2との間に加わるアキシアル荷重は、このハブ2に結合固定した車輪を構成するタイヤの外周面と路面との接地面から入力される。この接地面は、上記外輪1及び上記ハブ2の回転中心よりも径方向外方に存在する為、上記アキシアル荷重はこれら外輪1とハブ2との間に、純アキシアル荷重としてではなく、これら外輪1及びハブ2の中心軸と上記接地面の中心とを含む(鉛直方向の)仮想平面内での、モーメントを伴って加わる。この様なモーメントが上記外輪1と上記ハブ2との間に加わると、このハブ2の中心軸がこの外輪1の中心軸に対して傾く。これに伴い、上記エンコーダ4aの上端部が軸方向に関して何れかの方向に、同じく下端部がこれと逆方向に、それぞれ変位する。この結果、上記エンコーダ4aの外周面の上下両端部にそれぞれの検出部を近接対向させた、上記両センサ6a、6bの出力信号の位相が、それぞれ中立位置に対して、逆方向にずれる。従って、これら両センサ6a、6bの出力信号の位相のずれの向き及び大きさに基づいて、上記アキシアル荷重の作用方向及び大きさを求められる。
尚、本例の場合も、実際には、上記両センサ6a、6bの出力信号同士の間に存在する位相差比(位相差/1周期、特許請求の範囲に記載した「少なくとも1個のセンサの出力信号に関する情報」)に基づいて上記アキシアル荷重を算出するが、この算出処理は、図示しない状態量演算器により行なう。この為、この状態量演算器のメモリ中には、予め理論計算や実験により調べておいた、上記位相差比と、上記アキシアル荷重との関係{零点及びゲイン特性(演算情報)}を記録しておく。
次に、図11〜12は、転がり軸受ユニットの状態量測定装置に関する、従来構造の第3例を示している。この従来構造の第3例の場合、ハブ2の内端部に外嵌固定した、磁性金属板製で円筒状のエンコーダ4bの先半部に、透孔7b、7bと柱部8b、8bとを、円周方向に関して交互に且つ等間隔で配置している。これら各透孔7b、7bはそれぞれ、径方向から見た形状を台形として、それぞれの円周方向に関する幅寸法を、軸方向に関して漸次変化させている。又、外輪1の内端部にカバー5を介して支持した1個のセンサ6aの検出部を、被検出面である、上記エンコーダ4bの先半部外周面の円周方向一部(図示の例では、下端部)に近接対向させている。この様に構成する従来構造の第3例の場合、アキシアル荷重に基づいて上記外輪1とハブ2とが軸方向に相対変位すると、上記センサ6aの出力信号のデューティ比(高電位継続時間/1周期)が変化する。従って、このデューティ比に基づいて、上記相対変位の向き及び大きさ、更には上記アキシアル荷重の作用方向及び大きさを求められる。
尚、本例の場合も、上記センサ6aの出力信号のデューティ比(特許請求の範囲に記載した「少なくとも1個のセンサの出力信号に関する情報」)に基づいて上記アキシアル方向の相対変位及び荷重を算出する処理は、図示しない状態量演算器により行なう。この為、この状態量演算器のメモリ中には、予め理論計算や実験により調べておいた、上記デューティ比と、上記アキシアル方向の相対変位又は荷重との関係{零点及びゲイン特性(演算情報)}を記録しておく。
ところで、上述した様な各従来構造の場合、状態量演算器のメモリ中に記録する演算情報(零点及びゲイン特性)は、転がり軸受ユニット11の製造誤差等に起因して、微妙に変化する。この為、総ての転がり軸受ユニット11に関する演算情報を一致させる事は困難である。従って、正確な状態量測定を行なえる様にすべく、上記各転がり軸受ユニット11と組み合わせて使用する状態量演算器のメモリ中には、一律に同じ演算情報を記録するのではなく、上記各転がり軸受ユニット11毎に求めた演算情報を記録するのが好ましい。
この場合に、上記各転がり軸受ユニット11毎の演算情報は、例えば特許文献3に記載された方法等により求める事ができる。又、この様に求めた演算情報を、当該転がり軸受ユニット11と組み合わせて使用する状態量演算器のメモリ中に記録する作業は、これら転がり軸受ユニット11と状態量演算器とをセットで出荷する場合には、この出荷段階で行なえる。但し、セットで出荷しない場合(例えば、これら転がり軸受ユニット11と状態量演算器との出荷元が異なる場合や、交換用の転がり軸受ユニット11のみを出荷する場合)には、車両への組み付け段階で行なう事になる。この様にセットで出荷しない場合に関して、例えば上記特許文献3には、転がり軸受ユニットの出荷段階で、この転がり軸受ユニットの一部に無線ICタグを添着すると共に、この無線ICタグにこの転がり軸受ユニットに関する演算情報を記録し、且つ、この転がり軸受ユニットを自動車の懸架装置に取り付ける段階で、上記無線ICタグに記録されている上記演算情報を、車体側に設置されている状態量演算器に無線送信し、この状態量演算器のメモリ中に記録する方法等が記載されている。
尚、本発明に関連する他の特許文献として、以下の特許文献4〜5がある。
尚、本発明に関連する他の特許文献として、以下の特許文献4〜5がある。
本発明は、互いに組み合わせて使用する転がり軸受ユニットと状態量演算器とをセットで出荷しない場合に好ましく採用できる、この状態量演算器に対する演算情報の記録方法であって、且つ、上記特許文献3等に示されていない、新規な記録方法を実現すべく発明したものである。
本発明の演算情報の記録方法の対象となる、転がり軸受ユニットの状態量測定装置は、転がり軸受ユニットと、状態量測定装置とを備える。
このうちの転がり軸受ユニットは、使用時にも回転しない静止側軌道輪と、複数個の転動体を介してこの静止側軌道輪と同心に支持され、使用時に回転する回転側軌道輪とを備える。
又、上記状態量測定装置は、上記両軌道輪同士の間の相対変位と、これら両軌道輪同士の間に作用する外力とのうちの、少なくとも一方の状態量を求める。この様な状態量測定装置は、この状態量の変化に伴って出力信号を変化させる少なくとも1個のセンサと、この少なくとも1個のセンサの出力信号に関する情報に基づいて上記状態量を算出する状態量演算器とを備える。
そして、本発明の転がり軸受ユニットの状態量測定装置に対する演算情報の記録方法は、上記転がり軸受ユニットの状態量測定装置に就いて求めた、上記少なくとも1個のセンサの出力信号に関する情報と上記状態量との関係である、零点とゲイン特性とのうちの少なくとも一方を、上記状態量演算器が上記状態量を算出する為に利用する演算情報として、この状態量演算器のメモリ{上記状態量の演算を実行する演算部と共にこの状態量演算器を構成(内蔵、別体は問わない)するメモリ}中に記録(インストール)する方法である。
特に、本発明のうち請求項1に記載した転がり軸受ユニットの状態量測定装置に対する演算情報の記録方法の場合には、上記演算情報を、シリアル通信により上記状態量演算器に送信し、この状態量演算器のメモリ中に記録する。
このうちの転がり軸受ユニットは、使用時にも回転しない静止側軌道輪と、複数個の転動体を介してこの静止側軌道輪と同心に支持され、使用時に回転する回転側軌道輪とを備える。
又、上記状態量測定装置は、上記両軌道輪同士の間の相対変位と、これら両軌道輪同士の間に作用する外力とのうちの、少なくとも一方の状態量を求める。この様な状態量測定装置は、この状態量の変化に伴って出力信号を変化させる少なくとも1個のセンサと、この少なくとも1個のセンサの出力信号に関する情報に基づいて上記状態量を算出する状態量演算器とを備える。
そして、本発明の転がり軸受ユニットの状態量測定装置に対する演算情報の記録方法は、上記転がり軸受ユニットの状態量測定装置に就いて求めた、上記少なくとも1個のセンサの出力信号に関する情報と上記状態量との関係である、零点とゲイン特性とのうちの少なくとも一方を、上記状態量演算器が上記状態量を算出する為に利用する演算情報として、この状態量演算器のメモリ{上記状態量の演算を実行する演算部と共にこの状態量演算器を構成(内蔵、別体は問わない)するメモリ}中に記録(インストール)する方法である。
特に、本発明のうち請求項1に記載した転がり軸受ユニットの状態量測定装置に対する演算情報の記録方法の場合には、上記演算情報を、シリアル通信により上記状態量演算器に送信し、この状態量演算器のメモリ中に記録する。
上述の請求項1に記載した発明を実施する場合に、好ましくは、請求項2に記載した様に、シリアル通信として、OBD(On Board Diagnostic )システム(車載式故障診断システム。規格として、OBD−▲1▼、OBD−▲2▼がある。)のKライン{K−Line(1線式)}通信を採用する。
或は、請求項3に記載した様に、シリアル通信として、CAN(Control Area Network)通信を採用する。尚、このCANには、グローバルCANとローカルCANとの双方を含む。
又、上述の請求項1〜3に記載した発明を実施する場合に、好ましくは、請求項4に記載した様に、OBDシステムの故障診断用コネクタから状態量演算器に向けて、演算情報を送信する。
或は、請求項3に記載した様に、シリアル通信として、CAN(Control Area Network)通信を採用する。尚、このCANには、グローバルCANとローカルCANとの双方を含む。
又、上述の請求項1〜3に記載した発明を実施する場合に、好ましくは、請求項4に記載した様に、OBDシステムの故障診断用コネクタから状態量演算器に向けて、演算情報を送信する。
又、上述の請求項1〜4に記載した発明は、例えば請求項5に記載した転がり軸受ユニットの状態量測定装置を対象として実施する事ができる。この請求項5に記載した転がり軸受ユニットの状態量測定装置は、状態量測定装置がセンサとエンコーダとを備える。そして、このうちのエンコーダは、回転側軌道輪の一部に直接又は他の部材を介して支持されたもので、この回転側軌道輪と同心の被検出面の特性を円周方向に関して交互に変化させている。又、上記センサは、この被検出面に検出部を対向させた状態で使用時にも回転しない部分に支持されていて、上記回転側軌道輪の回転に伴い、上記被検出面の特性変化に対応してその出力信号を変化させる。
又、上述の請求項1〜5に記載した発明を実施する場合に、好ましくは、請求項6に記載した様に、転がり軸受ユニットを自動車の車輪支持用のハブユニットとする。そして、使用状態で静止側軌道輪を自動車の懸架装置に支持すると共に、回転側軌道輪であるハブに車輪を結合固定する。
上述した様な本発明の転がり軸受ユニットの状態量測定装置に対する演算情報の記録方法によれば、互いに組み合わせて使用する転がり軸受ユニットと状態量演算器とをセットで出荷しない場合(例えば、これら転がり軸受ユニットと状態量演算器との出荷元が異なる場合や、交換用の転がり軸受ユニットのみを出荷する場合)でも、使用個所への組み付け段階で、この使用個所に組み付けられた上記状態量演算器のメモリ中に、上記転がり軸受ユニットに関する演算情報を的確に記録(初期組み付け時に新規書き込み、又は、交換時に補正書き込み)できる。
[実施の形態の第1例]
図1は、請求項1、5、6に対応する、本発明の実施の形態の第1例を示している。尚、本例の特徴は、各車輪を支持する為の転がり軸受ユニット11、11を、自動車の懸架装置に取り付ける際、車体側に設置されている状態量測定装置を構成する状態量演算器12のメモリ(この状態量演算器12に、状態量の演算を実行する演算部と共に内蔵されているメモリ。後述する実施の形態の第2〜5例に就いても同じ。)中に、上記各転がり軸受ユニット11、11に関する演算情報{1対のセンサ6a、6bの出力信号同士の間に存在する位相差比と、状態量(外輪1とハブ2との間のアキシアル方向の相対変位、又は、これら外輪1とハブ2との間に作用するアキシアル荷重)との関係である、零点とゲイン特性とのうちの少なくとも一方}を記録(インストール)する方法にある。上記各転がり軸受ユニット11、11の状態量測定装置に就いての構造及び作用は、前述の図6〜8に示した従来構造の第1例の場合とほぼ同様である。この為、これら各転がり軸受ユニット11、11の状態量測定装置に関する重複した図示並びに説明は省略若しくは簡略にし、以下、本例の特徴部分、並びに、上記従来構造の第1例と異なる部分を中心に説明する。
図1は、請求項1、5、6に対応する、本発明の実施の形態の第1例を示している。尚、本例の特徴は、各車輪を支持する為の転がり軸受ユニット11、11を、自動車の懸架装置に取り付ける際、車体側に設置されている状態量測定装置を構成する状態量演算器12のメモリ(この状態量演算器12に、状態量の演算を実行する演算部と共に内蔵されているメモリ。後述する実施の形態の第2〜5例に就いても同じ。)中に、上記各転がり軸受ユニット11、11に関する演算情報{1対のセンサ6a、6bの出力信号同士の間に存在する位相差比と、状態量(外輪1とハブ2との間のアキシアル方向の相対変位、又は、これら外輪1とハブ2との間に作用するアキシアル荷重)との関係である、零点とゲイン特性とのうちの少なくとも一方}を記録(インストール)する方法にある。上記各転がり軸受ユニット11、11の状態量測定装置に就いての構造及び作用は、前述の図6〜8に示した従来構造の第1例の場合とほぼ同様である。この為、これら各転がり軸受ユニット11、11の状態量測定装置に関する重複した図示並びに説明は省略若しくは簡略にし、以下、本例の特徴部分、並びに、上記従来構造の第1例と異なる部分を中心に説明する。
本例の場合、自動車への組み付け状態で、上記各転がり軸受ユニット11、11の状態量測定装置を構成する状態量演算器12は、車体側に設置されたコントロールユニット13とABSコントロールユニット16とのうちのコントロールユニット13に組み込まれている。このコントロールユニット13は、上記状態量演算器12の他、信号処理部14と、別の(例えば、ABS以外のTCSやESC等の各種車載装置の制御を実行する)演算装置15とを備える。
自動車の運転時に、上記コントロールユニット13には、上記各転がり軸受ユニット11、11からそれぞれ、上記両センサ6a、6bの出力信号が送り込まれる。これら両センサ6a、6bの出力信号は、これら両センサ6a、6bが電流出力型(これら両出力信号が電流信号)である場合には、上記信号処理部14で信号処理(電流信号を電圧信号に変換し、必要に応じて互いの電圧レベルを合わせる処理)を施された後、上記状態量演算器12に送り込まれる。これに対し、上記両センサ6a、6bが電圧出力型(上記両出力信号が電圧信号)である場合には、必要に応じて上記信号処理部14で信号処理(互いの電圧レベルを合わせる処理)を施された後、上記状態量演算器12に送り込まれる。尚、上記信号処理部14による信号処理は、上記両出力信号を、上記状態量演算器12が取り扱い可能な信号に変換する為に行なう。
何れにしても、上記状態量演算器12は、この状態量演算器12に送り込まれた上記両センサ6a、6bの出力信号の位相差比に基づき、自身のメモリ中に記録されている上記各転がり軸受ユニット11、11に関する演算情報を利用して、これら各転がり軸受ユニット11、11に関する状態量を(これら各転がり軸受ユニット15、15毎に)算出する。そして、これら各状態量の算出結果を、上記演算装置15に送り込む。そして、この演算装置15が、これら各状態量の算出結果を利用して、上記各車載装置の制御を実行する。尚、本例の場合には、上記各転がり軸受ユニット11、11の状態量測定装置同士で、上記(1個の)状態量演算器12を共用する構造を採用している。但し、本発明を実施する場合には、勿論、上記各状態量測定装置が別々の状態量演算器を備えた構造を採用する事もできる。
又、自動車の運転時に、前記ABSコントロールユニット16には、上記各転がり軸受ユニット11、11からそれぞれ、車輪と共に回転する前記ハブ2の回転速度を表すセンサ信号が送り込まれる。このセンサ信号としては、上記各転がり軸受ユニット11、11に別途組み込んだ回転速度センサ(図示せず)の出力信号を採用できる他、(パルスピッチ精度を十分に確保できる事を条件として)上記両センサ6a、6bのうちの何れかのセンサ6a(6b)の出力信号を採用する事もできる。何れにしても、上記ABSコントロールユニット16は、上記回転速度を表すセンサ信号を利用して、ABSの制御を実行する。尚、このABSコントロールユニット16は、上記コントロールユニット12と一体化して、この一体化したコントロールユニット12により、ABSの制御を実行する事もできる。
次に、上記各転がり軸受ユニット11、11を自動車の懸架装置に取り付ける際に、これら各転がり軸受ユニット11、11に関する演算情報を、車体側に設置されている上記状態量演算器12のメモリ中に記録する方法に就いて説明する。本例の場合、この記録作業は、シリアル通信により行なう。この為に、本例の場合、上記状態量演算器12に、シリアル通信用の配線17の一端を接続している。これと共に、この配線17の他端に設けたシリアル通信用のコネクタ18を、車室内の一部(例えばダッシュボックスの下等の作業性の良い個所)に設置している。そして、上記各転がり軸受ユニット11、11を自動車の懸架装置に取り付ける際に、出荷時にこれら各転がり軸受ユニット11、11に付与された演算情報を読み取る。そして、この読み取った演算情報を、上記コネクタ18から上記状態量演算器12に向けシリアル通信で送信し、この状態量演算器12のメモリ中に記録する。
尚、上記各転がり軸受ユニット11、11に付与された演算情報の読み取り方法は、これら各転がり軸受ユニット11、11に対する上記演算情報の付与方法によって適宜変更する。例えば、この付与方法として、上記演算情報を、上記各転がり軸受ユニット11、11の一部に固定したICタグに記録する方法を採用する場合には、ICリーダで読み取る方法を採用し、同じくバーコード(若しくは二次元バーコード)に記録する方法を採用する場合には、バーコードリーダ(若しくは二次元バーコードリーダ)で読み取る方法を採用する。又、トレーサビリティを行なう為に、好ましくは、上記各転がり軸受ユニット11、11のシリアルナンバーを、それぞれ上記ICタグや上記バーコード(若しくは二次元バーコード)に記録しておくか、或は上記各転がり軸受ユニット11、11の表面に印字等しておく。更に、必要に応じて、上記演算情報と共に上記メモリ中に記録しておく。上記シリアルナンバーは、上記各転がり軸受ユニット11、11と上記状態量演算器12とが別々であっても、一緒であっても、付しておく事が好ましい。
上述した様な本例の転がり軸受ユニットの状態量測定装置に対する演算情報の記録方法によれば、互いに組み合わせて使用する各転がり軸受ユニット11、11と状態量演算器12とをセットで出荷しない場合(例えば、これら各転がり軸受ユニット11、11と状態量演算器12との出荷元が異なる場合や、交換用の転がり軸受ユニット11のみを出荷する場合)でも、自動車への組み付け段階で、車体側に設置された上記状態量演算器12のメモリ中に、上記各転がり軸受ユニット11、11に関する演算情報を的確に記録(初期組み付け時に新規書き込み、又は、交換時に補正書き込み)できる。
[実施の形態の第2例]
次に、図2は、請求項1、2、4、5、6に対応する、本発明の実施の形態の第2例を示している。本例は、OBDシステムを搭載した自動車に組み付けて使用する構造に関する例である。本例の場合も、上述した第1例の場合と同様、車体側に設置されている状態量演算器12のメモリ中に、各転がり軸受ユニット11、11に関する演算情報を記録する作業を、シリアル通信により行なう。但し、本例の場合には、このシリアル通信として、上記OBDシステムのKライン通信を採用する。この為に、本例の場合、上記状態量演算器12を、上記OBDシステムのKライン通信線19に接続している。
次に、図2は、請求項1、2、4、5、6に対応する、本発明の実施の形態の第2例を示している。本例は、OBDシステムを搭載した自動車に組み付けて使用する構造に関する例である。本例の場合も、上述した第1例の場合と同様、車体側に設置されている状態量演算器12のメモリ中に、各転がり軸受ユニット11、11に関する演算情報を記録する作業を、シリアル通信により行なう。但し、本例の場合には、このシリアル通信として、上記OBDシステムのKライン通信を採用する。この為に、本例の場合、上記状態量演算器12を、上記OBDシステムのKライン通信線19に接続している。
そして、上記各転がり軸受ユニット11、11に関する演算情報を、通常、車室内の運転席近くに設置されている、上記OBDシステムの故障診断用コネクタ(図示せず)から、上記状態量演算器12に向け、上記Kライン通信により送信し、この状態量演算器12のメモリ中に記録する。この様に、本例の場合には、自動車に搭載されているOBDシステムを利用して上記演算情報の記録を行なう為、上述の図1に示した第1例の様な専用のコネクタ18を設けずに済む分、上記記録を低コストで行なえる。又、上記故障診断用コネクタに接続する、上記演算情報を入力する為の端末として、上記OBDシステム用の標準化された汎用の故障診断装置(各社用にカスタマイズされた故障診断装置でも可)を使用すれば、上記演算情報を入力する為の専用の端末を用意する必要がなくなる分、やはり上記記録を低コストで行なえる。その他の構成及び作用は、上述の図1に示した第1例の場合と同様である。
[実施の形態の第3例]
次に、図3は、請求項1、3、4、5、6に対応する、本発明の実施の形態の第3例を示している。本例は、OBDシステム及びCANを搭載した自動車に組み付けて使用する構造に関する例である。本例の場合も、上述した第1〜2例の場合と同様、車体側に設置されている状態量演算器12のメモリ中に、各転がり軸受ユニット11、11に関する演算情報を記録する作業を、シリアル通信により行なう。但し、本例の場合には、このシリアル通信として、CAN通信を採用する。この為に、本例の場合、コントロールユニット13に接続したCANコネクタ20と、上記状態量演算器12とを、CANドライバ21を介して接続している。これにより、この状態量演算器12を、上記CAN通信を行なう為の伝送路である、CANバスに接続している。これと共に、上記状態量演算器12に、CANアドレスを付与している。尚、上記CANバスは、車室内の運転席近くに設置されている、上記OBDシステムの故障診断用コネクタ(図示せず)にも接続されている。
次に、図3は、請求項1、3、4、5、6に対応する、本発明の実施の形態の第3例を示している。本例は、OBDシステム及びCANを搭載した自動車に組み付けて使用する構造に関する例である。本例の場合も、上述した第1〜2例の場合と同様、車体側に設置されている状態量演算器12のメモリ中に、各転がり軸受ユニット11、11に関する演算情報を記録する作業を、シリアル通信により行なう。但し、本例の場合には、このシリアル通信として、CAN通信を採用する。この為に、本例の場合、コントロールユニット13に接続したCANコネクタ20と、上記状態量演算器12とを、CANドライバ21を介して接続している。これにより、この状態量演算器12を、上記CAN通信を行なう為の伝送路である、CANバスに接続している。これと共に、上記状態量演算器12に、CANアドレスを付与している。尚、上記CANバスは、車室内の運転席近くに設置されている、上記OBDシステムの故障診断用コネクタ(図示せず)にも接続されている。
そこで、本例の場合には、上記各転がり軸受ユニット11、11に関する演算情報を、上記OBDシステムの故障診断用コネクタから、上記状態量演算器12に向け、CAN通信により送信し、この状態量演算器12のメモリ中に記録する。この様に、本例の場合には、自動車に搭載されているCAN及び故障診断用コネクタを利用して、上記演算情報の記録を行なう。この為、前述の図1に示した第1例の様な専用のコネクタ18を設けずに済む分、上記記録を低コストで行なえる。その他の構造及び作用は、上述の図1〜2に示した第1〜2例の場合と同様である。
[実施の形態の第4例]
次に、図4は、やはり請求項1、3、4、5、6に対応する、本発明の実施の形態の第4例を示している。本例も、上述の図3に示した第3例の場合と同様、OBDシステム及びCANを搭載した自動車に組み付けて使用する構造に関する例である。但し、本例の場合には、上述した第3例の場合と異なり、コントロールユニット13に接続したCANコネクタ20と、(状態量演算器12ではなく)演算装置15とを、CANドライバ21を介して接続している。これにより、この演算装置15を、CAN通信を行なう為の伝送路である、CANバスに接続している。これと共に、上記演算装置15にCANアドレスを付与している。
次に、図4は、やはり請求項1、3、4、5、6に対応する、本発明の実施の形態の第4例を示している。本例も、上述の図3に示した第3例の場合と同様、OBDシステム及びCANを搭載した自動車に組み付けて使用する構造に関する例である。但し、本例の場合には、上述した第3例の場合と異なり、コントロールユニット13に接続したCANコネクタ20と、(状態量演算器12ではなく)演算装置15とを、CANドライバ21を介して接続している。これにより、この演算装置15を、CAN通信を行なう為の伝送路である、CANバスに接続している。これと共に、上記演算装置15にCANアドレスを付与している。
本例の場合、各転がり軸受ユニット11、11に関する演算情報を、上記状態量演算器12のメモリ中に記録する場合には、これら各演算情報を、車室内の運転席近くに設置されているOBDシステムの故障診断用コネクタ(図示せず)から、上記演算装置15に向け、CAN通信により送信する。そして、この様にして演算装置15に送信された上記各演算情報を、この演算装置15から上記状態量演算器12に向けシリアル通信で送信し、この状態量演算器12のメモリ中に記録する。尚、このシリアル通信を行なう為の伝送路は、自動車の運転時に、上記状態量演算器12から上記演算装置15に向け、状態量の算出結果を送信する際にも利用する。その他の部分の構造及び作用は、上述の図3に示した第3例の場合と同様である。
尚、上述した第4例の構成で、CANの代わりに前述したKラインを使用しても、同じ作用効果を得られる。
尚、上述した第4例の構成で、CANの代わりに前述したKラインを使用しても、同じ作用効果を得られる。
[実施の形態の第5例]
次に、図5は、やはり請求項1、3、4、5、6に対応する、本発明の実施の形態の第5例を示している。本例も、上述の図3〜4に示した第3〜4例の場合と同様、OBDシステム及びCANを搭載した自動車に組み付けて使用する構造に関する例である。但し、本例の場合には、上述した第3〜4例の場合と異なり、コントロールユニット13に接続したCANコネクタ20を、状態量演算器12と演算装置15とのそれぞれに対し、CANドライバ21、21を介して接続している。これにより、これら状態量演算器12と演算装置15とをそれぞれ、CAN通信を行なう為の伝送路である、CANバスに接続している。これと共に、上記状態量演算器12と演算装置15とにそれぞれ、CANアドレスを付与している。更に、本例の場合には、上記状態量演算器12と上記演算装置15との間を、上記CANバス以外の伝送路によっては接続していない(CANバスを介してのみ接続している)。
次に、図5は、やはり請求項1、3、4、5、6に対応する、本発明の実施の形態の第5例を示している。本例も、上述の図3〜4に示した第3〜4例の場合と同様、OBDシステム及びCANを搭載した自動車に組み付けて使用する構造に関する例である。但し、本例の場合には、上述した第3〜4例の場合と異なり、コントロールユニット13に接続したCANコネクタ20を、状態量演算器12と演算装置15とのそれぞれに対し、CANドライバ21、21を介して接続している。これにより、これら状態量演算器12と演算装置15とをそれぞれ、CAN通信を行なう為の伝送路である、CANバスに接続している。これと共に、上記状態量演算器12と演算装置15とにそれぞれ、CANアドレスを付与している。更に、本例の場合には、上記状態量演算器12と上記演算装置15との間を、上記CANバス以外の伝送路によっては接続していない(CANバスを介してのみ接続している)。
本例の場合、各転がり軸受ユニット11、11に関する演算情報を、上記状態量演算器12のメモリ中に記録する場合には、これら各演算情報を、車室内の運転席近くに設置されているOBDシステムの故障診断用コネクタ(図示せず)から、上記状態量演算器12に向け、CAN通信により送信し、この状態量演算器12のメモリ中に記録する。又、本例の場合、自動車の運転時には、上記各転がり軸受ユニット11、11に関する状態量の算出結果を、上記状態量演算器12から上記演算器15に向け、CAN通信で送信する。その他の部分の構造及び作用は、前述の図3に示した第3例の場合と同様である。
尚、本発明により状態量演算器に記録した、転がり軸受ユニットに関する演算情報は、この転がり軸受ユニットの転動体予圧が低下する事に基づいて、経年変化する場合がある。この様な事情に鑑みて、未公開ではあるが、特願2006−65675には、上記状態量演算器に対し、自動車の走行時に転がり軸受ユニットの転動体予圧を推定する機能、並びに、この推定した転動体予圧に基づいて当該転がり軸受ユニットに関する演算情報(マップ)を補正する機能を付加する発明が記載されている。ところが、この発明を実施する場合には、荷重センサ(エンコーダの被検出面の特性変化に対応してその出力信号を変化させるセンサ)を、合計4個以上設ける必要がある。この為、当該発明は、前述の図6〜8に示した従来構造の第1例、及び、前述の図9〜10に示した従来構造の第2例の様に、2個のセンサ6a、6bしか備えていない構造や、前述の図11〜12に示した従来構造の第3例の様に、1個のセンサ6aしか備えていない構造には、適用できない。
但し、これら合計4個未満の荷重センサしか備えていない構造の場合には、自動車の運転時に、この荷重センサの出力信号に基づいて算出した荷重(転がり軸受ユニットの両軌道輪同士の間に作用する荷重)と、上記荷重センサ以外のセンサ情報から推定した荷重とを比較する事に基づき、当該転がり軸受ユニットに関する演算情報(零点とゲイン特性とのうちの少なくとも一方)を補正する方法を採用できる。この場合に、上記荷重センサ以外のセンサ情報としては、例えば特許文献4に記載されている様な、車体に加わる横Gやヨーレートを求める為のセンサ情報、或は、特許文献5に記載されている様な、車両の走行速度や操舵輪に付与されている舵角を求める為のセンサ情報を採用できる。又、電動式パワーステアリング装置を搭載している自動車の操舵輪(前輪)を支持する転がり軸受ユニットの状態量測定装置の場合には、荷重センサの出力信号に基づいて算出した荷重(アキシアル荷重)と、操舵トルク及びアシストモータ電流に基づいて推定した上記操舵輪に作用する横荷重(アキシアル荷重)とを比較する事に基づき、当該転がり軸受ユニットに関する演算情報を補正する方法を採用できる。この様な方法で補正を行なえる理由は、操舵トルクとアシストモータ電流との合成値が、タイヤを転舵する荷重(所謂セルフアライニングトルク)となり、このタイヤを転舵する荷重と上記横荷重との間に、ほぼ比例関係が成立する為である。
更に、以上に述べた様な、転がり軸受ユニットに関する演算情報の経年変化は、時間的に緩やかに生じる変化である。この為、以上に述べた様な各比較要素同士の間に突発的な差異が生じた場合には、これに基づいて、上記各センサや電動式パワーステアリング装置に故障が発生した事を検知できる。
本発明は、上述した各実施の形態の構造に限らず、特許請求の範囲に記載された要件を満たす、各種の構造を対象として実施可能である。例えば、本発明は、前述の図9〜10に示した従来構造の第2例や、前述の図11〜12に示した従来構造の第3例を対象として実施する事もできる。又、本発明は、エンコーダとして永久磁石製のもの(被検出面にS極とN極とを交互に配置したもの)を組み込んだ構造(この構造では、センサ側に永久磁石を組み込む必要はない)や、エンコーダの被検出面を円輪面とし、且つ、この被検出面にセンサの検出部を軸方向に対向させる事で、静止側軌道輪と回転側軌道輪との間に作用するラジアル荷重を測定可能とした構造を対象として実施する事もできる。更に、本発明は、前記特許文献1に記載された転がり軸受ユニットの状態量測定装置を対象として実施する事もできる。
1 外輪
2 ハブ
3 転動体
4、4a、4b エンコーダ
5 カバー
6a、6b センサ
7、7a、7b 透孔
8、8a、8b 柱部
9 第一特性変化部
10 第二特性変化部
11 転がり軸受ユニット
12 状態量演算器
13 コントロールユニット
14 信号処理部
15 演算装置
16 ABSコントロールユニット
17 配線
18 コネクタ
19 Kライン通信線
20 CANコネクタ
21 CANドライバ
2 ハブ
3 転動体
4、4a、4b エンコーダ
5 カバー
6a、6b センサ
7、7a、7b 透孔
8、8a、8b 柱部
9 第一特性変化部
10 第二特性変化部
11 転がり軸受ユニット
12 状態量演算器
13 コントロールユニット
14 信号処理部
15 演算装置
16 ABSコントロールユニット
17 配線
18 コネクタ
19 Kライン通信線
20 CANコネクタ
21 CANドライバ
Claims (6)
- 使用時にも回転しない静止側軌道輪と、複数個の転動体を介してこの静止側軌道輪と同心に支持され、使用時に回転する回転側軌道輪とを備えた転がり軸受ユニットと、これら両軌道輪同士の間の相対変位とこれら両軌道輪同士の間に作用する外力とのうちの少なくとも一方の状態量を求める状態量測定装置とを備え、この状態量測定装置は、この状態量の変化に伴って出力信号を変化させる少なくとも1個のセンサと、この少なくとも1個のセンサの出力信号に関する情報に基づいて上記状態量を算出する状態量演算器とを備えたものである、転がり軸受ユニットの状態量測定装置に就いて求めた、上記少なくとも1個のセンサの出力信号に関する情報と上記状態量との関係である、零点とゲイン特性とのうちの少なくとも一方を、上記状態量演算器が上記状態量を算出する為に利用する演算情報として、この状態量演算器のメモリ中に記録する方法であって、
上記演算情報を、シリアル通信により上記状態量演算器に送信し、この状態量演算器のメモリ中に記録する、転がり軸受ユニットの状態量測定装置に対する演算情報の記録方法。 - シリアル通信として、OBDシステムのKライン通信を採用する、請求項1に記載した転がり軸受ユニットの状態量測定装置に対する演算情報の記録方法。
- シリアル通信として、CAN通信を採用する、請求項1に記載した転がり軸受ユニットの状態量測定装置に対する演算情報の記録方法。
- OBDシステムの故障診断用コネクタから状態量演算器に向けて演算情報を送信する、請求項1〜3のうちの何れか1項に記載した転がり軸受ユニットの状態量測定装置に対する演算情報の記録方法。
- 状態量測定装置がセンサとエンコーダとを備え、このうちのエンコーダは、回転側軌道輪の一部に直接又は他の部材を介して支持されたもので、この回転側軌道輪と同心の被検出面の特性を円周方向に関して交互に変化させており、上記センサは、この被検出面に検出部を対向させた状態で使用時にも回転しない部分に支持されていて、上記回転側軌道輪の回転に伴い、上記被検出面の特性変化に対応してその出力信号を変化させるものである、請求項1〜4のうちの何れか1項に記載した転がり軸受ユニットの状態量測定装置に対する演算情報の記録方法。
- 転がり軸受ユニットが自動車の車輪支持用のハブユニットであり、使用状態で静止側軌道輪が自動車の懸架装置に支持されると共に、回転側軌道輪であるハブに車輪が結合固定される、請求項1〜5のうちの何れか1項に記載した転がり軸受ユニットの状態量測定装置に対する演算情報の記録方法。
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JP2007060175A JP2008224298A (ja) | 2007-03-09 | 2007-03-09 | 転がり軸受ユニットの状態量測定装置に対する演算情報の記録方法 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010156593A (ja) * | 2008-12-26 | 2010-07-15 | Nsk Ltd | 転がり軸受ユニットの状態量測定装置 |
-
2007
- 2007-03-09 JP JP2007060175A patent/JP2008224298A/ja active Pending
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