JP2008223721A - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】内燃機関の制御装置に関し、ノッキングの抑制のために点火時期を遅角する場合に、点火時期の遅角に伴うトルク変化を抑制できるようにする。
【解決手段】点火時期の遅角に合わせて吸入空気量が増加する方向に吸気弁の作動特性を変化させる。好ましくは点火時期の遅角に伴うトルク低下を補償するための必要空気量を算出し、その必要空気量に基づいて吸気弁の作動特性を変化させる。また、吸気弁のみでは必要空気量に対して吸入空気量が不足する場合は、不足吸入空気量に基づいてスロットルの開度も変化させる。
【選択図】図2

Description

本発明は、内燃機関の制御装置に関し、詳しくは、ノッキング発生時に実施する内燃機関の制御に関する。
内燃機関のノッキング対策として点火時期を遅角することが行われている。しかし、点火時期の遅角はノッキングの抑制には効果があるものの、内燃機関が発生するトルクが低下してしまうという問題がある。このような問題に関し、特開2000−130204号公報には、動力装置として内燃機関と電動機とを備えるハイブリッド車両において、点火時期の遅角に伴う内燃機関のトルク低下を電動機が発生するトルクによって補償するようにした技術が開示されている。
特開2000−130204号公報
一方、電動機が付属していない内燃機関では、点火時期の遅角に伴うトルク低下を補償する手段として、点火時期の遅角に合わせてスロットルを開くことが知られている。スロットルを開いて吸入空気量を増加させることで、内燃機関の発生するトルクを増大させることができる。しかし、点火時期とスロットル開度とではトルクの応答性に大きな差がある。点火時期を遅角したときにはトルクは瞬間的に低下するのに対し、スロットル開度を増加させたときにはトルクは時間をかけて上昇する。このため、点火時期の遅角に合わせてスロットルを開いたとしても遅角直後のトルク低下までは補償することはできず、遅角直後にはトルク段差が生じていた。このトルク段差が大きいと車両にショックを発生させることとなり、車両の運転性を低下させてしまう。
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、ノッキングの抑制のために点火時期を遅角する場合に、点火時期の遅角に伴うトルク変化を抑制できるようにした内燃機関の制御装置を提供することを目的とする。
第1の発明は、上記の目的を達成するため、吸気管の上流側にスロットルを備え、下流側に作動特性が可変な吸気弁を備える内燃機関の制御装置において、
ノッキングの発生を検出するノッキング検出手段と、
ノッキングの発生時に点火時期を遅角する点火時期制御手段と、
点火時期の遅角に合わせて吸入空気量が増加する方向に前記吸気弁の作動特性を変化させる吸気弁制御手段と、
を備えることを特徴としている。
第2の発明は、第1の発明において、
点火時期の遅角に伴うトルク低下を補償するための必要空気量を算出する必要空気量算出手段をさらに備え、
前記吸気弁制御手段は、算出された必要空気量に基づいて前記吸気弁の作動特性を変化させることを特徴としている。
第3の発明は、第2の発明において、
前記吸気弁の作動特性を変化させることで必要空気量を実現可能か否か判定する判定手段と、
前記吸気弁のみでは必要空気量に対して吸入空気量が不足する場合に、不足吸入空気量に基づいて前記スロットルの開度を変化させるスロットル制御手段と、
をさらに備えることを特徴としている。
第1の発明によれば、吸気管と燃焼室との連通部に設けられる吸気弁の作動特性を変化させることで、スロットル開度を変化させる場合に比較して吸入空気量を速やかに増大させることができる。これによれば、点火時期の遅角に合わせて速やかに吸入空気量を増大させることができ、点火時期の遅角と吸入空気量の増加とのトルク応答性の差によって発生するトルク段差を抑制することができる。
第2の発明によれば、過不足なく吸入空気量を制御することが可能であり、点火時期の遅角に伴うトルク変化をより確実に抑制することができる。
第3の発明によれば、吸入空気量を制御する手段としてスロットル開度も用いることで吸入空気量の不足を防止して必要空気量を確実に実現することができる。しかも、吸気弁による吸入空気量制御を基本として不足吸入空気量のみをスロットル開度で補償することで、高いトルク応答性を維持することができる。
図1は本発明の実施の形態としての内燃機関の制御装置の構成を示すブロック図である。本実施の形態の制御装置では、内燃機関に要求されるトルク(目標トルク)に基づいて各アクチュエータの動作を制御するトルクデマンド制御が行われる。図1のブロック図には、このトルクデマンド制御を実現するための各機能が構成要素として図示されている。
図1に示す構成では、トルクデマンド制御にかかるアクチュエータとしてスロットル2と吸気弁4と点火装置6とが備えられている。スロットル2は吸気管の途中に配置され、吸気弁4は吸気管と燃焼室との連通部に配置されている。本実施の形態にかかる吸気弁4は、その動弁機構として吸気弁4の作動特性を可変にする可変動弁機構を備えている。可変動弁機構は吸入空気量に係る作動特性、すなわち、バルブフト量(以下、VL量)と作用角の何れか一方を可変にすることができる構造であればよい。ここでは、吸気弁4はそのVL量が可変になっているものとする。
最初に、トルクデマンド制御にかかる基本的な機能について説明する。図1に示すように、制御装置は目標トルク設定部8を備えている。目標トルク設定部8は、アクセル開度から計算されるドライバのトルク要求に加え、変速機やオルタネータやエアコンコンプレッサ等からの様々なトルク要求も総合して目標トルクを設定する。設定された目標トルクは、必要空気量算出部10に入力される。必要空気量算出部10は、予め定められたマップに従って目標トルクを実現するために必要な空気量を算出する。
算出された必要空気量は、空気系モデルの逆モデル12に入力される。空気系モデルは、燃焼室内に吸入される空気量を吸気管内での空気の輸送遅れを加味して推定するモデルであり、スロットル2の開度と吸気弁4のVL量とを変数として有している。この空気系モデルの逆モデル12に必要空気量を入力することで、必要空気量を実現するためのスロットル開度とVL量との関係式を得ることができる。この関係式に予め設定された空気量の分配条件を当てはめることで、スロットル開度とVL量のそれぞれの値を決定することができる。
また、制御装置は実空気充填率算出部14とベース点火時期設定部16とを備えている。実空気充填率算出部14は、実際に燃焼室内に吸入された空気の充填率(以下、実KL)を推定計算する。実KLの推定方法としては、前述のエアモデルを用いる方法や、筒内圧を測定してその測定値から推定計算する方法を用いることができる。ベース点火時期設定部16は、内燃機関の回転数と負荷率とに基づいて、ノッキングが発生しないと予想される範囲内で可能な限りMBTに近付くように点火時期のベース値を設定する。
トルクデマンド制御では、ベース点火時期と実KLとに基づいて、ベース点火時期で点火したときの推定発生トルクがトルクマップ20から算出される。そして、目標トルクと推定発生トルクとの差分が遅角マップ22に入力され、その差分を補償するための点火時期の遅角量が遅角マップ22から算出される。遅角マップ22から算出された遅角量をベース点火時期に反映させたものが最終的な点火時期の指示値として点火装置6に入力される。
次に、ノッキングの発生時に実施するノック抑制制御に係る機能について説明する。図1に示すように、制御装置はノック判定部24を備えている。ノック判定部24には図示しないノックセンサの信号が入力されている。ノック判定部24は、ノックセンサの信号からノッキングの発生を検出する。そして、ノッキングの発生が検出されたら所定のノック抑制制御フラグをオンにする。ノック抑制制御フラグは基本はオフであり、ノッキングの発生が検出されてからノッキングのおそれがなくなるまでオンに設定される。
制御装置はノック対応遅角量設定部18を備えている。ノック対応遅角量設定部18は、ノック抑制制御フラグがオンの場合、予め設定したノック対応遅角量をベース点火時期に反映させる。ベース点火時期にノック対応遅角量が反映されることで、点火装置6に入力される最終的な点火時期の指示値も遅角されることになる。このようにして点火装置6による点火時期が遅角されることで、ノッキングの発生は回避される。
また、ノック抑制制御フラグがオンの場合、必要空気量算出部10において必要空気への算出に使用するマップがノック抑制制御用のマップに切り替えられる。ノック抑制制御用のマップでは、通常時のマップに比較して、目標トルクを実現するために必要な空気量が大きく見積もられるようになっている。これは、点火時期の遅角に伴うトルク低下を空気量の増加によって補償するためである。点火時期の遅角量からトルクの低下量が計算され、その低下量を補償するための空気量が増分として通常時の空気量に加えられている。
さらに、ノック抑制制御フラグがオンの場合、空気系逆モデル12において使用される空気量の分配条件がノック抑制制御用の分配条件に切り替えられる。通常時の分配条件では、空気量の変化分はスロットル開度に優先的に分配されるようになっている。これに対し、ノック抑制制御用の分配条件では、空気量の変化分は吸気弁4のVL量に優先的に分配されるようになっている。つまり、ノック抑制制御フラグのオンに伴って必要空気量算出部10で算出される必要空気量が増加したとき、その増加量を実現するようにVL量が大きく設定される。
ただし、ノック抑制制御フラグがオンになる段階でVL量が既に最大になっている場合や最大近くまで大きくなっているような場合には、VL量の増加のみでは必要空気量を実現できない可能性がある。また、VL量に余裕があったとしても必要空気量があまりに大きい場合にも、VL量の増加のみでは必要空気量を実現できない可能性がある。そのような場合には、VL量を最大まで増加させるとともに必要空気量に対する不足吸入空気量を計算し、不足吸入空気量を補償するようにスロットル開度も増加させる。つまり、空気量を増加させる手段としてVL量を優先的に使用しつつ、VL量とスロットル開度とによって必要空気量を確実に実現する。
以上説明したノック抑制制御にかかる空気量制御をフローチャートで示したものが図2である。制御装置は図2のフローチャートに示すルーチンに従って空気量制御を実施している。
図2に示すルーチンの最初のステップS10ではノッキングの検出が行われる。次のステップS20ではステップS10の検出結果からノック抑制制御が必要か否か判定される。ノッキングが検出されていた場合には、ノック抑制制御の必要が有りと判定され、ステップS30の処理に進む。ノッキングが検出されていない場合には、ノック抑制制御の必要は無しと判定され、本ルーチンは終了する。
ステップS30では吸気弁4のVL量のみで必要空気量を実現可能か否か判定される。必要空気量は点火時期の遅角量から推定計算さるトルク低下量から計算される。判定方法の具体例として、吸入空気量を内燃機関の運転条件と吸気弁4のVL量とに関連付けたマップを予め作成しておき、そのマップを参照して必要空気量をVL量の増加で実現できるか見積もる方法がある。また、前回指令のVL量が最大VL量に対してどれだけの余裕があるかによって必要空気量の実現可能性を判定する方法もある。
ステップS30の判定の結果、VL量のみで必要空気量を実現できる場合には、ステップS40の処理が行われる。ステップS40では、空気系逆モデル12を用いて必要空気量に応じた吸気弁4のVL量が算出される。
一方、ステップS30の判定の結果、VL量のみで必要空気量を実現できない場合には、ステップS50の処理が行われる。ステップS50では、空気系逆モデル12において使用される空気量の分配条件が変更され、必要空気量の増加分がVL量だけでなくスロットル開度にも振り分けられる。そして、VL量の増加のみでは不足する空気量を補償するようにスロットル開度の増加量が計算される。
図3はノック抑制制御の実行時に生じるトルク変化を示す図である。この図に示すように、空気量によるトルク変化と点火時期によるトルク変化とを合わせたものが内燃機関全体のトルク変化となる。空気量のトルク変化を示す各線のうち実線は吸気弁4のVL量を変化させたときに実現されるトルク変化を示し、破線はスロットル開度を変化させたときに実現されるトルク変化を示している。スロットル開度を変化させる場合には、スロットル2から燃焼室までの吸気管容積の分だけ空気の輸送遅れが生じるため、トルク変化には応答遅れが生じる。これに対して吸気弁4のVL量を変化させる場合は、吸気弁4は吸気管と燃焼室との連通部に配置されているので、VL量を変化させてから実際に燃焼室に吸入される空気量が変化するまでの応答遅れは極めて小さい。
以上説明した空気量制御によれば、吸気弁4のVL量をスロットル開度に優先して変化させるので、吸入空気量を速やかに増大させることができ、空気量の増大によるトルクアップを速やかに実現することができる。したがって、上述の空気量制御をノック抑制制御において実行することで、点火時期の遅角に合わせて速やかに吸入空気量を増大させることができ、点火時期の遅角と吸入空気量の増加とのトルク応答性の差によって発生するトルク段差を抑制することができる。
また、上述の空気量制御によれば、吸気弁4のVL量は点火時期の遅角に伴うトルク低下を補償するのに必要な空気量に基づいて計算される。さらに、吸気弁4のVL量みでは必要空気量に対して吸入空気量が不足する場合には、不足吸入空気量に基づいてスロットル開度の増加量も計算される。したがって、上述の空気量制御をノック抑制制御において実行することで、過不足なく吸入空気量を制御して必要な量だけトルクアップを図ることが可能であり、点火時期の遅角に伴うトルク変化を確実に抑制することができる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。例えば上述の実施の形態では吸気弁4のVL量を変化させているが、作用角を変化させて空気量を制御するのでもよい。或いは、VL量と作用角の両方を変化させて空気量を制御するのでもよい。
本発明の実施の形態としての内燃機関の制御装置の構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態において実行される空気量制御のルーチンを示すフローチャートである。 本発明の実施の形態において実行される空気量制御の効果を説明するための図である。
符号の説明
2 スロットル
4 吸気弁
6 点火装置
8 目標トルク設定部
10 必要空気量算出部
12 空気系逆モデル
14 実空気充填率算出部
16 ベース点火時期設定部
18 ノック対応遅角量設定部
20 トルクマップ
22 遅角マップ
24 ノック判定部

Claims (3)

  1. 吸気管の上流側にスロットルを備え、下流側に作動特性が可変な吸気弁を備える内燃機関の制御装置において、
    ノッキングの発生を検出するノッキング検出手段と、
    ノッキングの発生時に点火時期を遅角する点火時期制御手段と、
    点火時期の遅角に合わせて吸入空気量が増加する方向に前記吸気弁の作動特性を変化させる吸気弁制御手段と、
    を備えることを特徴とする内燃機関の制御装置。
  2. 点火時期の遅角に伴うトルク低下を補償するための必要空気量を算出する必要空気量算出手段をさらに備え、
    前記吸気弁制御手段は、算出された必要空気量に基づいて前記吸気弁の作動特性を変化させることを特徴とする請求項1記載の内燃機関の制御装置。
  3. 前記吸気弁の作動特性を変化させることで必要空気量を実現可能か否か判定する判定手段と、
    前記吸気弁のみでは必要空気量に対して吸入空気量が不足する場合に、不足吸入空気量に基づいて前記スロットルの開度を変化させるスロットル制御手段と、
    をさらに備えることを特徴とする請求項2記載の内燃機関の制御装置。
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