JP2008223465A - 堆積物除去装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】動力をほとんど要せずに、堆積物の排出効率を高めることができる堆積物除去装置を提供する。
【解決手段】サイフォン管10の吸入側端部11に、堆積物Dの排出状況に応じて下降可能な吸引管20を取り付ける。堆積物Dの排出に伴って湖底Bが下がると、サイフォン管10におけるサイフォン作用により吸引管20の先端に負圧が生じ、吸引管20の先端のフランジ板22が湖底Bに吸い付けられるようにして自動的に下降し、吸引管20と湖底Bとの間隔が適正に保たれる。堆積物Dの排出が途中で途切れることなく、ポンプ等を併用しなくても連続的に安定した排出が行われ、堆積物Dの排出効率が向上する。
【選択図】図1
【解決手段】サイフォン管10の吸入側端部11に、堆積物Dの排出状況に応じて下降可能な吸引管20を取り付ける。堆積物Dの排出に伴って湖底Bが下がると、サイフォン管10におけるサイフォン作用により吸引管20の先端に負圧が生じ、吸引管20の先端のフランジ板22が湖底Bに吸い付けられるようにして自動的に下降し、吸引管20と湖底Bとの間隔が適正に保たれる。堆積物Dの排出が途中で途切れることなく、ポンプ等を併用しなくても連続的に安定した排出が行われ、堆積物Dの排出効率が向上する。
【選択図】図1
Description
本発明は、貯水池、水源地あるいはダム、または一般的なタンク等に溜まった堆積物の除去に好適な堆積物除去装置に関する。
貯水池あるいはダム等では、水と一緒に流入した土砂や落ち葉などが湖底に堆積し、貯水量を減少させると共に水質汚濁の原因となっている。そこで、これまでに、サイフォン作用を利用した種々の堆積物除去方法が提案されている(例えば、特許文献1〜3参照。)。
特開平9−21127号公報
特開2001−164543号公報
特開2004−308377号公報
しかしながら、このような従来のサイフォン式の方法では、動力が少なくて済む反面、例えば特許文献1,2のように、土砂の排出効率に限界があるという問題があった。
そのため、ポンプまたはコンプレッサー等の動力源と併用するようにしたものもあった(例えば、特許文献1参照。)。しかし、大電力を必要とすることに加えて、複雑な制御を伴うため故障などのおそれがあり、製造コストや維持管理コストも増大してしまうという問題があった。
さらに、従来のサイフォン式の方法には、堆積物の除去領域が狭い(例えば、特許文献2,3参照。)という問題もあった。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、動力をほとんど要せずに、堆積物の排出効率を高めることができる堆積物除去装置を提供することにある。
本発明による堆積物除去装置は、水中の堆積物を吸引側端部から最高地点を経て排出側端部に導くサイフォン管と、サイフォン管の吸引側端部に取り付けられ堆積物の排出状況に応じて下降可能な吸引管とを備えたものである。
本発明による堆積物除去装置では、堆積物の排出に伴って水底面が下がると、サイフォン管におけるサイフォン作用により吸引管の先端に負圧が生じる。これにより、吸引管の先端が水底面に吸い付けられるようにして自動的に下降し、吸引管と水底面との間隔が適正に保たれる。よって、堆積物の排出が途中で途切れることなく、連続的に安定した排出が行われ、排出効率が向上する。
サイフォン管の吸引側端部と吸引管とのうち、一方にはガイド用突起、他方には吸引管の変位方向に伸びる長孔がそれぞれ設けられており、この長孔にガイド用突起が挿通されていることが好ましい。この長孔とガイド用突起との相対変位により、吸引管がサイフォン管から外れてしまうことなく変位可能となる。
また、吸引管は、先端に堆積物の吸引口を有し、吸引口の周囲にフランジ板が取り付けられていることが好ましい。流入する堆積物のガイド板としての機能を持たせると共に、後述する整流用の仕切り板および閉塞防止網の取り付けを容易にすることができるからである。
更に、このフランジ板の堆積物対向面には、複数の整流用の仕切り板が、吸引口を中心として放射状に配置されていることが好ましい。この仕切り板は、自由渦の発生により堆積物(土砂)に遠心力が働くことを避けるためのものである。これにより、吸引された堆積物は、水流速が大きいサイフォン管の中心部を通り、効率が良くなると共にサイフォン管の摩耗が少なくなる。
吸引管には、例えばその入口に、閉塞防止網が設けられていることが好ましい。吸引管が大きな石などで閉塞しないようにすることができるからである。
吸引管の周りには、例えば、堆積物に向けて水ジェットを発生する水ジェット発生装置が設けられていることが好ましい。固化堆積物を掘り起し、排出効率を更に高めることができるからである。
また、この堆積物除去装置では、サイフォン管が、水の周囲を囲む壁をまたいで設けられており、サイフォン管の吸入側端部を堆積物の表面で移動させる第1移動部と、サイフォン管を壁の延在方向に沿って移動させる第2移動部との少なくとも一方を含むサイフォン管移動装置を備えていることが好ましい。堆積物の除去領域を拡大することができるからである。
第1移動部は、例えば、サイフォン管の最高地点から下方に設けられた第1アームと、この第1アームの下端と吸入側端部との間に設けられた第2アームとを有する回転用アームを備え、第2アームおよび吸入側端部を第1アームの周りに回動させるようにすることが好ましい。
第2移動部は、例えば、壁の上面に壁の延在方向に沿った移動用レールを有し、移動用レールにサイフォン管の最高地点を載せてサイフォン管を移動させるようにすることが好ましい。
フランジ板の堆積物対向面の側には、2本以上の脚が取り付けられていてもよい。
サイフォン管は、例えば、吸入側に吸入弁、排出側の吸入弁よりも低い位置に排出弁、最高地点に給水弁をそれぞれ備えるようにすることができる。これらの開閉によりサイフォン作用を開始あるいは停止させるためである。
本発明の堆積物除去装置によれば、サイフォン管の吸引側端部に、堆積物の排出状況に応じて下降可能な吸引管を取り付けるようにしたので、堆積物の排出に追随して吸引管を自動的に下降させ、吸引管と水底面との間隔を適正に保たせることができる。よって、堆積物の排出効率を高め、連続的な安定した排出を行うことができ、ポンプ等の併用を不要とすることができる。また、サイフォン管を利用した単純な構成であり、複雑な制御を伴わないので故障などのおそれも少なく、製造コストや維持管理コストも低減することができる。
特に、サイフォン管の吸引側端部と吸引管とのうち、一方にはガイド用突起、他方には吸引管の変位方向に伸びる長孔をそれぞれ設け、長孔にガイド用突起を挿通するようにすれば、吸引管をサイフォン管から外れてしまうことなく変位可能とすることができる。
また、吸引管の先端に堆積物の吸引口を設け、この吸引口の周囲にフランジ板を取り付けるようにすれば、流入する堆積物のガイド板としての機能を持たせると共に、整流用の仕切り板および閉塞防止網の取り付けを容易にすることができる。
更に、フランジ板の堆積物対向面に、複数の整流用の仕切り板を、吸引口を中心として放射状に配置するようにすれば、自由渦の発生により堆積物(土砂)に遠心力が働くことを避けることができる。よって、吸引された堆積物が、水流速の大きいサイフォン管の中心部を通るようにすることができ、効率を良くすると共にサイフォン管の摩耗を少なくすることができる。
加えて、吸引管の周りに、堆積物に向けて水ジェットを発生する水ジェット発生装置を設けるようにすれば、固化した堆積物も掘り起こして除去することができ、堆積物の排出効率を更に高めることができる。
更にまた、サイフォン管を、水の周囲を囲む壁をまたいで設け、サイフォン管の吸入側端部を堆積物の表面で移動させる第1移動部と、サイフォン管を壁の延在方向に沿って移動させる第2移動部との少なくとも一方を含むサイフォン管移動装置を備えるようにすれば、堆積物の除去領域を拡大することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る堆積物除去装置の全体構成を表したものである。この堆積物除去装置は、例えば、ダムの底に堆積した土砂や落ち葉などの堆積物Dの除去に用いられるものであり、ダムの水の周囲を囲む壁Wを跨ぐように設置されたサイフォン管10を有している。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る堆積物除去装置の全体構成を表したものである。この堆積物除去装置は、例えば、ダムの底に堆積した土砂や落ち葉などの堆積物Dの除去に用いられるものであり、ダムの水の周囲を囲む壁Wを跨ぐように設置されたサイフォン管10を有している。
サイフォン管10の吸入側端部11は壁Wの内側の湖底B(堆積物Dの表面)付近、最高地点12は壁Wの上面、排出側端部13は壁Wの外側下方にそれぞれ設置されており、排出側端部13の先端(排出口)とダム水面との高低差ΔHによりサイフォン作用を生じさせるようになっている。このサイフォン管10は、例えば、ステンレス鋼管、亜鉛めっき鋼管、ポリエチレン被覆鋼管、塩化ビニール管またはポリエチレン管などの耐食性に優れた管により構成され、吸入側のダム水面よりも上に吸入弁11A、排出側の吸入弁11Aよりも低い位置に排出弁13A、最高地点12に給水弁12Aがそれぞれ設けられている。吸入弁11A、排出弁13Aおよび給水弁12Aは、これらの開閉によりサイフォン作用を開始あるいは停止させるためのものであり、それぞれ、例えば電磁弁により構成されている。
サイフォン管10の吸入側端部11には、堆積物Dの排出状況に応じて下降可能な吸引管20が取り付けられている。これにより、この堆積物除去装置では、動力をほとんど要せずに、堆積物Dの排出効率を高めることができるようになっている。
図2は、サイフォン管10の吸入側端部11および吸引管20の側面および断面の構成を表したものであり、図3は、吸引管20の先端を湖底B側からみた構成を表したものである。吸引管20は、例えば、ステンレス鋼管、亜鉛めっき鋼管、ポリエチレン被覆鋼管、塩化ビニール管またはポリエチレン管などの耐食性に優れた管により構成され、サイフォン管10の吸入側端部11の外側に取り付けられている。なお、図2では、サイフォン管10と吸引管20との重なり量Lが最大の状態を表している。サイフォン管10の吸入側端部11の先端近傍にはガイド用突起31、吸引管20の側面には、吸引管20の変位方向Aに伸びる長孔32がそれぞれ設けられている。長孔32にはガイド用突起31が挿通されており、長孔32とガイド用突起31との相対変位により、吸引管20がサイフォン管10から外れてしまうことなく変位可能となっている。ガイド用突起31および長孔32は、例えば180°間隔で2箇所に設けられているが、3箇所以上に設けてもよいことは言うまでもない。
吸引管20の先端は、堆積物Dの吸引口21となっている。この吸引口21は、先端が広がったベルマウスとされており、圧力損失を小さくするようになっていることが望ましい。また、吸引口21の周囲にはフランジ板22が取り付けられている。フランジ板22は、流入する堆積物Dのガイド板としての機能を有すると共に、後述する整流用の仕切り板23または閉塞防止網24の取り付けを容易にするためのものである。また、フランジ板22を設けることにより、固化していない堆積物Dを吸引する場合に、吸引管20の先端が堆積物Dの中にもぐりこんでしまって水を吸えなくなったり、堆積物Dも吸えなくなったりするおそれを小さくすることができる。フランジ板22は、例えば、ステンレス鋼板、亜鉛めっき鋼板、ポリエチレン被覆鋼板、塩化ビニール板またはポリエチレン板などの耐食性に優れた円形の板である。なお、フランジ板22は、例えば、吸引管20の延長方向に対して直交する面内に設けられているが、必ずしも直交面内でなくてもよい。
フランジ板22の堆積物対向面22Aには、複数(例えば8枚)の整流用の仕切り板23が吸引口21を中心として放射状(例えば45°間隔)に配置されている。吸引管20には、例えばその入口すなわち吸引口21に、閉塞防止網24が設けられている。また、フランジ板22の堆積物対向面22Aには、2本以上(例えば90°間隔で4本)の脚25が取り付けられている。
仕切り板23は、自由渦の発生により堆積物Dに遠心力が働くことを避けるためのものである。これにより、吸引された堆積物Dは、水流速が大きいサイフォン管の中心部を通ることができ、効率を良くすると共にサイフォン管10の摩耗を少なくすることができる。仕切り板23は、例えば、ステンレス鋼板、亜鉛めっき鋼板、ポリエチレン被覆鋼板、塩化ビニール板またはポリエチレン板などの耐食性に優れた短冊状の板により構成され、溶接またはネジ止めなどによりフランジ板22に接合されている。
閉塞防止網24は、障害物の流入を防ぐスクリーンとしての機能を有している。閉塞防止網24は、例えば、ステンレス鋼などの金属細線を編み、または織ったものにより構成され、溶接またはネジ止めなどにより吸引管20の入口すなわち吸引口21に取り付けられている。閉塞防止網24のメッシュ径は、例えばサイフォン管10の径の2分の1以下であることが好ましい。
脚25は、堆積物Dの状況に応じて長さ(高さ)が3cmないし10cm程度であり、ステンレス鋼、亜鉛めっき鋼あるいはポリエチレン被覆鋼などの金属により構成されている。脚25は、溶接またはネジ止めなどによりフランジ板22の堆積物対向面22Aに接合されている。なお、脚25は、仕切り板23に取り付けられていてもよい。
この堆積物除去装置は、例えば、次のようにして製造することができる。
まず、上述した材料よりなる吸引管20の側面に、例えばガス切断あるいはエンドミル加工により長孔32を設ける。また、吸引管20の先端の吸引口21の周囲に、上述した材料よりなるフランジ板22を溶接またはネジ止めなどにより取り付ける。次いで、このフランジ板22の堆積物対向面22Aに、上述した材料よりなる複数の整流用の仕切り板23を吸引口21を中心として放射状に配置し、溶接またはネジ止めなどにより固定する。続いて、これらの仕切り板23を覆うように、閉塞防止網24を、溶接またはネジ止めなどにより取り付ける。また、フランジ板22の堆積物対向面22Aに、脚25を、溶接またはネジ止めなどにより取り付ける。
続いて、上述した材料および構成を有するサイフォン管10の吸入側端部11の先端にガイド用突起31を形成し、このガイド用突起31を吸引管20の長孔32に挿通させると共に、吸引管20をサイフォン管10の吸入側端部11に重ね合わせる。これにより、図1ないし図3に示した堆積物除去装置が完成する。
この堆積物除去装置の設置および動作は、例えば次のようにして行われる。まず、吸引管20を取り付けたサイフォン管10を、ダムの壁Wを跨ぐように上述した所定位置に設置する。その際、サイフォン管10と吸引管20との重なり量Lが最大の状態で、脚25の先端が湖底Bすなわち堆積物Dの表面に触れるように、サイフォン管10の吸引側端部11を固定する。
設置直後の作動においては、吸入弁11Aおよび排出弁13Aを閉じた状態で給水弁12Aを開けて給水し、サイフォン管10を水で満たしたのちに、給水弁12Aを閉じて吸入弁11Aを開ける。それ以後は、堆積物Dを排出するときだけ排出弁13Aを開ける。ここでは、サイフォン管10の吸入側端部11に、堆積物Dの排出状況に応じて下降可能な吸引管20が取り付けられているので、堆積物Dの排出に伴って湖底Bが下がると、サイフォン管10におけるサイフォン作用により吸引管20の先端に負圧が生じる。これにより、吸引管20の先端のフランジ板22が湖底Bに吸い付けられるようにして自動的に下降し、吸引管20と湖底Bとの間隔が適正に保たれる。よって、堆積物Dの排出が途中で途切れることがなく、ポンプ等を併用しなくても連続的に安定した排出が行われる。
また、サイフォン管10の吸入側端部11の先端近傍にはガイド用突起31、吸引管20の側面には長孔32がそれぞれ設けられ、長孔32にガイド用突起31が挿通されているので、吸引管20が変位してもサイフォン管10から外れてしまうことなく変位可能とすることができる。
更に、吸引管20の先端の吸引口21の周囲にフランジ板22が取り付けられているので、堆積物Dは、フランジ板22にガイドされて吸引管20に流入する。ただし、吸引管20またはサイフォン管10の閉塞を引き起こす可能性がある大きな石などは、吸引管20の入口すなわち吸引口21に取り付けられた閉塞防止網24によって、流入が阻止される。
加えて、フランジ板22の堆積物対向面22Aに、整流用の仕切り板23が、吸引口21を中心として放射状に配置されているので、自由渦の発生により堆積物Dに遠心力が働くことが回避され、吸引された堆積物Dは、水流速が大きいサイフォン管10の中心部を通る。よって、堆積物Dの除去効率が良くなると共にサイフォン管10の摩耗が少なくなる。
このように本実施の形態では、サイフォン管10の吸引側端部11に、堆積物Dの排出状況に応じて下降可能な吸引管20を取り付けるようにしたので、堆積物Dの排出に追随して吸引管20を自動的に下降可能で、吸引管20と湖底Bとの間隔を適正に保たせることができる。よって、堆積物Dの排出効率を高め、連続的に安定した排出を行うことができ、ポンプ等の併用を不要とすることができる。また、サイフォン管10を利用した単純な構成であり、複雑な制御を伴わないので故障などのおそれも少なく、製造コストや維持管理コストも低減することができる。
(第2の実施の形態)
図4は、本発明の第2の実施の形態に係る堆積物除去装置の全体構成を表したものである。この堆積物除去装置は、水ジェット発生装置30およびサイフォン管移動装置40を備えたことを除いては、上記第1の実施の形態で説明した堆積物除去装置と同様の構成を有している。よって、対応する構成要素には同一の符号を付して説明する。
図4は、本発明の第2の実施の形態に係る堆積物除去装置の全体構成を表したものである。この堆積物除去装置は、水ジェット発生装置30およびサイフォン管移動装置40を備えたことを除いては、上記第1の実施の形態で説明した堆積物除去装置と同様の構成を有している。よって、対応する構成要素には同一の符号を付して説明する。
サイフォン管10および吸引管20は、第1の実施の形態と同様に構成されている。
水ジェット発生装置30は、堆積物Dに向けて水ジェット30Aを発生し、固化した堆積物Dを掘り起こすためのものであり、例えば、フランジ板22の周りに環状に設けられると共に複数(例えば8個)の噴出孔31を有し、高圧ポンプ(図示せず)により加圧された加圧水30Bを水ジェット30Aとして噴出するようになっている。水ジェット30Aの速度は、堆積物Dの固化状況に応じて例えば0〜20m/sである。水ジェット発生装置30は、例えば、ステンレス鋼,亜鉛めっき鋼またはポリエチレン被覆鋼などの金属により構成されている。
サイフォン管移動装置40は、堆積物Dの除去領域を拡大するためのものであり、回転用アーム41と、移動用レール42とを有している。
回転アーム41は、サイフォン管10の吸入側端部11を堆積物Dの表面で移動させるためのものであると共に、サイフォン管10の取付け用アームとしての機能も有している。この回転アーム41は、例えば、サイフォン管10の最高地点12から下方に設けられた第1アーム41Aと、第1アーム41Aの下端と吸入側端部11との間に設けられた第2アーム41Bとを有している。また、回転アーム41は、サーボモーター、または油圧式あるいは空気圧式のアクチュエーターなど(図示せず)により、第2アーム41Bおよび吸入側端部11を、第1アーム41Aの周りに矢印Rで示したように回動させるようになっている。なお、第1アーム41Aと第2アーム41Bとは例えば垂直であり、両者の間に補助アーム41Cが斜め方向に設けられている。
また、回転アーム41には、吸引管巻揚げ装置50が取り付けられている。吸引管巻揚げ装置50は、堆積物Dの排出に追随して吸引管20が自動的に下降したのちに、ワイヤ51により吸引管20を強制的に上昇させるためのものである。ワイヤ51は、例えば、サイフォン管10の最高地点12と、第1アーム41Aおよび第2アーム41Bの交点と、第2アーム41Bの先端とに設けられた3箇所のローラ52を介して、吸引管20のフランジ板22に連結されている。
移動用レール42は、壁Wの上面に壁Wの延在方向に沿って設けられており、サイフォン管10の最高地点12を載せてサイフォン管10を壁Wの延在方向(図4の紙面に対して垂直な方向)に容易に移動させることができるようになっている。
このような回転アーム41および移動用レール42は、例えば、ステンレス鋼,亜鉛めっき鋼またはポリエチレン被覆鋼などの金属により構成されている。
この堆積物除去装置は、フランジ板22の周りに水ジェット発生装置30を配設すること、および、サイフォン管10を回転用アーム41に取り付けることを除いては、第1の実施の形態と同様にして製造することができる。
この堆積物除去装置は、壁Wの上面に移動用レール42を設け、この移動用レール42にサイフォン管10の最高地点12を載せることを除いては、第1の実施の形態と同様にして設置することができる。
また、この堆積物除去装置は、第1の実施の形態と同様に動作する。その際、必要に応じて、水ジェット発生装置30からの水ジェット30Aを堆積物Dに衝突させ、固化した堆積物Dを掘り起こし、排出効率を向上させる。
ある地点での堆積物Dの除去が終ったら、吸引管20を吸引管巻揚げ装置50によって上方に移動させたあと、回転用アーム41または移動用レール42を用いて堆積物除去装置を別の地点に移動させ、堆積物Dの除去を繰り返す。これにより、堆積物Dの除去領域が拡大する。
このように本実施の形態では、フランジ板22の周りに水ジェット発生装置30を設け、この水ジェット発生装置30から堆積物Dに向けて水ジェット30Aを発生するようにしたので、固化した堆積物Dも掘り起こして除去することができ、堆積物の排出効率を更に高めることができる。
また、サイフォン管10の吸入側端部11を堆積物Dの表面で移動させる回転用アーム41と、サイフォン管10を壁Wの延在方向に沿って移動させる移動用レール42とを含むサイフォン管移動装置40を備えるようにしたので、堆積物Dの除去領域を拡大することができる。
更に、本発明の具体的な実施例について説明する。なお、以下の実施例では、第1の実施の形態で説明した図1ないし図3と同様の構成を有する高さ2m弱の小型の堆積物除去装置を作製し、堆積物排出実験を行い、特性を評価した。よって、以下の実施例においても、図1ないし図3を参照し、同一の符号を用いて説明する。
湖底B上の堆積物D(土砂)の代わりに、幅600mm、高さ450mm、奥行き450mmのアクリル水槽に、常温の水道水および平均粒径1.21〜4.03mm、密度2600〜3690kg/m3、自由沈降速度0.28〜0.44m/sの三種類のセラミック粒子(SP−01,SP−02,SP−04)を交互に20kg入れた。サイフォン管10の内径は20mmとした。なお本実施例では、吸引管20には簡単のために仕切り板23および閉塞防止網24を有しない形とした。また、各粒子は堆積固化しなかったので水ジェット発生装置30も有しない形とした。
この堆積物除去装置について、サイフォン管10の出口(排出側端部12)と水槽水面との高低差を0.40〜0.95mの範囲で変えて、粒子排出実験を行った。その際、アクリル水槽の下部に別の水槽を設け、排出実験中は、アクリル水槽から排出された水および粒子の量と同等の水を下部水槽内の水中ポンプで汲み上げることにより、アクリル水槽内の水面高さを一定に保つようにした。
サイフォン管10内の流動時の粒子の体積率を定電流法により、排出された粒子の流量を重量法で、水の流量を粒子分離後に電磁流量計で、それぞれ測定した。その際、AD変換装置、パソコン、電子時計などからなるデータ収録装置を使って、上記の物理量を同時計測した。その結果を図7に示す。
図7(A)から分かるように、水および粒子の体積流量は、サイフォン管10の出口(排出側端部12)と水槽水面との高低差が大きいほど多くなり、粒子が大きいほど粒子の流量は減り水の流量は増加した。これに対して、図7(B)から分るように、粒子の管内体積率は、高低差が0.60m以上では高低差によらずほぼ一定となり、1.21mm粒子(SP−01)では粒子が閉塞する時の7割である約35%であった。この管内体積率は特許文献2における実施例7%未満と比べて著しく高いことから、本実施例の堆積物除去装置の性能が良好であることが分かった。さらに、粒子の管内体積率aSは体積流量率bSの約70%であることも分った。
また、排出実験中の吸引部20を目視で確認したところ、水および粒子の吸引開始からアクリル水槽内に堆積した粒子が無くなるまでの間、極めて順調に降下した。サイフォン管10におけるサイフォン作用により吸引管20の先端には負圧が生じるため、吸引管20の先端のフランジ板22が粒子層に吸い付くようにして下降していった。このため、図7に示したように、水および粒子の排出流量は、粒子が無くなるまでほぼ一定の値を示した。
すなわち、サイフォン管10の吸引側端部11に対して、堆積物Dの排出状況に応じて下降可能な吸引管20を取り付けるようにすれば、堆積物D(粒子)の排出に追随して吸引管20を自動的に下降させることができ、堆積物Dの排出効率を高め、ポンプ等を併用しなくても連続的に安定した排出を行うことができることが分かった。
以上、実施の形態および実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態および実施例に限定されるものではなく種々変形可能である。例えば、上記実施の形態および実施例では、サイフォン管10および吸引管20が円管である場合について説明したが、これらは円管に限られず、その断面形状は任意である。
また、上記実施の形態および実施例では、吸引管20がサイフォン管10の吸入側端部11の外側に取り付けられている場合について説明したが、吸引管20は、サイフォン管10の内側に取り付けられていてもよい。
更に、上記実施の形態および実施例では、サイフォン管10の吸入側端部11の先端近傍にガイド用突起31、吸引管20の側面に長孔32がそれぞれ設けられている場合について説明したが、逆に、吸引管20にガイド用突起31、サイフォン管10の吸引側端部11に長孔32がそれぞれ設けられていてもよい。
加えて、例えば、上記実施の形態および実施例では、堆積物除去装置の構成を具体的に挙げて説明したが、仕切り板23または閉塞防止網24など全ての構成要素を備える必要はなく、また、他の構成要素を更に備えていてもよい。更にまた、サイフォン管10は吸入側端部11を除いて垂直である必要はなく、排出側と同様に傾斜していても良く、逆に排出側は垂直であってもよい。
加えてまた、上記第2の実施の形態では、固化した堆積物Dを掘り起こすために水ジェット装置30を用いるようにした場合について説明したが、水ジェット装置30に代えて、機械式掘削装置などの代替装置を用いてもよい。
更にまた、上記第2の実施の形態では、水ジェット発生装置30がフランジ板22の周りに設けられている場合について説明したが、水ジェット発生装置30の設置位置は、必ずしもフランジ板22の周りに限られるものではなく、例えば吸引管20の周り、特にその入口である吸引口21の周りなどに設けることも可能である。
加えてまた、上記第2の実施の形態では、サイフォン管移動装置40が、回転用アーム41および移動用レール42の両方を備えている場合について説明したが、サイフォン管移動装置40は、それらの少なくとも一方を備えていればよい。なお、サイフォン管移動装置40に加えて、あるいはサイフォン管移動装置40に代えて、作業船の使用により更に除去領域を拡大するようにしてもよい。
この堆積物除去装置は、貯水池、水源地あるいはダム、または一般的なタンク等に溜まった堆積物の除去に好適に利用可能である。
10…サイフォン管、11…吸入側端部、11A…吸入弁、12…最高地点、12A…給水弁、13…排出側端部、13A…排出弁、20…吸引管、21…吸引口、22…フランジ板、23…仕切り板、24…閉塞防止網、25…脚、30…水ジェット発生装置、40…サイフォン管移動装置、41…回転用アーム、42…移動用レール、50…吸引管巻揚げ装置
Claims (11)
- 水中の堆積物を吸引側端部から最高地点を経て排出側端部に導くサイフォン管と、
前記サイフォン管の吸引側端部に取り付けられ、堆積物の排出状況に応じて下降可能な吸引管と
を備えたことを特徴とする堆積物除去装置。 - 前記サイフォン管の吸引側端部と前記吸引管とのうち、一方にはガイド用突起、他方には前記吸引管の変位方向に伸びる長孔がそれぞれ設けられており、前記長孔に前記ガイド用突起が挿通されている
ことを特徴とする請求項1記載の堆積物除去装置。 - 前記吸引管は、先端に堆積物の吸引口を有し、前記吸引口の周囲にフランジ板が取り付けられている
ことを特徴とする請求項1または2記載の堆積物除去装置。 - 前記フランジ板の堆積物対向面に、複数の整流用の仕切り板が、前記吸引口を中心として放射状に配置されている
ことを特徴とする請求項3記載の堆積物除去装置。 - 前記吸引管に閉塞防止網が設けられている
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の堆積物除去装置。 - 前記吸引管の周りに、堆積物に向けて水ジェットを発生する水ジェット発生装置が設けられている
ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の堆積物除去装置。 - 前記サイフォン管は、水の周囲を囲む壁をまたいで設けられており、
前記サイフォン管の吸入側端部を堆積物の表面で移動させる第1移動部と、前記サイフォン管を前記壁の延在方向に沿って移動させる第2移動部との少なくとも一方を含むサイフォン管移動装置を備えた
ことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の堆積物除去装置。 - 前記第1移動部は、前記サイフォン管の最高地点から下方に設けられた第1アームと、前記第1アームの下端と前記吸入側端部との間に設けられた第2アームとを有する回転用アームを備え、前記第2アームおよび前記吸入側端部を前記第1アームの周りに回動させる
ことを特徴とする請求項7記載の堆積物除去装置。 - 前記第2移動部は、前記壁の上面に前記壁の延在方向に沿った移動用レールを有し、前記移動用レールに前記サイフォン管の最高地点を載せて前記サイフォン管を移動させる
ことを特徴とする請求項7記載の堆積物除去装置。 - 前記フランジ板の堆積物対向面の側に、2本以上の脚が取り付けられている
ことを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1項に記載の堆積物除去装置。 - 前記サイフォン管は、吸入側に設けられた吸入弁と、排出側の前記吸入弁よりも低い位置に設けられた排出弁と、最高地点に設けられた給水弁とを備えた
ことを特徴とする請求項1ないし10のいずれか1項に記載の堆積物除去装置。
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---|---|---|---|
JP2008025985A JP2008223465A (ja) | 2007-02-15 | 2008-02-06 | 堆積物除去装置 |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014077264A (ja) * | 2012-10-10 | 2014-05-01 | Toa Harbor Works Co Ltd | 吸引ヘッドおよび浚渫方法 |
JP2014080797A (ja) * | 2012-10-17 | 2014-05-08 | Toa Harbor Works Co Ltd | 浚渫方法 |
JP7357651B2 (ja) | 2021-02-26 | 2023-10-06 | 株式会社日立産機中条エンジニアリング | 養液吸出機、および水耕栽培システム |
-
2008
- 2008-02-06 JP JP2008025985A patent/JP2008223465A/ja active Pending
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