JP2008223089A - 転炉型精錬炉における溶銑の脱燐処理方法 - Google Patents

転炉型精錬炉における溶銑の脱燐処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 転炉型精錬炉において溶銑を脱燐処理するに当たり、大型の重量スクラップを含めて多量のスクラップの溶解を可能とする、溶銑の脱燐処理方法を提供する。
【解決手段】 上底吹き機能を有する転炉型精錬炉4を用いて、スクラップ18を溶解しながら溶銑2の脱燐処理を行うに際し、前記精錬炉で連続して行われる脱燐処理のうちで、スクラップ配合比率が10%以上である脱燐処理を1チャージ目として脱燐処理を実施し、この脱燐処理後に未溶解のスクラップを溶銑の一部及びスラグ3とともに前記精錬炉内に残したまま溶銑を出湯し、次いで、2チャージ目として溶銑のみを前記精錬炉に装入してこの溶銑に脱燐処理を施し、この脱燐処理後、溶銑を出湯した後にスラグを前記精錬炉から排出し、このスラグの排出後に、再度、前記1チャージ目及び前記2チャージ目と同様の脱燐処理を繰り返し実施する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、転炉型精錬炉において行われる溶銑の脱燐処理方法に関し、詳しくは、鉄スクラップ(以下、単に「スクラップ」と記す)の多量溶解と溶銑の脱燐反応とを両立させた脱燐処理方法に関するものである。
近年、鋼材に対する要求品質は益々厳格化しており、燐や硫黄に代表される不純物元素の低減が求められている。このような要求に対応するために製鋼工程では、溶銑段階において脱燐処理を行う方法が一般的となっている。この溶銑脱燐処理には、混銑車内や溶銑鍋内の溶銑に気体酸素や酸化鉄を造滓剤などとともに吹き込む方法や、転炉内の溶銑に造滓剤を添加するとともに気体酸素を吹き付けて行う方法など、各製鉄所の設備や環境に応じたプロセスが選択され実施されている。
このうちで転炉を用いる方法は、多量の気体酸素を溶銑に吹き付けることが可能であるために、短時間で燐含有量の少ない溶銑の溶製が可能であるという長所を有している。また、他のプロセスに比較して処理中の溶銑温度降下が抑えられることから、スクラップの多量溶解に有利であるという長所も有している。但し、脱燐反応は溶銑温度が高過ぎると進行しないことから、溶銑温度を1300〜1400℃程度に抑えることが望ましく、一般には冷却材として酸化鉄などを溶銑に添加することによって、溶銑温度の上昇が抑制されている。
ところで最近では、製鉄業においてもCO2 の排出量削減や副産物のリサイクル促進など、環境負荷低減のための取り組みが行われており、溶銑の脱燐処理においても、スクラップの使用量を増加させた操業が要求されている。但し、溶銑脱燐処理に望ましい溶銑温度は、上述のように1300〜1400℃程度と低いことから、10〜15分程度の溶銑脱燐時間では、融点が1500℃程度であるスクラップを完全に溶解することは容易ではない。
そこで、特許文献1には、溶銑の脱燐処理で使用するスクラップとして、幅が30mm以下で厚みが15mm以下の所謂「軽量スクラップ」に限定する方法が開示されている。また、特許文献2には、転炉型の精錬炉において、少なくとも幅または厚みの何れか一方が100mm以上のスクラップを装入して溶銑の脱燐処理を行い、出湯後に溶け残ったスクラップが確認されたなら、この溶け残りのスクラップをスラグとともに前記精錬炉に残したまま次回の脱燐処理を行う方法が開示されている。
特開平1−147011号公報 特開平8−92618号公報
しかしながら、上記従来技術には以下の問題点がある。
特許文献1では、軽量スクラップを使用しているが、製鉄所内で発生するスクラップは、スラブやブルームなどの半製品の大型のスクラップが主体であり、溶銑脱燐時に使用するスクラップを上記のような軽量スクラップに限定することは現実的でない。また、スラブやブルームなどのスクラップを上記サイズにまで切断することは、主原料コストの増加を招くことから望ましくない。
また、特許文献2では、脱燐処理後の溶け残ったスクラップを精錬炉内に残したまま次回の脱燐処理を行っているが、この場合に脱燐処理を施した溶銑は意図的には残していない。溶け残りのスクラップを残したまま次回の脱燐処理を実施するためには、出湯後にスラグの排滓を行わず、溶け残ったスクラップとともにスラグを残して次チャージの処理を行うことになる。これは、転炉型精錬炉において排滓を実施すると、スクラップも同時に排出されてしまうからである。従って、特許文献2では、溶銑がほとんど存在しない状態で、溶け残ったスクラップとともにスラグを炉内に残すので、炉内に残したスラグ及び未溶解スクラップが炉底に付着し、炉底に設置された底吹き羽口が閉塞したり、出湯中に未溶解のスクラップが炉内を転がって出湯口を塞いだりする恐れがある。
このように、溶銑の脱燐処理において、多量のスクラップを溶解する技術は未だ十分に開発されているとは言いがたく、改善すべき点が多々残されている。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、転炉型精錬炉において溶銑を脱燐処理するに当たり、大型の重量スクラップを含めて多量のスクラップの溶解を可能とする、溶銑の脱燐処理方法を提供することである。
上記課題を解決するための第1の発明に係る転炉型精錬炉における溶銑の脱燐処理方法は、上底吹き機能を有する転炉型精錬炉を用いて、スクラップを溶解しながら溶銑の脱燐処理を行うに際し、前記精錬炉で連続して行われる脱燐処理のうちで、下記の(1)式で定義されるスクラップ配合比率が10%以上である脱燐処理を1チャージ目として脱燐処理を実施し、この脱燐処理後に未溶解のスクラップを溶銑の一部及びスラグとともに前記精錬炉内に残したまま溶銑を出湯し、次いで、2チャージ目として溶銑のみを前記精錬炉に装入してこの溶銑に脱燐処理を施し、この脱燐処理後、溶銑を出湯した後にスラグを前記精錬炉から排出し、このスラグの排出後に、再度、前記1チャージ目及び前記2チャージ目と同様の脱燐処理を繰り返し実施することを特徴とするものである。
Figure 2008223089
第2の発明に係る転炉型精錬炉における溶銑の脱燐処理方法は、第1の発明において、前記スクラップは、厚みまたは幅が40mm以上で且つ単重が100kg以上の重量スクラップを含むことを特徴とするものである。
第3の発明に係る転炉型精錬炉における溶銑の脱燐処理方法は、第1または第2の発明において、前記1チャージ目の脱燐処理後に、前記転炉型精錬炉を一旦反出湯口側に倒炉して炉口からスラグの一部を流出させた後、直ちに出湯口側に倒炉して出湯口から溶銑を出湯することを特徴とするものである。
本発明によれば、未溶解のスクラップとともに溶銑の一部を残して出湯するので、炉内に残した粘性の高いスラグが、直接炉底耐火物と接触して凝固することがなくなり、スラグや未溶解スクラップが炉底に付着して底吹き羽口が閉塞するという問題が解消される。また、2チャージを費やしてスクラップを溶解するので、スクラップの炉内滞留時間を延長させることができ、重量スクラップの溶解が可能になるばかりか、各々のチャージで均等にスクラップを配合して操業するよりも、スクラップの溶解可能量を増加させることが可能となる。また更に、転炉型精錬炉へのスクラップの装入回数も減少するため、非処理時間が短縮され、転炉型精錬炉の生産性が向上する。
以下、本発明を具体的に説明する。先ず、本発明に至った経緯について説明する。
溶銑の脱燐処理において、スクラップの溶解性を向上させるには、(1)溶銑温度を高くする、(2)溶解時間を長くする、(3)底吹きガスによる溶銑の攪拌力を強くするなどの手段が考えられる。しかしながら、溶銑温度を高くすると脱燐反応が効率的に進行せず、また、溶解時間を長くすれば溶銑脱燐処理時間も長くなり、脱炭が進行し過ぎたり、後工程への溶銑供給ピッチも長くせざるを得なくなるなど、生産効率の低下を招くことから好ましくない。また更に、底吹きガスの流量を増加して攪拌力を強める方法では、スクラップ表面から炭素を侵入・拡散させてスクラップの融点を下げることはできるが、幅または厚さが40mm以上の大型スクラップを完全に溶解するほどの効果ではない。
この様に、幅または厚さが40mm以上のスクラップを冷鉄源として用いて溶銑の脱燐処理を行う場合、従来どおりの所定の脱燐処理時間内にスクラップを完全に溶解することは非常に困難であった。
一般に、転炉型精錬炉における酸素吹錬において、スクラップの未溶解が生じた場合、溶け残ったスクラップは出湯後の排滓の際にスラグとともに炉外へ排出される。これは、鉄歩留まりの面からは望ましいことではないが、溶け残ったスクラップを炉内に残し、スラグのみを排出することは非常に困難なためである。そこで、溶け残ったスクラップを炉内に残すためには、出湯後の排滓を行わず、溶け残ったスクラップとともにスラグを残して次チャージの酸素吹錬を行うということが考えられる。
しかしながら、転炉での溶銑の脱炭吹錬においては、スクラップの未溶解が生じても、それに伴ってスラグを残留させるということは行われない。これは、次チャージに持ち越される未溶解スクラップの量を正確に把握することが困難なために、次チャージの脱炭吹錬の終点成分や温度の推定精度が低下し、結果として再吹錬や成分外れの発生による生産阻害につながるためである。特に、脱燐処理した溶銑を使用しない脱炭吹錬の場合においてこのスラグ残しの方法を適用すると、スラグ中の燐、硫黄、Mn、Crなどが次回チャージの溶銑を汚染する原因となり、成分外れの危険性が一層高まる。
一方、2基以上の転炉のうち1基を脱燐炉、他方を脱炭炉として溶銑の精錬を行う製鋼方法においては、脱燐炉の吹錬でスクラップが溶け残った場合に、排滓を行わず、次チャージの脱燐吹錬を行っても、上記のような問題は起こらない。これは、脱燐吹錬の場合には、次工程に脱炭吹錬が控えているために、脱燐処理後の溶銑の温度及び成分の許容範囲が広く、脱炭炉ほどの精度は要求されないからである。また、未溶解スクラップの存在下での吹錬では、溶銑から潜熱を奪いながらスクラップの溶解が進行することから、スクラップの溶解が完了するまでは溶銑の温度が上昇しにくくなる。上述したように、脱燐反応は溶銑温度が高くなると進行しにくくなるので、未溶解スクラップの存在は脱燐反応を進行させる上で有利に働く。
但し、脱燐炉は脱炭炉に比較して、炉内温度が低く、スラグの粘性も高いため、未溶解スクラップやスラグが炉内に溶着しやすいという性質がある。このため、炉内に残したスラグ及び未溶解スクラップが炉底に付着して、底吹き羽口が閉塞したり、出湯中に未溶解のスクラップが炉内を転がって出湯口を塞いだりする恐れがあり、排滓せずに未溶解のスクラップを残した場合には、安定して連続操業を行うことが困難である。
本発明者等は、スラグを残した場合に発生するこれらの問題を解決するべく、鋭意実験を重ねた。その結果、未溶解のスクラップとともにスラグのみを残すのではなく、溶銑の一部も残して出湯することによって、上記問題は回避できることを見出した。炭素を4質量%程度含有する溶銑の凝固温度は低く(1200℃程度)、炉内に残しても凝固しにくく、しかも、スラグよりも比重が大きいことから、炉内に残した粘性の高いスラグが直接炉底耐火物と接触して凝固することがなくなり、スラグや未溶解スクラップが炉底に付着して底吹き羽口が閉塞するという問題が解消されるからである。
本発明はこのような知見に基づきなされたものであり、上底吹き機能を有する転炉型精錬炉を用いて連続して行われる脱燐処理のうちで、下記の(1)式で定義されるスクラップ配合比率が10%以上である脱燐処理を1チャージ目として脱燐処理を実施し、この脱燐処理後に未溶解のスクラップを溶銑の一部及びスラグとともに前記精錬炉内に残したまま溶銑を出湯し、次いで、2チャージ目として溶銑のみを前記精錬炉に装入してこの溶銑に脱燐処理を施し、この脱燐処理後、溶銑を出湯した後にスラグを前記精錬炉から排出し、このスラグの排出後に、再度、前記1チャージ目及び前記2チャージ目と同様の脱燐処理を繰り返し実施することを特徴とする。
Figure 2008223089
以下、転炉型精錬炉として上底吹き型の転炉設備を用いて、本発明に係る溶銑の脱燐処理方法を実施する例を、図面を参照して説明する。図1は、本発明に係る脱燐処理方法を実施する際に用いた上底吹き型の転炉設備の1例を示す概略断面図である。
図1に示すように、転炉設備1には、その内部に溶銑2を収容し溶銑2の脱燐精錬を実施するための転炉本体4と、転炉本体4の内部に挿入され、上下方向の移動が可能である、転炉本体4の内部へ気体酸素を供給するための上吹きランス7と、転炉本体4の炉口を覆い、転炉本体4から発生するガスを集塵機(図示せず)へ導入するためのフード8と、精錬剤としての生石灰16を収容するホッパー9と、脱燐剤としてのミルスケール、鉄鉱石などの酸化鉄17を収容するホッパー10と、ホッパー9及びホッパー10に接続し、ホッパー9から切り出される生石灰16及びホッパー10から切り出される酸化鉄17を搬送して転炉本体4の内部へ添加する添加装置13と、添加装置13に接続し、フード8を貫通した、添加装置13によって添加された生石灰16及び酸化鉄17を転炉本体4の内部に導入するためのシュート14と、スプラップ18を転炉本体4の内部に供給するためのスクラップシュート15と、を備えている。
ホッパー9には生石灰16の添加量を調整するための切出装置11が設けられ、ホッパー10には酸化鉄17の添加量を調整するための切出装置12が設けられており、また、転炉本体4には、その底部に、窒素ガスまたはArガスなどの攪拌用ガスを吹き込むための複数の底吹き羽口6が設けられ、また、その側壁上部には、脱燐処理した溶銑2を出湯するための出湯口5が設けられている。スクラップシュート15は、クレーンによって、吊り上げられて移動するとともに傾斜し、スクラップ18を転炉本体4の内部に供給するが、図1ではクレーンを省略している。このような構成の転炉設備1を用い、以下に示すようにして本発明に係る溶銑の脱燐処理を実施する。
本発明は、上記の転炉設備1で連続して行われる溶銑2の脱燐処理において、連続して行われる2チャージの脱燐処理を1組として、1チャージ目に多量のスクラップ18を配合して脱燐処理し、続けて2チャージ目の溶銑2を装入して脱燐処理し、2チャージ目の脱燐処理の終了時点までに、1チャージ目で装入した多量のスクラップ18を溶解することを目的とするものである。この1チャージ目の脱燐処理から順に説明する。
先ず、転炉本体4をスクラップシュート15の設置された側に傾斜させ、スクラップシュート15を介して転炉本体4の内部にスクラップ18を装入する。スクラップ18の装入量は、上記(1)式で定義されるスクラップ配合比率が10%以上を確保するように設定する。使用するスクラップ18としては、厚みまたは幅が40mm以上で単重が100kg以上の重量スクラップであっても構わない。つまり、例えば、連続鋳造鋳片のクロップ屑などの大型であっても、そのまま装入しても構わない。スクラップ18の転炉本体4への装入後、転炉本体4を傾斜させた状態で、装入鍋(図示せず)などに収容された溶銑2を転炉本体4の内部に装入する。尚、スクラップ18のサイズが小さく、炉上に設置された添加装置13を介して投入可能な程度のサイズであるならば、脱燐精錬中に炉上から連続的にスクラップ18を投入することも可能である。用いる溶銑2としてはどのような組成であっても処理することができる。
溶銑2を転炉本体4に装入する前に、攪拌用ガスとして窒素ガスなどの非酸化性ガスまたはArガスなどの希ガスの底吹き羽口6からの吹き込みを開始し、この攪拌用ガスを底吹き羽口6から溶銑2に吹き込みながら、上吹きランス7から溶銑2の浴面に向けて気体酸素を吹き付けて供給するとともに、生石灰16を添加して1チャージ目の脱燐精錬を実施する。生石灰16は溶融してスラグ3を形成し、生成したスラグ3が脱燐反応で生ずるP25 を吸収することで、脱燐反応が効率的に行なわれる。生石灰16に蛍石などの融点降下剤を混合してもよい。
脱燐反応は酸化反応であり、この酸化反応による熱によって溶銑2の温度は上昇する。スクラップ18は、底吹き羽口6から吹き込まれる攪拌ガスによって温度上昇した溶銑2と攪拌されて溶解する。尚、脱燐剤として気体酸素のみを使用することによって溶銑2の温度が高くなり過ぎる場合には、脱燐剤として酸化鉄17を添加してもよい。酸化鉄17はそれ自体の温度を上げるため、及び、溶銑中の炭素によって還元され、その際に溶銑2から還元反応熱を奪うことから、冷却剤として機能する。但し、スクラップ18の溶解量を多くしたい場合には、冷却剤として機能する酸化鉄17は添加せず、全量気体酸素とすることが好ましい。また、生石灰16及び酸化鉄17を、上吹きランス7を介して搬送用ガスとともに溶銑2の浴面に吹き付けて添加してもよい。
脱燐剤として所定量の気体酸素、或いは気体酸素及び酸化鉄17を供給したならば、脱燐剤の供給を停止して、1チャージ目の脱燐精錬を終了する。
1チャージ目の脱燐処理が終了したなら、転炉本体4を出湯口5の側に倒炉させて炉内の溶銑2を出湯口5から溶銑鍋などの溶銑保持容器(図示せず)に排出させる。1チャージ目の終了時点には未溶解のスクラップ18が残留する可能性が極めて高く、溶銑2の一部が残った状態で転炉本体4を直立させ、出湯作業を終了する。転炉本体4の内部には、未溶解のスクラップ18、溶銑2の一部、及び、スラグ3が残留する。炉内に残留させる溶銑2の量は、転炉本体4の容量にもよるが3〜10トン程度で十分である。
出湯後、スラグ3の排滓作業を実施することなく、また、転炉本体4にスクラップ18を装入することなく、転炉本体4に2チャージ目の溶銑2を装入する。溶銑2の装入後、直ちに上吹きランス7から溶銑2の浴面に向けて気体酸素を吹き付けて供給するとともに、生石灰16を添加して2チャージ目の脱燐精錬を実施する。底吹き羽口6の閉塞を防止するために、底吹き羽口6からは1チャージ目以降、継続して攪拌用ガスを吹き込む。所定量の脱燐剤を供給したならば、脱燐剤の供給を停止して2チャージ目の脱燐精錬を終了する。
2チャージ目の脱燐処理が終了したなら、転炉本体4を出湯口5の側に倒炉させて炉内の溶銑2を出湯口5から溶銑鍋などの溶銑保持容器に排出させる。そして、転炉本体内の溶銑2の排出が終了したなら、次いで、転炉本体4を出湯口5とは反対側(「反出湯口側」と称す)の方向に傾動させて倒炉し、転炉本体4の炉口からスラグ3をスラグポット(図示せず)などに排出する。スラグ3の排出後は、底吹き羽口6からの攪拌用ガスの吹き込みは中断しても構わない。
スラグ3を排出した後は、上記の1チャージ目及び2チャージ目が1組となった脱燐処理を繰り返し実施する。
この場合、2チャージ目の脱燐処理においてスラグ3の量が多くなりすぎる場合や、燐濃度が特に低い低燐銑を2チャージ目に溶製する必要がある場合には、1チャージ目の脱燐処理後に転炉本体4を反出湯口側に倒炉して転炉本体4の炉口からスラグ3の一部を流出させ、その後、出湯口側に倒炉して出湯口5から溶銑2を出湯しても構わない。
このような操業形態を採ることで、スクラップ18の炉内滞留時間を延長させることができ、重量スクラップの溶解が可能になるばかりか、各々のチャージで均等にスクラップ18を配合して操業するよりも、スクラップ使用可能量を増加させることができる。また、転炉本体4へのスクラップ18の装入回数も減少するため、非処理時間も短縮される。
また更に、未溶解のスクラップ18とともに溶銑2の一部を残して出湯することで、炉内に残した粘性の高いスラグ3が直接炉底耐火物と接触し、凝固することがなくなり、スラグ3や未溶解スクラップ18が炉底に付着して底吹き羽口6が閉塞するという問題が解消される。更に、出湯中の転炉本体4の傾動角を90°未満と浅くできることから、未溶解のスクラップ18が炉内を転がって出湯口5を塞ぐ可能性を低下させることができる。
図1に示すと同様な転炉型の精錬炉を用いて、表1に記載した操業条件に基づき、脱燐処理中にスクラップ溶解を行った。
Figure 2008223089
従来の操業例(「比較例」と称する)は、以下の通りである。
先ず、1チャージ目の処理においては、重量スクラップ2トンを含む30トンのスクラップを装入した後、溶銑320トンを装入して、約11分間の脱燐処理を行った。脱燐処理終了後、溶銑321トンを出湯したが、精錬炉内には未溶解スクラップが残存していた。出湯後に排滓を行い、この際に未溶解のスクラップも炉外へ排出してしまった。続いて、1チャージ目と同様に、重量スクラップ2トンを含む30トンのスクラップを装入した後、溶銑320トンを装入して、2チャージ目の脱燐処理を約11分間実施した。脱燐処理終了後、溶銑319トンを出湯したが、この2チャージ目でも未溶解スクラップが残存していた。1チャージ目と同様、出湯後に排滓を行い、その際に未溶解のスクラップも炉外へ排出してしまった。2チャージを通じた平均の出湯量は320トン、出湯歩留まりは91.4%であった。
これに対して、本発明による脱燐処理方法(「本発明例」と称す)では、以下のように操業を行った。
先ず、1チャージ目の処理においては、重量スクラップ4トンを含む60トンのスクラップを装入した後、溶銑300トンを装入して約11分間の1チャージ目の脱燐処理を行った。出湯時は、溶銑317トンを出湯した時点で終了した。精錬炉内には、溶銑とともに未溶解スクラップが残存しているのが確認できた。この後、排滓を行わず、溶銑340トンを装入し、2チャージ目の脱燐処理を約11分間実施した。2チャージ目の脱燐処理後の溶銑には、未溶解のスクラップは見られず、出湯量は329トンであった。2チャージを通じた平均の出湯量は323トン、出湯歩留まりは92.3%であった。
即ち、本発明例における出湯歩留まりは比較例よりも0.9%高く、これは比較例において排滓時に炉外へ排出された未溶解のスクラップ分に相当するものであった。このように、本発明によればスクラップを装入した1チャージ目ではスクラップの未溶解が生じても、操業全体としては未溶解のスクラップをなくすことができ、出湯歩留まりを高く維持することができた。更に、こうした操業を1日間継続しても、底吹き羽口や出湯口の閉塞といったトラブルは生じなかった。
また、表1中には、副原料使用量、上吹き酸素量、溶銑の脱燐処理前後の成分組成及び溶銑温度を併記した。表1中に示すように、本発明例においても脱燐特性は従来例と変わらず、副原料や酸素使用量の増大も伴わないことが確認できた。
本発明に係る脱燐処理方法を実施する際に用いた上底吹き型の転炉設備の1例を示す概略断面図である。
符号の説明
1 転炉設備
2 溶銑
3 スラグ
4 転炉本体
5 出湯口
6 底吹き羽口
7 上吹きランス
8 フード
9 ホッパー
10 ホッパー
11 切出装置
12 切出装置
13 添加装置
14 シュート
15 スクラップシュート
16 生石灰
17 酸化鉄
18 スプラップ

Claims (3)

  1. 上底吹き機能を有する転炉型精錬炉を用いて、スクラップを溶解しながら溶銑の脱燐処理を行うに際し、前記精錬炉で連続して行われる脱燐処理のうちで、下記の(1)式で定義されるスクラップ配合比率が10%以上である脱燐処理を1チャージ目として脱燐処理を実施し、この脱燐処理後に未溶解のスクラップを溶銑の一部及びスラグとともに前記精錬炉内に残したまま溶銑を出湯し、次いで、2チャージ目として溶銑のみを前記精錬炉に装入してこの溶銑に脱燐処理を施し、この脱燐処理後、溶銑を出湯した後にスラグを前記精錬炉から排出し、このスラグの排出後に、再度、前記1チャージ目及び前記2チャージ目と同様の脱燐処理を繰り返し実施することを特徴とする、転炉型精錬炉における溶銑の脱燐処理方法。
    スクラップ配合比率(%)=
    スクラップ装入量×100/(溶銑装入量+スクラップ装入量)…(1)
  2. 前記スクラップは、厚みまたは幅が40mm以上で且つ単重が100kg以上の重量スクラップを含むことを特徴とする、請求項1に記載の転炉型精錬炉における溶銑の脱燐処理方法。
  3. 前記1チャージ目の脱燐処理後に、前記転炉型精錬炉を一旦反出湯口側に倒炉して炉口からスラグの一部を流出させた後、直ちに出湯口側に倒炉して出湯口から溶銑を出湯することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の転炉型精錬炉における溶銑の脱燐処理方法。
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