JP2008222826A - 環状オレフィン系樹脂の再利用方法 - Google Patents

環状オレフィン系樹脂の再利用方法 Download PDF

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浩一 鷲見
Motoki Okaniwa
求樹 岡庭
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大輔 山崎
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Abstract

【課題】熱履歴が少ないため、劣化が少なく、再生品であっても透明性に優れたペレットや再成形体を得ることができる環状オレフィン系樹脂の再利用方法を提供すること。
【解決手段】環状オレフィン系樹脂成形体を、融点が100℃以上の酸化防止剤とともに溶融させて混練し、得られた樹脂組成物を再成形する、環状オレフィン系樹脂の再利用方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、環状オレフィン系樹脂の成形体を特定の酸化防止剤とともに再度溶融混練りすることにより、透明性に優れた成形体を得る環状オレフィン系樹脂の再利用方法に関する。
環状オレフィン系樹脂の成形体を再度溶融成形すると、熱劣化によりゲルやヤケ(着色物)を生じ、透明性が低下するため、透明性が要求される用途には利用できないという問題がある。また、再度溶融成形の際に、外部から異物が混入して、成形体表面に微細な凹凸を生じるため、再度溶融成形体は平滑な表面が必要とされる用途には利用できないという問題がある。この問題を解消すべく、特許文献1には、「脂環式構造含有重合体樹脂成形体の再利用方法であって、該成形体の溶融状態または溶液状態で異物を除去する工程を含む脂環式構造含有重合体樹脂成形体の再利用方法」が提案されている。そして、上記特許文献には、上記成形体を再利用するに際して、従来公知の酸化防止剤を配合してもよい、との記載もある。しかしながら、この方法では、成形体の溶融状態または溶液状態で異物を除去しようとするものであり、成形体を構成する樹脂自体の熱劣化を改善する方法ではない。また、配合される従来公知の酸化防止剤は、融点が低く、再度溶融成形する際には、該酸化防止剤が揮発する、加工時の金型への付着物の発生を招くなどの問題がある。
特開平11−2912247号公報
本発明は、熱履歴が少ないため、劣化が少なく、再生品であっても透明性に優れたペレットや再成形体を得ることができる環状オレフィン系樹脂の再利用方法を提供することにある。
本発明は、環状オレフィン系樹脂成形体を、融点が100℃以上の酸化防止剤とともに溶融させて混練し、得られた樹脂組成物を再成形することを特徴とする、環状オレフィン系樹脂の再利用方法に関する。
ここで、環状オレフィン系樹脂成形体と酸化防止剤を溶融させて混練する工程は、当該環状オレフィン系樹脂のガラス転移温度(Tg)よりも100℃〜160℃高い温度で行われることが好ましい。
また、再成形する前の樹脂組成物は、空隙率が60%以下、かつ、開口目開きが30μm以下のポリマーフィルタを通過させることが好ましい。
本発明の環状オレフィン系樹脂成形体の再利用方法によれば、熱履歴が少ないため、劣化が少なく、再生品であっても透明性に優れたペレットや再成形体を得ることができる。
環状オレフィン系樹脂
本発明に適用される上記環状オレフィン系樹脂としては、下記一般式(I)で表される化合物の(共)重合体が好ましい。


Figure 2008222826
(一般式(I)中、R1〜R4は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜30の炭化水素基、またはその他の1価の有機基であり、それぞれ同一または異なっていても良い。また、R1〜R4 のうち任意の2つが互いに結合して、単環または多環構造を形成しても良い。mは0または正の整数であり、pは0または正の整数である。)
本発明に用いられる環状オレフィン系樹脂としては、次のような(共)重合体が挙げられる。
(1)上記一般式(I)で表される特定単量体と、必要に応じてシクロアルケンなど他のシクロオレフィンとの開環(共)重合体。
(2)上記(1)の開環(共)重合体の水素添加(共)重合体。
(3)上記一般式(I)で表される特定単量体と、必要に応じて上記他のシクロオレフィン、α−オレフィンなどとの付加型(共)重合体およびその水素添加(共)重合体。
これらのうち、光学特性および加工性の点から、(2)開環(共)重合体の水素添加(共)重合体が特に好ましい。
<特定単量体>
上記特定単量体の具体例としては、次のような化合物が挙げられるが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
トリシクロ[4.3.0.12,5 ]−8−デセン、
トリシクロ[4.4.0.12,5 ]−3−ウンデセン、
テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
ペンタシクロ[6.5.1.13,6 .02,7 .09,13]−4−ペンタデセン、
5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチル−5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−シアノビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−エトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−n−プロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−イソプロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−n−ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−エトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−n−プロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−イソプロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−n−ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
5−エチリデンビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
8−エチリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
5−フェニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
8−フェニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
5−フルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−フルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−ペンタフルオロエチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5−ジフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチル−5−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリス(フルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6,6−テトラフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6,6−テトラキス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5−ジフルオロ−6,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジフルオロ−5,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリフルオロ−5−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−フルオロ−5−ペンタフルオロエチル−6,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジフルオロ−5−ヘプタフルオロ−iso−プロピル−6−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−クロロ−5,6,6−トリフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジクロロ−5,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリフルオロ−6−トリフルオロメトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリフルオロ−6−ヘプタフルオロプロポキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
8−フルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−フルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−ジフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−ペンタフルオロエチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8−ジフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8,9,9−テトラフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8,9,9−テトラキス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8−ジフルオロ−9,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジフルオロ−8,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリフルオロ−9−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリフルオロ−9−トリフルオロメトキシテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリフルオロ−9−ペンタフルオロプロポキシテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−フルオロ−8−ペンタフルオロエチル−9,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジフルオロ−8−ヘプタフルオロiso−プロピル−9−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−クロロ−8,9,9−トリフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジクロロ−8,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−(2,2,2−トリフルオロエトキシカルボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−(2,2,2−トリフルオロエトキシカルボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン
などを挙げることができる。
これらは、1種単独で、または2種以上を併用することができる。
特定単量体のうち好ましいのは、上記一般式(I)中、R1およびRが水素原子または炭素数1〜10、さらに好ましくは1〜4、特に好ましくは1〜2の炭化水素基であり、R
およびRが水素原子または一価の有機基であって、RおよびRの少なくとも一つは水素原子および炭化水素基以外の極性を有する極性基を示し、mは0〜3の整数、pは0〜3の整数であり、より好ましくはm+p=0〜4、さらに好ましくは0〜2、特に好ましくはm=1、p=0であるものである。m=1、p=0である特定単量体は、得られる環状オレフィン系樹脂のガラス転移温度が高くかつ機械的強度も優れたものとなる点で好ましい。
上記特定単量体の極性基としては、カルボキシル基、水酸基、アルコキシカルボニル基、アリロキシカルボニル基、アミノ基、アミド基、シアノ基などが挙げられ、これら極性基はメチレン基などの連結基を介して結合していてもよい。また、カルボニル基、エーテル基、シリルエーテル基、チオエーテル基、イミノ基など極性を有する2価の有機基が連結基となって結合している炭化水素基なども極性基として挙げられる。これらの中では、カルボキシル基、水酸基、アルコキシカルボニル基またはアリロキシカルボニル基が好ましく、特にアルコキシカルボニル基またはアリロキシカルボニル基が好ましい。
さらに、RおよびRの少なくとも一つが式−(CHCOORで表される極性基である単量体は、得られる環状オレフィン系樹脂が高いガラス転移温度と低い吸湿性、各種材料との優れた密着性を有するものとなる点で好ましい。上記の特定の極性基にかかる式において、Rは炭素原子数1〜12、さらに好ましくは1〜4、特に好ましくは1〜2の炭化水素基、好ましくはアルキル基である。また、nは、通常、0〜5であるが、nの値が小さいものほど、得られる環状オレフィン系樹脂のガラス転移温度が高くなるので好ましく、さらにnが0である特定単量体はその合成が容易である点で好ましい。
また、上記一般式(I)において、R1またはRがアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜4のアルキル基、さらに好ましくは1〜2のアルキル基、特にメチル基であることが好ましく、特に、このアルキル基が上記の式−(CHCOORで表される特定の極性基が結合した炭素原子と同一の炭素原子に結合されていることが、得られる環状オレフィン系樹脂の吸湿性を低くできる点で好ましい。
本発明で用いられる環状オレフィン系樹脂は、上記特定単量体および必要に応じて他の単量体とを、公知の方法により開環(共)重合または付加(共)重合し、必要に応じて水素添加することにより得られる。
本発明で用いられる環状オレフィン系樹脂の好ましい分子量は、固有粘度〔η〕inhで0.2〜5dl/g、さらに好ましくは0.3〜3dl/g、特に好ましくは0.4〜1.5dl/gであり、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)は8,000〜100,000、さらに好ましくは10,000〜80,000、特に好ましくは12,000〜50,000であり、重量平均分子量(Mw)は20,000〜300,000、さらに好ましくは30,000〜250,000、特に好ましくは40,000〜200,000の範囲のものが好適である。
固有粘度〔η〕inh、数平均分子量および重量平均分子量が上記範囲にあることによって、環状オレフィン系樹脂の耐熱性、耐水性、耐薬品性、機械的特性と、得られる成形体の成形加工性が良好となる。
本発明に用いられる環状オレフィン系樹脂のガラス転移温度(Tg)としては、通常、110℃以上、好ましくは110〜350℃、さらに好ましくは120〜250℃、特に好ましくは120〜200℃である。Tgが110℃未満の場合は、高温条件下での使用、あるいはコーティング、印刷などの二次加工により変形するので好ましくない。一方、Tgが350℃を超えると、成形加工が困難になり、また成形加工時の熱によって樹脂が劣化する可能性が高くなる。
環状オレフィン系樹脂には、本発明の効果を損なわない範囲で、例えば特開平9−221577号公報、特開平10−287732号公報に記載されている、特定の炭化水素系樹脂、あるいは公知の熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、ゴム質重合体、有機微粒子、無機微粒子などを配合しても良い。
酸化防止剤
本発明に用いられる酸化防止剤は、その融点が100℃以上、好ましくは105〜260℃、さらにである。融点が100℃未満では、ポリマーを150℃以上の高温で溶融した場合には揮発してしまい、酸化防止剤の効果が無くなってしまい、また加工時にガス化しやすく、金型汚染物質となるために好ましくなく、一方、融点が260℃を超えると、加工時に溶融しないため、均一混合が不可能となるために、好ましくない。
ここで、融点が100℃以上の酸化防止剤としては、例えば熱重量分析(TGA)で測定される5%重量減少の温度が250℃以上である酸化防止剤が挙げられる。
このような酸化防止剤は、下記例示のような(1)フェノール系酸化防止剤、(2)リン系酸化防止剤および(3)チオエーテル系酸化防止剤の群から選ばれた少なくとも1種が挙げられる。
(1)フェノール系酸化防止剤;
(1)フェノール系酸化防止剤は、フェノール基の2位および/または6位に、直鎖あるいは分岐を有する(C1〜C20)アルキル基が置換していることが特徴である。(b−1)の具体例としては、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、3,9−ビス{2−〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕−1,1−ジメチルエチル}2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン、1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、2,6−ジフェニル−4−オクタデシロキシフェノール、ジステアリル(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ホスホネート、チオジエチレングリコールビス〔(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2−オクチルチオ−4,6−ジ(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)−s−トリアジン、2,2´−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチル−6−ブチルフェノール)、2,−2´−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、ビス〔3,3−ビス(4−ヒドロキシ−3−t−ブチルフェニル)ブチリックアシッド〕グリコールエステル、4,4´−ブチリデンビス(6−t−ブチル−m−クレゾール)、2,2´−エチリデンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2´−エチリデンビス(4−s−ブチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、ビス〔2−t−ブチル−4−メチル−6−(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−メチルベンジル)フェニル〕テレフタレート、1.3.5−トリス(2,6−ジメチル−3−ヒドロキシ−4−t−ブチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、1,3,5−トリス〔(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル〕イソシアヌレート、テトラキス〔メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、2−t−ブチル−4−メチル−6−(2−アクリロイルオキシ−3−t−ブチル−5−メチルベンジル)フェノール、3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−2,4−8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン−ビス〔β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコールビス〔β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート〕、1,1’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(6−(1−メチルシクロヘキシル)−4−メチルフェノール)、4,4'−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、3,9−ビス(2−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニルプロピオニロキシ)1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン、4,4'−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4'−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)サルファイド、4,4’−チオビス(6−t−ブチル−2−メチルフェノール)、2,5−ジ−t−アミルヒドロキノン、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2,4−ジメチル−6−(1−メチルシクロヘキシル、スチレネイティッドフェノール、2,4−ビス((オクチルチオ)メチル)−5−メチルフェノール、などが挙げられる。これらの中では、ヒンダードフェノール系酸化防止剤が好ましい。特に好ましくは、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、1.3.5−トリス(2,6−ジメチル−3−ヒドロキシ−4−t−ブチルベンジル)イソシアヌレートが挙げられる。
(2)リン系酸化防止剤;
(2)リン系酸化防止剤は、III価のリン化合物であるホスフェイトである。具体例としては、ビス−(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニルホスファイト)、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェニル)−4,4'−ビフェニレンジホスホナイト、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート−ジエチルエステル、ビス−(2,6−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、トリス(ミックスドモノandジ−ノニルフェニルホスファイト)、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メトキシカルボニルエチル−フェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−オクタデシルオキシカルボニルエチル−フェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトなどが挙げられる。これらの中では、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス−(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトが好ましい。
(3)チオエーテル系酸化防止剤;
(b−3)チオエーテル系酸化防止剤の具体例としては、ジラウリル3,3’−チオジプロピオネート、ビス(2−メチル−4−(3−n−ドデシル)チオプロピオニルオキシ)−5−t−ブチルフェニル)スルフィド、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス(3−ラウリル)チオプロピオネートなどが挙げられる。
(B)酸化防止剤は、上記(1)フェノール系酸化防止剤と(2)リン系酸化防止剤と(3)チオエーテル系酸化防止剤を、それぞれ、単独で、あるいは、併用して用いることができるが、好ましくは(1)成分と(2)または(3)成分の2種以上の併用系が好ましい。これら酸化防止剤の融点は、100℃以上、好ましくは110〜260℃(熱重量分析(TGA)における5%重量減の温度は230℃以上、好ましくは260℃以上)、さらに好ましくは265〜330℃である。融点が100℃未満(5%重量減の温度が250℃未満)であるものは、ポリマーを150℃以上の高温で使用した場合には揮発してしまい、酸化防止剤の効果が無くなってしまい、また、揮発した酸化防止剤が金型付着物などの汚染物質の原因になるために好ましくない。
本発明において、環状オレフィン系樹脂と酸化防止剤の使用割合は、環状オレフィン系樹脂100重量部に対し、酸化防止剤が、通常、0.05〜5重量部、好ましくは0.3〜3重量部である。0.05重量部未満では、充分な酸化劣化防止効果を得ることができず、一方5重量部を超えて添加すると、得られる組成物の機械的強度やガラス転移温度のなどの品質の低下、加熱時の揮発成分の増加などが生じてしまい、好ましくない。
なお、本発明の環状オレフィン系樹脂には、本発明の効果を損なわない範囲において、本発明で適用される上記酸化防止剤以外の、耐熱劣化性や耐光性の改良のために公知の酸化防止剤や紫外線吸収剤などの添加剤を添加することができる。例えば、下記(4)フェノール系化合物、(5)チオール系化合物、(6)スルフィド系化合物、(7)ジスルフィド系化合物、(8)リン系化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を、本発明の環状オレフィン系樹脂100重量部に対して0.01〜10重量部添加することで、さらに耐熱劣化性を向上させることもできる。
耐光性を向上させるために添加する添加剤としては、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系化合物、N−(ベンジルオキシカルボニルオキシ)ベンゾトリアゾールなどのベンゾトリアゾール系化合物、あるいは2−エチルオキサニリド、2−エチル−2’−エトキシオキサニリドなどのオキサニリド系化合物を、本発明の環状オレフィン系樹脂100重量部に対して、0.01〜3重量部、好ましくは0.05〜2重量部添加することにより、耐光性を向上させることができる。
環状オレフィン系樹脂成形体を用いた再成形
本発明では、以上の環状オレフィン系樹脂の成形体を、融点が100℃以上の上記酸化防止剤とともに溶融させて混練し、得られた樹脂組成物を再成形する。
ここで、環状オレフィン系樹脂成形体としては、レンズ、プリズム、光学フィルム、光学シート、CD,DVDなどの光ディスク基板、導光板、ライトガイド、光ファイバー、ミラーなどの光学用途の成形体;ディスポーザブルシリンジ、薬液バイヤル、薬品包装用フィルム、検査セル、検査容器、輸液バッグ、シリンジ用ロッドなどの医療用の成形体;電線被覆、ウェハーシッパー、コンデンサーフィルム、回路基板、コネクターなどのシート、フィルム、板材、容器、絶縁材などの電気または電子用途の成形体;板材、パイプ、丸棒、ボトル、建材、文具などが挙げられる。
また、上記の成形体を射出成形法で得る場合に廃材として発生する成形体であるスプルーやランナー、押出成形や溶液流延成形後に所望の形状を切り取ったあとの廃材として発生する成形体なども本発明の再利用方法において好ましく使用することができる。
これらの成形体は、無色透明なものであることが好ましい。再利用において無色透明な成形体にも、適当な配合剤などにより有色または不透明な成形体にもすることが可能である。
以上の成形体は、そのまま、または適当な大きさに粉砕して、上記酸化防止剤を配合して溶融混練する。成形体が塊状である場合には、溶融混練のし易さから厚み(粒子の最も短い辺の長さ)は、好ましくは20mm以下、さらに好ましくは10mm以下、特に好ましくは8mm以下に粉砕することが好ましい。
粉砕手段としては、クラッシャーなどが挙げられる。
次いで、好ましくは粉砕された上記成形体を、上記酸化防止剤とともに溶融し、得られた樹脂組成物を再成形する。
ここで、成形体と酸化防止剤の溶融混練に先立ち、通常、該成形体(粉砕品)および酸化防止剤をワーニングブレンダ、ヘンシェルミキサなどのブレンダーにより混合し、この混合物を1軸押出機、2軸押出機、遊星式押出機、バンバリーミキサなどで溶融混練し、好ましくはさらにろ過して樹脂組成物を調製する。この際の溶融混練温度は、好ましくは環状オレフィン計樹脂のガラス転移温度(Tg)よりも100〜160℃高い温度、さらに好ましくはTgよりも105〜160℃高い温度、特に好ましくは110〜150℃高い温度の範囲である。溶融混練温度の具体例としては、好ましくは220〜320℃、さらに好ましくは230〜310℃、特に好ましくは240〜300℃である。この範囲にあると、得られる溶融樹脂の熱劣化が無く、またろ過効率が高く好ましい。溶融混練の際、好ましくはギアポンプを用いて、樹脂の流量を一定に調整することである。
押出機の出口圧力はギアポンプの入り口圧力として測定され、この出口圧力が一定であることが好ましく、出口圧力の範囲としては、5〜20MPaが好ましく、さらに好ましくは、7〜15MPaである。出口圧力の範囲が、5MPa未満であると、スクリュウの回転により一定圧力に制御することが難しくなるばかりか、ギアポンプの出口側の圧力により樹脂が逆流しやすくなり、結果として滞留した樹脂が、ギアポンプから排出されにくくなるために、好ましくない。20MPaを超える入り口圧力であると、ギアポンプの軸部からの樹脂漏れが激しくなり好ましくない。
なお、本発明においては、上記の押出機などの溶融混練機の出口にポリマーフィルタを取り付けて溶融状態の樹脂成分を通過させることによって、異物を取り除くことができる。ポリマーフィルタは、例えば細かいメッシュ状のフィルタを多段に、接触面積が大きくなるように重ねた構造のものであり、日本精線社やニチダイ社などから入手することが可能である。
本発明において用いられるポリマーフィルタの形状としては、リーフ型、キャンドル型、リーフディスク型など挙げられるが、好ましくは、滞留時間分布の均一性が高く、ろ過面積を増やしやすい形状となるリーフディスク型である。
フィルタの作成方法としては、微細な金属繊維を編み合わせて加熱溶着する方法、微細な金属繊維と金属粉末を焼結させて溶着する方法などが好ましい方法として挙げられる。
本発明においては空隙率が好ましくは60%以下、さらに好ましくは20〜60%、特に好ましくは30〜55%である。ここで空隙率が60%を超えるフィルタを用いると、再生樹脂中のゲル成分を除去することができないため好ましくなく、空隙率が20%未満であると、ろ過面積にしめる樹脂の流路の面積が狭くなりすぎるため、異物、ゲルなどがわずかに通過するだけでフィルタ差圧が増加する、あるいはろ過面積を増加させるために滞留時間が長くなるために好ましくない。
また、フィルタの開口目開きは、好ましくは30μm以下、さらに好ましくは8〜25μm、特に好ましくは10〜20μmである。
ここで、空隙率とは、上述のとおり、ろ過フィルタにおけるろ材全体の体積に対する、ろ過される樹脂液が通過できる空間の体積の比を示すものである。また、開口目開きとは、フィルタの金属繊維、粉末により生成されるフィルタの開口の直径を表すものであるが、これは、フィルタを2−プロパノールに浸漬した状態で、フィルタの内側から空気を吹き込み、空気が2−プロパノール側に漏れ出すときの空気の圧力から計算するバブルポイント値を元に決定している。
フィルタは、一機のみの設置でも、直列に二機を設置しておいてもよい。直列に二機設置する場合には、一段目のフィルタで異物を除去し、二段目のフィルタでゲルを除去するなど機能を分けることも好ましい方法であり、この場合には、一段目のフィルタの空隙率を70%以上として、二段目のフィルタの空隙率を60%以下とすることも好ましい製造方法である。
また、ろ過のための溶融時には、樹脂滞留時間が好ましくは60分以内、さらに好ましくは40分以内、特に好ましくは20分以内である。溶融成形時には、環状オレフィン系樹脂はできるだけ、空気(または酸素)に触れないまたは、酸素濃度の低い状態で溶融することが好ましい。上記樹脂の溶融する部分(例えば溶融成形機にスクリュー部)での酸素濃度は好ましくは10容積%以下、より好ましくは5容積%以下、特に好ましくは2容積%以下である。そのためには、具体的には溶融押出機の樹脂成分投入部(ホッパーと呼ぶことが多い)に、窒素などの不活性ガスを流したり、ホッパー部を密閉構造として真空に引いたりすることによって上記の好ましい酸素濃度を実現することができる。
溶融状態でフィルタを通過させてろ過した後は、通常、棒状の形に引き取り、ストランドカッターで切断してペレット状の成形材料とすることが好ましい。
なお、このようにして得られるペレットなどの樹脂組成物は、その色相変化がトルエンの10%溶液としたときに、使用前の樹脂のYIに対して、増加率は、好ましくは10%未満、さらに好ましくは1〜5%である。YI値(黄変度)を10%未満にするには、再利用に供される環状オレフィン系樹脂に対し、本発明で用いられる上記特定の酸化防止剤の配合量を、上記範囲内にすればよい。
ここで、YI値は、JIS K7105に準拠して測定された値である。
このようにして得られる樹脂組成物を用いて、再成形する方法としては、特に限定されない。例えば、適当な大きさのペレット状にしたものを溶融成形しても良いし、ペレットを溶液にして使用して溶液成形しても良い。
ここで、溶融成形法としては、射出成形、押出ブロー成形、押出フィルム成形、押出カレンダー成形、押出シート成形、射出ブロー成形、多層ブロー成形、コネクションブロー成形、二重壁ブロー成形、延伸ブロー成形、真空成形、回転成形などが挙げられる。成形時の溶融温度は環状オレフィン系樹脂の種類によっても異なるが、好ましくは(該樹脂のガラス転移温度より70℃以上高い温度)から330℃以下、より好ましくは240℃から320℃、特に好ましくは250℃から310℃の範囲である。この範囲にあると、精密成形性、耐熱劣化性に優れ好適である。
また、溶液成形する場合には、通常、溶液流延法が用いられる。
すなわち、以上のようにして調製されたペレットなどの樹脂組成物を、溶液流延するためには、上記樹脂組成物を溶媒に溶解する。使用する溶媒は、沸点が120℃以下のものが好ましく、100℃以下のものがより好ましい。特に、25℃において固形分濃度10重量%以上としても、環状オレフィン系樹脂を均一に溶解できる溶媒が好ましい。
このような溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、塩化メチレン、イソプロピルベンゼンなどが挙げられ、その中でもトルエン、キシレン、塩化メチレンが好ましい。
流延に用いる溶液中の樹脂濃度は、通常、3〜40重量%、好ましくは5〜35重量%、より好ましくは7〜30重量%である。樹脂の濃度が低すぎると粘度が低いためシートの厚さの調整が困難であり、濃度が高すぎると粘度が高いため製膜性が悪く、また、外観性のよいフィルムが得られない。
樹脂溶液を流延する方法は、特に限定されず、一般の溶液流延法を用いることができる。具体的には、樹脂溶液をバーコーター、Tダイ、バー付きTダイ、ドクターナイフ、メイア・バー、ロール・コート、ダイ・コートなどを用いて、ポリエチレンテレフタレートなどの耐熱材料、スチールベルト、金属箔などの平板またはロール上に流延する方法を挙げることができる。好ましくはスチールベルト上にて樹脂溶液を流延する方法である。スチールベルトの表面粗さは、最大粗さとして、Rs≦0.3μmが好ましく、さらに好ましくは、Rs≦0.2μm、特に好ましくは、Rs≦0.1μmである。Rsが0.3μmを超えると、ベルトの傷がキャストフィルムの表面の傷として転写するために好ましくない。
溶液流延法により作成したシートは、乾燥して、残留溶媒濃度2重量%以下とする。残留溶媒濃度が高すぎると耐熱性が悪く、また、高温環境下での使用において、残留していた溶媒が蒸発し、周囲に悪影響を与えたり、変形の原因となったりする。乾燥温度は、通常、0〜150℃、好ましくは5〜120℃、乾燥時間は、通常、0.5〜5時間、好ましくは1〜3.5時間程度である。
以下、本発明の具体的な実施例について説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
なお、以下において、「部」、「%」は、特に断りのない限り「重量部」、「重量%」を意味する。
<実施例1>
射出成形により得られたノルボルネン系樹脂による成形品(使用した樹脂は、JSR株式会社製:商品名「アートン D4531」、Tg130℃)のスプルー、ランナーを粉砕機で粉砕して、2mm角の粉砕片を作製した。これに、酸化防止剤として、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕を0.3部添加して、50mmΦの単軸押出機により265℃で溶融混練を実施した。このときの押出機のシリンダーは窒素置換してあり、このシリンダーの酸素濃度は、150ppmであった。
この押出機の下流側には外潤型ギアポンプが備えてあり、押出時にギア間に入った樹脂は排出できる。このギアポンプを用いて、28kg/hrの吐出量で樹脂を溶融押出した。ギアポンプの下流には、7インチ×22枚のリーフディスクフィルタが備えてあり、このフィルタは空隙率が50%、開口目開きが15μmのものであった。
さらにこのフィルタの下流側には、350mm幅のコートハンガー型Tダイが備えてあり、開口1mmのリップから樹脂を流出させ、幅280mmのシートを2m/分で引き取りを実施し、0.5mm厚のシートを得た。シート引き取り機のロールは3本の水平置きタイプのもので、ロールの温度はオイルにより制御し、その設定温度は、上流側から、120℃、115℃、110℃であった。得られたシートの両端を切断して、A4サイズのシートとして、このシートの欠陥を目視で測定したところ、3個であった。また、シートの光学特性を測定したところ、シートのHaze値は、0.3%、YI値は、0.9であった。
<実施例2>
実施例1と同様の方法で、押し出し機により樹脂を溶融し、溶融した樹脂をギアポンプで計量したのち、1段目ポリマーフィルタ7インチ×20枚(空隙率=80%、開口=5μm)を用いて、異物を粗取りし、さらに、2段目ポリマーフィルタ8インチ×26枚(空隙率=40%、開口=20μm)によりゲル成分もろ過を行い、その後は実施例1と同様の方法により、A4サイズのシートを得た。このシートの欠陥を目視にて確認したところ、2個であった。光学特性は、実施例1と同様に測定し、Haze値は、0.4%、YI値は、0.6であった。
<比較例1>
実施例1と同様の方法を用いて、酸化防止剤を用いずに、押し出しを実施し、その他は実施例1と同様の方法で、0.5mm厚のシートを得た。このときのシートの欠陥数は、80個であった。Haze値は、1.5%、YI値は、1.2であった。
<比較例2>
酸化防止剤として、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製の酸化防止剤(IRGANOX1076:融点50℃)0.5部を用いるほかは、実施例1と同様の方法を用いてシートを作製した。このときに得られたシートの欠陥個数は、65個であった。Hazeは2.2%、YI値は、1.6であった。

本発明の環状オレフィン系樹脂の再利用方法により得られる成形体は、レンズ、プリズム、偏向フィルム、導光板、CD,DVDなどの光ディスク基板などの光学用途の成形体、プレススルーパッケージ、ディスポーザブルシリンジ、薬液バイヤル、輸液バッグなどの医療用途の成形体、電線被覆、ウェハーシッパー、ハードディスク基板などの電気または電子材料用途の成形体、カーポート、グレージングなどの建材;ルームミラー、インナーレンズ、ランプリフレクタなどの自動車部品;ラップフィルム、ストレッチフィルム、シュリンクフィルム、ブリスターパックなどの包装フィルム;ボールペン芯などの文具などの用途に好適に得ることができる。

Claims (3)

  1. 環状オレフィン系樹脂成形体を、融点が100℃以上の酸化防止剤とともに溶融させて混練し、得られた樹脂組成物を再成形することを特徴とする、環状オレフィン系樹脂の再利用方法。
  2. 環状オレフィン系樹脂成形体と酸化防止剤を溶融させて混練する工程が、当該環状オレフィン系樹脂のガラス転移温度(Tg)よりも100℃〜160℃高い温度で行われる、請求項1に記載の環状オレフィン系樹脂の再利用方法。
  3. 再成形する前の樹脂組成物を、空隙率が60%以下、かつ、開口目開きが30μm以下のポリマーフィルタを通過させる、請求項1または2記載の環状オレフィン系樹脂の再利用方法。
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