JP2008221841A - 光情報記録媒体、情報記録方法および化合物の使用方法 - Google Patents

光情報記録媒体、情報記録方法および化合物の使用方法 Download PDF

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Abstract

【課題】短波長レーザー光照射による情報記録における記録特性に優れる光情報記録媒体および短波長レーザー光照射により良好な記録が可能な情報記録方法を提供する。
【解決手段】基板上に色素を含有する記録層を有する光情報記録媒体。前記記録層は、熱分解により気体を発生する置換基を有する化合物を含有する。前記光情報記録媒体へレーザー光を照射することにより記録層へ情報を記録する情報記録方法。熱分解により気体を発生する置換基を有する化合物を色素含有溶液の添加剤として使用する方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、レーザー光を用いて情報の記録および再生が可能な光情報記録媒体および情報記録方法に関するものである。特に本発明は、波長440nm以下の短波長レーザー光照射による情報記録に好適なヒートモード型の光情報記録媒体および情報記録方法に関するものである。更に、本発明は、所定の置換基を有する化合物を色素含有溶液の添加剤として使用する方法に関する。
従来から、レーザー光により1回限りの情報記録が可能な光情報記録媒体として、追記型CD(CD−R)および追記型DVD(DVD−R)が知られている。CD−Rへの情報の記録は、近赤外域のレーザー光(通常、波長780nm程度)により行われるのに対し、DVD−Rへの情報の記録は可視レーザー光(約630〜680nm)によって行われる。DVD−Rは、記録用レーザー光としてCD−Rより短波長のレーザー光を使用するため、CD−Rと比べて高密度記録可能であるという利点を有する。そのため、近年、DVD−Rは、大容量の記録媒体としての地位をある程度まで確保している。
最近、インターネット等のネットワークやハイビジョンTVが急速に普及している。また、HDTV(High Definition Television)の放映を間近にひかえて、画像情報を安価簡便に記録するための大容量の記録媒体の要求が高まっている。しかし、CD−RおよびDVD−Rは、将来の要求に対応できる程の充分に大きな記録容量を有しているとはいえない。そこで、DVD−Rよりも更に短波長のレーザー光を用いることによって記録密度を向上させるため、より短波長のレーザー光による記録が可能な大容量光ディスクの開発が進められている。例えば、特許文献1には、従来の記録波長より更に短波長のレーザー光により情報を記録するための光情報記録媒体が開示されている。更に、特許文献2および3には、例えば405nmの青色レーザーを用いたBlu−ray方式と称される光記録ディスクのように短波長レーザー光を照射することにより情報を記録するための光情報記録媒体が提案されている。
一方、特許文献4には、CD−R媒体においてフタロシアニン色素を含む記録層へフェロセン類を添加すると色素分解開始温度が低下し、ピットエッジ制御性が改善されることが記載されている。
特開2001−277720号公報 特開2002−301870号公報 WO2005−000972号公報 特開2003−1942号公報
光情報記録では、記録用レーザー光の波長付近に吸収を有する色素を記録層用色素として使用することが好ましい。本発明者らの検討の結果、特許文献1に記載の光情報記録媒体において記録層に使用される色素は、短波長領域における記録に好適ではあるものの、記録特性が必ずしも十分なレベルにはないことが判明した。また、特許文献2および3に記載の光情報記録媒体において記録層に使用される色素は、短波長領域に吸収を有するものの、必ずしも十分な光堅牢性および記録特性の両立ができないことが判明した。さらに、本発明者らの検討によれば、特許文献1〜3に記載の光情報記録媒体の記録層に特許文献4に記載のフェロセン類を添加した場合にも、記録特性を満足できるレベルにまで改善することはできなかった。
そこで、本発明の目的は、短波長レーザー光照射による情報記録における記録特性に優れる光情報記録媒体および短波長レーザー光照射により良好な記録が可能な情報記録方法を提供することにある。
光情報記録では、光情報記録媒体にレーザー光を照射することにより、記録層の照射部分がレーザー光を吸収して局所的に温度上昇し、物理的または化学的変化(例えばピットの生成)が生じてその光学的特性を変えることにより、情報の記録が行われる。一方、情報の読み取り(再生)は、光情報記録媒体に対して、例えば記録用のレーザー光と同じ波長のレーザー光を照射し、記録層の光学的特性が変化した部位(記録部位)と変化しない部位(未記録部位)との屈折率の違いを検出することにより行われる。よって、記録部位と未記録部位の屈折率差が大きいほど、読み取り精度が向上する。本発明者らの検討の結果、上記特許文献1〜3に記載の光情報記録媒体では、記録前後で十分な屈折率差が得られないために十分な記録特性が得られないことが判明した。
そこで、本発明者らは上記知見に基づき更に検討を重ねた結果、熱分解により気体を発生する置換基を有する色素または添加剤を記録層に含有させることにより、該置換基が記録時に熱分解することによってピット内に空隙を形成することで大きな屈折率差を実現することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、上記目的を達成する手段は、以下の通りである。
[1]基板上に色素を含有する記録層を有する光情報記録媒体であって、
前記記録層は、熱分解により気体を発生する置換基を有する化合物を含有することを特徴とする光情報記録媒体。
[2]前記化合物は、情報の記録のために前記光情報記録媒体へ照射されるレーザー光に対して吸収性を有さない[1]に記載の光情報記録媒体。
[3]前記色素は、情報の記録のために前記光情報記録媒体へ照射されるレーザー光を吸収することにより発熱し、
前記化合物は、前記発熱により生じた熱によって分解する[1]または[2]に記載の光情報記録媒体。
[4]前記レーザー光の波長は、390〜440nmの範囲である[2]または[3]に記載の光情報記録媒体。
[5]前記置換基は下記一般式(I)または一般式(VII)で表される一価の置換基である[1]〜[4]のいずれかに記載の光情報記録媒体。
Figure 2008221841
[一般式(I)および(VII)中、R1およびR1'は、各々独立にアルキル基を表し、XはNR2、硫黄原子、酸素原子またはCR3 R4を表し、R2、R3およびR4は、各々独立に、水素原子または一価の置換基を表し、Y、Y'、ZおよびZ'は、各々独立に、酸素原子または硫黄原子である。]
[6]一般式(I)中、XはNR2である[5]に記載の光情報記録媒体。
[7]前記化合物は、下記一般式(V)または一般式(VIII)で表される化合物である[5]または[6]に記載の光情報記録媒体。
Figure 2008221841
[一般式(V)および(VIII)中、R5およびR5'は、各々独立に、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、カルボキシル基、スルファモイル基、スルホ基、アルキルもしくはアリールスルフィニル基、アルキルもしくはアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基またはシリル基であり、nおよびn’は、各々独立に、1〜6の範囲の整数であり、R1、R1'、X、Y、Y'、ZおよびZ'は、それぞれ一般式(I)および(VII)における定義と同義である。]
[8]前記化合物の熱分解温度は150〜250℃の範囲である[1]〜[7]のいずれかに記載の光情報記録媒体。
[9]前記色素は、前記化合物であり、かつ該化合物は下記一般式(i)で表される[1]に記載の光情報記録媒体。
Figure 2008221841
[一般式(i)中、Aは、水素原子または置換基を表し、B1、B2、B3およびB4は、各々独立に、両端の2つの炭素原子とともに芳香環を形成する原子群を表し、Mは、2つの水素原子、2〜4価の金属原子、金属酸化物、配位子を有する金属原子または配位子を有する金属酸化物を表し、Cは、(L-(D)l)またはEを表し、DおよびEは、各々独立に、下記一般式(ii)または(xiii)で表される一価の置換基を表し、Lは2価の連結基を表し、lは1〜10の整数を表す。mは、0〜15の範囲の整数を表し、nは、1〜16の範囲の整数を表し、但し、m+n=16である。mが2以上の整数であるとき複数存在するAはそれぞれ同じでも異なっていてもよく、nが2以上の整数であるとき複数存在する (L-(D)l)またはEはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。]
Figure 2008221841
[一般式(ii)および(xiii)中、R11およびR11'は、各々独立に第二級アルキル基または第三級アルキル基を表し、X1は、硫黄原子、酸素原子、NR12、CR13R14を表し、Y1およびY1'は、各々独立に、酸素原子または硫黄原子を表し、Z1およびZ1'は、各々独立に、NR12、酸素原子または硫黄原子を表し、R12、R13およびR14は、各々独立に、水素原子または1価の置換基を表す。]
[10]一般式(ii)中のY1およびZ1はいずれも酸素原子であり、ならびに/または、一般式(xiii)中のY1'およびZ1'はいずれも酸素原子である[9]に記載の光情報記録媒体。
[11]一般式(i)で表される化合物の熱分解温度は150〜400℃の範囲である[9]または[10]に記載の光情報記録媒体。
[12]前記基板上に、前記記録層、バリア層、粘着層または接着層である中間層、およびカバー層をこの順に有する[1]〜[11]のいずれかに記載の光情報記録媒体。
[13]中間層のガラス転移温度は−100〜25℃の範囲である[12]に記載の光情報記録媒体。
[14][1]〜[13]のいずれかに記載の光情報記録媒体へレーザー光を照射することにより、前記記録層へ情報を記録する情報記録方法。
[15]前記情報は、
前記色素が、照射されたレーザー光を吸収することによって発熱し、
前記発熱により生じた熱によって前記化合物が分解して気体を発生し、
前記気体の発生によって記録層中に空隙が生じることによって記録される、[14]に記載の情報記録方法。
[16]前記レーザー光の波長は、390〜440nmの範囲である[14]または[15]に記載の情報記録方法。
[17]熱分解により気体を発生する置換基を有する化合物を色素含有溶液の添加剤として使用する方法。
[18]前記色素含有溶液は、光情報記録媒体の記録層形成用塗布液である[17]に記載の方法。
[19]前記置換基は下記一般式(I)または一般式(VII)で表される[17]または[18]に記載の方法。
Figure 2008221841
[一般式(I)および(VII)中、R1およびR1'は、各々独立にアルキル基を表し、XはNR2、硫黄原子、酸素原子またはCR3 R4を表し、R2、R3およびR4は、各々独立に、水素原子または一価の置換基を表し、Y、Y'、ZおよびZ'は、各々独立に、酸素原子または硫黄原子である。]
[20]一般式(I)中、XはNR2である[19]に記載の方法。
[21]前記化合物は、下記一般式(V)または一般式(VIII)で表される化合物である[19]または[20]に記載の方法。
Figure 2008221841
[一般式(V)および(VIII)中、R5およびR5'は、各々独立に、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、カルボキシル基、スルファモイル基、スルホ基、アルキルもしくはアリールスルフィニル基、アルキルもしくはアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基またはシリル基であり、nおよびn’は、各々独立に、1〜6の範囲の整数であり、R1、R1'、X、X'、Y、Y'、ZおよびZ'は、それぞれ一般式(I)および(VII)における定義と同義である。]
本発明によれば、短波長領域での記録特性に優れた光情報記録媒体を提供することができる。
更に、本発明によれば、熱分解により気体を発生する置換基を有する化合物を色素含有溶液へ添加することにより、色素の光堅牢性を高めることができる。
本発明の光情報記録媒体は、基板上に色素を含有する記録層を有する光情報記録媒体であって、前記記録層は、熱分解により気体を発生する置換基を有する化合物を含有するものであり、記録層用色素とは別に熱分解により気体を発生する置換基を有する化合物を含有する態様(以下、「態様A」という)と、記録用色素が熱分解により気体を発生する置換基を有する化合物である態様(以下、「態様B」という)を包含する。いずれの態様においても、上記置換基が熱分解により発生した気体が、レーザー光照射部と未照射部との屈折率差増大に寄与することにより、記録特性を高めることができる。より詳細には、態様Aでは、前記化合物を記録層に含むことにより、該化合物が記録時に熱分解することによって気体を発生してピット内に空隙を形成することができる。記録層用色素によっても異なるが、一般に、記録層中、レーザー光未照射部の屈折率は、例えば1.6〜1.9であるのに対し、レーザー光照射により空隙が形成された部分の屈折率は約1.0であり未照射部の屈折率と大きく異なる。本発明では、このように熱分解により気体を発生する置換基を有する化合物を記録層に含有させることにより、大きな屈折率差を実現することができ、これにより記録特性を高めることができる。
一方、態様Bでは、熱分解により気体を発生する置換基を有する一般式(i)で表される化合物を記録層用色素として含むことにより、優れた記録特性を得ることができる。更に一般式(i)で表される化合物を含む記録層は光堅牢性にも優れる。前記化合物を含む記録層が優れた記録特性および光堅牢性を示す理由について、本発明者らは以下のように推察している。
前記化合物を含む記録層へレーザー光を照射すると、後述する一般式(iii)で表される色素残基がレーザー光を吸収して発熱し、その熱により一般式(ii)または(xiii)で表される一価の置換基が熱分解して気体を発生し、これによりピット内に空隙が形成されると考えられる。一般式(i)で表される化合物を含む記録層において、レーザー光未照射部の屈折率は、一般に1.6〜1.9程度であるのに対し、レーザー光照射により空隙が形成された部分の屈折率は約1.0であり未照射部の屈折率と大きく異なる。これにより、大きな屈折率差を実現することができ、記録特性を高めることができると考えられる。
更に、本発明者らの検討の結果、一般式(iii)で表される色素残基と一般式(ii)または(xiii)で表される置換基が結合することにより、光堅牢性が大きく向上することが判明した。態様Bの光情報記録媒体は、上記特性を有する一般式(i)で表される化合物を記録層に含むことにより、光堅牢性と短波長領域での記録特性を両立することができる。
以下に、態様Aおよび態様Bについて更に詳細に説明する。
態様A
[記録層用色素]
態様Aおよび態様Bのいずれにおいても、光情報記録媒体へ情報を記録するために用いるレーザーは、近赤外域のレーザー光(通常は780nm付近の波長のレーザー光)、可視レーザー光(630nm〜680nm)、波長530nm以下のレーザー光(405nmの青色レーザー)が好ましい。より好ましくは可視レーザー光(630nm〜680nm)、波長530nm以下のレーザー光(例えば405nmの青色レーザー)である。さらに好ましくは波長390〜440nm以下のレーザー光(例えば405nmの青色レーザー)である。
記録層用色素としては、情報の記録のために照射されるレーザー光に対して吸収性を有するものを用いることができる。前記色素は、記録用レーザー光を吸収することにより発熱するものであることが好ましい。態様Aでは、レーザー光照射により記録層に含まれる色素が発熱し、この発熱によって生じた熱により、前記化合物が有する置換基が熱分解することによって気体を発生して記録層内に空隙(ピット)を形成することが好ましい。これに対し、態様Bでは、熱分解により気体を発生する置換基を有する化合物が、情報の記録のために照射されるレーザー光に対して吸収性を有することが好ましい。これにより、上記化合物が記録層用色素として機能することができる。なお、本発明において「吸収性を有する」とは、モル吸光係数ε(L/(mol・cm))が5000以上あることを意味する。好ましくは、記録層用色素は、吸収極大波長が300nm〜900nmの範囲にあり、かつモル吸光係数ε(L/(mol・cm))が5000以上であり、より好ましくは吸収極大波長が350nm〜500nmの範囲にあり、より好ましくは吸収極大波長が370nm〜460nmの範囲にある。またモル吸光係数ε(L/(mol・cm))は好ましくは10000以上であり、より好ましく15000以上である。モル吸光係数ε(L/(mol・cm))の上限値は、特に限定されないが、例えば1000000である。
記録層用色素は、情報の記録のために照射されるレーザー光に対する吸収性を考慮して適宜選択することができる。具体的には、記録層用色素としては、オキソノール色素、シアニン色素、スチリル色素、メロシアニン色素、フタロシアニン色素、トリアジン色素、ベンゾトリアゾール色素、ベンゾオキサゾール色素、アミノブタジエン、アゾ系色素、アゾメチン色素、ピリドポルフィラジン色素、ピラドポルフィラジン色素、ポルフィリン色素、ポルフィラジン色素、ジケトピロロピロール色素等を用いることができ、フタロシアニン色素、トリアジン色素、ベンゾトリアゾール色素、アゾ系色素、シアニン色素を用いることが好ましく、フタロシアニン色素、トリアジン色素、アゾ系色素、シアニン色素を用いることが更に好ましい。
フタロシアニン色素としては、下記一般式(1)で表されるフタロシアニン誘導体を用いることが好ましい。
Figure 2008221841
一般式(1)中、Rは置換基を表す。前記置換基としては、後述する一般式(2)中のRα1〜Rα8およびRβ1〜Rβ8として挙げた置換基を挙げることができる。
nは1〜8の範囲の整数を表し、好ましくは1〜6、より好ましくは1〜4である。nが2以上の整数のとき、複数存在するRは互いに同一でも異なっていてもよい。
Mは2個の水素原子、2〜4価の金属原子、2〜4価のオキシ金属原子、または配位子を有する2〜4価の金属原子を表す。その具体例および好ましい例は、一般式(2)について後述する通りである。
一般式(1)で表されるフタロシアニン誘導体の好ましい態様としては、下記一般式(2)で表されるフタロシアニン誘導体を挙げることができる。
Figure 2008221841
一般式(2)中、Rα1〜Rα8およびRβ1〜Rβ8は、それぞれ独立に水素原子または置換基であり、Rα1〜Rα8およびRβ1〜Rβ8のうち少なくとも8つは水素原子である。置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ホルミル基、カルボキシル基、スルホ基、炭素数1〜20の置換または無置換のアルキル基、炭素数6〜14の置換または無置換のアリール基、炭素数1〜10の置換または無置換のヘテロ環基、炭素数1〜20の置換または無置換のアルコキシ基、炭素数6〜14の置換または無置換のアリールオキシ基、炭素数2〜21の置換または無置換のアシル基、炭素数1〜20の置換または無置換のアルキルスルホニル基、炭素数6〜14の置換または無置換のアリールスルホニル基、炭素数1〜10のヘテリルスルホニル基、炭素数1〜25の置換または無置換のカルバモイル基、炭素数0〜32の置換または無置換のスルファモイル基、炭素数2〜20の置換または無置換のアルコキシカルボニル基、炭素数7〜15の置換または無置換のアリールオキシカルボニル基、炭素数2〜21の置換または無置換のアシルアミノ基、炭素数1〜20の置換または無置換のスルホニルアミノ基、炭素数0〜36の置換または無置換のアミノ基を挙げることができる。但し、一般式(2)中、Rα1〜Rα8全てが水素原子であることはない。Mは2個の水素原子、2〜4価の金属原子、2〜4価のオキシ金属原子、または配位子を有する2〜4価の金属原子を表す。
一般式(2)において、Rα1〜Rα8およびRβ1〜Rβ8は、好ましくは、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、カルボキシル基、スルホ基、炭素数1〜16の置換または無置換のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基)、炭素数6〜14の置換または無置換のアリール基(例えば、フェニル基、p−メトキシフェニル基、p−オクダデシルフェニル基)、炭素数1〜16の置換または無置換のアルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−オクチルオキシ基)、炭素数6〜10の置換または無置換のアリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、p−エトキシフェノキシ基)、炭素数1〜20の置換または無置換のアルキルスルホニル基(例えば、メタンスルホニル基、n−プロピルスルホニル基、n−オクチルスルホニル基)、炭素数6〜14の置換または無置換のアリールスルホニル基(例えば、トルエンスルホニル基、ベンゼンスルホニル基)、炭素数0〜20の置換または無置換のスルファモイル基(例えば、メチルスルファモイル基、n−ブチルスルファモイル基)、炭素数1〜17のアルコキシカルボニル(例えば、メトキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基)、炭素数7〜15の置換または無置換のアリールオキシカルボニル基(例えば、フェノキシカルボニル基、m−クロロフェニルカルボニル基)、炭素数2〜21の置換または無置換のアシルアミノ基(例えば、アセチルアミノ基、ピバロイルアミノ基、n−ヘキシルアミノ基)、炭素数1〜18のスルホニルアミノ基(例えば、メタンスルホニルアミノ基、n−ブタンスルホニルアミノ基)である。
Rα1〜Rα8およびRβ1〜Rβ8は、更に好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、カルボキシル基、スルホ基、炭素数1〜16の置換もしくは無置換のアルキル基、炭素数1〜16の置換もしくは無置換のアルコキシ基、炭素数1〜20置換もしくは無置換のアルキルスルホニル基、炭素数6〜14の置換もしくは無置換のアリールスルホニル基、炭素数2〜20の置換もしくは無置換のスルファモイル基、炭素数1〜13のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜21の置換もしくは無置換のアシルアミノ基、または炭素数1〜18のスルホニルアミノ基である。
更に好ましくは、Rα1〜Rα8が水素原子、ハロゲン原子、スルホ基、炭素数1〜16の置換もしくは無置換のアルコキシ基、炭素数1〜20置換もしくは無置換のアルキルスルホニル基、炭素数6〜14の置換もしくは無置換のアリールスルホニル基、炭素数2〜20の置換もしくは無置換のスルファモイル基、炭素数2〜21の置換もしくは無置換のアシルアミノ基、または炭素数1〜18のスルホニルアミノ基であって、Rβ1〜Rβ8は水素原子またはハロゲン原子である。
特に好ましくは、Rα1〜Rα8が水素原子、スルホ基、炭素数1〜20の無置換のアルキルスルホニル基、炭素数6〜14の無置換のアリールスルホニル基、または炭素数7〜20の無置換のスルファモイル基であって、R1〜R8は水素原子である。
一般式(2)で表されるフタロシアニン誘導体におけるRα1およびRα2のいずれか一方、Rα3およびRα4のいずれか一方、Rα5およびRα6のいずれか一方、Rα7およびRα8のいずれか一方の計4つは、同時に水素原子ではないことが好ましい。
一般式(2)において、Rα1〜Rα8およびRβ1〜Rβ8は更に置換基を有していてもよく、該置換基の例としては、以下に記載のものを挙げることができる。
炭素数1〜20の鎖状または環状の置換または無置換のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、シクロヘキシル基、ベンジル基、フェネチル基)、炭素数6〜18の置換または無置換のアリール基(例えば、フェニル基、クロロフェニル基、2,4−ジ−t−アミルフェニル基、1−ナフチル基)、炭素数2〜20の置換または無置換のアルケニル基(例えば、ビニル基、2−メチルビニル基)、炭素数2〜20の置換または無置換のアルキニル基(例えば、エチニル基、2−メチルエチニル基、2−フェニルエチニル基)、ハロゲン原子(例えば、F、Cl、Br、I)、シアノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、炭素数2〜20の置換または無置換のアシル基(例えば、アセチル基、ベンゾイル基、サリチロイル基、ピバロイル基)、炭素数1〜20の置換または無置換のアルコキシ基(例えば、メトキシ基、ブトキシ基、シクロヘキシルオキシ基)、炭素数6〜20の置換または無置換のアリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、1−ナフトキシ基、p−メトキシフェノキシ基)、炭素数1〜20の置換または無置換のアルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、ブチルチオ基、ベンジルチオ基、3−メトキシプロピルチオ基)、炭素数6〜20の置換または無置換のアリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、4−クロロフェニルチオ基)、炭素数1〜20の置換または無置換のアルキルスルホニル基(例えば、メタンスルホニル基、ブタンスルホニル基)、炭素数6〜20の置換または無置換のアリールスルホニル基(例えば、ベンゼンスルホニル基、パラトルエンスルホニル基)、炭素数1〜17の置換または無置換のカルバモイル基(例えば、無置換のカルバモイル基、メチルカルバモイル基、エチルカルバモイル基、n−ブチルカルバモイル基、ジメチルカルバモイル基)、炭素数1〜16の置換または無置換のアシルアミノ基(例えば、アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基)、炭素数2〜10の置換または無置換のアシルオキシ基(例えば、アセトキシ基、ベンゾイルオキシ基)、炭素数2〜10の置換または無置換のアルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基)、5もしくは6員の置換または無置換のヘテロ環基(例えば、ピリジル基、チエニル基、フリル基、チアゾリル基、イミダゾリル基、ピラゾリルなどの芳香族ヘテロ環基、ピロリジン環、ピペリジン環、モルホリン環、ピラン環、チオピラン環、ジオキサン環、ジチオラン環などの非芳香族ヘテロ環基)。
一般式(2)において、Rα1〜Rα8およびRβ1〜Rβ8を置換する置換基として好ましいものは、炭素数1〜16の鎖状または環状の置換または無置換のアルキル基、炭素数6〜14のアリール基、炭素数1〜16のアルコキシ基、炭素数6〜14のアリールオキシ基、ハロゲン原子、炭素数2〜17のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜10のカルバモイル基、炭素数1〜10のアシルアミノ基である。
その中でも好ましいものは、炭素数1〜10の鎖状または環状のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数6〜10のアリールオキシ基、塩素原子、炭素数2〜11のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜7のカルバモイル基、炭素数1〜8のアシルアミノ基である。
その中でも特に好ましいものは、炭素数1〜8の鎖状分岐または環状の無置換のアルキル基、炭素数1〜8の無置換のアルコキシ基、炭素数3〜9の無置換のアルコキシカルボニル基、フェニルおよび塩素原子である。置換基として最も好ましいものは炭素数1〜6の無置換のアルコキシ基である。
Mは2個の水素原子、2〜4価の金属原子、2〜4価のオキシ金属原子、または配位子を有する2〜4価の金属原子を表す。好ましくは、Mは2〜4価の金属原子であり、中でも、銅原子、ニッケル原子、またはパラジウム原子が好ましい。更には、銅原子またはニッケル原子が好ましく、銅原子が最も好ましい。
前記一般式(1)または(2)で表されるフタロシアニン誘導体は、置換基の置換位置が異なる異性体の混合物である。
前記フタロシアニン誘導体としては、位置異性体の混合物の中、最も含有率が多い成分が全体の50質量%未満であるものが好ましい。更には、最も含有率が多い成分が全体の45%以下であるものが好ましく。更には、最も含有率が多い成分が全体の40%以下であるものが最も好ましい。
以下に、本発明で用いられるフタロシアニン誘導体の好ましい具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
下記において、例えばRα1/Rα2という表記はRα1またはRα2のいずれか一方という意味を表しており、従ってこの表記のある化合物は置換位置異性体の混合物である。また無置換の場合、即ち水素原子が置換している場合は表記を省略している。
Figure 2008221841
本発明で使用可能なフタロシアニン誘導体の具体例
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No. 置換基位置および置換基 M
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(I−1) Rα1/Rα2、Rα3/Rα4、Rα5/Rα6、Rα7/Rα8 Cu
−SO2N(C511−i)2
(I−2) Rα1/Rα2、Rα3/Rα4、Rα5/Rα6、Rα7/Rα8 Cu
−SO2NH(2−s−butoxy−5
−t−amylphenyl)
(I−3) Rα1/Rα2、Rα3/Rα4、Rα5/Rα6 Cu
−SO2NH(CH23O(2,4−di−t−amyl
−phenyl)
Rα7/Rα8−SO3
(I−4) Rα1/Rα2、Rα3/Rα4、Rα5/Rα6、Rα7/Rα8 Ni
−SO2N(3−methoxypropyl)2
(I−5) Rα1/Rα2、Rα3/Rα4、Rα5/Rα6、Rα7/Rα8 Ni
−SO2NMe(cyclohexyl)
(I−6) Rα1/Rα2、Rα3/Rα4、Rα5/Rα6、Rα7/Rα8 Ni
−SO2N(3−i−propoxyphenyl)2
(I−7) Rα1/Rα2、Rα3/Rα4、Rα5/Rα6、Rα7/Rα8 Pd
−SO2NH(2−i−amyloxy
−carbonylphenyl)
(I−8) Rα1/Rα2、Rα3/Rα4、Rα5/Rα6、Rα7/Rα8 Pd
−SO2NH(2,4,6−trimethyl
−phenyl)
(I−9) Rα1/Rα2、Rα3/Rα4、Rα5/Rα6、Rα7/Rα8 Co
−SO2(4−morpholino)
(I−10) Rα1/Rα2、Rα3/Rα4、Rα5/Rα6、Rα7/Rα8 Fe
−SO2N(C25)(4−fluorophenyl)
(I−11) Rα1/Rα2、Rα3/Rα4、Rα5/Rα6 Cu
−SO2NH(CH23N(C252
(I−12) Rα1/Rα2、Rα3/Rα4、Rα5/Rα6、Rα7/Rα8 Cu
−SO2(2−n−propoxyphenyl)
(I−13) Rα1/Rα2、Rα3/Rα4、Rα5/Rα6、Rα7/Rα8 Ni
−SO2(2−n−butoxy−5−t−butyl
−phenyl)
(I−14) Rα1/Rα2、Rα3/Rα4、Rα5/Rα6、Rα7/Rα8 Co
−SO2(2−methoxycarbonyl
−phenyl)
(I−15) Rα1/Rα2、Rα3/Rα4、Rα5/Rα6、Rα7/Rα8 Cu
−SO2(CH24O(2−chloro−4
−t−amylphenyl)
(I−16) Rα1/Rα2、Rα3/Rα4、Rα5/Rα6、Rα7/Rα8 Pd
−SO2(CH22CO249−i
(I−17) Rα1/Rα2、Rα3/Rα4、Rα5/Rα6、Rα7/Rα8 Cu
−SO2(cyclohexyl)
(I−18) Rα1/Rα2、Rα3/Rα4、Rα5/Rα6、Rα7/Rα8 Ni
−SO2{4−(2−s−butoxy
−benzoylamino)phenyl}
(I−19) Rα1/Rα2、Rα3/Rα4、Rα5/Rα6 Pd
−SO2(2,6−dichloro
−4−methoxyphenyl)
(I−20) Rα1/Rα2、Rα3/Rα4、Rα5/Rα6 Mg
−SO2CH(Me)CO2CH2
−CH(C25)C49−n
(I−21) Rα1/Rα2、Rα3/Rα4、Rα5/Rα6、Rα7/Rα8 Zn
−SO2{2−(2−ethoxyethoxy)
−phenyl}
Rβ1/Rβ2、Rβ3/Rβ4、Rβ5/Rβ6、Rβ7/Rβ8
−C25
(I−22) Rα1/Rα2、Rα3/Rα4、Rα5/Rα6、Rα7/Rα8 Cu
−SO2N(CH2CH2OMe)2
(I−23) Rα1/Rα2、Rα3/Rα4、Rα5/Rα6、Rα7/Rα8 Ni
−OCH2CH(C25)C49−n
(I−24) Rα1/Rα2、Rα3/Rα4、Rα5/Rα6、Rα7/Rα8 Zn
−OCHMe(phenyl)
(I−25) Rα1、Rα2、Rα3、Rα4、Rα5、Rα6、Rα7、Rα8 Cu
−OCH(s−butyl)2
(I−26) Rα1、Rα2、Rα3、Rα4、Rα5、Rα6、Rα7、Rα8
−OCH2CH2OC37−i SiCl2
(I−27) Rα1/Rα2、Rα3/Rα4、Rα5/Rα6、Rα7/Rα8 Ni
−t−amyl
Rβ1/Rβ2、Rβ3/Rβ4、Rβ5/Rβ6、Rβ7/Rβ8
−Cl
(I−28) Rα1/Rα2、Rα3/Rα4、Rα5/Rα6、Rα7/Rα8 Zn
−(2,6−di−ethoxyphenyl)
(I−29) Rα1/Rα2、Rα3/Rα4、Rα5/Rα6 Cu
−SO2NHCH2CH2OC37−i
Rα7/Rα8−SO3
(I−30) Rα1/Rα2、Rα3/Rα4、Rα5/Rα6 Cu
−CO2CH2CH2OC25
Rα7/Rα8−CO2
(I−31) Rα1/Rα2、Rα3/Rα4、Rα5/Rα6、Rα7/Rα8 Co
−CO2CH(Me)CO237−i
(I−32) Rα1/Rα2、Rα3/Rα4、Rα5/Rα6、Rα7/Rα8 Cu
−CONHCH2CH2OC37−i
(I−33) Rα1/Rα2、Rα3/Rα4、Rα5/Rα6 Pd
−CON(CH2CH2OC49−n)2
Rα7/Rα8−CO2
(I−34) Rα1/Rα2、Rα3/Rα4、Rα5/Rα6、Rα7/Rα8 Co
−NHCOCH(C25)C49−n
(I−35) Rα1/Rα2、Rα3/Rα4、Rα5/Rα6、Rα7/Rα8 Mg
−NHCO(2−n−butoxycarbonyl
−phenyl)
(I−36) Rα1/Rα2、Rα3/Rα4、Rα5/Rα6、Rα7/Rα8 Pd
−NHSO2(2−i−propoxyphenyl)
(I−37) Rα1/Rα2、Rα3/Rα4、Rα5/Rα6、Rα7/Rα8 Zn
−NHSO2(2−n−butoxy−5−t−amyl
−phenyl)
(I−38) Rα1/Rα2、Rα3/Rα4、Rα5/Rα6、Rα7/Rα8 Ni
−SO2CH3
(I−39) Rα1/Rα2、Rα3/Rα4、Rα5/Rα6、Rα7/Rα8 Cu
−SO2CH(CH32
(I−40) Rα1/Rα2、Rα3/Rα4、Rα5/Rα6、Rα7/Rα8 Cu
−SO249S
(I−41) Rα1/Rα2、Rα3/Rα4、Rα5/Rα6、Rα7/Rα8 Cu
−SO2CH2CO2CH(CH32
(I−42) Rα1/Rα2、Rα3/Rα4、Rα5/Rα6、Rα7/Rα8 Cu
−SO2CH(CH3)CO2CH3
(I−43) Rα1/Rα2、Rα3/Rα4、Rα5/Rα6、Rα7/Rα8 Cu
−SO265
(I−44) Rα1/Rα2、Rα3/Rα4、Rα5/Rα6、Rα7/Rα8 Cu
−SO2N(C511 -i2
(I−45) Rα1/Rα2、Rα3/Rα4、Rα5/Rα6、Rα7/Rα8 Cu
−SO2CH(CH32
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以上説明したフタロシアニン誘導体は、公知の方法で合成することができ、また市販品として入手可能なものもある。
記録層用色素として使用されるトリアジン色素としては、下記一般式(3)で表されるトリアジン誘導体が好ましい。
Figure 2008221841
一般式(3)中、R11、R12およびR13は、各々独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アラルキル基またはヘテロ環基を表す。
一般式(3)において、R11、R12およびR13で表されるアルキル基として好ましいものは、炭素数1〜20の鎖状または環状の置換基を有していてもよいアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、ter−ブチル基、メトキシエチル基、ヒドロキシエチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、シクロヘキシル基)であり、更に好ましくは炭素数1〜6のアルキル基であり、特にメチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、メトキシエチル基が好ましい。
一般式(3)において、R11、R12およびR13で表されるアルケニル基は、炭素数2〜20であることが好ましく、更に炭素数2〜8であることが好ましく、例えばビニル基、2−プロペニル基、2−メチルプロペニル基、1,3−ブタジエニル基を挙げることができる。
一般式(3)において、R11、R12およびR13で表されるアルキニル基は、炭素数2〜20であることが好ましく、更に炭素数2〜8であることが好ましく、例えばエチニル基、プロピニル基、3,3−ジメチルブチニル基を挙げることができる。
一般式(3)において、R11、R12およびR13で表されるアリール基として好ましいものは、炭素数6〜18の置換基を有していてもよいアリール基(例えば、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基)であり、更に好ましくはフェニル基、1−ナフチル基または2−ナフチル基であり、特にフェニル基が好ましい。
一般式(3)において、R11、R12およびR13で表されるアラルキル基として好ましいものは、炭素数7〜18の置換基を有していてもよいアラルキル基(例えば、ベンジル基、フェネチル基、アニシル基)であり、特にベンジル基が好ましい。
一般式(3)において、R11、R12およびR13で表されるヘテロ環基として好ましいものは、5員または6員の飽和または不飽和のヘテロ環基であり、含有されるヘテロ原子としては特に窒素原子、酸素原子および硫黄原子が好ましく、炭素数は4〜7であることが好ましい。具体例としては、4−ピリジル基、2−ピリジル基、2−ピラジル基、2−イミダゾリル基、2−フリル基、2−チオフェニル基、2−ベンゾオキサゾリル基、2−ベンゾチオキサゾリル基を挙げることができる。
一般式(3)において、R11、R12およびR13としては、アリール基またはヘテロ環基が好ましく、R11、R12およびR13の少なくとも1つがアリール基またはヘテロ環基であることが好ましい。また、R11、R12およびR13としては、アリール基がより好ましく、R11、R12およびR13の少なくとも1つがアリール基であることがより好ましく、R11、R12およびR13の全部がアリール基であることが特に好ましい。
一般式(3)において、R11、R12およびR13の置換基としては、例えば以下に記載のものを挙げることができる。
炭素数1〜20の鎖状または環状のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基)、炭素数6〜18のアリール基(例えば、フェニル基、クロロフェニル基、アニシル基、トルイル基、2,4−ジ−t−アミル基、1−ナフチル基)、炭素数2〜20のアルケニル基(例えば、ビニル基、2−メチルビニル基)、炭素数2〜20のアルキニル基(例えば、エチニル基、2−メチルエチニル基、2−フェニルエチニル基)、ハロゲン原子(例えば、F、Cl、Br、I)、シアノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、炭素数0〜20の置換または無置換のアミノ基、カルボキシル基、ホルミル基、炭素数2〜20のアシル基(例えば、アセチル基、ベンゾイル基、サリチロイル基、ピバロイル基)、炭素数1〜20のアルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、シクロヘキシルオキシ基)、炭素数6〜18のアリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、1−ナフトキシ基)、炭素数1〜20のアルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、ブチルチオ基、ベンジルチオ基、3−メトキシプロピルチオ基)、炭素数6〜18のアリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、4−クロロフェニルチオ基)、炭素数1〜20のアルキルスルホニル基(例えば、メタンスルホニル基、ブタンスルホニル基)、炭素数6〜18のアリールスルホニル基(例えば、ベンゼンスルホニル基、パラトルエンスルホニル基)、炭素数1〜10のカルバモイル基、炭素数1〜10のアミド基、炭素数2〜12のイミド基、炭素数2〜10のアシルオキシ基、炭素数2〜10のアルコキシカルボニル基、ヘテロ環基(例えば、ピリジル基、チエニル基、フリル基、チアゾリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基などの芳香族ヘテロ環、ピロリジン環、ピペリジン環、モルホリン環、ピラン環、チオピラン環、ジオキサン環、ジチオラン環などの脂肪族ヘテロ環)。
上記置換基としては、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基またはアリールチオ基が好ましく、更にヒドロキシ基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜10のアリールオキシ基、炭素数1〜12のアミノ基、炭素数2〜13のアシルアミノ基が好ましく、特にヒドロキシ基が好ましい。
一般式(3)で表されるトリアジン誘導体は、下記一般式(4)で表される構造である場合が特に好ましい。
Figure 2008221841
一般式(4)中、R14、R15およびR16は、それぞれ独立に一価の置換基を表し、p、qおよびrは、それぞれ独立に0〜4の範囲の整数を表す。
一般式(4)において、R14、R15およびR16で表される置換基としては、一般式(3)におけるR11、R12およびR13の置換基として挙げたものを挙げることができる。好ましくは、炭素数1〜6のアルキル基(特にメチル基、 エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基)、炭素数6〜10の アリール基(特にフェニル基)、炭素数1〜10のアルコキシ基(特にメトキシ基、エトキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、i−ブトキシ基)、アリールオキシ基(特にフェノキシ基)およびハロゲン原子(特に塩素原子)であり、特に 好ましくは、炭素数1〜8のアルコキシ基である。
一般式(4)において、p、qおよびrで表される整数は、それぞれ独立に0、1、および2が好ましく、1または2がより好ましい。pが2以上の整数のとき複数存在するR14はそれぞれ同じでも異なってもよく、qが2以上の整数のとき複数存在するR15はそれぞれ同じでも異なってもよく、rが2以上の整数のとき複数存在するR16はそれぞれ同じでも異なってもよい。
一般式(4)で表される化合物は、任意の位置で結合して多量体を形成していてもよく、この場合の各単位は互いに同一でも異なっていてもよく、またポリスチレン、ポリメタクリレート、ポリビニルアルコール、セルロース等のポリマー鎖に結合していてもよい。
以下に、一般式(4)で表される化合物の好ましい具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2008221841
前記トリアジン誘導体は、ドイツ特許第19750906号明細書、同第4340725号明細書、欧州特許第531258号明細書、特開平7−188188号公報、同7−188189号公報および同7−188190号公報などに記載の方法に基づいて合成することができる。
態様Aでは、記録層用色素として、前記フタロシアニン誘導体およびトリアジン誘導体などの色素を単独または二種以上組み合わせて使用することができる。更に、例えば、特開2001−232945号公報に記載のシアニン色素、WO01/044374号公報に記載のシアニン色素等を使用することも可能である。
記録層用色素の使用量は、記録層の全質量に対して、例えば1.00〜99.9質量%の範囲であり、好ましくは25.0〜99.5質量%、より好ましくは50.0〜99.0質量%の範囲である。
[熱分解により気体を発生する置換基を有する化合物]
態様Aの光情報記録媒体は、色素とともに熱分解により気体を発生する置換基を有する化合物を記録層に含む。前記化合物は、色素成分の機能を妨げることのないように、情報の記録のために光情報記録媒体へ照射されるレーザー光に対して吸収性を有さないことが好ましい。より好ましくは、可視領域に吸収性を有さない無色化合物または赤外色素であり、更に好ましくは可視領域に吸収性を有さない無色化合物である。本発明において、「吸収性を有さない」とは、モル吸光係数ε(L/(mol・cm))が5000未満であることを意味する。
熱分解により気体を発生する置換基としては、下記一般式(I)、(VII)、 (IX)、(X)で表される置換基を挙げることができる。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
一般式(IX)、(X)
Figure 2008221841
[一般式(IX)および(X)中、R10およびR20は、各々独立にアルキル基を表し、R11 、R12およびR21は、各々独立に水素原子または一価の置換基を表す。R10、R11およびR12は互いに結合して環を形成してもよく、R20およびR21は互いに結合して環を形成してもよい。]
R10およびR20は、各々独立にアルキル基を表す。前記アルキル基の具体例および好ましい例等の詳細は、一般式(I)および(VII)中のR1について後述する通りである。
R11、R12およびR21は、各々独立に水素原子または一価の置換基を表す。前記アルキル基の具体例および好ましい例等の詳細は、一般式(I)および(VII)中のR2、R3およびR4について後述する通りである。また、一般式(IX)中、R10、R11およびR12は互いに結合して環を形成してもよく、一般式(X)中、R20およびR21は互いに結合して環を形成してもよい。
一般式(I)、(VII)
Figure 2008221841
一般式(I)および(VII)中、R1およびR1'は、各々独立にアルキル基を表す。前記アルキル基には、直鎖、分岐、環状の置換または無置換のアルキル基、具体的には、アルキル基(好ましくは炭素数1〜30のアルキル基、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、t−ブチル基、n−オクチル基、エイコシル基、2−クロロエチル基、2−シアノエチル基、2―エチルヘキシル基)、シクロアルキル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換または無置換のシクロアルキル基、例えば、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、4−n−ドデシルシクロヘキシル基)などが包含される。なお、シクロアルキル基には、ビシクロアルキル基(好ましくは、炭素数5〜30の置換もしくは無置換のビシクロアルキル基、つまり、炭素数5から30のビシクロアルカンから水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[1,2,2]ヘプタン−2−イル、ビシクロ[2,2,2]オクタン−3−イル)、更に環構造が多いトリシクロ構造なども包含される。R1は、好ましくは炭素原子数2〜20のアルキル基またはシクロアルキル基であり、より好ましくは炭素原子数3〜20の分岐アルキル基またはシクロアルキル基である。
一般式(I)において、XはNR2、硫黄原子、酸素原子またはCR3R4を表す。R2、R3およびR4は、各々独立に、水素原子または一価の置換基である。前記置換基としては、置換または無置換のアルキル基(好ましくは炭素数1〜20、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、ベンジル基、3−スルホプロピル基、4−スルホブチル基、3−メチル−3−スルホプロピル基、2’−スルホベンジル基、カルボキシメチル基、5−カルボキシペンチル基)、置換または無置換のアルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、例えば、ビニル基、アリル基)、置換または無置換のアリール基(好ましくは炭素数6〜20、例えば、フェニル基、2−クロロフェニル基、4−メトキシフェニル基、3−メチルフェニル基、1−ナフチル基)、置換または無置換のヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜20、例えば、ピリジル基、チエニル基、フリル基、チアゾリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、ピロリジノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基)を挙げることができる。R2、R3およびR4は、好ましくは水素原子または置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のフェニル基、置換もしくは無置換のヘテロ環基であり、より好ましくは水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、または置換もしくは無置換のフェニル基である。一般式(I)中、XはNR2であることが好ましい。
一般式(I)中、YおよびZは、各々独立に、酸素原子または硫黄原子であり、YおよびZがいずれも酸素原子であることが好ましい。
また、一般式(VII)中のY'およびZ'の詳細は、一般式(I)中のYおよびZについて前述した通りである。
前記置換基は、好ましくは下記一般式(I)または一般式(VII)で表される一価の置換基であり、より好ましくは一般式(I)で表される一価の置換基である。一般式(I)で表される置換基の好ましい態様は、一般式(I)中、XがNR2であり、YおよびZがいずれも酸素原子である態様、即ち下記一般式(II)で表される一価の置換基である。
Figure 2008221841
一般式(II)中、R1およびR2は、それぞれ一般式(I)におけるR1、R2と同様である。
一般式(I)で表される置換基の更に好ましい態様は、一般式(I)中、XがNR2(R2は水素原子)であり、YおよびZがいずれも酸素原子である態様、即ち下記一般式(III)で表される一価の置換基である。
Figure 2008221841
一般式(III)中、R1は、一般式(I)におけるR1と同様である。
一般式(I)で表される置換基のより一層好ましい態様は、一般式(I)中、XがNR2(R2は水素原子)であり、YおよびZがいずれも酸素原子であり、R1がt-ブチル基である態様、即ち下記一般式(IV)で表される一価の置換基である。
Figure 2008221841
前記一般式(I)で表される置換基を有する化合物は、下記一般式(V)で表される化合物であることができる。また、前記一般式(VII)で表される置換基を有する化合物は、下記一般式(VIII)で表される化合物であることができる。
Figure 2008221841
一般式(V)および(VIII)中、R5およびR5'は、各々独立に、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、カルボキシル基、スルファモイル基、スルホ基、アルキルもしくはアリールスルフィニル基、アルキルもしくはアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基またはシリル基である。
一般式(V)および(VIII)中のR5およびR5'としての各置換基の詳細を以下に説明する。
アルキル基には、直鎖、分岐、環状の置換または無置換のアルキル基、具体的には、アルキル基(好ましくは炭素数1〜30のアルキル基、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、t−ブチル基、n−オクチル基、エイコシル基、2−クロロエチル基、2−シアノエチル基、2―エチルヘキシル基)、シクロアルキル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換または無置換のシクロアルキル基、例えば、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、4−n−ドデシルシクロヘキシル基)などが包含される。なお、シクロアルキル基には、ビシクロアルキル基(好ましくは、炭素数5〜30の置換または無置換のビシクロアルキル基、つまり、炭素数5から30のビシクロアルカンから水素原子を一個取り去った一価の基、例えば、ビシクロ[1,2,2]ヘプタン−2−イル、ビシクロ[2,2,2]オクタン−3−イルである)、更に環構造が多いトリシクロ構造なども包含される。以下に説明するアルキル基もこのような概念のアルキル基を表す。
アルケニル基は、直鎖、分岐、環状の置換または無置換のアルケニル基を表す。それらは、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜30の置換または無置換のアルケニル基、例えば、ビニル基、アリル基、プレニル基、ゲラニル基、オレイル基)、シクロアルケニル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換または無置換のシクロアルケニル基、つまり、炭素数3〜30のシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、2−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イル)などが包含される。なお、シクロアルケニル基には、置換または無置換のビシクロアルケニル基が包含される。ビシクロアルケニル基は、好ましくは、炭素数5〜30の置換または無置換のビシクロアルケニル基、つまり二重結合を一個持つビシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−1−イル、ビシクロ[2,2,2]オクト−2−エン−4−イル)を包含するものである。以下に記載のアルケニル基もこのような概念のアルケニル基を表す。
アルキニル基は、好ましくは、炭素数2〜30の置換または無置換のアルキニル基、例えば、エチニル基、プロパルギル基、トリメチルシリルエチニル基である。
アリール基は、好ましくは炭素数6〜30の置換または無置換のアリール基、例えばフェニル基、p−トリル基、ナフチル基、m−クロロフェニル基、o−ヘキサデカノイルアミノフェニル基である。
ヘテロ環基は、好ましくは5または6員の置換または無置換の、芳香族性もしくは非芳香族性のヘテロ環化合物から一個の水素原子を取り除いた一価の基であり、更に好ましくは、炭素数3〜30の5もしくは6員の芳香族のヘテロ環基である。例えば、2−フリル基、2−チエニル基、2−ピリミジニル基、2−ベンゾチアゾリル基を挙げることができる。
スルファモイル基としては、好ましくは炭素数0〜30の置換または無置換のスルファモイル基、例えば、N−エチルスルファモイル基、N−(3−ドデシルオキシプロピル)スルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基、N−アセチルスルファモイル基、N−ベンゾイルスルファモイル基、N−(N’−フェニルカルバモイル)スルファモイル基を挙げることができる。
アルキルおよびアリールスルフィニル基としては、好ましくは、炭素数1〜30の置換または無置換のアルキルスルフィニル基、炭素数6〜30の置換または無置換のアリールスルフィニル基、例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、p−メチルフェニルスルフィニル基を挙げることができる。
アルキルおよびアリールスルホニル基としては、好ましくは、炭素数1〜30の置換または無置換のアルキルスルホニル基、炭素数6〜30の置換または無置換のアリールスルホニル基、例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、フェニルスルホニル基、p−メチルフェニルスルホニル基を挙げることができる。
アシル基としては、好ましくはホルミル基、炭素数2〜30の置換または無置換のアルキルカルボニル基、炭素数7〜30の置換または無置換のアリールカルボニル基、炭素数4〜30の置換または無置換の炭素原子でカルボニル基と結合しているヘテロ環カルボニル基、例えば、アセチル基、ピバロイル基、2−クロロアセチル基、ステアロイル基、ベンゾイル基、p−n−オクチルオキシフェニルカルボニル基、2―ピリジルカルボニル基、2―フリルカルボニル基を挙げることができる。
アリールオキシカルボニル基としては、好ましくは、炭素数7〜30の置換または無置換のアリールオキシカルボニル基、例えば、フェノキシカルボニル基、o−クロロフェノキシカルボニル基、m−ニトロフェノキシカルボニル基、p−t−ブチルフェノキシカルボニル基を挙げることができる。
アルコキシカルボニル基としては、好ましくは、炭素数2〜30の置換または無置換アルコキシカルボニル基、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、n−オクタデシルオキシカルボニル基を挙げることができる。
カルバモイル基としては、好ましくは、炭素数1〜30の置換または無置換のカルバモイル、例えば、カルバモイル基、N−メチルカルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル基、N−(メチルスルホニル)カルバモイル基を挙げることができる。
シリル基としては、好ましくは、炭素数3〜30の置換または無置換のシリル基、例えば、トリメチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、フェニルジメチルシリル基を挙げることができる。
一般式(V)および(VIII)中、 nおよびn’は、各々独立に、1〜6の範囲の整数であり、好ましくは1〜3の範囲の整数であり、より好ましくは1または2である。n、n’が2以上の整数であるとき、複数存在する一般式(I)で表される置換基、一般式(VII)で表される置換基は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
一般式(V)で表される化合物は、好ましくは下記一般式(VI)で表される化合物であり、一般式(VIII)で表される化合物は、好ましくは下記一般式(XI)で表される化合物である。
Figure 2008221841
一般式(VI)および(XI)中、R6およびR6'は、各々独立に、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基(アニリノ基を含む)、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキルおよびアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキルもしくはアリールスルフィニル基、アルキルもしくはアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリールもしくはヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基、またはホウ素基である。
一般式(VI)および(XI)中のR6およびR6'としての各置換基の詳細を以下に説明する。
ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を挙げることができる。
アルキル基は、直鎖、分岐、環状の置換または無置換のアルキル基を表す。アルキル基は、好ましくは炭素数1〜30のアルキル基(例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、t−ブチル基、n−オクチル基、エイコシル基、2−クロロエチル基、2−シアノエチル基、2―エチルヘキシル基)、シクロアルキル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換または無置換のシクロアルキル基、例えば、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、4−n−ドデシルシクロヘキシル基、炭素数5〜30の置換または無置換のビシクロアルキル基、つまり、炭素数5〜30のビシクロアルカンから水素原子を一個取り去った一価、例えば、ビシクロ[1,2,2]ヘプタン−2−イル、ビシクロ[2,2,2]オクタン−3−イルであることができる。
アルケニル基は、直鎖、分岐、環状の置換または無置換のアルケニル基である。アルケニル基は、好ましくは炭素数2〜30の置換または無置換のアルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基、プレニル基、ゲラニル基、オレイル基)、シクロアルケニル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換または無置換のシクロアルケニル基、つまり、炭素数3〜30のシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基、例えば、2−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イル、置換または無置換のビシクロアルケニル基、好ましくは、炭素数5〜30の置換または無置換のビシクロアルケニル基、つまり二重結合を一個持つビシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価、例えば、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−1−イル、ビシクロ[2,2,2]オクト−2−エン−4−イル)であることができる。
アルキニル基は、好ましくは、炭素数2〜30の置換または無置換のアルキニル基、例えば、エチニル基、プロパルギル基、トリメチルシリルエチニル基であることができる。
アリール基は、好ましくは炭素数6〜30の置換または無置換のアリール基、例えばフェニル基、p−トリル基、ナフチル基、m−クロロフェニル基、o−ヘキサデカノイルアミノフェニル基であることができる。
ヘテロ環基は、好ましくは5または6員の置換または無置換の、芳香族性もしくは非芳香族性のヘテロ環化合物から一個の水素原子を取り除いた一価の基であり、更に好ましくは、炭素数3〜30の5もしくは6員の芳香族のヘテロ環基、例えば、2−フリル基、2−チエニル基、2−ピリミジニル基、2−ベンゾチアゾリル基であることができる。
アルコキシ基は、好ましくは、炭素数1〜30の置換または無置換のアルコキシ基、例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、t−ブトキシ基、n−オクチルオキシ基、2−メトキシエトキシ基であることができる。
アリールオキシ基は、好ましくは、炭素数6〜30の置換または無置換のアリールオキシ基、例えば、フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、4−t−ブチルフェノキシ基、3−ニトロフェノキシ基、2−テトラデカノイルアミノフェノキシ基であることができる。
シリルオキシ基は、好ましくは、炭素数3〜20のシリルオキシ基、例えば、トリメチルシリルオキシ基、t−ブチルジメチルシリルオキシ基であることができる。
ヘテロ環オキシ基は、好ましくは、炭素数2〜30の置換または無置換のヘテロ環オキシ基、例えば1−フェニルテトラゾール−5−オキシ基、2−テトラヒドロピラニルオキシ基であることができる。
アシルオキシ基は、好ましくはホルミルオキシ基、炭素数2〜30の置換または無置換のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数6〜30の置換または無置換のアリールカルボニルオキシ基、例えば、ホルミルオキシ基、アセチルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ステアロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、p−メトキシフェニルカルボニルオキシ基であることができる。
カルバモイルオキシ基は、好ましくは、炭素数1〜30の置換または無置換のカルバモイルオキシ基、例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ基、N,N−ジエチルカルバモイルオキシ基、モルホリノカルボニルオキシ基、N,N−ジ−n−オクチルアミノカルボニルオキシ基、N−n−オクチルカルバモイルオキシ基であることができる。
アルコキシカルボニルオキシ基は、好ましくは、炭素数2〜30の置換または無置換アルコキシカルボニルオキシ基、例えばメトキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボニルオキシ基、t−ブトキシカルボニルオキシ基、n−オクチルカルボニルオキシ基である。
アリールオキシカルボニルオキシ基は、好ましくは、炭素数7〜30の置換または無置換のアリールオキシカルボニルオキシ基、例えば、フェノキシカルボニルオキシ基、p−メトキシフェノキシカルボニルオキシ基、p−n−ヘキサデシルオキシフェノキシカルボニルオキシ基である。
アミノ基は、好ましくは、アミノ基、炭素数1〜30の置換または無置換のアルキルアミノ基、炭素数6〜30の置換または無置換のアニリノ基、例えば、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、アニリノ基、N−メチル−アニリノ基、ジフェニルアミノ基である。
アシルアミノ基は、好ましくは、ホルミルアミノ基、炭素数1〜30の置換または無置換のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数6〜30の置換または無置換のアリールカルボニルアミノ基、例えば、ホルミルアミノ基、アセチルアミノ基、ピバロイルアミノ基、ラウロイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、3,4,5−トリ−n−オクチルオキシフェニルカルボニルアミノ基である。
アミノカルボニルアミノ基は、好ましくは、炭素数1〜30の置換または無置換のアミノカルボニルアミノ基、例えば、カルバモイルアミノ基、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ基、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ基、モルホリノカルボニルアミノ基である。
アルコキシカルボニルアミノ基は、好ましくは炭素数2〜30の置換または無置換アルコキシカルボニルアミノ基、例えば、メトキシカルボニルアミノ基、エトキシカルボニルアミノ基、t−ブトキシカルボニルアミノ基、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ基、N−メチルーメトキシカルボニルアミノ基である。
アリールオキシカルボニルアミノ基は、好ましくは、炭素数7〜30の置換または無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基、例えば、フェノキシカルボニルアミノ基、p−クロロフェノキシカルボニルアミノ基、m−(n−オクチルオキシ)フェノキシカルボニルアミノ基である。
スルファモイルアミノ基は、好ましくは、炭素数0〜30の置換または無置換のスルファモイルアミノ基、例えば、スルファモイルアミノ基、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ基、N−n−オクチルアミノスルホニルアミノ基である。
アルキルおよびアリールスルホニルアミノ基は、好ましくは炭素数1〜30の置換または無置換のアルキルスルホニルアミノ基、炭素数6〜30の置換または無置換のアリールスルホニルアミノ基、例えば、メチルスルホニルアミノ基、ブチルスルホニルアミノ基、フェニルスルホニルアミノ基、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ基、p−メチルフェニルスルホニルアミノ基である。
アルキルチオ基は、好ましくは、炭素数1〜30の置換または無置換のアルキルチオ基、例えばメチルチオ基、エチルチオ基、n−ヘキサデシルチオ基である。
アリールチオ基は、好ましくは炭素数6〜30の置換または無置換のアリールチオ基、例えば、フェニルチオ基、p−クロロフェニルチオ基、m−メトキシフェニルチオ基である。
ヘテロ環チオ基は、好ましくは炭素数2〜30の置換または無置換のヘテロ環チオ基、例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ基、1−フェニルテトラゾール−5−イルチオ基である。
スルファモイル基は、好ましくは炭素数0〜30の置換または無置換のスルファモイル基、例えば、N−エチルスルファモイル基、N−(3−ドデシルオキシプロピル)スルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基、N−アセチルスルファモイル基、N−ベンゾイルスルファモイル基、N−(N’−フェニルカルバモイル)スルファモイル基である。
アルキルおよびアリールスルフィニル基は、好ましくは、炭素数1〜30の置換または無置換のアルキルスルフィニル基、炭素数6〜30の置換または無置換のアリールスルフィニル基、例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、p−メチルフェニルスルフィニル基である。
アルキルおよびアリールスルホニル基は、好ましくは、炭素数1〜30の置換または無置換のアルキルスルホニル基、炭素数6〜30の置換または無置換のアリールスルホニル基、例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、フェニルスルホニル基、p−メチルフェニルスルホニル基である。
アシル基は、好ましくはホルミル基、炭素数2〜30の置換または無置換のアルキルカルボニル基、炭素数7〜30の置換または無置換のアリールカルボニル基、炭素数4〜30の置換または無置換の炭素原子でカルボニル基と結合しているヘテロ環カルボニル基、例えば、アセチル基、ピバロイル基、2−クロロアセチル基、ステアロイル基、ベンゾイル基、p−n−オクチルオキシフェニルカルボニル基、2−ピリジルカルボニル基、2−フリルカルボニル基である。
アリールオキシカルボニル基は、好ましくは、炭素数7〜30の置換または無置換のアリールオキシカルボニル基、例えば、フェノキシカルボニル基、o−クロロフェノキシカルボニル基、m−ニトロフェノキシカルボニル基、p−t−ブチルフェノキシカルボニル基である。
アルコキシカルボニル基は、好ましくは、炭素数2〜30の置換または無置換アルコキシカルボニル基、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、n−オクタデシルオキシカルボニル基である。
カルバモイル基は、好ましくは、炭素数1〜30の置換または無置換のカルバモイル基、例えば、カルバモイル基、N−メチルカルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル基、N−(メチルスルホニル)カルバモイル基である。
アリールおよびヘテロ環アゾ基は、好ましくは炭素数6〜30の置換または無置換のアリールアゾ基、炭素数3〜30の置換または無置換のヘテロ環アゾ基、例えば、フェニルアゾ基、p−クロロフェニルアゾ基、5−エチルチオ−1,3,4−チアジアゾール−2−イルアゾ基である。
イミド基は、好ましくは、N−スクシンイミド基、N−フタルイミド基である。
ホスフィノ基は、好ましくは、炭素数2〜30の置換または無置換のホスフィノ基、例えば、ジメチルホスフィノ基、ジフェニルホスフィノ基、メチルフェノキシホスフィノ基である。
ホスフィニル基は、好ましくは、炭素数2〜30の置換または無置換のホスフィニル基、例えば、ホスフィニル基、ジオクチルオキシホスフィニル基、ジエトキシホスフィニル基である。
ホスフィニルオキシ基は、好ましくは、炭素数2〜30の置換または無置換のホスフィニルオキシ基、例えば、ジフェノキシホスフィニルオキシ基、ジオクチルオキシホスフィニルオキシ基である。
ホスフィニルアミノ基は、好ましくは、炭素数2〜30の置換または無置換のホスフィニルアミノ基、例えば、ジメトキシホスフィニルアミノ基、ジメチルアミノホスフィニルアミノ基である。
シリル基は、好ましくは、炭素数3〜30の置換または無置換のシリル基、例えば、トリメチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、フェニルジメチルシリル基である。
ホウ素基は、好ましくはボロン酸、ピナコールボラン、カテコールボランを表わす。
上記の官能基の中で、水素原子を有するものは、これを取り去り更に上記の基で置換されていても良い。そのような官能基の例としては、アルキルカルボニルアミノスルホニル基、アリールカルボニルアミノスルホニル基、アルキルスルホニルアミノカルボニル基、アリールスルホニルアミノカルボニル基が挙げられる。その例としては、メチルスルホニルアミノカルボニル基、p−メチルフェニルスルホニルアミノカルボニル基、アセチルアミノスルホニル基、ベンゾイルアミノスルホニル基が挙げられる。
一般式(VI)および(XI)中、m+n1およびm’+n1’は、各々独立に、1〜6の範囲の整数であり、mおよびm’は、各々独立に、0〜5の範囲の整数であり、好ましくは0〜3、より好ましくは0〜2の範囲の整数である。m、m’が2以上の整数であるとき、複数存在するR6、R6'は、同一でも異なっていてもよい。またn1およびn1’は、各々独立に、1〜6の範囲の整数であり、好ましくは1〜3、より好ましくは1〜2の範囲の整数である。n1、n1’が2以上の整数であるとき、複数存在する一般式(I)で表される置換基、一般式(VII)で表される置換基は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
前記置換基が熱分解により発生する気体は、置換基の種類によって異なる。例えば、前記置換基がカルバメート基である場合は、以下のように熱分解により二酸化炭素とC2R4ガスが発生する(Y. Brusco, R. M. Dominguez, A. Rotinov, A. Herize, M. Cordova, G.Chuchani, J.Phys. Org. Chem. 2002, 15, 796-800.、A. Herize, R. M. Dominguez, A. Rotinov, O. Nunez, G.Chuchani, J.Phys. Org. Chem. 1999, 12, 201-206.、特開平7−188234号公報参照)。
Figure 2008221841
[上記において、Rは水素原子または置換基である。]
また、前記置換基を有する化合物は溶解性が高いため製造適性に優れるという利点も有する。更に、感度向上のためには、前記化合物として熱分解性が良好な化合物を使用することが好ましい。熱分解性の指標としては、熱分解温度を用いることができる。態様Aでは、前記化合物として熱分解温度が、例えば150〜250℃、好ましくは160〜240℃、更に好ましくは170〜230℃のものを用いることが好ましい。なお、本発明における熱分解温度は、TG/DTA測定によって求められる値をいうものとする。具体的には、例えばSeiko Instruments Inc.製EXSTAR6000を用い、N2気流下(流量200ml/min)、30℃〜550℃の範囲において10℃/minで昇温を行い、質量減少率が10%に達した時点の温度として熱分解温度を求めることができる。
以下に、熱分解により気体を発生する置換基を有する化合物の具体例を示す。ただし、本発明は下記具体例に限定されるものではない。
Figure 2008221841
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A-38
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例示化合物A-1、A-2、A-10、A-12、A-17、A-20、A-25、A-36〜A-43、A-45、A-48、A-49について、下記方法で熱分解温度を測定した。結果を表1に示す。
熱分解温度の測定
Seiko Instruments Inc.製EXSTAR6000を用い、N2気流下(流量200ml/min)、30℃〜550℃の範囲において10℃/minで昇温を行い、質量減少率が10%に達した時点の温度として熱分解温度を求めた。
Figure 2008221841
Figure 2008221841
以上説明した熱分解により気体を発生する置換基を有する化合物は、公知の方法で合成することができ、また市販品として入手可能なものもある。
記録層において、熱分解により気体を発生する化合物は単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。記録層における前記化合物の使用量は、記録層用色素に対して通常、0.1〜50質量%の範囲であり、好ましくは0.5〜45質量%の範囲、更に好ましくは3〜40質量%の範囲、特に好ましくは5〜25質量%の範囲である。
態様Aの光情報記録媒体に対してレーザー光を照射することにより、記録用色素と熱分解により気体を発生する置換基を有する化合物を含む記録層に情報を記録することができる。光情報記録媒体に対する情報の記録は、記録層のレーザー光を照射された部分がその光学的特性を変えることによって行われる。光学的特性の変化は、記録層のレーザー光が照射された部分がその光を吸収して局所的に温度上昇し、物理的または化学的変化(例えばピットの生成)を生じることによってもたらされると考えられる。記録層に記録された情報の読み取り(再生)は、例えば記録用のレーザー光と同様の波長のレーザー光を照射することにより、記録層の光学的特性が変化した部位(記録部位)と変化しない部位(未記録部位)との反射率等の光学的特性の違いを検出することにより行うことができる。本発明では、情報の記録は、好ましくは、レーザー光照射により前記化合物が有する置換基が熱分解し、それにより発生した気体によりピット内に空隙が形成されることによって行われる。より好ましくは、記録用色素がレーザー光を吸収することによって発熱し、それにより生じた熱によって前記置換基が分解して気体を発生する。このように前記化合物が記録層において空隙形成剤として機能することにより、レーザー光照射により空隙が形成された部分とレーザー光未照射部との間に大きな屈折率差を生じさせることができ、記録特性を高めることができる。
態様B
態様Bの光情報記録媒体は、一般式(iii)で表される色素残基と一般式(ii)または(xiii)で表される置換基が結合した一般式(i)で表される化合物を、記録層用色素として含有する。
Figure 2008221841
以下に、一般式(i)で表される化合物について説明する。
一般式(I)中、Aは、水素原子または置換基を表す。
Aで表される置換基は、ハロゲン原子、アルキル基(シクロアルキル基を含む)、アルケニル基(シクロアルケニル基を含む)、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ、アミノ基(アニリノ基を含む)、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキル及びアリールスルフィニル基、アルキル及びアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリール及びヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基が例として挙げられる。
以下に、Aとしての各置換基の詳細を説明する。
ハロゲン原子の具体例としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を挙げることができる。
アルキル基としては、直鎖、分岐、環状の置換もしくは無置換のアルキル基、具体的には、アルキル基(好ましくは炭素数1〜30のアルキル基、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、t−ブチル基、n−オクチル基、エイコシル基、2−クロロエチル基、2−シアノエチル基、2―エチルヘキシル基)、シクロアルキル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換または無置換のシクロアルキル基、例えば、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、4−n−ドデシルシクロヘキシル基)などが包含される。なお、シクロアルキル基には、ビシクロアルキル基(好ましくは、炭素数5〜30の置換もしくは無置換のビシクロアルキル基、つまり、炭素数5〜30のビシクロアルカンから水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[1,2,2]ヘプタン−2−イル、ビシクロ[2,2,2]オクタン−3−イル)、更に環構造が多いトリシクロ構造なども包含するものである。以下に説明するアルキル基(例えばアルキルチオ基のアルキル基)もこのような概念のアルキル基を表す。
アルケニル基は、直鎖、分岐、環状の置換もしくは無置換のアルケニル基であることができる。それらは、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜30の置換または無置換のアルケニル基、例えば、ビニル基、アリル基、プレニル基、ゲラニル基、オレイル基)、シクロアルケニル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換もしくは無置換のシクロアルケニル基、つまり、炭素数3〜30のシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、2−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イル)等が包含される。なお、シクロアルケニル基には、ビシクロアルケニル基(置換もしくは無置換のビシクロアルケニル基、好ましくは、炭素数5〜30の置換もしくは無置換のビシクロアルケニル基、つまり二重結合を一個持つビシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−1−イル、ビシクロ[2,2,2]オクト−2−エン−4−イル)を包含するものである。
アルキニル基は、好ましくは、炭素数2〜30の置換または無置換のアルキニル基、例えば、エチニル基、プロパルギル基、トリメチルシリルエチニル基である。
アリール基は、好ましくは炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリール基、例えばフェニル基、p−トリル基、ナフチル基、m−クロロフェニル基、o−ヘキサデカノイルアミノフェニル基である。
ヘテロ環基は、好ましくは5または6員の置換もしくは無置換の、芳香族性もしくは非芳香族性のヘテロ環化合物から一個の水素原子を取り除いた一価の基であり、更に好ましくは、炭素数3〜30の5もしくは6員の芳香族性のヘテロ環基である。具体例としては、2−フリル基、2−チエニル基、2−ピリミジニル基、2−ベンゾチアゾリル基を挙げることができる。
アルコキシ基は、好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルコキシ基、例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、t−ブトキシ基、n−オクチルオキシ基、2−メトキシエトキシ基である。
アリールオキシ基は、好ましくは、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシ基、例えば、フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、4−t−ブチルフェノキシ基、3−ニトロフェノキシ基、2−テトラデカノイルアミノフェノキシ基である。
シリルオキシ基は、好ましくは、炭素数3〜20のシリルオキシ基、例えば、トリメチルシリルオキシ基、t−ブチルジメチルシリルオキシ基である。
ヘテロ環オキシ基は、好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のヘテロ環オキシ基、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ基、2−テトラヒドロピラニルオキシ基である。
アシルオキシ基は、好ましくはホルミルオキシ基、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルオキシ基、例えば、ホルミルオキシ基、アセチルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ステアロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、p−メトキシフェニルカルボニルオキシ基である。
カルバモイルオキシ基は、好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のカルバモイルオキシ基、例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ基、N,N−ジエチルカルバモイルオキシ基、モルホリノカルボニルオキシ基、N,N−ジ−n−オクチルアミノカルボニルオキシ基、N−n−オクチルカルバモイルオキシ基である。
アルコキシカルボニルオキシ基は、好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルオキシ基、例えばメトキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボニルオキシ基、t−ブトキシカルボニルオキシ基、n−オクチルカルボニルオキシ基である。
アリールオキシカルボニルオキシ基は、好ましくは、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルオキシ基、例えば、フェノキシカルボニルオキシ基、p−メトキシフェノキシカルボニルオキシ基、p−n−ヘキサデシルオキシフェノキシカルボニルオキシ基である。
アミノ基は、好ましくは、アミノ基、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルアミノ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアニリノ基、例えば、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、アニリノ基、N−メチル−アニリノ基、ジフェニルアミノ基である。
アシルアミノ基は、好ましくは、ホルミルアミノ基、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルアミノ基、例えば、ホルミルアミノ基、アセチルアミノ基、ピバロイルアミノ基、ラウロイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、3,4,5−トリ−n−オクチルオキシフェニルカルボニルアミノ基である。
アミノカルボニルアミノ基は、好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアミノカルボニルアミノ基、例えば、カルバモイルアミノ基、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ基、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ基、モルホリノカルボニルアミノ基である。
アルコキシカルボニルアミノ基は、好ましくは炭素数2〜30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルアミノ基、例えば、メトキシカルボニルアミノ基、エトキシカルボニルアミノ基、t−ブトキシカルボニルアミノ基、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ基、N−メチルーメトキシカルボニルアミノ基である。
アリールオキシカルボニルアミノ基は、好ましくは、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基、例えば、フェノキシカルボニルアミノ基、p−クロロフェノキシカルボニルアミノ基、m−(n−オクチルオキシ)フェノキシカルボニルアミノである。
スルファモイルアミノ基は、好ましくは、炭素数0〜30の置換もしくは無置換のスルファモイルアミノ基、例えば、スルファモイルアミノ基、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ基、N−n−オクチルアミノスルホニルアミノ基である。
アルキルおよびアリールスルホニルアミノ基は、好ましくは炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルスルホニルアミノ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールスルホニルアミノ基、例えば、メチルスルホニルアミノ基、ブチルスルホニルアミノ基、フェニルスルホニルアミノ基、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ基、p−メチルフェニルスルホニルアミノ基である。
アルキルチオ基は、好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルチオ基、例えばメチルチオ基、エチルチオ基、n−ヘキサデシルチオ基である。
アリールチオ基は、好ましくは炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールチオ基、例えば、フェニルチオ基、p−クロロフェニルチオ基、m−メトキシフェニルチオ基である。
ヘテロ環チオ基は、好ましくは炭素数2〜30の置換または無置換のヘテロ環チオ基、例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ基、1−フェニルテトラゾール−5−イルチオ基である。
スルファモイル基は、好ましくは炭素数0〜30の置換もしくは無置換のスルファモイル基、例えば、N−エチルスルファモイル基、N−(3−ドデシルオキシプロピル)スルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基、N−アセチルスルファモイル基、N−ベンゾイルスルファモイル基、N−(N‘−フェニルカルバモイル)スルファモイル基である。
アルキルおよびアリールスルフィニル基は、好ましくは、炭素数1〜30の置換または無置換のアルキルスルフィニル基、6〜30の置換または無置換のアリールスルフィニル基、例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、p−メチルフェニルスルフィニル基である。
アルキルおよびアリールスルホニル基は、好ましくは、炭素数1〜30の置換または無置換のアルキルスルホニル基、炭素数6〜30の置換または無置換のアリールスルホニル基、例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、フェニルスルホニル基、p−メチルフェニルスルホニル基である。
アシル基は、好ましくはホルミル基、炭素数2〜30の置換または無置換のアルキルカルボニル基、炭素数7から30の置換もしくは無置換のアリールカルボニル基、炭素数4〜30の置換もしくは無置換の炭素原子でカルボニル基と結合しているヘテロ環カルボニル基、例えば、アセチル基、ピバロイル基、2−クロロアセチル基、ステアロイル基、ベンゾイル基、p−n−オクチルオキシフェニルカルボニル基、2−ピリジルカルボニル基、2−フリルカルボニル基である。
アリールオキシカルボニル基は、好ましくは、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基、例えば、フェノキシカルボニル基、o−クロロフェノキシカルボニル基、m−ニトロフェノキシカルボニル基、p−t−ブチルフェノキシカルボニル基である。
アルコキシカルボニル基は、好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニル基、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、n−オクタデシルオキシカルボニル基である。
カルバモイル基は、好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のカルバモイル基、例えば、カルバモイル基、N−メチルカルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル基、N−(メチルスルホニル)カルバモイル基である。
アリールおよびヘテロ環アゾ基は、好ましくは炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールアゾ基、炭素数3〜30の置換もしくは無置換のヘテロ環アゾ基、例えば、フェニルアゾ基、p−クロロフェニルアゾ基、5−エチルチオ−1,3,4−チアジアゾール−2−イルアゾ基である。
イミド基は、好ましくは、N−スクシンイミド基、N−フタルイミド基である。
ホスフィノ基は、好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィノ基、例えば、ジメチルホスフィノ基、ジフェニルホスフィノ基、メチルフェノキシホスフィノ基である。
ホスフィニル基は、好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィニル基、例えば、ホスフィニル基、ジオクチルオキシホスフィニル基、ジエトキシホスフィニル基である。
ホスフィニルオキシ基は、好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィニルオキシ基、例えば、ジフェノキシホスフィニルオキシ基、ジオクチルオキシホスフィニルオキシ基である。
ホスフィニルアミノ基は、好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィニルアミノ基、例えば、ジメトキシホスフィニルアミノ基、ジメチルアミノホスフィニルアミノ基である。
シリル基は、好ましくは、炭素数3〜30の置換もしくは無置換のシリル基、例えば、トリメチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、フェニルジメチルシリル基を表わす。
上記の官能基の中で、水素原子を有するものは、これを取り去り更に上記の基で置換されていても良い。そのような官能基の例としては、アルキルカルボニルアミノスルホニル基、アリールカルボニルアミノスルホニル基、アルキルスルホニルアミノカルボニル基、アリールスルホニルアミノカルボニル基が挙げられる。その例としては、メチルスルホニルアミノカルボニル基、p−メチルフェニルスルホニルアミノカルボニル基、アセチルアミノスルホニル基、ベンゾイルアミノスルホニル基が挙げられる。
一般式(i)中、B1、B2、B3およびB4は、各々独立に、両端の2つの炭素原子とともに芳香環を形成する原子群を表す。形成される芳香環としては、以下の芳香環が挙げられる。
Figure 2008221841
より好ましくは、
Figure 2008221841
であり、更に好ましくは、
Figure 2008221841
である。なお、上記において、*は両端の炭素原子との結合位置を表す。
Mは、2つの水素原子、2〜4価の金属原子、金属酸化物、配位子を有する金属原子または配位子を有する金属酸化物を表す。
前記金属原子としては、銅、ニッケル、鉄、コバルト、パラジウム、マグネシウム、アルミニウム、亜鉛、鉄、バナジウムまたはケイ素からなる群から選択される金属原子が好ましい。
また、前記金属酸化物としては、前記金属原子のいずれか少なくとも1つを含む酸化物が好ましい。
前記配位子としては、例えば、ハロゲン原子、炭素数6〜30のアリール基、5員または6員のヘテロ環基、シアノ基、水酸基等を挙げることができる。
中でも、Mは、銅、亜鉛、マグネシウム、バナジウム、ニッケル、パラジウムであることが好ましく、更に銅、亜鉛、マグネシウムであることが好ましい。
一般式(i)中、Cは(L-(D)l)またはEを表し、好ましくは(L-(D)l)を表す。
Lは、2価の連結基を表す。2価の連結基としては、アルキレン基(シクロアルキレン基を含む)、アルケニレン基(シクロアルケニレン基を含む)、アルキニレン基、アリーレン基、へテロ環連結基(ヘテロアリーレン基を含む)、カルボニル連結基(−C=O−)、チオカルボニル連結基(−C=S−)、酸素原子連結基(−O−)、窒素原子連結基(−NA1−、ここでA1の定義は一般式(I)のAと同様である)、硫黄原子連結基(−S−)、シリレン基(−SiA2A3−、ここでA2、A3の定義は、それぞれ一般式(I)のAと同様であり、互いに環を形成してもよい)、およびこれらの組み合わせからなる連結基などが挙げられる。なお、本発明において、シクロアルキレン基には、ビシクロアルキニレン基、更に環構造が多いトリシクロ構造なども包含するものであり、シクロアルケニレン基には、ビシクロアルケニレン基、更に環構造が多いトリシクロ構造なども包含するものである。
更に詳しくは、Lは、先にAについて説明した一価の置換基から水素原子を一個取り去った二価の基である。Lは、好ましくは、アリール基、ヘテロ環基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基などの会合を促進する(平面性の高い)一価の置換基から水素原子を一個取り去った二価の基であり、もっとも好ましくは、ヘテロ環基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基から水素原子を一個取り去った二価の基である。
一般式(i)中、DおよびEは、各々独立に、下記一般式(ii)または(xiii)で表される一価の置換基を表す。
Figure 2008221841
一般式(ii)および(xiii)中、R11およびR11'は、各々独立に、第二級アルキル基または第三級アルキル基を表す。第二級アルキル基には、直鎖、分岐、環状の置換または無置換のアルキル基、具体的には、アルキル基(好ましくは炭素数3〜30のアルキル基、例えばイソプロピル基、2−ブチル基、2−ペンチル基、3−ペンチル基、2−ヘキシル基)、シクロアルキル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換または無置換のシクロアルキル基、例えば、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、メンチル基)などが包含される。なおシクロアルキル基にはビシクロアルキル基(好ましくは、炭素数5〜30の置換もしくは無置換のビシクロアルキル基、つまり、炭素数5〜30のビシクロアルカンから水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[1,2,2]ヘプタン−2−イル、ビシクロ[2,2,2]オクタン−3−イル)、更に環構造が多いトリシクロ構造なども包含するものである。R1は好ましくは炭素原子数3〜30のアルキル基またはシクロアルキル基であり、より好ましくは炭素原子数3〜20の分岐アルキル基である。第三級アルキル基には、分岐、環状の置換または無置換のアルキル基、具体的には、アルキル基(好ましくは炭素数4〜30のアルキル基、例えばt−ブチル基、t−アミル基、2,3−ジメチル−2−ブチル基、2−メチル−2−ペンチル基、3−メチル−3−ペンチル基、3−エチル−3−ペンチル基、2,3−ジメチル−3−ペンチル基、3−エチル−2,2−ジメチル−3−ペンチル基、2−メチル−2−ヘキシル基)、シクロアルキル基(好ましくは、炭素数4〜30の置換または無置換のシクロアルキル基、例えば、1−メチルシクロヘキシル基、1−アダマンチル基、2−メチル−2アダマンチル基)などが包含される。R11およびR11'は、好ましくは炭素原子数3〜30のアルキル基またはシクロアルキル基であり、より好ましくは炭素原子数3〜20の分岐アルキル基である。
一般式(ii)において、X1は硫黄原子、酸素原子、NR12、またはCR13R14を表す。R12、R13およびR14は、各々独立に、水素原子または一価の置換基である。R12、R13およびR14の詳細は、前述の一般式(I)中のR2、R3およびR4と同様である。R12、R13およびR14は、好ましくは水素原子または置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のフェニル基、置換もしくは無置換のヘテロ環基であり、より好ましくは水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、または置換もしくは無置換のフェニル基である。一般式(ii)中、X1はNR12であることが好ましい。
一般式(ii)および(xiii)中、Y1およびY1'は、各々独立に、酸素原子または硫黄原子を表し、Z1およびZ1'は、各々独立に、NR12、酸素原子または硫黄原子を表す。一般式(ii)中、Y1およびZ1がいずれも酸素原子であることが好ましい。また、一般式(xiii)中、Y1'およびZ1'がいずれも酸素原子であることが好ましい。
一般式(ii)で表される置換基の好ましい態様は、一般式(ii)中、Y1およびZ1がいずれも酸素原子である態様、即ち下記一般式(iv)で表される一価の置換基である。
Figure 2008221841
一般式(iv)中、R11およびX1は、それぞれ一般式(ii)におけるR11、X1と同様である。
一般式(ii)で表される置換基の更に好ましい態様は、一般式(ii)中、Y1およびZ1がいずれも酸素原子であり、R11がt-ブチル基である態様、即ち下記一般式(v)で表される一価の置換基である。
Figure 2008221841
一般式(v)中、X1は、一般式(i)におけるX1と同様である。
一般式(ii)で表される置換基は、より一層好ましくは、一般式(v)中のX1がNR12または酸素原子である下記置換基(a)、(b)である。また、一般式(xiii)で表される置換基は、好ましくは一般式(xiii)中のY1'およびZ1'が酸素原子である置換基であり、更に好ましくはR11'がt-ブチル基である下記置換基(c)である。
Figure 2008221841
一般式(i)中、mは0〜15の範囲の整数を表し、nは1〜16の範囲の整数を表し、但し、m+n=16である。mが2以上の整数であるとき複数存在するAはそれぞれ同じでも異なっていてもよく、nが2以上の整数であるとき複数存在するCはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。mは、好ましくは0〜12、より好ましくは0〜4の範囲の整数である。nは、好ましくは1〜8、より好ましくは1〜4の範囲の整数である。lは1〜10の整数を表す。lは、好ましくは1〜4、より好ましくは1〜2の範囲の整数である。
一般式(ii)および(xiii)で表される置換基は、熱分解により気体を発生することができる。発生する気体は、置換基の種類によって異なる。例えば、前記置換基がカルバメート基である場合は、以下のように熱分解により二酸化炭素とC2R4ガスが発生する(Y. Brusco, R. M. Dominguez, A. Rotinov, A. Herize, M. Cordova, G.Chuchani, J.Phys. Org. Chem. 2002, 15, 796-800.、A. Herize, R. M. Dominguez, A. Rotinov, O. Nunez, G.Chuchani, J.Phys. Org. Chem. ,1999, 12, 201-206.、特開平7−188234号公報参照)。
Figure 2008221841
[上記において、Rは水素原子または置換基である。]
さらにエステル基の熱分解挙動についても以下のように分解しC2R4ガスが発生することが知られている(N.A. Al-Awadi, R. F. Al-Bashir, O. M. E. ElDusouqui, Tetrahedron Lett., 1989, 30, 1699-1702.)。
Figure 2008221841
[上記において、Gは置換基である。]
また、例えば、第二級エステル基の熱分解挙動についてはイソプロピルエステル基が以下のように分解しプロピレンガスが発生することが知られている(N.A. Al-Awadi, R. F. Al-Bashir, O. M. E. ElDusouqui, Tetrahedron Lett., 1989, 30, 1699-1702.)。
Figure 2008221841
[上記において、Gは置換基である。]
一般式(i)で表される化合物は、一般式(iii)で表される色素残基が情報を記録するために照射されたレーザー光を吸収して発熱し、その熱により一般式(ii)または(xiii)で表される置換基が気体を発生することが好ましい。これによりピット内に空隙を形成することができる。
また、一般式(i)で表される化合物は、一般式(ii)または(xiii)で表される置換基の導入により溶解性が向上し、製造適性に優れるという利点も有する。
なお、一般式(iii)で表される色素残基に会合を促進するような連結基を導入すると光堅牢性が向上することが一般に知られている(L.Howe, J. Z. Zhang, J.Phys.Chem. A, 1997, 101, 3207-3213(以下、「文献A」という参照)。文献Aには、同一の水溶性フタロシアニン色素が会合強度が高い水中と会合強度が低い有機溶媒中において、水中における励起状態の寿命が有機溶媒中の寿命と比べて1/7から1/10にもなることが記載されている。すなわち会合強度が高いと励起エネルギーが効率よく緩和され光堅牢性悪化の原因となる一重項酸素を発生しないことが予想される。しかし会合を促進するような平面性の高い連結基を導入すると溶解性が悪化すると考えられる。それに対し、本発明者らの検討の結果、一般式(i)で表される化合物において、Cが連結基Lを有する(L-(D)l)である場合であっても、特定の置換基Dを導入することにより、溶解性・光堅牢性・記録性能を両立できることが見出された。
更に、感度向上のためには、前記化合物として熱分解性が良好な化合物を使用することが好ましい。熱分解性の指標としては、熱分解温度を用いることができる。本発明では、前記化合物として熱分解温度が、例えば150〜400℃、好ましくは160〜400℃、更に好ましくは170〜380℃のものを用いることが好ましい。中でも、一般式(ii)中のR11が第三級アルキル基である化合物および一般式(xiii)中のR11'が第三級アルキル基である化合物としては、熱分解温度が、好ましくは150〜250℃、より好ましくは160〜240℃、更に好ましくは170〜230℃のものを用いることができる。一方、一般式(ii)中のR11が第二級アルキル基である化合物および一般式(xiii)中のR11'が第二級アルキル基である化合物としては、熱分解温度が、好ましくは300〜400℃、好ましくは320〜400℃、更に好ましくは330〜380℃のものを用いることができる。なお、本発明における熱分解温度は、TG/DTA測定によって求められる値をいうものとする。具体的には、例えばSeiko Instruments Inc.製EXSTAR6000を用い、N2気流下(流量200ml/min)、30℃〜550℃の範囲において10℃/minで昇温を行い、質量減少率が10%に達した時点の温度として熱分解温度を求めることができる。
一般式(i)で表される化合物は、好ましくは下記一般式(vii)、(viii)で表される。
Figure 2008221841
Figure 2008221841
一般式(i)で表される化合物は、より好ましくは下記一般式(ix)、(x)で表される。
Figure 2008221841
Figure 2008221841
上記一般式(ix)で表される化合物は、さらに好ましくは下記一般式(xi)、(xii)で表される。
Figure 2008221841
Figure 2008221841
一般式(vii)〜(xii)中、R11、R11'、R12、X1、Y1、Z1、Y1'、Z1'、L、A、M、n、m、lの詳細は先に一般式(i)について述べた通りである。また、R11、R11'が第三級アルキル基である場合はt−ブチル基であることが更に好ましい。
一般式(i)中、一般式(iii)で表される色素残基がフタロシアニン色素残基である場合、−(C)nで表される部分の置換位置は、フタロシアニン環のβ位であることが好ましい。フタロシアニン環のβ位とは、一般にフタロシアニン環を形成する部分構造であるベンゾピロール環においてピロール環に遠い側の置換位置を指し、具体的には下記フタロシアニン一般構造においてRβ1〜Rα8が置換している位置である。なお下記一般構造においてRα1〜Rα8、Rβ1〜Rβ8の互いに隣接するものは環を形成しても良いが、Rα1〜Rα8、Rβ1〜Rβ8はすべて環を形成していないものであることが好ましい。
Figure 2008221841
[上記において、Rα1〜Rα8、Rβ1〜Rβ8は、それぞれ独立に水素原子または置換基であり、それらの好ましい例は下記表2に示す。]
一般式(i)で表される化合物は任意の位置で結合して多量体を形成していてもよく、この場合の各単位は互いに同一でも異なっていてもよく、またポリスチレン、ポリメタクリレート、ポリビニルアルコール、セルロース等のポリマー鎖に結合していてもよい。
更に、一般式(i)で表される化合物は、特定の誘導体単独で使用してもよく、また構造の異なったものを複数種混合して用いてもよい。特に記録層の結晶化を防ぐ目的で、置換基の置換位置が異なる異性体の混合物を使用することが好ましい。
以下に、一般式(i)で表される化合物の好ましい具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
下記表2において、例えばRα1/Rα2という表記はRα1またはRα2のいずれか一方という意味を表しており、従ってこの表記のある化合物は置換位置異性体の混合物である。また無置換の場合、即ち水素原子が置換している場合は表記を省略している。
Figure 2008221841
Figure 2008221841
Figure 2008221841
Figure 2008221841
Figure 2008221841
Figure 2008221841
以上説明した一般式(i)で表される化合物は、公知の方法(例えば白井−小林共著、(株)アイピーシー発行「フタロシアニン−化学と機能−」(P.1〜62)、C.C.Leznoff−A.B.P.Lever共著、VCH発行‘Phthalocyanines−Properties and Applications’(P.1〜54)等に記載、引用もしくはこれらに類似の方法)で合成することができ、また市販品として入手可能なものもある。
記録層には、記録層用色素として一般式(i)で表される色素を単独または二種以上組み合わせて使用することができる。更に、一般式(i)で表される色素以外の色素を併用することもできる。併用可能な色素としては、アゾ色素、アゾ金属色素、オキソノール色素、シアニン色素、メロシアニン色素などが挙げられ、好ましいくはアゾ色素、アゾ金属色素、オキソノール色素より好ましくはアゾ金属色素、オキソノール色素である。
記録層用色素の使用量は、記録層の全質量に対して、例えば1〜100質量%の範囲であり、好ましくは50〜100質量%、より好ましくは75〜100質量%の範囲である。記録層用色素として一般式(i)で表される化合物と他の色素を併用する場合、色素全量に対する一般式(i)で表される化合物の割合が、1質量%以上であることが好ましく、10〜100質量%であることが更に好ましく、50〜100質量%であることが特に好ましい。
態様Bの光情報記録媒体に対してレーザー光を照射することにより、一般式(i)で表される化合物を含む記録層に情報を記録することができる。光情報記録媒体に対する情報の記録は、記録層のレーザー光を照射された部分がその光学的特性を変えることによって行われる。光学的特性の変化は、記録層のレーザー光が照射された部分がその光を吸収して局所的に温度上昇し、物理的または化学的変化(例えばピットの生成)を生じることによってもたらされると考えられる。記録層に記録された情報の読み取り(再生)は、例えば記録用のレーザー光と同様の波長のレーザー光を照射することにより、記録層の光学的特性が変化した部位(記録部位)と変化しない部位(未記録部位)との反射率等の光学的特性の違いを検出することにより行うことができる。前述のように、本発明では、情報の記録は、好ましくは、レーザー光照射により前記化合物が有する一般式(ii)または(xiii)で表される置換基が熱分解し、それにより発生した気体によりピット内に空隙が形成されることによって行われる。より好ましくは、一般式(iii)で表される色素残基がレーザー光を吸収することによって発熱し、それにより生じた熱によって一般式(ii)または(xiii)で表される置換基が分解して気体を発生する。これにより記録層中に空隙が形成され、レーザー光照射により空隙が形成された部分とレーザー光未照射部との間に大きな屈折率差を生じさせることができ、記録特性を高めることができると考えられる。
次に、態様Aおよび態様Bに共通する点について説明する。
記録層には、記録層の耐光性を向上させるために種々の褪色防止剤を含有させることができる。褪色防止剤としては、有機酸化剤や一重項酸素クエンチャーを挙げることができる。褪色防止剤として用いられる有機酸化剤としては、特開平10−151861号公報に記載されている化合物が好ましい。一重項酸素クエンチャーとしては、既に公知の特許明細書等の刊行物に記載のものを利用することができる。その具体例としては、特開昭58−175693号、同59−81194号、同60−18387号、同60−19586号、同60−19587号、同60−35054号、同60−36190号、同60−36191号、同60−44554号、同60−44555号、同60−44389号、同60−44390号、同60−54892号、同60−47069号、同63−209995号、特開平4−25492号、特公平1−38680号、および同6−26028号等の各公報、ドイツ特許350399号明細書、そして日本化学会誌1992年10月号第1141頁などに記載のものを挙げることができる。好ましい一重項酸素クエンチャーの例としては、下記の一般式(A)で表される化合物を挙げることができる。
Figure 2008221841
一般式(A)中、R21は置換基を有していてもよいアルキル基を表し、Q-はアニオンを表す。
一般式(A)において、R21は置換されていてもよい炭素数1〜8のアルキル基であり、無置換の炭素数1〜6のアルキル基が好ましい。アルキル基の置換基としては、ハロゲン原子(例、F,Cl)、アルコキシ基(例、メトキシ基、エトキシ基)、アルキルチオ基(例、メチルチオ基、エチルチオ基)、アシル基(例、アセチル基、プロピオニル基)、アシルオキシ基(例、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基)、ヒドロキシ基、アルコキシカルボニル基(例、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基)、アルケニル基(例、ビニル基)、アリール基(例、フェニル基、ナフチル基)を挙げることができる。これらの中で、ハロゲン原子、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルコキシカルボニル基が好ましい。Q-のアニオンの好ましい例としては、ClO4 -、AsF6 -、BF4 -、およびSbF6 -を挙げることができる。
一般式(A)で表される化合物例(化合物番号A−1〜A−8)を下記表3に示す。
Figure 2008221841
前記一重項酸素クエンチャーなどの褪色防止剤の使用量は、色素量に対して、通常0.1〜50質量%の範囲であり、好ましくは、0.5〜45質量%の範囲、更に好ましくは、3〜40質量%の範囲、特に好ましくは5〜25質量%の範囲である。
本発明の光情報記録媒体は、少なくとも一般式(I)で表される化合物を含む記録層を基板上に有するものであり、更に、前記記録層に加えて光反射層、保護層などを有することもできる。
本発明に用いられる基板としては、従来の光情報記録媒体の基板材料として用いられている各種の材料を任意に選択して使用することができる。
具体的には、ガラス;ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂;ポリ塩化ビニル、塩化ビニル共重合体等の塩化ビニル系樹脂;エポキシ樹脂;アモルファスポリオレフィン;ポリエステル;アルミニウム等の金属;等を挙げることができ、所望によりこれらを併用してもよい。
前記材料の中では、耐湿性、寸法安定性および低価格等の点から、アモルファスポリオレフィン、ポリカーボネート等の熱可塑性樹脂が好ましく、ポリカーボネートが特に好ましい。これらの樹脂を用いた場合、射出成型を用いて基板を作製することができる。
また、基板の厚さは、一般に0.7〜2mmの範囲であり、0.9〜1.6mmの範囲であることが好ましく、1.0〜1.3mmとすることがより好ましい。
なお、後述する光反射層が設けられる側の基板表面には、平面性の改善、接着力の向上の目的で、下塗層を形成することもできる。
前記基板の記録層が形成される面には、通常、トラッキング用の案内溝またはアドレス信号等の情報を表す凹凸(プリグルーブ)が形成されている。本発明の光情報記録媒体は、より高い記録密度を達成するためにCD−RやDVD−Rに比べてより狭いトラックピッチを形成した基板を用いることが好ましい。トラックピッチの好ましい範囲等の詳細は後述する。
本発明の光情報記録媒体の好ましい態様としては、下記態様(1)および(2)を挙げることができる。
態様(1):厚さ0.7〜2mmの基板上に、色素を含有する追記型記録層と、厚さ0.01〜0.5mmのカバー層とを基板側から順に有する光情報記録媒体
態様(2):厚さ0.1〜1.0mmの基板上に、色素を含有する追記型記録層と、厚さ0.1〜1.0mmの保護基板とを基板側から順に有する光情報記録媒体
態様(1)においては、基板に形成されるプリグルーブのトラックピッチが50〜500nm、溝幅が25〜250nm、溝深さが5〜150nmであることが好ましく、態様(2)においては、基板に形成されるプリグルーブのトラックピッチが200〜600nm、溝幅が50〜300nm、溝深さが30〜150nmであり、ウォブル振幅が5〜50nmであることが好ましい。
[態様(1)の光情報記録媒体]
態様(1)の光情報記録媒体は、少なくとも、基板と、追記型記録層と、カバー層とを有する態様である。態様(1)の光情報記録媒体の具体例を、図1に示す。図1に示す第1光情報記録媒体10Aは、第1基板12上に、第1光反射層18と、第1追記型記録層14と、バリア層20と、第1中間層(接着層または粘着層)22と、カバー層16とをこの順に有する。
以下に、これらを構成する材料について順次説明する。
基板
態様(1)の基板には、トラックピッチ、溝幅(半値幅)、溝深さ、およびウォブル振幅のいずれもが下記の範囲である形状を有するプリグルーブ(案内溝)が形成されている。このプリグルーブは、CD−RやDVD−Rに比べてより高い記録密度を達成するために設けられたものであり、例えば、本発明の光情報記録媒体を、青紫色レーザーに対応する媒体として使用する場合に好適である。
プリグルーブのトラックピッチは、50〜500nmの範囲であり、上限値は420nm以下であることが好ましく、370nm以下であることがより好ましく、330nm以下であることが更に好ましい。また、下限値は、100nm以上であることが好ましく、200nm以上であることがより好ましく、260nm以上であることが更に好ましい。トラックピッチが50nm以上であれば、プリグルーブを正確に形成することができる上に、クロストークの発生を回避することができ、500nm以下であれば、高密度記録を行うことができる。
プリグルーブの溝幅(半値幅)は、25〜250nmの範囲であり、上限値は240nm以下であることが好ましく、230nm以下であることがより好ましく、220nm以下であることが更に好ましい。また、下限値は、50nm以上であることが好ましく、80nm以上であることがより好ましく、100nm以上であることが更に好ましい。プリグルーブの溝幅が25nm以上であれば、成型時に溝を十分に転写することができ、さらに記録時のエラーレート上昇を抑制することができ、250nm以下であれば、同じく成型時に溝を十分に転写することができ、更に記録時に形成されるピットの広がりによりクロストークが発生することを回避することができる。
プリグルーブの溝深さは、5〜150nmの範囲であり、上限値は85nm以下であることが好ましく、80nm以下であることがより好ましく、75nm以下であることが更に好ましい。また、下限値は、10nm以上であることが好ましく、20nm以上であることがより好ましく、28nm以上であることが更に好ましい。プリグルーブの溝深さが5nm以上であれば十分な記録変調度を得ることができ、150nm以下であれば、高い反射率を得ることができる。
また、プリグルーブの溝傾斜角度は、上限値が80°以下であることが好ましく、75°以下であることがより好ましく、70°以下であることが更に好ましく、65°以下であることが特に好ましい。また、下限値は、20°以上であることが好ましく、30°以上であることがより好ましく、40°以上であることが更に好ましい。
プリグルーブの溝傾斜角度が20°以上であれば、十分なトラッキングエラー信号振幅を得ることができ、80°以下であれば成型性が良好である。
追記型記録層
態様(1)の追記型記録層は、色素を、結合剤等と共にまたは結合剤を用いないで適当な溶剤に溶解して塗布液を調製し、次いで、この塗布液を基板上または後述する光反射層上に塗布して塗膜を形成した後、乾燥することにより形成することができる。ここで、追記型記録層は、単層でも重層でもよく、重層構造の場合、塗布液を塗布する工程が複数回行なわれることになる。
塗布液中の色素の濃度は、一般に0.01〜15質量%の範囲であり、好ましくは0.1〜10質量%の範囲、より好ましくは0.5〜5質量%の範囲、最も好ましくは0.5〜3質量%の範囲である。
塗布液の調製に用いる溶剤としては、例えば、酢酸ブチル、乳酸エチル、セロソルブアセテート等のエステル;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン等のケトン;ジクロルメタン、1,2−ジクロルエタン、クロロホルム等の塩素化炭化水素;ジメチルホルムアミド等のアミド;メチルシクロヘキサン等の炭化水素;テトラヒドロフラン、エチルエーテル、ジオキサン等のエーテル;エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノールジアセトンアルコール等のアルコール;2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール等のフッ素系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類;等を挙げることができる。
溶剤は使用する色素の溶解性を考慮して単独で、あるいは二種以上を組み合わせて使用することができる。塗布液中には、さらに、結合剤、酸化防止剤、UV吸収剤、可塑剤、潤滑剤等各種の添加剤を目的に応じて添加してもよい。
塗布方法としては、スプレー法、スピンコート法、ディップ法、ロールコート法、ブレードコート法、ドクターロール法、スクリーン印刷法等を挙げることができる。
塗布の際、塗布液の温度は23〜50℃の範囲であることが好ましく、24〜40℃の範囲であることがより好ましく、中でも、23〜38℃の範囲であることが特に好ましい。
追記型記録層の厚さは、ランド(前記基板において凸部)上で、300nm以下であることが好ましく、250nm以下であることがより好ましく、200nm以下であることが更に好ましく、180nm以下であることが特に好ましい。下限値としては1nm以上であることが好ましく、3nm以上であることがより好ましく、5nm以上であることが特に好ましい。
また、追記型記録層の厚さは、グルーブ上(前記基板において凹部)で、400nm以下であることが好ましく、300nm以下であることがより好ましく、250nm以下であることが更に好ましい。下限値としては、10nm以上であることが好ましく、15nm以上であることがより好ましく、20nm以上であることが更に好ましい。
更に、ランド上の追記型記録層の厚さ/グルーブ上の追記型記録層の厚さの比は、0.1以上であることが好ましく、0.13以上であることがより好ましく、0.15以上であることが更に好ましく、0.17以上であることが特に好ましい。上限値としては、1未満であることが好ましく、0.9以下であることがより好ましく、0.85以下であることが更に好ましく、0.8以下であることが特に好ましい。
また、追記型記録層には、追記型記録層の耐光性をさらに向上させるために、種々の褪色防止剤を含有させることができる。褪色防止剤としては一般的に一重項酸素クエンチャーが用いられる。一重項酸素クエンチャーについては、前述の通りである。
カバー層
態様(1)のカバー層は、通常、上述した追記型記録層上に、または図1に示すようにバリア層上に、接着剤や粘着材を介して貼り合わされる。
カバー層としては、透明な材質のフィルムであれば、特に限定されないが、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂;ポリ塩化ビニル、塩化ビニル共重合体等の塩化ビニル系樹脂;エポキシ樹脂;アモルファスポリオレフィン;ポリエステル;三酢酸セルロース等を使用することが好ましく、中でも、ポリカーボネートまたは三酢酸セルロースを使用することがより好ましい。
なお、「透明」とは、記録および再生に用いられる光に対して、透過率80%以上であることを意味する。
また、カバー層は、本発明の効果を妨げない範囲において、種々の添加剤が含有されていてもよい。例えば、波長400nm以下の光をカットするためのUV吸収剤および/または500nm以上の光をカットするための色素が含有されていてもよい。
更に、カバー層の表面物性としては、表面粗さが2次元粗さパラメータおよび3次元粗さパラメータのいずれも5nm以下であることが好ましい。
また、記録および再生に用いられる光の集光度の観点から、カバー層の複屈折は10nm以下であることが好ましい。
カバー層の厚さは、記録および再生のために照射されるレーザー光の波長やNAにより、適宜、規定することができるが、本発明においては、0.01〜0.5mmの範囲内であることが好ましく、0.05〜0.12mmの範囲であることがより好ましい。
また、カバー層と、接着剤または粘着剤からなる層と、を合わせた総厚は、0.09〜0.11mmであることが好ましく、0.095〜0.105mmであることがより好ましい。
なお、カバー層の光入射面には、光情報記録媒体の製造時に、光入射面が傷つくことを防止するための保護層(図1に示す態様ではハードコート層44)が設けられていてもよい。
カバー層と追記型記録層またはバリア層を貼り合わせるために、両層の間に中間層として接着層または粘着層を設けることができる。
接着層に使用される接着剤としては、UV硬化樹脂、EB硬化樹脂、熱硬化樹脂等を使用することが好ましく、特にUV硬化樹脂等の紫外線硬化型組成物を使用することが好ましい。
紫外線硬化型組成物としては、常温〜40℃において、液状であるものを用いることが好ましい。溶媒は用いないことが好ましく、用いたとしても極力少量に留めることが好ましい。紫外線硬化型組成物としては、スピンコート法による塗布適性の点からは、温度25℃における粘度が20〜1000mPa・sのものが好ましく、粘度が30〜700mPa・sのものがより好ましく、粘度が40〜500mPa・sのものが更に好ましい。
また、作製される光情報記録媒体の反りを防止するため、接着層を構成するUV硬化樹脂としては硬化収縮率の小さいものを使用することが好ましい。このようなUV硬化樹脂としては、市販のものでは例えば、大日本インキ化学工業(株)製の「SD−661」等のUV硬化樹脂を挙げることができる。また、光ラジカル重合性モノマーにウレタン(メタ)アクリレート系マクロモノマーや増粘剤と光重合開始剤を添加したUV硬化樹脂を用いてもよい。
前記光ラジカル重合性モノマーとしては例えば、(メタ)アクリレート類、(メタ)アクリルアミド類、芳香族ビニル類、などが挙げられる。なお、本発明において、「アクリレート」、「メタクリレート」の双方或いはいずれかを指す場合「(メタ)アクリレート」と、「アクリル」、「メタクリル」の双方或いはいずれかを指す場合「(メタ)アクリル」と、それぞれ記載することがある。
前記(メタ)アクリレート類としては、単官能(メタ)アクリレート類であってもよいし、多官能(メタ)アクリレート類であってもよい。
前記単官能(メタ)アクリレート類としては、例えば、ヘキシル基(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、tert−オクチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、4−n−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−エチヘキシルジグリコール(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−クロロエチル(メタ)アクリレート、4−ブロモブチル(メタ)アクリレート、シアノエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ブトシキメチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、アルコキシメチル(メタ)アクリレート、アルコキシエチル(メタ)アクリレート、2−(2−メトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−(2−ブトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2,2,2−テトラフルオロエチル(メタ)アクリレート、1H,1H,2H,2Hパーフルオロデシル(メタ)アクリレート、4−ブチルフェニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、2,4,5−テトラメチルフェニル(メタ)アクリレート、4−クロロフェニル(メタ)アクリレート、フェノキシメチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジロキシブチル(メタ)アクリレート、グリシジロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジロキシプロピル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、トリメトキシシリルプロピル(メタ)アクリレート、トリメチルシリルプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレンオキシドモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、オリゴエチレンオキシドモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレンオキシド(メタ)アクリレート、オリゴエチレンオキシド(メタ)アクリレート、オリゴエチレンオキシドモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレンオキシドモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレンオキシドモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート、オリゴプロピレンオキシドモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート、2−メタクリロイロキシチルコハク酸、2−メタクリロイロキシヘキサヒドロフタル酸、2−メタクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、ブトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、トリフロロエチル(メタ)アクリレート、パーフロロオクチルエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、EO変性フェノール(メタ)アクリレート、EO変性クレゾール(メタ)アクリレート、EO変性ノニルフェノール(メタ)アクリレート、PO変性ノニルフェノール(メタ)アクリレート、EO変性−2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、などが挙げられる。
前記多官能(メタ)アクリレートとしては、二官能、三官能、四官能、五官能、六官能のものなどが挙げられる。
前記二官能の(メタ)アクリレートとしては、例えば、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、2,4−ジメチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、ブチルエチルプロパンジオール(メタ)アクリレート、エトキシ化シクロヘキサンメタノールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングルコールジ(メタ)アクリレート、オリゴエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2−エチル−2−ブチル−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFポリエトキシジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、オリゴプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、2−エチル−2−ブチルプロパンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、などが挙げられる。
前記三官能の(メタ)アクリレートとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンのアルキレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ((メタ)アクリロイルオキシプロピル)エーテル、イソシアヌル酸アルキレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリ((メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ヒドロキシピバルアルデヒド変性ジメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ソルビトールトリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化グリセリントリアクリレート、などが挙げられる。
前記四官能の(メタ)アクリレートとしては、例えば、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ソルビトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、プロピオン酸ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、などが挙げられる。
前記五官能の(メタ)アクリレートとしては、例えば、ソルビトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、などが挙げられる。
前記六官能の(メタ)アクリレートとしては、例えば、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ソルビトールヘキサ(メタ)アクリレート、フォスファゼンのアルキレンオキサイド変性ヘキサ(メタ)アクリレート、カプトラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、などが挙げられる。
前記(メタ)アクリルアミド類としては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−n−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルフォリン、などが挙げられる。
前記芳香族ビニル類としては、例えば、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、クロルメチルスチレン、メトキシスチレン、アセトキシスチレン、クロルスチレン、ジクロルスチレン、ブロムスチレン、ビニル安息香酸メチルエステル、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、3−エチルスチレン、4−エチルスチレン、3−プロピルスチレン、4−プロピルスチレン、3−ブチルスチレン、4−ブチルスチレン、3−ヘキシルスチレン、4−ヘキシルスチレン、3―オクチルスチレン、4−オクチルスチレン、3−(2−エチルヘキシル)スチレン、4−(2−エチルヘキシル)スチレン、アリルスチレン、イソプロペニルスチレン、ブテニルスチレン、オクテニルスチレン、4−t−ブトキシカルボニルスチレン、4−メトキシスチレン、4−t−ブトキシスチレン、などが挙げられる。
前記光ラジカル重合性モノマーとしては、更に、ビニルエステル類(酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニルなど)、アリルエステル類(酢酸アリルなど)、ハロゲン含有単量体(塩化ビニリデン、塩化ビニルなど)、ビニルエーテル(メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、メトキシビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、クロロエチルビニルエーテルなど]、シアン化ビニル[(メタ)アクリロニトリルなど]、オレフィン類(エチレン、プロピレンなど)、なども使用することができる。
これらの中でも、硬化収縮、硬化速度、硬化後の物性などの点で、(メタ)アクリレート類が好ましく、例えばブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、デシルアクリレート、ドデシルアクリレート、ドデシルメタクリレート、ポリエチレンオキシドモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、オリゴエチレンオキシドモノメチルエーテルアクリレート、オリゴエチレンオキシドモノアルキルエーテルアクリレート、ポリエチレンオキシドモノアルキルエーテルアクリレート、ポリプロピレンオキシドモノアルキルエーテルアクリレート、オリゴプロピレンオキシドモノアルキルエーテルアクリレート、EO変性フェノールアクリレート、EO変性ノニルフェノールアクリレート、PO変性ノニルフェノールアクリレート、EO変性−2−エチルヘキシルアクリレート、ビスフェノールA1モルに4モル以上のエチレンオキサイド若しくはプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジアクリレート、トリメチロールプロパン1モルに3モル以上のエチレンオキサイド若しくはプロピレンオキサイドを付加して得たトリオールのジまたはトリ)アクリレート、ペンタエリスリトール1モルに4モル以上のエチレンオキサイド若しくはプロピレンオキサイドを付加して得たトリまたはテトラアクリレートを用いることが特に好ましい。
前記ウレタン(メタ)アクリレート系マクロモノマーは、ポリオール化合物、ポリイソシアネート化合物および水酸基含有(メタ)アクリレート化合物を反応させることにより得ることができる。または市販品としても入手可能である。市販品としては、ダイセルサイテック社製ウレタンアクリレートEBECRYL−230、EBECRYL−270、KRM8296、EBECRYL−8803など、日本合成化学社製ウレタンアクリレートUV−3000B、UV−3200B、UV−3700B、UV−3310B、UV−6100Bなど、サートマー社製ウレタンアクリレートCN962、CN964、CN965、CN980、CN972など、親中村化学工業社製NKオリゴU−108A、NKオリゴU−200AX、UA−511、U−412A、UA−4100、UA−4200、UA−4400、UA−340P、U−108、UA−4000など、第一工業製薬社製オリゴマーR−1204、R−1213、R−1303など、日本化薬社製ウレタンアクリレートUX−2201、UX−2301、UX−3204、UX−3301、UX−0937など、根上工業社製アートレジンUN−9200A、アートレジンUN−7600、アートレジンUN−7700、アートレジンUN−333、アートレジンUN−5500などが挙げられるが本発明はこれらに限定されるものではない。
また、粘度調整のために、増粘剤として、質量平均分子量1万以上のポリマーを用いることができる。少量の添加で所望の粘度とするためには、より高分子量のポリマー、すなわち質量平均分子量10万以上のポリマーが好ましく、質量平均分子量100万以上のポリマーを用いるとさらに好ましい。前記ウレタン(メタ)アクリレートの粘度によっては増粘剤を用いても用いなくてもよい。
前記紫外線硬化型組成物中の併用する重合性化合物の含有量は、紫外線硬化型組成物100質量部あたり90〜20質量部とすることが好ましく、85〜25質量部とすることがより好ましく、80〜30質量部とすることが更に好ましい。
前記光重合開始剤は、用いる重合性モノマーおよび/または重合性オリゴマーに代表される紫外線硬化性化合物が硬化できるものであればよく、特に限定されるものではない。光重合開始剤としては、分子開裂型または水素引き抜き型のものが本発明に好適である。
光重合開始剤としては、ベンゾインイソブチルエーテル、2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、ベンジル、2、2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド等が好適であり、更にこれら以外の分子開裂型のものとして、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾイルエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オンおよび2−メチル−4'−(メチルチオ)−2−モルホリノプロピオフェノン等を併用してもよいし、更に水素引き抜き型光重合開始剤である、ベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、イソフタロフェノン、4−ベンゾイル−4′−メチル−ジフェニルスルフイド等も併用できる。
好ましくは2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2、2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−4'−(メチルチオ)−2−モルホリノプロピオフェノン、4−フェニルベンゾフェノンであり、より好ましくは2−イソプロピルチオキサントン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−4'−(メチルチオ)−2−モルホリノプロピオフェノン、4−フェニルベンゾフェノンである。
また上記光重合開始剤に対し、増感剤として、例えば、トリエチルアミン、メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、p−ジエチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、N,N−ジメチルベンジルアミンおよび4,4'−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等の、前述重合性成分と付加重合反応を起こさないアミン類を併用することもできる。勿論、上記光重合開始剤や増感剤は、硬化型成分への溶解性に優れ、紫外線透過性を阻害しないものを選択して用いることが好ましい。
また、紫外線硬化型組成物には、必要であれば、さらにその他の添加剤として、熱重合禁止剤、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、ホスファイト等に代表される酸化防止剤、可塑剤およびエポキシシラン、メルカプトシラン、(メタ)アクリルシラン等に代表されるシランカップリング剤等を、各種特性を改良する目的で配合することもできる。これらは、硬化型成分への溶解性に優れたもの、紫外線透過性を阻害しないものを選択して用いることが好ましい。
前記紫外線硬化型組成物中の光重合開始剤、増感剤および各種添加剤の使用量は適宜設定することができる。
中間層形成のために使用される紫外線硬化型組成物の詳細は、前述の通りである。中間層の形成方法は特に限定されないが、バリア層の表面(被貼り合わせ面)上に、紫外線硬化型組成物を所定量塗布し、その上にカバー層を載置した後、スピンコートにより接着剤を、被貼り合わせ面とカバー層との間に均一になるように広げた後、カバー層側から紫外線を照射して硬化処理を施すことにより中間層を形成することができる。または、バリア層の表面に紫外線硬化型組成物を所定量塗布した後、塗布面に紫外線を照射し硬化処理を施し、次いでその上にカバー層形成のための紫外線硬化型組成物を塗布し紫外線照射し硬化処理を施すことによりカバー層を形成することもできる。
上記いずれの方法においても、中間層硬化のために照射される紫外線の照射量は、200mJ/cm2超とすることが好ましい。より好ましくは200〜2000mJ/cm2の範囲である。硬化に使用するUVランプとしては、例えばメタルハライドランプM02−L31(アイグラフィックス社製、コールドミラー付き、ランプ出力120W/cm)やXenon Corporation社製4.2inch-SPIRAL LAMP等を用いることができる。紫外線照射時のランプ面とサンプル面との間の距離は適宜設定することが好ましい。
紫外線硬化型組成物が塗布された媒体をUV照射位置へ移動させる(例えばスピンテーブルからUV照射テーブルへの移動させる)ためには、媒体の外周部分または内周部分で基板を保持して持ち上げて移動させることが望ましい。吸着などの方法で上から媒体を支持して持ち上げると、紫外線硬化型組成物が未硬化であるために媒体が変形したり、中間層に気泡が混入したりして、中間層の膜厚変動や欠陥の原因となる可能性がある。外周部を支持して移動する場合においては、支持部材を定期的に清掃することが好ましい。外周部はスピン時に振切られた未硬化の紫外線硬化型組成物が外周縁部に付着していることがあり、支持部材に付着することがある。繰り返し同じ支持部材で媒体を移動する時に、支持部材から媒体へと付着して欠陥を生じる可能性がある。
また、UV照射位置(例えばUV照射テーブル上)では、媒体を支持する部位として、基板(媒体)の内周部、外周部または中周部などの中から一つの部位、或いは複数の部位を支持することができる。プレート状の支持部材で全面を均一に支持してもよい。複数の部位を支持する場合には、各々の部位の支持高さを変更することができる。これは、例えば内周のみを支持した場合に、支持されていない媒体外周部が自重で下に垂れ、その形状で硬化されることで、硬化後の媒体の反りが生じる場合に、外周部も支持して垂れを抑制することで硬化後の反りを抑制するような場合であり、各支持部材の高さを調整して硬化後の媒体形状を調整する効果が期待できる。
接着層の厚さは、0.1〜100μmの範囲であることが好ましく、より好ましくは0.5〜50μmの範囲、更に好ましくは1〜30μmの範囲である。
前記紫外線硬化型組成物は、硬化後にも高い透過率を有し得る。BD構成の光情報記録媒体への情報の記録はカバー層側から行われるため、カバー層と記録層との間に位置する中間層の透過率が高いことは、記録特性向上の観点から好ましい。前記紫外線硬化型組成物によれば、後述する実施例記載の方法で測定される値として、例えば100〜80%の透過率を有する中間層を形成することができる。
粘着層に使用される粘着剤としては、例えば、アクリル系、ゴム系、シリコン系の粘着剤を使用することができる。透明性、耐久性の観点から、アクリル系の粘着剤が好ましい。アクリル系粘着剤としては、2−エチルヘキシルアクリレート、n−ブチルアクリレートなどを主成分とし、凝集力を向上させるために、短鎖のアルキルアクリレートやメタクリレート、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタクリレートと、架橋剤との架橋点となり得るアクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド誘導体、マレイン酸、ヒドロキシルエチルアクリレート、グリシジルアクリレートなどとを共重合したものを用いることが好ましい。主成分、短鎖成分および架橋点を付加するための成分との混合比率およびそれら成分の種類を、適宜調節することにより、ガラス転移温度(Tg)や架橋密度を変えることができる。
前記粘着剤と併用し得る架橋剤としては、例えば、イソシアネート系架橋剤が挙げられる。イソシアネート系架橋剤としては、例えば、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、o−トルイジンイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート等のイソシアネート類、また、これらのイソシアネート類とポリアルコールとの生成物、また、イソシアネート類の縮合によって生成したポリイソシアネート類を使用することができる。これらのイソシアネート類の市販されている商品としては、日本ポリウレタン社製のコロネートL、コロネートHL、コロネート2030、コロネート2031、ミリオネートMR、ミリオネートHTL;武田薬品工業社製のタケネートD−102、タケネートD−110N、タケネートD−200、タケネートD−202;住友バイエル社製のデスモジュールL、デスモジュールIL、デスモジュールN、デスモジュールHL;等を挙げることができる。
粘着層の形成方法は特に限定されないが、バリア層または追記型記録層の表面(被貼り合わせ面)上に、粘着剤を所定量均一に塗布し、その上にカバー層を載置した後、硬化させてもよいし、予め、カバー層の片面に、所定量の粘着剤を均一に塗布して粘着剤塗膜を形成しておき、該塗膜を被貼り合わせ面に貼り合わせ、その後、硬化させてもよい。
また、カバー層に、予め、粘着層が設けられた市販の粘着フィルムを用いてもよい。
粘着層の厚さは、0.1〜100μmの範囲であることが好ましく、より好ましくは0.5〜50μmの範囲、更に好ましくは10〜30μmの範囲である。
またカバー層は、UV硬化樹脂を利用してスピンコーティング法により形成してもよい。
前述のようにレーザー光照射により記録層内に空隙を形成する場合、通常、レーザー光照射による空隙の形成は記録層の変形を伴うため、記録層の変形が妨げられると空隙が良好に形成されず、これにより記録特性が低下するおそれがある。基板上に、光反射層、記録層、バリア層、粘着層または接着層、およびカバー層をこの順に有する光情報記録媒体では、基板および光反射層は、粘着層、接着層やバリア層に比べて剛性が高い。よって、空隙が形成されると記録層はバリア層を押し上げ、バリア層とカバー層との間に位置する層が適度に柔軟な場合は、該層に凹状の変形を生じさせる。このようにバリア層とカバー層の間に位置する層が容易に変形する場合は記録層における空隙の形成が妨げられることなく、ピットの形成を良好に行うことができる。空隙形成を良好に行うためには、粘着層または接着層が適度な柔軟性を有することが好ましい。具体的には、カバー層とバリア層の間に位置する粘着層または接着層のガラス転移温度(Tg)が25℃以下であることが好ましい。より好ましくは−100〜25℃、更に好ましくは−60〜15℃である。なお、本発明におけるガラス転移温度(Tg)とは損失弾性率のピーク温度のことを表す。
その他の層
態様(1)の光情報記録媒体は、本発明の効果を損なわない範囲においては、上記の必須の層に加え、他の任意の層を有していてもよい。他の任意の層としては、例えば、基板の裏面(追記型記録層が形成された側と逆側の非形成面側)に形成される、所望の画像を有するレーベル層や、基板と追記型記録層との間に設けられる光反射層(詳細は後述する)、追記型記録層とカバー層との間に設けられるバリア層(詳細は後述する)、該光反射層と追記型記録層との間に設けられる界面層などが挙げられる。ここで、前記レーベル層は、紫外線硬化樹脂、熱硬化性樹脂、および熱乾燥樹脂などを用いて形成することができる。
なお、上記した必須および任意の層はいずれも、単層でも、多層構造でもよい。
態様(1)の光情報記録媒体では、レーザ光に対する反射率を高めたり、記録再生特性を改良する機能を付与するために、基板と追記型記録層との間に、光反射層を形成することが好ましい。
光反射層は、レーザー光に対する反射率が高い光反射性物質を、例えば、真空蒸着、スパッタリングまたはイオンプレーティングすることにより基板上に形成することができる。
光反射層の層厚は、一般的には10〜300nmの範囲とし、20〜200nmの範囲とすることが好ましい。
なお、前記反射率は、70%以上であることが好ましい。
反射率が高い光反射性物質としては、Mg、Se、Y、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Re、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Ir、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Si、Ge、Te、Pb、Po、Sn、Bi等の金属および半金属またはステンレス鋼を挙げることができる。これらの光反射性物質は単独で用いてもよいし、あるいは二種以上の組合せで、または合金として用いてもよい。これらのうちで好ましいものは、Cr、Ni、Pt、Cu、Ag、Au、Alおよびステンレス鋼である。特に好ましくは、Au、Ag、Alまたはこれらの合金であり、最も好ましくは、Au、Agまたはこれらの合金である。
バリア層
態様(1)の光情報記録媒体においては、図1に示すように、追記型記録層とカバー層との間にバリア層を形成することが好ましい。
バリア層は、追記型記録層の保存性向上、追記型記録層とカバー層との接着性向上、反射率調整、熱伝導率調整等のために設けることができる。
バリア層に用いられる材料としては、記録および再生に用いられる光を透過する材料であり、上記の機能を発現し得るものであれば、特に制限されるものではないが、例えば、一般的には、ガスや水分の透過性の低い材料、Ag合金などの反射層材料との接触により腐食を生じない材料、湿熱環境での腐食が生じない材料を用いることが好ましく、誘電体であることが更に好ましい。
具体的には、Zn、Si、Ti、Te、Sn、Mo、Ge等の窒化物、酸化物、炭化物、硫化物からなる材料が好ましく、MoO2、GeO2、TeO、SiO2、TiO2、ZuO、SnO2、ZnO−Ga23、Nb25、Ta25が好ましく、SnO2、ZnO−Ga23、SiO2、Nb25、Ta25がより好ましい。
また、バリア層は、真空蒸着、DCスパッタリング、RFスパッタリング、イオンプレーティングなどの真空成膜法により形成することができる。中でも、スパッタリングを用いることがより好ましい。
バリア層の厚さは、1〜200nmの範囲が好ましく、2〜100nmの範囲がより好ましく、3〜50nmの範囲が更に好ましい。
[態様(2)の光情報記録媒体]
態様(2)の光情報記録媒体は、少なくとも、基板と、追記型記録層と、保護基板とを有し、好ましくは貼り合わせ型の光情報記録媒体である。その代表的な層構成は下記の通りである。
(1)第1の層構成は、基板上に、追記型記録層、光反射層、接着層を順次形成し、接着層上に保護基板を設けた構成である。
(2)第2の層構成は、基板上に、追記型記録層、光反射層、保護層、接着層を順次形成し、接着層上に保護基板を設けた構成である。
(3)第3の層構成は、基板上に、追記型記録層、光反射層、保護層、接着層、保護層を順次形成し、該保護層上に保護基板を設けた構成である。
(4)第4の層構成は、基板上に、追記型記録層、光反射層、保護層、接着層、保護層、光反射層を順次形成し、該光反射層上に保護基板を設けた構成である。
(5)第5の層構成は、基板上に、追記型記録層、光反射層、接着層、光反射層を順次形成し、該光反射層上に保護基板を設けた構成である。
なお、上記(1)〜(5)の層構成は単なる例示であり、層構成は上述の順番のみでなく、一部を入れ替えてもよいし、一部を省略してもよい。また、追記型記録層は、保護基板側にも形成されていてもよく、その場合、両面からの記録、再生が可能な光情報記録媒体となる。更に、各層は1層で構成されても複数層で構成されてもよい。
上記のうち、態様(2)の光情報記録媒体として、基板上に、追記型記録層、光反射層、接着層、保護基板を基板側から順に有する構成を例に以下に詳細に説明をする。前記構成を有する光情報記録媒体の具体例を図2に示す。図2に示す第2光情報記録媒体10Bは、第2基板24上に、第2追記型記録層26と、第2光反射層30と、第2接着層32と、保護基板28とをこの順に有する。
基板
態様(2)における基板には、トラックピッチ、溝幅(半値幅)、溝深さ、およびウォブル振幅のいずれもが下記の範囲である形状を有するプリグルーブ(案内溝)が形成されている。このプリグルーブは、CD−RやDVD−Rに比べてより高い記録密度を達成するために設けられたものであり、例えば、本発明の光情報記録媒体を、青紫色レーザーに対応する媒体として使用する場合に好適である。
プリグルーブのトラックピッチは、200〜600nmの範囲であり、上限値は450nm以下であることが好ましく、430nm以下であることが更に好ましい。また、下限値は、300nm以上であることが好ましく、330nm以上であることがより好ましく、370nm以上であることが更に好ましい。トラックピッチが200nm以上であればプリグルーブを正確に形成することができ、更にクロストークの発生を回避することができ、600nm以下であれば、高密度記録を行うことができる。
プリグルーブの溝幅(半値幅)は、50〜300nmの範囲であり、上限値は290nm以下であることが好ましく、280nm以下であることがより好ましく、250nm以下であることが更に好ましい。また、下限値は、100nm以上であることが好ましく、120nm以上であることがより好ましく、140nm以上であることが更に好ましい。プリグルーブの溝幅が50nm以上であれば、成型時に溝を十分に転写することができ、さらに記録時のエラーレート上昇を抑制することができ、300nm以下であれば、記録時に形成されるピットの広がりによりクロストークが発生することを回避することができ、さらに十分な変調度を得ることができる。
プリグルーブの溝深さは、30〜150nmの範囲であり、上限値は140nm以下であることが好ましく、130nm以下であることがより好ましく、120nm以下であることが更に好ましい。また、下限値は、40nm以上であることが好ましく、50nm以上であることがより好ましく、60nm以上であることが更に好ましい。プリグルーブの溝深さが30nm以上であれば、十分な記録変調度を得ることができ、150nm以下であれば、高い反射率を得ることができる。
基板の厚さは、一般に0.1〜1.0mmの範囲であり、0.2〜0.8mmの範囲であることが好ましく、0.3〜0.7mmの範囲であることがより好ましい。
なお、後述する追記型記録層が設けられる側の基板表面には、平面性の改善、接着力の向上の目的で、下塗層を形成することができる。
下塗層の材料としては、例えば、ポリメチルメタクリレート、アクリル酸・メタクリル酸共重合体、スチレン・無水マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、N−メチロールアクリルアミド、スチレン・ビニルトルエン共重合体、クロルスルホン化ポリエチレン、ニトロセルロース、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリオレフィン、ポリエステル、ポリイミド、酢酸ビニル・塩化ビニル共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート等の高分子物質;シランカップリング剤等の表面改質剤;を挙げることができる。
下塗層は、前記材料を適当な溶剤に溶解または分散して塗布液を調製した後、この塗布液をスピンコート、ディップコート、エクストルージョンコート等の塗布法により基板表面に塗布することにより形成することができる。
下塗層の層厚は、一般に0.005〜20μmの範囲にあり、好ましくは0.01〜10μmの範囲である。
追記型記録層
態様(2)における追記型記録層に関する詳細については、態様(1)の追記型記録層と同様である。
光反射層
態様(2)において、レーザー光に対する反射率を高めたり、記録再生特性を改良する機能を付与するために、追記型記録層上に光反射層を形成することができる。態様(2)の光反射層に関する詳細は、態様(1)の光反射層と同様である。
接着層
態様(2)では、前記光反射層と後述の保護基板との密着性を向上させるために、光反射層と保護基板の間に接着層を設けることもできる。
接着層を構成する材料としては、光硬化性樹脂が好ましく、中でもディスクの反りを防止するため、硬化収縮率の小さいものが好ましい。このような光硬化性樹脂としては、例えば、大日本インク社製の「SD−640」、「SD−661」等のUV硬化性樹脂(UV硬化性接着剤)を挙げることができる。
また、接着層の厚さは、弾力性を持たせるため、1〜1000μmの範囲が好ましい。
保護基板
態様(2)における保護基板(ダミー基板)は、上述した基板と同じ材質で、同じ形状のものを使用することができる。保護基板の厚さは、一般に厚さ0.1〜1.0mmの範囲であり、0.2〜0.8mmの範囲であることが好ましく、0.3〜0.7mmの範囲であることがより好ましい。なお、記録層を複数有する記録媒体を作製するにあたっては、保護基板側にもプリグルーブ、追記記録層、反射層などの層を設けておいてもよい。この方式は、インバーススタック方式などと呼ばれる場合もある。保護基板側に形成される記録層については、記録再生波長が、保護基板でない側の基板に設けられた記録層と同一であってもよいし、異なってもよい。具体的には、トラックピッチや溝形状、追記記録層素材、反射層素材、下塗り層素材などの各層の素材が複数の記録層間で同一でもよいし、異なってもよい。
保護層
態様(2)の光情報記録媒体は、その層構成によっては、光反射層や追記型記録層などを物理的および化学的に保護する目的で保護層が設けられることある。
保護層に用いられる材料の例としては、ZnS、ZnS−SiO2、SiO、SiO2、MgF2、SnO2、Si34等の無機物質、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、UV硬化性樹脂等の有機物質を挙げることができる。
保護層は、例えば、プラスチックの押出加工で得られたフィルムを接着剤を介して光反射層上に貼り合わせることにより形成することができる。また、真空蒸着、スパッタリング、塗布等の方法により設けられてもよい。
また、保護層として、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂を用いる場合には、これらを適当な溶剤に溶解して塗布液を調製した後、この塗布液を塗布し、乾燥することによっても形成することができる。UV硬化性樹脂を用いて保護層を形成する場合には、UV硬化性樹脂をそのまままたは適当な溶剤に溶解して塗布液を調製した後、この塗布液を塗布し、UV光を照射して硬化させることによって形成することもできる。これらの塗布液中には、更に帯電防止剤、酸化防止剤、UV吸収剤等の各種添加剤を目的に応じて添加してもよい。
保護層の層厚は、一般には0.1μm〜1mmの範囲にある。
その他の層
態様(2)の光情報記録媒体は、本発明の効果を損なわない範囲においては、上記の層に加え、他の任意の層を有していてもよい。他の任意の層の詳細については、前記態様(1)のその他の層と同様である。
更に、本発明は、基板上に記録層を有する光情報記録媒体に情報を記録する方法に関する。本発明の情報記録方法では、本発明の光情報記録媒体に対してレーザー光を照射することにより、前記記録層へ情報を記録する。
前述の好ましい態様(1)または態様(2)の光情報記録媒体に対する情報の記録は、例えば次のように行われる。
まず、光情報記録媒体を一定の線速度(例えば0.5〜10m/秒)または一定の角速度にて回転させながら、基板側または保護層側から半導体レーザー光などの記録用の光を照射する。この光の照射により、レーザー光照射部分の光学的特性が変化して情報が記録される。図1に示す態様では、カバー層16側から半導体レーザー光等の記録用のレーザー光46を、第一対物レンズ42(例えば開口数NAが0.85)を介して照射する。このレーザー光46の照射により、追記型記録層14がレーザー光46を吸収して局所的に温度上昇し、物理的または化学的変化(例えばピットの生成)が生じてその光学的特性を変えることにより、情報が記録されると考えられる。同様に、図2に示す態様では、第2基板24側から半導体レーザー光等の記録用のレーザー光46を、開口数NAが例えば0.65の第2対物レンズ48を介して照射する。このレーザー光46の照射により、第2追記型記録層26がレーザー光46を吸収して局所的に温度上昇し、物理的または化学的変化(例えばピットの生成)が生じてその光学的特性を変えることにより、情報が記録されると考えられる。
本発明においては、波長440nm以下のレーザー光を照射することにより情報を記録することが好ましい。記録光としては、440nm以下の範囲の発振波長を有する半導体レーザー光が好適に用いられ、好ましい光源としては390〜440(更に好ましくは390〜415nm)の範囲の発振波長を有する青紫色半導体レーザー光、中心発振波長850nmの赤外半導体レーザー光を光導波路素子を使って半分の波長にした中心発振波長425nmの青紫色SHGレーザー光を挙げることができる。特に、記録密度の点で390〜415nmの範囲の発振波長を有する青紫色半導体レーザー光を用いることが好ましい。上記のように記録された情報の再生は、光情報記録媒体を上記と同一の定線速度で回転させながら半導体レーザー光を基板側または保護層側から照射して、その反射光を検出することにより行うことができる。
その他の本発明の情報記録方法の詳細は、先に本発明の光情報記録媒体について説明した通りである。
更に、本発明は、熱分解により気体を発生する置換基を有する化合物を色素含有溶液の添加剤として使用する方法に関する。本発明者らは、熱分解により気体を発生する置換基を有する化合物を色素含有溶液へ添加すると色素の光堅牢性が向上することを新たに見出した。これは、前記化合物が色素含有溶液中で色素の会合を抑制するためであろうと推察される。即ち、前記化合物は色素含有溶液の光堅牢性向上剤として使用することができる。色素含有溶液の具体例としては、光情報記録媒体の記録層形成用塗布液を挙げることができる。前記化合物およびその使用方法の詳細は、先に説明した通りである。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
[合成例1]
Figure 2008221841
化合物1 3.06gをジエチレングリコール3mlと1−メトキシ−2−プロパノール6mlに添加し、酢酸銅(II)0.453g、安息香酸アンモニウムを1.35g添加し140℃で4時間攪拌した。室温まで放冷後アセトニトリルで洗浄し、ろ過して化合物(i−5)2.52gを得た。目的の化合物が得られたことをMSスペクトルにより確認した。
[合成例2]
Figure 2008221841
化合物2 3.06gをジエチレングリコール3mlと1−メトキシ−2−プロパノール6mlに添加し、酢酸銅(II)0.453g、安息香酸アンモニウムを1.35g添加し140℃で4時間攪拌した。室温まで放冷後アセトニトリルで洗浄し、ろ過して化合物(i−6)2.41gを得た。目的の化合物が得られたことをMSスペクトルにより確認した。
[合成例3]
Figure 2008221841
化合物2 1.53gと臭化マグネシウム(II)0.23gにジメチルホルムアミド1.3mlを滴下し、さらにヘキサメチルジシラザン2.1mlを加えて、撹拌しつつ100℃で7時間反応させた。反応終了後放冷しメタノールで濾過して化合物(i-7)0.60gを得た。目的の化合物が得られたことをMSスペクトルにより確認した。
[合成例4]
Figure 2008221841
化合物2 1.96gと臭化亜鉛(II)0.28gにジメチルホルムアミド3.4mlを滴下し、さらにヘキサメチルジシラザン2.1mlを加えて、撹拌しつつ100℃で5時間反応させた。反応終了後放冷しメタノールで濾過して化合物(i-8)1.66gを得た。目的の化合物が得られたことをMSスペクトルにより確認した。
[合成例5]
Figure 2008221841
化合物3 1.60gをジエチレングリコール1.5mlと1−メトキシ−2−プロパノール3mlに添加し、酢酸銅(II)0.227g、安息香酸アンモニウムを0.695g添加し140℃で6時間攪拌した。室温まで放冷後メタノールで洗浄し、ろ過して化合物(i−9)0.4gを得た。目的の化合物が得られたことをMSスペクトルにより確認した。
[合成例6]
Figure 2008221841
化合物4 1.60gをジエチレングリコール1.5mlと1−メトキシ−2−プロパノール3mlに添加し、酢酸銅(II)0.227g、安息香酸アンモニウムを0.695g添加し140℃で6時間攪拌した。室温まで放冷後メタノールで洗浄し、ろ過して化合物(i−10)1.0gを得た。目的の化合物が得られたことをMSスペクトルにより確認した。
[合成例7]
Figure 2008221841
化合物5 1.66gをジエチレングリコール3mlと1−メトキシ−2−プロパノール6mlに添加し、酢酸銅(II)0.227g、安息香酸アンモニウムを0.675g添加し140℃で8時間攪拌した。室温まで放冷後メタノールで洗浄し、ろ過して化合物(i−13)1.45gを得た。目的の化合物が得られたことをMSスペクトルにより確認した。
[合成例8]
Figure 2008221841
化合物5 0.83gと化合物6 0.83gをジエチレングリコール3mlと1−メトキシ−2−プロパノール6mlに添加し、酢酸銅(II)0.227g、安息香酸アンモニウムを0.675g添加し140℃で8時間攪拌した。室温まで放冷後メタノールで洗浄し、ろ過して化合物(i−15)1.27gを得た。目的の化合物が得られたことをMSスペクトルにより確認した。
[合成例9]
Figure 2008221841
化合物5 0.83gと化合物6 0.83gと臭化マグネシウム(II)0.23gにジメチルホルムアミド1.3mlを滴下し、さらにヘキサメチルジシラザン2.1mlを加えて、撹拌しつつ100℃で8時間反応させた。反応終了後放冷しメタノールで濾過して化合物(i-16)1.50gを得た。目的の化合物が得られたことをMSスペクトルにより確認した。
[合成例10]
Figure 2008221841
化合物5 0.43gと化合物6 0.43gと臭化亜鉛(II)0.28gにジメチルホルムアミド1.3mlを滴下し、さらにヘキサメチルジシラザン2.1mlを加えて、撹拌しつつ100℃で8時間反応させた。反応終了後放冷しメタノールで濾過して化合物(i-17)0.68gを得た。目的の化合物が得られたことをMSスペクトルにより確認した。
[参考合成例]
下記表4に示す比較化合物II-1、II-2を以下の方法によって合成した。
Figure 2008221841
1.比較化合物II-1の合成
Figure 2008221841
化合物7 2.92gをジエチレングリコール3mlと1−メトキシ−2−プロパノール6mlに添加し、酢酸銅(II)0.45g、安息香酸アンモニウムを1.39g添加し100℃で4時間攪拌した。室温まで放冷後アセトニトリルで洗浄し、ろ過して化合物(II−1)2.3gを得た。目的の化合物が得られたことをMSスペクトルにより確認した。
2.比較化合物II-2の合成
Figure 2008221841
化合物8 1.00gをジエチレングリコール1mlと1−メトキシ−2−プロパノール2mlに添加し、酢酸銅(II)0.15g、安息香酸アンモニウムを0.45g添加し140℃で6時間攪拌した。室温まで放冷後メタノールで洗浄し、ろ過して化合物(II−2)0,6gを得た。目的の化合物が得られたことをMSスペクトルにより確認した。
[合成例11]
Figure 2008221841
化合物11 0.486gをブタノール5mlに添加し、塩化銅(II)0.070gを添加し、1.8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセン(以下DBUと略す)を0.75ml滴下し80℃で6時間攪拌した。室温まで放冷後メタノールで洗浄し、ろ過して緑色の結晶(i−18) 0.52gを得た。目的の化合物が得られたことをMSスペクトルにより確認した。
[合成例12]
Figure 2008221841
化合物12 0.486gをブタノール5mlに添加し、塩化銅(II)0.070gを添加し、DBUを0.75ml滴下し80℃で6時間攪拌した。室温まで放冷後メタノールで洗浄し、ろ過して緑色の結晶(i−19)0.52gを得た。目的の化合物が得られたことをMSスペクトルにより確認した。
[合成例13]
Figure 2008221841
化合物13 0.61gと塩化銅(II)0.061gにブタノール10mlを滴下し、さらにDBU0.68mlを加えて、撹拌しつつ80℃で3時間反応させた。反応終了後放冷しメタノールで濾過して化合物(i-23)0.50gを得た。目的の化合物が得られたことをMSスペクトルにより確認した。
[合成例14]
Figure 2008221841
化合物14 1.03gと塩化銅(II)0.10g、をブタノール10mlに添加し、その後DBUを1.12g添加し撹拌しつつ80℃で4時間反応した。ヘキサンで洗浄し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して化合物(i-25)0.24gを得た。目的の化合物が得られたことをMSスペクトルにより確認した。
[合成例15]
Figure 2008221841
化合物15 3.27gと塩化銅(II)0.34g、をブタノール40mlに添加し、その後DBUを3.74ml添加し撹拌しつつ80℃で5時間反応した。アセトニトリルで洗浄し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して化合物(i-36)1.80gを得た。目的の化合物が得られたことをMSスペクトルにより確認した。
実施例1:光情報記録媒体の作製
(基板の作製)
厚さ1.1mm、外径120mm、内径15mmでスパイラル状のプリグルーブ(トラックピッチ:320nm、溝幅:イングルーブ幅140nm、溝深さ:40nm、溝傾斜角度:65°、ウォブル振幅:20nm)を有する、ポリカーボネート樹脂からなる射出成形基板を作製した。射出成型時に用いられたスタンパのマスタリングは、電子ビームカッティングを用いて行なわれた。
(光反射層の形成)
基板上に、Unaxis社製Cubeを使用し、Ar雰囲気中で、DCスパッタリングにより、膜厚100nmの真空成膜層としてのAgNdCu合金からなる光反射層(Ag:98.1at%、Nd:0.7at%、Cu:0.9at%)を成膜した。膜厚は100nmであった。光反射層の膜厚の調整は、スパッタ時間により行った。
(追記型記録層の形成)
下記色素1(特開2005−228402号公報の実施例1に記載の色素)2gと例示化合物A−20 0.2gを、2,2,3,3−テトラフロロプロパノール100ml中に添加して溶解し、色素含有塗布液を調製した。調製した色素含有塗布液をスピンコート法により回転数300〜4000rpmまで変化させながら23℃、50%RHの条件で光反射層上に塗布した。その後、23℃、50%RHで1時間保存して追記型記録層を形成した。追記型記録層の厚さはグルーブ上の厚さ40nm、ランド上の厚さ15nmであった。
Figure 2008221841
追記型記録層を形成した後、クリーンオーブンにてアニール処理を施した。アニール処理は、基板を垂直のスタックポールにスペーサーで間をあけながら支持し、80℃で1時間保持して行った。
(バリア層の形成)
その後、追記型記録層上に、Unaxis社製Cubeを使用し、Ar雰囲気中で、RFスパッタリングによりZnO−Ga23(ZnO:Ga23=3:7(質量比))からなる、厚さ5nmのバリア層を形成した。
(カバー層の貼り合わせ)
カバー層としては、内径15mm、外径120mmで、片面にアクリル系粘着剤(Tg:−30℃)が塗設してあるポリカーボネート製フィルム(帝人ピュアエース、厚さ:80μm)を用い、該粘着剤層とポリカーボネート製フィルムとの厚さの合計が100μmとなるように設定した。即ち、粘着層の厚さは20μmであった。
そして、バリア層上に、該バリア層と粘着剤層とが当接するようにカバー層を載置した後、そのカバー層を押し当て部材にて圧接して、貼り合わせた。
これにより、実施例1の光情報記録媒体が作製された。
実施例2:光情報記録媒体の作製
記録層に例示化合物A−20に代えて例示化合物A−16を添加した以外は実施例1と同様の方法で光情報記録媒体を作製した。
実施例3:光情報記録媒体の作製
記録層に例示化合物A−20に代えて例示化合物A−36を添加した以外は実施例1と同様の方法で光情報記録媒体を作製した。
実施例4:光情報記録媒体の作製
記録層に色素1に代えて下記色素2を用いた以外は実施例1と同様の方法で光情報記録媒体を作製した。
実施例5〜16:光情報記録媒体の作製
記録層に前記色素1(特開2005−228402号公報の実施例1に記載の色素)2gと例示化合物A−20 0.2gの代わりに下記表5に示す例示化合物2gを用いた以外は実施例1と同様の方法で光情報記録媒体を作製した。
Figure 2008221841
実施例17:光情報記録媒体の作製(UV接着剤によるカバー層の貼り合わせ)
バリア層上へのカバー層の載置方法を以下に示すように変更した以外は実施例1と同様の方法で光情報記録媒体を作製した。
バリア層上にUV接着剤(大日本インキ社製SD−661(Tg:−4℃)を厚さ10μmになるようにスピンコート塗布し、カバー層としては、内径15mm、外径120mmのポリカーボネート製フィルム(帝人ピュアエース、厚さ:90μm)を用い、上記UV接着剤層とポリカーボネート製フィルムとの厚さの合計が100μmとなるように設定し、1000mJ/cm2でUV照射し硬化処理を施した。これにより、実施例17の光情報記録媒体が作製された。
実施例18:光情報記録媒体の作製(UV接着剤によるカバー層の貼り合わせ)
2−エチルヘキシルアクリレート50質量%、ウレタンアクリレート(ダイセルサイテック社製EBECRYL23046質量%、2−メチル−4'−(メチルチオ)−2−モルホリノプロピオフェノン4質量%を混合しUV接着剤A(Tg:−59℃)を調製した。UV接着剤をUV接着剤Aに変更した以外は実施例17と同様の方法で光情報記録媒体を作製した。
実施例19:光情報記録媒体の作製(UV接着剤によるカバー層の貼り合わせ)
バリア層上へのカバー層の載置方法を実施例17と同様の方法に変更した以外は実施例9と同様の方法で光情報記録媒体を得た。
実施例20:光情報記録媒体の作製(UV接着剤によるカバー層の貼り合わせ)
UV接着剤を実施例18で調製したUV接着剤A(Tg:−59℃)に変更した以外は実施例19と同様の方法で光情報記録媒体を得た。
実施例21:光情報記録媒体の作製(UV接着剤によるカバー層の貼り合わせ)
記録層に例示化合物i−9の代わりに例示化合物i−25を用いた以外は実施例19と同様の方法で光情報記録媒体を作製した。
実施例22:光情報記録媒体の作製(UV接着剤によるカバー層の貼り合わせ)
記録層に例示化合物i−9の代わりに例示化合物i−25を用いた以外は実施例20と同様の方法で光情報記録媒体を作製した。
比較例1:光情報記録媒体の作製
記録層に例示化合物A−20を添加しなかった点を除き実施例1と同様の方法で光情報記録媒体を作製した。
比較例2:光情報記録媒体の作製
記録層に例示化合物A−20に代えてフェロセニルメタノールを添加した以外は実施例1と同様の方法で光情報記録媒体を作製した。
比較例3:光情報記録媒体の作製
記録層に色素1に代えて色素2を用いた以外は比較例1と同様の方法で光情報記録媒体を作製した。
Figure 2008221841
比較例4〜9:光情報記録媒体の作製
記録層に例示化合物に代えて上記比較化合物(II-1)、(II-2)および下記比較化合物(II-3)〜(II-6)のいずれかを添加した以外は実施例1と同様の方法で比較例4〜9の光情報記録媒体を作製した。
Figure 2008221841
<ガラス転移温度(Tg)の測定>
実施例17、18で形成したUV接着層のガラス転移温度(Tg)を、下記方法により測定した。
1.動的粘弾性挙動測定用サンプルの調製
大日本インキ社製SD−661および前記UV接着剤Aを、それぞれガラス基板上に乾燥塗布膜が下記表7に示す厚さとなるように塗布した後、メタルハライドランプ(コールドミラー付き、ランプ出力120W/cm)を用いて窒素雰囲気中で下記光量照射し硬化させた。
2.ガラス転移温度(Tg)の測定
得られた硬化塗膜のガラス転移温度を、SC/DSCにより測定した。測定結果を表7に示す。測定方法を以下に説明する。
DSC装置:Seiko Instruments Inc.製DSC6200Rを用いSUS製密閉セルに試料を密閉し、−100℃〜100℃の範囲において10℃/分で昇温して1回目のガラス転移温度を求めた。さらに100℃〜−100℃まで50℃/分で降温した後に−100℃〜100℃の範囲において10℃/分で昇温して2回目のガラス転移温度を求めた。この点をガラス転移温度(DSC)とした。
なお、ガラス転移温度測定のために、測定用サンプル中の硬化塗膜は、実施例の光情報記録媒体における接着層よりも厚く形成した。ただしガラス転移温度は膜厚の影響を受けないため、下記表7に示す結果は、それぞれ対応する実施例の評価結果とみなすことができる。
Figure 2008221841
<実施例1〜4、17、18および比較例1〜3の光情報記録媒体の評価>
C/N(搬送波対雑音比)評価
実施例1〜4、17、18および比較例1〜3で作製した光情報記録媒体を、403nmレーザー、NA0.85ピックアップを積んだ記録再生評価機(パルステック社製:DDU1000)を用い、クロック周波数66MHz、線速4.92m/sにて、0.16μmの信号(2T)を記録、再生しスペクトルアナライザー(ローデ&シュウハ゛ルツ社製FSP−3型)にて出力を測定した。記録後の16MHz付近に見られるピークの出力をCarrier出力、記録前の同周波数の出力をNoise出力として、記録後の出力−記録前の出力をC/N値とした。記録はグルーブ上に行った。また、記録パワー4.5mW、再生パワー0.3mWであった。C/N値が35dB以上の場合が、実用上使用できるレベルである。結果を表8に示す。
Figure 2008221841
評価結果
上記表8の結果から、例示化合物A−20、A−16またはA−36を添加することにより、記録特性が向上することがわかる。
色素溶液の光堅牢性の評価
2,2,3,3−テトラフロロプロパノール100mlに、上記色素1を2g、例示化合物A−20を0.2g(10質量%)、0.4g(20質量%)、0.6g(30質量%)、1.0g(50質量%)添加して溶解し、色素含有溶液を調製した。厚さ1.0mmのガラス板上に、調製した色素含有溶液をスピンコート法により回転数500〜1000rpmまで変化させながら23℃、50%RHの条件で塗布して色素膜を形成した。その後、色素膜を形成したガラス板を23℃、50%RHで24時間保存した後、メリーゴーランド型耐光試験機(イーグルエンジニアリング社製、セルテスト機III型、Schott製WG320フィルタ付)を用いて耐光性試験を行った。耐光性試験直前の色素膜および耐光性試験48時間後の色素膜について、UV−1600PC(SHIMADZU社製)を用いて吸収スペクトルを測定し、最大吸収波長λmaxにおける吸光度の変化を読み取った。結果を表9に示す。
Figure 2008221841
評価結果
上記表9の結果から、例示化合物A−20を添加することにより、光堅牢性が向上することがわかる。なお、上記表9中、例示化合物A−20の添加量が増えるほど単位体積当りの色素塗布量は減少するためn、kは低下している。
表8および9に示すように、本発明により、記録特性および光堅牢性を向上させることができた。
<実施例5〜16、19〜22および比較例4〜9の光情報記録媒体の評価>
(1)C/N(搬送波対雑音比)評価
実施例5〜16、19〜22および比較例4〜9で作製した光情報記録媒体について、上記と同様の方法でC/N(搬送波対雑音比)評価を行った。
(2)分解温度
例示化合物および比較化合物について、TG-DTA装置:Seiko Instruments Inc.製EXSTAR6000を用い、N2気流下(流量200ml/min)、30℃〜550℃の範囲において10℃/minで昇温を行い、質量減少率が10%に達した時点の温度として熱分解温度を求めた。結果を表9に示す。
(3)TFPへの溶解性
以下の方法で、例示化合物および比較化合物の2,2,3,3−テトラフロロプロパノール(TFP)への溶解性を評価した。
化合物2gを、2,2,3,3−テトラフロロプロパノール100ml中に添加して溶解し、色素含有塗布液を調製した。目視で観察し、完全に溶解している状態を“可”、不溶物が確認される状態を“不可”として溶解性を判断した。結果を表10に示す。
Figure 2008221841
光堅牢性評価結果
<色素膜の耐光性評価>
実施例5〜16、比較例5,7において使用した化合物2gを、2,2,3,3−テトラフロロプロパノール100ml中に添加して溶解し、色素含有塗布液を調製した。厚さ1.0mmのガラス板上に、調製した色素含有溶液をスピンコート法により回転数500〜1000rpmまで変化させながら23℃、50%RHの条件で塗布して色素膜を形成した。その後、色素膜を形成したガラス板を23℃、50%RHで24時間保存した後、メリーゴーランド型耐光試験機(イーグルエンジニアリング社製、セルテスト機III型、Schott製WG320フィルタ付)を用いて耐光性試験を行った。耐光性試験直前の色素膜および耐光性試験48時間後の色素膜について、UV−1600PC(SHIMADZU社製)を用いて吸収スペクトルを測定し、最大吸収波長における吸光度の変化を読み取った。結果を表11に示す。
Figure 2008221841
表10に示すように、実施例の光情報記録媒体は記録特性が良好であり、また表10および表11に示すように記録層用色素として使用した化合物は溶解性および光堅牢性にも優れていた。
それに対し、比較例4、6、8の光情報記録媒体は、表10に示すように記録層用色素の溶解性が低いため記録媒体の作製ができず、記録媒体としての評価が不可能であった。また比較例5の光情報記録媒体は表10に示すように記録特性に劣っていた。
比較例7、9の光情報記録媒体は、表10に示すように記録特性は良好であったが、表11に示すように記録層用色素の光堅牢性は低かった。
以上の結果から、本発明によれば光堅牢性および短波長レーザー光による記録特性に優れた光情報記録媒体が得られることが示された。
本発明の光情報記録媒体の一例を示す概略断面図である。 本発明の光情報記録媒体の一例を示す概略断面図である。
符号の説明
10A…第1光情報記録媒体 10B…第2光情報記録媒体
12…第1基板 14…第1追記型記録層
16…カバー層 18…第1光反射層
20…バリア層 22…第1接着層
24…第2基板 26…第2追記型記録層
28…保護基板 30…第2光反射層
32…第2接着層 44…ハードコート層

Claims (21)

  1. 基板上に色素を含有する記録層を有する光情報記録媒体であって、
    前記記録層は、熱分解により気体を発生する置換基を有する化合物を含有することを特徴とする光情報記録媒体。
  2. 前記化合物は、情報の記録のために前記光情報記録媒体へ照射されるレーザー光に対して吸収性を有さない請求項1に記載の光情報記録媒体。
  3. 前記色素は、情報の記録のために前記光情報記録媒体へ照射されるレーザー光を吸収することにより発熱し、
    前記化合物は、前記発熱により生じた熱によって分解する請求項1または2に記載の光情報記録媒体。
  4. 前記レーザー光の波長は、390〜440nmの範囲である請求項2または3に記載の光情報記録媒体。
  5. 前記置換基は下記一般式(I)または一般式(VII)で表される一価の置換基である請求項1〜4のいずれか1項に記載の光情報記録媒体。
    Figure 2008221841
    [一般式(I)および(VII)中、R1およびR1'は、各々独立にアルキル基を表し、XはNR2、硫黄原子、酸素原子またはCR3 R4を表し、R2、R3およびR4は、各々独立に、水素原子または一価の置換基を表し、Y、Y'、ZおよびZ'は、各々独立に、酸素原子または硫黄原子である。]
  6. 一般式(I)中、XはNR2である請求項5に記載の光情報記録媒体。
  7. 前記化合物は、下記一般式(V)または一般式(VIII)で表される化合物である請求項5または6に記載の光情報記録媒体。
    Figure 2008221841
    [一般式(V)および(VIII)中、R5およびR5'は、各々独立に、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、カルボキシル基、スルファモイル基、スルホ基、アルキルもしくはアリールスルフィニル基、アルキルもしくはアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基またはシリル基であり、nおよびn’は、各々独立に、1〜6の範囲の整数であり、R1、R1'、X、Y、Y'、ZおよびZ'は、それぞれ一般式(I)および(VII)における定義と同義である。]
  8. 前記化合物の熱分解温度は150〜250℃の範囲である請求項1〜7のいずれか1項に記載の光情報記録媒体。
  9. 前記色素は、前記化合物であり、かつ該化合物は下記一般式(i)で表される請求項1に記載の光情報記録媒体。
    Figure 2008221841
    [一般式(i)中、Aは、水素原子または置換基を表し、B1、B2、B3およびB4は、各々独立に、両端の2つの炭素原子とともに芳香環を形成する原子群を表し、Mは、2つの水素原子、2〜4価の金属原子、金属酸化物、配位子を有する金属原子または配位子を有する金属酸化物を表し、Cは、(L-(D)l)またはEを表し、DおよびEは、各々独立に、下記一般式(ii)または(xiii)で表される一価の置換基を表し、Lは2価の連結基を表し、lは1〜10の整数を表す。mは、0〜15の範囲の整数を表し、nは、1〜16の範囲の整数を表し、但し、m+n=16である。mが2以上の整数であるとき複数存在するAはそれぞれ同じでも異なっていてもよく、nが2以上の整数であるとき複数存在する (L-(D)l)またはEはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。]
    Figure 2008221841
    [一般式(ii)および(xiii)中、R11およびR11'は、各々独立に第二級アルキル基または第三級アルキル基を表し、X1は、硫黄原子、酸素原子、NR12、CR13R14を表し、Y1およびY1'は、各々独立に、酸素原子または硫黄原子を表し、Z1およびZ1'は、各々独立に、NR12、酸素原子または硫黄原子を表し、R12、R13およびR14は、各々独立に、水素原子または1価の置換基を表す。]
  10. 一般式(ii)中のY1およびZ1はいずれも酸素原子であり、ならびに/または、一般式(xiii)中のY1'およびZ1'はいずれも酸素原子である請求項9に記載の光情報記録媒体。
  11. 一般式(i)で表される化合物の熱分解温度は150〜400℃の範囲である請求項9または10に記載の光情報記録媒体。
  12. 前記基板上に、前記記録層、バリア層、粘着層または接着層である中間層、およびカバー層をこの順に有する請求項1〜11のいずれか1項に記載の光情報記録媒体。
  13. 中間層のガラス転移温度は−100〜25℃の範囲である請求項12に記載の光情報記録媒体。
  14. 請求項1〜13のいずれか1項に記載の光情報記録媒体へレーザー光を照射することにより、前記記録層へ情報を記録する情報記録方法。
  15. 前記情報は、
    前記色素が、照射されたレーザー光を吸収することによって発熱し、
    前記発熱により生じた熱によって前記化合物が分解して気体を発生し、
    前記気体の発生によって記録層中に空隙が生じることによって記録される、請求項14に記載の情報記録方法。
  16. 前記レーザー光の波長は、390〜440nmの範囲である請求項14または15に記載の情報記録方法。
  17. 熱分解により気体を発生する置換基を有する化合物を色素含有溶液の添加剤として使用する方法。
  18. 前記色素含有溶液は、光情報記録媒体の記録層形成用塗布液である請求項17に記載の方法。
  19. 前記置換基は下記一般式(I)または一般式(VII)で表される請求項17または18に記載の方法。
    Figure 2008221841
    [一般式(I)および(VII)中、R1およびR1'は、各々独立にアルキル基を表し、XはNR2、硫黄原子、酸素原子またはCR3 R4を表し、R2、R3およびR4は、各々独立に、水素原子または一価の置換基を表し、Y、Y'、ZおよびZ'は、各々独立に、酸素原子または硫黄原子である。]
  20. 一般式(I)中、XはNR2である請求項19に記載の方法。
  21. 前記化合物は、下記一般式(V)または一般式(VIII)で表される化合物である請求項19または20に記載の方法。
    Figure 2008221841
    [一般式(V)および(VIII)中、R5およびR5'は、各々独立に、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、カルボキシル基、スルファモイル基、スルホ基、アルキルもしくはアリールスルフィニル基、アルキルもしくはアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基またはシリル基であり、nおよびn’は、各々独立に、1〜6の範囲の整数であり、R1、R1'、X、X'、Y、Y'、ZおよびZ'は、それぞれ一般式(I)および(VII)における定義と同義である。]
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2023228544A1 (ja) * 2022-05-24 2023-11-30 パナソニックIpマネジメント株式会社 化合物、記録媒体、情報の記録方法及び情報の読出方法

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