JP2008220929A - 玉縁縫いミシン - Google Patents

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Abstract

【課題】良好にコーナー切れ目を形成する。
【解決手段】二本の直線縫い目の端部と直線切れ目の端部との間にコーナー切れ目を形成可能なコーナーメス機構100A,100Bと、二本の直線縫い目を布送り端部位置がそれぞれ異ならせると共に、コーナー切れ目が各直線縫い目の端部から直線切れ目側に形成された斜めコーナー切れ目を形成するように制御する制御手段80と、を備え、コーナーメス機構は、直線切れ目の両端部にそれぞれ対応して設けられ、各コーナーメス機構は、切断長の異なる複数種類のコーナー切れ目を形成する複数のコーナーメス101〜104を保有し、コーナーメスを選択する選択機構120と、コーナーメスを上下動させる上下動機構130とを備え、制御手段が、入力された偏差が所定の値を超えた場合に、外側となるコーナーメスについて切断長が長いものを選択するように制御を行う。
【選択図】図5

Description

本発明は、斜め形状の開口を形成する玉縁縫いを行う玉縁縫いミシンに関する。
玉縁縫いは、例えば、スーツのポケットの開口部等に多く施される縫いであって、身頃生地の上に玉布を重ねた状態で平行な二本の縫い目とそれらに平行であって二本の縫い目の間に形成される直線切れ目とを形成し、さらに、縫い方向両端部にV字状のコーナー切れ目を形成することで完成する。一般的な玉縁縫いでは、縫い方向についで二本の縫い目の縫い開始位置と終了位置とを揃えることで長方形の開口を形成する。このような長方形の開口形成時には、先端が鋭利な二枚のコーナーメスをV字状に並べてそれらを同時に身頃生地に突き通すことでコーナー切れ目の形成が行われる。
これに対して、二本の縫い目の縫い端部位置をずらすことで斜め形状の開口を有する斜めポケットを形成する玉縁縫いが行われる場合がある。
このような斜め形状の開口の玉縁縫いでは、二枚のコーナーメスをV字状に並べた状態から二本の縫い目の縫い端部位置のズレ長さ(偏差とする)と同じ長さだけずらして配置し、それぞれのコーナーメスを身頃生地に突き通すことでコーナー切れ目の形成が行われていた(例えば、特許文献1参照)。
また、他の玉縁縫いミシンでは、上記斜め形状の開口の玉縁縫いにおけるコーナー切れ目形成のために、予め複数種の傾斜角度のコーナーメスを用意すると共に、偏差に応じて直線切れ目の両側の各コーナーメスについて適正な角度のものを選択し、これらのコーナーメスを身頃生地に突き通すことでコーナー切れ目の形成が行われていた(例えば、特許文献2参照)。
特開2000−107473号公報 特公平1−38519号公報
図31(A),(B)は二本のコーナーメスをずらしてコーナー切れ目を形成する従来技術の問題点を説明するためのコーナー切れ目形成時における状態説明図である。符号TL,TRは縫い目、Sは直線切れ目、201,202,はコーナーメスを示し、二本の縫い目の縫い目側寄りの端部位置のズレ長さ(偏差とする)をCとする。
偏差Cでコーナー切れ目を形成する場合、当該偏差Cが大きく設定されると(例えば4[mm]以上)、直線切れ目Sの先端から内側のコーナーメス202の根本部分までの距離C’も大きくなる。その結果、上記特許文献1記載の玉縁縫いミシンにあっては、コーナーメス202を身頃生地に突き通そうとすると、図31(B)に二点差線Rで示すような本来V字状であるべき理想的なコーナー切れ目に対し、身頃生地がコーナーメス202の進行方向にめくれ上がってしまい、予定された切断長さ分の切断が行えないという不都合があった。
また、特許文献2記載の玉縁縫いミシンは、予め用意された角度のコーナーメスを組み合わせることで対応可能な偏差でしかコーナー切れ目の形成ができず、汎用性が低いという問題があった。また、任意の偏差に対応しようとすると、手作業による各コーナーメスの角度調節を行わなければならず、非常に煩雑となるという問題があった。
本発明は、良好なコーナー切れ目の形成が可能な玉縁縫いミシンを提供することをその目的とする。
請求項1記載の発明は、身生地及び玉布に平行な二本の直線縫い目を形成する二本の縫い針を上下動する針上下動機構と、身生地及び玉布を保持して搬送する布送り機構と、前記二本の直線縫い目の間に直線切れ目を形成する動メス機構と、前記二本の直線縫い目の端部と直線縫い目に挟まれる前記直線切れ目の端部との間にコーナー切れ目を形成可能なコーナーメス機構と、前記二本の直線縫い目を、布送り端部位置がそれぞれ布送り方向について異なる位置となるように形成すると共に、前記コーナー切れ目が前記二本の直線縫い目の端部から前記直線切れ目に向かう方向に形成された斜めコーナー切れ目を形成するように前記各機構を制御する制御手段と、を備えた玉縁縫いミシンにおいて、前記コーナーメス機構は、前記直線切れ目の両端部にそれぞれ対応して設けられ、前記各コーナーメス機構は、直線切れ目を挟んだ両側のそれぞれについて切断長の異なる複数種類のコーナー切れ目を形成する複数のコーナーメスを保有し、前記両側の複数のコーナーメスの中から一対のコーナーメスを選択する選択機構と、前記選択された前記一対のコーナーメスを上下動させる上下動機構とを備えると共に、前記直線切れ目を挟んで対向する前記二本の直線縫い目の端部の布送り方向に沿う偏差に係わる情報を設定する偏差設定手段と、前記設定された偏差情報に基づいて、前記直線切れ目を挟んで対向する前記二本の直線縫い目の端部の布送り方向に沿う偏差が所定の値を超えたか否かを判定する偏差判定手段と、前記設定された偏差情報に基づいて、前記対向する前記直線縫い目の端部から前記直線切れ目の端部に向けて形成される一対のコーナー切れ目のそれぞれが、前記直線切れ目の布送り方向中央部に対し内側と外側の何れに位置するかを判定するコーナー切れ目内外判定手段と、を備え、前記制御手段は、前記偏差判定手段により前記偏差が前記所定の値より小さいと判定された場合には、前記内側と判定されたコーナー切れ目を前記外側と判定されたコーナー切れ目に対し前記偏差量だけ布送り方向にずれた位置に形成するように前記布送り機構及び前記コーナーメス機構を制御すると共に、前記偏差判定手段により前記偏差が前記所定の値より大きいと判定された場合には、前記外側と判定されたコーナー切れ目を形成するコーナーメスとして、前記偏差が小さいと判定された場合に使用されるものに比べてより切断長が長いものを選択するように前記選択機構を制御することを特徴とする。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明と同様の構成を備えると共に、前記コーナー切れ目の前記直線縫い目側の一端部と前記直線縫い目との布送り方向と直交する方向に沿う距離を入力する距離入力手段を備え、前記選択機構は、前記各コーナーメスを前記布送り方向と直交する方向に移動させる位置決めモータを有し、前記制御手段は、前記上下動機構により上下動されるコーナーメスの前記直線切れ目側の一端部と前記直線切れ目との布送り方向と直交する方向に沿う距離が前記設定された距離となるように前記位置決めモータを制御することを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明と同様の構成を備えると共に、前記動メス機構は、前記身生地及び玉布の搬送経路上で上下動可能に支持された動メスと、当該動メスを上下動させるメスモータとを備え、前記制御手段は、前記搬送方向一端側の外側コーナー切れ目の前記直線縫い目側端部から前記搬送方向他端側の外側コーナー切れ目の前記直線縫い目側端部まで直線切れ目を形成するように前記メスモータ及び布送り機構を制御することを特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の発明と同様の構成を備えると共に前記選択機構は、回転駆動力を直動往復動作に変換するスライダクランク機構により前記コーナーメスを選択するための直動往復動作を行うこと特徴とする。
請求項5記載の発明は、請求項4記載の発明と同様の構成を備えると共に、前記選択機構は、前記直動往復動作の往復移動範囲の複数箇所に位置決めを行うことで前記コーナーメスの選択を行うと共に、前記往復移動範囲の少なくとも両端部に前記コーナーメスの選択を行うための位置決め箇所が設定されていること特徴とする。
請求項1記載の発明において、「偏差」とは玉縁縫いの縫い方向の両端部のそれぞれにおいて、外側まで延びた一方の直線縫い目の端部から内側となる他方の直線縫い目の端部までの布送り方向における距離差(CF或いはCR)を示す(図2参照)。また、「偏差情報」とは、縫いにおいて偏差を設けるために必要な情報であって、少なくとも、偏差の長さと二本の縫い目のいずれの端部を外側とするかを直接的に示す情報で良いし、これらを導き出すことを可能とする間接的な情報でも良い。
なお、ここで、布送り方向における玉縁縫いの直線切れ目の中央部に対して近い方を「内側」といい、遠い方を「外側」というものとする。また、外側に位置すると判定されたコーナー切れ目を外側コーナー切れ目といい、内側に位置すると判定されたコーナー切れ目を内側コーナー切れ目というものとする。
一般に、玉縁縫いでは、縫い方向一端部の外側コーナー切れ目の根本部分(直線切れ目側の端部)から縫い方向他端部の外側コーナー切れ目の根本部分までの間で直線切れ目が形成される(厳密には各根本部分よりも幾分外側まで切れ目が形成されることがあるが、そのズレはわずかである)。
斜め形状の開口の玉縁縫いにおいて、外側コーナー切れ目と内側コーナー切れ目とに偏差を設けて切れ目形成を行う場合、偏差が大きくなるにつれて内側コーナー切れ目の切断が十分に行われなくなるのは、直線切れ目における内側コーナー切れ目の根本部分よりも外側となる部分の長さが長くなることに起因する。つまり、これが短くなれば内側コーナー切れ目を形成するコーナーメスを突き通す際に布のまくれ上がりが生じにくくなり、適正な切断が行われる。
本願発明では、偏差が大きいときに、外側に位置するコーナー切れ目をより切断長が長いコーナーメスにより形成することから、直線切れ目の両端部をより内側に形成することが可能となり、その結果、直線切れ目における内側コーナー切れ目の根本部分よりも外側となる部分の長さ(内側コーナー切れ目の根本部分から外側コーナー切れ目の根本部分までの長さ)を短くすることができ、その結果、コーナー切れ目を本来の理想的なV字状切れ目に近づけることができ、内側コーナー切れ目を形成するコーナーメスを突き通す際に布のまくれ上がりが生じにくくなり、適正な切断を行うことが可能となる。
また、偏差を設けることにより対となる各コーナー切れ目の根本部分に布送り方向のズレがあっても、内側となるコーナーメスによる切断を良好に行うことが可能となるので、従来技術のように互いのコーナー切れ目の根本部分に布送り方向のズレが生じないような適切な角度のコーナーメスの組み合わせに対応する偏差でしか斜めの玉縁縫いが実行できない不都合を生じない。つまり、偏差を自在に設定することができ、汎用性を向上することが可能となる。
なお、直線切れ目の形成長さについては、設定手段を設けて縫製前に入力設定しても良いし、請求項3記載の発明のように、形成されるコーナーメスの切れ目長さに応じて制御手段が事前に算出するようにしても良い。
請求項2記載の発明では、各コーナーメスを布送り方向と直交する方向に移動させる位置決めモータを備えるため、コーナーメスの直線切れ目側の一端部(根本部分)と直線切れ目との布送り方向と直交する方向に沿う距離が設定された距離となるように位置合わせを行うことができ、布送り方向と直交する方向についてコーナー切れ目の根本部分を直線切れ目に対して任意の設定距離で形成することが可能となる。
なお、距離入力手段は、コーナー切れ目の直線縫い目側の一端部と直線縫い目との布送り方向と直交する方向に沿う距離を入力することとしているが、コーナー切れ目の直線切れ目側の一端部と直線切れ目との布送り方向と直交する方向に沿う距離を入力しても良いことはいうまでもない。
請求項3記の発明では、縫製範囲の両端に位置する一方の外側コーナー切れ目の根本部分から他方の外側コーナー切れ目の根本部分まで直線切れ目を形成する制御が行われるので、例えば、制御手段が偏差判定手段の判定に従って、より切断長が長いコーナーメスを選択した場合に、直線切れ目長さを設定し直すことなく、一方のコーナー切れ目の根本部分から他方のコーナー切れ目の根本部分までの直線切れ目を形成することが可能となる。
請求項4記載の発明は、選択機構が、回転駆動力を直動往復動作に変換するスライダクランク機構によりコーナーメスを選択するための直動往復動作を行うことから、簡易な機構によりコーナーメスの選択を行うことが可能となり、装置の生産性向上及び製造コスト低減を図ることが可能となる。
請求項5記載の発明は、選択機構がスライダクランク機構を採用しているので、定速の回転駆動力を直動往復動作に変換すると、その往復移動方向の速度はサインカーブに即した変化を生じるため、往復移動範囲の両端部では低速且つ速度変化が緩やかになる。従って、その往復移動範囲の両端部にコーナーメスの選択を行うための位置決め箇所を設定することで、各位置におけるコーナーメスの選択の際には滑らかな動作を得ることができ、振動、騒音、位置ズレなどを効果的に抑制することが可能となる。
(玉縁縫いミシンが行う玉縁縫いに関する説明)
以下、本発明の実施の形態である玉縁縫いミシン10について図1乃至図27に基づいて説明する。図1は玉縁縫いミシン10の全体の概略構成を示す斜視図である。なお、本実施の形態においては、各図中に示したXYZ軸を基準にしてそれぞれの方向を定めるものとし、Z軸方向は後述するセンターメスの上下動方向と一致し、縫製作業を行う平面はZ軸方向と垂直となり、当該作業平面に平行であって布送りが行われる方向をX軸方向とし、作業平面に平行であってX軸方向に直交する方向をY軸方向とする。
図2は斜め形状のポケット開口部を形成する玉縁縫いにおけるセンターメスによる直線状の切れ目Sとコーナーメスによる切れ目VFL,VFR,VRL,VRRと二本針による縫い目TL,TRの配置の関係を示す説明図である。図示のように、布送り方向の進行方向を布送り方向前側、その逆方向を布送り方向後側とし、Y軸方向に沿った一方の方向であって布送り方向を向いて左手となる方向を左側、Y軸方向に沿った他方の方向であって布送り方向を向いて右手となる方向を右側として以下の説明を行うこととする。
玉縁縫いミシン10は、二本針41,41により形成される二本の平行な縫い目Tにより身生地Mに対して玉布Bを縫着すると共にこれらの布地の送り方向Fに沿ったポケット穴となる直線状の切れ目Sと当該切れ目Sの両端部に一対のコーナー切れ目からなる略V字状の切れ目とを形成するミシンである。
斜め形状のポケット開口部を形成する玉縁縫いでは、いずれか一方の直線縫い目(図2では右側の縫い目TR)が布送り方向後側まで形成される。ここで、直線縫い目TRの後側端部から直線縫い目TLの後側端部までの布送り方向のズレ量を後側の偏差CRといい、直線縫い目TRの前側端部から直線縫い目TLの前側端部までの布送り方向のズレ量を前側の偏差CFというものとする。
そして、直線切れ目Sの前側端部から右側の直線縫い目TRの前側端部にかけてコーナー切れ目VFRが形成され、直線切れ目Sの前側端部よりも幾分後方の位置から左側の直線縫い目TLの前側端部にかけてコーナー切れ目VFLが形成される。さらに、直線切れ目Sの後側端部よりも幾分前方の位置から右側の直線縫い目TRの後側端部にかけてコーナー切れ目VRRが形成され、直線切れ目Sの後側端部から左側の直線縫い目TLの後側端部にかけてコーナー切れ目VRLが形成される。
なお、この玉縁縫いミシン10は、前端部と後端部のいずれにも偏差を設けない縫い、つまり二本の直線縫い目が前後にズレのない長方形状の開口を形成する玉縁縫いを実行することも可能であることはいうまでもない。
(玉縁縫いミシンの全体構成)
そして、当該玉縁縫いミシン10は、縫製の作業台となるミシンテーブル11と、ミシンテーブル11に配置されたミシンフレーム12と、身生地M及び玉布Bからなる布地の送りを行う布送り機構としての大押さえ送り機構20と、身生地Mの上側で玉布Bを上方から押さえるバインダー30と、バインダー30の布送り方向Fにおける前端部近傍で切れ目Sの両側に針落ちを行う縫い目形成機構としての針上下動機構40と、各縫い針41の布送り方向Fの前側で動メスとしてのセンターメス51を昇降させて重ねて載置される布地B,Mからなる被縫製物に切れ目Sを形成する動メス機構としてのセンターメス機構50と、直線状の切れ目Sの両端にそれぞれ個別に対応して設けられ、それぞれ略V字状の切れ目Vを形成するコーナーメス機構100A,100Bと、上記各部の制御を行う動作制御手段80とを備えている。
以下各部を詳説する。
(ミシンテーブル及びミシンフレーム)
ミシンテーブル11はその上面がX−Y平面に平行であって、水平な状態で使用される。このミシンテーブル11の上面は布の送り方向F即ちX軸方向に沿って長い長方形状に形成されている。かかるミシンテーブル11上に大押さえ送り機構20とバインダー30とが配置され、ミシンテーブル11の下側にコーナーメス機構100A,100Bが配置されている。
また、ミシンテーブル11における二つの縫い針41,41の下方の位置には針板13が設けられている。この針板13には二本針41,41の各々に対応する針穴が設けられており、各針穴の下側には図示しない水平釜がそれぞれ設けられている。つまり、各縫い針41,41のそれぞれに挿通された縫い糸は、それぞれ針板13の下側で対応する各水平釜に捕捉され、水平釜から繰り出される下糸に絡められて縫製が行われるようになっている。
さらに、針板13の二つの針穴のほぼ中間であって布送り方向Fの前側にはセンターメス51が挿入されるスリットが形成され、当該スリットの内側にはセンターメス51との協働により布地を切断する図示しない固定メスが配置されている。
ミシンフレーム12は、ミシンテーブル11の長手方向中間位置のすぐ脇に配置されたベッド部12aとベッド部から立設された縦胴部12bと縦胴部12bの上端部からY軸方向に沿って延設されたアーム部12cとからなり、アーム部12c内に針上下動機構40とセンターメス機構50の主要構成が格納されている。また、アーム部12cの先端側下端部から二本針41,41とセンターメス51とが垂下支持されている。
(針上下動機構)
図3は針上下動機構40の斜視図である。針上下動機構40は、二本針を構成する二つの縫い針41,41と、各縫い針41を個別に下端部に保持する二本の針棒42と、各針棒42を上下動可能に支持する支持枠49と、二本の針棒42を同時に保持する針棒抱き44と、縫い針上下動の駆動源となるミシン主軸モータ45と、ミシン主軸モータ45(図8)により回転駆動を行うミシン主軸46と、ミシン主軸46の一端部に固定連結され回転運動を行う回転錘47と、回転錘47の回転中心から偏心した位置に一端部が連結されると共に他端部が針棒抱き44に連結されたクランクロッド48とを有している。
また、ミシン主軸46も、アーム部12cの内部でY軸方向に沿って回転可能に支持されており、ミシン主軸モータ45により全回転の回転駆動力が付与される。ミシン主軸46が回転されると、回転錘47も同様に回転を行い、クランクロッド48の一端部はミシン主軸46を中心として円運動を行い、他端部では、一端部側の円運動のZ軸方向の移動成分のみが針棒抱き44に伝達されて各針棒42が往復上下動を行うようになっている。
さらに、針棒抱き44には、各針棒41,41の保持と解放を切り替え可能なラッチ機構(図示略)が内蔵されており、支持枠49の上端部には各針棒41の保持と解放を切り替え可能な図示しない保持機構が内蔵されている。また、ラッチ機構と保持機構とは外部から所定の操作を加えることで針棒41の保持と解除とを切り替えることが可能であり、各機構に切り替え操作を加える針切り替えソレノイド43(図8参照)が支持枠49に併設されている。
かかる針切り替えソレノイド43により、両針棒41,41がラッチ機構に保持された状態と、一方の針棒41がラッチ機構に保持されて他方の針棒41が保持機構に保持された状態と、一方の針棒41が保持機構に保持されて他方の針棒41がラッチ機構に保持された状態とを切り替え可能となっている。
斜め形状の玉縁縫いを行う際には、上記三つの保持状態を措定のタイミングで切り替えることにより、左右いずれかの直線縫い目TL,TRを先行させて形成し、左右いずれかの直線縫い目TL,TRの形成を先に終了させる。
(センターメス機構)
図4は針上下動機構40及びセンターメス機構50の切断可能状態の斜視図である。
センターメス機構50は、上下動により直線状の切れ目Sを形成するセンターメス51と、針板13の下に固定されると共にセンターメス51に摺接して布地B、Mの切断を促す図示しない固定メスと、センターメス51を下端部に備えると共にアーム部12c内でZ軸方向に沿って滑動可能に支持されたメス棒52と、センターメス51の上下動を行うステッピングモータであるメスモータ57と、メスモータ57の出力軸57bに対して偏心して装着された偏心カム58を介してメス棒52に上下動駆動力を伝達する複数のリンク体59と、センターメス51の切断可能状態(下位置)と切断規制状態(上位置)との切り替え動作の駆動源となるアクチュエータとしてのエアシリンダ65と、エアシリンダ65の突出時のプランジャを所定位置で停止させるストッパ68とを備えている。
上記センターメス機構50は、エアシリンダ65が後退位置(図4の状態)のときに、メスモータ57の回転駆動力をセンターメス51への上下の往復動作に変換して伝達する切断可能状態とし、エアシリンダ65が前進位置(図示略)のときに、メスモータ57の回転駆動力をセンターメス51へ伝達しない切断規制状態に切り替えることができる。
エアシリンダ65が後退した状態で上記メスモータ57が回転駆動を行うと、Y軸方向に向けられた出力軸57bに装備された偏心カム58により複数のリンク体59を介してメス棒52及びセンターメス51を上下動させて切断動作が行われる。
一方、エアシリンダ65が前進した状態にある時には、複数のリンク体59はメスモータ57の動力がメス棒52まで伝えられない配置とされ、且つセンターメス51が針板13よりも上方に待避した状態が維持される。
従って、エアシリンダ65の駆動により、センターメス51の切断可能状態と切断規制状態とが切り替えられるようになっている。
(バインダー)
バインダー30は、長尺状平板である底板部31と、底板部31の長手方向に沿ってその上面に垂直に立設された立板部32と、立板部32の布送り方向前側端部に、センターメス51を回避して玉布Bを案内する案内部材33と、玉布Bの幅方向の両端部が立板部32の両面に沿ってそれぞれ送られるように案内する縦ガイド(図示略)とを備えている。
上記バインダー30は、エアシリンダを備える図示しない支持機構に支持されており、非使用時には図1に示すように二本針41,41の針下の位置から離れて待避されている。そして、使用時には、エアシリンダの駆動により針板位置にセットされるようになっている。
底板部31は、長方形状に形成され、使用時において、その長手方向がX軸方向に平行になるように且つ、その底面がミシンテーブル11の上面に正対して載置されるように支持されている。また、底板部31の布送り方向先端部には、二つの縫い針41,41がそれぞれ針落ちを行うための略U字状の切り欠き(図示略)が形成されている。
立板部32は、案内部材33の近傍の部分を除いてその全体が平板状であり、底板部31の上面において、当該底板部31の幅方向(Y軸方向)の中間位置に、底板部31と長手方向を揃えた状態で、垂直に立設されている。即ち、バインダー30は、底板部31と立板部32とがその長手方向から見て逆さのT字状となるように一体形成されている。
そして、玉布Bは、針板13上において身生地Mの上側に重ねてセットされると、上方からバインダー30が載置され、玉布Bの幅方向(図2における左右方向)の両端部を折り返して底板部31の幅方向両端部から上方に立ち上げ、さらに、玉布Bの幅方向両端部をそれぞれ立板部32の両側の側面にそれぞれ沿わせるようにして、後述する大押さえ21,21により保持される。即ち、立板部32の一方の側面から底板部31を介して他方の側面32まで玉布Bを沿わせた状態とされる。このように、バインダー30に玉布Bを巻き付けるようにセットした状態で、玉布B及び身生地Mを送りつつ、立板部32の両側で二本針41,41により縫製を行うと共にセンターメス51の上下動により直線上の切れ目Sを形成する。
また、バインダー30の布送り方向Fのすぐ前側には、センターメス51により切り裂かれてしまわないように、案内部材33が設けられている。かかる案内部材33は、同方向Fに向かって二又に分岐して平面視形状が略V字状となるように形成されている。そして、かかる形状により、布送りの際に玉布Bの幅方向両端部はそれぞれ立板部32から離間する方向に誘導されて、センターメス51を回避する方向に案内される。
(大押さえ送り機構)
大押さえ送り機構20は、バインダー30にセットされた玉布Bの幅方向両側で身生地Mを上方から押さえる大押さえ21,21と、これらの大押さえ21,21を支持する支持体22と、支持体22を介して大押さえ21,21を上下に移動させる図示しないエアシリンダと、各大押さえ21,21に内蔵されて互いに内側に進出することで玉布Bの幅方向両端部をそれぞれバインダー30の底板部31の上側に折り込む図示しない折り込み板と、大押さえ21,21により押さえた玉布B及び身生地Mを支持体22を介して布送り方向Fに移動させる送り駆動手段としての押さえモータ23(図8)とを備えている。
各大押さえ21,21は、それぞれ長方形状の平板であり、それぞれが長手方向をX軸方向に沿わせた状態で支持体22に支持されている。また、各大押さえ21,21はその平板面がX−Y平面に平行となるように支持されている。そして、エアシリンダの駆動により上下の二位置に切替可能であり、上位置の時にはミシンテーブル11の上面から離間し、下位置でミシンテーブル11の上面高さとなる。また、二つの大押さえ21,21は、その間に、少なくともバインダー30の立板部32を通すことができるようにY軸方向について離間した状態で支持されている。
支持体22は、ミシンテーブル11上においてX軸方向に沿って移動可能に支持されており、支持する二つの大押さえ21,21が二本針41,41の上下動経路の外側を通過するように配置されている。また、支持体22は、図示しないボールネジ機構を介して押さえモータ23により駆動されるようになっている。
(コーナーメス機構)
図5は各コーナーメス機構100A,100Bの斜視図、図6は各コーナーメス101〜104の装備状態を示す拡大斜視図、図7は上下動を行うコーナーメス101〜104の選択動作を示す説明図である。なお、図5では、各コーナーメス機構100A,100Bが四つのコーナーメス101〜104の内の二つを取り外した状態を図示している。
コーナーメス機構100A,100Bは、いずれも、ミシンテーブル11の下方であって大押さえ送り機構20による大押さえ21,21の通過経路上であってセンターメス51よりも布送り方向前側に配置されており、大押さえ送り機構20により搬送されてきた玉布B及び身生地Mを下方から一対のコーナーメスにより突き通すことで直線状の切れ目Sの両端となる位置に略V字状の切れ目を形成する。
各コーナーメス機構100A,100Bは布送り方向Fに沿って並んで配設され、コーナーメス機構100Aがコーナーメス機構100Bよりも後方に配置されている。つまり、一方のコーナーメス機構100Aは直線切れ目Sの後方端部側にコーナー切れ目を形成し、他方のコーナーメス機構100Bは直線切れ目Sの前方端部側にコーナー切れ目を形成するためのものである。そして、コーナーメス機構100Bのみがユニット移動モータ90(図8参照)により布送り方向Fに沿って移動位置決め可能にテーブル11に対して装備されている。以下、二つのコーナーメス機構を区別して説明する場合には、コーナーメス機構100Aを「固定側」といい、コーナーメス機構100Bを「移動側」と称する場合があるものとする。
なお、コーナーメス機構100Aとコーナーメス機構100Bとは、互いにY−Z平面を基準に鏡面対称となるほぼ同一の構造を採っているため、その詳細はコーナーメス機構100Bについてのみ行い、鏡面対称構造であるコーナーメス機構100Aの各構成については同符号を付して説明を省略することとする。
コーナーメス機構100Bは、四つのコーナーメス101,102,103,104と、テーブル11の下面側に配設された丸棒状の一対のガイド軸14に支持されたユニット本体105と、ユニット本体105の後方側面に形成された凹部105a内においてY軸方向に沿って移動可能に支持されると共に各コーナーメス101〜104を保持するブロック状の構造体であるインデックス106と、インデックス106をY軸方向に沿って移動位置決めするコーナーメスの選択機構としてのインデックス移動機構120と、インデックス移動機構120との協働によりコーナーメスを選択して上下動させる上下動機構130とを備えている。
ユニット本体105は枠状であって、Y軸方向の一端部で一対のガイド軸14を挿通した状態で支持されている。また、ユニット本体105の後側となる一側面に凹部105aが形成され、当該凹部105aの内側にインデックス106が配置されている。なお、コーナーメス機構100Aのユニット本体105は固定支持されているが、コーナーメス機構100Bのユニット本体105は、図示しないベルト送り機構又はボールネジ機構を介してユニット移動モータ90の駆動によりX軸方向に任意の位置に位置決め可能となっている。また、ユニット移動モータ90としては、リニアモータを採用しても良い。
インデックス106にはそのY軸方向の一側面上からY軸方向に沿って延出された上下二つの支持桿106aが固定装備され、これらがユニット本体105側に設けられた挿入穴に挿入されることで、インデックス106がユニット本体105に対してY軸方向に沿って移動可能に支持された状態を実現している。
インデックス106の上面には、四つのコーナーメスの取付台107,108,109,110が設けられ、各取付台107〜110は、個別にコーナーメス101〜104を保持している。これら各取付台107〜110は、図示しない締結ネジを弛めることで各コーナーメス101〜104のZ軸回りの角度調節と、歯先の向けられた傾斜角度を調節することが可能となっている。各コーナーメス101〜104はZ軸回りの角度調節により直線切れ目Sに対するコーナー切れ目の形成傾斜角度が決定され、歯先の向けられた傾斜角度の調節によりコーナー切れ目の形成長さが決定される。
ここで、上方から見た各コーナーメス101〜104の調整例について図7(B)に基づいて説明する。右側の二つのコーナーメス101,102は、直線切れ目Sに対して右側に形成されるコーナー切れ目を形成するためのものであり、いすれも前方に向かって右寄りとなる方向に傾斜しているが、コーナーメス102の方がコーナー切れ目の形成長さが長くなるように傾けられている。また、各コーナーメス101,102により形成されるコーナー切れ目のY軸方向における幅h1とh2とは等しくなるように調整される。
左側の二つのコーナーメス103,104は、直線切れ目Sに対して左側に形成されるコーナー切れ目を形成するためのものであり、いすれも前方に向かって左寄りとなる方向に傾斜しているが、コーナーメス104の方がコーナー切れ目の形成長さが長くなるように傾けられている。また、各コーナーメス101,102の場合と同じように、各コーナーメス103,104により形成されるコーナー切れ目のY軸方向における幅h1とh2とは等しくなるように調整される。
さらに、各取付台107〜110は、その下側にZ軸方向に沿った摺動軸(図示略)を有しており、当該軸の摺動によりインデックス106に対して上下動可能に支持されている。そして、当該各摺動軸の下端部には前方に突出した係合突起である昇降ブラケット107a〜110aが形成されている。これら各昇降ブラケット107a〜110aは、インデックス106の前面よりも前方まで突出しており、後述する上下動機構130がこれらの昇降ブラケット107a〜110aを介して各コーナーメス101〜104を上下動させるようになっている。
インデックス移動機構120は、ユニット本体105の上部に固定装備された位置決めモータとしてのインデックスモータ121と、インデックスモータ121により回転駆動されるネジ軸122と、このネジ軸122にボールネジを介して接続された移動体123とを備えている。
ネジ軸122はY軸方向に沿った状態でユニット本体105の上面に回転可能に支持されており、その一端部がカップリングを介してインデックスモータ121の出力軸に連結されている。
移動体123は、インデックス106のY軸方向一端部から延出されたアーム部106bに保持されている。これにより、ネジ軸122がインデックスモータ121により回転駆動されると、移動体123がボールネジ機構の作用によってネジ軸122の長手方向(Y軸方向)に移動力を受けてインデックス106のY軸方向移動が行われる。
かかるインデックス移動機構120によるインデックス106のY軸方向移動は、後述する上下動機構130が上下動させる一対のコーナーメスを各コーナーメス101〜104の中から選択する際に使用されると共に、選択されたコーナーメスによるコーナー切れ目の形成位置をY軸方向について位置調節する際にも使用される。
上下動機構130は、直線切れ目Sの右側にコーナー切れ目を形成するためにコーナーメスを上昇させる第1のエアシリンダ131と、直線切れ目Sの左側にコーナー切れ目を形成するためにコーナーメスを上昇させる第2のエアシリンダ132と、各エアシリンダ131,132の出力軸に設けられて前述した昇降ブラケット107a〜110aに選択的に係合可能な係合部材としてのシリンダブラケット133,134とを備えている。
各エアシリンダ131,132はその動作方向がZ軸方向に並行になるようにユニット本体105に装備されている。
各シリンダブラケット133,134は、円柱の軸方向中間部のみを小径化して形成される鼓状の部材であって、その中心線をZ軸方向に向けた状態で各エアシリンダ131,132の出力軸に装備されている。そして、インデックス106がY軸方向に沿って移動する際に、各昇降ブラケット107a〜110aの先端部が各シリンダブラケット133,134の小径化された部位の間を通過するように、各エアシリンダ131,132及び各シリンダブラケット133,134がユニット本体105に配置されている。
つまり、インデックス106がY軸方向に沿って移動を行うと、各昇降ブラケット107a〜110aはその並び順で各シリンダブラケット133,134の小径部の間を通過することとなるので、動作対象となるコーナーメスの昇降ブラケットがシリンダブラケット133又は134の小径部の間で停止するようにインデックス移動機構120のインデックスモータ121を制御することで、所定の昇降ブラケットとシリンダブラケットとが係合し、第1又は第2のエアシリンダ131,132の駆動により所定のコーナーメスを昇降動作させることが可能となる。
また、ユニット本体105の下面には、インデックス106が(1)コーナーメス101
の昇降ブラケット107aがシリンダブラケット133に係合する位置にある場合、(2)
コーナーメス102の昇降ブラケット108aがシリンダブラケット133に係合する位置にある場合、(3)コーナーメス103の昇降ブラケット109aがシリンダブラケット
134に係合する位置にある場合、(4)コーナーメス104の昇降ブラケット110aが
シリンダブラケット134に係合する位置にある場合の四つの位置にあることを検出する光学式のインデックスセンサ111(図8参照)を備えており、かかるセンサ検出によりインデックス106の位置決め制御を行っている。なお、これら(1)〜(4)の状態を各コーナーメス101〜104が作動位置にある状態というものとする。
なお、各シリンダブラケット133,134と各昇降ブラケット107a〜110aとの重合する範囲は、図7(C)に示すように、Y軸方向について幾分幅を有しているので、各シリンダブラケット133,134に対して各昇降ブラケット107a〜110aをY軸方向に幾分移動させても係合状態を維持することができる。そして、当該係合状態を維持することが可能な範囲で各コーナーメス101〜104をY軸方向に移動し、切断位置の位置調節を行うことを可能としている。
(玉縁縫いミシンの制御系)
図8は、玉縁縫いミシン10の動作制御手段80を含む制御系を示すブロック図である。
動作制御手段80には、所定の文字又は画像情報を表示すると共に各種の設定を行うための入力を行うための表示入力手段85と、縫製の開始を入力するスタートスイッチ87とが図示しない入出力回路を介して接続されている。また、動作制御手段80には、ミシン主軸モータ45の回転数を検出するエンコーダ88が入力回路88aを介して接続されており、所定の原点からの回転角度及び回転速度を検出することが可能となっている。
また、動作制御手段80には、その制御の対象となるミシン主軸モータ45,押さえモータ23,メスモータ57,ユニット移動モータ90,インデックスモータ121がそれぞれドライバ45a,23a,57a,90a,121aを介して接続されている。
また、バインダー30の上下動を行うエアシリンダ及び大押さえ21,21の昇降を行うエアシリンダをそれぞれ駆動する電磁弁(図示略)がドライバを介して動作制御手段80に接続されている。また同様に、センターメス51の作動状態と非作動状態とを切り替えるエアシリンダ65の電磁弁70とコーナーメスの昇降を行う第1と第2のエアシリンダ131,132の電磁弁135,136と縫い糸切断を行うメスを駆動するための図示しないメス駆動シリンダ駆動用の電磁弁89とがドライバ70a,135a,136a,89aを介して接続されている。
さらに、動作制御手段80には、前述したインデックスセンサ111が入力回路111aを介して接続されている。
また、動作制御手段80には、前述した針切り替えソレノイド43がドライバー43aを介して接続されている。
なお、コーナーメス機構は二基設けられているが、図8では、コーナーメス機構に関する構成は一基分のみ図示し、もう一基分は図示を省略するものとする。
動作制御手段80は、各種の処理及び制御を行うCPU81と、玉縁縫いミシン10の各種設定の入力処理を行う設定入力プログラムとミシンの動作制御を実行する動作制御プログラムとが書き込まれているROM82と、CPU81の処理において各種データを格納するワークエリアとしてのRAM83と、縫製データ及び各種の設定データを記録するEEPROM71とを備えている。
(玉縁縫いの動作制御における各種設定項目)
図9は、玉縁縫いを実行するために、予め表示入力手段85から動作制御手段80に対して入力が行われる各種の設定項目を示す図表である。これらの設定作業における表示入力手段85の表示制御並びに入力データの処理は全て前述した設定入力プログラムにより実行される。また、当該プログラムにより、下記の各項目の設定内容は、一連の縫製データとしてEEPROM内に記録される。
以下に各種の設定項目について説明する。
「L寸設定」とは、直線縫い目Sの縫い長さの設定である。
なお、左右の直線縫い目TL,LRの長さが等しい場合はそれらの値がL寸となり、図10の各図に示すように左右の直線縫い目TL、TRの長さが異なる場合には、長い方の縫い目の設定値として動作制御手段80に認識される。
「縫い始め偏差方向切り替え」とは、玉縁縫いの前端部側において左右の直線縫い目及びコーナー切れ目のいずれを前方にずらすか或いは左右とも揃えるかの設定である。
図11は表示入力手段85により表示される設定入力画面(1)を示す。上記「縫い始め
偏差方向切り替え」は切り替えボタンW1,2により入力される。
「縫い始め偏差量」とは、玉縁縫いの前端部側における左右の直線縫い目及びコーナー切れ目の布送り方向におけるズレ量の設定である。図11の設定入力画面(1)における増
減ボタンW3により入力される。
「縫い終わり偏差方向切り替え」とは、玉縁縫いの後端部側において左右の直線縫い目及びコーナー切れ目のいずれを前方にずらすか或いは左右とも揃えるかの設定である。図11の設定入力画面(1)における切り替えボタンW4,5により入力される。
「縫い終わり偏差量」とは、玉縁縫いの後端部側における左右の直線縫い目及びコーナー切れ目の布送り方向におけるズレ量の設定である。図11の設定入力画面(1)における
増減ボタンW6により入力される。
なお、上記「縫い始め偏差方向切り替え」、「縫い始め偏差量」、「縫い終わり偏差方向切り替え」、「縫い終わり偏差量」の項目は「直線切れ目を挟んで対向する前記二本の直線縫い目の端部の布送り方向に沿う偏差に係わる情報」に相当し、これらの設定入力を行うことで表示入力手段85は「偏差設定手段」として機能する。
「縫い始めコーナーメス左幅設定」とは、玉縁縫いの前端部側における左側の直線縫い目から左側のコーナー切れ目の左端部までのY軸方向における距離の設定である。
図12は表示入力手段85により表示される設定入力画面(2)を示す。上記「縫い始め
コーナーメス左幅設定」は増減ボタンW7により入力される。
「縫い始めコーナーメス右幅設定」とは、玉縁縫いの前端部側における右側の直線縫い目から右側のコーナー切れ目の右端部までのY軸方向における距離の設定である。図12の設定入力画面(2)における増減ボタンW8により入力される。
「縫い終わりコーナーメス左幅設定」とは、玉縁縫いの後端部側における左側の直線縫い目から左側のコーナー切れ目の左端部までのY軸方向における距離の設定である。
図13は表示入力手段85により表示される設定入力画面(3)を示す。上記「縫い終わ
りコーナーメス左幅設定」は増減ボタンW9により入力される。
「縫い終わりコーナーメス右幅設定」とは、玉縁縫いの後端部側における右側の直線縫い目から右側のコーナー切れ目の右端部までのY軸方向における距離の設定である。図13の設定入力画面(3)における増減ボタンW10により入力される。
表示入力手段85は、「縫い始めコーナーメス左幅設定」,「縫い始めコーナーメス右幅設定」,「縫い終わりコーナーメス左幅設定」,「縫い終わりコーナーメス右幅設定」の入力が行われることより、各コーナー切れ目の直線縫い目側の一端部と直線縫い目とのY軸方向に沿う距離を入力する距離入力手段として機能することとなる。
「センターメス動作位置設定」とは、センターメスによる切断開始位置と切断終了位置とを設定するための項目である。
センターメスによる切断開始位置は、図14(A)に示すように、玉縁縫いの前端部側における外側となる直線縫い目の端部から直線切れ目の端部までの縫い送り方向における距離差を入力することで設定される。
センターメスによる切断終了位置は、図14(B)に示すように、玉縁縫いの後端部側における外側となる直線縫い目の端部から直線切れ目の端部までの縫い送り方向における距離差を入力することで設定される。
そして、これらセンターメスによる切断開始位置または切断終了位置である「センターメス動作設定位置」は、それぞれ図15の入力設定画面(4)を表示して、これら画面に表示される増減ボタンW11,W12で設定することができる。
なお、玉縁縫いミシン10の動作制御手段80は、通常時(偏差を0とした場合を含む偏差が所定値以下の場合)には切断長の短いコーナーメス101,103を使用し、偏差が所定位置よりも大きく設定されると切断長の長いコーナーメス102,104を自動的に選択するように動作制御を行う(詳細は後述する)。そして、外側となるコーナー切れ目の根本部分と直線切れ目の端部とは、原則的には一致させる(例外的に設定により所望の長さだけずらす場合もある)。このため、上記制御により、通常よりも長いコーナーメス102,104が選択されると、通常のコーナーメス101,103が使用されることを前提とするセンターメスの動作位置設定では、外側となるコーナー切れ目の根本部分と直線切れ目の端部の位置が一致しなくなる。
従って、動作制御手段80のCPU81は、設定入力プログラムの実行により、「センターメス動作位置設定」の切断開始位置又は切断終了位置の設定が行われてから、「縫い始め偏差量」又は「縫い終わり偏差量」の設定が行われた場合には、それら偏差量の値を参照する。そして、その結果、偏差量がメス選択に関する所定の閾値(この玉縁縫いミシン10では4[mm])以下の場合には、図15の設定入力画面(4)の増減ボタンW11又はW12により設定されたEEPROM71内の切断開始位置又は切断終了位置の値をそのまま維持する。
また、偏差量の値がメス選択に関する所定の閾値を超える場合には、図15の設定入力画面(4)の増減ボタンW11又はW12により設定されたEEPROM71内の切断開始
位置又は切断終了位置の値に対して、長いコーナーメス102,104による布送り方向におけるコーナー切れ目長さから通常のコーナーメス101,103による布送り方向におけるコーナー切れ目長さを差し引いた値(ここでは11−7=4[mm])を加えて補正し、当該補正された切断開始位置又は切断終了位置の値をEEPROM71に記憶する。
従って、かかる補正が行われた後に再度、「センターメス動作位置設定」の設定画面を呼び出すと、図15の設定入力画面(4)に替えて図16の設定入力画面(5)が表示される。かかる設定入力画面(5)では、例えば、設定入力画面(4)で7[mm]が設定されていた場合に
は補正された11[mm]の値が表示されると共に補正が行われたことを示す吹き出しが表示される。
また、「センターメス動作位置設定」の切断開始位置又は切断終了位置の設定よりも先に「縫い始め偏差量」又は「縫い終わり偏差量」の設定が行われた場合には、「センターメス動作位置設定」の設定の際には、設定偏差量が閾値を超えるか否かを判定した上で、閾値以下であれば図15の設定入力画面(4)を表示し、閾値を超える場合は図16の設定
入力画面(5)を表示する。また、図15の設定入力画面(4)が表示されり場合には「センターメス動作位置設定」の切断開始位置又は切断終了位置のデフォルト値として通常使用されるコーナーメス101,103の布送り方向の切断長に等しい値(ここでは7[mm])が
表示され、図16の設定入力画面(5)が表示されり場合には「センターメス動作位置設定
」の切断開始位置又は切断終了位置のデフォルト値として長いコーナーメス102,104の布送り方向の切断長に等しい値(ここでは11[mm])が表示される。
上記各項目の他に、各コーナーメス101〜104の布送り方向切断長が設定入力される。なお、この実施形態では、各コーナーメス機構100A、100Bの短い方のコーナーメス101,103の布送り方向切断長はいずれも同じ長さDs(例えば7[mm])に統
一され、各コーナーメス機構100A、100Bの長い方のコーナーメス102,104の布送り方向切断長はいずれも同じ長さDl(例えば11[mm])に統一されているものとする(図7参照)。
(玉縁縫いの動作制御)
図17〜図19は玉縁縫いの動作制御を示すフローチャート、図20〜図23はコーナー切れ目の形成における各コーナーメス機構100A,100Bの位置関係を示す説明図である。なお、図20〜図23にあっては正面方向から見た配置を図示しているが対応関係の明確化のために玉布B及び身生地Mに限り平面視で図示するものとする。
上記フローチャートに示される処理は全て動作制御プログラムの実行によりCPU81は実行する処理である。以下に玉縁縫いの動作制御を説明する。
まず、CPU81は、表示入力手段85により設定入力された縫製データの読み出しを行う(ステップS1)。
次に、縫製データに従って縫製が開始される(ステップS2)。即ち、テーブル11上の縫い針41よりの後方の所定位置にセットされた身生地Mに対して大押さえ21,21が下降して保持し、所定位置まで移動し、さらに、大押さえ21,21の上に玉布Bが載置されると、バインダー30が上方から保持を行う。そして、各大押さえ21,21内に格納された折り込み板が互いにバインダー30に向かって前進移動し、これにより、玉布の両端部がバインダー30の上面側に折り込まれる。
そして、大押さえ21が押さえモータ23の駆動により前進移動を開始して身生地Mと玉布からなる布地を縫い針41に向かって搬送する。
そして、CPU81は、ミシン主軸モータ45の駆動を開始すると共に、「縫い始め偏差方向切り替え」の設定に従い、二本の縫い針41,41が同時に或いはいずれか設定されている縫い針41が縫製を開始するように針切り替えソレノイド43の動作制御を実行する。また、「縫い始め偏差量」が設定されている場合には、その値分の送りが行われてから針切り替えソレノイド43が二本目の縫い針41も縫製を開始するように動作制御を実行する。
次いで、CPU81は、「センターメス動作位置設定」の設定に従って、外側となる縫い目TL(又はTR)の先端部から設定距離の位置から直線切れ目Sの形成が開始されるように電磁弁70を介してセンターメス51の上下動を開始させる動作制御を実行する。なお、前述したように、「縫い始め偏差量」が所定値4[mm]を以下の場合には外側のコー
ナー切れ目VFL(又はVFR)を形成するコーナーメスについて切断長が短い方が選択され、4[mm]を超える場合には外側のコーナー切れ目を形成するコーナーメスについて切
断長が長い方が選択されることから、「縫い始め偏差量」に対応して設定された「センターメス動作位置設定」に応じて直線切れ目Sの切断が開始される。
なお、ここで「外側」とは、縫い範囲の前端部については二本の縫い針41,41により形成される二つの縫い目の内のより前側となるものを示し、縫い範囲の後端部については二つの縫い目の内のより後側となるものを示する。
そして、CPU81は、「L寸設定」と「縫い始め偏差方向切り替え」と「縫い終わり偏差量」に従って針切り替えソレノイド43の動作制御を実行し、それぞれの縫い目TL,TRの縫いを終了し、ミシン主軸モータ45の駆動を停止させる。
また、CPU81は、「センターメス動作位置設定」の設定に従って、外側となる縫い目TL(又はTR)の先端部から設定距離の前側の位置で直線切れ目Sの形成が終了するように電磁弁70を介してセンターメス51の上下動を停止させる動作制御を実行する。なお、前述したように、「縫い終わり偏差量」が所定値4[mm]を以下の場合には外側のコ
ーナー切れ目VRL(又はVRR)を形成するコーナーメスについて切断長が短い方が選択され、4[mm]を超える場合には外側のコーナー切れ目VRL(又はVRR)を形成する
コーナーメスについて切断長が長い方が選択されることから、「縫い終わり偏差量」に対応して設定された「センターメス動作位置設定」に応じて直線切れ目Sの切断が停止される。これにより、縫い目TL,TRと直線切れ目Sの形成が完了する。
縫い目TL,TRと直線切れ目Sの形成中に、CPU81は、布送り方向に移動を行わないコーナーメス機構100AのインデックスをY軸方向の中央位置に移動する(ステップS3)。なお、インデックスの中央位置では、内側のコーナーメス101,103の昇降ブラケット107a,109aがそれぞれシリンダブラケット133,134に係合可能な位置となるように設定されている。
また、縫い目TL,TRと直線切れ目Sの形成中に、CPU81は、布送り方向に移動可能なコーナーメス機構100BのインデックスをY軸方向の中央位置に移動する(ステップS4)。
さらに、縫い目TL,TRと直線切れ目Sの形成中に、CPU81は、ユニット移動モータ90を制御して、コーナーメス機構100Bをコーナーメス機構100Aに対して布送り方向前方に向かって移動して最初にコーナー切れ目の形成位置に搬送する(ステップS5)。
ここで、コーナーメス機構100Bの移動距離をCPU81が算出する方法について図20,図21に基づいて照射に説明する。図20は縫い目の形成が終わった直後の状態を示し、図21はコーナーメス機構100Bが最初にコーナー切れ目を形成する位置に移動した状態を示す。
各コーナーメス機構100A,100Bは、いずれも先に内側のコーナー切れ目を形成する。従って、上記ステップS5におけるコーナーメス機構100Bの移動距離Y1は前端の内側のコーナー切れ目の根本部分から後側の内側のコーナー切れ目の根本部分までの距離となる。縫い始め偏差量をCF、縫い終わり偏差量をCR、コーナーメスの布送り方向切断長をD、縫い範囲全長をAとすると、コーナーメス機構100Bの移動距離Y1は次式(1)により求めることができる。
Y1=A−CF−CR−2D …(1)
なお、縫い範囲Aは、一方の直線縫い目の前後両端部がいずれも内側となる玉縁縫い(ポケット開口形状が略杯型となる場合)には、「L寸設定」で設定されたLの値と等しくなる(A=L)。また、一方の直線縫い目の前端部が内側となり、他方の直線縫い目の後端部が内側となる玉縁縫い(ポケット開口形状が略平行四辺形型となる場合)には、「L寸設定」で設定されたL(長い方の直線縫い目の縫い長さ)にいずれか短い方の偏差の値を加えた長さ(A=L+CF或いはA=L+CR)となる。従って、CPU81は、Aの値を演算から求めて取得する。
各コーナーメス機構100A,100Bの位置が決まり、直線切れ目Sと縫い目TL,TRの形成が完了すると(ステップS6)、CPU81は、押さえモータ23の駆動により布地B,Mを図20の位置から図21に示す位置(コーナーメス機構100Aの切断位置)まで搬送する(ステップS7)。
そして、CPU81は、「縫い終わり偏差量」の設定から後端部側に偏差を設けるか否かを判定し(ステップS8)、偏差を設けない場合には並行縫いを実行する。
即ち、CPU81は、「縫い終わりコーナーメス右幅設定」の設定値を読み込んでコーナーメス機構100Aのインデックスモータ121を駆動し、インデックス106をY軸方向について設定値分位置補正を行い(図24参照)、電磁弁135により第1のエアシリンダ131を駆動してコーナーメス101を上昇させ、後側の右側コーナー切れ目を形成する(ステップS9)。
さらに、CPU81は、「縫い終わりコーナーメス左幅設定」の設定値を読み込んでコーナーメス機構100Aのインデックスモータ121を駆動し、インデックス106をY軸方向について設定値分位置補正を行い、電磁弁135により第2のエアシリンダ132を駆動してコーナーメス103を上昇させ、後側の左側コーナー切れ目を形成する(ステップS10)。そして、ステップS14に処理を進める。
一方、偏差を設けることが設定されている場合には、CPU81は、「縫い終わり偏差方向切り替え」の設定に基づいて左右の縫い目のいずれが外側となるかを判定する(ステップS11)。CPU81は、上記ステップS11の処理を行うことにより、「対向する前記直線縫い目の端部から前記直線縫い目に向けて形成される一対のコーナー切れ目のそれぞれが、前記直線切れ目の布送り方向中央部に対し内側と外側の何れに位置するかを判定するコーナー切れ目内外判定手段」として機能する。
そして、左のコーナー切れ目が外側となる場合には内側となる右のコーナー切れ目から先に切断動作を実行する。即ち、「縫い終わりコーナーメス右幅設定」の設定値を読み込んでコーナーメス機構100Aのインデックスモータ121を駆動し、インデックス106をY軸方向について設定値分位置補正を行い(図24参照)、電磁弁135により第1のエアシリンダ131を駆動してコーナーメス101を上昇させ、後側の右側コーナー切れ目を形成する(ステップS12)。そして、ステップS14に処理を進める。
また、右のコーナー切れ目が外側となる場合には内側となる左のコーナー切れ目から切断動作を実行する。即ち、「縫い終わりコーナーメス左幅設定」の設定値を読み込んでコーナーメス機構100Aのインデックスモータ121を駆動し、インデックス106をY軸方向について設定値分位置補正を行い(図24参照)、電磁弁135により第2のエアシリンダ132を駆動してコーナーメス103を上昇させ、後側の左側コーナー切れ目を形成する(ステップS13)。そして、ステップS14に処理を進める。
CPU81は、ステップS9,10,12,13の処理を行うことにより、「上下動機構130により上下動されるコーナーメスの直線切れ目側の一端部と直線切れ目とのY軸方向に沿う距離が設定された距離となるように位置決めモータとしてのインデックスモータ121を制御する」制御手段として機能する。
次いで、CPU81は、「縫い始め偏差量」の設定から前端部側に偏差を設けるか否かを判定する(ステップS14)。
そして、偏差を設けない場合には並行縫いを実行する。即ち、CPU81は、「縫い始めコーナーメス右幅設定」の設定値を読み込んでコーナーメス機構100Bのインデックスモータ121を駆動し、インデックス106をY軸方向について設定値分位置補正を行い(図24参照)、電磁弁135により第1のエアシリンダ131を駆動してコーナーメス101を上昇させ、前側の右側コーナー切れ目を形成する(ステップS15)。
さらに、CPU81は、「縫い始めコーナーメス左幅設定」の設定値を読み込んでコーナーメス機構100Bのインデックスモータ121を駆動し、インデックス106をY軸方向について設定値分位置補正を行い(図24参照)、電磁弁135により第2のエアシリンダ132を駆動してコーナーメス103を上昇させ、前側の左側コーナー切れ目を形成する(ステップS16)。そして、ステップS20に処理を進める。
一方、偏差を設けることが設定されている場合には、CPU81は、「縫い始め偏差方向切り替え」の設定に基づいて左右の縫い目のいずれが外側となるかを判定する(ステップS17)。CPU81は、上記ステップS17の処理を行うことにより、「対向する前記直線縫い目の端部から前記直線縫い目に向けて形成される一対のコーナー切れ目のそれぞれが、前記直線切れ目の布送り方向中央部に対し内側と外側の何れに位置するかを判定するコーナー切れ目内外判定手段」として機能する。
そして、左のコーナー切れ目が外側となる場合には内側となる右のコーナー切れ目から先に切断動作を実行する。即ち、「縫い始めコーナーメス右幅設定」の設定値を読み込んでコーナーメス機構100Bのインデックスモータ121を駆動し、インデックス106をY軸方向について設定値分位置補正を行い(図24参照)、電磁弁135により第1のエアシリンダ131を駆動してコーナーメス101を上昇させ、前側の右側コーナー切れ目を形成する(ステップS18)。そして、ステップS20に処理を進める。
また、右のコーナー切れ目が外側となる場合には内側となる左のコーナー切れ目から切断動作を実行する。即ち、「縫い始めコーナーメス左幅設定」の設定値を読み込んでコーナーメス機構100Bのインデックスモータ121を駆動し、インデックス106をY軸方向について設定値分位置補正を行い(図24参照)、電磁弁135により第2のエアシリンダ132を駆動してコーナーメス103を上昇させ、前側の左側コーナー切れ目を形成する(ステップS19)。そして、ステップS20に処理を進める。
CPU81は、ステップS15,16,18,19の処理を行うことにより、「上下動機構130により上下動されるコーナーメスの前記直線切れ目側の一端部と前記直線切れ目との布送り方向(Y軸方向)に沿う距離が前記設定された距離となるように前記位置決めモータ(インデックスモータ121)を制御する制御手段」として機能する。
ステップS20では、CPU81は、「縫い終わり偏差量」の設定から後端部側に偏差を設けるか否かを再び判定する。
そして、偏差を設けない設定の場合にはステップS27に処理を進める。
また、後端部に偏差を設ける設定の場合には、「縫い終わり偏差量」が規定値である4[mm]よりも大きいか否かを判定する(ステップS21)。CPU81は、上記ステップS
21の処理を行うことにより、「偏差入力手段により入力された偏差が所定の値を超えたか否かを判定する偏差判定手段」として機能する。
その結果、「縫い終わり偏差量」が規定値である4[mm]以下の場合にはステップS23
に処理を進め、「縫い終わり偏差量」が規定値である4[mm]よりも大きい場合には、コー
ナーメス機構100Aのインデックス106をY軸方向に駆動して、切断長の長いコーナーメスを作動位置に位置決めする(ステップS12を経ている場合にはコーナーメス104を選択し、ステップS13を経ている場合にはコーナーメス102を選択する)(ステップS22)。
ステップS23では、固定側のコーナーメス機構100Aのコーナーメスを布地の縫い後端部の外側となるコーナー切れ目の形成位置に位置決めするために、図22に示すように、大押さえ送り機構20の押さえモータ23により布地M,Tが搬送される。かかる搬送距離Y2は、短いコーナーメス101又は103が使用される場合には縫い終わり偏差量CRと一致し、Y2=CRとなる。また、長いコーナーメス102又は104が使用される場合には、Y2=CR−(Dl−Ds)となる。
次いで、CPU81は、再び、「縫い終わり偏差方向切り替え」の設定に基づいて左右の縫い目のいずれが外側となるかを判定する(ステップS24)。CPU81は、上記ステップS24の処理を行うことにより、「対向する前記直線縫い目の端部から前記直線縫い目に向けて形成される一対のコーナー切れ目のそれぞれが、前記直線切れ目の布送り方向中央部に対し内側と外側の何れに位置するかを判定するコーナー切れ目内外判定手段」として機能する。
そして、左のコーナー切れ目が外側となる場合には当該左のコーナー切れ目の切断動作を実行する。即ち、「縫い終わりコーナーメス左幅設定」の設定値を読み込んでコーナーメス機構100Aのインデックスモータ121を駆動し、インデックス106をY軸方向について設定値分位置補正を行い(図24参照)、電磁弁136により第2のエアシリンダ132を駆動してコーナーメス103又は104を上昇させ、後側の左側コーナー切れ目を形成する(ステップS25)。そして、ステップS27に処理を進める。
また、右のコーナー切れ目が外側となる場合には当該右のコーナー切れ目の切断動作を実行する。即ち、「縫い終わりコーナーメス右幅設定」の設定値を読み込んでコーナーメス機構100Aのインデックスモータ121を駆動し、インデックス106をY軸方向について設定値分位置補正を行い(図24参照)、電磁弁135により第1のエアシリンダ131を駆動してコーナーメス101又は102を上昇させ、後側の右側コーナー切れ目を形成する(ステップS26)。そして、ステップS27に処理を進める。
CPU81は、ステップS25,26の処理を行うことにより、「上下動機構130により上下動されるコーナーメスの前記直線切れ目側の一端部と前記直線切れ目との布送り方向(Y軸方向)に沿う距離が前記設定された距離となるように前記位置決めモータ(インデックスモータ121)を制御する制御手段」として機能する。
ステップS27では、CPU81は、「縫い始め偏差量」の設定から前端部側に偏差を設けるか否かを再び判定する。
そして、偏差を設けない設定の場合にはステップS34に処理を進める。
また、前端部に偏差を設ける設定の場合には、「縫い始め偏差量」が規定値である4[mm]よりも大きいか否かを判定する(ステップS28)。CPU81は、上記ステップS28の処理を行うことにより、「偏差入力手段により入力された偏差が所定の値を超えたか否かを判定する偏差判定手段」として機能する。
その結果、「縫い始め偏差量」が規定値である4[mm]以下の場合にはステップS30に処理を進め、「縫い始め偏差量」が規定値である4[mm]よりも大きい場合には、コーナーメス機構100Bのインデックス106をY軸方向に駆動して、切断長の長いコーナーメスを作動位置に位置決めする(ステップS18を経ている場合にはコーナーメス104を選択し、ステップS19を経ている場合にはコーナーメス102を選択する)(ステップS29)。
ステップS30では、移動側のコーナーメス機構100Bのコーナーメスを布地の縫い前端部の外側となるコーナー切れ目の形成位置に位置決めするために、図22に示すように、ユニット移動モータ90によりコーナーメス機構100Bが搬送される。かかる搬送距離Y3は、短いコーナーメス101又は103が使用される場合には、前述した布地の搬送量Y2に縫い始め偏差量CFを加えた距離に一致し、Y3=Y2+CFとなる。また、長いコーナーメス102又は104が使用される場合には、Y3=Y2+CF−(Dl−Ds)となる。
次いで、CPU81は、「縫い始め偏差方向切り替え」の設定に基づいて左右の縫い目のいずれが外側となるか(縫い目のいずれが長いか)を判定する(ステップS31)。CPU81は、上記ステップS31の処理を行うことにより、「対向する前記直線縫い目の端部から前記直線縫い目に向けて形成される一対のコーナー切れ目のそれぞれが、前記直線切れ目の布送り方向中央部に対し内側と外側の何れに位置するかを判定するコーナー切れ目内外判定手段」として機能する。
そして、左のコーナー切れ目が外側となる場合には当該左のコーナー切れ目の切断動作を実行する。即ち、「縫い始めコーナーメス左幅設定」の設定値を読み込んでコーナーメス機構100Bのインデックスモータ121を駆動し、インデックス106をY軸方向について設定値分位置補正を行い(図24参照)、電磁弁136により第2のエアシリンダ132を駆動してコーナーメス103又は104を上昇させ、前側の左側コーナー切れ目を形成する(図23参照:ステップS32)。そして、ステップS34に処理を進める。
また、右のコーナー切れ目が外側となる場合には当該右のコーナー切れ目の切断動作を実行する。即ち、「縫い始めコーナーメス右幅設定」の設定値を読み込んでコーナーメス機構100Bのインデックスモータ121を駆動し、インデックス106をY軸方向について設定値分位置補正を行い(図24参照)、電磁弁135により第1のエアシリンダ131を駆動してコーナーメス101又は102を上昇させ、前側の右側コーナー切れ目を形成する(図23参照:ステップS33)。そして、ステップS34に処理を進める。
CPU81は、ステップS32,33の処理を行うことにより、「上下動機構130により上下動されるコーナーメスの前記直線切れ目側の一端部と前記直線切れ目との布送り方向(Y軸方向)に沿う距離が前記設定された距離となるように前記位置決めモータ(インデックスモータ121)を制御する制御手段」として機能する。
ステップS34では、各コーナーメス機構100A,100Bのインデックス106を中央に戻すと共にコーナーメス機構100Bを当初の位置に移動させる。
そして、大押さえ送り機構20は、各大押さえ21をに移動して縫製を終了する(ステップS35)。
(玉縁縫いミシンの作用効果)
玉縁縫いミシン10の動作制御手段80は、設定入力プログラムの実行により、設定入力された偏差量が既定値(実施形態では4[mm])よりも大きい場合には、外側となるコー
ナーメスについてのみ、通常使用されるコーナーメス101又は103(偏差量が規定以下の場合に使用されるコーナーメス)よりも切断長の大きなコーナーメス102又は104を使用する設定に切り替える。その結果、直線切れ目の切断長を決定する玉縁縫いの前端部又は後端部について、「センターメス動作位置設定」の標準設定値(デフォルト値)を大きなコーナーメスに応じた値に切り替えることができる(例えば、通常のコーナーメスを使用する場合には7[mm]、大きなコーナーメスを使用する場合には11[mm])。
このため、上記設定プログラムに従って設定が行われた後に縫製を実行すると、「前記搬送方向(X軸方向)一端側の外側コーナー切れ目の直線縫い目側端部(根本部分)から前記搬送方向他端側の外側コーナー切れ目の前記直線縫い目側端部(根本部分)まで直線切れ目Sを形成するように前記メスモータ57及び布送り機構(大押さえ送り機構20)を制御する制御手段」として動作制御手段80のCPU81は機能することとなる。
そして、上述のように、設定入力された偏差量が既定値を超える場合には、設定入力プログラムの実行により、外側のコーナーメスについては自動的に大きなコーナーメス102,104が使用される設定となると共に、動作制御プログラムの実行により、設定された大きなコーナーメス102,104によりコーナー切れ目が形成される。さらに、動作制御プログラムの実行により、縫い範囲の一端の外側のコーナー切れ目の根本部分から他端の外側のコーナー切れ目の根本部分まで直線切れ目Sが形成されるように動作制御が行われる。これにより、図25に示すように、外側のコーナー切れ目VLの根本部分から内側のコーナー切れ目VRの根本部分までのセンターメス51により切断される直線切れ目の切断長Snを外側のコーナーメスとして短いコーナーメスが選択された場合の切断長Soよりも短くすることができる。このため、当該切断長が長くなることを原因として発生する、内側のコーナーメスの切断時の昇降動作における布地の捲り上がりを抑制することが可能となり、切断不良をより解消し、より良好且つ正確なコーナー切れ目の形成を行うことが可能となる。
また、動作制御プログラムの実行により、各コーナー切れ目の形成の際には、コーナーメスの根本部分から直線切れ目Sまでの距離を「縫い始めコーナーメス右幅設定」,「縫い始めコーナーメス左幅設定」,「縫い終わりコーナーメス右幅設定」,「縫い終わりコーナーメス左幅設定」のいずれかになるようにインデックスモータ121の制御を行っている。このため、特に、偏差が設定されて縫いの前後端部における内側に形成されるコーナー切れ目について、図26に示すように、直線切れ目Sから離れるように「幅設定」を行うことにより、内側のコーナーメスの切断時の昇降動作における布地の捲り上がりによる直線縫い目側への切断不足を補うことが可能となり、より良好且つ正確なコーナー切れ目の形成を行うことが可能となる。
なお、直線切れ目Sから離れるようにコーナーメスの「幅設定」を行うと、図27(A)に示すように、当該コーナーメスの頂点が直線切れ目よりも外側に位置することとなるが、図27(B)〜(C)に示すように、コーナーメスの上昇が進行する過程で歯先Eが布端に当接し、切断は問題なく行われる。
(その他)
なお、上記玉縁縫いミシン10では、偏差の設定値が規定値より大きくなるとコーナーメスを切断長の長いものに切り替えるように設定されるが、その規定値は、例えば、左右両方とも通常のコーナーメス101,103を使用する条件下で試験を行い、布地の捲れ上がりによる切断不良を生じる偏差の値を事前に求めて決定することが望ましい。
また、「縫い始め偏差方向切り替え」と「縫い始め偏差量」とを別々の設定項目で設定し、また、「縫い終わり偏差方向切り替え」と「縫い終わり偏差量」とを別々の設定項目で設定しているが、例えば、「縫い始め偏差量」、「縫い終わり偏差量」の設定の際に、「+」の数値は一方の直線縫い目(例えばTL)の端部を外側とする偏差の設定を示し、「−」の数値は他方の直線縫い目(例えばTR)の端部を外側とする偏差の設定を示ステッピングモータのと予め定めておくことで、「偏差情報」の設定をより簡易に行うことも可能である。
また、玉縁縫いミシン10では、偏差に応じて切断長の異なるコーナーメスに切り替える制御と、コーナーメスの根本部分から直線切れ目Sまでの距離が「縫い始めコーナーメス右幅設定」,「縫い始めコーナーメス左幅設定」,「縫い終わりコーナーメス右幅設定」,「縫い終わりコーナーメス左幅設定」の設定値となるようにする制御とを併用して行っているが、これらのいずれか一方しか実施しない構成としても良い。つまり、いずれか一方の制御のみを実施する場合であっても、偏差が設定されることによる内側のコーナーメスの切断時の昇降動作における布地の捲り上がりによる直線縫い目側への切断不足を解消することが可能である。
前述したコーナーメス機構では左右それぞれについて二種類の長さのコーナーメスを装備しているが、より多くの種類のコーナーメスを用意しても良いことはいうまでもない。その場合、最も切断長の長いコーナーメスについては偏差が規定値よりも大きき場合の縫いにおける外側のコーナー切れ目の形成用としてのみ用いることが望ましい。
また、上記コーナーメス機構100A,100Bは、いずれもインデックス106をインデックスモータ121によりY軸方向における任意の位置に位置決め可能としたが、「縫い始めコーナーメス右幅設定」,「縫い始めコーナーメス左幅設定」,「縫い終わりコーナーメス右幅設定」,「縫い終わりコーナーメス左幅設定」のようなY軸方向における微調整を不要とする場合には、インデックスモータ121に替えて複数の定位置での位置切り替え駆動が可能なエアシリンダやソレノイドを使用しても良い。
図28は、二位置切替可能な二つのエアシリンダ125、126を用いてインデックス106の位置切替駆動を実現可能な構成例を示す概略図である。エアシリンダ125,126以外の構成は前述のものと同じであるため同符号を付して重複する説明は省略する。
インデックス106はユニット本体105に対してY軸方向に沿って移動可能に支持されている。エアシリンダ125は、二位置間で進退を行うプランジャ部の先端部がインデックス106に固定連結されている。一方、エアシリンダ126は、二位置間で進退を行うプランジャ部がインデックス106の側面に当接することにより当該インデックス106を二位置で停止させるストッパとして機能する。
インデックス106は、コーナーメス102の昇降ブラケット108aがシリンダブラケット133に係合する位置(最左方位置:図28(A))と、コーナーメス101,102の昇降ブラケット107a,108aがシリンダブラケット133,134に係合する位置(中央位置:図28(B))と、コーナーメス104の昇降ブラケット110aがシリンダブラケット134に係合する位置(最右方位置:図28(C))と切り替え可能である必要がある。
エアシリンダ125は、そのプランジャの移動範囲がインデックス106を最左方位置と最右方位置の二位置に切り替え可能に設定されている。一方、エアシリンダ126は、そのプランジャの移動範囲が、最左方位置にあるインデックス106よりも左方となる非干渉位置とインデックス106に当接して中央位置とする二位置に切り替え可能に設定されている。さらに、エアシリンダ126はエアシリンダ125よりも強力に位置保持を行うことができるものが使用される。
これにより、コーナーメス102の昇降ブラケット108aがシリンダブラケット133に係合する位置にインデックスの位置合わせを行う場合には、エアシリンダ125を最左方位置とし、エアシリンダ126を非干渉位置とする。
また、コーナーメス101,102の昇降ブラケット107a,108aがシリンダブラケット133,134に係合する位置にインデックス106の位置合わせを行う場合には、エアシリンダ125を最左方位置に引き寄せたままエアシリンダ126を中間位置に合わせると、エアシリンダ126がエアシリンダ125に押し勝ってインデックス106を中央位置に合わせることができる。
さらに、コーナーメス104の昇降ブラケット110aがシリンダブラケット134に係合する位置にインデックスの位置合わせを行う場合には、エアシリンダ125を最右方位置とし、エアシリンダ126を非干渉位置(いずれの位置でも良い)とする。
以上の操作により、インデックス106を三位置に切り替えることができ、各コーナーメス101〜104を用いた切断動作を行うことが可能となる。
また、上記コーナーメス機構100A,100Bのインデックス移動機構120は、いずれも、ボールネジ機構を採用することでインデックス106をインデックスモータ121によりY軸方向における任意の位置に位置決め可能としたが、同様の機能を実現可能であればボールネジ機構に限らず他の機構を採用しても良い。
図29はボールネジ機構に替えてスライダクランク機構を採用したインデックス移動機構220の斜視図を示し、図30(A)〜(C)は各コーナーメス101〜104の選択を行うための三つの位置決め箇所に位置決め動作を行う動作説明図である。
かかるインデックス移動機構220は、出力軸をX軸方向に向けてユニット本体105に固定支持されたステッピングモータからなる位置決めモータとしてのインデックスモータ221と、インデックスモータ221の出力軸に設けられて回動動作を行うクランクアーム222と、インデックス106に固定連結されてY軸方向に沿って直動往復動作を行うスライダ部材223と、スライダ部材223とクランクアーム222の回動端部とを連結するクランクロッド224とを備えている。
かかる構成により、インデックス移動機構220は、インデックスモータ221の出力によりクランクアーム222がX軸回りの回動動作を行うと、インデックス106と共にY軸方向に沿った方向にのみ移動が可能なスライダ部材223に対して、クランクロッド224を介してY軸方向に沿った移動成分のみが伝達される。このとき、図30に示すように、インデックスモータ221の出力軸221aの高さとクランクロッド224とスライダ部材223とを回動可能に連結する連結軸225の高さとは一致するように設定されているため、インデックス106及びスライダ部材223を、クランクアーム222の軸間距離(インデックスモータ221の出力軸の中心線とクランクアーム222とクランクロッド224を連結する連結軸の中心線との間の距離)の二倍の長さの往復移動範囲で往復させることが可能となる。
前述したように、インデックス106は、最左方位置と中央位置と最右方位置の三位置に位置決めが行われる(図28(A)〜(C)参照)。これら三位置の内の最左方位置と最右方位置とがそれぞれ往復移動範囲の一端部近傍と他端部近傍に位置するように、クランクアーム222及びクランクロッド224の長さが定められる。
スライダクランク機構を採用していため、インデックス106の往復移動範囲内における両端部への移動の際には、図30(A),(C)に示すように、インデックスモータ221の回転角度に対するインデックス106の移動量変化が非常に小さくなる。従って、最左方位置と最右方位置とへの位置決めの際には急停止を回避し、滑らかに停止させることが可能となる。このため、振動、騒音、位置ズレなどを効果的に抑制することが可能となる。
なお、中央位置への移動の際には、インデックスモータ221の回転角度に対するインデックス106の移動量変化が最大となるが、中央位置は、往復移動範囲の全長の半分の長さに過ぎないので、振動、騒音、位置ズレ等の影響は少なく、実用上は許容される範囲である。
また、図30に示すように、最左方位置と最右方位置とは、インデックス106の往復移動範囲の末端に完全に一致させることも可能であるが、それぞれ末端よりも幾分内側に設定することが望ましい。末端よりも幾分内側に設定することにより、末端までの移動距離分を、前述した「縫い始めコーナーメス右幅設定」,「縫い始めコーナーメス左幅設定」,「縫い終わりコーナーメス右幅設定」,「縫い終わりコーナーメス左幅設定」のようなY軸方向における微調整に割り当てることができるからである。
玉縁縫いミシンの全体の概略構成を示す斜視図である。 斜め形状のポケット開口部を形成する玉縁縫いにおけるセンターメスによる直線状の切れ目とコーナーメスによる切れ目と二本針による縫い目の配置の関係を示す説明図である。 針上下動機構の斜視図である。 針上下動機構及びセンターメス機構の切断可能状態を示す斜視図である。 各コーナーメス機構の斜視図である。 各コーナーメスの装備状態を示す拡大斜視図である。 図7(A)は上下動を行うコーナーメスの選択動作を示す説明図、図7(B)は各コーナーメスの調整例を示す説明図、図7(C)はシリンダブラケットに対する昇降ブラケットの係合状態を示す説明図である。 玉縁縫いミシンの動作制御手段を含む制御系を示すブロック図である。 玉縁縫いを実行するために予め表示入力手段から動作制御手段に対して入力が行われる各種の設定項目を示す図表である。 図10(A)から図10(D)はいずれも、左右の直線縫い目の長さが異なる場合にいずれの長さがL寸となるかを示す説明図である。 表示入力手段により表示される設定入力画面(1)の表示例を示す。 表示入力手段により表示される設定入力画面(2)の表示例を示す。 表示入力手段により表示される設定入力画面(3)の表示例を示す。 図14(A)はセンターメスによる切断開始位置を示す説明図、図14(B)はセンターメスによる切断終了位置を示す説明図である。 表示入力手段により表示される設定入力画面(4)の表示例を示す。 表示入力手段により表示される設定入力画面(5)の表示例を示す。 玉縁縫いの動作制御を示すフローチャートである。 玉縁縫いの動作制御を示す図17の処理に続くフローチャートである。 玉縁縫いの動作制御を示す図18の処理に続くフローチャートである。 コーナー切れ目の形成における各コーナーメス機構の位置関係を示す説明図である。 コーナー切れ目の形成における各コーナーメス機構の位置関係を示す説明図である。 コーナー切れ目の形成における各コーナーメス機構の位置関係を示す説明図である。 コーナー切れ目の形成における各コーナーメス機構の位置関係を示す説明図である。 インデックスのY軸方向における微細な位置調節を示す説明図である。 本願発明の特徴による効果説明を行うための説明図である。 本願発明の特徴による他の効果説明を行うための説明図である。 図27(A)〜(C)は位置調節後のコーナーメスの切断動作を順番に示す説明図である。 インデックス移動機構の他の例の動作説明図であって図28(A)はインデックスの最左位置にある状態を示し、図28(B)はインデックスの中央位置にある状態を示し、図28(C)はインデックスの最右位置にある状態を示す。 ボールネジ機構に替えてスライダクランク機構を採用したインデックス移動機構の斜視図を示す。 図30(A)〜(C)は各コーナーメスの選択を行うための三つの位置決め箇所に位置決め動作を行う動作説明図である。 従来技術の問題点を説明するためのコーナー切れ目形成時における状態説明図であって図31(A),は切断開始前、図31(B)は切断開始直後を示す。
符号の説明
10 玉縁縫いミシン
20 大押さえ送り機構(布送り機構)
21 大押さえ
40 針上下動機構
41 縫い針
42 針棒
43 針切り替えソレノイド
50 センターメス機構(動メス機構)
51 センターメス(動メス)
71 EEPROM
80 動作制御手段
81 CPU
85 表示入力手段(距離入力手段)
90 ユニット移動モータ
100A,100B コーナーメス機構
101,102,103,104 コーナーメス
105 ユニット本体
106 インデックス
107,108,109,110 取付台
107a,108a,109a,110a昇降ブラケット
120,220 インデックス移動機構(選択機構)
121 インデックスモータ(位置決めモータ)
130 上下動機構
131 第1のエアシリンダ(右側のコーナー切れ目形成)
132 第2のエアシリンダ(左側のコーナー切れ目形成)
133,134 シリンダブラケット
A 縫い範囲全長
B 玉布
CF,CR 偏差
Ds 短い方のコーナーメスの布送り方向切断長
Dl 長い方のコーナーメスの布送り方向切断長
F 布送り方向
h1,h2 コーナー切れ目のY軸方向における幅
M 身生地
S 直線状の切れ目(ポケット穴)
TL,TR 縫い目
VFL,VFR,VRL,VRR コーナー切れ目

Claims (5)

  1. 身生地及び玉布に平行な二本の直線縫い目を形成する二本の縫い針を上下動する針上下動機構と、
    身生地及び玉布を保持して搬送する布送り機構と、
    前記二本の直線縫い目の間に直線切れ目を形成する動メス機構と、
    前記二本の直線縫い目の端部と直線縫い目に挟まれる前記直線切れ目の端部との間にコーナー切れ目を形成可能なコーナーメス機構と、
    前記二本の直線縫い目を、布送り端部位置がそれぞれ布送り方向について異なる位置となるように形成すると共に、前記コーナー切れ目が前記二本の直線縫い目の端部から前記直線切れ目に向かう方向に形成された斜めコーナー切れ目を形成するように前記各機構を制御する制御手段と、
    を備えた玉縁縫いミシンにおいて、
    前記コーナーメス機構は、前記直線切れ目の両端部にそれぞれ対応して設けられ、
    前記各コーナーメス機構は、直線切れ目を挟んだ両側のそれぞれについて切断長の異なる複数種類のコーナー切れ目を形成する複数のコーナーメスを保有し、前記両側の複数のコーナーメスの中から一対のコーナーメスを選択する選択機構と、前記選択された前記一対のコーナーメスを上下動させる上下動機構とを備えると共に、
    前記直線切れ目を挟んで対向する前記二本の直線縫い目の端部の布送り方向に沿う偏差に係わる情報を設定する偏差設定手段と、
    前記設定された偏差情報に基づいて、前記直線切れ目を挟んで対向する前記二本の直線縫い目の端部の布送り方向に沿う偏差が所定の値を超えたか否かを判定する偏差判定手段と、
    前記設定された偏差情報に基づいて、前記対向する前記直線縫い目の端部から前記直線切れ目の端部に向けて形成される一対のコーナー切れ目のそれぞれが、前記直線切れ目の布送り方向中央部に対し内側と外側の何れに位置するかを判定するコーナー切れ目内外判定手段と、を備え、
    前記制御手段は、
    前記偏差判定手段により前記偏差が前記所定の値より小さいと判定された場合には、前記内側と判定されたコーナー切れ目を前記外側と判定されたコーナー切れ目に対し前記偏差量だけ布送り方向にずれた位置に形成するように前記布送り機構及び前記コーナーメス機構を制御すると共に、
    前記偏差判定手段により前記偏差が前記所定の値より大きいと判定された場合には、前記外側と判定されたコーナー切れ目を形成するコーナーメスとして、前記偏差が小さいと判定された場合に使用されるものに比べてより切断長が長いものを選択するように前記選択機構を制御することを特徴とする玉縁縫いミシン。
  2. 前記コーナー切れ目の前記直線縫い目側の一端部と前記直線縫い目との布送り方向と直交する方向に沿う距離を入力する距離入力手段を備え、
    前記選択機構は、前記各コーナーメスを前記布送り方向と直交する方向に移動させる位置決めモータを有し、
    前記制御手段は、前記上下動機構により上下動されるコーナーメスの前記直線切れ目側の一端部と前記直線切れ目との布送り方向と直交する方向に沿う距離が前記設定された距離となるように前記位置決めモータを制御することを特徴とする請求項1記載の玉縁縫いミシン。
  3. 前記動メス機構は、前記身生地及び玉布の搬送経路上で上下動可能に支持された動メスと、当該動メスを上下動させるメスモータとを備え、
    前記制御手段は、前記搬送方向一端側の外側コーナー切れ目の前記直線縫い目側端部から前記搬送方向他端側の外側コーナー切れ目の前記直線縫い目側端部まで直線切れ目を形成するように前記メスモータ及び布送り機構を制御することを特徴とする請求項1又は2記載の玉縁縫いミシン。
  4. 前記選択機構は、
    回転駆動力を直動往復動作に変換するスライダクランク機構により前記コーナーメスを選択するための直動往復動作を行うこと特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の玉縁縫いミシン。
  5. 前記選択機構は、前記直動往復動作の往復移動範囲の複数箇所に位置決めを行うことで前記コーナーメスの選択を行うと共に、前記往復移動範囲の少なくとも両端部に前記コーナーメスの選択を行うための位置決め箇所が設定されていること特徴とする請求項4記載の玉縁縫いミシン。
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