JP2008220621A - ドラム式洗濯乾燥機 - Google Patents
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Abstract
【課題】正逆弧回転駆動モードによる解し効果およびそれによる乾燥の促進を有効に図りながら、正逆連続回転駆動モードの併用によって、正逆弧回転駆動モードを無駄に実行せず省エネも図れるようにする。
【解決手段】開口する正面側から底部となる背面側に向けて回転軸方向が水平または水平方向から下向き傾斜とした回転ドラム4の乾燥工程での駆動に関し、90度を超え200度未満の急正弧回転と急逆弧回転を交互に繰り返す正逆弧回転駆動モードと、回転ドラム4の回転によって持ち上げられた洗濯物21がその自重が勝る高さから落下する挙動を示す回転速度での回転ドラム4の連続回転を正逆交互に繰り返す正逆連続回転駆動モードとを交互に実行し、前記正逆弧回転駆動モードの前記正逆連続回転駆動モードに対する実行割合を、前半よりも後半で低くすることによって上記の目的を達成する。
【選択図】図8
【解決手段】開口する正面側から底部となる背面側に向けて回転軸方向が水平または水平方向から下向き傾斜とした回転ドラム4の乾燥工程での駆動に関し、90度を超え200度未満の急正弧回転と急逆弧回転を交互に繰り返す正逆弧回転駆動モードと、回転ドラム4の回転によって持ち上げられた洗濯物21がその自重が勝る高さから落下する挙動を示す回転速度での回転ドラム4の連続回転を正逆交互に繰り返す正逆連続回転駆動モードとを交互に実行し、前記正逆弧回転駆動モードの前記正逆連続回転駆動モードに対する実行割合を、前半よりも後半で低くすることによって上記の目的を達成する。
【選択図】図8
Description
本発明は、有底円筒形に形成された回転ドラムを、開口する正面側から底部となる背面側に向けて回転軸方向が水平または水平方向から下向き傾斜となるようにして水槽内に設置し、回転ドラムを回転駆動することにより回転ドラム内に収容した洗濯物を洗濯し乾燥するドラム式洗濯乾燥機に関するものである。
このようなドラム式洗濯乾燥機は本発明の実施の形態を示す図1を参照して、筐体1内にサスペンション構造によって支持された水槽2内に、多数の孔3が形成された回転ドラム4が配設され、回転ドラム4はモータ5によって回転駆動され、筐体1の正面側に開閉自在に設けられた扉6を開くことにより水槽2の正面開口部および回転ドラム4の正面開口部を通して洗濯物を回転ドラム4内から出し入れできるように構成され、給水系7、排水系11、送風機12により水槽2および回転ドラム4内の空気を吸引して除湿および加熱を順次に行い乾いた高温空気として水槽2および回転ドラム4内に送風することを繰り返す乾燥系13を装備している。
従来の通常の洗濯、乾燥モードでは、扉6を開いて回転ドラム4内に洗濯物を投入し、洗剤の投入を伴い運転を開始させると、水槽2内には給水系7から給水がなされ、給水された水は孔3を通じて回転ドラム4内にも所要量の水が給水される。モータ5により回転ドラム4が所定回転速度で回転駆動されると、回転ドラム4内に収容された洗濯物は回転ドラム4の内周面に設けられた攪拌突起8に引っ掛けられて回転方向に持ち上げられ、適当な高さから落下することにより、洗濯物には叩き洗いの作用が加えられることにより洗濯がなされる。この洗濯工程の後、汚れた洗濯水は排水系11により排水され、新たに給水された水を用いてすすぎ工程が実施され、すすぎ工程が終了すると回転ドラム4を高速回転させて脱水工程が実施される。脱水工程が終了すると回転ドラム4の回転による攪拌を伴い乾燥系13により水槽2および回転ドラム4内の空気を除湿および加熱を順次に行って循環させることで脱水後の洗濯物を乾燥させる。これらの工程は所定の制御手順に基づいて自動実行される。
ところで、洗濯物は洗濯工程やすすぎ工程の連続回転、特に脱水工程での回転ドラムの例えば1000rpmといった高速度での連続回転によって、絡んだり、貼り付いたりすることが既に技術課題とされ(例えば、特許文献1参照。)、特許文献1は回転ドラムのモータによる直結駆動での回転制御の自由度向上を利用して、脱水工程後に回転ドラムを90度以下の微小回転角内で、特に10度以上30度未満の微小回転角で複数回正逆回転させることにより、回転ドラム内に貼り付いた洗濯物を剥がしたり、回転ドラム内の上部で固まった状態の洗濯物を解したりすることができ、さらに脱水時のアンバランスの解消を図ったり、乾燥後の洗濯物の取り出し勝手をよくしたりできる技術を開示している。
特開2000−254385号公報
しかし、特許文献1に記載の技術のように洗濯物を回転ドラム内面に十分に貼り付かせられる55rpm程度の速度で実行されても、90度以下の微小回転角内で、特に10度以上30度未満の微小回転角で複数回正逆回転させるだけであるため、実質的には、微小角回転開始から終了までを等速では行えず、途中の微小角未満域だけが所定速度となり、その前後は所定速度に向けた増速、あるいは所定速度からの減速となることから、洗濯物を微小角未満位置までしか持ち上げられない。この結果、微小角回転の終期での制動などによる急減速があって洗濯物の慣性によって回転ドラム内面からの強制剥がし力が働いたとしてもその強制剥し力は重力に逆らう方向となる。このため、洗濯物は回転ドラム内面から離れる方向に剥がれて落ちるというより下に滑り落ちる傾向が強くなる。従って、滑り落ちる洗濯物は回転ドラムの次の逆向きの微小角回転によって滑り落ち方向に移動される。以降洗濯物はそのような挙動を繰り返し受けるが、回転ドラムの微小角回転の正逆繰り返しによって終期側での滑り落ちを伴い左右に揺動される位いで、洗濯物同士の位置の入れ換わりはあまりなく、回転ドラムの下部に集まり、回転ドラム内面との滑り時の摩擦により洗濯物の塊全体として正逆に幾分転がる挙動を示す程度となる。脱水工程にて洗濯工程、すすぎ工程での絡み、捩れ、皺より状態で図10(a)(b)に示すように回転ドラム内面に強く押し付けられて貼り付き強く癖付けられた洗濯物に対する絡みや捩れの解し効果は十分でない。
このため、絡みや捩れの解し効果が十分でなく乾燥工程を実行するのに回転ドラムの回転による攪拌作用はあっても、洗濯物への通気性が悪く乾燥むらの原因になる上、乾燥効率が低く乾燥に時間がかかり省エネ性に欠ける。しかも、乾燥工程によっても乾燥工程に移行したときの洗濯物の絡みや捩れ、皺が余り改善されずに残るので、仕上がり状態はさほど上がらない。
これに対し、本出願人は、解し効果の高い本出願人独自の正逆弧回転駆動モードを乾燥工程にて実行する技術を先に提案しており、この技術によれば、洗濯工程やすすぎ工程での洗濯物の絡みや捩れ、皺が脱水工程時の洗濯物の回転ドラム内面への貼り付きによって強く癖付けられたとしても、正逆弧回転駆動モードを行わなかった場合よりも絡みや捩れが少なく、かつ、皺の程度も軽くなる。
しかし、本発明者は、本出願人独自の正逆弧回転駆動モードでは、従来からの連続回転を正逆繰り返す正逆連続回転駆動モードに比べ消費電力が高いことから、正逆弧回転駆動モードによる解し効果およびそれによる乾燥の促進を有効に図りながら、正逆連続回転駆動モードの併用によって、正逆弧回転駆動モードを無駄に実行しない好適な条件を見出した。
本発明の目的は、このような新たな知見に基づき、正逆弧回転駆動モードによる解し効果およびそれによる乾燥の促進を有効に図りながら、正逆連続回転駆動モードの併用によって、正逆弧回転駆動モードを無駄に実行せず省エネも図れるドラム式洗濯乾燥機を提供することにある。
上記目的を達成するために本発明に係るドラム式洗濯乾燥機は、有底円筒形に形成された回転ドラムを、開口する正面側から底部となる背面側に向けて回転軸方向が水平または水平方向から下向き傾斜となるようにして水槽内に設置し、前記回転ドラムの90度を超え200度未満での急正弧回転と急逆弧回転を交互に繰り返す正逆弧回転駆動モードと、前記回転ドラムの回転によって持ち上げられた洗濯物がその自重が勝る高さから落下する挙動を示す回転速度での前記回転ドラムの連続回転を正逆交互に繰り返す正逆連続回転駆動モードとを備え、乾燥工程において、前記正逆弧回転駆動モードと前記正逆連続回転駆動モードとを交互に実行し、前記正逆弧回転駆動モードの前記正逆連続回転駆動モードに対する実行割合を、前半よりも後半で低くすることを特徴とする。
このような特徴によれば、乾燥工程において、従来から行われている回転ドラムを前記回転ドラムの回転によって持ち上げられた洗濯物がその自重が勝る高さから落下する挙動を示す回転速度での前記回転ドラムの連続回転を正逆交互に行う正逆連続回転駆動モードが実行できるのに加え、正逆弧回転駆動モードの実行によって、回転ドラムの90度を超え200度未満の急正弧回転と急逆弧回転とにより洗濯物を回転ドラム内面に貼り付かせて最大限90度を超えて180度未満まで持ち上げられるし、この急正弧回転と急逆弧回転での洗濯物の持ち上げの最終段階に生じる回転の反転のための制動状態時に洗濯物をその慣性および自重により回転ドラム内面から強制的に剥がして自重により回転ドラム内面から持ち上げ側と反対の側に向け落すことができるので、洗濯物の持ち上げ位置、落下位置を正逆切り替わる毎回の弧回転駆動において左右交互に入れ換えられ、洗濯物の解し作用を高められるし、機械力を満遍なく及ぼすことができる。従って、乾燥工程において、消費電力の高い正逆弧回転駆動モードを、消費電力の低い正逆連続回転駆動モードと交互に実行するが、乾燥工程の前半での正逆弧回転駆動モードの正逆連続回転駆動モードに対する実行割合を後半よりも高くすることにより、乾燥度がまだ低い洗濯物に対する解し作用を高めて乾燥および絡みや捩れ、皺の解しを促進しながら、乾燥工程の後半では正逆弧回転駆動モードの実行割合を低くすることで、乾燥度が高まっていき解しや乾燥促進への有効度が減少していく洗濯物に対して無駄に実行することを回避することができる。乾燥および絡みや捩れ、皺の解しを促進しながら、乾燥工程の後半では正逆弧回転駆動モードの実行割合を低くすることで、乾燥度が高まっていき解しや乾燥促進への有効度が減少していく洗濯物に対して無駄に実行することを回避することができる。
上記において、さらに、前記正逆弧回転駆動モードと前記正逆連続回転駆動モードとは複数回切り換えて実行し、それらの前記実行割合は、一方から他方への切り換え前後での実行割合であることを特徴とすることにより、正逆連続回転駆動モード実行中に生じやすい絡みや捩れ、皺を正逆弧回転駆動モードの実行によって解すことを繰り返して、正逆連続回転駆動モードの実行時間が長く続いて洗濯物の絡みや捩れ、皺が累積するのを回避しながら、正逆弧回転駆動モードの前半と後半での実行割合を実現することができる。
上記において、さらに、前記前半と後半の切り換えは、洗濯物が第1の乾燥度に達したタイミングで行うことを特徴とすることにより、第1の乾燥度は正逆弧回転駆動モードによる洗濯物の絡みや捩れ、皺の癖取り、乾燥の効率が低下し始める、あるいは低下が顕著になる時点に対応させるなどして、洗濯物が第1の乾燥度に達するまで正逆弧回転駆動モードを高い比率で実行して高効率に乾燥させ、それ以降目標乾燥度に向け正逆弧回転駆動モードを低い比率で実行して正逆弧回転駆動モードによる乾燥の促進を損うことなく、正逆弧回転駆動モードの無駄な実行を回避することができる。
上記において、さらに、前記洗濯物が第1の乾燥度よりも目標乾燥度により近い第2の乾燥度に達したタイミング以降は、正逆弧回転駆動モードを実行せず、正逆連続回転駆動モードだけを実行することを特徴とすることにより、第2の乾燥度は正逆弧回転駆動モードによる洗濯物の絡みや捩れ、皺の癖取り、乾燥の効率がなくなり始めるか、なくなる時点に対応させるなどして、それ以降は時間経過に関係なく正逆連続回転駆動モードだけを実行することにより、正逆弧回転駆動モードの無駄な実行を回避することができる。
本発明によれば、乾燥工程において、正逆弧回転駆動モードの実行により、回転ドラムの急正弧回転と急逆弧回転とにより洗濯物を回転ドラムの左右片側上部まで持ち上げることを正逆交互に行い、洗濯物の持ち上げの最終段階での制動状態にて洗濯物をその慣性および自重によって回転ドラム内面から確実かつ瞬時に剥がして回転ドラムの左右反対側に落すことの繰り返しにより、弧回転ごとに洗濯物の持ち上げ位置、落下位置を左右交互に入れ換えられる。従って、脱水によって回転ドラム内面に貼り付けられ絡みや捩れ、皺が強く癖付けられた洗濯物であっても、その洗濯物に対する解し作用を高めて絡みはもとより捩れや回転ドラム内面への貼り付きを防止し、洗濯物の取り出しが容易で洗濯物に皺が付くのを大幅に緩和することができる。また、正逆弧回転駆動モードと正逆連続回転駆動モードとを交互に行うことにより、正逆弧回転駆動モードによる洗濯物の持ち上げ位置および落し位置の左右交互の入れ換えと、それによる洗濯物同士の左右入れ換えを伴う高い解し作用、機械力の作用によってスムーズに解しながら洗濯物の絡み、捩れ、皺よりを取り除きつつ、正逆連続回転駆動モードによっては洗濯物を大きく広域に移動させて洗濯物の位置を入れ換えることで、洗濯物個々への通気性を高めて乾燥した高温空気が隅々まで及ぶようにすることができるのでむら無く乾燥させられ、すなわち、乾燥中の洗濯物に正逆弧回転駆動モードによってはふっくら仕上げるふっくら仕上げ挙動、正逆連続回転駆動モードによっては洗濯物を大きく広域に移動させての送り込まれる高温空気を有効利用する乾燥促進挙動が与えられ、洗濯物の落下時の叩き作用による皺伸ばしを伴い個々の洗濯物の解れによる広がりと繊維の再生が図れるので高い乾燥性能の基に仕上がり状態を大きく高められる。特に、正逆弧回転駆動モードの正逆連続回転駆動モードに対する実行割合を、乾燥工程の前半で高くして乾燥度がまだ低い洗濯物に対する解し作用を高めて乾燥および絡みや捩れ、皺の解しを強く促進しながら、後半では低くすることで、乾燥度が高まっていき解しや乾燥促進への有効度が減少していく洗濯物に対して無駄に実行することを回避することができる。従って、乾燥、絡み、捩れ、皺の解し効果を損うことなく、正逆弧回転駆動モードの実行割合を低減して省エネが図れるし、乾燥が促進される分だけ正逆弧回転駆動モードおよび正逆連続回転駆動モード双方の累計実行時間も短縮でき、この面での省エネ効果もある。
以下本発明の実施の形態に係るドラム式洗濯乾燥機につき図1〜図9を参照しながら説明し、本発明の理解に供する。なお、以下の説明は本発明の具体例であって、特許請求の範囲の記載の内容を限定するものではない。
本実施の形態のドラム式洗濯乾燥機は既述した基本構成と乾燥機能を有し、図1に示す操作パネル14からのモード設定や制御プログラムに従い、マイクロコンピュータを搭載した制御基板9などの制御装置によってモータ5、給水系7、排水系11、乾燥系13を自動制御して少なくとも洗浄工程、すすぎ工程、乾燥工程を行う機能を有している。なお、給水系7は電磁弁の開閉によって実線矢印で示すように適時に給水でき、また給水を利用して洗剤収容部の洗剤を水槽2内に適時に投入できるようになっている。排水系11は電磁弁の開閉によって洗濯工程終了時、すすぎ工程終了時など必要なときに一点鎖線矢印で示すように排水できるようになっている。乾燥系13は水槽2および回転ドラム4内の空気を送風機12によって図1、図2に示す破線矢印で示すように循環させる循環経路において、水槽2および回転ドラム4からの導入空気中の糸くずなどを捕集し除塵するフィルタ15、除塵後の導入空気を除湿する除湿部16、除湿後の空気を加熱して渇いた高温空気とする加熱部17を有し、送風機12は加熱部17の下流に配置し湿気の影響を受けにくくしている。図示例では除湿部16、加熱部17は圧縮機18により冷媒を循環されて循環空気と熱交換を行う蒸発器および凝縮器であり、空気調和機19を構成するものとしてある。しかし、これに限られることはない。
回転ドラム4は回転軸4aに水槽2上のモータ5が直結されて、水槽2と共に、開口側から底部側に向けて回転軸方向を水平方向から角度θ=20±10度に傾斜させて設置し、水平方向での設置の場合に比べ、回転ドラム4を同じ高さに設置しても開口が斜め上向きとなることで屈んだりする無理な姿勢を取らずに洗濯物を容易に出し入れできる。特に、本発明者等の経験からは傾斜角度は20±10度とすることにより、子供(幼児を除く)から大人までの身長差があっても、車椅子利用者であっても、洗濯物の出し入れの作業が最も行い易い状態が得られる。また、回転ドラム4内に給水された水が背面側に溜まって少ない水量でも深い貯水状態が得られる利点もある。
しかし、既述したように脱水工程が例えば1000rpmといった高速度での連続回転にて実行される関係から、洗濯物を洗濯工程、すすぎ工程での絡み、捩れ、皺より状態のまま回転ドラム4の内面に貼り付かせて癖付けしてしまうので、洗濯物を取り出し難いし、事後処理に手間が掛かる。また、洗濯物にきつい皺が残りやすく皺取りの手間が大きい。
(洗濯工程およびすすぎ工程)
上記問題を解決するために、まず洗濯工程およびすすぎ工程の動作について、説明する。洗濯工程または、洗濯工程およびすすぎ工程において、絡み、捩れの発生を大きく改善し機械力の働きを高めながら皺も生じ難くすることを意図して、本実施の形態では、開口側から底部側に向けて回転軸方向が水平方向から下向き傾斜となるようにして設置した有底円筒形の回転ドラム4に対する制御基板9による駆動制御に関し、回転ドラム4の90度を超え200度未満の急正弧回転、急逆弧回転を交互に繰り返す正逆弧回転駆動モードと、前記回転ドラム4の回転によって持ち上げられた洗濯物がその自重が勝る高さから落下する挙動を示す回転速度での前記回転ドラム4の連続回転を正逆交互に繰り返す正逆連続回転駆動モードと、を備え、洗濯工程または、洗濯工程およびすすぎ工程において、前記正逆弧回転駆動モードと前記正逆連続回転駆動モードとを、図8に正逆弧回転駆動モードをD、正逆連続回転駆動モードをTで示すように交互に実行し、前記正逆弧回転駆動モードの前記正逆連続回転駆動モードに対する実行割合よりも低くするようにしている。
上記問題を解決するために、まず洗濯工程およびすすぎ工程の動作について、説明する。洗濯工程または、洗濯工程およびすすぎ工程において、絡み、捩れの発生を大きく改善し機械力の働きを高めながら皺も生じ難くすることを意図して、本実施の形態では、開口側から底部側に向けて回転軸方向が水平方向から下向き傾斜となるようにして設置した有底円筒形の回転ドラム4に対する制御基板9による駆動制御に関し、回転ドラム4の90度を超え200度未満の急正弧回転、急逆弧回転を交互に繰り返す正逆弧回転駆動モードと、前記回転ドラム4の回転によって持ち上げられた洗濯物がその自重が勝る高さから落下する挙動を示す回転速度での前記回転ドラム4の連続回転を正逆交互に繰り返す正逆連続回転駆動モードと、を備え、洗濯工程または、洗濯工程およびすすぎ工程において、前記正逆弧回転駆動モードと前記正逆連続回転駆動モードとを、図8に正逆弧回転駆動モードをD、正逆連続回転駆動モードをTで示すように交互に実行し、前記正逆弧回転駆動モードの前記正逆連続回転駆動モードに対する実行割合よりも低くするようにしている。
これによれば、回転ドラム4の90度を超え200度未満の急速度での弧回転および急激な制動により洗濯物を最大限90度を超えて180度未満まで持ち上げられるし、洗濯物の持ち上げの最終段階の急激な制動により制動状態が生じて洗濯物をその慣性および自重により回転ドラム4内面から剥がしてその自重によって落すことが確実に達成できるので、水を含んで十分に膨潤し、かつ緩み、滑りやすい状態にある洗濯物に対して特に高い解し作用を与えられるし、機械力を洗濯物に及ぼすことができるので洗浄性能を高めることができる。なお、発明者は、水槽2内に十分に水と洗濯物が入っている状態であれば、洗濯物が持ち上げられた後、回転ドラム4に落下した時に水による抵抗と洗濯物の重量により回転ドラム4は、十分にブレーキがかかるので、回転ドラム4の90度を超え180度未満の急速度での弧回転および急激な制動により洗濯物を最大限90度を超えて180度未満まで持ち上げられるし、正逆交互の急弧回転駆動の周期も短くなり、機械力を洗濯物に及ぼす回数を増やすことができるので、洗浄性能を高めることができ、最適であることを確認している。さらに、弧回転駆動の正方向の急正弧回転と逆方向の急逆弧回転とを交互に繰り返すことで正逆弧回転駆動モードとし、これによって、正逆交互の急弧回転駆動によって洗濯物の持ち上げ位置、落下位置を毎回の弧回転駆動において左右交互に入れ換えられるので、洗濯物が絡むことをより防ぎながら解し作用をさらに高められるとともに、機械力を洗濯物に及ぼす回数を増やすことができるので洗浄性能を高めることができる。
また、正逆弧回転駆動モードのみでは、洗濯物の絡み、捩れ、皺より等が軽減される一方で、洗濯物の上下方向の位置が入れ換わりにくく、洗いむらが生じやすいが、正逆連続回転駆動モードを併用することによって、洗濯物の上下方向の位置の入れ換わりを実現することができ、すなわち、正逆連続回転駆動モードにおける洗濯物の絡み、捩れ、皺よりを軽減するとともに、正逆弧回転駆動モードにおける洗濯物に対する機械力付与の不均衡を軽減することで、両モードによって洗濯やすすぎ中の洗濯物に異なった2通りの挙動、具体的には正逆弧回転駆動モードによっては洗濯物の絡み、捩れ、皺よりを軽減しつつしっかりした手もみ洗いの挙動を、連続回転駆動モードによっては洗濯物を大きく連続に動かしむらを軽減しながら洗う、均一で強い汚れに対する効果的な洗い挙動を与えられる。
特に、これら正逆連続回転駆動モードおよび正逆弧回転駆動モードを洗濯工程、または洗濯、すすぎ工程において交互に繰り返すのに、正逆弧回転駆動モードはその高い解し効果に鑑み正逆連続回転駆動モードに対する実行割合を低くすることにより、正逆連続回転駆動モードでの洗濯物の絡み、捩れ、皺を十分に解しながら、正逆連続回転駆動モードに比べ消費電力の高い正逆弧回転駆動モードを無駄に実行せず、しかも、正逆連続回転駆動モードの正逆弧回転駆動モードに対する実行割合が高い分強い汚れに対する洗浄効果を低い消費電力で高められる。このように、消費電力の高い正逆弧回転駆動モードの正逆連続回転駆動モードに対する実行割合を低くして無駄に実行せず省エネを図りながら、絡みはもとより捩れや皺を効率よく解し脱水を行っても取り出しが容易となり皺も軽減することができる。しかも、正逆連続回転駆動モードの正逆弧回転駆動モードに対する実行割合を高くできる分だけ、洗濯物の強い汚れに対する洗浄効果も高められる。これらから、正逆弧回転駆動モードおよび正逆連続回転駆動モード双方の累計実行時間も短縮でき、この面での省エネ効果もある。
なお、前記正逆弧回転駆動モードと正逆連続回転駆動モードとは複数回切り換えて実行し、それらの前記実行割合は、累積実行割合、またはおよび、一方から他方への切り換え前後での実行割合とすることにより、洗濯工程、または洗濯、すすぎ工程での時間経過に伴うその時々での洗濯条件の変化に対応した実行割合を、その時々で異なり、また上記とは逆の関係となる実行割合をも含んで、上記の特徴を損なわずに自由に選択することができる。
また、正逆連続回転駆動モードの実行割合に対する正逆弧回転駆動モードの実行割合は最大限15%程度まで低くして、必要な解し効果を得られて省エネ効果を格段に高められるし、正逆連続回転駆動モードの実行割合を最大限85%程度と高められるので低い消費電力にて強い汚れに対する洗浄効果をさらに高められる。従って、高い洗い効果による全体の洗い時間短縮による省エネ効果も高められる。
さらに、正逆連続回転駆動モードと正逆弧回転駆動モードとの間に、図8に示すように回転休止時間Kを設定することにより、前後の異なった駆動モードでの回転ドラム4や洗濯物の挙動を一旦落ち着かせ、先の駆動モードでの回転ドラム4や洗濯物の挙動の影響なく次の駆動モードの挙動を無理なく早期に得られ、駆動負荷が軽減される。休止時間は1秒程度として十分である。
上記の洗濯工程、すすぎ工程での正逆弧回転駆動モードについて、そのときの洗濯物21の動きを図4を用いて説明する。なお、この図4は、実際の洗濯物21の動きを説明するための模式図であり、特許請求の範囲の記載の内容を限定するものではない。回転ドラム4の90度を超え200度未満(なお、180度未満であれば、なお好適である)の急正弧回転、急逆弧回転により図4に示す水を含んで重い洗濯物21を回転ドラム4の内面に貼りつかせて図4(a)の丸付き符号2、4、6に例示する破線位置から実線位置へと最大限90度を超えて180度未満まで持ち上げられる。また、この弧回転駆動を図4(a)に示す丸付き符号2、4、6、4、6・・の順に正逆交互に行うことで、図4(a)に示す丸付き符号3、5のように、洗濯物21の持ち上げの最終時点である実線位置ないしはその近傍で回転の反転のための急激な制動状態が生じて洗濯物21に与えられていた慣性および自重により回転ドラム4の内面から剥がしその自重により破線位置から実線位置への矢印で示すような放物線を描いて回転ドラム4の左右方向の反対側に落下させることが確実にできる。しかも、正逆交互の弧回転駆動によって洗濯物21の持ち上げ位置、落下位置を毎回の弧回転駆動において図4(b)に示すように左右交互に入れ換えられるので、水を含んで十分に膨潤し、かつ緩み、滑りやすい状態にある洗濯物21に対しては解し作用を特に高められるし、機械力を洗濯物21に及ぼすことができる。
この結果、回転ドラム4の弧回転により洗濯物21を回転ドラム4の左右片側上部まで持ち上げることを正逆交互に行い、洗濯物21の持ち上げの最終時点ないしはその近傍での急激な制動状態にて洗濯物21をその慣性および自重により回転ドラム4の内面から剥がしその自重によって回転ドラム4の左右反対側に落すことの繰り返しにより、急正弧回転、急逆弧回転ごとに洗濯物21の持ち上げ位置、落下位置を左右交互に入れ換え、洗濯物21の解し作用を高めて絡みはもとより捩れや回転ドラム4の内面への貼り付きを防止し、脱水を行う場合でも洗濯物21の取り出しが容易で洗濯物21に皺が付くのを大幅に緩和することができる。また、洗濯物21に機械力を及ぼすことができるし叩き作用のある洗濯物21の落下回数を大幅に増大するので洗い効果を始めとする洗濯機が行う各工程での機能を高められる。
また、前記回転ドラム4の弧回転は、洗濯物21が回転ドラム4の最下位置から90度付近に到達するまでに洗濯物21が回転ドラム4の内面に貼り付く急加速度で駆動することにより、洗濯物21が回転ドラム4の最下位置からの持ち上がりにより回転ドラム4の回転に追随できず自重により落下しやすくなる90度付近までに洗濯物21を回転ドラム4の内面に貼り付かせる急加速度によって、洗濯物21を所定の持ち上げ位置まで滑り無く、従って、回転ドラム4の回転速度に見合う慣性を付与して確実に持ち上げ、前記急激な制動状態への変化時点での剥がし、洗濯物21の持ち上げ側と反対の側への落下による洗濯物21の持ち上げ位置、落下位置の左右入れ換えをより確実に達成できる。
また、前記回転ドラム4の弧回転方向の正逆切り換えは、前記回転ドラム4の弧回転が90度を超え200度未満(なお、180度未満であれば、なお好適である)で急激な制動動作を挟んで行うことを特徴とすることにより、洗濯物21の貼り付きを保証する急加速度を満足する条件においても弧回転方向を正逆に急反転させて、洗濯物21の弧回転最終段階にて急加速度時の慣性により確実に剥がして持ち上げ側とは反対の側に落下させられ、洗濯物に対する機械力付与のロスを抑制することができる。従って、より短時間に洗濯機の各工程効果を得ながら絡みや捩れを防止し、皺の付きを緩和することができる。
ここで、直径が500±50mm程度の回転ドラム4での、重力をドラム中心方向と接線方向に分解したときの、中心方向の力と遠心力が釣り合うドラム回転速度につき、
mrω2=mgcosθ
によって算出したところ、図5に示す「張付きレベル」と記載した太い実線の通りである。図5に示す丸付き符号は、図4(a)に示す丸付き符号と対応している。図5の丸付き符号1で示す停止時から丸付き符号2で示す付近の回転速度50rpm程度に至って洗濯物21の貼り付きが確実に達成される。また、それに必要な回転ドラム4の回転角は90度弱であり、既述の条件を満足している。また、既述では、洗濯物21の貼り付けによる持ち上げは回転ドラム4の90度を超え200度までとしたが、ここでの例では、丸付き符号2で示す回転角125度付近としてあり、この125度付近で「張付きレベル」と記載した太い実線と回転ドラム4の回転の実線とが交わり、それ以降、回転ドラム4の回転の実線が「張付きレベル」と記載した太い実線より下側にあるため、回転角125度付近から丸付き符号3に達する回転角140度付近で停止させる制動により洗濯物21に働く慣性および自重によって回転ドラム4の内面から剥がれる最大回転速度45rpm付近と少しの減速状態によっても剥がれることが分かる。
mrω2=mgcosθ
によって算出したところ、図5に示す「張付きレベル」と記載した太い実線の通りである。図5に示す丸付き符号は、図4(a)に示す丸付き符号と対応している。図5の丸付き符号1で示す停止時から丸付き符号2で示す付近の回転速度50rpm程度に至って洗濯物21の貼り付きが確実に達成される。また、それに必要な回転ドラム4の回転角は90度弱であり、既述の条件を満足している。また、既述では、洗濯物21の貼り付けによる持ち上げは回転ドラム4の90度を超え200度までとしたが、ここでの例では、丸付き符号2で示す回転角125度付近としてあり、この125度付近で「張付きレベル」と記載した太い実線と回転ドラム4の回転の実線とが交わり、それ以降、回転ドラム4の回転の実線が「張付きレベル」と記載した太い実線より下側にあるため、回転角125度付近から丸付き符号3に達する回転角140度付近で停止させる制動により洗濯物21に働く慣性および自重によって回転ドラム4の内面から剥がれる最大回転速度45rpm付近と少しの減速状態によっても剥がれることが分かる。
このような算出および経験から、正逆弧回転駆動モードでの弧回転の最大回転速度は40rpm以上であり、洗濯物21の剥がしないしは制動はその最大回転速度で行われることにより、正逆弧回転駆動モードによる実効が得られる。また、正逆弧回転駆動モードでの洗濯物21の剥がしは、例えば図示例のように回転角125度〜140度の範囲で行う制動で行うことができる。具体的には、40rpm以上で行う弧回転からの減速状態により40rpm以上での回転を続けようとする洗濯物21の回転慣性によって40rpm未満への減速度に応じた強制剥がし力を洗濯物21に与え落下させられる。
さらに、正逆弧回転駆動モードでの図4(a)丸付き符号2で示す初期弧回転は図5に破線で示すように140度近傍で行い、図4(a)丸付き符号3〜6に示すそれ以降の弧回転は図5に実線で示すように140度近傍〜30度近傍の範囲で行うことにより、初期弧回転時に図4(a)丸付き符号1に実線で示し、丸付き符号2に破線で示すように回転ドラム4の下部範囲に静止している洗濯物21を120度近傍の弧回転で左右の初期弧回転側の上部まで持ち上げて120度〜140度の間で制動し、回転ドラム4の左右の反対側、具体的には回転ドラム4のほぼ直径線上に落すことを確保し、それ以降の弧回転は140度近傍〜30度近傍の110度として回転ドラム4の左右一方側に寄って、具体的にはほぼ30度の位置に落ちた洗濯物21を回転ドラム4の同じ側の上部、具体的にはほぼ120度位置に持ち上げ、回転ドラム4の左右反対の側に落す挙動をほぼ対称的に、かつ回転ドラム4の直径分となる最大の落下距離を得て確実に達成することができる。これによって、洗濯物21の解しと叩きの効果を高められる。
なお、発明者の確認によると、洗濯工程、すすぎ工程において、正逆弧回転駆動モードでの弧回転の最大回転速度が40rpm未満の場合、回転ドラム4の急激な制動動作を行っても、回転ドラム4の制動による洗濯物21に働く回転慣性では洗濯物21は回転ドラム4の内面から剥がれる挙動は発生せず、回転ドラム4の逆転時も洗濯物21が回転ドラム4の内面に貼り付いたまま回転ドラム4と一緒に回転するという状態となってしまう場合がある。
さらに、回転ドラム4の回転角度が90度以下の場合は、洗濯物21を持ち上げることができず、また、回転ドラム4の回転角度が200度以上の場合は、回転ドラム4の逆転時、洗濯物21が180度の位置(最上部)を通り越してしまい、図4(b)に示すような洗濯物21が左右交互に入れ換えられるといった動作を行わないものとなってしまう。
ところで、以上のような回転ドラム4の正逆弧回転駆動モードを実現するにはモータ5に掛かる駆動負荷が非常に大きく、モータ5の極数を増大するなど大型化の原因になるが、本実施の形態では図1、図3に示すように水槽2の底部外面に固定したステータ5aに対して回転軸4aに直結したインナロータ5b1、アウタロータ5b2をステータ5aの内周側および外周側双方に配置してステータ5aに対し内外周から作用し合うようにしてあり、モータ5の大型化の問題なく駆動パワーを倍増でき、小さなモータ5によって急反転を伴う正逆弧回転駆動モードを難なく実行できる。
これによって、図5に示すような左右バランスのよい回転速度特性を持った急反転を伴う正逆弧回転駆動モードを永続的にも実行できる技術が実現し、洗濯物21の正転、逆転のいずれにおいても丸付き符号3、5で示す回転ドラム4の同じ位置に洗濯物21を落下させ、その落下時点からほぼ同じ回転角90度位置で洗濯物21の貼り付き域に達した後、ほぼ同じ回転角で丸付き符号4、6の位置に達して急制動による洗濯物21の回転ドラム4からの剥がしを達成している。また、丸付き符号4で示す剥がれ位置から丸付き符号6で示す剥がれ位置までの所要時間は0.8秒程度であり、丸付き符号6で示す剥がれ位置から丸付き符号4で示す剥がれ位置までの所要時間は0.8秒程度であり、双方等しい。
また、回転ドラム4の回転方向の正逆切り換えのための停止または反転は、回転ドラム4の内面に貼り付いた洗濯物21が落下するまでに行う。これにより、洗濯物21の落下位置が弧回転方向または連続回転方向の持ち上げ側から左右反対の側に移った落下位置を確保して反転した急弧回転または連続回転による持ち上げが行えるので、洗濯物21の持ち上げ位置、落下位置の毎回の弧回転駆動または連続回転駆動における左右交互の入れ換えをより確実に達成して洗濯物21の解し作用をさらに高め、機械力をさらに満遍なく及ぼすことができる。
(乾燥工程)
次に、乾燥工程での記述した目的を達成するための乾燥工程の動作について、説明する。本実施の形態では、乾燥工程において、開口側から底部側に向けて回転軸方向が水平方向から下向き傾斜となるようにして設置した有底円筒形の回転ドラム4に対する制御基板9による駆動制御に関し、回転ドラム4の90度を超え200度未満の急正弧回転と急逆弧回転を交互に繰り返す正逆弧回転駆動モードと、回転ドラム4の回転によって持ち上げられた洗濯物21がその自重が勝る高さから落下する挙動を示す回転速度での回転ドラム4の連続回転を正逆交互に繰り返す正逆連続回転駆動モードとを備え、乾燥工程において、前記正逆弧回転駆動モードと前記正逆連続回転駆動モードとを交互に実行し、前記正逆弧回転駆動モードの前記正逆連続回転駆動モードに対する実行割合を、前半よりも後半で低くするようにしている。
次に、乾燥工程での記述した目的を達成するための乾燥工程の動作について、説明する。本実施の形態では、乾燥工程において、開口側から底部側に向けて回転軸方向が水平方向から下向き傾斜となるようにして設置した有底円筒形の回転ドラム4に対する制御基板9による駆動制御に関し、回転ドラム4の90度を超え200度未満の急正弧回転と急逆弧回転を交互に繰り返す正逆弧回転駆動モードと、回転ドラム4の回転によって持ち上げられた洗濯物21がその自重が勝る高さから落下する挙動を示す回転速度での回転ドラム4の連続回転を正逆交互に繰り返す正逆連続回転駆動モードとを備え、乾燥工程において、前記正逆弧回転駆動モードと前記正逆連続回転駆動モードとを交互に実行し、前記正逆弧回転駆動モードの前記正逆連続回転駆動モードに対する実行割合を、前半よりも後半で低くするようにしている。
これによれば、乾燥工程において、従来から行われている回転ドラム4をこの回転ドラム4の回転によって持ち上げられた洗濯物21がその自重が勝る高さから落下する挙動を示す回転速度での回転ドラム4の連続回転を正逆交互に行う正逆連続回転駆動モードが実行できるのに加え、正逆弧回転駆動モードの実行によって、回転ドラム4の90度を超え200度未満の急正弧回転と急逆弧回転とにより洗濯物21を回転ドラム4内面に貼り付かせて最大限90度を超えて180度未満まで持ち上げられるし、この急正弧回転と急逆弧回転での洗濯物21の持ち上げの最終段階に生じる回転の反転のための制動状態時に洗濯物21をその慣性および自重により回転ドラム4内面から強制的に剥がして自重により回転ドラム4内面から持ち上げ側と反対の側に向け落すことができるので、洗濯物21の持ち上げ位置、落下位置を正逆切り替わる毎回の弧回転駆動において左右交互に入れ換えられ、洗濯物21の解し作用を高められるし、機械力を満遍なく及ぼすことができる。
従って、乾燥工程において、消費電力の高い正逆弧回転駆動モードを、消費電力の低い正逆連続回転駆動モードと交互に実行するが、乾燥工程の前半での正逆弧回転駆動モードの正逆連続回転駆動モードに対する実行割合を後半よりも高くすることにより、乾燥度がまだ低い洗濯物21に対する解し作用を高めて乾燥および絡みや捩れ、皺の解しを促進しながら、乾燥工程の後半では正逆弧回転駆動モードの実行割合を低くすることで、乾燥度が高まっていき解しや乾燥促進への有効度が減少していく洗濯物21に対して無駄に実行することを回避することができる。従って、乾燥および絡みや捩れ、皺の解しを促進しながら、乾燥工程の後半では正逆弧回転駆動モードの実行割合を低くすることで、乾燥度が高まっていき、正逆弧回転駆動モードでの解しや乾燥促進への有効度が減少していく洗濯物に対して無駄に実行することを回避することができる。
この結果、乾燥工程において、先の洗濯、すすぎ工程にて正逆弧回転駆動モードを正逆連続回転駆動モードと交互に実行して脱水を行った洗濯物21に対してはもとより、正逆弧回転駆動モードを実行しない洗濯、すすぎ工程後の脱水によって回転ドラム4内面に貼り付けられ絡みや捩れ、皺が強く癖付けられた洗濯物21であっても、その洗濯物21に対する解し作用を高めて絡みはもとより捩れや回転ドラム内面への貼り付きを防止し、洗濯物21の取り出しが容易で洗濯物21に皺が付くのを大幅に緩和することができる。また、正逆弧回転駆動モードを正逆連続回転駆動モードと交互に行うことにより、正逆弧回転駆動モードによる洗濯物21の持ち上げ位置および落し位置の左右交互の入れ換えと、それによる洗濯物同士の左右入れ換えを伴う高い解し作用、機械力の作用によってスムーズに解しながら洗濯21の絡み、捩れ、皺よりを取り除きつつ、正逆連続回転駆動モードによっては洗濯物21を大きく広域に移動させて洗濯物21の位置を入れ換えることで、洗濯物個々への通気性を高めて乾燥した高温空気が隅々まで及ぶようにすることができるのでむら無く乾燥させられ、すなわち、乾燥中の洗濯物に正逆弧回転駆動モードによっては絡み、捩れを解しふっくら仕上げるふっくら仕上げ挙動、正逆連続回転駆動モードによっては洗濯物21を大きく広域に移動させての送り込まれる高温空気を有効利用する乾燥促進挙動が与えられ、洗濯物21の落下時の叩き作用による皺伸ばしを伴い個々の洗濯物21の解れによる広がりと繊維の再生が図れるので高い乾燥性能の基に仕上がり状態を大きく高められる。
特に、正逆弧回転駆動モードの正逆連続回転駆動モードに対する実行割合を、乾燥工程の前半で高くして乾燥度がまだ低い洗濯物21に対する解し作用を高めて乾燥および絡みや捩れ、皺の解しを強く促進しながら、後半では低くすることで、乾燥度が高まっていき解しや乾燥促進への有効度が減少していく洗濯物21に対して無駄に実行することを回避することができる。従って、乾燥、絡み、捩れ、皺の解し効果を損うことなく、正逆弧回転駆動モードの実行割合を低減して省エネが図れるし、乾燥が促進される分だけ正逆弧回転駆動モードおよび正逆連続回転駆動モード双方の累計実行時間も短縮でき、この面での省エネ効果もある。
また、前記正逆弧回転駆動モードと前記正逆連続回転駆動モードとは複数回切り換えて実行し、それらの前記実行割合が、一方から他方への切り換え前後での実行割合であることにより、正逆連続回転駆動モード実行中に生じやすい絡みや捩れを正逆弧回転駆動モードの実行によって解すことを繰り返して、正逆連続回転駆動モードの実行時間が長く続いて洗濯物21の絡みや捩れ、皺が累積するのを回避しながら、正逆弧回転駆動モードの前半と後半での実行割合を実現することができる。
また、前記前半と後半の切り換えは、洗濯物21が第1の乾燥度に達したタイミングで行うことにより、第1の乾燥度は正逆弧回転駆動モードによる洗濯物21の絡みや捩れ、皺の癖取りの効率が低下し始める、あるいは低下が顕著になる時点に対応させるなどして、洗濯物21が第1の乾燥度に達するまで正逆弧回転駆動モードを高い比率で実行して高効率に乾燥させ、それ以降目標乾燥度に向け正逆弧回転駆動モードを低い比率で実行して、正逆弧回転駆動モードの無駄な実行を回避することができる。因みに、目標乾燥度が例えば102〜106%であるのに対し、第1の乾燥度は80〜90%程度が好ましく、85%未満であるのがより好ましい。
さらに、前記洗濯物21が第1の乾燥度よりも目標乾燥度により近い第2の乾燥度に達したタイミング以降は、正逆弧回転駆動モードを実行せず、正逆連続回転駆動モードだけを実行することにより、第2の乾燥度は正逆弧回転駆動モードによる洗濯物21の絡みや捩れ、皺の癖取り、乾燥の効率がなくなり始めるか、なくなる時点に対応させるなどして、それ以降は時間経過に関係なく正逆連続回転駆動モードだけを実行することにより、正逆弧回転駆動モードの無駄な実行を回避することができる。因みに、第2の乾燥度は例えば85〜95%程度が好ましく、95%が最適である。
上記の乾燥工程での図8に示すような正逆弧回転駆動モードについて、そのときの洗濯物21の動きを図6を用いて説明する。なお、この図6は、実際の洗濯物21の動きを説明するための模式図であり、特許請求の範囲の記載の内容を限定するものではない。このような正逆弧回転駆動モードでは、回転ドラム4の90度を超え200度未満の弧回転により図6に示す洗濯物21を図6(a)の丸付き符号2、4、6に例示する破線位置から実線位置へと最大限90度を超えて180度未満まで持ち上げられる。
まず、図6(a)の丸付き符号1後、開始時においては、図6(a)の丸付き符号2のように、正転方向の85度近傍まで50rpm以上に急加速し、洗濯物21を回転ドラム4の内面に貼り付かせて持ち上げる。その後、図6(a)の丸付き符号3のように、急制動をかけて正転方向の165度の位置まで急減速する。このとき、洗濯物21は、回転ドラム4の回転速度が50rpm以下になったとき、すなわち正転方向の135度近傍で、その慣性および自重により、回転ドラム4の内面から剥がされ、洗濯物21は持ち上げ側と反対の側に向け落下する。その後、回転ドラム4は、惰性により正転方向の165度近傍まで回転し、それによって、洗濯物21は、正転方向の15度近傍まで回転する。
次に、図6(a)の丸付き符号4のように、逆転方向の85度近傍まで、即ち逆転方向100度の回転で50rpm以上に急加速し、洗濯物21を回転ドラム4の内面に貼り付かせて持ち上げる。その後、図6(a)の丸付き符号5のように、急制動をかけて逆転方向の165度の位置まで急減速する。このとき、洗濯物21は、回転ドラム4の回転速度が50rpm以下になったとき、すなわち逆転方向の135度近傍で、その慣性および自重により、回転ドラム4の内面から剥がされ、洗濯物21は持ち上げ側と反対の側に向け落下する。その後、回転ドラム4は、惰性により逆転方向の165度近傍まで回転し、それによって、洗濯物21は、逆転方向の15度近傍まで回転する。
さらに、図6(a)の丸付き符号6のように、正転方向の85度近傍まで、即ち正転方向100度の回転で50rpm以上に急加速し、洗濯物21を回転ドラム4の内面に貼り付かせて持ち上げる。その後、図6(a)の丸付き符号3のように、急制動をかけて正転方向の165度の位置まで急減速する。このとき、洗濯物21は、回転ドラム4の回転速度が50rpm以下になったとき、すなわち正転方向の135度近傍で、その慣性および自重により、回転ドラム4の内面から剥がされ、洗濯物21は持ち上げ側と反対の側に向け落下する。その後、回転ドラム4は、惰性により正転方向の165度近傍まで回転し、それによって、洗濯物21は、正転方向の15度近傍まで回転する。
また、この弧回転駆動を図6(a)に示す丸付き符号2、4、6、4、6・・の順に正逆交互に行うことで、図6(a)に示す丸付き符号3、5のように、洗濯物21の持ち上げの最終時点である実線位置ないしはその近傍で回転の反転のための減速ないしは制動状態が生じて洗濯物21に与えられていた慣性および自重による強制剥がし力および自重によって回転ドラム4の内面から破線位置から実線位置への矢印で示すような放物線を描いて確実かつ瞬時に剥がして落すことができる。しかも、正逆交互の弧回転駆動によって洗濯物21の持ち上げ位置、落下位置を毎回の弧回転駆動において図6(b)に示すように左右交互に入れ換えられるので、洗濯物21の解し作用を高められるし、機械力を洗濯物21に及ぼすことができる。
この結果、回転ドラム4の弧回転により洗濯物21を回転ドラム4の左右片側上部まで持ち上げることを正逆交互に行い、洗濯物21の持ち上げの最終時点ないしはその近傍での減速ないしは制動状態にて洗濯物21をその慣性による強制剥がし力および自重によって回転ドラム4の内面から確実かつ瞬時に剥がして回転ドラム4の左右反対側に落すことの繰り返しにより、弧回転ごとに洗濯物21の持ち上げ位置、落下位置を左右交互に入れ換え、洗濯物21の解し作用を高めて絡みはもとより捩れや回転ドラム4の内面への貼り付きを防止し、洗濯物21の取り出しが容易で洗濯物21に皺が付くのを大幅に緩和することができる。また、洗濯物21に機械力を及ぼすことができるし叩き作用による叩き洗い効果、叩きすすぎ効果、叩きによる皺伸ばし効果のある洗濯物21の落下回数を大幅に増大するので、洗い効果を始めとする洗濯機が行う各工程での機能を高められる。従って、このような正逆弧回転駆動モードを乾燥工程で実行することにより、脱水工程で洗濯物21が洗濯工程、すすぎ工程終了時の絡み、捩れ、皺より状態にて回転ドラム4内面に強く押し付けられて図10(a)(b)に脱水後の状態で示すように貼り付き強く癖付けられることがあっても、洗濯物21の持ち上げ位置および落し位置の左右交互の入れ換えと、それによる洗濯物21同士の左右入れ換えを伴う高い解し作用、機械力の作用によって洗濯物21の絡み、捩れをスムーズに解しながら洗濯物21に乾燥した高温空気が及ぶようにすることができるので、洗濯物21の落下時の叩き作用による皺伸ばしを伴い個々の洗濯物21の解れによる拡がりと繊維の再生が図れるので仕上がり状態を大きく高められる。
ここで、前記回転ドラム4の弧回転は、洗濯物21が回転ドラム4の最下位置から90度付近に到達するまでに洗濯物21が回転ドラム4の内面に貼り付く急加速度で駆動する。これにより、洗濯物21が回転ドラム4の最下位置からの持ち上がりにより回転ドラム4の回転に追随できず自重により落下しやすくなる90度付近までに洗濯物21を回転ドラム4の内面に貼り付かせる急加速度によって、洗濯物21を所定の持ち上げ位置まで滑り無く、従って、回転ドラム4の回転速度に見合う慣性を付与して確実に持ち上げ、前記制動状態への変化時点での剥がし、洗濯物21の持ち上げ側と反対の側への落下による洗濯物21の持ち上げ位置、落下位置の左右入れ換えをより確実に達成できる。
ここで、回転ドラム4の弧回転は、貼り付く急加速度で駆動して実行することにより、洗濯物21の自重により落下しやすくなる90度付近までに洗濯物21を回転ドラム4の内面に貼り付かせる急加速度によって、洗濯物21を弧回転位置まで滑り無く、従って、回転ドラム4の回転速度に見合う慣性を付与して弧回転終了位置まで確実に持ち上げ、前記制動状態への変化時点での剥がしをより確実に達成できるようになる。従って、正逆弧回転駆動モードでの各回の弧回転による洗濯物21の持ち上げ位置および落下位置の左右の入れ換えをより大きなストロークで達成し、洗濯物21に対する解し作用および落下時の叩き作用をさらに高め洗濯物21の量が多い場合でも十分な解し作用、叩き作用が得られる。
また、前記回転ドラム4の弧回転方向の正逆切り換えは、回転ドラム4の弧回転が90度を超え200度未満で急激な制動動作を挟んで行うことにより、洗濯物21の貼り付きを保証する急加速度を満足する条件においても弧回転方向を正逆に急反転させて、弧回転の最終段階にて急加速度時の高い慣性により洗濯物21の剥がしを確実に達成し、かつ洗濯物21に対する機械力付与のロスを抑制することができる。従って、より短時間に洗濯乾燥機の各工程効果を得ながら絡みや捩れを防止し、皺の付きを緩和することができる。
ここで、直径が500±50mm程度の回転ドラム4での、重力をドラム中心方向と接線方向に分解したときの、中心方向の力と遠心力が釣り合うドラム回転速度につき、
mrω2=mgcosθ
によって算出したところ、図7に示す「張付きレベル」と記載した太い実線の通りである。図7に示す丸付き符号は、図6(a)に示す丸付き符号と対応している。図7の丸付き符号1で示す停止時から丸付き符号2で示す付近の回転速度60rpm程度に至って洗濯物21の貼り付きが確実に達成される。また、それに必要な回転ドラム4の回転角θは90度弱であり、既述の条件を満足している。また、既述では、洗濯物21の貼り付けによる持ち上げは回転ドラム4の90度を超え200度までとしたが、ここでの例では、丸付き符号2で示す回転角165度付近としてあり、回転角85度付近から丸付き符号3に達する回転角165度付近で停止させる制動により洗濯物21に働く慣性及び自重によって回転ドラム4の内面から剥がれる50rpm付近と少しの減速状態によっても剥がれることが分かる。
mrω2=mgcosθ
によって算出したところ、図7に示す「張付きレベル」と記載した太い実線の通りである。図7に示す丸付き符号は、図6(a)に示す丸付き符号と対応している。図7の丸付き符号1で示す停止時から丸付き符号2で示す付近の回転速度60rpm程度に至って洗濯物21の貼り付きが確実に達成される。また、それに必要な回転ドラム4の回転角θは90度弱であり、既述の条件を満足している。また、既述では、洗濯物21の貼り付けによる持ち上げは回転ドラム4の90度を超え200度までとしたが、ここでの例では、丸付き符号2で示す回転角165度付近としてあり、回転角85度付近から丸付き符号3に達する回転角165度付近で停止させる制動により洗濯物21に働く慣性及び自重によって回転ドラム4の内面から剥がれる50rpm付近と少しの減速状態によっても剥がれることが分かる。
このような算出および経験から、正逆弧回転駆動モードでの弧回転の最大回転速度は50rpm以上であり、洗濯物21の剥がしないしは制動は最大回転速度で行われることを特徴とすることにより、正逆弧回転駆動モードによる実効が得られる。
また、正逆弧回転駆動モードでの洗濯物21の剥がしは、例えば図示例のように回転角85度〜165度の範囲で行う制動を利用した50rpm未満の減速で行うことができる。具体的には、50rpm以上で行う弧回転からの減速状態により50rpm以上での回転を続けようとする洗濯物21の慣性によって50rpm未満への減速度に応じた強制剥がし力と重力を洗濯物21に与え落下させられる。
さらに、正逆弧回転駆動モードでの図6(a)丸付き符号2で示す初期弧回転は図7に破線で示すように165度近傍で行い、図6(a)丸付き符号3〜6に示すそれ以降の弧回転は図7に実線で示すように165度近傍〜−15度近傍の範囲で行うことにより、初期弧回転時に図6(a)丸付き符号1に実線で示し、丸付き符号2に破線で示すように回転ドラム4の下部範囲に静止している洗濯物21を90度を超えて200度未満、具体的には160度近傍の弧回転で左右の初期弧回転側の上部(135度近傍)まで持ち上げて回転ドラム4の左右の反対側、具体的には回転ドラム4のほぼ直径線上に落すことを確保し、それ以降の弧回転は180度近傍(165度近傍〜−15度近傍の範囲)として回転ドラム4の左右一方側に寄って、具体的にはほぼ30度寄って落ちた洗濯物21を惰性回転の−15度近傍までの回転を挟み、回転ドラム4の同じ側の165度まで弧回転させる間において、具体的にはほぼ135度近傍位置に持ち上げ、回転ドラム4の左右反対の側に落す挙動をほぼ対称的に、かつ回転ドラム4の直径分となる最大の落下距離を得て確実に達成することができる。これにより洗濯物21の解しと叩きの効果を高められる。
なお、洗濯、すすぎ工程と乾燥工程との双方で正逆弧回転駆動モードを実行すると、図9に示すように洗濯物21は皺が少なく目立たないふんわりした高い仕上がり状態が得られる。
なお、発明者の確認によると、正逆弧回転駆動モードでの弧回転の最大回転速度が50rpm未満の場合、回転ドラム4の急激な制動動作を行っても、回転ドラム4の制動による洗濯物21に働く回転慣性では洗濯物21は回転ドラム4の内面から剥がれる挙動は発生せず、回転ドラム4の逆転時も洗濯物21が回転ドラム4の内面に貼り付いたまま回転ドラム4と一緒に回転するという状態となってしまう場合がある。
さらに、回転ドラム4の回転角度が90度以下の場合は、洗濯物21を持ち上げることができず、また、回転ドラム4の回転角度が200度以上の場合は、回転ドラム4の逆転時、洗濯物21が180度の位置(最上部)を通り越してしまい、図4(b)に示すような洗濯物21が左右交互に入れ換えられるといった動作を行わないものとなってしまう。
ところで、以上のような回転ドラム4の正逆弧回転駆動モードを実現するにはモータ5に掛かる駆動負荷は、洗濯物21がぬれて重い洗濯、すすぎ工程の場合のように非常に大きくはないが、正逆連続回転駆動モードについてはモータ5の極数を増大するなど大型化の原因になるが、本実施の形態では図1、図3に示すように水槽2の底部外面に固定したステータ5aに対して回転軸4aに直結したインナロータ5b1、アウタロータ5b2をステータ5aの内周側および外周側双方に配置してステータ5aに対し内外周から作用し合うようにしてあり、モータ5の大型化の問題なく駆動パワーを倍増でき、小さなモータ5によって急反転を伴う正逆弧回転駆動モードを洗濯、すすぎ工程の場合よりもさらに難なく実行できる。
これによって、図7に示すような左右バランスのよい回転速度特性を持った急正弧回転と急逆弧回転との急反転を伴う正逆弧回転駆動モードを永続的にも実行できる技術が実現し、洗濯物21の正転、逆転のいずれにおいても丸付き符号3、5で示す回転ドラム4のほぼ同じ位置に洗濯物21を落下させ、その落下時点から惰性回転の−15度近傍までの回転を挟み、ほぼ同じ回転角位置85度(回転ドラム4の回転は、85+15=100度)近傍で洗濯物21の貼り付き域に達した後、ほぼ同じ回転角θで丸付き符号4、6の位置に達した後の急制動による洗濯物21の回転ドラム4からの剥がしを達成している。また、丸付き符号3で示す剥がれ位置から丸付き符号5で示す剥がれ位置までの所要時間は0.8秒程度であり、丸付き符号5で示す剥がれ位置から丸付き符号3で示す剥がれ位置までの所要時間は0.8秒程度あるいはそれ以下であり、双方等しい。
なお、モータ5のパワーアップはできているが、過剰なパワーアップは不経済であるので、第1のドラム駆動指示によるモータ5の駆動にて、モータ5の脱調限界を超えるとき、上限負荷を超えない第2のドラム駆動指示によりモータ5を駆動することにより、その
時々で駆動負荷に違いがあっても、洗濯物21に対する持ち上げ、剥がしの挙動を設定通りに得られる回転ドラム4の回転特性を保証し、パワーアップの上限を抑えられる。それには、例えば、回転ドラム4の回転速度をモニタしてフィードバック制御すればよい。
時々で駆動負荷に違いがあっても、洗濯物21に対する持ち上げ、剥がしの挙動を設定通りに得られる回転ドラム4の回転特性を保証し、パワーアップの上限を抑えられる。それには、例えば、回転ドラム4の回転速度をモニタしてフィードバック制御すればよい。
また、正逆連続回転駆動モードと正逆弧回転駆動モードとの実行割合を経過時間または乾燥具合に応じて変更することにより、乾燥工程の進行に伴い洗濯物21の重量が減少するので、その重量に合った正逆弧回転駆動モードと正逆連続回転駆動モードとの実行割合に変更するのが好適である。
また、洗濯物21の量により、正逆連続回転駆動モードと正逆弧回転駆動モードとの実行割合を変更することにより、洗濯物21の量による駆動負荷の違いに対応した洗濯物21に最適な回転ドラム4の駆動ができ、洗濯物21の量や駆動負荷は既に知られた各種検知方法を採用すればよい。
なお、洗濯工程およびすすぎ工程においては、洗濯物21は水を多く含んでいるため、洗濯物21自体の重量が重くなるため、弧回転の最大回転速度は40rpm以上が望ましく、40rpm以上あれば、最大限90度を超えて180度未満まで持ち上げられるし、洗濯物21の持ち上げの最終時段階の急激な制動により制動状態が生じて洗濯物21をその慣性により回転ドラム4内面から剥がしてその自重によって落すことが確実に達成できるが、一方、乾燥工程においては、洗濯物21が含んでいる水が少ないため、洗濯物21自体の重量が洗濯工程およびすすぎ工程時よりも軽くなることで慣性も小さくなり、最大限90度を超えて180度未満まで持ち上げ、洗濯物21の持ち上げの最終時段階の急激な制動により制動状態が生じて洗濯物21をその慣性により回転ドラム4内面から剥がしてその自重によって落すためには、弧回転の最大回転速度は50rpm以上が望ましい。
しかも、脱水工程と乾燥工程との間で正逆弧回転駆動モードを実行しておくと、乾燥工程には、脱水工程で回転ドラム4の内面に貼り付いた洗濯物21の剥がし、絡み、捩れを既に解消しておけるので、乾燥効率をさらに高められるし、皺取りにも有効である。
回転ドラムを水平方向または傾斜して設置したドラム式洗濯乾燥機に正逆弧回転駆動モードを実用して、乾燥工程の前半で後半よりも高い実行割合により洗濯物の絡み、捩れ、皺の解し、これによる乾燥を促進し、後半では乾燥していく洗濯物に対して無駄とならないように低くして省エネが図れる。
1 筐体
2 水槽
3 孔
4 回転ドラム
5 モータ
6 扉
7 給水系
9 制御基板
11 排水系
13 乾燥系
14 操作パネル
2 水槽
3 孔
4 回転ドラム
5 モータ
6 扉
7 給水系
9 制御基板
11 排水系
13 乾燥系
14 操作パネル
Claims (4)
- 有底円筒形に形成された回転ドラムを、開口する正面側から底部となる背面側に向けて回転軸方向が水平または水平方向から下向き傾斜となるようにして水槽内に設置し、
前記回転ドラムの90度を超え200度未満での急正弧回転と急逆弧回転を交互に繰り返す正逆弧回転駆動モードと、前記回転ドラムの回転によって持ち上げられた洗濯物がその自重が勝る高さから落下する挙動を示す回転速度での前記回転ドラムの連続回転を正逆交互に繰り返す正逆連続回転駆動モードとを備え、乾燥工程において、前記正逆弧回転駆動モードと前記正逆連続回転駆動モードとを交互に実行し、前記正逆弧回転駆動モードの前記正逆連続回転駆動モードに対する実行割合を、前半よりも後半で低くすることを特徴とするドラム式洗濯乾燥機。 - 前記正逆弧回転駆動モードと前記正逆連続回転駆動モードとは複数回切り換えて実行し、それらの前記実行割合は、一方から他方への切り換え前後での実行割合である請求項1に記載のドラム式洗濯乾燥機。
- 前記前半と後半の切り換えは、洗濯物が第1の乾燥度に達したタイミングで行う請求項1または2に記載のドラム式洗濯乾燥機。
- 前記洗濯物が第1の乾燥度よりも目標乾燥度により近い第2の乾燥度に達したタイミング以降は、正逆弧回転駆動モードを実行せず、正逆連続回転駆動モードだけを実行する請求項3に記載のドラム式洗濯乾燥機。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007062932A JP2008220621A (ja) | 2007-03-13 | 2007-03-13 | ドラム式洗濯乾燥機 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007062932A JP2008220621A (ja) | 2007-03-13 | 2007-03-13 | ドラム式洗濯乾燥機 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2008220621A true JP2008220621A (ja) | 2008-09-25 |
Family
ID=39839916
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2007062932A Pending JP2008220621A (ja) | 2007-03-13 | 2007-03-13 | ドラム式洗濯乾燥機 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2008220621A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2016221006A (ja) * | 2015-06-01 | 2016-12-28 | パナソニックIpマネジメント株式会社 | 洗濯機 |
EP2496749B1 (en) * | 2009-11-02 | 2021-08-04 | LG Electronics Inc. | Control method of a laundry machine |
EP2496748B1 (en) * | 2009-11-02 | 2021-08-11 | LG Electronics Inc. | Control method of a laundry machine |
-
2007
- 2007-03-13 JP JP2007062932A patent/JP2008220621A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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