JP2008220399A - 車両用シート装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】着座乗員の着座姿勢にかかわらず、着座乗員に対し、一定の温熱感を与える。
【解決手段】着座乗員100の着座姿勢が変化し、これに伴ってシートバック20の上部20Aと着座乗員100の肩部100Aとの密着度が減少すると、上部ヒータ部24の温度が高くなる。その一方で、シートバック20の上部20Aと着座乗員100の肩部100Aとの密着度が増加すると、上部ヒータ部24の温度が低くなる。この結果、シートバック20の上部20Aと着座乗員100の肩部100Aとの密着度が変化した場合でも、着座乗員100の体感温度を一定に保つことができる。これにより、着座乗員100の着座姿勢にかかわらず、着座乗員100に対し、一定の温熱感を与えることが可能となる。
【選択図】図1

Description

本発明は、車両用シート装置に係り、特に、車両用シートに加熱手段を備えて構成された車両用シート装置に関する。
従来、この種の車両用シート装置としては、次のものがある(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。例えば、特許文献1に記載の例では、着座シートが中央領域部と周辺領域部とに区分されている。中央領域部は、温度調節可能なヒータを備え、任意の温度に設定することができるようになっている。また、周辺領域部は、PTC特性を有するヒータを備え、予め定められた所定の温度に維持されるようになっている。
また、特許文献2に記載の例では、クッションにスイッチが内蔵されており、乗員がクッションに着座するとスイッチが閉成してクッション内のヒータに電流が供給されてヒータが発熱するように構成されている。
特開平10−179330号公報 実開昭63−66960号公報 特開2000−325186号公報
しかしながら、上記各技術では、着座乗員が予め想定された特定の着座姿勢にある場合には着座乗員に対し一定の温熱感を与えることができるものの、着座乗員の着座姿勢が変化する場合には着座乗員に対し一定の温熱感を与えることは困難である。従って、着座乗員の着座姿勢にかかわらず、着座乗員に対し、一定の温熱感を与えてより快適な車室空間を提供するためには改善の余地がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、着座乗員の着座姿勢にかかわらず、着座乗員に対し、一定の温熱感を与えてより快適な車室空間を提供することが可能な車両用シート装置を提供することにある。
前記課題を解決するために、請求項1に記載の車両用シート装置は、車両用シートと、前記車両用シートに設けられた加熱手段と、前記車両用シートと前記車両用シートに着座した着座乗員との密着度の減少に応じて前記加熱手段から前記車両用シートのシート表皮へ供給される熱量を増加させるための熱量変更手段と、を備えることを特徴とする。
請求項1に記載の車両用シート装置によれば、例えば、着座乗員の着座姿勢が変化し、これに伴って車両用シートと着座乗員との密着度が減少すると、熱量変更手段が車両用シートと着座乗員との密着度の減少に応じて加熱手段から車両用シートのシート表皮へ供給される熱量を増加させる。これにより、着座乗員の着座姿勢にかかわらず、着座乗員に対し、一定の温熱感を与えてより快適な車室空間を提供することができる。
また、前記課題を解決するために、請求項2に記載の車両用シート装置は、車両用シートと、前記車両用シートに設けられた加熱手段と、前記車両用シートと前記車両用シートに着座した着座乗員との密着度の増加に応じて前記加熱手段から前記車両用シートのシート表皮へ供給される熱量を減少させるための熱量変更手段と、を備えることを特徴とする。
請求項2に記載の車両用シート装置によれば、例えば、着座乗員の着座姿勢が変化し、これに伴って車両用シートと着座乗員との密着度が増加すると、熱量変更手段が車両用シートと着座乗員との密着度の増加に応じて加熱手段から車両用シートのシート表皮へ供給される熱量を減少させる。これにより、着座乗員の着座姿勢にかかわらず、着座乗員に対し、一定の温熱感を与えてより快適な車室空間を提供することができる。
請求項3に記載の車両用シート装置は、請求項1又は請求項2に記載の車両用シート装置において、前記熱量変更手段は、前記車両用シートと前記着座乗員との密着度を検出するための密着度検出手段と、前記密着度検出手段の検出結果に基づいて前記加熱手段から前記車両用シートのシート表皮へ供給される熱量を制御するための制御手段と、を備えることを特徴とする。
請求項3に記載の車両用シート装置によれば、密着度検出手段によって車両用シートと着座乗員との密着度が検出され、制御手段は、この密着度検出手段の検出結果に基づいて加熱手段から車両用シートのシート表皮へ供給される熱量を制御する。従って、例えば、着座乗員の着座姿勢が変化し、これに伴って車両用シートと着座乗員との密着度が変化した場合でも、この密着度の変化に確実に追従してシート表皮への供給熱量を変更することができる。これにより、着座乗員の着座姿勢にかかわらず、着座乗員に対し、より一層一定の温熱感を与えることができる。
請求項4に記載の車両用シート装置は、請求項3に記載の車両用シート装置において、前記制御手段は、前記密着度検出手段の検出結果に基づいて前記加熱手段の発熱量を制御することを特徴とする。
請求項4に記載の車両用シート装置によれば、制御手段は、密着度検出手段の検出結果に基づいて加熱手段の発熱量を制御する。従って、例えば、着座乗員の着座姿勢が変化し、これに伴って車両用シートと着座乗員との密着度が変化した場合でも、この密着度の変化により一層確実に追従してシート表皮への供給熱量を変更することができる。
請求項5に記載の車両用シート装置は、請求項3又は請求項4に記載の車両用シート装置において、前記加熱手段は、前記車両用シートを構成するシートバックにおける上部に設けられていることを特徴とする。
請求項5に記載の車両用シート装置によれば、加熱手段は、車両用シートを構成するシートバックにおける上部に設けられている。従って、この加熱手段によって着座乗員の上半身の上部(例えば、肩甲骨及びその周辺部を含む肩部)を加熱することができ、着座乗員の上半身の上部に対し、一定の温熱感を与えることができる。
請求項6に記載の車両用シート装置は、請求項5に記載の車両用シート装置において、前記密着度検出手段は、前記加熱手段と前記シートバックの厚み方向に対向して設けられていることを特徴とする。
請求項6に記載の車両用シート装置によれば、密着度検出手段は、加熱手段とシートバックの厚み方向に対向して設けられている。従って、加熱手段が設けられたシートバックにおける上部と着座乗員との密着度を密着度検出手段によって直接的に検出することができる。これにより、シートバックにおける上部と着座乗員との密着度の検出精度を向上できる。
請求項7に記載の車両用シート装置は、請求項5に記載の車両用シート装置において、前記密着度検出手段は、前記加熱手段に対し前記シートバックの高さ方向にずらして設けられていることを特徴とする。
請求項7に記載の車両用シート装置によれば、密着度検出手段は、加熱手段に対しシートバックの高さ方向にずらして設けられている。これにより、加熱手段が設けられたシートバックにおける上部と着座乗員との密着度を密着度検出手段によって推定することが可能となる。
請求項8に記載の車両用シート装置は、請求項3乃至請求項7のいずれか一項に記載の車両用シート装置において、前記密着度検出手段は、圧力センサ及び近接センサの少なくとも一方を備えて構成されていることを特徴とする。
請求項8に記載の車両用シート装置によれば、密着度検出手段は、圧力センサ及び近接センサの少なくとも一方を備えて構成されている。これにより、車両用シートと着座乗員との密着度をより正確に検出することが可能となる。
請求項9に記載の車両用シート装置は、請求項1又は請求項2に記載の車両用シート装置において、前記熱量変更手段は、前記車両用シートと前記着座乗員との密着度に応じて前記加熱手段の発熱量を変更させることを特徴とする。
請求項9に記載の車両用シート装置によれば、熱量変更手段は、車両用シートと着座乗員との密着度に応じて加熱手段の発熱量を変更させる。従って、例えば、着座乗員の着座姿勢が変化し、これに伴って車両用シートと着座乗員との密着度が変化した場合でも、この密着度の変化に追従してシート表皮への供給熱量を変更することができる。これにより、着座乗員の着座姿勢にかかわらず、着座乗員に対し、より一層一定の温熱感を与えることができる。
請求項10に記載の車両用シート装置は、請求項9に記載の車両用シート装置において、前記車両用シートに設けられた導電性ヒータと、前記導電性ヒータの一部を電気的にバイパス可能に接続するバイパス手段と、を備え、前記加熱手段は、前記導電性ヒータのうち前記バイパス手段と並列に接続された並列接続ヒータ部を有して構成され、前記熱量変更手段は、前記車両用シートと前記着座乗員との密着度に応じて前記バイパス手段を流れる電流量を変更する電流量変更手段を有して構成されていることを特徴とする。
請求項10に記載の車両用シート装置によれば、車両用シートと着座乗員との密着度が変化すると、この密着度に応じて電流量変更手段がバイパス手段を流れる電流量を変更する。そして、このバイパス手段を流れる電流量が変更されることで、導電性ヒータのうちバイパス手段と並列に接続された並列接続ヒータ部(加熱手段)の発熱量が変更される。従って、例えば、着座乗員の着座姿勢が変化し、これに伴って車両用シートと着座乗員との密着度が変化した場合でも、この密着度の変化により一層確実に追従してシート表皮への供給熱量を変更することができる。
請求項11に記載の車両用シート装置は、請求項10に記載の車両用シート装置において、前記並列接続ヒータ部は、前記車両用シートを構成するシートバックにおける上部に設けられていることを特徴とする。
請求項11に記載の車両用シート装置によれば、導電性ヒータのうちバイパス手段と並列に接続された並列接続ヒータ部は、車両用シートを構成するシートバックにおける上部に設けられている。従って、この並列接続ヒータ部によって着座乗員の上半身の上部(例えば、肩甲骨及びその周辺部を含む肩部)を加熱することができ、着座乗員の上半身の上部に対し、一定の温熱感を与えることができる。
請求項12に記載の車両用シート装置は、請求項1又は請求項2に記載の車両用シート装置において、前記熱量変更手段は、前記車両用シートと前記着座乗員との密着度に応じて前記加熱手段と接離される放熱部材を備えることを特徴とする。
請求項12に記載の車両用シート装置によれば、車両用シートと着座乗員との密着度が変化すると、この密着度に応じて放熱部材が加熱手段と接離される。そして、この放熱部材が加熱手段と接離されることで、加熱手段から車両用シートのシート表皮へ供給される熱量が変更される。従って、例えば、着座乗員の着座姿勢が変化し、これに伴って車両用シートと着座乗員との密着度が変化した場合でも、この密着度の変化に追従してシート表皮着への供給熱量を変更することができる。これにより、着座乗員の着座姿勢にかかわらず、着座乗員に対し、より一層一定の温熱感を与えることができる。
請求項13に記載の車両用シート装置は、請求項12に記載の車両用シート装置において、前記加熱手段は、前記車両用シートを構成するシートバックにおける上部に位置される部位を含んで構成され、前記放熱部材は、前記シートバックにおける上部に設けられると共に、前記加熱手段と前記シートバックの厚み方向に対向して設けられていることを特徴とする。
請求項13に記載の車両用シート装置によれば、加熱手段は、車両用シートを構成するシートバックにおける上部に位置される部位を含んで構成されている。そして、放熱部材は、シートバックにおける上部に設けられると共に、加熱手段と前記シートバックの厚み方向に対向して設けられている。従って、着座乗員の上半身の上部(例えば、肩甲骨及びその周辺部を含む肩部)とシートバックにおける上部との密着度に応じた最適な温度で着座乗員の上半身の上部を加熱することができ、着座乗員の上半身の上部に対し、一定の温熱感を与えることができる。
以上詳述したように、本発明によれば、着座乗員の着座姿勢にかかわらず、着座乗員に対し、一定の温熱感を与えてより快適な車室空間を提供することが可能となる。
[第一実施形態]
はじめに、本発明の第一実施形態に係る車両用シート装置10の構成について説明する。
図1,図2に示されるように、本発明の第一実施形態に係る車両用シート装置10は、車両用シート12と、スイッチ14と、コントローラ16(熱量変更手段の一部、制御手段に相当)と、を主要な構成として備えている。
車両用シート12は、シートクッション18とシートバック20により構成されている。シートクッション18は、フレーム部材とフレーム部材を覆うパッド部材とこれらの最外面を覆うシート表皮とから少なくとも構成されており、このシートクッション18には、座面ヒータ部22が内蔵されている。また、シートバック20は、フレーム部材とフレーム部材を覆うパッド部材とこれらの最外面を覆うシート表皮とから少なくとも構成されている。このシートバック20の上部20A(例えば、着座乗員100の肩甲骨を支持する部位)には、上部ヒータ部24(加熱手段に相当)が内蔵されており、シートバック20の上部ヒータ部24に対する下方には、下部ヒータ部26が内蔵されている。
座面ヒータ部22、上部ヒータ部24、下部ヒータ部26は、いずれも例えば面状発熱体シート、電熱線ヒータ等により構成されており、コントローラ16と電気的に接続されている。そして、座面ヒータ部22、上部ヒータ部24、下部ヒータ部26は、コントローラ16から電流が供給された場合に発熱して各々の配置部位におけるシート表皮を温めることができるように構成されている。
また、シートバック20の上部20Aには、圧力センサ28(熱量変更手段の一部、密着度検出手段に相当)が内蔵されている。圧力センサ28は、上部ヒータ部24とシートバック20の厚み方向に対向して(すなわち、少なくとも一部が上部ヒータ部24とシートバック20の高さ方向とオーバラップするように重ね合わされて)設けられている。この圧力センサ28は、例えば感圧フィルムセンサ等により構成されており、受けた圧力に応じた信号をコントローラ16に出力することができるように構成されている。
スイッチ14は、例えば、車両用シート12やインストルメントパネルに一体的に設けられている。スイッチ14は、座面ヒータ部22、上部ヒータ部24、下部ヒータ部26のオンオフ操作の他に、座面ヒータ部22、上部ヒータ部24、下部ヒータ部26の温度設定等の操作を行うことができるように構成されており、各操作に応じた信号をコントローラ16に出力することができるように構成されている。
コントローラ16は、車両の適宜位置に配置されている。コントローラ16は、車両に搭載されたバッテリ等の電源32から電力を供給されると共に、上述のスイッチ14から出力された信号に応じて座面ヒータ部22、上部ヒータ部24、下部ヒータ部26へ電流を供給するように構成されている。また、このコントローラ16は、スイッチ14から出力された信号に応じて座面ヒータ部22、下部ヒータ部26へ供給する電流量を制御すると共に、スイッチ14及び圧力センサ28から出力された信号に応じて上部ヒータ部24へ供給する電流量を制御するように構成されている。
次に、本発明の第一実施形態に係る車両用シート装置10の作用及び効果について説明する。
本発明の第一実施形態に係る車両用シート装置10において、スイッチ14が着座乗員100によって操作されると、スイッチ14からコントローラ16に操作信号が出力される。コントローラ16は、スイッチ14から出力された操作信号を入力すると、この操作信号に応じた量の電流を座面ヒータ部22、上部ヒータ部24、下部ヒータ部26へ供給する。座面ヒータ部22、上部ヒータ部24、下部ヒータ部26は、コントローラ16から電流が供給されると、この電流量に応じて発熱する。これにより、座面ヒータ部22、上部ヒータ部24、下部ヒータ部26の配置部位におけるシート表皮が任意の温度に温められ、着座乗員100に温熱感が与えられる。
また、このとき、圧力センサ28は、受けた圧力に応じた信号をコントローラ16に出力する。ここで、例えば、図3Aに示されるように、着座乗員100の肩部100Aがシートバック20の上部20Aから少し離れた場合には、シートバック20の上部20Aと着座乗員100の肩部100Aとの密着度が小となり、圧力センサ28が受ける圧力も小さくなる。
そして、コントローラ16は、圧力センサ28から出力された信号を入力し、この圧力センサ28から出力された信号に応じて上部ヒータ部24へ供給する電流量を増加させる。これにより、上部ヒータ部24の発熱量が増加され、上部ヒータ部24の温度が高くなる。つまり、シートバック20の上部20Aと着座乗員100の肩部100Aとの密着度が小である場合には、図4に示されるように、例えば、上部ヒータ部24の温度が50℃となる。この結果、上部ヒータ部24の配置部位におけるシート表皮の温度が高くなる。
一方、例えば、図3Bに示されるように、着座乗員100の肩部100Aがシートバック20の上部20Aにもたれ掛かった場合には、シートバック20の上部20Aと着座乗員100の肩部100Aとの密着度が大となり、圧力センサ28が受ける圧力も大きくなる。
そして、コントローラ16は、圧力センサ28から出力された信号を入力し、この圧力センサ28から出力された信号に応じて上部ヒータ部24へ供給する電流量を減少させる。これにより、上部ヒータ部24の発熱量が減少され、上部ヒータ部24の温度が低くなる。つまり、シートバック20の上部20Aと着座乗員100の肩部100Aとの密着度が大である場合には、図4に示されるように、例えば、上部ヒータ部24の温度が40℃となる。この結果、上部ヒータ部24の配置部位におけるシート表皮の温度が低くなる。
このように、本発明の第一実施形態に係る車両用シート装置10によれば、例えば、着座乗員100の着座姿勢が変化し、これに伴ってシートバック20の上部20Aと着座乗員100の肩部100Aとの密着度が減少すると、上部ヒータ部24の温度が高くなり、上部ヒータ部24の配置部位におけるシート表皮の温度も高くなる(つまり、上部ヒータ部24からシート表皮へ供給される熱量が増加する)。その一方で、シートバック20の上部20Aと着座乗員100の肩部100Aとの密着度が増加すると、上部ヒータ部24の温度が低くなり、上部ヒータ部24の配置部位におけるシート表皮の温度も低くなる(つまり、上部ヒータ部24からシート表皮へ供給される熱量が減少する)。
この結果、シートバック20の上部20Aと着座乗員100の肩部100Aとの密着度が変化した場合でも、着座乗員100の体感温度を一定(例えば、40℃、図5参照)に保つことができる。これにより、着座乗員100の着座姿勢にかかわらず、着座乗員100に対し、一定の温熱感を与えてより快適な車室空間を提供することができる。
また、本発明の第一実施形態に係る車両用シート装置10によれば、上述のように、圧力センサ28を用いてシートバック20の上部20Aと着座乗員100の肩部100Aとの密着度を検出し、この検出結果に基づいて上部ヒータ部24の発熱量を制御する。従って、例えば、着座乗員100の着座姿勢が変化し、これに伴ってシートバック20の上部20Aと着座乗員100の肩部100Aとの密着度が変化した場合でも、この密着度の変化に確実に追従してシート表皮への供給熱量を変更することができる。これにより、着座乗員100の着座姿勢にかかわらず、着座乗員100に対し、より一層一定の温熱感を与えることができる。
また、本発明の第一実施形態に係る車両用シート装置10によれば、上部ヒータ部24は、車両用シート12を構成するシートバック20の上部20Aに設けられている。従って、この上部ヒータ部24によって着座乗員100の肩部100A(例えば、肩甲骨及びその周辺部を含む)を加熱することができ、着座乗員100の肩部100Aに対し、一定の温熱感を与えることができる。これにより、例えば、着座乗員100の肩こりや疲労等を低減できる。
また、本発明の第一実施形態に係る車両用シート装置10によれば、圧力センサ28は、上部ヒータ部24とシートバック20の厚み方向に対向して設けられている。従って、上部ヒータ部24が設けられたシートバック20の上部20Aと着座乗員100の肩部100Aとの密着度を圧力センサ28によって直接的に検出することができる。これにより、シートバック20の上部20Aと着座乗員100の肩部100Aとの密着度の検出精度を向上できる。
また、本発明の第一実施形態に係る車両用シート装置10によれば、シートバック20の上部20Aと着座乗員100の肩部100Aとの密着度の検出に圧力センサ28を用いている。従って、シートバック20の上部20Aと着座乗員100の肩部100Aとの密着度をより正確に検出することができる。
次に、本発明の第一実施形態に係る車両用シート装置10の変形例について説明する。
上記実施形態では、コントローラ16が、シートバック20の上部20Aと着座乗員100の肩部100Aとの密着度が減少すると、上部ヒータ部24の温度を高くし、シートバック20の上部20Aと着座乗員100の肩部100Aとの密着度が増加すると、上部ヒータ部24の温度が低くするように構成されていたが、次のようにしても良い。
すなわち、コントローラ16は、シートバック20の上部20Aと着座乗員100の肩部100Aとの密着度が減少することに応じて上部ヒータ部24の温度を高くするようにのみ構成されていても良い。また、コントローラ16は、シートバック20の上部20Aと着座乗員100の肩部100Aとの密着度が増加することに応じて上部ヒータ部24の温度を低くするようにのみ構成されていても良い。
また、上記実施形態では、シートバック20の上部20Aに圧力センサ28が設けられて、シートバック20の上部20Aと着座乗員100の肩部100Aとの密着度に応じて上部ヒータ部24の発熱量を増減するように構成されていたが、次のようにしても良い。
すなわち、シートバック20における下部ヒータ部26の位置に圧力センサ28が設けられて、シートバック20と着座乗員100の腰部との密着度に応じて下部ヒータ部26の発熱量を増減するように構成されていても良い。同様に、シートクッション18に圧力センサ28が設けられて、シートクッション18と着座乗員100の大腿部との密着度に応じて座面ヒータ部22の発熱量を増減するように構成されていても良い。
また、上記実施形態では、上部ヒータ部24と着座乗員100の肩部100Aとの密着度の検出に圧力センサ28が用いられていたが、例えば、図6に示される変形例のように、上部ヒータ部24と着座乗員100の肩部100Aとの密着度の検出に例えば静電容量センサ等の近接センサ30(熱量変更手段の一部、密着度検出手段に相当)が用いられていても良い。
なお、図6に示される変形例において、近接センサ30は、上部ヒータ部24とシートバック20の厚み方向に離間して(厚み方向に対向して)設けられており、着座乗員100の肩部100Aとの距離に応じた信号をコントローラ16に出力することができるように構成されている。また、コントローラ16は、スイッチ14及び近接センサ30から出力された信号に応じて上部ヒータ部24へ供給する電流量を制御するように構成されている。
そして、この変形例において、コントローラ16は、例えば、着座乗員100の着座姿勢が変化し、これに伴ってシートバック20の上部20Aと着座乗員100の肩部100Aとの距離が増加(つまり密着度は減少)すると、上部ヒータ部24の温度を高くする(例えば、50℃、図7参照)。その一方で、シートバック20の上部20Aと着座乗員100の肩部100Aとの距離が減少(つまり密着度は増加)すると、上部ヒータ部24の温度を低くする(例えば、40℃、図7参照)。
このようにしても、シートバック20の上部20Aと着座乗員100の肩部100Aとの密着度が変化した場合には、着座乗員100の体感温度を一定(例えば、40℃)に保つことができる。このように、圧力センサ28の代わりに近接センサ30を用いた場合でも、圧力センサ28を用いた場合と同様に、着座乗員100に対し、一定の温熱感を与えることができる。
また、上記実施形態及び変形例では、上部ヒータ部24と着座乗員100の肩部100Aとの密着度の検出に圧力センサ28及び近接センサ30の一方が用いられていたが、例えば、図8に示される変形例のように、上部ヒータ部24と着座乗員100の肩部100Aとの密着度の検出に圧力センサ28及び近接センサ30の両方が用いられていても良い。
なお、図8に示される変形例において、コントローラ16は、スイッチ14、圧力センサ28、及び近接センサ30から出力された信号に応じて上部ヒータ部24へ供給する電流量を制御するように構成されている。
そして、この変形例において、コントローラ16は、例えば、着座乗員100の着座姿勢が変化し、これに伴ってシートバック20の上部20Aと着座乗員100の肩部100Aとの密着度が減少すると(例えば、シートバック20の上部20Aと着座乗員100の肩部100Aとが僅かに接触した状態)、上部ヒータ部24の温度を高くする(例えば、50℃、図9参照)。さらに、コントローラ16は、シートバック20の上部20Aから着座乗員100の肩部100Aが離れてシートバック20の上部20Aと着座乗員100の肩部100Aとの距離がさらに増加すると、上部ヒータ部24の温度をさらに高くする(例えば、70℃、図9参照)。
その一方で、コントローラ16は、シートバック20の上部20Aと着座乗員100の肩部100Aとの距離が減少すると(例えば、シートバック20の上部20Aと着座乗員100の肩部100Aとが僅かに接触した状態)、上部ヒータ部24の温度を低くする(例えば、50℃、図9参照)。さらに、コントローラ16は、シートバック20の上部20Aと着座乗員100の肩部100Aとの距離がさらに減少し、シートバック20の上部20Aと着座乗員100の肩部100Aとの密着度が増加すると(例えば、シートバック20の上部20Aに着座乗員100の肩部100Aがもたれ掛かった状態)、上部ヒータ部24の温度をさらに低くする(例えば、40℃、図9参照)。
このようにしても、シートバック20の上部20Aと着座乗員100の肩部100Aとの密着度が変化した場合には、着座乗員100の体感温度を一定(例えば、40℃)に保つことができる。特に、この変形例によれば、シートバック20の上部20Aから着座乗員100の肩部100Aが離れている状態では、近接センサ30の検出結果に基づき上部ヒータ部24の温度が変更されるので、圧力センサ28のみを用いた場合に比して、シートバック20の上部20Aと着座乗員100の肩部100Aとの密着度の検出範囲を広げることができる。
また、上記実施形態では、圧力センサ28が上部ヒータ部24とシートバック20の厚み方向に対向して設けられていたが、例えば、図10に示される変形例のように、圧力センサ28が上部ヒータ部24に対しシートバック20の高さ方向の下側にずらして(上部ヒータ部24とシートバック20の高さ方向に並んで)設けられていても良い。
そして、この変形例において、コントローラ16は、上部ヒータ部24に対しシートバック20の高さ方向の下側にずらして設けられた圧力センサ28の検出結果を、着座乗員100の肩部100Aから上部ヒータ部24に作用する圧力(つまり上部ヒータ部24が設けられたシートバック20の上部20Aと着座乗員100の肩部100Aとの密着度)と推定し、この推定値に基づいて上部ヒータ部24の温度を増減させる。
このようにすれば、例えば、図11に示されるように、シートバック20の上部20Aから着座乗員100の肩部100Aが離れた状態でも、シートバック20の上部20A(上部ヒータ部24)と着座乗員100の肩部100Aとの密着度を検出することができる。これにより、圧力センサ28が上部ヒータ部24とシートバック20の厚み方向に対向して設けられた場合(図1参照)に比して、圧力センサ28に高精度のものを使用する必要が無くなるので、コストダウンを図ることができる。
また、上記実施形態では、加熱手段として例えば面状発熱体シート等により構成された上部ヒータ部24が設けられていたが、上部ヒータ部24の代わりに、例えばファンヒータ等が設けられていても良い。
[第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態に係る車両用シート装置40の構成について説明する。
図12には、本発明の第二実施形態に係る車両用シート装置40の全体構成が示されている。本発明の第二実施形態に係る車両用シート装置40は、本発明の第一実施形態に係る車両用シート装置10に対し、上部ヒータ部24及び圧力センサ28の代わりに電熱線ヒータ42(導電性ヒータに相当)を備えたものである。なお、本発明の第二実施形態において、電熱線ヒータ42以外の構成については上述の本発明の第一実施形態と同一であるので、この同一の構成については本発明の第一実施形態と同一の符号を用いることとしてその説明を省略する。
本発明の第二実施形態に係る車両用シート装置40において、電熱線ヒータ42は、例えば、1本の連続する電熱線を所定の形状に屈曲して構成したものであり、シートバック20に内蔵されている。この電熱線ヒータ42の一方の端部44は、コントローラ16の陽極出力端子に接続されており、電熱線ヒータ42の他方の端部46は、コントローラ16の陰極出力端子に接続されている。
また、この電熱線ヒータ42は、上部ヒータ部48(加熱手段に相当)と下部ヒータ部50とを有している。上部ヒータ部48は、シートバック20の上部20A(例えば、着座乗員100の肩甲骨を支持する部位)に設けられており、下部ヒータ部50は、シートバック20の上部ヒータ部48に対する下方に設けられている。
また、上部ヒータ部48には、屈曲部52と屈曲部54とをバイパス可能に接続するバイパス線56(バイパス手段に相当)が設けられている。そして、上部ヒータ部48には、屈曲部52と屈曲部54とがバイパス線56で接続されることにより、バイパス線56と並列に接続された並列接続ヒータ部58が形成されている。
また、バイパス線56には、圧力スイッチ60(熱量変更手段、電流量変更手段に相当)が設けられている。この圧力スイッチ60は、受ける圧力に応じてスイッチオンオフされるように構成されている。つまり、圧力スイッチ60は、受ける圧力が高い場合にはスイッチオンとなってバイパス線56を導通し、受ける圧力が低い場合にはスイッチオフとなってバイパス線56を遮断するように構成されている。
なお、スイッチ14は、電熱線ヒータ42のオンオフ操作の他に、電熱線ヒータ42の温度設定等の操作を行うことができるように構成されている。また、コントローラ16は、スイッチ14から出力された信号に応じて電熱線ヒータ42へ供給する電流量を制御するように構成されている。
次に、本発明の第二実施形態に係る車両用シート装置40の作用及び効果について説明する。
本発明の第二実施形態に係る車両用シート装置40において、スイッチ14が着座乗員によって操作されると、スイッチ14からコントローラ16に操作信号が出力される。コントローラ16は、スイッチ14から出力された操作信号を入力すると、この操作信号に応じた量の電流を電熱線ヒータ42へ供給する。電熱線ヒータ42は、コントローラ16から電流が供給されると、この電流量に応じて発熱する。これにより、電熱線ヒータ42の配置部位におけるシート表皮が任意の温度に温められ、着座乗員に温熱感が与えられる。
ここで、例えば、着座乗員100の肩部100A(図1参照)がシートバック20の上部20Aから少し離れた場合には、シートバック20の上部20Aと着座乗員100の肩部100Aとの密着度が小となり、圧力スイッチ60がスイッチオフとなる。従って、バイパス線56には電流が流れずに、並列接続ヒータ部58に流れる電流量が増加される。これにより、並列接続ヒータ部58、ひいては上部ヒータ部48の発熱量が増加され、上部ヒータ部48の温度が高くなる。つまり、シートバック20の上部20Aと着座乗員100の肩部100Aとの密着度が小である場合には、例えば、上部ヒータ部48の温度が50℃となる。この結果、上部ヒータ部48の配置部位におけるシート表皮の温度が高くなる。
一方、例えば、着座乗員100の肩部100Aがシートバック20の上部20Aにもたれ掛かった場合には、シートバック20の上部20Aと着座乗員100の肩部100Aとの密着度が大となり、圧力スイッチ60がスイッチオンとなる。従って、バイパス線56には電流が流れ、並列接続ヒータ部58に流れる電流量が減少される。これにより、並列接続ヒータ部58、ひいては上部ヒータ部48の発熱量が減少され、上部ヒータ部48の温度が低くなる。つまり、シートバック20の上部20Aと着座乗員100の肩部100Aとの密着度が大である場合には、例えば、上部ヒータ部48の温度が40℃となる。この結果、上部ヒータ部48の配置部位におけるシート表皮の温度が低くなる。
このように、本発明の第二実施形態に係る車両用シート装置40によれば、例えば、着座乗員100の着座姿勢が変化し、これに伴ってシートバック20の上部20Aと着座乗員100の肩部100Aとの密着度が減少すると、上部ヒータ部48の温度が高くなり、上部ヒータ部48の配置部位におけるシート表皮の温度も高くなる(つまり、上部ヒータ部48からシート表皮へ供給される熱量が増加する)。その一方で、シートバック20の上部20Aと着座乗員100の肩部100Aとの密着度が増加すると、上部ヒータ部48の温度が低くなり、上部ヒータ部48の配置部位におけるシート表皮の温度も低くなる(つまり、上部ヒータ部48からシート表皮へ供給される熱量が減少する)。
この結果、シートバック20の上部20Aと着座乗員100の肩部100Aとの密着度が変化した場合でも、着座乗員100の体感温度を一定(例えば、40℃)に保つことができる。これにより、着座乗員100の着座姿勢にかかわらず、着座乗員100に対し、一定の温熱感を与えてより快適な車室空間を提供することができる。
また、本発明の第二実施形態に係る車両用シート装置40によれば、上述のように、上部ヒータ部48にバイパス線56及び圧力スイッチ60を設け、シートバック20の上部20Aと着座乗員100の肩部100Aとの密着度に応じて上部ヒータ部48の発熱量を変更させる。従って、例えば、着座乗員100の着座姿勢が変化し、これに伴ってシートバック20の上部20Aと着座乗員100の肩部100Aとの密着度が変化した場合でも、この密着度の変化に追従してシート表皮への供給熱量を変更することができる。これにより、着座乗員100の着座姿勢にかかわらず、着座乗員100に対し、より一層一定の温熱感を与えることができる。
また、本発明の第二実施形態に係る車両用シート装置40によれば、上部ヒータ部48にバイパス線56及び圧力スイッチ60を設けるだけの簡単な構成により、シートバック20の上部20Aと着座乗員100の肩部100Aとの密着度の変化に追従してシート表皮への供給熱量を変更することができる。これにより、シートバック20の上部20Aと着座乗員100の肩部100Aとの密着度に応じて上部ヒータ部48の発熱量を制御する必要が無いので、コントローラ16の構成を簡素化することができる。
また、本発明の第二実施形態に係る車両用シート装置40によれば、上述のように、シートバック20の上部20Aと着座乗員100の肩部100Aとの密着度が変化すると、この密着度に応じて圧力スイッチ60がスイッチオンオフし、バイパス線56を流れる電流量が変更される。そして、このバイパス線56を流れる電流量が変更されることで、電熱線ヒータ42のうちバイパス線56と並列に接続された並列接続ヒータ部58の発熱量が変更される。従って、例えば、着座乗員100の着座姿勢が変化し、これに伴ってシートバック20の上部20Aと着座乗員100の肩部100Aとの密着度が変化した場合でも、この密着度の変化により一層確実に追従してシート表皮への供給熱量を変更することができる。
また、本発明の第二実施形態に係る車両用シート装置40によれば、上部ヒータ部48は、車両用シート12を構成するシートバック20の上部20Aに設けられている。従って、この上部ヒータ部48によって着座乗員100の肩部100A(例えば、肩甲骨及びその周辺部を含む)を加熱することができ、着座乗員100の肩部100Aに対し、一定の温熱感を与えることができる。これにより、例えば、着座乗員100の肩こりや疲労等を低減できる。
次に、本発明の第二実施形態に係る車両用シート装置40の変形例について説明する。
上記実施形態では、シートバック20の上部20Aに位置する上部ヒータ部48にバイパス線56及び圧力スイッチ60が設けられて、シートバック20の上部20Aと着座乗員100の肩部100Aとの密着度に応じて上部ヒータ部48の発熱量を増減するように構成されていたが、次のようにしても良い。
すなわち、下部ヒータ部50にバイパス線56及び圧力スイッチ60が設けられて、シートバック20と着座乗員100の腰部との密着度に応じて下部ヒータ部50の発熱量を増減するように構成されていても良い。
また、上記実施形態では、電熱線ヒータ42がシートバック20に設けられていたが、電熱線ヒータ42は、シートクッション18に設けられていても良い。
また、上記実施形態では、圧力スイッチ60が、受ける圧力に応じてスイッチオンオフされるように構成されていたが、圧力スイッチ60は、受ける圧力に応じて連続的に抵抗値が増減する感圧導電ゴム等により構成されていても良い。このようにすると、上部ヒータ部48の温度を、シートバック20の上部20Aと着座乗員100の肩部100Aとの密着度に応じてより細やかに制御することができる。
また、上記実施形態では、上部ヒータ部48に並列接続ヒータ部58が一つ設けられていたが、上部ヒータ部48の高さ方向にバイパス線56及び圧力スイッチ60を複数設け、上部ヒータ部48に並列接続ヒータ部58が複数設けられていても良い。このようにすると、シートバック20の上部20Aのシート表皮の温度を、シートバック20の上部20Aと着座乗員100の肩部100Aとの高さ方向の密着度の分布に応じて変更することができ、着座乗員100に対し、より一層一定の温熱感を与えることができる。
また、上記実施形態では、シートバック20を加熱するために電熱線ヒータ42が用いられていたが、電熱線ヒータ42の代わりに、PTC等の面状ヒータが用いられていても良い。
[第三実施形態]
次に、本発明の第三実施形態に係る車両用シート装置70の構成について説明する。
図13には、本発明の第三実施形態に係る車両用シート装置70の全体構成が示されている。本発明の第三実施形態に係る車両用シート装置70は、本発明の第一実施形態に係る車両用シート装置10に対し、上部ヒータ部24、下部ヒータ部26、及び圧力センサ28の代わりにヒータ部72及び放熱部材74を備えたものである。なお、本発明の第三実施形態において、ヒータ部72及び放熱部材74以外の構成については上述の本発明の第一実施形態と同一であるので、この同一の構成については本発明の第一実施形態と同一の符号を用いることとしてその説明を省略する。
本発明の第三実施形態に係る車両用シート装置70において、ヒータ部72(加熱手段に相当)は、シートバック20の上部から下部にかけて延在されて、このシートバック20に内蔵されている。
また、放熱部材74(熱量変更手段に相当)は、シートバック20の上部20Aに設けられている。また、放熱部材74は、ヒータ部72に対する背面側に設けられている。この放熱部材74は、例えば、アルミニウム製のヒートシンク等により構成されており、ヒータ部72とシートバック20の厚み方向に離間して(厚み方向に対向して)設けられている。
また、シートバック20には、ヒータ部72と放熱部材74との間に空間76が設けられている。そして、ヒータ部72は、圧力を受けていない場合には空間76の周囲のパッド部材の弾性力により放熱部材74から離間され、圧力を受けている場合には空間76の周囲のパッド部材の弾性力に抗して放熱部材74と密着されるようになっている。
なお、スイッチ14は、ヒータ部72のオンオフ操作の他に、ヒータ部72の温度設定等の操作を行うことができるように構成されている。また、コントローラ16は、スイッチ14から出力された信号に応じてヒータ部72へ供給する電流量を制御するように構成されている。
次に、本発明の第三実施形態に係る車両用シート装置70の作用及び効果について説明する。
本発明の第三実施形態に係る車両用シート装置70において、スイッチ14が着座乗員100によって操作されると、スイッチ14からコントローラ16に操作信号が出力される。コントローラ16は、スイッチ14から出力された操作信号を入力すると、この操作信号に応じた量の電流を座面ヒータ部22、ヒータ部72へ供給する。座面ヒータ部22、ヒータ部72は、コントローラ16から電流が供給されると、この電流量に応じて発熱する。これにより、座面ヒータ部22、ヒータ部72の配置部位におけるシート表皮が任意の温度に温められ、着座乗員100に温熱感が与えられる。
ここで、例えば、図14Aに示されるように、着座乗員100の肩部100Aがシートバック20の上部20Aから少し離れている場合には、シートバック20の上部20Aと着座乗員100の肩部100Aとの密着度が小となり、空間76の周囲のパッド部材の弾性力によりヒータ部72が放熱部材74から離間された状態となる。従って、ヒータ部72の上部の熱は放熱部材74によって放熱されないので、ヒータ部72全体が温度の高い状態に維持され(例えば、50℃)、ヒータ部72の配置部位におけるシート表皮の温度が高く維持される。
一方、例えば、図14Bに示されるように、着座乗員100の肩部100Aがシートバック20の上部20Aにもたれ掛かっている場合には、シートバック20の上部20Aと着座乗員100の肩部100Aとの密着度が大となり、空間76の周囲のパッド部材の弾性力に抗してヒータ部72の上部が放熱部材74に密着された状態となる。従って、ヒータ部72の上部の熱が放熱部材74によって放熱されてヒータ部72の上部の温度が低下され(例えば、40℃)、ヒータ部72の上部の配置部位におけるシート表皮の温度が低くなる。
このように、本発明の第三実施形態に係る車両用シート装置70によれば、例えば、着座乗員100の着座姿勢が変化し、これに伴ってシートバック20の上部20Aと着座乗員100の肩部100Aとの密着度が減少すると、ヒータ部72の上部の配置部位におけるシート表皮の温度が高くなる(つまり、ヒータ部72の上部からシート表皮へ供給される熱量が維持される)。その一方で、シートバック20の上部20Aと着座乗員100の肩部100Aとの密着度が増加すると、ヒータ部72の上部の配置部位におけるシート表皮の温度が低くなる(つまり、ヒータ部72の上部からシート表皮へ供給される熱量が減少する)。
この結果、シートバック20の上部20Aと着座乗員100の肩部100Aとの密着度が変化した場合でも、着座乗員100の体感温度を一定(例えば、40℃)に保つことができる。これにより、着座乗員100の着座姿勢にかかわらず、着座乗員100に対し、一定の温熱感を与えてより快適な車室空間を提供することができる。
また、本発明の第三実施形態に係る車両用シート装置70によれば、上述のように、シートバック20の上部20Aと着座乗員100の肩部100Aとの密着度が変化すると、この密着度に応じてヒータ部72が変位しヒータ部72の上部と放熱部材74とが接離される。そして、ヒータ部72の上部と放熱部材74とが接離されることで、ヒータ部72の上部からシート表皮へ供給される熱量が変更される。従って、例えば、着座乗員100の着座姿勢が変化し、これに伴ってシートバック20の上部20Aと着座乗員100の肩部100Aとの密着度が変化した場合でも、この密着度の変化に追従してシート表皮への供給熱量を変更することができる。これにより、着座乗員100の着座姿勢にかかわらず、着座乗員100に対し、より一層一定の温熱感を与えることができる。
また、本発明の第三実施形態に係る車両用シート装置70によれば、放熱部材74を設けるだけの簡単な構成により、シートバック20の上部20Aと着座乗員100の肩部100Aとの密着度の変化に追従してシート表皮への供給熱量を変更することができる。これにより、シートバック20の上部20Aと着座乗員100の肩部100Aとの密着度に応じてヒータ部72の発熱量を制御する必要が無いので、コントローラ16の構成を簡素化することができる。
また、本発明の第三実施形態に係る車両用シート装置70によれば、上述のように、ヒータ部72は、その一部が車両用シート12を構成するシートバック20の上部20Aに設けられている。そして、放熱部材74は、シートバック20の上部20Aに設けられると共に、ヒータ部72とシートバック20の厚み方向に対向して設けられている。従って、着座乗員100の肩部100Aとシートバック20の上部20Aとの密着度に応じた最適な温度で着座乗員100の肩部100Aを加熱することができ、着座乗員100の肩部100Aに対し、一定の温熱感を与えることができる。これにより、例えば、着座乗員100の肩こりや疲労等を低減できる。
次に、本発明の第三実施形態に係る車両用シート装置70の変形例について説明する。
上記実施形態では、シートバック20の上部20Aに放熱部材74が設けられて、シートバック20の上部20Aと着座乗員100の肩部100Aとの密着度に応じてシートバック20の上部20Aのシート表皮の温度を増減するように構成されていたが、次のようにしても良い。すなわち、シートバック20の下部に放熱部材74が設けられて、シートバック20の下部と着座乗員100の腰部との密着度に応じてシートバック20の下部のシート表皮の温度を増減するように構成されていても良い。
本発明の第一実施形態に係る車両用シート装置の全体構成を示す図である。 本発明の第一実施形態に係る車両用シート装置の全体構成を示す図である。 図1に示される車両用シートに乗員が着座した状態を示す説明図である。 図1に示される車両用シートに乗員が着座した状態を示す説明図である。 図1に示されるシートバックの上部と着座乗員の肩部との密着度と上部ヒータ部の温度との関係を示すグラフである。 図1に示されるシートバックの上部と着座乗員の肩部との密着度と着座乗員の体感温度との関係を示すグラフである。 本発明の第一実施形態に係る車両用シート装置の変形例を示す図である。 図6に示されるシートバックの上部と着座乗員の肩部との距離と上部ヒータ部の温度との関係を示すグラフである。 本発明の第一実施形態に係る車両用シート装置の変形例を示す図である。 図8に示されるシートバックの上部と着座乗員の肩部との密着度及び距離と上部ヒータ部の温度との関係を示すグラフである。 本発明の第一実施形態に係る車両用シート装置の変形例を示す図である。 図10に示される車両用シートに乗員が着座した状態を示す説明図である。 本発明の第二実施形態に係る車両用シート装置の全体構成を示す図である。 本発明の第三実施形態に係る車両用シート装置の全体構成を示す図である。 図13に示される車両用シートに乗員が着座した状態を示す説明図である。 図13に示される車両用シートに乗員が着座した状態を示す説明図である。
符号の説明
10,40,70 車両用シート装置
12 車両用シート
16 コントローラ(熱量変更手段の一部、制御手段)
20 シートバック
24,48 上部ヒータ部(加熱手段)
28 圧力センサ(熱量変更手段の一部、密着度検出手段)
30 近接センサ(熱量変更手段の一部、密着度検出手段)
42 電熱線ヒータ(導電性ヒータ)
56 バイパス線(バイパス手段)
58 並列接続ヒータ部
60 圧力スイッチ(熱量変更手段、電流量変更手段)
72 ヒータ部(加熱手段)
74 放熱部材(熱量変更手段)

Claims (13)

  1. 車両用シートと、
    前記車両用シートに設けられた加熱手段と、
    前記車両用シートと前記車両用シートに着座した着座乗員との密着度の減少に応じて前記加熱手段から前記車両用シートのシート表皮へ供給される熱量を増加させるための熱量変更手段と、
    を備えることを特徴とする車両用シート装置。
  2. 車両用シートと、
    前記車両用シートに設けられた加熱手段と、
    前記車両用シートと前記車両用シートに着座した着座乗員との密着度の増加に応じて前記加熱手段から前記車両用シートのシート表皮へ供給される熱量を減少させるための熱量変更手段と、
    を備えることを特徴とする車両用シート装置。
  3. 前記熱量変更手段は、
    前記車両用シートと前記着座乗員との密着度を検出するための密着度検出手段と、
    前記密着度検出手段の検出結果に基づいて前記加熱手段から前記車両用シートのシート表皮へ供給される熱量を制御するための制御手段と、
    を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両用シート装置。
  4. 前記制御手段は、前記密着度検出手段の検出結果に基づいて前記加熱手段の発熱量を制御することを特徴とする請求項3に記載の車両用シート装置。
  5. 前記加熱手段は、前記車両用シートを構成するシートバックにおける上部に設けられていることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の車両用シート装置。
  6. 前記密着度検出手段は、前記加熱手段と前記シートバックの厚み方向に対向して設けられていることを特徴とする請求項5に記載の車両用シート装置。
  7. 前記密着度検出手段は、前記加熱手段に対し前記シートバックの高さ方向にずらして設けられていることを特徴とする請求項5に記載の車両用シート装置。
  8. 前記密着度検出手段は、圧力センサ及び近接センサの少なくとも一方を備えて構成されていることを特徴とする請求項3乃至請求項7のいずれか一項に記載の車両用シート装置。
  9. 前記熱量変更手段は、前記車両用シートと前記着座乗員との密着度に応じて前記加熱手段の発熱量を変更させることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両用シート装置。
  10. 前記車両用シートに設けられた導電性ヒータと、
    前記導電性ヒータの一部を電気的にバイパス可能に接続するバイパス手段と、
    を備え、
    前記加熱手段は、前記導電性ヒータのうち前記バイパス手段と並列に接続された並列接続ヒータ部を有して構成され、
    前記熱量変更手段は、前記車両用シートと前記着座乗員との密着度に応じて前記バイパス手段を流れる電流量を変更する電流量変更手段を有して構成されていることを特徴とする請求項9に記載の車両用シート装置。
  11. 前記並列接続ヒータ部は、前記車両用シートを構成するシートバックにおける上部に設けられていることを特徴とする請求項10に記載の車両用シート装置。
  12. 前記熱量変更手段は、前記車両用シートと前記着座乗員との密着度に応じて前記加熱手段と接離される放熱部材を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両用シート装置。
  13. 前記加熱手段は、前記車両用シートを構成するシートバックにおける上部に位置される部位を含んで構成され、
    前記放熱部材は、前記シートバックにおける上部に設けられると共に、前記加熱手段と前記シートバックの厚み方向に対向して設けられていることを特徴とする請求項12に記載の車両用シート装置。
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