JP2008218630A - 絶縁膜形成用組成物および絶縁膜製造方法 - Google Patents

絶縁膜形成用組成物および絶縁膜製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】半導体素デバイスなどにおける層間絶縁膜として使用するのに適した、適当な均一な厚さを有する膜が形成可能な、しかも誘電率、ヤング率等の膜特性に優れた絶縁膜形成用組成物および絶縁膜製造方法を提供する。
【解決手段】絶縁膜形成用組成物は、2つ以上の不飽和基を置換基として有するカゴ型シルセスキオキサン化合物を重合させた高分子化合物、炭素−炭素不飽和結合を有する耐熱性有機高分子化合物および有機溶剤を含む。該組成物を基板上に塗布した後、硬膜することにより絶縁膜を製造することができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、絶縁膜形成用組成物および絶縁膜製造方法に関し、さらに詳しくは、半導体素子などにおける層間絶縁膜材料として、適当な均一な厚さを有する塗膜が形成可能な、しかも、誘電率特性などに優れた絶縁膜形成に有用な絶縁膜形成用組成物および絶縁膜製造方法に関する。
従来、半導体素子などにおける層間絶縁膜として、気相成長(CVD)法などの真空プロセスで形成されたシリカ(SiO2)膜が多用されている。そして、近年、より均一な
層間絶縁膜を形成することを目的として、SOG(Spin on Glass)膜と呼ばれるテトラアルコキシランの加水分解生成物を主成分とする塗布型の絶縁膜も使用されるようになっている。また、半導体素子などの高集積化に伴い、有機SOGと呼ばれるポリオルガノシロキサンを主成分とする低誘電率の層間絶縁膜が開発されている。
しかし、無機材料の膜の中で最も低い誘電率を示すCVD−SiO2膜でも、比誘電率
は約4程度である。また、低誘電率CVD膜として最近検討されているSiOF膜の比誘電率は約3.3〜3.5であるが、この膜は吸湿性が高く、使用しているうちに誘電率が上昇するという問題がある。
かかる状況下、絶縁性、耐熱性、耐久性に優れた絶縁膜材料として、オルガノポリシロキサンに高沸点溶剤や熱分解性化合物を添加して空孔を形成し、誘電率を下げる方法が知られている。しかしながら、上記のような多孔質膜では、多孔化することにより誘電率特性が下がっても、機械強度が低下すること、吸湿による誘電率増加がおこることなどが問題になっていた。また、互いに連結した空孔が形成されるため、配線に用いられた銅が、絶縁膜中に拡散することなどが問題となっていた。
一方、有機ポリマーに低分子のカゴ型化合物を添加した溶液を塗布することによって、低屈折率、低密度の膜を得る試みも公知である。(特許文献1参照)しかし、この方法では、屈折率、誘電率の低下効果が不十分であった。
特開2000−334881号公報
従って本発明の目的は、上記問題点を解決するための絶縁膜形成用組成物および絶縁膜製造方法に関し、さらに詳しくは、半導体素デバイスなどにおける層間絶縁膜として使用するのに適した、適当な均一な厚さを有する膜が形成可能な、しかも誘電率、ヤング率等の膜特性に優れた絶縁膜形成用組成物および絶縁膜製造方法を提供することである。
本発明の上記目的は、下記の手段より達成されることが見出された。
(1)2つ以上の不飽和基を置換基として有するカゴ型シルセスキオキサン化合物を重合させた高分子化合物、炭素−炭素不飽和結合を有する耐熱性有機高分子化合物および有機溶剤を含む絶縁膜形成用組成物。
(2)前記耐熱性有機高分子化合物が、ポリイミド、ポリアミド、ポリイミダゾール、ポリベンゾオキサゾール、ポリアリーレン、ポリアリーレンエーテル、ポリアルカンまたはこれらのフッ素化ポリマーであることを特徴とする前記(1)に記載の絶縁膜形成用組成物。
(3)シルセスキオキサン化合物を重合させた前記高分子化合物の、GPCで測定したポリスチレン換算重量平均分子量が5万〜50万であり、ポリスチレン換算数平均分子量が1.5万〜20万であることを特徴とする前記(1)に記載の絶縁膜形成用組成物。
(4)2つ以上の不飽和基を置換基として有するカゴ型シルセスキオキサン化合物を0.1〜15質量%の濃度で有機溶媒に溶解し、重合開始剤を用いて重合性不飽和結合基を反応させた重合体、炭素−炭素不飽和結合を有する耐熱性有機高分子化合物および有機溶剤を含む絶縁膜形成用組成物。
(5)前記(1)〜(4)のいずれかに記載の絶縁膜形成用組成物を基板上に塗布した後、硬膜することを特徴とする絶縁膜製造方法。
本発明によれば、半導体デバイスなどにおける層間絶縁膜として使用するのに適した、誘電率、ヤング率等の膜特性に優れた絶縁膜形成用組成物および絶縁膜製造方法を提供できる。
以下、本発明の絶縁膜形成用組成物(以下、組成物とも称する)は、2つ以上の不飽和基を置換基として有するカゴ型シルセスキオキサン化合物を重合させた高分子化合物を含む。
2つ以上の不飽和基を置換基として有するカゴ型シルセスキオキサン化合物(以下、化合物(I)とも称する)とは、例えば、m個のRSi(O0.5)3ユニット(mは8〜16の整数を表し、Rはそれぞれ独立して非加水分解性基を表し、Rのうち、少なくとも2つは炭素-炭素不飽和結合を含む基である)を有し、各ユニットが、各ユニットにおける酸素原子を共有して他のユニットに連結しカゴ構造を形成している化合物(以下、化合物(I‘)ともいう)等が挙げられる。
誘電率低下効果の点から、化合物(I‘)におけるmは8、10、12、14、16が好ましく、入手性の観点から、8、10、12が、より好ましい。
ここでカゴ構造とは、共有結合した原子で形成された複数の環によって容積が定まり、容積内に位置する点は環を通過せずには容積から離れることができないような分子を指す。
化合物(I)で表されるカゴ構造の例としては、下記のものが挙げられる。下記における自由結合手はRが結合する位置を表す。
Figure 2008218630
Figure 2008218630
Figure 2008218630
化合物(I)中、Rはそれぞれ独立して非加水分解性基を表す。
ここで、非加水分解性基とは、室温で、1当量の中性水と1時間接触させた場合に、95%以上残存する基であるが、この条件で99%以上残存していることが好ましい。
Rのうち、少なくとも2つは炭素−炭素不飽和結合を含む基である。Rの非加水分解性基の例としては、アルキル基(メチル、t−ブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等)、アリール基(フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル等)、ビニル基、エチニル基、アリル基、シリルオキシ基(トリメチルシリルオキシ、トリエチルシリルオキシ、t−ブチルジメチルシリルオキシ)等があげられる。
Rで表される基のうち、少なくとも2つが、ビニル基またはエチニル基を含む基であることが好ましいが、少なくとも2つがビニル基であることが、より好ましい。Rで表される基がビニル基またはエチニル基を含む場合には、ビニル基またはエチニル基は、直接もしくは2価の連結基を介して、Rが結合するケイ素原子に結合することが好ましい。2価の連結基としては、−[C(R11)(R12)]−、−CO−、−O−、−N(R13)−、−S−、−O−Si(R14)(R15)−、およびこれらを任意に組み合わせてできる2価の連結基が挙げられる。(R11〜R15はそれぞれ独立して水素原子、メチル基、エチル基、またはフェニル基を表し、kは1〜6の整数を表す。)、なかでも、−[C(R11)(R12)]−、−O−、−O−Si(R14)(R15)−またはこれらを任意に組み合わせてできる2価の連結基が好ましい。
化合物(I)において、ビニル基またはエチニル基はRが結合するケイ素原子に直接結合することが好ましい。
化合物(I)におけるRのうち、少なくとも2つのビニル基が、Rが結合するケイ素原子に直接結合することがさらに好ましく、化合物(I)におけるRの少なくとも半数が全てビニル基であることが、より好ましく、Rが全てビニル基であることが特に好ましい。
化合物(I)の具体例としては、例えば、下記のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
Figure 2008218630
Figure 2008218630
Figure 2008218630
Figure 2008218630
化合物(I)は、市販のものを使用してもよいし、公知の方法で合成してもよい。
本発明の化合物(I)におけるRが下記一般式(II)で表される基である場合も好ましく、この場合、下記一般式(III)で表される化合物と下記一般式(IV)で表される化合物を反応させることで合成できる。
(R13−Si−O− (II)
〔MO-Si(O0.5)3m (III)
(R13−Si−Cl (IV)
一般式(III)で表される化合物は、たとえば、Angew.Chem.Int.Ed.Engl.1997,36, No.7, 743-745等に記載の方法に従って合成できる。
これらの式中、R1はそれぞれ独立に非加水分解性基を表すが、R1で表される非加水分解性基の具体例としては、アルキル基、アリール基、ビニル基、エチニル基等があげられる。mおよびR1は、化合物(I‘)および一般式(II)におけるものと同意である。Mは金属原子(例えばNa、K、Cu、Ni、Mn)またはオニウムカチオン(例えばテトラメチルアンモニウム)を表す。なお、Mが多価の金属原子である場合は、複数の−O−Si(O0.5)3が多価の金属原子Mに結合した形態を意味する。
一般式(III)で表される化合物と、一般式(IV)で表される化合物との反応は、例えば、溶媒中に、一般式(III)で表される化合物と、一般式(III)で表される化合物中に含まれるSi−OM基数の1〜100倍モルの一般式(IV)で表される化合物を添加し、撹拌しながら、通常0〜180℃、10分〜20時間行う。
溶媒としては、トルエン、ヘキサン、テトラヒドロフラン(THF)などの有機溶剤が好ましい。
一般式(III)で表される化合物と一般式(IV)で表される化合物を反応させる際には、トリエチルアミン、ピリジン等の塩基を添加しても良い。
本発明の組成物には、複数の異なった化合物(I)の重合物が含まれていても良い。その場合、複数の異なった化合物(I)からなる共重合体であってもよいし、ホモポリマーの混合物であってもよい。本発明の組成物が、複数の異なった化合物(I)からなる共重合体を含む場合、m=8、10、および12から選ばれる2種以上の化合物(I‘)の混合物の共重合体であることが好ましい。
本発明の組成物に含まれる化合物(I)を重合させた高分子化合物は、化合物(I)以外の化合物との共重合物であってもよい。その場合に用いられる化合物としては、重合性炭素−炭素不飽和結合またはSiH基を複数有する化合物が好ましい。好ましい化合物の例としては、ビニルシラン類、ビニルシロキサン類、フェニルアセチレン類、[(HSiO0.5]等が挙げられる。
本発明の組成物は、化合物(I)の反応物(重合物)が有機溶剤に溶解した溶液であってもよいし化合物(I)の反応物を含む固形物であってもよい。
本発明の組成物は、化合物(I)を溶媒に溶解させ、重合開始剤を添加して炭素−炭素不飽和結合を反応させることにより製造される。
重合反応としてはどのような重合反応でも良いが、例えばラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合、開環重合、重縮合、重付加、付加縮合、遷移金属触媒重合等が挙げられる。
化合物(I)の重合反応は非金属の重合開始剤の存在下で行うことが好ましい。例えば、加熱によって炭素ラジカルや酸素ラジカル等の遊離ラジカルを発生して活性を示す重合開始剤の存在下で重合することが出来る。
重合開始剤としては特に有機過酸化物または有機アゾ系化合物が好ましく用いられる。
有機過酸化物としては、日本油脂株式会社より市販されているパーヘキサH等のケトンパーオキサイド類、パーヘキサTMH等のパーオキシケタール類、パーブチルH−69等のハイドロパーオキサイド類、パークミルD、パーブチルC、パーブチルD等のジアルキルパーオキサイド類、ナイパーBW等のジアシルパーオキサイド類、パーブチルZ、パーブチルL等のパーオキシエステル類、パーロイルTCP等のパーオキシジカーボネート、ジイソブチリルパーオキサイド、クミルパーオキシネオデカノエート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、ジ(4−t−ブチルクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオヘプタノエート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシピバレート、ジ(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキサイド、ジラウロイルパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジコハク酸パーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ(4−メチルベンゾイル)パーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ(3−メチルベンゾイル)パーオキサイド、ベンゾイル(3−メチルベンゾイル)パーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)−2−メチルシクロヘキサン、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ジ(4,4−ジ−(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキシル)プロパン、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシ−3,5,5、−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5−ジ−メチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテート、2,2−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、n−ブチル−4,4−ジ−t−ブチルパーオキシバレレート、ジ(2−t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ヘキシルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルパーイキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、p−メタンヒドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルヒドロパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタン、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、o−クロロベンゾイルパーオキサイド、p−クロロベンゾイルパーオキサイド、トリス−(t−ブチルパーオキシ)トリアジン、2,4,4−トリメチルペンチルパーオキシネオデカノエート、α−クミルパーオキシネオデカノエート、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート、ジ−t−ブチルパーオキシトリメチルアジペート、ジ−3−メトキシブチルパーオキシジカーボネート、ジ−イソプロピルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、1,6−ビス(t−ブチルパーオキシカルボニルオキシ)ヘキサン、ジエチレングリコールビス(t−ブチルパーオキシカーボネート)、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、アルケマ吉冨社より市販されているルペロックス11等が好ましく用いられる。
有機アゾ系化合物としては和光純薬工業株式会社で市販されているV−30、V−40、V−59、V−60、V−65、V−70等のアゾニトリル化合物類、VA−080、VA−085、VA−086、VF−096、VAm−110、VAm−111等のアゾアミド化合物類、VA−044、VA−061等の環状アゾアミジン化合物類、V−50、VA−057等のアゾアミジン化合物類、V−601等のアゾエステル化合物類、2,2−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルブチロニトリル)、1,1−アゾビス(シクロヘキサン−1−カーボニトリル)、1−〔(1−シアノ−1−メチルエチル)アゾ〕ホルムアミド、2,2−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2−アゾビス〔2−メチル−N−(2−ヒドロキシブチル)プロピオンアミド〕、2,2−アゾビス〔N−(2−プロペニル)−2−メチルプロピオンアミド〕、2,2−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオアミド)、2,2−アゾビス〔2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕ジヒドロクロリド、2,2−アゾビス〔2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕ジスルフェートジヒドレート、2,2−アゾビス{2−〔1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル〕プロパン}ジヒドロクロリド、2,2−アゾビス〔2−〔2−イミダゾリン‐2−イル〕プロパン〕、2,2−アゾビス(1−イミノー1−ピロリジノ‐2−メチルプロパン)ジヒドロクロリド、2,2−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド、2,2−アゾビス〔N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン〕テトラヒドレート、ジメチル−2,2−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、4,4−アゾビス(4−シアノバレリックアシッド)、2,2−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)等が好ましく用いられる。
重合開始剤としては、アルキルパーオキシエステルおよびジアルキルパーオキサイド、アゾニトリル化合物類およびアゾエステル化合物類が特に好ましい。
本発明の重合開始剤は1種のみ、または2種以上を混合して用いてもよい。
本発明の重合開始剤の使用量はモノマー1モルに対して、好ましくは0.001〜2モル、より好ましくは0.05〜1モル、特に好ましくは0.01〜0.5モルである。
本発明の重合開始剤の添加方法としては一括添加、分割添加、連続添加等が挙げられるが、少ない重合開始剤添加量で高分子量化でき、膜強度の点からも有利であるので、分割添加および連続添加が好ましい。
重合反応で使用する溶媒は、化合物(I)が必要な濃度で溶解可能であり、かつ得られる重合体から形成する膜の特性に悪影響を与えないものであればどのようなものを使用しても良い。以下の記述において、例えば、エステル系溶剤とは分子内にエステル基を有する溶媒のことである。
例えば水やメタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、アセトフェノン等のケトン系溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸ペンチル、酢酸ヘキシル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン、メチルベンゾエート等のエステル系溶剤、ジブチルエーテル、アニソール、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶剤、トルエン、キシレン、メシチレン、1,2,4,5−テトラメチルベンゼン、ペンタメチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、1,4−ジイソプロピルベンゼン、t−ブチルベンゼン、1,4−ジ−t−ブチルベンゼン、1,3,5−トリエチルベンゼン、1,3,5−トリ−t−ブチルベンゼン、4−t−ブチル−オルトキシレン、1−メチルナフタレン、1,3,5−トリイソプロピルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶剤、N−メチルピロリジノン、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶剤、四塩化炭素、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼン等のハロゲン系溶剤、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶剤などが利用できる。これらの中でより好ましい溶剤はエステル系溶剤であり、中でも、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸ペンチル、酢酸ヘキシル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン、メチルベンゾエートであり、特に好ましくは、酢酸エチル、酢酸ブチルである。
これらは単独でも2種以上を混合して用いてもよい。
重合時の化合物(I)の濃度が高いと、反応液はゲル化して可溶性ポリマーが得られないため、重合時の化合物(I)の濃度は15質量%以下であることが必要である。同じ溶媒を用いた場合、濃度が低い程、数平均分子量が大きく、有機溶剤に可溶な組成物を容易に合成することができる。その意味で、反応液中の化合物(I)の濃度は11質量%以下であることが好ましく、より好ましくは8質量%以下であり、より好ましくは5質量%以下である。
反応時の生産性の観点では、重合時の化合物(I)の濃度が高い程有利である。その意味では、重合時の化合物(I)の濃度は0.1質量%以上であり、より好ましくは1質量%以上である。
本発明における重合反応の最適な条件は、重合開始剤、モノマー、溶媒の種類、濃度等によって異なるが、好ましくは内温0℃〜200℃、より好ましくは40℃〜170℃、特に好ましくは70℃〜150℃で、好ましくは1〜50時間、より好ましくは2〜20時間、特に好ましくは3〜10時間の範囲である。
また、酸素による重合開始剤の不活性化を抑制するために不活性ガス雰囲気下(例えば窒素、アルゴン等)で反応させることが好ましい。反応時の酸素濃度は好ましくは100ppm以下、より好ましくは50ppm以下、特に好ましくは20ppm以下である。
重合反応終了時のポリマーの重量平均分子量(Mw)の好ましい範囲は5万〜50万である。より好ましくは6万〜40万、特に好ましくは7万〜30万である。
本発明の組成物に含まれる化合物(I)の重合物には、化合物(I)の反応物が60質量%以上であることが好ましいが、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることが、さらに好ましく、95質量%以上であることが最も好ましい。
重合物中のこれらの含量が大きいほど、誘電率の低い膜を形成することができる。
残存した化合物(I)については、固形分のGPCチャート、HPLCチャート、NMRスペクトル、UVスペクトル、IRスペクトル等から定量できる。重合物に含まれる化合物(I)以外の共重合物および付加物については、仕込み比で判断できる場合もあるが、重合物を必要に応じて精製した後、NMRスペクトル、UVスペクトル、IRスペクトル、元素組成等の測定を行うことによっても定量できる。
本発明の組成物は有機溶媒に可溶であることが好ましい。ここで、有機溶媒に可溶であるとは、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルおよびγ−ブチロラクトンから選ばれる溶媒に、25℃で、5質量%以上溶解することと定義するが10質量%以上溶解することが好ましく、20質量%以上溶解することが、より好ましい。
本発明の組成物に含まれる化合物(I)の重合物のMwが5万〜50万であることが好ましいが、6万〜40万がより好ましく、7万〜30万であることが、最も好ましい。
本発明の組成物に含まれる化合物(I)の重合物のMnは1.5万〜20万であることが好ましいが、2.0万〜15万が好ましく、2.5万〜12万であることが最も好ましい。
なお、本願におけるGPCポリスチレン換算値は、Waters2695およびShodex製GPCカラムKF−805Lを使用し、カラム温度40℃で、溶出溶媒としてテトラヒドロフランを毎分1mlの流量で用い、試料濃度0.5質量%のテロラヒドロフラン溶液を50μl注入し、RI検出装置(Waters2414)の積分値を用いて単量体の検量線を作成し、固形分中の単量体を定量し、MnおよびMwは標準ポリスチレンを用いて作製した検量線を用いて計算した値である。
これらの平均分子量が大きいほど、誘電率の低い膜を形成することができるが、これらの平均分子量が大きいと有機溶剤に対する不溶物を生成しやすくなる。平均分子量が上記の範囲であれば、低誘電率と、有機溶剤に対する溶解性、ろ過性を両立できる。
本発明の組成物に含まれる化合物(I)の重合物としては、分子量300万以上の成分を実質的に含まないことが好ましく、200万以上の成分を実質的に含まないことがより好ましく、100万以上の成分を含まないことが最も好ましい。
GPCチャートから計算した、本発明の組成物に含まれる化合物(I)の重合物の分散度(Mw/Mn)は1〜15が好ましく、1〜10が、より好ましく、1〜5が最も好ましい。Mwが同じであった場合、分散度が小さいほうが、誘電率の低い膜を形成することができる。
本発明の組成物に含まれる未反応の化合物(I)は、40質量%以下であるが、20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましく、5質量%以下であることがさらに好ましく、2質量%以下であることが、最も好ましい。
本発明の組成物に含まれる化合物(I)の重合物中では、化合物(I)のビニル基またはエチニル基のうち、10〜99モル%が未反応で残存していることが好ましく、20〜90モル%が未反応で残存していることが好ましく、30〜80モル%が未反応で残存していることが最も好ましい。
また、本発明の組成物中の、化合物(I)の重合物には、重合開始剤、添加剤または重合溶媒が0.1〜40質量%結合していてもよいが、0.1〜20質量%が好ましく、0.1〜10質量%が、より好ましく、0.1〜5質量%が最も好ましい。
これらについては、組成物のNMRスペクトル等から定量することができる。
上述した物性を有する組成物を製造する方法としては、化合物(I)を重合させる際に、高希釈条件を用いる、連鎖移動剤を添加する、反応溶剤を最適化する、重合開始剤を連続添加する、化合物(I)を連続添加する、ラジカルトラップ剤を添加する、リビング重合を用いるなどの方法が挙げられる。
また、化合物(I)の化合物を重合させた後、不溶物をろ過する、カラムクロマトグラフィーを用いて精製する、再沈殿処理により精製する、などの方法を用いることも可能である。
ここで、再沈殿処理とは、必要に応じて反応溶媒を留去した反応液に、貧溶媒(本発明の組成物を実質的に溶解しない溶媒)を加える、もしくは必要に応じて反応溶媒を留去した反応液を、貧溶媒に滴下することにより、本発明の組成物を析出させ、これをろ取することである。
貧溶媒としては、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール)炭化水素類(ヘキサン、ヘプタン)などが好ましい。貧溶媒として、本発明の組成物の等質量〜200倍質量を用いることが好ましく、2倍質量〜50倍質用いることが、より好ましい。再沈澱処理を行うことにより、誘電率のより低い膜を形成することができる。
化合物(I)の重合物を製造する際には、化合物(I)の重合反応を行った反応液をそのまま用いても良いが、反応溶媒を留去し、濃縮して用いることが好ましい。また、再沈殿処理を行った後に用いることが好ましい。
濃縮する方法としては、ロータリーエバポレーター、蒸留装置または重合反応を行った反応装置などを用いて、反応液を加熱および/または減圧することによって行うことが好ましい。濃縮時の反応液の温度は、一般的には0℃〜180℃であり、10℃〜140℃が好ましく、20℃〜100℃が、より好ましく、30℃〜60℃が最も好ましい。濃縮時の圧力は、一般的に、0.133Pa〜100kPaであり、好ましくは1.33Pa〜13.3kPaであり、より好ましくは、1.33Pa〜1.33kPaである。
反応液を濃縮する際は、反応液中の固形分含量が10質量%以上になるようになるまで濃縮することが好ましく、30%質量以上になるまで濃縮することがより好ましく、50%質量以上になるまで濃縮することが最も好ましい。
本発明の組成物およびその製造工程において、必要以上の重合を抑制するために重合禁止剤を添加してもよい。重合禁止剤の例としては4−メトキシフェノール、カテコールなどが挙げられる。
本発明の組成物は、化合物(I)の重合物とは別に、成膜時等に化合物(I)の重合物と反応し得る炭素−炭素不飽和結合を有する耐熱性有機高分子化合物を含む。
耐熱性有機高分子化合物とは、炭素原子を含む重量平均分子量500〜500万の化合物である。
耐熱性有機高分子化合物の例としては、有機シロキサン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、アミノポリアクリルアミド、イソブチレン無水マレイン酸アミド、AAS(アクリロニトリル−アクリレート−スチレンコポリマー)、AES(アクリロニトリル−エチレン−プロピレン−スチレンコポリマー)、AS(アクリロニトリル−スチレンコポリマー)、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンコポリマー)、ACS(アクリロニトリル−スチレンコポリマーと塩素化ポリエチレンのブレンド)、MBS(メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレンコポリマー)、エチレン−塩化ビニルコポリマー、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、エチレン酢酸ビニル塩化ビニルグラフトコポリマー、エチレンビニルアルコールコポリマー、塩素化ポリ塩化ビニル、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、カルボキシビニルポリマー、ケトン樹脂、フッ素化プラスチック、ポリテトラフルオロエチレン、フッ化エチレンポリプロピレンコポリマー、PFA(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルコキシビニルエーテルコポリマー)、ポリクロロトリフルオロエチレン、エチレンテトラフルオロエチレンコポリマー、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ポリアセタール、ポリアミド、ナイロン、共重合ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエチレン、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニリデンラテックス、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリグルタミン酸エステル、ポリ酢酸ビニル、ポリスチレン、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリアミンサルホン、ポリパラビニルフェノール、ポリパラメチルスチレン、ポリアリルアミン、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルエーテル、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンサルファイド、ポリブタジエン、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリメチルメタクリレート、ポリアセチレン、エポキシ樹脂、オリゴエステルアクリレート、キシレン樹脂、グアナミン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フラン樹脂、ポリイミド、ポリウレタン、セルロース、セルロースアセテート、セルロイド、セルロース脂肪酸エステル、セルロース芳香族カルボン酸エステル、セルロース誘導体、ポリオキサゾリン、ポリビニルピロリドン、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレングリコールジメチルエーテル、ゼラチン、ポリアリーレン、ポリベンゾオキサゾール等がその代表例として挙げられる。
これらの中で好ましいのは、有機シロキサン、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、ポリアリーレン、ポリアセチレンである。
公知の反応によって上記の有機高分子化合物を形成する高分子化合物も、本発明の有機高分子化合物の好ましい例として挙げられる。
これらの有機高分子化合物は耐熱性を有するものである。ここで言う耐熱性とは、窒素中300℃1時間保持した場合の重量減少が10%以下であることを意味する。
これらの有機高分子化合物およびその前駆体は、成膜時等に化合物(I)の重合物と反応し得る炭素−炭素不飽和結合を有する。
有機高分子化合物に含まれる炭素−炭素不飽和結合は、高分子化合物を合成してから導入してもよいし、有機高分子化合物を形成するために用いられる低分子化合物中にあらかじめ導入しておいてもよいが、低分子化合物中にあらかじめ導入しておくことが好ましい。
その場合、低分子化合物中に、炭素-炭素不飽和結合とは別に存在する官能基の反応によって有機高分子化合物を形成してもよいし、低分子化合物に含まれる炭素-炭素不飽和結合の1部を反応させることにより、有機高分子化合物を形成してもよい。
これらのポリマーの例としては、置換基としてビニル基またはエチニル基を有するアルコキシシランを加水分解・縮合することによって合成したシロキサンポリマー、ビニル基またはエチニル基を有する芳香族ジカルボン酸およびo-アミノフェノール誘導体を用いて縮合反応を行うことによって合成されたポリベンゾオキサゾール、芳香族エチニル基およびシクロペンタジエノン基の反応によって合成されたポリアーリレン、エチニル基同士の反応によって合成されたポリアセチレン等が挙げられる。
本発明の組成物に含まれる化合物(I)の重合物と、前記耐熱性有機高分子化合物およびその前駆体の混合比は。重量比で1:99〜99:1が好ましいが、5:95〜95:5がより好ましく、10:90〜90:10が最も好ましい。
本発明において、化合物(I)の重合体および前記耐熱性有機高分子化合物は、適当な溶剤に溶解させて、支持体上に塗布して使用することが好ましい。使用できる溶剤としては、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、2−ヘプタノン、メチルイソブチルケトン、γ−ブチロラクトン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、ジメチルイミダゾリジノン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、2−メトキシエチルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、イソプロパノール、エチレンカーボネート、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、テトラヒドロフラン、ジイソプロピルベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン等が好ましく、これらの溶剤を単独あるいは混合して使用する。
上記の中でも、好ましい溶剤としてはプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン、γ−ブチロラクトン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレンカーボネート、酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、メチルイソブチルケトン、キシレン、メシチレン、ジイソプロピルベンゼンを挙げることができる。
本発明の組成物を適当な溶剤に溶解させて得られる溶液も本発明の組成物の範囲に含まれる。本発明の組成物の溶液中の全固形分濃度は、好ましくは、1〜30質量%であり、使用目的に応じて適宜調整される。組成物の全固形分濃度が1〜30質量%であると、塗膜の膜厚が適当な範囲となり、塗布液の保存安定性もより優れるものである。
本発明の組成物には、重合開始剤が含まれていてもよいが、重合開始剤が含まれていないほうが組成物の保存安定性が良いので好ましい。
ただし、本発明の組成物を低温で硬膜する必要がある場合は、重合開始剤を含んでいることが好ましい。その場合の重合開始剤の例としては前述したものと同じものが挙げられる。また、この目的で、放射線により重合を引きおこす開始剤および増感剤を使用することもできる。
本発明の組成物には不純物としての金属含量が充分に少ないことが好ましい。組成物の金属濃度はICP−MS法にて高感度に測定可能であり、その場合の遷移金属以外の金属含有量は好ましくは30ppm以下、より好ましくは3ppm以下、特に好ましくは300ppb以下である。また、遷移金属に関しては酸化を促進する触媒能が高く、プリベーク、熱硬化プロセスにおいて酸化反応によって本発明で得られた膜の誘電率を上げてしまうという観点から、含有量がより少ないほうがよく、好ましくは10ppm以下、より好ましくは1ppm以下、特に好ましくは100ppm以下である。
組成物の金属濃度は本発明の組成物を用いて得た膜に対して全反射蛍光X線測定を行うことによっても評価できる。X線源としてW線を用いた場合、金属元素としてK、Ca、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Pdが観測可能であり、それぞれ100×1010cm−2以下が好ましく、より好ましくは50×1010cm−2以下、特に好ましくは10×1010cm−2以下である。また、ハロゲンであるBrも観測可能であり、残存量は10000×1010cm−2以下が好ましく、より好ましくは1000×1010cm−2以下、特に好ましくは400×1010cm−2以下である。また、ハロゲンとしてClも観測可能であるが、CVD装置、エッチング装置等へダメージを与えるという観点から残存量は100×1010cm−2以下が好ましく、より好ましくは50×1010cm−2以下、特に好ましくは10×1010cm−2以下である。
更に、本発明の組成物には、得られる絶縁膜の特性(耐熱性、誘電率、機械強度、塗布性、密着性等)を損なわない範囲で、ラジカル発生剤、界面活性剤、シランカップリング剤、密着剤などの添加剤を添加してもよい。
本発明にいかなる界面活性剤を使用してもよいが、例えば、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤などが挙げられ、さらにシリコーン系界面活性剤、含フッ素系界面活性剤、ポリアルキレンオキシド系界面活性剤、アクリル系界面活性剤が挙げられる。本発明で使用する界面活性剤は、一種類でも良いし、二種類以上でも良い。界面活性剤としては、シリコーン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、含フッ素系界面活性剤、アクリル系界面活性剤が好ましく、特にシリコーン系界面活性剤が好ましい。
本発明で使用する界面活性剤の添加量は、膜形成塗布液の全量に対して0.01質量%以上1質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上0.5質量%以下であることが更に好ましい。
本発明において、シリコン系界面活性剤とは、少なくとも1原子のSi原子を含む界面活性剤である。本発明に使用するシリコン系界面活性剤としては、いかなるシリコン系界面活性剤でもよく、アルキレンオキシド及びジメチルシロキサンを含む構造であることが好ましい。下記化学式を含む構造であることが更に好ましい。
Figure 2008218630
式中R1は水素原子または炭素原子数1〜5のアルキル基であり、xは1〜20の整数
であり、m、nはそれぞれ独立に2〜100の整数である。複数のR1は同じでも異なっ
ていてもよい。
本発明に使用するシリコーン系界面活性剤としては、例えばBYK306、BYK307(ビックケミー社製)、SH7PA、SH21PA、SH28PA、SH30PA(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)、TroysolS366(トロイケミカル社製)等を挙げることができる。
本発明に使用するノニオン系界面活性剤としては、いかなるノニオン系界面活性剤でもよい。例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアリールエーテル類、ポリオキシエチレンジアルキルエステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、脂肪酸変性ポリオキシエチレン類、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体等を挙げることができる。
本発明に使用する含フッ素系界面活性剤としては、いかなる含フッ素系界面活性剤でもよい。例えば、パーフルオルオクチルポリエチレンオキシド、パーフルオルデシルポリエチレンオキシド、パーフルオルドデシルポリエチレンオキシド等が挙げられる。
本発明に使用するアクリル系界面活性剤としては、いかなるアクリル系界面活性剤でもよい。例えば、(メタ)アクリル酸系共重合体等が挙げられる。
本発明にいかなるシランカップリング剤を使用してもよいが、例えば、3−グリシジロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アミノグリシジロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジロキシプロピルメチルジメトキシシラン、1−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−アミノプロピルトリメトキシシラン、2−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−トリエトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、N−トリトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、10−トリメトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、10−トリエトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、9−トリメトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、9−トリエトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。本発明で使用するシランカップリング剤は、一種類でも良いし、二種類以上でも良い。
本発明にはいかなる密着促進剤を使用してもよいが、例えば、トリメトキシシリル安息香酸、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、トリメトキシビニルシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラ
ン、アルミニウムモノエチルアセトアセテートジイソプロピレート、ビニルトリス(2-メ
トキシエトキシ)シラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3-クロロプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、トリメチルクロロシラン、ジメチルビニルクロロシラン、メチルジフエニルクロロシラン、クロロメチルジメチルクロロシラン、トリメチルメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルジメトキシシラン、ジメチルビニルエトキシシラン、ジフエニルジメトキシシラン、フエニルトリエトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、N,N’−ビス(トリメチルシリル)ウレア、ジメチルトリメチルシリルアミン、トリメチルシリルイミダゾール、ビニルトリクロロシラン、ベンゾトリアゾール、ベンズイミダゾール、インダゾール、イミダゾール、2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、ウラゾール、チオウラシル、メルカプトイミダゾール、メルカプトピリミジン、1,1−ジメチルウレア、1,3−ジメチルウレア、チオ尿素化合物等を挙げることができる。官能性シランカップリング剤が密着促進剤として好ましい。密着促進剤の好ましい使用量は、全固形分100質量部に対して10質量部以下、特に0.05〜5質量部であることが好ましい。
本発明の組成物には膜の機械強度の許す範囲内で、空孔形成因子を使用して、膜を多孔質化し、低誘電率化を図ることができる。
空孔形成剤となる添加剤の空孔形成因子としては特に限定はされないが、非金属化合物が好適に用いられ、膜形成用塗布液で使用される溶剤との溶解性、本発明重合体との相溶性を同時に満たすことが必要である。
空孔形成剤としてはポリマーも使用することができる。空孔形成剤として使用できるポリマーとしては、例えば、ポリビニル芳香族化合物(ポリスチレン、ポリビニルピリジン、ハロゲン化ポリビニル芳香族化合物など)、ポリアクリロニトリル、ポリアルキレンオキシド(ポリエチレンオキシドおよびポリプロピレンオキシドなど)、ポリエチレン、ポリ乳酸、ポリシロキサン、ポリカプロラクトン、ポリカプロラクタム、ポリウレタン、ポリメタクリレート(ポリメチルメタクリレートなど)またはポリメタクリル酸、ポリアクリレート(ポリメチルアクリレートなど)およびポリアクリル酸、ポリジエン(ポリブタジエンおよびポリイソプレンなど)、ポリビニルクロライド、ポリアセタール、およびアミンキャップドアルキレンオキシド、その他、ポリフェニレンオキシド、ポリ(ジメチルシロキサン)、ポリテトラヒドロフラン、ポリシクロヘキシルエチレン、ポリエチルオキサゾリン、ポリビニルピリジン、ポリカプロラクトン等であってもよい。
特にポリスチレンは、空孔形成剤として好適に使用できる。ポリスチレンはとしては、たとえば、アニオン性重合ポリスチレン、シンジオタクチックポリスチレン、未置換および置換ポリスチレン(たとえば、ポリ(α−メチルスチレン))が挙げられ、未置換ポリスチレンが好ましい。
また、空孔形成剤としては熱可塑性のポリマーも使用することができる。熱可塑性空孔形成用ポリマーの例としては、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリフェニレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリエチレンオキシド、ポリ(ジメチルシロキサン)、ポリテトラヒドロフラン、ポリエチレン、ポリシクロヘキシルエチレン、ポリエチルオキサゾリン、ポリカプロラクトン、ポリ乳酸およびポリビニルピリジン等が挙げられる。
またこの空孔形成剤の沸点若しくは分解温度は、好ましくは100〜500℃、より好ましくは200〜450℃、特に好ましくは250〜400℃である。分子量としては、200〜50000であることが好ましく、より好ましくは300〜10000、特に好ましくは400〜5000である。
空孔形成剤の添加量は膜を形成する重合体に対して、質量%で好ましくは0.5〜75%、より好ましくは0.5〜30%、特に好ましくは1%〜20%である。
また、空孔形成因子として、重合体の中に分解性基を含んでいても良く、その分解温度は好ましくは100〜500℃、より好ましくは200〜450℃、特に好ましくは250〜400℃であると良い。分解性基の含有率は膜を形成する重合体に対して、モル%で0.5〜75%、より好ましくは0.5〜30%、特に好ましくは1〜20%である。
本発明の膜形成用組成物はフィルターろ過により、不溶物、ゲル状成分等を除いてから膜形成に用いることが好ましい。その際に用いるフィルターの孔径は0.001〜0.2μmが好ましく、孔径0.005〜0.05μmがより好ましく、孔径孔径0.005〜0.03μmが最も好ましい。フィルターの材質はPTFE、ポリエチレン、ナイロンが好ましく、ポリエチレンおよびナイロンが、より好ましい。
本発明の膜形成用組成物を使用して得られる膜は、膜形成用組成物をスピンコーティング法、ローラーコーティング法、ディップコーティング法、スキャン法、スプレー法、バー塗布法等の任意の方法により、シリコンウエハ、SiO2ウエハ、SiNウエハ、ガラ
ス、プラスチックフィルムなどの基板に塗布した後、溶剤を必要に応じて加熱処理で除去することにより形成することができる。基板に塗布する方法としては、スピンコーティング法,スキャン法によるものが好ましい。特に好ましくは,スピンコーティング法によるものである。
スピンコーティングについては、市販の装置を使用できる。例えば,クリーントラックシリーズ(東京エレクトロン製)、D-スピンシリーズ(大日本スクリーン製)、SSシリーズあるいはCSシリーズ(東京応化工業製)等が好ましく使用できる。スピンコート条件としては、いずれの回転速度でもよいが、膜の面内均一性の観点より、300mmシリコン基板においては1300rpm程度の回転速度が好ましい。また組成物溶液の吐出方法においては、回転する基板上に組成物溶液を吐出する動的吐出、静止した基板上へ組成物溶液を吐出する静的吐出のいずれでもよいが、膜の面内均一性の観点より、動的吐出が好ましい。また、組成物の消費量を抑制する観点より、予備的に組成物の主溶剤のみを基板上に吐出して液膜を形成した後、その上から組成物を吐出するという方法を用いることもできる。スピンコート時間については特に制限はないが、スループットの観点から180秒以内が好ましい。また、基板の搬送の観点より、基板エッジ部の膜を残存させないための処理(エッジリンス、バックリンス)をすることも好ましい。熱処理の方法は、特に限定されないが、一般的に使用されているホットプレート加熱、ファーネス炉を使用した加熱方法、RTP(Rapid Thermal Processor)等によるキセノンランプを使用した光照射加熱等を適用することができる。好ましくは、ホットプレート加熱、ファーネスを使用した加熱方法である。ホットプレートとしては市販の装置を好ましく使用でき、クリーントラックシリーズ(東京エレクトロン製)、D-スピンシリーズ(大日本スクリーン製)、SSシリーズあるいはCSシリーズ(東京応化工業製)等が好ましく使用できる。ファーネスとしては、αシリーズ(東京エレクトロン製)等が好ましく使用できる。
本発明の重合体は基板上に塗布した後に硬膜することが好ましい。硬膜とは、基板上の組成物を硬化し、膜に溶剤耐性を与えることを意味する。硬膜の方法としては、加熱処理(焼成)することが特に好ましい。例えば重合体中に残存するビニル基の後加熱時の重合反応が利用できる。この後加熱処理の条件は、好ましくは100〜450℃、より好ましくは200〜420℃、特に好ましくは350℃〜400℃で、好ましくは1分〜2時間、より好ましくは10分〜1.5時間、特に好ましくは30分〜1時間の範囲である。後加熱処理は数回に分けて行っても良い。また、この後加熱は酸素による熱酸化を防ぐために窒素雰囲気下で行うことが特に好ましい。
また、本発明では加熱処理ではなく高エネルギー線を照射することで重合体中に残存するビニル基またはエチニル基の重合反応を起こして硬膜しても良い。高エネルギー線とは、電子線、紫外線、X線などが挙げられるが、特にこれらの方法に限定されるものではない。
高エネルギー線として、電子線を使用した場合のエネルギーは0〜50keVが好ましく、より好ましくは0〜30keV、特に好ましくは0〜20keVである。電子線の総
ドーズ量は好ましくは0〜5μC/cm 2 、より好ましくは0〜2μC/cm 2 、特に好ましくは0〜1μC/cm 2である。電子線を照射する際の基板温度は0〜450℃が好ましく、より好ましくは0〜400℃、特に好ましくは0〜350℃である。圧力は好ましくは0〜133kPa、より好ましくは0〜60kPa、特に好ましくは0〜20kPaである。本発明の重合物の酸化を防止するという観点から、基盤周囲の雰囲気はAr、He、窒素などの不活性雰囲気を用いることが好ましい。また、電子線との相互作用で発生するプラズマ、電磁波、化学種との反応を目的に酸素、炭化水素、アンモニアなどのガスを添加してもよい。本発明における電子線照射は複数回行ってもよく、この場合は電子線照射条件を毎回同じにする必要はなく、毎回異なる条件で行ってもよい。
高エネルギー線として紫外線を用いてもよい。紫外線を用いる際の照射波長領域は190〜400nmが好ましく、その出力は基板直上において0.1〜2000mWcm−2が好ましい。紫外線照射時の基板温度は250〜450℃が好ましく、より好ましくは250〜400℃、特に好ましくは250〜350℃である。本発明の重合物の酸化を防止するという観点から、基盤周囲の雰囲気はAr、He、窒素などの不活性雰囲気を用いることが好ましい。また、その際の圧力は0〜133kPaが好ましい。
加熱処理と高エネルギー線処理照射を、同時に。または順次行うことにより硬膜してもよい。
絶縁膜を形成する際の膜厚は、乾燥膜厚として、1回塗りで厚さ0.05〜1.5μm程度、2回塗りでは厚さ0.1〜3μm程度の塗膜を形成することができる。
カゴ構造が焼成時に分解しないために、組成物及び絶縁膜の製造中にSi原子に求核攻撃する基(水酸基、シラノール基など)が実質的に存在しないことが好ましい。
より具体的には、本発明の組成物を、例えばスピンコート法により、基板(通常は金属配線を有する基板)上に塗布し、予備熱処理を行うことにより溶媒を乾燥させ、次いで300℃以上430℃以下の温度で最終熱処理(アニール)を行うことにより低誘電率の絶縁膜を形成できる。
本発明の膜形成用組成物を使用して得られる膜は、半導体用層間絶縁膜として使用する際、その配線構造において、配線側面にはメタルマイグレーションを防ぐためのバリア層があっても良く、また、配線や層間絶縁膜の上面底面にはCMPでの剥離を防ぐキャップ層、層間密着層の他、エッチングストッパー層等があってもよく、更には層間絶縁膜の層を必要に応じて他種材料で複数層に分けても良い。
本発明の絶縁膜は、他の含Si絶縁膜または有機膜と積層構造を形成させて用いてもよい。炭化水素系の膜と積層して用いることが好ましい。
本発明の膜形成用組成物を使用して得られる膜は、銅配線あるいはその他の目的でエッチング加工をすることができる。エッチングとしてはウエットエッチング、ドライエッチングのいずれでもよいが、ドライエッチングが好ましい。ドライエッチングは、アンモニア系プラズマ、フルオロカーボン系プラズマのいずれもが適宜使用できる。これらプラズマにはArだけでなく、酸素、あるいは窒素、水素、ヘリウム等のガスを用いることができる。また、エッチング加工後に、加工に使用したフォトレジスト等を除く目的でアッシングすることもでき、さらにはアッシング時の残渣を除くため、洗浄することもできる。
本発明の膜形成用組成物を使用して得られる膜は、銅配線加工後に、銅めっき部を平坦化するためCMP(化学的機械的研磨)をすることができる。CMPスラリー(薬液)としては,市販のスラリー(例えば、フジミ製、ロデールニッタ製、JSR製、日立化成製等)を適宜使用できる。また、CMP装置としては市販の装置(アプライドマテリアル社製,荏原製作所製等)を適宜使用することができる。さらにCMP後のスラリー残渣除去のため、洗浄することができる。
本発明の膜形成用組成物を使用して得られる膜は、多様の目的に使用することが出来る。例えばLSI、システムLSI、DRAM、SDRAM、RDRAM、D−RDRAM等の半導体装置、マルチチップモジュール多層配線板等の電子部品における絶縁皮膜として好適であり、半導体用層間絶縁膜、エッチングストッパー膜、表面保護膜、バッファーコート膜の他、LSIにおけるパッシベーション膜、α線遮断膜、フレキソ印刷版のカバーレイフィルム、オーバーコート膜、フレキシブル銅張板のカバーコート、ソルダーレジスト膜、液晶配向膜等として使用することが出来る。また、光学装置用の表面保護膜、反射防止膜、位相差膜としても用いることができる。
この方法により、誘電率の低い絶縁膜、すなわち、比誘電率が2.7以下、好ましくは2.5以下の絶縁膜を得ることができる。
以下に本発明を実施例によってさらに具体的に説明が、勿論本発明の範囲は、これらによって限定されるものではない。
〔合成例1〕
例示化合物(I−d)1gを酢酸ブチル55gに加え、窒素気流中で、加熱還流した。重合開始剤としてアルケマ吉冨社製ルペロックス11を2時間ごとに2μlづつ計8μlを加え、さらに4時間加熱還流した。ついで、室温まで冷却し、液重量1.5gまで減圧濃縮し、メタノール20mlを加え、1時間攪拌した後、固形物をろ取、乾燥し、固形分(A−1)0.80gを得た。固形分をGPCで分析するとMw=20.8万、Mn=3.9万であった。固形物中には未反応の例示化合物(I−d)は1質量%以下であった。固形分中には分子量200万以上の成分は実質的に含まれなかった。なお、GPCとしては、Waters2695およびShodex製GPCカラムKF-805Lを使用し、カラム温度40℃で、溶出溶媒としてテトラヒドロフランを毎分1mlの流量で用い、試料濃度0.5質量%のテロラヒドロフラン溶液を50μl注入した。RI検出装置(Waters2414)の積分値を用いて単量体の検量線を作成し、固形分中の単量体を定量した。MnおよびMwは標準ポリスチレンを用いて作製した検量線を用いて計算した。
重クロロホルムを測定溶媒として、固形分のH−NMRスペクトルを測定したところ、ビニル基が重合してできたアルキル基由来のプロトンピークと、残存したビニル基由来のプロトンピークが43:57の積分比率で観察され、ビニル基同士が重合していることがわかった。(A−1)には、化合物(I)の反応物が60質量%以上含まれることは明らかである。
特表2002−534546号公報の実施例5に従って、等モルの3,3’−(オキシジ1,4−フェニレン)ビス(2,4,5−トリフェニルシクロペンタジエノン)、および1,3,5−トリス(フェニルエチニル)ベンゼンから合成したポリフェニレンポリマー(ポリマー1)を得た。このポリマーをGPCで分析するとMw=1.81万であった。ポリマー1には、成膜時に固形分(A−1)と反応し得る未反応のエチニル基が含まれることが、H−NMRおよびIRスペクトルより確認できた。
ポリマー1を含む溶液20g(固形分1gを含む)にA−1を0.2g加えて組成物(B−1)を作製した。
〔合成例2〕
テトラビニルシラン500mgを酢酸ブチル11mlに加えた。窒素気流中で、加熱還流しながら、アルケマ吉冨社製ルプロックス11を1時間ごとに5μlづつを計5回加え、さらに1時間加熱還流した。室温まで冷却した後、減圧濃縮し、メタノール20mlを加え、1時間攪拌した後、固形物をろ取、乾燥し、固形分(ポリマー2)200mgを得た。固形分をGPCで分析するとMw=1.91万であった。ポリマー2には、成膜時に固形分(A−1)と反応し得る未反応のビニル基が含まれることが、H−NMRおよびIRスペクトルより確認できた。(ポリマー2)100mgと(A−1)100mgをシクロヘキサノン4mlに溶解し。組成物(B−2)を作製した。
〔合成例3〕
1,3−ジエチニルアダマンタン20g、1,3,5−トリイソプロピルベンゼン 100mlをフラスコに入れ、窒素気流下、内温200℃で30時間加熱攪拌した。室温まで冷却後、反応液中の不溶物をろ過により除去した。得られた濾液にイソプロピルアルコールを添加して析出した固体をろ過した。さらに得られた固体をイソプロピルアルコール中に懸濁させて撹拌後、再度ろ過し、黄色の重合体(ポリマー3)7gを得た。GPC測定の結果、質平均分子量は3.1万であった。ポリマー3には、成膜時に固形分(A−1)と反応し得る未反応のエチニル基が含まれることが、H−NMRおよびIRスペクトルより確認できた。(ポリマー3)200mgと(A−1)100mgをシクロヘキサノン6mlに溶解し、組成物(B−3)を作製した。
〔合成例4〕
ポリマー1を含む溶液20g(固形分1gを含む)に例示化合物(d−1)を0.2g加え比較用組成物(B−4)を作製した。
〔実施例1〜3、比較例1〜4〕
上記合成例で作製した塗布液(B−1)〜 (B−4)および、(ポリマー1)〜(ポリマー3)の5質量%シクロヘキサノン溶液をそれぞれ0.2μm孔径のテフロン(登録商標)製フィルターでろ過後、スピンコート法で4インチシリコンウエハ上に塗布後、ホットプレート上で130℃で1分間ついで230℃で1分間、基板を乾燥し、さらに窒素雰囲気のクリーンオーブン中で400℃で30分間加熱することによって塗膜(C−1)〜(C−7)を作製した。
誘電率をフォーディメンジョンズ社製水銀プローブを用いて測定した(測定温度25℃)。評価結果を表1に示す。
Figure 2008218630
表1に示した結果から、本発明の組成物を用いると、低誘電率の膜を形成できることがわかる。

Claims (5)

  1. 2つ以上の不飽和基を置換基として有するカゴ型シルセスキオキサン化合物を重合させた高分子化合物、炭素−炭素不飽和結合を有する耐熱性有機高分子化合物および有機溶剤を含む絶縁膜形成用組成物。
  2. 前記耐熱性有機高分子化合物が、ポリイミド、ポリアミド、ポリイミダゾール、ポリベンゾオキサゾール、ポリアリーレン、ポリアリーレンエーテル、ポリアルカンまたはこれらのフッ素化ポリマーであることを特徴とする請求項1に記載の絶縁膜形成用組成物。
  3. シルセスキオキサン化合物を重合させた前記高分子化合物の、GPCで測定したポリスチレン換算重量平均分子量が5万〜50万であり、ポリスチレン換算数平均分子量が1.5万〜20万であることを特徴とする請求項1に記載の絶縁膜形成用組成物。
  4. 2つ以上の不飽和基を置換基として有するカゴ型シルセスキオキサン化合物を0.1〜15質量%の濃度で有機溶媒に溶解し、重合開始剤を用いて重合性不飽和結合基を反応させた重合体、炭素−炭素不飽和結合を有する耐熱性有機高分子化合物および有機溶剤を含む絶縁膜形成用組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の絶縁膜形成用組成物を基板上に塗布した後、硬膜することを特徴とする絶縁膜製造方法。
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