JP2008218630A - 絶縁膜形成用組成物および絶縁膜製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】絶縁膜形成用組成物は、2つ以上の不飽和基を置換基として有するカゴ型シルセスキオキサン化合物を重合させた高分子化合物、炭素−炭素不飽和結合を有する耐熱性有機高分子化合物および有機溶剤を含む。該組成物を基板上に塗布した後、硬膜することにより絶縁膜を製造することができる。
【選択図】なし
Description
層間絶縁膜を形成することを目的として、SOG(Spin on Glass)膜と呼ばれるテトラアルコキシランの加水分解生成物を主成分とする塗布型の絶縁膜も使用されるようになっている。また、半導体素子などの高集積化に伴い、有機SOGと呼ばれるポリオルガノシロキサンを主成分とする低誘電率の層間絶縁膜が開発されている。
は約4程度である。また、低誘電率CVD膜として最近検討されているSiOF膜の比誘電率は約3.3〜3.5であるが、この膜は吸湿性が高く、使用しているうちに誘電率が上昇するという問題がある。
一方、有機ポリマーに低分子のカゴ型化合物を添加した溶液を塗布することによって、低屈折率、低密度の膜を得る試みも公知である。(特許文献1参照)しかし、この方法では、屈折率、誘電率の低下効果が不十分であった。
(1)2つ以上の不飽和基を置換基として有するカゴ型シルセスキオキサン化合物を重合させた高分子化合物、炭素−炭素不飽和結合を有する耐熱性有機高分子化合物および有機溶剤を含む絶縁膜形成用組成物。
(2)前記耐熱性有機高分子化合物が、ポリイミド、ポリアミド、ポリイミダゾール、ポリベンゾオキサゾール、ポリアリーレン、ポリアリーレンエーテル、ポリアルカンまたはこれらのフッ素化ポリマーであることを特徴とする前記(1)に記載の絶縁膜形成用組成物。
(3)シルセスキオキサン化合物を重合させた前記高分子化合物の、GPCで測定したポリスチレン換算重量平均分子量が5万〜50万であり、ポリスチレン換算数平均分子量が1.5万〜20万であることを特徴とする前記(1)に記載の絶縁膜形成用組成物。
(4)2つ以上の不飽和基を置換基として有するカゴ型シルセスキオキサン化合物を0.1〜15質量%の濃度で有機溶媒に溶解し、重合開始剤を用いて重合性不飽和結合基を反応させた重合体、炭素−炭素不飽和結合を有する耐熱性有機高分子化合物および有機溶剤を含む絶縁膜形成用組成物。
(5)前記(1)〜(4)のいずれかに記載の絶縁膜形成用組成物を基板上に塗布した後、硬膜することを特徴とする絶縁膜製造方法。
2つ以上の不飽和基を置換基として有するカゴ型シルセスキオキサン化合物(以下、化合物(I)とも称する)とは、例えば、m個のRSi(O0.5)3ユニット(mは8〜16の整数を表し、Rはそれぞれ独立して非加水分解性基を表し、Rのうち、少なくとも2つは炭素-炭素不飽和結合を含む基である)を有し、各ユニットが、各ユニットにおける酸素原子を共有して他のユニットに連結しカゴ構造を形成している化合物(以下、化合物(I‘)ともいう)等が挙げられる。
誘電率低下効果の点から、化合物(I‘)におけるmは8、10、12、14、16が好ましく、入手性の観点から、8、10、12が、より好ましい。
ここで、非加水分解性基とは、室温で、1当量の中性水と1時間接触させた場合に、95%以上残存する基であるが、この条件で99%以上残存していることが好ましい。
Rのうち、少なくとも2つは炭素−炭素不飽和結合を含む基である。Rの非加水分解性基の例としては、アルキル基(メチル、t−ブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等)、アリール基(フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル等)、ビニル基、エチニル基、アリル基、シリルオキシ基(トリメチルシリルオキシ、トリエチルシリルオキシ、t−ブチルジメチルシリルオキシ)等があげられる。
化合物(I)において、ビニル基またはエチニル基はRが結合するケイ素原子に直接結合することが好ましい。
化合物(I)におけるRのうち、少なくとも2つのビニル基が、Rが結合するケイ素原子に直接結合することがさらに好ましく、化合物(I)におけるRの少なくとも半数が全てビニル基であることが、より好ましく、Rが全てビニル基であることが特に好ましい。
〔MO-Si(O0.5)3〕m (III)
(R1)3−Si−Cl (IV)
溶媒としては、トルエン、ヘキサン、テトラヒドロフラン(THF)などの有機溶剤が好ましい。
一般式(III)で表される化合物と一般式(IV)で表される化合物を反応させる際には、トリエチルアミン、ピリジン等の塩基を添加しても良い。
本発明の組成物に含まれる化合物(I)を重合させた高分子化合物は、化合物(I)以外の化合物との共重合物であってもよい。その場合に用いられる化合物としては、重合性炭素−炭素不飽和結合またはSiH基を複数有する化合物が好ましい。好ましい化合物の例としては、ビニルシラン類、ビニルシロキサン類、フェニルアセチレン類、[(HSiO0.5)3]8等が挙げられる。
本発明の組成物は、化合物(I)の反応物(重合物)が有機溶剤に溶解した溶液であってもよいし化合物(I)の反応物を含む固形物であってもよい。
重合反応としてはどのような重合反応でも良いが、例えばラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合、開環重合、重縮合、重付加、付加縮合、遷移金属触媒重合等が挙げられる。
重合開始剤としては特に有機過酸化物または有機アゾ系化合物が好ましく用いられる。
本発明の重合開始剤は1種のみ、または2種以上を混合して用いてもよい。
本発明の重合開始剤の使用量はモノマー1モルに対して、好ましくは0.001〜2モル、より好ましくは0.05〜1モル、特に好ましくは0.01〜0.5モルである。
本発明の重合開始剤の添加方法としては一括添加、分割添加、連続添加等が挙げられるが、少ない重合開始剤添加量で高分子量化でき、膜強度の点からも有利であるので、分割添加および連続添加が好ましい。
例えば水やメタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、アセトフェノン等のケトン系溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸ペンチル、酢酸ヘキシル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン、メチルベンゾエート等のエステル系溶剤、ジブチルエーテル、アニソール、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶剤、トルエン、キシレン、メシチレン、1,2,4,5−テトラメチルベンゼン、ペンタメチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、1,4−ジイソプロピルベンゼン、t−ブチルベンゼン、1,4−ジ−t−ブチルベンゼン、1,3,5−トリエチルベンゼン、1,3,5−トリ−t−ブチルベンゼン、4−t−ブチル−オルトキシレン、1−メチルナフタレン、1,3,5−トリイソプロピルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶剤、N−メチルピロリジノン、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶剤、四塩化炭素、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼン等のハロゲン系溶剤、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶剤などが利用できる。これらの中でより好ましい溶剤はエステル系溶剤であり、中でも、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸ペンチル、酢酸ヘキシル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン、メチルベンゾエートであり、特に好ましくは、酢酸エチル、酢酸ブチルである。
重合時の化合物(I)の濃度が高いと、反応液はゲル化して可溶性ポリマーが得られないため、重合時の化合物(I)の濃度は15質量%以下であることが必要である。同じ溶媒を用いた場合、濃度が低い程、数平均分子量が大きく、有機溶剤に可溶な組成物を容易に合成することができる。その意味で、反応液中の化合物(I)の濃度は11質量%以下であることが好ましく、より好ましくは8質量%以下であり、より好ましくは5質量%以下である。
反応時の生産性の観点では、重合時の化合物(I)の濃度が高い程有利である。その意味では、重合時の化合物(I)の濃度は0.1質量%以上であり、より好ましくは1質量%以上である。
また、酸素による重合開始剤の不活性化を抑制するために不活性ガス雰囲気下(例えば窒素、アルゴン等)で反応させることが好ましい。反応時の酸素濃度は好ましくは100ppm以下、より好ましくは50ppm以下、特に好ましくは20ppm以下である。
重合反応終了時のポリマーの重量平均分子量(Mw)の好ましい範囲は5万〜50万である。より好ましくは6万〜40万、特に好ましくは7万〜30万である。
重合物中のこれらの含量が大きいほど、誘電率の低い膜を形成することができる。
残存した化合物(I)については、固形分のGPCチャート、HPLCチャート、NMRスペクトル、UVスペクトル、IRスペクトル等から定量できる。重合物に含まれる化合物(I)以外の共重合物および付加物については、仕込み比で判断できる場合もあるが、重合物を必要に応じて精製した後、NMRスペクトル、UVスペクトル、IRスペクトル、元素組成等の測定を行うことによっても定量できる。
なお、本願におけるGPCポリスチレン換算値は、Waters2695およびShodex製GPCカラムKF−805Lを使用し、カラム温度40℃で、溶出溶媒としてテトラヒドロフランを毎分1mlの流量で用い、試料濃度0.5質量%のテロラヒドロフラン溶液を50μl注入し、RI検出装置(Waters2414)の積分値を用いて単量体の検量線を作成し、固形分中の単量体を定量し、MnおよびMwは標準ポリスチレンを用いて作製した検量線を用いて計算した値である。
これらの平均分子量が大きいほど、誘電率の低い膜を形成することができるが、これらの平均分子量が大きいと有機溶剤に対する不溶物を生成しやすくなる。平均分子量が上記の範囲であれば、低誘電率と、有機溶剤に対する溶解性、ろ過性を両立できる。
本発明の組成物に含まれる化合物(I)の重合物としては、分子量300万以上の成分を実質的に含まないことが好ましく、200万以上の成分を実質的に含まないことがより好ましく、100万以上の成分を含まないことが最も好ましい。
本発明の組成物に含まれる未反応の化合物(I)は、40質量%以下であるが、20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましく、5質量%以下であることがさらに好ましく、2質量%以下であることが、最も好ましい。
本発明の組成物に含まれる化合物(I)の重合物中では、化合物(I)のビニル基またはエチニル基のうち、10〜99モル%が未反応で残存していることが好ましく、20〜90モル%が未反応で残存していることが好ましく、30〜80モル%が未反応で残存していることが最も好ましい。
また、本発明の組成物中の、化合物(I)の重合物には、重合開始剤、添加剤または重合溶媒が0.1〜40質量%結合していてもよいが、0.1〜20質量%が好ましく、0.1〜10質量%が、より好ましく、0.1〜5質量%が最も好ましい。
これらについては、組成物のNMRスペクトル等から定量することができる。
また、化合物(I)の化合物を重合させた後、不溶物をろ過する、カラムクロマトグラフィーを用いて精製する、再沈殿処理により精製する、などの方法を用いることも可能である。
ここで、再沈殿処理とは、必要に応じて反応溶媒を留去した反応液に、貧溶媒(本発明の組成物を実質的に溶解しない溶媒)を加える、もしくは必要に応じて反応溶媒を留去した反応液を、貧溶媒に滴下することにより、本発明の組成物を析出させ、これをろ取することである。
貧溶媒としては、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール)炭化水素類(ヘキサン、ヘプタン)などが好ましい。貧溶媒として、本発明の組成物の等質量〜200倍質量を用いることが好ましく、2倍質量〜50倍質用いることが、より好ましい。再沈澱処理を行うことにより、誘電率のより低い膜を形成することができる。
濃縮する方法としては、ロータリーエバポレーター、蒸留装置または重合反応を行った反応装置などを用いて、反応液を加熱および/または減圧することによって行うことが好ましい。濃縮時の反応液の温度は、一般的には0℃〜180℃であり、10℃〜140℃が好ましく、20℃〜100℃が、より好ましく、30℃〜60℃が最も好ましい。濃縮時の圧力は、一般的に、0.133Pa〜100kPaであり、好ましくは1.33Pa〜13.3kPaであり、より好ましくは、1.33Pa〜1.33kPaである。
反応液を濃縮する際は、反応液中の固形分含量が10質量%以上になるようになるまで濃縮することが好ましく、30%質量以上になるまで濃縮することがより好ましく、50%質量以上になるまで濃縮することが最も好ましい。
耐熱性有機高分子化合物とは、炭素原子を含む重量平均分子量500〜500万の化合物である。
公知の反応によって上記の有機高分子化合物を形成する高分子化合物も、本発明の有機高分子化合物の好ましい例として挙げられる。
これらの有機高分子化合物は耐熱性を有するものである。ここで言う耐熱性とは、窒素中300℃1時間保持した場合の重量減少が10%以下であることを意味する。
これらの有機高分子化合物およびその前駆体は、成膜時等に化合物(I)の重合物と反応し得る炭素−炭素不飽和結合を有する。
有機高分子化合物に含まれる炭素−炭素不飽和結合は、高分子化合物を合成してから導入してもよいし、有機高分子化合物を形成するために用いられる低分子化合物中にあらかじめ導入しておいてもよいが、低分子化合物中にあらかじめ導入しておくことが好ましい。
その場合、低分子化合物中に、炭素-炭素不飽和結合とは別に存在する官能基の反応によって有機高分子化合物を形成してもよいし、低分子化合物に含まれる炭素-炭素不飽和結合の1部を反応させることにより、有機高分子化合物を形成してもよい。
これらのポリマーの例としては、置換基としてビニル基またはエチニル基を有するアルコキシシランを加水分解・縮合することによって合成したシロキサンポリマー、ビニル基またはエチニル基を有する芳香族ジカルボン酸およびo-アミノフェノール誘導体を用いて縮合反応を行うことによって合成されたポリベンゾオキサゾール、芳香族エチニル基およびシクロペンタジエノン基の反応によって合成されたポリアーリレン、エチニル基同士の反応によって合成されたポリアセチレン等が挙げられる。
ただし、本発明の組成物を低温で硬膜する必要がある場合は、重合開始剤を含んでいることが好ましい。その場合の重合開始剤の例としては前述したものと同じものが挙げられる。また、この目的で、放射線により重合を引きおこす開始剤および増感剤を使用することもできる。
であり、m、nはそれぞれ独立に2〜100の整数である。複数のR1は同じでも異なっ
ていてもよい。
ン、アルミニウムモノエチルアセトアセテートジイソプロピレート、ビニルトリス(2-メ
トキシエトキシ)シラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3-クロロプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、トリメチルクロロシラン、ジメチルビニルクロロシラン、メチルジフエニルクロロシラン、クロロメチルジメチルクロロシラン、トリメチルメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルジメトキシシラン、ジメチルビニルエトキシシラン、ジフエニルジメトキシシラン、フエニルトリエトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、N,N’−ビス(トリメチルシリル)ウレア、ジメチルトリメチルシリルアミン、トリメチルシリルイミダゾール、ビニルトリクロロシラン、ベンゾトリアゾール、ベンズイミダゾール、インダゾール、イミダゾール、2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、ウラゾール、チオウラシル、メルカプトイミダゾール、メルカプトピリミジン、1,1−ジメチルウレア、1,3−ジメチルウレア、チオ尿素化合物等を挙げることができる。官能性シランカップリング剤が密着促進剤として好ましい。密着促進剤の好ましい使用量は、全固形分100質量部に対して10質量部以下、特に0.05〜5質量部であることが好ましい。
空孔形成剤となる添加剤の空孔形成因子としては特に限定はされないが、非金属化合物が好適に用いられ、膜形成用塗布液で使用される溶剤との溶解性、本発明重合体との相溶性を同時に満たすことが必要である。
また、空孔形成剤としては熱可塑性のポリマーも使用することができる。熱可塑性空孔形成用ポリマーの例としては、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリフェニレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリエチレンオキシド、ポリ(ジメチルシロキサン)、ポリテトラヒドロフラン、ポリエチレン、ポリシクロヘキシルエチレン、ポリエチルオキサゾリン、ポリカプロラクトン、ポリ乳酸およびポリビニルピリジン等が挙げられる。
空孔形成剤の添加量は膜を形成する重合体に対して、質量%で好ましくは0.5〜75%、より好ましくは0.5〜30%、特に好ましくは1%〜20%である。
また、空孔形成因子として、重合体の中に分解性基を含んでいても良く、その分解温度は好ましくは100〜500℃、より好ましくは200〜450℃、特に好ましくは250〜400℃であると良い。分解性基の含有率は膜を形成する重合体に対して、モル%で0.5〜75%、より好ましくは0.5〜30%、特に好ましくは1〜20%である。
ス、プラスチックフィルムなどの基板に塗布した後、溶剤を必要に応じて加熱処理で除去することにより形成することができる。基板に塗布する方法としては、スピンコーティング法,スキャン法によるものが好ましい。特に好ましくは,スピンコーティング法によるものである。
スピンコーティングについては、市販の装置を使用できる。例えば,クリーントラックシリーズ(東京エレクトロン製)、D-スピンシリーズ(大日本スクリーン製)、SSシリーズあるいはCSシリーズ(東京応化工業製)等が好ましく使用できる。スピンコート条件としては、いずれの回転速度でもよいが、膜の面内均一性の観点より、300mmシリコン基板においては1300rpm程度の回転速度が好ましい。また組成物溶液の吐出方法においては、回転する基板上に組成物溶液を吐出する動的吐出、静止した基板上へ組成物溶液を吐出する静的吐出のいずれでもよいが、膜の面内均一性の観点より、動的吐出が好ましい。また、組成物の消費量を抑制する観点より、予備的に組成物の主溶剤のみを基板上に吐出して液膜を形成した後、その上から組成物を吐出するという方法を用いることもできる。スピンコート時間については特に制限はないが、スループットの観点から180秒以内が好ましい。また、基板の搬送の観点より、基板エッジ部の膜を残存させないための処理(エッジリンス、バックリンス)をすることも好ましい。熱処理の方法は、特に限定されないが、一般的に使用されているホットプレート加熱、ファーネス炉を使用した加熱方法、RTP(Rapid Thermal Processor)等によるキセノンランプを使用した光照射加熱等を適用することができる。好ましくは、ホットプレート加熱、ファーネスを使用した加熱方法である。ホットプレートとしては市販の装置を好ましく使用でき、クリーントラックシリーズ(東京エレクトロン製)、D-スピンシリーズ(大日本スクリーン製)、SSシリーズあるいはCSシリーズ(東京応化工業製)等が好ましく使用できる。ファーネスとしては、αシリーズ(東京エレクトロン製)等が好ましく使用できる。
高エネルギー線として、電子線を使用した場合のエネルギーは0〜50keVが好ましく、より好ましくは0〜30keV、特に好ましくは0〜20keVである。電子線の総
ドーズ量は好ましくは0〜5μC/cm 2 、より好ましくは0〜2μC/cm 2 、特に好ましくは0〜1μC/cm 2である。電子線を照射する際の基板温度は0〜450℃が好ましく、より好ましくは0〜400℃、特に好ましくは0〜350℃である。圧力は好ましくは0〜133kPa、より好ましくは0〜60kPa、特に好ましくは0〜20kPaである。本発明の重合物の酸化を防止するという観点から、基盤周囲の雰囲気はAr、He、窒素などの不活性雰囲気を用いることが好ましい。また、電子線との相互作用で発生するプラズマ、電磁波、化学種との反応を目的に酸素、炭化水素、アンモニアなどのガスを添加してもよい。本発明における電子線照射は複数回行ってもよく、この場合は電子線照射条件を毎回同じにする必要はなく、毎回異なる条件で行ってもよい。
高エネルギー線として紫外線を用いてもよい。紫外線を用いる際の照射波長領域は190〜400nmが好ましく、その出力は基板直上において0.1〜2000mWcm−2が好ましい。紫外線照射時の基板温度は250〜450℃が好ましく、より好ましくは250〜400℃、特に好ましくは250〜350℃である。本発明の重合物の酸化を防止するという観点から、基盤周囲の雰囲気はAr、He、窒素などの不活性雰囲気を用いることが好ましい。また、その際の圧力は0〜133kPaが好ましい。
絶縁膜を形成する際の膜厚は、乾燥膜厚として、1回塗りで厚さ0.05〜1.5μm程度、2回塗りでは厚さ0.1〜3μm程度の塗膜を形成することができる。
カゴ構造が焼成時に分解しないために、組成物及び絶縁膜の製造中にSi原子に求核攻撃する基(水酸基、シラノール基など)が実質的に存在しないことが好ましい。
例示化合物(I−d)1gを酢酸ブチル55gに加え、窒素気流中で、加熱還流した。重合開始剤としてアルケマ吉冨社製ルペロックス11を2時間ごとに2μlづつ計8μlを加え、さらに4時間加熱還流した。ついで、室温まで冷却し、液重量1.5gまで減圧濃縮し、メタノール20mlを加え、1時間攪拌した後、固形物をろ取、乾燥し、固形分(A−1)0.80gを得た。固形分をGPCで分析するとMw=20.8万、Mn=3.9万であった。固形物中には未反応の例示化合物(I−d)は1質量%以下であった。固形分中には分子量200万以上の成分は実質的に含まれなかった。なお、GPCとしては、Waters2695およびShodex製GPCカラムKF-805Lを使用し、カラム温度40℃で、溶出溶媒としてテトラヒドロフランを毎分1mlの流量で用い、試料濃度0.5質量%のテロラヒドロフラン溶液を50μl注入した。RI検出装置(Waters2414)の積分値を用いて単量体の検量線を作成し、固形分中の単量体を定量した。MnおよびMwは標準ポリスチレンを用いて作製した検量線を用いて計算した。
重クロロホルムを測定溶媒として、固形分の1H−NMRスペクトルを測定したところ、ビニル基が重合してできたアルキル基由来のプロトンピークと、残存したビニル基由来のプロトンピークが43:57の積分比率で観察され、ビニル基同士が重合していることがわかった。(A−1)には、化合物(I)の反応物が60質量%以上含まれることは明らかである。
ポリマー1を含む溶液20g(固形分1gを含む)にA−1を0.2g加えて組成物(B−1)を作製した。
テトラビニルシラン500mgを酢酸ブチル11mlに加えた。窒素気流中で、加熱還流しながら、アルケマ吉冨社製ルプロックス11を1時間ごとに5μlづつを計5回加え、さらに1時間加熱還流した。室温まで冷却した後、減圧濃縮し、メタノール20mlを加え、1時間攪拌した後、固形物をろ取、乾燥し、固形分(ポリマー2)200mgを得た。固形分をGPCで分析するとMw=1.91万であった。ポリマー2には、成膜時に固形分(A−1)と反応し得る未反応のビニル基が含まれることが、H−NMRおよびIRスペクトルより確認できた。(ポリマー2)100mgと(A−1)100mgをシクロヘキサノン4mlに溶解し。組成物(B−2)を作製した。
1,3−ジエチニルアダマンタン20g、1,3,5−トリイソプロピルベンゼン 100mlをフラスコに入れ、窒素気流下、内温200℃で30時間加熱攪拌した。室温まで冷却後、反応液中の不溶物をろ過により除去した。得られた濾液にイソプロピルアルコールを添加して析出した固体をろ過した。さらに得られた固体をイソプロピルアルコール中に懸濁させて撹拌後、再度ろ過し、黄色の重合体(ポリマー3)7gを得た。GPC測定の結果、質平均分子量は3.1万であった。ポリマー3には、成膜時に固形分(A−1)と反応し得る未反応のエチニル基が含まれることが、H−NMRおよびIRスペクトルより確認できた。(ポリマー3)200mgと(A−1)100mgをシクロヘキサノン6mlに溶解し、組成物(B−3)を作製した。
ポリマー1を含む溶液20g(固形分1gを含む)に例示化合物(d−1)を0.2g加え比較用組成物(B−4)を作製した。
上記合成例で作製した塗布液(B−1)〜 (B−4)および、(ポリマー1)〜(ポリマー3)の5質量%シクロヘキサノン溶液をそれぞれ0.2μm孔径のテフロン(登録商標)製フィルターでろ過後、スピンコート法で4インチシリコンウエハ上に塗布後、ホットプレート上で130℃で1分間ついで230℃で1分間、基板を乾燥し、さらに窒素雰囲気のクリーンオーブン中で400℃で30分間加熱することによって塗膜(C−1)〜(C−7)を作製した。
Claims (5)
- 2つ以上の不飽和基を置換基として有するカゴ型シルセスキオキサン化合物を重合させた高分子化合物、炭素−炭素不飽和結合を有する耐熱性有機高分子化合物および有機溶剤を含む絶縁膜形成用組成物。
- 前記耐熱性有機高分子化合物が、ポリイミド、ポリアミド、ポリイミダゾール、ポリベンゾオキサゾール、ポリアリーレン、ポリアリーレンエーテル、ポリアルカンまたはこれらのフッ素化ポリマーであることを特徴とする請求項1に記載の絶縁膜形成用組成物。
- シルセスキオキサン化合物を重合させた前記高分子化合物の、GPCで測定したポリスチレン換算重量平均分子量が5万〜50万であり、ポリスチレン換算数平均分子量が1.5万〜20万であることを特徴とする請求項1に記載の絶縁膜形成用組成物。
- 2つ以上の不飽和基を置換基として有するカゴ型シルセスキオキサン化合物を0.1〜15質量%の濃度で有機溶媒に溶解し、重合開始剤を用いて重合性不飽和結合基を反応させた重合体、炭素−炭素不飽和結合を有する耐熱性有機高分子化合物および有機溶剤を含む絶縁膜形成用組成物。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の絶縁膜形成用組成物を基板上に塗布した後、硬膜することを特徴とする絶縁膜製造方法。
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