JP2008215873A - センサユニット及びマイクロリアクタシステム - Google Patents
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Abstract
【課題】マイクロリアクタデバイスの入力側または/及び出力側で流体の複数種類の状態量を計測する場合において、正確に流体の状態量を計測することが可能なセンサユニットを提供する。
【解決手段】マイクロリアクタデバイス用のセンサユニットであって、内部に流路を有し、当該流路内の流体計測位置における流路壁面の周方向に、前記流路に連通する複数のセンサ設置孔が設けられた流路形成部材と、前記複数のセンサ設置孔の各々に、感応部を前記流路側に向けて設置され、前記流体計測位置における流体の状態量を検出する複数種類のセンサとを具備する。
【選択図】図1
【解決手段】マイクロリアクタデバイス用のセンサユニットであって、内部に流路を有し、当該流路内の流体計測位置における流路壁面の周方向に、前記流路に連通する複数のセンサ設置孔が設けられた流路形成部材と、前記複数のセンサ設置孔の各々に、感応部を前記流路側に向けて設置され、前記流体計測位置における流体の状態量を検出する複数種類のセンサとを具備する。
【選択図】図1
Description
本発明は、物質の化学反応に利用される微細な流路を有するマイクロリアクタデバイスに用いられるセンサユニット及びこのセンサユニットを備えたマイクロリアクタシステムに関する。
近年、物質の化学反応に利用される微細な流路を有するマイクロリアクタデバイスが注目されている。このマイクロリアクタデバイスは、従来の化学プラントにおける大型の反応釜を用いた場合と比べて、化学反応の高速化及び高効率化を図ることができ、化学分野のみならず医療分野など様々な分野に応用可能な技術として期待されている。
このようなマイクロリアクタデバイスでは、流路を通過する流体(つまり反応物質)の温度や圧力、流量等の状態量を反応条件に合わせて高精度に制御する必要があり、そのためにはこれら流体の状態量を正確に計測する必要がある。
例えば、下記特許文献1には、文献中の図1〜図4に記載されているように、流路FAを構成する溝14が形成された基板11と、この溝14の開口に向かって貫通し、且つ平面的に見た際に流路FAの幅方向における溝14の寸法よりも大きい孔20に流体RGの状態量を検出するセンサ80が配設された基板12とが重ねられて構成されたマイクロチップ1(マイクロリアクタデバイス)が開示されている。このような特許文献1のマイクロチップ1では、上記のような構成を採用することにより、センサ80を設置しても流体RGの流れに影響を及ぼすことなく、且つ内部の反応場所に直接センサ80を設置する(直接流体RGの状態量を計測する)ので、正確に反応場所における流体の状態量を計測することができる。
なお、従来のマイクロリアクタの詳細については、例えば以下の特許文献2〜5及び非特許文献1を参照されたい。
特開2006−116479号公報
特許第3625477号公報
特表2003−516223号公報
特表2005−507775号公報
特表2006−519994号公報
A.Muller,V.Cominos,V.Hessel,B.Horn,J.Schurer,A.Ziogas,K.Jahnisch,V.Hillmann,V.Groer,K.A.Jam,A.Bazzanella,G.Rinke,M.Kraut,Fluidic bus system for chemical process engineering in the laboratory and for small-scale production,Chemical Engineering Journal,2005,107(1-3),205-214
なお、従来のマイクロリアクタの詳細については、例えば以下の特許文献2〜5及び非特許文献1を参照されたい。
上記の特許文献1に開示されているように、マイクロリアクタデバイス内の反応場所となる流路を流れる流体の状態量を直接センサで計測する手法は、流体の反応条件を高精度に制御する技術としては理想的である。しかしながら、一般的にマイクロリアクタデバイスを用いて合成を行う場合、合成量を増やすためにナンバリングアップの手法が採られる。このナンバリングアップには、マイクロリアクタデバイス内の流路の本数を増やすことでデバイス1個当たりの合成量を増大させるインターナルナンバリングアップと、マイクロリアクタデバイス及び系統を増やすことで全体の合成量を増大させるエクスターナルナンバリングアップとがある。エクスターナルナンバリングアップによって増やせる系統数は、せいぜい10系統程度と考えられており、インターナルナンバリングアップによって可能な限り多くの合成量を得る必要がある。
すなわち、合成量を増やすためにインターナルナンバリングアップを採用した場合、上記特許文献1の技術では、マイクロリアクタデバイス内に設けられた多数の流路の全てにセンサを設置しなければならず、さらに、センサの種類は圧力センサだけでなく、温度センサやその他のセンサも各流路に設置する必要があるため、装置構成の複雑化や装置サイズの大型化、装置コストの増大等を招く要因となり実現は困難である。また、マイクロリアクタデバイスには、チップ以外に金属板やセラミック板を積層して構成したデバイス、円筒管を利用したデバイス等があり、全てに特許文献1の技術が適応できるわけではない。また、特許文献1の技術のように、センサをマイクロチップに一体化して構築した場合、流路の詰まりや破損が生じた際には、センサを含めたチップ全体の交換が必要となるため交換コストが高価になり、また、センサの校正方法が問題となる等、メンテナンス性が悪化する。
これらのことから、マイクロリアクタデバイス内の流路はシミュレーション技術を駆使して設計し、マイクロリアクタデバイスの入出力側(具体的には流路の入力端と出力端)に設置したセンサの値から安定した状態に流体を制御する方法が極めて現実的である。その一方で、マイクロリアクタデバイスの入出力にセンサを設置する場合、以下のような問題がある。マイクロリアクタデバイスの入出力にセンサを設置する場合、マイクロリアクタデバイス内の反応場所における流体の状態と、センサ設置箇所における流体の状態との差を極力小さくするために、センサ設置箇所はできるだけ流路の入力端または出力端に近い位置に設定することが望ましい。
しかしながら、上述したように、センサの種類は1種類だけでなく複数種類のセンサを設置する場合もあり得る。この場合、従来のセンサ設置方法によると、例えば温度センサを流路の出力端に最も近い位置に設置し、圧力センサを温度センサより少し離れた位置に設置し、流量センサを圧力センサより少し離れた位置に設置する、というようにセンサの種類が多くなるほど後段に設置されるセンサはマイクロリアクタデバイスから遠い位置の流体の状態量を計測していることになる。すなわち、流路の入力端または出力端に近い位置の流体の状態量について複数種類(例えば温度や圧力、流量など)計測したい場合、1つのセンサは所望の位置における流体の状態量を計測することができるが、それ以外のセンサは所望の位置とは異なる位置の状態量を計測することになり、所望の位置における正確な流体の状態量を得ることは困難であった。
特許文献2の技術は、マイクロリアクタデバイスをそれぞれの機能に応じてモジュール化し、これらのモジュールの組み合わせによって目的の合成物の生成のために最適な環境、反応工程や反応条件を作り出すことを主旨としており、上記課題を解決するものではない。また、特許文献3の技術では、文献中の図4に記載されているように、マイクロリアクタモジュールの入力側に設けられたフレーム10に圧力センサや温度センサ等のセンサ6が設置されているが、これらのセンサ6は同一の位置における流体の状態量を計測できず、また、センサ6は流路に突出しているため流体の流れに乱れが生じ、正確な状態量を計測することができないだけでなく、マイクロリアクタデバイス内における化学反応にも悪影響を及ぼす。
また、特許文献4の技術は、容易に交換可能な処理モジュールから構成され、媒体がマイクロリアクタシステムにおいて移送されるための、非常に単純で柔軟性のある接続システムを含むマイクロリアクタシステムを提供することを主旨としており、上記課題を解決するものではない。また、特許文献5の技術は、環境ノイズ及びそれに関連した影響に敏感なミクロ流体構成要素を保護するようにマニホルド内に隔離する装置を使用することによって、敏感なミクロ流体構成要素に対する環境干渉またはノイズを原因とする潜在的な問題を解決することを主旨としており、上記課題を解決するものではない。さらに、非特許文献1の技術は、共通化したバックボーンエレメントによって複数の仕様のマイクロリアクタデバイスを組み合わせ、さらに各種のセンサを設置することができるアダプタプレートを組み合わせることにより、1つのマイクロリアクタシステムを構築することを主旨としており、上記課題を解決するものではない。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、マイクロリアクタデバイスの入力側または/及び出力側で流体の複数種類の状態量を計測する場合において、正確に流体の状態量を計測することが可能なセンサユニットと、このように正確に流体の状態量を計測可能なセンサユニットを備えることによりマイクロリアクタデバイス内の流体の状態量を高精度に制御することが可能なマイクロリアクタシステムとを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明では、センサユニットに係る第1の解決手段として、マイクロリアクタデバイス用のセンサユニットであって、内部に流路を有し、当該流路内の流体計測位置における流路壁面の周方向に、前記流路に連通する複数のセンサ設置孔が設けられた流路形成部材と、前記複数のセンサ設置孔の各々に、感応部を前記流路側に向けて設置され、前記流体計測位置における流体の状態量を検出する複数種類のセンサとを具備することを特徴とする。
また、本発明では、センサユニットに係る第2の解決手段として、上記第1の解決手段において、前記感応部が前記流路壁面に対して略面一となるように前記複数種類のセンサは設置されていることが望ましい。
また、本発明では、センサユニットに係る第3の解決手段として、上記第1または第2の解決手段において、前記流路の内径は、前記マイクロリアクタデバイス内における流路の内径と略一致するように設定されていることが望ましい。
また、本発明では、センサユニットに係る第4の解決手段として、上記第1〜第3のいずれかの解決手段において、未使用の前記センサ設置孔を、埋め部材によって埋めることが望ましい。
また、本発明では、センサユニットに係る第5の解決手段として、上記第1〜第4のいずれかの解決手段において、前記複数のセンサ設置孔は、前記流路の延在方向に直交する面において、前記流体計測位置を中心として放射状に設けられていることが望ましい。
また、本発明では、センサユニットに係る第6の解決手段として、上記第5の解決手段において、前記複数のセンサ設置孔は、前記流路の延在方向に直交する面において、前記周方向に対して直角または所定の鋭角をもって設けられていることが望ましい。
また、本発明では、センサユニットに係る第7の解決手段として、上記第1〜第6のいずれかの解決手段において、前記流路の内壁面を親水性もしくは疎水性の媒体で修飾することが望ましい。
また、本発明では、センサユニットに係る第8の解決手段として、上記第1〜第7のいずれかの解決手段において、前記流路と前記マイクロリアクタデバイス内における流路とを接続するための流路接続部材を具備することが望ましい。
また、本発明では、センサユニットに係る第9の解決手段として、上記第8の解決手段において、前記流路接続部材は、チューブ継手、面シール継手、ねじ込み継手、平底あるいはコーンタイプの液クロマトグラフィ用継手、フランジ、溶接継手のいずれか、またはこれらの組み合わせであることが望ましい。
また、本発明では、センサユニットに係る第10の解決手段として、上記第1〜第9のいずれかの解決手段において、前記センサを、取り外し可能なセンサ接続部材によって前記センサ設置孔に設置することが望ましい。
また、本発明では、センサユニットに係る第11の解決手段として、上記第10の解決手段において、前記センサを、ネジ構造のセンサ接続部材を使用して前記センサ設置孔に設置することが望ましい。
また、本発明では、センサユニットに係る第12の解決手段として、上記第1〜第11のいずれかの解決手段において、前記複数種類のセンサとして、温度センサ、圧力センサ、熱量センサ、ガス濃度センサ、pHセンサ、電気化学センサ、静電容量センサ、導電率センサ、湿度センサ、歪センサ、変位量センサ、粘度センサ、濁度センサ、超音波センサ、磁場センサ、応力センサ、イオンセンサから選択して使用することが望ましい。
一方、本発明では、マイクロリアクタシステムに係る第1の解決手段として、マイクロリアクタデバイスと、当該マイクロリアクタデバイス内における反応流路の入力側または/及び出力側に接続された、上記第1〜第12のいずれかの解決手段を有するセンサユニットと、当該センサユニットにおける前記複数種類のセンサの各々によって検出された、前記流体計測位置における流体の状態量に基づいて、前記マイクロリアクタデバイス内における流体の状態量を制御する制御装置とを具備することを特徴とする。
また、本発明では、マイクロリアクタシステムに係る第2の解決手段として、マイクロリアクタデバイスと、当該マイクロリアクタデバイス内における反応流路の入力側または/及び出力側に接続された、上記第1〜第12のいずれかの解決手段を有するセンサユニットと、当該センサユニットにおける前記複数種類のセンサの各々によって検出された、前記流体計測位置における流体の状態量に基づいて、新たな状態量を算出する複合計測装置と、前記複合計測装置により算出された状態量に基づいて、前記マイクロリアクタデバイス内における流体の状態量を制御する制御装置とを具備することを特徴とする。
また、本発明では、マイクロリアクタシステムに係る第3の解決手段として、上記第2の解決手段において、前記複合計測装置は、前記入力側のセンサユニットにおける圧力センサによって検出された流体の圧力と、前記出力側のセンサユニットにおける圧力センサによって検出された流体の圧力とに基づいて前記マイクロリアクタデバイスの圧力損失を算出し、前記制御装置は、前記複合計測装置により算出された圧力損失に基づいて前記マイクロリアクタデバイス内の流路の詰まり状態を判定することが望ましい。
また、本発明では、マイクロリアクタシステムに係る第4の解決手段として、上記第2または第3の解決手段において、圧力損失を生む圧力損失発生デバイスと、前記圧力損失発生デバイスの入力側及び出力側に接続された、上記第1〜第12のいずれかの解決手段を有するセンサユニットとを備え、前記複合計測装置は、前記圧力損失発生デバイスの入力側のセンサユニットにおける圧力センサによって検出された流体の圧力と、前記圧力損失発生デバイスの出力側のセンサユニットにおける圧力センサによって検出された流体の圧力とに基づいて圧力損失を算出し、前記制御装置は、前記複合計測装置により算出された圧力損失に基づいて流体の流量を算出することが望ましい。
本発明に係るセンサユニットによれば、複数種類のセンサによって同じ流体計測位置における流体の状態量を同時に計測することができるので、マイクロリアクタデバイスの入力側または/及び出力側で流体の複数種類の状態量を計測する場合において、正確に当該状態量を計測することが可能である。また、このように正確に流体の状態量を計測可能なセンサユニットを備えることにより、マイクロリアクタデバイス内の流体の状態量を高精度に制御することが可能なマイクロリアクタシステムを提供することが可能である。
以下、図面を参照して、本発明に係るセンサユニット及びマイクロリアクタシステムの一実施形態について説明する。
〔センサユニット〕
まず、本実施形態におけるマイクロリアクタデバイス用のセンサユニットについて説明する。図1は、本実施形態におけるセンサユニット10の外観図である。なお、以下の説明においては、図1中に示されたXYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係について説明する。XYZ直交座標系は、X軸が後述する流路1aの延在方向と平行となるように設定され、Y軸はX軸と直交して水平面を形成するように設定され、また、Z軸はXY平面に直交する方向(つまり鉛直方向)に設定されている。
〔センサユニット〕
まず、本実施形態におけるマイクロリアクタデバイス用のセンサユニットについて説明する。図1は、本実施形態におけるセンサユニット10の外観図である。なお、以下の説明においては、図1中に示されたXYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係について説明する。XYZ直交座標系は、X軸が後述する流路1aの延在方向と平行となるように設定され、Y軸はX軸と直交して水平面を形成するように設定され、また、Z軸はXY平面に直交する方向(つまり鉛直方向)に設定されている。
図1(a)はセンサユニット10の斜視図であり、図1(b)はセンサユニット10の正面図(YZ平面図)、図1(c)はセンサユニット10の側面図(XZ平面図)である。また、図2(a)は図1(b)におけるA−A矢視断面図であり、図2(b)は図1(c)におけるB−B矢視断面図である。これら図1及び図2において、符号1は筐体(流路形成部材)、1aは流路、1b〜1gはセンサポート(センサ設置孔)、2、3、5、6、7はセンサ、4はプラグ(埋め部材)、8a及び8bは流路継手(流路接続部材)、mは計測点(流体計測位置)である。
筐体1は、センサ取り付け用の筐体であり、内部にX軸方向に延在する流路1aを有し、当該流路1a内の計測点mにおける流路壁面の周方向に、流路1aに連通するセンサ設置用の孔である複数のセンサポート1b〜1gが設けられている。流路1aは、マイクロリアクタデバイスに供給する流体(つまり反応物質)を通過させ、計測点mにおける流体の状態量を計測するために設けられた円筒形状の流路である。なお、本実施形態では流路1aの断面形状を円形としたが、これに限定されず他の形状を採用しても良い。また、流路1aの内壁面を親水性の媒体で修飾しても良い。これにより、流路1a内における気泡の付着あるいは発生を防止することができ、流体への悪影響を防ぐことができる。
センサポート1b〜1gは、図1(b)及び図2(b)に示すように、YZ平面(流路の延在方向に直交する面)において、計測点mを中心として放射状且つ流路1aの周方向に対して直角となるように設けられている。なお、これらセンサポート1b〜1gを必ずしも流路1aの周方向に対して直角となるように設ける必要はなく、センサ2、3、5、6、7の種類によっては流路1aの周方向に対して所定の鋭角をもって設けても良い。また、本実施形態では、YZ平面において6角形に形成されている筐体1を採用したが、これに限らず、他の多角形や円形等の形状の筐体を用いても良い。
センサ2、3、5、6、7は、それぞれ異なる種類のセンサであり、各々の感応部(例えば電極等)を流路1a側に向けてセンサポート1b〜1gに設置され、計測点mにおける流体の状態量を検出する。図2(b)を参照して具体的に説明すると、センサ5はセンサ本体5aにネジ構造などの固定機能を含むセンサであり、そのセンサ本体5aの固定機能を用いて直接センサポート1eに固定され、センサ5(センサ本体5a)の種類に応じた流体の状態量を示す検出信号を信号線5bを介して図示しない計測機器または制御装置等に出力する。
一方、センサ2、3、6、7は、各々のセンサ本体(2a、3a、6a、7a)がファイバ状やチューブ状等の固定機能を含まないタイプのセンサである。このようなタイプのセンサ2のセンサ本体2aは、取り外し可能なセンサ接続部材であるセンサ継手2bを介してセンサポート1bに固定され、センサ2(センサ本体2a)の種類に応じた流体の状態量を示す検出信号を信号線2cを介して図示しない計測機器または制御装置等に出力する。上記のセンサ継手2bは、ネジ構造を利用してセンサポート1bに固定する機能を有することが望ましい。これによりセンサ本体2aの感応部の位置決めを正確に行うことができる。
また、センサ3のセンサ本体3aは、センサ2と同様なセンサ継手3bを介してセンサポート1cに固定され、センサ3(センサ本体3a)の種類に応じた流体の状態量を示す検出信号を信号線3cを介して図示しない計測機器または制御装置等に出力する。また、センサ6のセンサ本体6aは、センサ2と同様なセンサ継手6bを介してセンサポート1fに固定され、センサ6(センサ本体6a)の種類に応じた流体の状態量を示す検出信号を信号線6cを介して図示しない計測機器または制御装置等に出力する。また、センサ7のセンサ本体7aは、センサ2と同様なセンサ継手7bを介してセンサポート1gに固定され、センサ7(センサ本体7a)の種類に応じた流体の状態量を示す検出信号を信号線7cを介して図示しない計測機器または制御装置等に出力する。
各センサ2、3、5、6、7の種類としては、温度センサ、圧力センサ、熱量センサ、ガス濃度センサ、pHセンサ、電気化学センサ、静電容量センサ、導電率センサ、湿度センサ、歪センサ、変位量センサ、粘度センサ、濁度センサ、超音波センサ、磁場センサ、応力センサ、イオンセンサ等から選択して使用することができる。また、センサ継手2b、3b、6b、7bとしては、液クロマトグラフィ(HPLC)用継手を用いることができる。現在一般的に市販されている液クロマトグラフィ用継手は、直径1/32インチ(約0.8mm)、1/16インチ(約1.6mm)、1/8インチ(約3.2mm)等のチューブ状のセンサ本体に対応可能である。仮に、センサ本体の直径に対応可能な液クロマトグラフィ用継手がない場合(例えばセンサ本体が直径0.5mmの熱電対であった場合)、市販されている直径調整用チューブを利用することにより、液クロマトグラフィ用継手を使用してセンサポートに固定することができる。
各センサ2、3、5、6、7の各々の感応部は、流路壁面に対して略面一となるように設置されていることが望ましい。つまり、各センサ2、3、5、6、7の各々の感応部が流路1aに突き出ないように、または、各々の感応部と流路1aとの間にデッドボリュームが生じないように各センサ2、3、5、6、7を設置する。これにより、計測点mにおいて生じる流体の乱れ等、流体に対する影響を軽減することができ、より正確に計測点mにおける流体の状態量を計測することができる。
プラグ4は、未使用(つまりセンサを設置しない)のセンサポート1dを埋めるための埋め部材である。このようにセンサを設置しないセンサポートにはプラグ4を取り付けることにより、流路1aの気密を確保すると共にデッドボリューム等の流体への影響を軽減することができる。つまり、プラグ4の先端部も流路壁面に対して略面一となるようにすることが望ましい。
流路継手8a及び8bは、流路1aの両端をマイクロリアクタデバイス側の流路や流体供給装置などから延設されている流体供給用配管に接続するための流路接続部材である。このような流路継手8a及び8bとしては、チューブ継手、面シール継手、ねじ込み継手、平底あるいはコーンタイプの液クロマトグラフィ用継手、フランジ、溶接継手のいずれか、またはこれらの組み合わせを採用することができる。流路1aの断面形状及び内径寸法は、接続するマイクロリアクタデバイス、使用する流路継手8a及び8bに応じて設定すれば良い。例えば、流路継手8a及び8bに外径1/8インチのチューブ継手を用い、外径1/8インチ、内径1.76mmのチューブを接続する場合、流路1aの内径は1.76mmとする。また、マイクロリアクタデバイス側の流路にフランジ構造を用いて流路1aを接続する場合は、流路1aの内径をマイクロリアクタデバイス側の流路の内径と略一致するように設定することにより、センサユニット10における流路1aとマイクロリアクタデバイスにおける流路との断面積差を少なくすることが望ましい。これにより、流路同士の接続部分における流体への悪影響を軽減でき、計測点mにおける流体の状態量を正確に計測できると共に、マイクロリアクタデバイスの流路内での化学反応に悪影響を及ぼすことを防ぐことができる。
図3は、上述したセンサユニット10とマイクロリアクタデバイスの入力側及び出力側との接続例を示すものである。図3(a)はZ軸方向から見た上面図であり、図中の符号20、30、40は、流路継手8aまたは8bのいずれか一方をフランジ構造としてマイクロリアクタデバイス50側の流路と接続する場合のセンサユニットを示している。符号50は、2入力1出力のマイクロリアクタデバイスであり、流体供給用の流路として第1流路50a及び第2流路50bが設けられており、反応用流路として反応流路50cが設けられている。このようなマイクロリアクタデバイス50の構成材料としては、ガラス材料(パイレックス(登録商標)、石英等)、金属材料(ステンレス、チタン、アルミ等)、樹脂材料(PDMS、PMMA、アクリル、テフロン(登録商標)、PEEK等)、セラミックス(アルミナ等)などを用いることができる。
図3(b)は、X軸方向からマイクロリアクタデバイス50の入力側をみた正面図であり、センサユニット20及び30はネジ60によってマイクロリアクタデバイス50と接続されている。さらに図3(c)は、センサユニット40とマイクロリアクタデバイス50の出力側との接続部分の詳細を示す断面図である。この図3(c)に示すように、センサユニット40の流路継手の一方をフランジ構造にてマイクロリアクタデバイス50に接続する。具体的には、気密を確保するためのOリング40bを、センサユニット40の流路40aとマイクロリアクタデバイス50の反応流路50cとの間に挟みこみ、ネジ60によってセンサユニット40をマイクロリアクタデバイス50に固定する。この際、センサユニット40の流路40aとマイクロリアクタデバイス50の反応流路50cとの流路断面の位置誤差が生じ、流体状態への悪影響が生じることを回避するために、位置決めピン40cまたは調整治具によって正確にセンサユニット40を位置決めする。
センサユニット20及び30もセンサユニット40と同様である。つまり、センサユニット20の流路を20aとすると、この流路20aとマイクロリアクタデバイス50の第1流路50aは、センサユニット40と同様なフランジ構造によって接続されている。また、センサユニット30の流路を30aとすると、この流路30aとマイクロリアクタデバイス50の第2流路50bは、同様なフランジ構造によって接続されている。
なお、上述したように、マイクロリアクタデバイス50側の反応流路50cにフランジ構造を用いてセンサユニットの流路40aを接続する場合は、流路40aの内径を反応流路50cの内径と略一致するように設定することが望ましい。これは、出力側だけでなく入力側も同様である。
以上のような構成を特徴とする本実施形態のセンサユニット10によれば、複数種類のセンサ2、3、5、6、7によって同じ位置の計測点mにおける流体の状態量を同時に計測することができるので、マイクロリアクタデバイス50の入力側または/及び出力側で流体の複数種類の状態量を計測する場合において、正確に当該状態量を計測することが可能である。また、センサユニット10内の流路1aに詰まりや破損が生じた際には、全センサを外して筐体1だけを交換すれば良く、また、センサの1本が破損した場合にはその1本だけを交換すれば良いなど、メンテナンス性の向上を図ることができる。
なお、本センサユニット10は、流路1aや流路継手8a及び8bをマイクロリアクタデバイス内の流路径に合わせて適宜設定することにより、マイクロオーダの微細な流路のみならず、径の比較的大きな流路を有するマイクロリアクタデバイスに対応することができる。
なお、本センサユニット10は、流路1aや流路継手8a及び8bをマイクロリアクタデバイス内の流路径に合わせて適宜設定することにより、マイクロオーダの微細な流路のみならず、径の比較的大きな流路を有するマイクロリアクタデバイスに対応することができる。
次に、上述したセンサユニット10を用いて実際に流体の圧力及び温度を計測した実験結果について説明する。図4に実験装置構成を示す。容器70には溶液が入っており、この溶液はポンプ71によって吸引され、ヒータユニット72に導入される。本実験では、溶液として水を使用し、ポンプ71として液クロマトグラフィ用のプランジャーポンプを用いた。ヒータユニット72内の導管は、直径800μmの模擬的なマイクロリアクタデバイスの反応流路となっている。ヒータユニット72は、ヒータユニット72内の導管を加熱するヒータ73とヒータユニット72内の温度を計測するヒータ温度センサ74を含んでいる。
制御装置75は、ヒータ温度センサ74が計測した温度をモニタしながら、ヒータ73を駆動することにより、ヒータユニット72内の温度を制御する。ヒータユニット72の出力側の導管には、上述したセンサユニット10と同様なセンサユニット76が接続されている。このセンサユニット76は、圧力センサ76a及び温度センサ76bが設置されており、ヒータユニット72の出力側における流体(つまり水)の圧力及び温度を同一箇所(計測点)で同時に計測する。本実験では、圧力センサ76aとして直径0.4mmのファイバ式圧力センサを用い、温度センサ76bとして直径0.5mmの熱電対を用いた。センサユニット76の出力側には圧力負荷77が接続されており、センサユニット76内の流路を流れる流体は、この圧力負荷77によって廃液容器78に導かれる。本実験では、圧力負荷77として内径の細い管を用いて流体の流量に依存した圧力損失を発生させた。
図5は、ヒータ温度センサ74によって計測したヒータユニット72内の温度と、センサユニット76における圧力センサ76aで計測した流体の圧力及び温度センサ76bで計測した流体の温度の時間変化を示すグラフである。この図5において横軸は時間、縦軸は温度(°C)及び圧力(MPa)である。また、図中の符号80は、ヒータ温度センサ74によるヒータユニット72内の温度計測値を示し、符号81はセンサユニット76の温度センサ76bによる流体の温度計測値を示し、符号82はセンサユニット76の圧力センサ76aによる流体の圧力計測値を示している。
ポンプ71は5mL/minの一定流量モードで運転し、制御装置75によりヒータユニット72の温度を、時刻5分から時刻15分の10分間のみ50°Cに制御した。他の時間は制御を行っておらず、時刻15分以降はヒータユニット72の温度は室温に至る。図5において、ヒータユニット72の温度は制御装置75で制御することにより、急激に50°Cに到達している。そして、ヒータユニット72には冷却装置が設けられておらず、流体による熱移動及びヒータユニット72の放熱のみで冷却されるため、時刻15分以降はなだらかに室温に至っている。
圧力センサ76aによる圧力計測値及び温度センサ76bによる温度計測値は、ヒータユニット72とセンサユニット76、その間の配管の熱容量によってなだらかに変化している。時刻15分付近において温度センサ76bの温度計測値がヒータユニット22の温度計測値より大きくなっている現象は、ヒータユニット72のヒータ温度センサ74の値と流体の温度との間に差があることを示している。
また、本実験では配管内の圧力を強制的に変化させていない。しかしながら、時刻5分から時刻20分までに圧力センサ76aによる圧力計測値が低下している。これは温度変化により圧力負荷77の圧力損失が変化する現象を捉えている。ここで、円管内の層流における圧力損失ΔPは、下記(1)式に示すようなハーゲン−ポアズイユ(Hagen-Poiseuille)式によって算出することができる。
ΔP=32・μ・L・U/D2 ・・・・・・・・・(1)
ΔP=32・μ・L・U/D2 ・・・・・・・・・(1)
上記(1)式において、Dは管内径(m)、Lは管長さ(m)、Uは管内平均流速(m/s)、μは流体粘度(Pa・s)である。流体粘度μは温度によって変化するため、圧力損失ΔPが変化してしまう。本実験では、2本の細管を直列接続して圧力負荷77としている。この細管のスペックと動作状態とに基づいて圧力損失ΔPを算出した結果を図6に示す。図6中の管番号「1」「2」は、上述した圧力負荷77を構成する2本の細管を示している。また、水の粘度はJIS規格の数値を補間して圧力損失ΔPを求めた。この図6と図5からわかるように、高温時における圧力損失ΔPの算出値(1.031MPa)と、圧力センサ76aによる圧力計測値とはほぼ一致している。つまり、センサユニット76の圧力センサ76aによる圧力計測値は信頼性の高い値であるといえる。また、図5の圧力センサ76aによる圧力計測値では、全時刻において微小な圧力振幅が発生しているが、これはポンプ71の脈動を捉えているからである。
さらに、図5において、仮にヒータ温度センサ74による温度計測値が流体の温度として正しいと想定した場合、流体の圧力変化は図5中の符号82aに示すように、時刻5分において急激に低下するはずであり、また、時刻15分において符号82bに示すように急激に上昇するはずである。つまり、センサユニット76の温度センサ76bによる温度計測値こそ流体の温度として正確な値といえる。
以上のような実験結果より、本センサユニット10(76)を用いることにより、マイクロリアクタデバイスの入力側または/及び出力側の流体の複数種類の状態量を、同じ計測点で同時に且つ正確に計測できることが実証された。
[マイクロリアクタシステム]
続いて、本実施形態におけるマイクロリアクタシステムについて図7を参照して説明する。なお、図7において図3と同様な構成要素には同一符号を付し、説明を省略する。この図7に示すように、本マイクロリアクタシステムは、マイクロリアクタデバイス50と、マイクロリアクタデバイス50の一方の入力側(第1流路50a)に接続されているセンサユニット20と、マイクロリアクタデバイス50の他方の入力側(第2流路50b)に接続されているセンサユニット30と、マイクロリアクタデバイス50の出力側(反応流路50c)に接続されているセンサユニット40と、第1の流体供給装置90と、第1の配管91と、第2の流体供給装置92と、第2の配管93と、第3の配管94と、温度計測器95と、圧力計測器96と、制御装置97とから構成されている。
続いて、本実施形態におけるマイクロリアクタシステムについて図7を参照して説明する。なお、図7において図3と同様な構成要素には同一符号を付し、説明を省略する。この図7に示すように、本マイクロリアクタシステムは、マイクロリアクタデバイス50と、マイクロリアクタデバイス50の一方の入力側(第1流路50a)に接続されているセンサユニット20と、マイクロリアクタデバイス50の他方の入力側(第2流路50b)に接続されているセンサユニット30と、マイクロリアクタデバイス50の出力側(反応流路50c)に接続されているセンサユニット40と、第1の流体供給装置90と、第1の配管91と、第2の流体供給装置92と、第2の配管93と、第3の配管94と、温度計測器95と、圧力計測器96と、制御装置97とから構成されている。
第1の流体供給装置90は、第1の流体を貯蔵するタンクやポンプユニット等から構成されており、制御装置97の制御の下、ポンプユニットによって第1の流体をタンクから吸引し、センサユニット20の一方の流路継手20fに接続されている第1の配管91を介してセンサユニット20の流路20aに第1の流体を供給する。第2の流体供給装置92は、第2の流体を貯蔵するタンクやポンプユニット等から構成されており、制御装置97の制御の下、ポンプユニットによって第2の流体をタンクから吸引し、センサユニット30の一方の流路継手30fに接続されている第2の配管93を介してセンサユニット30の流路30aに第2の流体を供給する。
センサユニット20の流路20aを介してマイクロリアクタデバイス50の第1流路50aに供給された第1の流体と、センサユニット30の流路30aを介してマイクロリアクタデバイス50の第2流路50bに供給された第2の流体とは、反応流路50cにおいて混合されて化学反応を起こす。その化学反応によって合成された合成物(以下、合成流体と称す)は、センサユニット40の流路40aを介して流路継手40fに接続された第3の配管94によって後段の他の装置に送られる。
一方、センサユニット20には温度センサ20d及び圧力センサ20eが設けられており、温度センサ20dは流路20aの計測点における第1の流体の温度を示す温度検出信号(アナログ信号)を温度計測器95に出力し、また、圧力センサ20eは流路20aの計測点における第1の流体の圧力を示す圧力検出信号(アナログ信号)を圧力計測器96に出力する。センサユニット30には温度センサ30d及び圧力センサ30eが設けられており、温度センサ30dは流路30aの計測点における第2の流体の温度を示す温度検出信号を温度計測器95に出力し、また、圧力センサ30eは流路30aの計測点における第2の流体の圧力を示す圧力検出信号を圧力計測器96に出力する。センサユニット40には温度センサ40d及び圧力センサ40eが設けられており、温度センサ40dは流路40aの計測点における合成流体の温度を示す温度検出信号を温度計測器95に出力し、また、圧力センサ40eは流路40aの計測点における合成流体の圧力を示す圧力検出信号を圧力計測器96に出力する。
温度計測器95は、各温度センサ20d、30d、40dから入力される温度検出信号をデジタル信号化して制御装置97に出力すると共に、図示しない表示部に各計測点における温度計測結果を表示する。圧力計測器96は、各圧力センサ20e、30e、40eから入力される圧力検出信号をデジタル信号化して制御装置97に出力すると共に、図示しない表示部に各計測点における圧力計測結果を表示する。制御装置97は、上記のようにデジタル信号化された温度検出信号及び圧力検出信号に基づいて、本マイクロリアクタシステムの全体動作を制御することにより、マイクロリアクタデバイス50における流体の状態量を制御する。
次に、このように構成された本マイクロリアクタシステムの動作、特に制御装置97の動作について説明する。なお、制御装置97は、上述のようにデジタル信号化された温度検出信号及び圧力検出信号に基づいて、多種多様な制御や信号処理を行うことができ、以下に説明するものはその一例に過ぎず、センサユニット20、30、40に設けられたセンサの種類に応じてそれらの制御や信号処理を変えても良い。
(1)温度制御
制御装置97は、各温度センサ20d、30d、40dの温度検出信号を基に、マイクロリアクタデバイス50の一方の入力側及び他方の入力側、出力側の流体の温度を把握し、反応流路50cにおける温度条件に適合するように、図示しないヒータユニット等を駆動して反応流路50cの温度を制御する。
制御装置97は、各温度センサ20d、30d、40dの温度検出信号を基に、マイクロリアクタデバイス50の一方の入力側及び他方の入力側、出力側の流体の温度を把握し、反応流路50cにおける温度条件に適合するように、図示しないヒータユニット等を駆動して反応流路50cの温度を制御する。
(2)マイクロリアクタデバイス50における圧力損失の算出及び詰まり状態の判定
制御装置97は、各圧力センサ20e、30e、40eの圧力検出信号を基に、マイクロリアクタデバイス50の一方の入力側及び他方の入力側、出力側の流体の圧力を把握し、これらの圧力計測値からマイクロリアクタデバイス50における圧力損失を算出する。この圧力損失は、一方の入力側または他方の入力側の圧力計測値から出力側の圧力計測値を差し引くことにより算出することができる。さらに、制御装置97は、上記のように算出した圧力損失と所定の閾値とを比較することにより、マイクロリアクタデバイス50内の流路に詰まりが発生したか否かを判定する。圧力損失がある一定の値より大きい場合に詰まりが発生していることが経験上わかっており、その値を上記の閾値として設定することにより、マイクロリアクタデバイス50の詰まり状態を判定することができる。なお、この詰まりの判定結果をオペレータに報知するための表示部や警報装置などを制御装置97に設けても良い。
制御装置97は、各圧力センサ20e、30e、40eの圧力検出信号を基に、マイクロリアクタデバイス50の一方の入力側及び他方の入力側、出力側の流体の圧力を把握し、これらの圧力計測値からマイクロリアクタデバイス50における圧力損失を算出する。この圧力損失は、一方の入力側または他方の入力側の圧力計測値から出力側の圧力計測値を差し引くことにより算出することができる。さらに、制御装置97は、上記のように算出した圧力損失と所定の閾値とを比較することにより、マイクロリアクタデバイス50内の流路に詰まりが発生したか否かを判定する。圧力損失がある一定の値より大きい場合に詰まりが発生していることが経験上わかっており、その値を上記の閾値として設定することにより、マイクロリアクタデバイス50の詰まり状態を判定することができる。なお、この詰まりの判定結果をオペレータに報知するための表示部や警報装置などを制御装置97に設けても良い。
(3)圧力損失制御、流量制御
また、圧力損失の算出値をモニタしつつ、当該圧力損失がある一定の値になるように、第1の流体供給装置90や第2の流体供給装置92のポンプ、または図示しない圧力負荷を制御する機能を制御装置97に持たせても良い。さらに、圧力損失の算出値から合成流体の流量を求め、この合成流体の流量が所望の値となるように、第1の流体供給装置90及び第2の流体供給装置92を制御して、第1の流体及び第2の流体の流量を調整するような機能を制御装置97に持たせても良い。一般的に圧力損失と流量とは比例関係にあるので、比例係数を圧力損失に乗算することで流量を求めることができる。
また、圧力損失の算出値をモニタしつつ、当該圧力損失がある一定の値になるように、第1の流体供給装置90や第2の流体供給装置92のポンプ、または図示しない圧力負荷を制御する機能を制御装置97に持たせても良い。さらに、圧力損失の算出値から合成流体の流量を求め、この合成流体の流量が所望の値となるように、第1の流体供給装置90及び第2の流体供給装置92を制御して、第1の流体及び第2の流体の流量を調整するような機能を制御装置97に持たせても良い。一般的に圧力損失と流量とは比例関係にあるので、比例係数を圧力損失に乗算することで流量を求めることができる。
また、流量を求める方法として、マイクロリアクタデバイス50の入力側または出力側にフランジ等の圧力損失を生む圧力損失発生デバイスを設け、この圧力損失発生デバイスの入力側及び出力側に本センサユニット10を接続し、制御装置97は、圧力損失発生デバイスの入力側のセンサユニット10における圧力センサによって検出された流体の圧力と、圧力損失発生デバイスの出力側のセンサユニット10における圧力センサによって検出された流体の圧力とに基づいて圧力損失を求め、当該圧力損失に基づいて流体の流量を算出するような構成を採用しても良い。
なお、上記の例では、制御装置97が圧力損失を算出していたが、これに限定されず、圧力計測器96に圧力損失算出機能を持たせ、制御装置97は圧力計測器96による圧力損失算出結果に基づいて詰まり状態を判定したり、流量を求めたりするような構成を採用しても良い。つまり、この場合の圧力計測器96は、本発明における「複合計測装置」に相当する。
以上のように、本マイクロリアクタシステムによれば、同じ位置(計測点)における流体の複数種類の状態量を同時且つ正確に計測することが可能なセンサユニット20、30、40を備えているので、マイクロリアクタデバイス50の入力側及び出力側の正確な流体の状態量を把握することができ、そのような正確な状態量に基づいてマイクロリアクタデバイス50内の流体の状態量を高精度に制御することが可能である。
なお、上記実施形態では、マイクロリアクタデバイス50内にY字状の流路が形成されている場合を例示して説明したが、これに限定されず、本センサユニット10はどのような流路を有するマイクロリアクタデバイスにも接続可能である。また、必ずしもマイクロリアクタデバイスの入力側と出力側の両方に本センサユニット10を接続する必要はなく、システム構成に応じて必要な限りにおいてどちらか一方に接続しても良い。
また、第1の流体または第2の流体の一方が水である場合、反応流路50cの内壁面の半分を親水性の媒体で修飾し、残りの半分を疎水性の媒体で修飾するような構成を採用しても良い。これにより、反応流路50cにおいて、水と片方の流体とを接触面を挟んできれいに分離することができ、この接触面において水と片方の流体との化学反応を促進することができる。なお、ガラス材料によって反応流路50cを形成した場合は、ガラス材料は元々親水性であるので、親水性の媒体を修飾する必要はない。また、疎水性の媒体としては、オクタデシルシランなどのシランカップリング剤を用いることができる。
また、反応流路50a、50b、50cが親水性あるいは/及び疎水性に修飾されたマイクロリアクタデバイス50にセンサユニット20、30、40を接続する場合、反応流路50a、50b、50cの修飾状況にあわせ、センサユニット20、30、40内の流路を親水性あるいは/及び疎水性に修飾することができる。
10、20、30、40、76…センサユニット、1…筐体(流路形成部材)、1a…流路、1b〜1g…センサポート(センサ設置孔)、2、3、5、6、7…センサ、4…プラグ(埋め部材)、8a、8b…流路継手(流路接続部材)、m…計測点(流体計測位置)、50…マイクロリアクタデバイス、90…第1の流体供給装置、91…第1の配管、92…第2の流体供給装置、93…第2の配管、94…第3の配管、95…温度計測器、96…圧力計測器、97…制御装置
Claims (16)
- マイクロリアクタデバイス用のセンサユニットであって、
内部に流路を有し、当該流路内の流体計測位置における流路壁面の周方向に、前記流路に連通する複数のセンサ設置孔が設けられた流路形成部材と、
前記複数のセンサ設置孔の各々に、感応部を前記流路側に向けて設置され、前記流体計測位置における流体の状態量を検出する複数種類のセンサと、
を具備することを特徴とするセンサユニット。 - 前記感応部が前記流路壁面に対して略面一となるように前記複数種類のセンサは設置されていることを特徴とする請求項1記載のセンサユニット。
- 前記流路の内径は、前記マイクロリアクタデバイス内における流路の内径と略一致するように設定されていることを特徴とする請求項1または2記載のセンサユニット。
- 未使用の前記センサ設置孔を、埋め部材によって埋めることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のセンサユニット。
- 前記複数のセンサ設置孔は、前記流路の延在方向に直交する面において、前記流体計測位置を中心として放射状に設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のセンサユニット。
- 前記複数のセンサ設置孔は、前記流路の延在方向に直交する面において、前記周方向に対して直角または所定の鋭角をもって設けられていることを特徴とする請求項5記載のセンサユニット。
- 前記流路の内壁面を親水性もしくは疎水性の媒体で修飾することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のセンサユニット。
- 前記流路と前記マイクロリアクタデバイス内における流路とを接続するための流路接続部材を具備することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のセンサユニット。
- 前記流路接続部材は、チューブ継手、面シール継手、ねじ込み継手、平底あるいはコーンタイプの液クロマトグラフィ用継手、フランジ、溶接継手のいずれか、またはこれらの組み合わせであることを特徴とする請求項8記載のセンサユニット。
- 前記センサを、取り外し可能なセンサ接続部材によって前記センサ設置孔に設置することを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載のセンサユニット。
- 前記センサを、ネジ構造のセンサ接続部材を使用して前記センサ設置孔に設置することを特徴とする請求項10記載のセンサユニット。
- 前記複数種類のセンサとして、温度センサ、圧力センサ、熱量センサ、ガス濃度センサ、pHセンサ、電気化学センサ、静電容量センサ、導電率センサ、湿度センサ、歪センサ、変位量センサ、粘度センサ、濁度センサ、超音波センサ、磁場センサ、応力センサ、イオンセンサから選択して使用することを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載のセンサユニット。
- マイクロリアクタデバイスと、
当該マイクロリアクタデバイス内における反応流路の入力側または/及び出力側に接続された請求項1〜12のいずれか一項に記載のセンサユニットと、
当該センサユニットにおける前記複数種類のセンサの各々によって検出された、前記流体計測位置における流体の状態量に基づいて、前記マイクロリアクタデバイス内における流体の状態量を制御する制御装置と、
を具備することを特徴とするマイクロリアクタシステム。 - マイクロリアクタデバイスと、
当該マイクロリアクタデバイス内における反応流路の入力側または/及び出力側に接続された請求項1〜12のいずれか一項に記載のセンサユニットと、
当該センサユニットにおける前記複数種類のセンサの各々によって検出された、前記流体計測位置における流体の状態量に基づいて、新たな状態量を算出する複合計測装置と、
前記複合計測装置により算出された状態量に基づいて、前記マイクロリアクタデバイス内における流体の状態量を制御する制御装置と、
を具備することを特徴とするマイクロリアクタシステム。 - 前記複合計測装置は、前記入力側のセンサユニットにおける圧力センサによって検出された流体の圧力と、前記出力側のセンサユニットにおける圧力センサによって検出された流体の圧力とに基づいて前記マイクロリアクタデバイスの圧力損失を算出し、
前記制御装置は、前記複合計測装置により算出された圧力損失に基づいて前記マイクロリアクタデバイス内の流路の詰まり状態を判定することを特徴とする請求項14記載のマイクロリアクタシステム。 - 圧力損失を生む圧力損失発生デバイスと、
前記圧力損失発生デバイスの入力側及び出力側に接続された請求項1〜12のいずれか一項に記載のセンサユニットとを備え、
前記複合計測装置は、前記圧力損失発生デバイスの入力側のセンサユニットにおける圧力センサによって検出された流体の圧力と、前記圧力損失発生デバイスの出力側のセンサユニットにおける圧力センサによって検出された流体の圧力とに基づいて圧力損失を算出し、
前記制御装置は、前記複合計測装置により算出された圧力損失に基づいて流体の流量を算出することを特徴とする請求項14または15に記載のマイクロリアクタシステム。
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Legal Events
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Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20100120 |
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Effective date: 20110830 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 |
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A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20120104 |