JP2008215558A - ウォーム歯車装置及びウォームホイールの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】樹脂製の歯を有するウォームホイールの構造上の工夫により、製造工程の簡略化と十分な荷重負荷能力の確保とを両立することができるウォーム歯車装置を提供し、このウォーム歯車装置に用いるウォームホイールの製造方法を提供する。
【解決手段】円筒形のウォーム51と円板形のウォームホイール52とを備えるウォーム歯車装置5において、ウォームホイール52の外周に複数並設された樹脂製の歯の一部を、歯幅方向の中央を凹として湾曲する円弧形の歯底を有する丸底歯7とし、残りの歯を、歯幅方向に平坦な歯底を有する平底歯6とする。
【選択図】図1
【解決手段】円筒形のウォーム51と円板形のウォームホイール52とを備えるウォーム歯車装置5において、ウォームホイール52の外周に複数並設された樹脂製の歯の一部を、歯幅方向の中央を凹として湾曲する円弧形の歯底を有する丸底歯7とし、残りの歯を、歯幅方向に平坦な歯底を有する平底歯6とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、例えば、電動パワーステアリング装置において操舵補助用のモータをステアリング軸に減速伝動すべく用いられるウォーム歯車装置に関し、更にこのウォーム歯車装置が備えるウォームホイールの製造方法に関する。
近年多くの車両に装備されている電動パワーステアリング装置の一形式として、コラムアシスト式の電動パワーステアリング装置がある。これは、操舵部材と舵取機構とを連絡するステアリングコラムの中途に操舵補助用のモータを取り付け、このモータの回転力を運転者による操舵部材の操作に応じてステアリングコラム内部のステアリング軸に減速伝動し、前記舵取機構に伝えて、該舵取機構の動作によりなされる操舵を補助するように構成されている(例えば、特許文献1参照)。
ステアリング軸への減速伝動は、小出力のモータにより十分な操舵補助力を得るために必要である。この減速伝動のためには、省スペースにて高減速比が得られることから、ステアリング軸と軸心を直交させて取り付けた操舵補助用のモータの出力端にウォームを連結し、ステアリング軸の中途に嵌着固定されたウォームホイールに噛合させてなるウォーム歯車装置が多く用いられている。
以上の如き電動パワーステアリング装置においては、ステアリングコラムの中途に設けられたウォーム歯車装置が操舵補助用のモータと共に車室の内部に位置することから、組立て時にウォーム及びウォームホイールの噛合部におけるバックラッシを適正に初期調整すると共に、ウォームホイールの外周の歯を樹脂製として、前記噛合部における歯打ち音の発生を抑えて静粛な動作を実現し得るように構成されている。
特開2002−54695号公報
さて、ウォーム歯車装置におけるウォームホイールの歯は、ウォームの外形に沿って円弧形に湾曲する歯底を有する歯、所謂、丸底歯とすることにより、ウォーム外周のねじ状の歯との接触長を長くし、荷重の負荷能力を高め得ることが知られている。
前述したような樹脂製の歯を有するウォームホイールは、射出成形法等の公知の樹脂成形法を採用し、ホイール本体の一部又は全部を外周に並ぶ歯と一体成形することにより製造されるが、この方法により丸底歯を有するウォームホイールを製造する場合、夫々の歯における型抜き方向が限定されるという問題がある。そこで従来においては、ホイール本体成形用の内側空洞を有する主型と歯部成形用の補助型とを別体とし、該補助型を前記主型の外周部から半径方向に挿入するように装着し、該主型の内側空洞の周上に位置させるように型組みして成形を実施した後、まず補助型を径方向に抜き出し、次に主型を軸長方向に分離する手順により型抜きを実施してウォームホイールを製造している。
ところがこの場合、1歯又は数歯単位で多くの補助型が必要となり、主型を含めた成形型の構成が複雑となる上、型組み時の補助型の装着、及び型抜き時の補助型の抜き出しを含む製造工程に多くの手間を要するという問題がある。
以上の製造工程の簡略化を目的とし、ウォームホイールの外周に並設される樹脂製の歯を、歯幅方向に平坦な歯底を有する歯、所謂、平底歯としたウォーム歯車装置がある。
このような平底歯を有するウォームホイールは、ホイール本体を成形するための内側空洞の周上に夫々の歯形を一体形成してある成形型を用い、該成形型の軸長方向の分離により型抜きする手順により製造することができ、製造上の問題は解消されるが、丸底歯と比較して平底歯は、ウォームの歯との接触長さが短く、荷重の負荷能力が低いことから、高荷重が加わる状態下での耐久性に問題が生じる虞れがある。
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、樹脂製の歯を有するウォームホイールの構造上の工夫により、製造工程の簡略化と十分な荷重負荷能力の確保とを両立することができるウォーム歯車装置を提供し、また、前記ウォームホイールの製造方法を提供することを目的とする。
本発明の第1発明に係るウォーム歯車装置は、円柱形のウォームと円板形のウォームホイールとを、該ウォームホイールの外周に複数並設された樹脂製の歯を介して噛合させてあるウォーム歯車装置において、前記ウォームホイールの外周に並設された複数の歯の一部は、歯幅方向の中央を凹として湾曲する円弧形の歯底を有する丸底歯としてあり、前記歯の残部は、歯幅方向に平坦な歯底を有する平底歯としてあることを特徴とする。
本発明の第2発明に係るウォーム歯車装置は、第1発明における丸底歯が、前記ウォームとの噛合部における負荷荷重が大きい部位に設けてあり、第1発明における平底歯が、前記噛合部における負荷荷重が小さい部位に設けてあることを特徴とする。
本発明の第3発明に係るウォームホイールの製造方法は、第1又は第2発明に係るウォーム歯車装置が備えるウォームホイールの製造方法であって、円形断面の空洞部を軸長方向への分割可能に備える主型に径方向への差し込みにより補助型を装着する型組み工程と、前記中空部に樹脂を充填して固化させ、該中空部の周面に並ぶ歯型突起により前記平底歯を、前記補助型が備える歯型突起により前記丸底歯を夫々成形する成形工程と、前記補助型を径方向の抜き出しにより分離した後、前記主型を軸長方向に分離する型抜き工程とを含むことを特徴とする。
本発明の第1発明に係るウォーム歯車装置においては、ウォームホイールの外周に並ぶ歯のうち、一部の歯を荷重の負荷能力が大きい丸底歯とし残りの歯を成形が容易な平底歯としたから、製造工程の簡略化と十分な荷重負荷能力とを両立することが可能となる。
また本発明の第2発明に係るウォーム歯車装置においては、負荷荷重が大きくなる部位に丸底歯を、他の部位の平底歯を夫々設けるようにしたから、十分な荷重の負荷能力を確保しつつ製造が容易な伝動装置を提供することができ、例えば、電動パワーステアリング装置において操舵補助用のモータの回転を舵取機構に減速伝動する伝動装置等、負荷荷重の偏りが存在する用途に有利に適用することが可能となる。
更に本発明の第3発明に係るウォームホイールの製造方法においては、丸底歯と平底歯とを外周に備えるウォームホイールの製造を、軸長方向に分離可能な主型と丸底歯の必要個数分の補助型とを用いて簡易に実現することが可能となる等、本発明は優れた効果を奏する。
以下本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。図1は、本発明に係るウォーム歯車装置を備える電動パワーステアリング装置の要部の縦断面図である。
図示の電動パワーステアリング装置は、ステアリング軸1を収容し同軸上での回転自在に支持するステアリングコラム2の中途に操舵補助用のモータ3を取り付け、該モータ3の回転をステアリング軸1に伝えて操舵を補助するコラムアシスト式の電動パワーステアリング装置として構成されている。
ステアリング軸1は、低剛性のトーションバー12を介して同軸上に連結された上側(図における右側)の入力軸10と下側(図における左側)の出力軸11とを備えている。このステアリング軸1を支持するステアリングコラム2は、上下に連設されたセンサハウジング20とギヤハウジング21とを備えている。
入力軸10の上端部は、センサハウジング20の上部に嵌着された筒形の延長ハウジング22の内部に延長され、連結軸13を介して図示しない操舵部材に連結されている。また出力軸11の下端部は、ギヤハウジング21の外部に突設され、図中に一部を示すユニバーサルジョイント14を介して図示しない舵取機構に連結されている。
以上の構成により操舵のための操舵部材の回転操作は、連結軸13、入力軸10、出力軸11及びユニバーサルジョイント14を介して舵取機構に伝えられ、該舵取機構の動作により操舵が実行される。このとき、入力軸10と出力軸11とを連結するトーションバー12には、操舵部材に加えられる操舵トルクに応じた捩れが生じる。センサハウジング20の内部には、トーションバー12の捩れを伴って入力軸10と出力軸11との間に生じる相対角変位を媒介として前記操舵トルクを検出する公知のトルクセンサ4が構成されている。
センサハウジング20の下端部は、ギヤハウジング21の上半部に設けた大径部24に突き当て、図示しない連結ボルトの締め付けにより一体に連結されている。図2は、図1のIIーII線による横断面図である。本図に示す如く大径部24の外周には、接線方向に延びる円筒形のウォーム筒25が連設してあり、ウォーム筒25及び大径部24の内側に形成されたギヤ室50の内部に、ウォーム51及びウォームホイール52を備える本発明に係るウォーム歯車装置5が構成されている。
図2に示すようにウォーム筒25は、同軸的に拡径されて一側に延長されており、この延長端に周設されたモータ座26に操舵補助用のモータ3が固定されている。ウォーム歯車装置5のウォーム51は、軸受53,54によりウォーム筒25の内部に両持ち支持されたウォーム軸55の中途部に、ギヤハウジング21の大径部24との連通部位に面して一体に設けられている。ウォーム軸55は、モータ3の取り付け側に延長されており、ウォーム筒25内に突出するモータ軸30に連結されている。
一方、ウォーム歯車装置5のウォームホイール52は、出力軸11の中途に外嵌固定され、固定位置の両側を軸受56,57により支持してギヤ室50の内部に配してある。このウォームホイール52は、出力軸11に嵌着された金属製のボス部 52aと、該ボス部 52aの外側にモールド成形された樹脂製の環状歯部 52bとを備えており、この環状歯部 52bの外周に一体形成された歯により、ウォーム筒25との連通部においてウォーム51に噛合させてある。
以上のように構成された電動パワーステアリング装置において、操舵補助用のモータ3は、トルクセンサ4による操舵トルクの検出結果に基づいて図示しない制御部から与えられる動作指令に応じて駆動制御される。このように駆動されるモータ3の回転は、ウォーム51及びウォームホイール52の噛合部において所定の減速比にて減速されて出力軸11に伝えられ、更に、ユニバーサルジョイント14を介して舵取機構に伝えられて、該舵取機構の動作によってなされる操舵が補助される。
トルクセンサ4により検出される操舵トルクは、操舵部材の操作に応じて連結軸13を介して入力軸10及び出力軸11に作用するトルクであり、運転者により操舵部材に加えられる力の方向及び大きさに対応するから、この操舵トルクの検出結果に基づく操舵補助用のモータ3の駆動制御により適正な操舵補助がなされる。なお、操舵トルクの検出結果に基づくモータ3の駆動制御において、車速、操舵角度、ヨーレート等の走行状態の検出結果に基づく補正を実施することにより、走行状態に適合する補助力特性を適宜に実現することが可能である。
操舵補助用のモータ3からステアリング軸1への伝動は、ウォーム51及びウォームホイール52を備え、コンパクトな構成により大なる減速比が得られるウォーム歯車装置5によりなされるから、小出力のモータ3により所望の操舵補助が可能となり、モータ3及びウォーム歯車装置5をステアリング軸1の中途に無理なく配設することができる。またウォーム歯車装置5のウォームホイール52は、環状歯部 52bの外周に形成された樹脂製の歯を有し、この歯をウォーム51に噛合させてあるから、歯打ち音の発生を抑えて静粛な動作を実現することができる。
本発明に係るウォーム歯車装置5の特徴は、ウォームホイール52の外周、より詳しくは環状歯部 52bの外周に、ウォーム51に噛合すべく並設された歯の構成にある。図3は、ウォームホイール52の拡大断面図であり、該ウォームホイール52は、図の上半部に示すように、歯幅方向に平坦な歯底を有する平底歯6と、図の下半部に示すように、歯幅方向の中央を凹として湾曲する歯底を有する丸底歯7とを備えている。
図3中には、ウォームホイール52の平底歯6及び丸底歯7に夫々噛合するウォーム51を2点鎖線により示してあり、平底歯6の歯底は、ウォーム51の接線方向に沿わせてあり、また丸底歯7の歯底は、ウォーム51の外形に沿う円弧形の湾曲形状を有している。
以上の平底歯6及び丸底歯7に噛合するウォーム51も2点鎖線により示してある。図示の上下の噛合形態を比較した場合、平底歯6に対するウォーム51の噛合位置は、歯幅方向に大きく変化するのに対し、丸底歯7に対するウォーム51の噛合位置は、歯幅方向の中央部と両端部との間での変化が小さい。従って、丸底歯7においては、ウォーム51の歯との接触長さを長くすることができ、接触長さ間での荷重の分担により荷負荷能力を高くすることができるのに対し、平底歯6においては、ウォーム51の歯との接触部が歯幅方向の中央に集中し、荷重の負荷能力は低くなる。
一方平底歯6は、歯幅方向、即ち、ウォームホイール52の軸長方向に対して平坦な歯底を有することから、後述の如く、ウォームホイール52の軸長方向に分離される割り型を使用して、環状歯部 52bと一括して成形することができ、成形が容易であるのに対し、丸底歯7の歯底は、歯幅方向の両端部が高いことから、軸長方向に分離される割り型を使用して成形することはできない。
本発明に係るウォーム歯車装置5において、平底歯6と丸底歯7とを備えるウォームホイール52を用いてあるのは、大荷重の負荷が必要となる周方向位置ににのみ丸底歯7を設け、他の位置には成形が容易な平底歯6を設けることにより、製造工程の簡略化と十分な荷重負荷能力の確保とを両立するためである。
前述した動作をなす電動パワーステアリング装置において、ウォーム歯車装置5に加わる負荷は、特定の状態下においてのみ大きくなる。第1の状態は、車両が直進走行しており舵取機構が中立位置にある状態である。この場合、操舵部材の急な操作に応じた操舵補助用のモータ3の駆動によりウォーム歯車装置5に大負荷が加わる虞れが高く、また路面からの逆入力の作用によりウォーム歯車装置5に衝撃力が加わる虞れもある。
第2の状態は、左右の舵角限界位置の近傍にまで操舵がなされている状態である。この場合、大転舵状態にある車輪に路面から加わる反力が大きく、この反力に抗して操舵補助を行わせるべく操舵補助用のモータ3が駆動される結果、ウォーム歯車装置5に大負荷が加わることとなる。
ここで、ウォーム歯車装置5においてウォーム51に噛合するウォームホイール52の周方向位置と、舵取機構の動作位置とは、ウォーム歯車装置5及び舵取機構を含めた減速比に応じて一義に対応する。従って本発明に係るウォーム歯車装置5においては、図2に示すように、舵取機構が中立位置にあるときウォーム51と噛合する周方向位置Aと、舵取機構が左右の舵角限界位置にあるときウォーム51と噛合する周方向位置B1 ,B2 とに位置する各複数の歯を丸底歯7とし、残りの領域に位置する全ての歯を平底歯6としてあるウォームホイール52を用いることにより目的を達成することができる。
なお周方向位置A,B1 ,B2 の夫々において丸底歯7,7…とすべき歯数は、夫々の位置での負荷条件に応じて適宜に設定すればよい。また丸底歯7,7…の形成領域は、前述した周方向位置A,B1 ,B2 に限らず、大荷重が加わると想定される適宜の周方向位置に設定すればよい。またウォーム歯車装置5の減速比を適宜に設定することにより、左右の舵角限界位置に対応する周方向位置B1 ,B2 を一致させ、更には、中立位置に対応する周方向位置Aをも一致させることができ、この場合には、ウォームホイール52の周方向の2か所又は1か所にのみ丸底歯7を設ければよい。
図4及び図5は、ウォームホイール52の製造方法の説明図である。前述の如く平底歯6と丸底歯7とを備えるウォームホイール52の製造には、2分割可能な下型8a及び上型8bを備える主型8と、この主型8に後述の如く装着される補助型9とが用いられる。
下型8aには、ウォームホイール52の外径に対応する円形断面の空洞部80(図5参照)が設けてある。この空洞部80は、下型8aの一面(上面)に開口しており、その中心には、前記開口に向けて支持棒81が突設されている。この支持棒81は、図示の如く、ウォームホイール52のボス部 52aを嵌合し、空洞部80内に同軸的に位置決めするために設けてある。
図5には、下型8a及び補助型9の平面図が示されている。図示の如く下型8a空洞部80の内周面には、平底歯6を形成するための多数の歯型突起82,82…が並設されている。歯型突起82,82…は、丸底歯7を設けるべき複数の周方向位置(図2におけるA,B1 ,B2 に対応する周方向位置)において、複数歯分の幅に亘って欠落させてあり、夫々の欠落部位は、対応する周方向幅を有して扇形に拡がる装着溝83により下型8aの外周に連通させてある。
補助型9は、図5に示すように、丸底歯7の歯底部を形成するための歯型突起90と、これの両側の各半歯分の凹部とを一端に備えるブロックであり、夫々の周方向位置に形成すべき丸底歯7,7…の歯数分(図においては各3つ)を、歯型突起90,90…の形成端を揃えて組み合わせ、図5の下部に矢符により示すように、対応する装着溝83に外側から挿入し、装着溝83内に一体に保持されるように装着して用いられる。
図5においては、図2中のB1 ,B2 に対応する上半部の2か所の装着溝83,83には、各3つの補助型9を装着した状態を示し、図2中のAに対応する下半部の装着溝83には、3つの補助型9を装着した状態を2点鎖線により示してある。図示のように補助型9,9…が装着された場合、夫々の先端に設けた丸底歯7用の歯型突起90,90…は、空洞部80の周上に一体に設けられた平底歯6用の歯型突起82,82…と同列に並んだ状態となる。
以上のような下型8a、上型8b及び補助型9を用いたウォームホイール52の製造は、まず図4(a)に示すように、下型8aの空洞部80内にボス部 52aを配置し、この下型8aの上部開口を上型8bにより塞いで主型8を構成する一方、図の左半部に示すように、空洞部80に連通する装着溝83に補助型9を装着する手順にて型組みを実施し、次に図4(b)に示すように、空洞部80の内周とボス部 52aの外周との間に残る環状の成形空間内に樹脂材料を射出し、充填固化せしめて、ボス部 52aの外側に環状歯部 52bを一体成形する手順によりなされる。
ここで、空洞部80の周面に設けられた歯型突起82は、図の右半部に示すように平坦な端縁を有するのに対し、補助型9に設けられた歯型突起90の端縁は、図の左半部に示すように中央が凸となるように円弧形に湾曲する端縁を有している。従って、前述の如く成形される環状歯部 52bは、補助型9の装着部に対応する周方向位置にのみ歯型突起90に対応する円弧形の歯底を有する丸底歯7を有し、残りの全周には、歯型突起82に対応する平坦な歯底を有する平底歯6を有することとなる。
このように成形されるウォームホイール52は、型組み時とは逆に、まず、補助型9を径方向外向きに抜き出して下型8aから外し、次に、下型8aと上型8bとを上下方向、即ち、ボス部 52a及び環状歯部 52bの軸長方向に分離する手順により、丸底歯7の歯底形状の影響を受けずに型抜きすることができる。ここで補助型9は、主型8の周上の複数か所に各複数存在するのみであり、型組み時の装着及び型抜き時の抜き出しに大なる手間を必要としない。
ここで図4及び図5は、平底歯6及び丸底歯7を備えるウォームホイール52の製造方法の概略を説明するための模式図であり、これらの図中の主型8及び補助型9は、夫々の具体的な構成を示すものではない。
なお以上の実施の形態においては、丸底歯7を形成すべき周方向位置の夫々において必要な歯数分の補助型9,9…を用いているが、成形後の径方向の抜き出しが可能であるという条件下において、夫々の周方向位置において複数の丸底歯7,7…の成形型を1つの補助型9により兼用することができる。また、ウォームホイール52の周上において丸底歯7を形成すべき周方向位置は、前述したように1又は2か所に集約することができる。これらの構成によれば、必要となる補助型9の個数が少なくなり、型組み時の装着及び型抜き時の抜き出しに要する手間を更に削減することが可能となる。
また以上の実施の形態においては、電動パワーステアリング装置への適用例について述べたが、本発明に係るウォーム歯車装置5は、ウォームホイール52の周方向において負荷荷重の偏りがある用途全般に適用可能であり、製造工程の簡略化と荷重負荷能力の確保とを両立することが可能となる。
5 ウォーム歯車装置、6 平底歯、7 丸底歯、8 主型、9 補助型、51 ウォーム、52 ウォームホイール、80 空洞部、82,90 歯型突起
Claims (3)
- 円柱形のウォームと円板形のウォームホイールとを、該ウォームホイールの外周に複数並設された樹脂製の歯を介して噛合させてあるウォーム歯車装置において、
前記ウォームホイールの外周に並設された複数の歯の一部は、歯幅方向の中央を凹として湾曲する円弧形の歯底を有する丸底歯としてあり、前記歯の残部は、歯幅方向に平坦な歯底を有する平底歯としてあることを特徴とするウォーム歯車装置。 - 前記丸底歯は、前記ウォームとの噛合部における負荷荷重が大きい部位に設けてあり、前記平底歯は、前記噛合部における負荷荷重が小さい部位に設けてある請求項1記載のウォーム歯車装置。
- 請求項1又は請求項2記載のウォーム歯車装置が備えるウォームホイールの製造方法であって、
円形断面の空洞部を軸長方向への分割可能に備える主型に径方向への差し込みにより補助型を装着する型組み工程と、前記中空部に樹脂を充填して固化させ、該中空部の周面に並ぶ歯型突起により前記平底歯を、前記補助型が備える歯型突起により前記丸底歯を夫々成形する成形工程と、前記補助型を径方向の抜き出しにより分離した後、前記主型を軸長方向に分離する型抜き工程とを含むことを特徴とするウォームホイールの製造方法。
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