JP2008215524A - 無段変速機の変速制御装置 - Google Patents

無段変速機の変速制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】車両の減速時に減速をスムーズに行うことができるようにして運転者に違和感を与えないようにすることができる無段変速機の変速制御装置を提供すること。
【解決手段】アクセルペダル63のオフ時点のプライマリプーリ17の目標入力回転数NINTとプライマリプーリ17の実際の入力回転数NINとを比較し、目標入力回転数NINTと実際の入力回転数NINのうち、プライマリプーリ17の入力回転数が低くなる側の入力回転数を目標入力回転数NINTの初期値に設定する。また、減速要求の開始時点の目標入力回転数NINTと実際の入力回転数NINとの偏差が設定値以上の場合には、実際の入力回転数NINに基づいて変速制御を行い、実際の入力回転数NINTとの偏差が設定値未満の場合には、目標入力回転数NINTに基づいて変速制御を行う。
【選択図】図8

Description

本発明は、無段変速機の変速制御装置に関し、特に、CVT等のベルト式の無段変速機の変速制御装置に関する。
従来からベルト式無段変速機(CVT:Continuously Variable Transmission)が知られている。このベルト式無段変速機は、V溝状のプーリ溝を備えた駆動側のプライマリプーリと従動側のセカンダリプーリとにベルトを巻掛け、一方のプーリのプーリ溝の溝幅を拡大すると同時に他方のプーリのプーリ溝の溝幅を狭くすることにより、それぞれのプーリに対するベルトの巻掛け半径(有効径)を連続的に変化させて変速比を無段階に設定するように構成されている。
このベルト式無段変速機において伝達されるトルクは、ベルトとプーリとを相互に接触させる方向に作用する荷重に応じたトルクとなるため、ベルトに張力を付与するようにプーリによってベルトを挟み付けている。
また、変速は、上述したように、プーリ溝の溝幅を拡大・縮小させることにより行うように構成されており、具体的には、各プーリを固定シーブと可動シーブとによって構成し、可動シーブをその背面側に設けた油圧アクチュエータにより軸線方向に前後動させることにより変速を行うように構成されている。
なお、このような無段変速機において、プライマリプーリのプーリ幅が小さく(プーリ径が大きく) セカンダリプーリのプーリ幅が大きくなることにより(プーリ径が小さい)、セカンダリプーリの回転数がプライマリプーリの回転数よりも高くなる場合を増速といい、プライマリプーリのプーリ幅が大きく(プーリ径が小さく)セカンダリプーリのプーリ幅が小さくなることにより(プーリ径が大きく)、セカンダリプーリの回転数がプライマリプーリの回転数よりも低くなる場合を減速という。
このような構成を有す無段変速機の変速は、アクセル開度および車速に基づいてプライマリプーリの目標入力回転数NINTを算出し、この目標入力回転数NINTにプライマリプーリの実際の入力回転数NINを一致させるように変速制御が行われる。
例えば、走行負荷が低下して車速が上昇してエンジン回転数が上昇すると、プライマリプーリの目標入力回転数NINTが低くなるように設定し、プライマリプーリの実際の入力回転数NINがプライマリプーリの目標入力回転数NINTとなるように変速制御を行い、逆に走行抵抗の増大によりエンジン回転数が低下すると、プライマリプーリの目標入力回転数NINTが高くなるように設定し、プライマリプーリの実際の入力回転数NINがプライマリプーリの目標入力回転数NINTとなるように変速制御を行うようになっている。
ところが、変速比の小さい変速段にシフトアップする運転状態において、アクセルペダルを開放する減速時には、シフトアップが助長されてエンジンブレーキの効果が悪化してしまうことがある。
このような不具合を解消するものとしては、アクセルペダルを開放する減速時に、変速直前の実際のエンジン回転数に応じた変速比に一定時間だけ保持して、シフトアップが行われるのを禁止することにより、エンジンブレーキを効果的に行うようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
特開昭61−119473号公報
しかしながら、このような従来の無段変速機の変速制御装置にあっては、アクセルペダルを開放する減速時に、変速直前の実際のエンジン回転数に応じた実際の変速比に一定時間だけ保持しているため、すなわち、アクセル開放時のプライマリプーリの実際の入力回転数NINに基づいて変速制御が行われているため、プライマリプーリの実際の入力回転数NINが目標入力回転数NINTよりも低い場合に、車両の運転状態によっては目標入力回転数NINTに基づいて変速比を制御する場合に比べて、高回転側に変速制御が行われてしまうことがある。
具体的には、アクセルペダルを急激に踏み込んだ状態では、目標入力回転数NINTが高く設定されるため、アクセルペダルを急激に踏み込んだ直後にアクセルペダルを開放して減速を開始する時点では、目標入力回転数NINTの初期値が実際の入力回転数NINよりも高回転側にある。このため、実際の入力回転数NINが高回転側の目標入力回転数NINTに一致するように変速制御が行われてしまい、一時的に過渡な減速状態となって減速をスムーズに行うことができず、運転者に違和感を与えてしまう。
これに対して、アクセルペダルの開放時の目標入力回転数NINTに基づいて変速制御を行うことが考えられるが、目標入力回転数NINTが実際の入力回転数NINよりも高い場合にも、上述したように実際の入力回転数NINが高回転側の目標入力回転数NINTに一致するように変速制御が行われてしまう。このため、一時的に過渡な減速状態となって減速をスムーズに行うことができず、運転者に違和感を与えてしまう。
本発明は、従来の問題を解決するためになされたもので、車両の減速時に減速をスムーズに行うことができるようにして運転者に違和感を与えないようにすることができる無段変速機の変速制御装置を提供することを目的とする。
本発明に係る無段変速機の変速制御装置は、(1)車両の運転条件に基づいて内燃機関に接続された無段変速機の目標入力回転数を設定し、前記目標入力回転数に前記無段変速機の実際の入力回転数を一致させるように無段変速機の変速比を制御するようにした無段変速機の変速制御装置において、前記運転者の減速要求を判定する減速要求判定手段と、前記減速要求判定手段によって減速要求と判定されたときに、車両の運転条件に基づいて目標入力回転数を設定する目標入力回転数設定手段と、前記減速要求の判定開始時点の前記無段変速機の目標入力回転数と実際の入力回転数とを比較し、前記目標入力回転数と前記実際の入力回転数のうち、前記無段変速機の入力回転数が低くなる側の入力回転数を目標入力回転数の初期値に設定することにより変速制御を行う変速制御手段とを備えたものから構成されている。
この構成により、急加速後に急減速を行う場合に、従来のように実際の入力回転数が高回転側に設定された目標入力回転数に一致するように変速比の制御が行われることがない。
具体的には、急加速後に急減速を行う場合に、減速開始時点の目標入力回転数の初期値が高回転側に設定されるため、減速開始後に実際の入力回転数が一時的に高回転側の目標入力回転数に一致するように変速制御が行われ、エンジンブレーキが大きくなる。このため、減速開始時に過渡の減速状態となってしまい、減速をスムーズに行うことができずに、運転者に違和感を与えてしまう。
本発明では、運転者の減速要求があったときに、減速要求の判定開始時点の無段変速機の目標入力回転数と実際の入力回転数とを比較し、目標入力回転数と実際の入力回転数のうち、無段変速機の入力回転数が低くなる側の入力回転数を目標入力回転数の初期値に設定することにより変速制御を行うようにしてので、減速開始時点の目標入力回転数の初期値を低回転側に設定することができる。
このため、減速開始時点の目標入力回転数と実際の入力回転数の大小関係にかかわらずに、実際の入力回転数を速やかに低速側に変位させる変速制御を行うことができる。この結果、減速をスムーズに行うことができ、運転者に違和感を与えてしまうのを防止することができる。
また、本発明に係る無段変速機の変速制御装置は、(1)において、(2)前記変速制御手段は、前記減速要求の判定開始時点の前記目標入力回転数と前記実際の入力回転数との偏差が予め設定された偏差回転数以上の場合に、前記実際の入力回転数に基づいて変速制御を行い、前記減速要求の判定開始時点の前記目標入力回転数と前記実際の入力回転数との偏差が予め設定された偏差回転数未満の場合に、前記目標入力回転数に基づいて変速制御を行うものから構成されている。
この構成により、減速要求の判定開始時点の目標入力回転数と実際の入力回転数との偏差が予め設定された偏差回転数以上の場合に、実際の入力回転数に基づいて変速制御を行うので、減速開始時点の実際の入力回転数を目標入力回転数の初期値にして、目標入力回転数を低回転側に設定することができる。この結果、実際の入力回転数を速やかに低速側に変位させる変速制御を行うことができる。
また、減速要求の判定開始時点の目標入力回転数と実際の入力回転数との偏差が予め設定された偏差回転数未満の場合に、目標入力回転数に基づいて変速制御を行うので、減速開始時点の目標入力回転数の初期値を低回転側に設定することができる。この結果、実際の入力回転数を速やかに低速側に変位させる変速制御を行うことができる。
また、本発明に係る無段変速機の変速制御装置は、(1)(2)において、(3)前記減速要求判定手段が、アクセルペダルの開度を検出するアクセル操作量センサを備え、前記アクセル操作量センサからの検出情報に基づいて減速要求の有無を判定するものから構成されている。
この構成により、アクセルペダルの開度に応じて運転者の変速要求が行われた否かを判定することができるため、運転者の直接的な減速要求を確実に検出することができる。
本発明は、車両の減速時に減速をスムーズに行うことができるようにして運転者に違和感を与えないようにすることができる無段変速機の変速制御装置を提供することができる。
以下、本発明に係る無段変速機の変速制御装置の実施の形態について、図面を用いて説明する。
図1〜図8は本発明に係る無段変速機の変速制御装置の一実施の形態を示す図である。
まず、構成を説明する。図1において、車両に設けられたベルト式無段変速機2を含む動力伝達装置1は、例えば、横置き型FF(フロントエンジン・フロントドライブ)駆動車両に好適に採用されるものであり、内燃機関であるエンジン3を備えている。
エンジン3の出力は、トルクコンバータ4から前後進切換装置5、ベルト式無段変速機(以下、単にCVTという)2、減速歯車6を介して差動歯車装置7に伝達され、左右の駆動輪8L、8Rに分配されるようになっている。すなわち、CVT2はエンジン3から左右の駆動輪(例えば、前輪)8L、8Rに至る動力伝達経路に設けられている。
また、トルクコンバータ4は、エンジン3のクランク軸に連結されたポンプ翼車9pおよびタービン軸10を介して前後進切換装置5に連結されたタービン翼車9tと、一方向クラッチを介して非回転部材に回転可能に支持された固定翼車9sとを備えており、流体を介して動力伝達を行うようになっている。
また、ポンプ翼車9pおよびタービン翼車9tの間には、ポンプ翼車9pおよびタービン翼車9tを一体的に連結して相互に一体回転させることができるようにするためのロックアップクラッチ(直結クラッチ)11が設けられている。
前後進切換装置5は、ダブルピニオン型の遊星歯車装置から構成されており、トルクコンバータ4のタービン軸10はサンギヤ12sに連結され、CVT2の入力軸13はキャリア12cに連結されている。
そして、キャリア12cとサンギヤ12sとの間に配設された前進クラッチ14が係合させられると、前後進切換装置5が一体回転させられてタービン軸10が入力軸13に直結され、前進方向の駆動力が駆動輪8L、8Rに伝達される。
また、リングギヤ12rとハウジング15との間に配設された後進ブレーキ16が係合させられるとともに前進クラッチ14が開放されると、入力軸13はタービン軸10に対して逆回転させられ、後進方向の駆動力が駆動輪8L、8Rに伝達される。
一方、CVT2は、入力軸13に設けられた有効径が可変のプライマリプーリ17と、出力軸18に設けられた有効径が可変のセカンダリプーリ19と、プライマリプーリ17およびセカンダリプーリ19のそれぞれに形成されたV溝に巻き掛けられた伝動ベルト20とを備えており、動力伝達部材として機能する伝動ベルト20にプライマリプーリ17およびセカンダリプーリ19のV溝の内壁面との間の摩擦力を介して動力伝達が行われるようになっている。
具体的には、プライマリプーリ17は互いに対向して対向面によってV溝を形成する可動シーブ17Aと固定シーブ17Bとを備えており、可動シーブ17Aと固定シーブ17BのV溝に伝動ベルト20が巻き掛けられている。
また、セカンダリプーリ19は互いに対向して対向面によってV溝を形成する可動シーブ19Aと固定シーブ19Bとを備えており、可動シーブ19Aと固定シーブ19BのV溝に伝動ベルト20が巻き掛けられている。
プライマリプーリ17およびセカンダリプーリ19はそれぞれのV溝幅、すなわち伝動ベルト20の掛かり径を変更するための可動シーブ17Aに形成された入力側油圧シリンダ17aおよび可動シーブ19Aに形成された出力側油圧シリンダ19aを備えて構成されており、可動シーブ17Aの入力側油圧シリンダ17aに供給、あるいはそれから排出される作動油の流量が油圧制御回路31(図3参照)内の変速制御弁装置32によって制御されることにより、プライマリプーリ17およびセカンダリプーリ19のV溝幅が変化して伝動ベルト20の掛かり径(有効径) が変更され、変速比γ(=実際の入力回転数NIN/実際の出力回転数NOUT)が連続的に変化させられるようになっている。
また、可動シーブ19Aの出力側油圧シリンダ19a内の油圧PBは、セカンダリプーリ19の伝動ベルト20に対する挟圧力および伝動ベルト20の張力にそれぞれ対応するものであって、伝動ベルト20の張力、すなわち、伝動ベルト20のプライマリプーリ17およびセカンダリプーリ19のV溝内壁面に対する押圧力に密接に関係しているので、ベルト張力制御圧、ベルト挟圧力制御圧、ベルト押圧力制御圧とも称され得るものであり、伝動ベルト20が滑りを生じないように、油圧制御回路31内の挟圧力制御弁33により調圧されるようになっている。
図2および図3は油圧制御回路31の一例を示す図であり、図2はベルト張力制御圧の調圧作動に関連する回路、図3は変速比制御に関連する回路をそれぞれ示している。図2 において、オイルタンク34に還流した作動油は、エンジン3に直接的に連結されてエンジン3により回転駆動される、例えば、ギヤ式の油圧ポンプ35により圧送され、図示しないライン圧調圧弁によりライン圧PLに調圧された後、リニアソレノイド弁36および挟圧力制御弁33に元圧として供給される。
リニアソレノイド弁36は、電子制御装置100(図4参照)から出力される励磁電流で連続的に制御されることにより、油圧ポンプ35から供給された作動油の油圧から、その励磁電流に対応した大きさの制御圧PSを発生させて挟圧力制御弁33に供給する。
挟圧力制御弁33は、制御圧PSが高くなるに従って上昇させられる油圧PBを発生させ、可動シーブ19Aの出力側油圧シリンダ19aに供給することにより、伝動ベルト20が滑りを生じない範囲で可及的に伝動ベルト20に対する挟圧力、すなわち、伝動ベルト20の張力が小さくなるようにする。また、油圧PBは、その上昇に伴ってベルト挟圧力、すなわち、プライマリプーリ17およびセカンダリプーリ19と伝動ベルト20との間の摩擦力を増大させる。
リニアソレノイド弁36には、カットバック弁37のオン時にカットバック弁37から出力される制御圧PSが供給される油室36aが設けられる一方、カットバック弁37のオフ時には、リニアソレノイド弁36の油室36aへの制御圧PSの供給が遮断されて油室38aが大気に開放されるようになっており、カットバック弁37のオン時にはオフ時よりも制御圧PSの特性が低圧側に切換えられるようになっている。
また、カットバック弁37は、トルクコンバータ4のロックアップクラッチ11のオン(係合)時に、図示しない電磁弁から信号圧PONが供給されることによりオンに切換えられるようになっている。
図3において、変速制御弁装置32は、ライン圧PLの作動油を専ら可動シーブ17Aの入力側油圧シリンダ17aに供給し、かつその作動油流量を制御することによりアップ方向の変速速度を制御するアップ変速制御弁41および可動シーブ17Aの入力側油圧シリンダ17aから排出される作動油の流量を制御することにより、ダウン方向の変速速度を制御するダウン変速制御弁42から構成されている。
アップ変速制御弁41は、ライン圧PLを導くライン油路Lと連通する入力ポート41aを有し、ライン油路Lと入力側油圧シリンダ17aとの間を開閉するスプール弁43と、スプール弁43を閉弁方向に付勢するスプリング44と、アップ側電磁弁45から出力される制御圧を導く制御油室46とを備えている。
また、ダウン変速制御弁42は、ドレン油路Dと入力側油圧シリンダ17aとの間を開閉するスプール弁47と、スプール弁47を閉弁方向に付勢するスプリング48と、ダウン側電磁弁49から出力される制御圧を導く制御油室50とを備えている。
アップ側電磁弁45およびダウン側電磁弁49は、電子制御装置100によってデューティ駆動されることにより、連続的に変化する制御圧を制御油室46および制御油室50に供給し、CVT2の変速比γをアップ側(変速比の小さくなる側)またはダウン側(変速比の大きくなる側)に連続的に変化させる。
また、ダウン変速制御弁42の入力ポート42aには調圧弁51が接続されている。この調圧弁51は、スプリング53によって押圧されているピストン52の正面側に、ライン圧PLが供給される入力ポート54が形成され、かつピストン52の正面側と背面側とに連通した出力ポート55とを有するバルブから構成されており、出力ポート55がダウン変速制御弁42の入力ポート42aに連通されている。
また、入力ポート54には開口面積の小さいダブルオリフィス56を介してライン圧PLが供給されている。すなわち、調圧弁51は、ライン圧PLからスプリング53の弾性力を減じた圧力の油圧になるようにライン圧PLを調圧し、この調圧されたライン圧PLが出力ポート55、すなわち、ダウン変速制御弁42の入力ポート42aに生じるように構成されている。
図4は、本実施の形態の車両に設けられた電子制御装置100を示している。この電子制御装置100には、シフトレバー操作位置センサ102、アクセル操作量センサ103、エンジン回転数センサ104、スロットルセンサ105、プライマリ回転数センサ106、セカンダリ回転数センサ107、圧力センサ108、挟圧力制御弁33および変速制御弁装置32が接続されている。
シフトレバー操作位置センサ102は、車両の室内に設けられたシフトレバー101の操作位置Pshを検出して操作位置Pshに応じた信号を電子制御装置100に出力するようになっている。
アクセル操作量センサ103は、アクセルペダル63(図1参照)の開度papを検出して、アクセル開度papに応じた信号を電子制御装置100に出力するようになっている。
電子制御装置100はアクセル操作量センサ103から出力されるアクセル開度papに応じた信号に基づいて運転者の減速要求が行われたか否かを判定するようになっており、アクセル開度papに応じた信号が閾値以下のときに減速要求であるものと判定する。本実施の形態では、電子制御装置100およびアクセル操作量センサ103が減速要求判定手段を構成している。
エンジン回転数センサ104は、エンジン3の回転数Neを検出してエンジンの回転数Neに応じた信号を電子制御装置100に出力するようになっている。
スロットルセンサ105は、スロットルアクチュエータ61により駆動されるスロットル弁62(図1参照)の開度θthを検出してスロットル開度θthに応じた信号を電子制御装置100に出力するようになっている。
プライマリ回転数センサ106は、プライマリプーリ17の入力軸13の実際の回転数を検出することにより、プライマリプーリ17の実際の入力回転数NINに応じた信号を電子制御装置100に出力するようになっている。
セカンダリ回転数センサ107は、セカンダリプーリ19の出力軸18の回転数を検出することにより、セカンダリプーリ19の実際の回転数NOUTに応じた信号を電子制御装置100に出力するようになっており、電子制御装置100はセカンダリ回転数センサ107の実出力回転数NOUTに基づいて車速を検出するようになっている。
圧力センサ108は、可動シーブ19Aの出力側油圧シリンダ19aの内圧、すなわち、実際のベルト挟圧力制御圧を検出して油圧信号PBを電子制御装置100に出力するようになっている。
電子制御装置100は、CPU(central processing unit)、ROM(read only memory)RAM(random access memory)、入出力インターフェース等からなるマイクロコンピュータを含んで構成されており、RAMの一時記憶機能を利用しながらROMに予め記憶された変速制御プログラムに従って信号処理を行うことにより、好適な減速感および燃費が得られるようにCVT2の変速制御を実行するようになっている。
図5を参照して、CVT2の変速モードの変速マップに基づいて説明する。図5に示す変速マップは、横軸を車速として、縦軸をプライマリプーリ17の目標入力回転数とし、パラメータをアクセル開度としたマップであり、このマップは電子制御装置100のROMに記憶されている。
図5に示すように、アクセル開度をパラメータとして、CVT2の変速比が最小の状態(γmin)から最大の状態(γmax)までの範囲に、アクセル開度毎に車速とプライマリプーリ17の目標入力回転数NINT(目標値)との関係が規定される。
この変速マップは、アクセル開度と車速とから運転者が必要とする目標エンジン出力を決定し、決定された目標エンジン出力をエンジン3の最適燃費線上で実現できるように決定されたプライマリプーリ17の目標入力回転数NINTであり、アクセル開度が大きくなるに従って変速比が最小の状態から変速比が最大の状態になるように設定されている。
CVT2の変速制御においては、アクセル開度や車速の情報に基づいて、最適な変速比と変速速度とを実現できるように、プライマリプーリ17の目標入力回転数NINTが設定される。
このとき、プライマリプーリ17の目標入力回転数NINTとプライマリ回転数センサ106から得られる実際の入力回転数NINが一致するように、変速制御弁装置32および挟圧力制御弁33に電子制御装置100から制御信号を出力して、変速比の最適化を図り、プライマリ回転数センサ106から得られる実際の入力回転数NINが目標入力回転数NINTになるように制御する。本実施の形態では、電子制御装置100が目標入力回転数設定手段および変速制御手段を構成している。
一方、電子制御装置100は、アクセル操作量センサ103からアクセル開度papを示す信号に基づいて運転者の減速要求に応じた値であるか否かの判定を行う。この減速要求の判定は、アクセル開度papを示す信号が所定の閾値以下の場合、例えば、アクセルペダル63がオフのときに相当する信号が入力したときに運転者の減速要求があるものと判定する。
電子制御装置100は、運転手から減速要求があると、アクセル開度と車速に基づいて、すなわち、車両の運転状態に基づいて運転者が必要とする目標エンジン出力を決定し、決定された目標エンジン出力を図5に示す変速マップに基づいてエンジン3の最適燃費線上で実現できるようにプライマリプーリ17の目標入力回転数NINTを設定する。
そして、アクセルペダル63のオフ時点、すなわち、減速要求の判定開始時点のプライマリプーリ17の目標入力回転数NINTと実際の入力回転数NINとを比較し、目標入力回転数NINTと実際の入力回転数NINのうち、プライマリプーリ17の入力回転数が低くなる側の入力回転数を目標入力回転数NINTの初期値に設定して変速制御を行う。
また、目標入力回転数NINTと実際の入力回転数NINの偏差が設定値以上の場合には、目標入力回転数の初期値を入力回転数NINに設定し、目標入力回転数NINTと実際の入力回転数NINの偏差が設定値未満または同じであれば、目標入力回転数の初期値を目標入力回転数NINTに設定する。
次に、本実施の形態の変速制御処理を図6に示すフローチャートと、図7に示す減速時のプライマリプーリ17の目標入力回転数と実際の入力回転数の推移を示すタイミングチャートとに基づいて説明する。
図6のフローチャートは、電子制御装置100のROMに格納された変速制御プログラムであり、この変速制御プログラムはCPUによって実行される。
まず、減速要求があるか否かを判別する(ステップS1)。この処理では、CPUはアクセル操作量センサ103からの検出情報に基づいてアクセルペダル63がオフになったときに、減速要求があるものと判断する。すなわち、本実施の形態では、アクセルペダル63がオフになったときに減速要求があるものと判定するため、アクセルペダル63のオフになった時点が減速要求の判定開始時点となる。
次いで、車速とアクセル開度papに基づいて、すなわち、車両の運転状態に基づいて目標入力回転数NINTを算出する(ステップS2)。この処理では、電子制御装置100のCPUは、車速とアクセル開度papに基づいて基本目標入力回転数NINCと目標入力回転数NINTを算出する。
具体的には、図5に示す変速マップを用い、アクセル操作量センサ103およびセカンダリ回転数センサ107から出力されるアクセル開度papに応じた信号とその時点の車速信号とに基づいて基本目標入力回転数NINCを設定し、この基本目標入力回転数NINCを1次遅れのなまし処理することにより、目標入力回転数NINTを求める。この目標入力回転数NINTは、次式(1)により算出可能である。
NINT(i)=NINT(i−1)+K1×{NINC(i)− NINT(i−1)}+K2……(1)
但し、(i)は、制御ルーチンの実行周期における(i)番目の周期、すなわち、今回を意味し、(i−1)は前回を意味する。また、上記の式(1)において、「K1」はなまし定数であり、「K2」はフィードバック係数である。
このようにして減速を開始したときに基本目標入力回転数NINCに到達するまで傾きを有する目標入力回転数NINTが設定される。したがって、本実施の形態での基本入力回転数は1次遅れのなまし処理が実施される基本入力回転数NINTである。
次いで、減速開始時の目標入力回転数NINTとプライマリプーリ17の実際の入力回転数NINを比較し(ステップS3)、目標入力回転数NINTと実際の入力回転数NINの偏差回転数が設定値N(Nrpm)以上の場合には目標入力回転数の初期値を入力回転数NINに設定し(ステップS4)、目標入力回転数NINTと実際の入力回転数NINの偏差回転数が設定値N未満または同じであれば、目標入力回転数の初期値を目標入力回転数NINTに設定する(ステップS5)。なお、この初期値とは、減速制御の開始時点(アクセルペダル63のオフ時)の目標入力回転数である。
次に、図7、図8に基づいてプライマリプーリ17の目標入力回転数と実際の入力回転数の推移を説明する。
図7に示すように、アクセルペダル63が一定時間の間だけ所定開度で踏み込まれる加速制御においては、アクセルペダル63が踏み込まれたときに目標入力回転数NINTが高くなるように設定される。
このとき、変速制御弁装置32および挟圧力制御弁33に電子制御装置100から制御信号を出力して、変速比の最適化を図り、プライマリ回転数センサ106から得られるプライマリプーリ17の実際の入力回転数NINが目標入力回転数NINTになるように変速制御が行われる。
次いで、アクセルペダル63がオフになったときに、目標入力回転数NINTが低くなるように設定される。このときに、目標入力回転数NINTと実際の入力回転数NINを比較する。
一定時間の加速制御が行われる場合には、目標入力回転数NINTと実際の入力回転数NINの偏差回転数は設定値Nよりも小さいため、目標入力回転数NINTの初期値を目標入力回転数NINTに設定して変速制御を行う。
一方、図8に示すように、アクセルペダル63が急激に踏み込まれた後、急激に開放される場合には、アクセルペダル63が踏み込まれたときに目標入力回転数NINTが高くなるように設定されるが、実際の入力回転数NINが目標入力回転数NINTに一致する前に減速制御に移行されてしまう。
ところが、減速回転時に目標入力回転数NINTの初期値Yが高く設定されるため、このまま実際の入力回転数NINを目標入力回転数NINTに一致させるように変速制御を行うと、NINAで示すように実際の入力回転数NINAが高くなるような変速制御が行われてしまう。このため、Vで示すように大きなエンジンブレーキが発生して過渡な減速状態になってしまい、運転手に違和感を与えてしまう。
図8では、アクセルペダル63のオフ時の目標入力回転数NINTと実際の入力回転数NINの偏差回転数が設定値N以上であるため、Y1で示すように目標入力回転数NINTの初期値を実際の入力回転数NINに設定する。なお、このときの目標入力回転数NINTの1次遅れのなまし処理は、上記(1)式のなまし定数「K1」を変更すること等によって実行することができる。
このため、急加速後に急減速を行った時点で実際の入力回転数NINAが最適な目標入力回転数NINTに一致するように変速制御が行われる。このため、V1で示すようにスムーズに減速が行われ、運転手に違和感を与えてしまうのを防止することができる。
このように本実施の形態では、アクセルペダル63のオフ時点のプライマリプーリ17の目標入力回転数NINTとプライマリプーリ17の実際の入力回転数NINとを比較し、目標入力回転数NINTと実際の入力回転数NINのうち、プライマリプーリ17の入力回転数が低くなる側の入力回転数を目標入力回転数NINTの初期値に設定するようにしたので、急加速後に急減速を行う場合に、従来のようにプライマリプーリ17の実際の入力回転数NINが高回転側に設定された目標入力回転数NINTに一致するように変速比の制御が行われるのを防止することができる。
このため、減速開始時点の目標入力回転数NINTと実際の入力回転数NINの大小関係にかかわらずに、実際の入力回転数NINを速やかに低速側に変位させる変速制御を行うことができる。この結果、減速開始後に過渡な減速状態になるのを防止して、減速をスムーズに行うことができ、運転者に違和感を与えてしまうのを防止することができる。
また、本実施の形態では、減速要求の開始時点の目標入力回転数NINTと実際の入力回転数NINとの偏差が設定値以上の場合に、実際の入力回転数NINに基づいて変速制御を行うので、減速開始時点の実際の入力回転数を目標入力回転数NINTの初期値にして、目標入力回転数NINTを低回転側に設定することができる。この結果、実際の入力回転数NINを速やかに低速側に変位させる変速制御を行うことができる。
また、減速要求の開始時点の目標入力回転数NINTと実際の入力回転数NINTとの偏差が設定値未満の場合に、目標入力回転数NINTに基づいて変速制御を行うので、減速開始時点の目標入力回転数NINTの初期値を低回転側に設定することができる。この結果、実際の入力回転数NINを速やかに低速側に変位させる変速制御を行うことができる。
また、本実施の形態では、電子制御装置100が、アクセルペダル63の開度を検出するアクセル操作量センサ103からの検出情報に基づいて減速要求の有無を判定するので、アクセルペダル63の開度に応じて運転者の変速要求が行われた否かを判断することができ、運転者の直接的な減速要求を確実に検出することができる。
なお、本実施の形態では、運転者の減速要求を判定する手段として、アクセル操作量センサ103によってアクセルペダル63の開度papを検出し、アクセルペダル63がオフになったときに減速要求があったものと判定しているが、これに限らず、スロットルセンサ105によってスロットル弁62の開度θthを検出し、スロットル弁62が全閉状態になったときに減速要求と判定するようにしても良い。
また、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であってこの実施の形態に制限されるものではない。本発明の範囲は上記した実施の形態のみの説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
以上のように、本発明に係る無段変速機の変速制御装置は、車両の減速時に減速をスムーズに行うことができるようにして運転者に違和感を与えないようにすることができるという効果を有し、CVT等のベルト式の無段変速機の変速制御装置等として有用である。
本発明に係る無段変速機の変速制御装置の一実施の形態を示す図であり、無段変速機を備えた車両用動力伝達装置の概略構成図である。 本発明に係る無段変速機の変速制御装置の一実施の形態の油圧制御回路を示す図であり、ベルト張力制御に関連する部分を示す図である。 本発明に係る無段変速機の変速制御装置の一実施の形態の油圧制御回路を示す図であり、変速比制御に関連する部分を示す図である。 本発明に係る無段変速機の変速制御装置の一実施の形態の回路構成を示す図である。 本発明に係る無段変速機の変速制御装置の一実施の形態の変速マップを示す図である。 本発明に係る無段変速機の変速制御装置の一実施の形態の変速制御処理のフローチャートを示す図である。 本発明に係る無段変速機の変速制御装置の一実施の形態の通常の加速減速時の目標入力回転数と実際の入力回転数の推移を示すタイミングチャートである。 本発明に係る無段変速機の変速制御装置の一実施の形態の急加速・急減速時の目標入力回転数と実際の入力回転数の推移を示すタイミングチャートである。
符号の説明
2 CVT(無段変速機)
3 エンジン(内燃機関)
100 電子制御装置(減速要求判定手段、目標入力回転数設定手段、変速制御手段)
103 アクセル操作量センサ(減速要求判定手段)

Claims (3)

  1. 車両の運転条件に基づいて内燃機関に接続された無段変速機の目標入力回転数を設定し、前記目標入力回転数に前記無段変速機の実際の入力回転数を一致させるように無段変速機の変速比を制御するようにした無段変速機の変速制御装置において、
    前記運転者の減速要求を判定する減速要求判定手段と、
    前記減速要求判定手段によって減速要求と判定されたときに、車両の運転条件に基づいて目標入力回転数を設定する目標入力回転数設定手段と、
    前記減速要求の判定開始時点の前記無段変速機の目標入力回転数と実際の入力回転数とを比較し、前記目標入力回転数と前記実際の入力回転数のうち、前記無段変速機の入力回転数が低くなる側の入力回転数を目標入力回転数の初期値に設定することにより変速制御を行う変速制御手段とを備えたことを特徴とする無段変速機の変速制御装置。
  2. 前記変速制御手段は、前記減速要求の判定開始時点の目標入力回転数と実際の入力回転数との偏差が予め設定された偏差回転数以上の場合に、前記実際の入力回転数に基づいて変速制御を行い、
    前記減速要求の判定開始時点の前記目標入力回転数と前記実際の入力回転数との偏差が予め設定された偏差回転数未満の場合に、前記目標入力回転数に基づいて変速制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の無段変速機の変速制御装置。
  3. 前記減速要求判定手段が、アクセルペダルの開度を検出するアクセル操作量センサを備え、前記アクセル操作量センサからの検出情報に基づいて減速要求の有無を判定することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の無段変速機の変速制御装置。
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