JP2020128767A - 車両の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】無段変速機におけるベルト滑りによる変動幅が小さな振動に起因した車両振動やノイズを抑制する。【解決手段】出力軸回転速度Noutの変動が発生しているときに、変動幅が所定量以下となる出力軸回転速度Noutの変動が連続して発生している状態で出力軸回転速度Noutの変動周期が所定の時間以上変化していない場合には、ベルト挟圧力が高くされるので、変動幅が所定量以下となる出力軸回転速度Noutの変動が連続して発生している状態が持続することすなわち自励振動が抑制される。これにより、変動幅が所定量以下でも出力軸回転速度Noutの変動が連続して発生している状態が変動周期の変化無く持続しているときに顕在化する可能性がある車両振動やノイズを抑制することができる。つまり、無段変速機28におけるベルト滑りによる変動幅が小さな振動に起因した車両振動やノイズを抑制することができる。【選択図】図3
Description
本発明は、ベルト式の無段変速機を備えた車両の制御装置に関するものである。
動力源と駆動輪との間の動力伝達経路の一部を構成すると共に、各々アクチュエータにより付与される推力によって固定シーブと可動シーブとの間の溝幅が変更させられるプライマリプーリ及びセカンダリプーリと、前記プライマリプーリと前記セカンダリプーリとに巻き掛けられた伝動ベルトとを有する無段変速機を備えた車両の制御装置が良く知られている。例えば、特許文献1に記載された車両の制御装置がそれである。この特許文献1には、ベルト挟圧力の変動の振幅が閾値以上となる時間が所定時間以上継続していると、ベルトに振動が発生していると判断して、ベルト振動を回避する為の挟圧力制御を実行することが開示されている。
ところで、変動の振幅が比較的小さなベルト振動であっても、それが継続して発生してしまうとドライバビリティの悪化につながるおそれがある。例えば、ベルト式の無段変速機の構造上ゼロにすることが難しい、ベルトとシーブとの間で発生している伝達損失となるミクロスリップという現象がある。このミクロスリップ自体は問題となり難い。しかしながら、このミクロスリップによる振動が持続すると、小さな変動幅であっても、無段変速機の出力トルクが振動し、車両振動やノイズとして顕在化する可能性がある。車両振動やノイズは、ドライバビリティの悪化につながるおそれがある。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、無段変速機におけるベルト滑りによる変動幅が小さな振動に起因した車両振動やノイズを抑制することができる車両の制御装置を提供することにある。
第1の発明の要旨とするところは、(a)動力源と駆動輪との間の動力伝達経路の一部を構成すると共に、各々アクチュエータにより付与される推力によって固定シーブと可動シーブとの間の溝幅が変更させられるプライマリプーリ及びセカンダリプーリと、前記プライマリプーリと前記セカンダリプーリとに巻き掛けられた伝動ベルトとを有する無段変速機を備えた車両の、制御装置であって、(b)前記セカンダリプーリの回転速度の変動が発生しているときに、変動幅が所定量以下となる前記回転速度の変動が連続して発生している状態で前記回転速度の変動周期が所定の時間以上変化していない場合には、前記伝動ベルトを挟むベルト挟圧力を高くする変速機制御部を、含むことにある。
前記第1の発明によれば、セカンダリプーリの回転速度の変動が発生しているときに、変動幅が所定量以下となる回転速度の変動が連続して発生している状態で回転速度の変動周期が所定の時間以上変化していない場合には、ベルト挟圧力が高くされるので、変動幅が所定量以下となる回転速度の変動が連続して発生している状態が持続することが抑制される。これにより、変動幅が所定量以下でも回転速度の変動が連続して発生している状態が変動周期の変化無く持続しているときに顕在化する可能性がある車両振動やノイズを抑制することができる。つまり、無段変速機におけるベルト滑りによる変動幅が小さな振動に起因した車両振動やノイズを抑制することができる。
本発明の実施形態において、前記アクチュエータは油圧アクチュエータであり、前記車両は前記油圧アクチュエータに供給される作動油圧としてのプーリ油圧を制御する油圧制御回路を備える。この油圧制御回路は、例えば前記油圧アクチュエータへの作動油の流量を制御することにより結果的にプーリ油圧を生じるように構成されても良い。このような油圧制御回路により、前記プライマリプーリ及び前記セカンダリプーリにおける各推力(=プーリ油圧×受圧面積)が各々制御されることで、前記伝動ベルトの滑りを防止しつつ目標の変速が実現されるように変速制御が実行される。前記伝動ベルトは、無端環状のフープと、そのフープに沿って厚さ方向に多数連ねられた厚肉板片状のブロックであるエレメントとを有する無端環状の圧縮式の伝動ベルトなどである。前記無段変速機は、例えば公知のプッシュベルト式の無段変速機である。
また、前記無段変速機などにおける変速比は、「入力側の回転部材の回転速度/出力側の回転部材の回転速度」である。例えば、前記無段変速機の変速比は、「プライマリプーリの回転速度/セカンダリプーリの回転速度」である。変速比におけるハイ側は、変速比が小さくなる側である高車速側である。変速比におけるロー側は、変速比が大きくなる側である低車速側である。例えば、最ロー側変速比は、最も低車速側となる最低車速側の変速比であり、変速比が最も大きな値となる最大変速比である。
また、前記動力源は、例えば燃料の燃焼によって動力を発生するガソリンエンジンやディーゼルエンジン等のエンジンである。又、前記車両は、前記動力源として、このエンジンに加えて、又は、このエンジンに替えて、電動機等を備えていても良い。
以下、本発明の実施例を図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明が適用される車両10の概略構成を説明する図であると共に、車両10における各種制御の為の制御機能及び制御系統の要部を説明する図である。図1において、車両10は、動力源として機能するエンジン12と、駆動輪14と、エンジン12と駆動輪14との間の動力伝達経路に設けられた動力伝達装置16とを備えている。
動力伝達装置16は、非回転部材としてのケース18内において、エンジン12に連結された流体式伝動装置としての公知のトルクコンバータ20、トルクコンバータ20に連結されたタービン軸22、タービン軸22に連結された前後進切替装置24、前後進切替装置24に連結された入力軸26、入力軸26に連結されたベルト式の無段変速機28、無段変速機28に連結された出力軸30、減速歯車装置32、差動歯車装置34等を備えている。このように構成された動力伝達装置16において、エンジン12から出力される動力は、トルクコンバータ20、前後進切替装置24、無段変速機28、減速歯車装置32、差動歯車装置34等を順次介して、左右の駆動輪14へ伝達される。前記動力は、特に区別しない場合にはトルクや力も同意である。
エンジン12は、電子スロットル装置や燃料噴射装置や点火装置などのエンジン12の出力制御に必要な種々の機器を有するエンジン制御装置36を備えている。エンジン12は、後述する電子制御装置90によって、運転者による車両10に対する駆動要求量に対応するアクセルペダルの操作量であるアクセル操作量θaccに応じてエンジン制御装置36が制御されることで、エンジン12の出力トルクであるエンジントルクTeが制御される。
トルクコンバータ20は、エンジン12に連結されたポンプ翼車20p、及びタービン軸22に連結されたタービン翼車20tを備えている。又、トルクコンバータ20には、ポンプ翼車20p及びタービン翼車20tの間すなわちトルクコンバータ20の入出力回転部材間を直結可能な公知のロックアップクラッチLUが設けられている。
動力伝達装置16は、ポンプ翼車20pに連結された機械式のオイルポンプ38を備えている。オイルポンプ38は、エンジン12により回転駆動されることにより、無段変速機28を変速制御したり、無段変速機28におけるベルト挟圧力を発生させたり、後述する前進用クラッチC1及び後進用ブレーキB1の各々の係合状態や解放状態などの作動状態を切り替えたり、ロックアップクラッチLUの作動状態を切り替えたりする為の油圧の元圧となる作動油を、車両10に備えられた油圧制御回路40へ供給する。
前後進切替装置24は、ダブルピニオン型の遊星歯車装置24p、前進用クラッチC1、及び後進用ブレーキB1を備えている。遊星歯車装置24pは、サンギヤ24s、キャリア24c、及びリングギヤ24rの3つの回転要素を有する差動機構である。サンギヤ24sは、タービン軸22に連結されている。キャリア24cは、入力軸26に連結されている。リングギヤ24rは、後進用ブレーキB1を介してケース18に選択的に連結される。キャリア24cとサンギヤ24sとは、前進用クラッチC1を介して選択的に連結される。前進用クラッチC1及び後進用ブレーキB1は何れも、各々の油圧アクチュエータによって摩擦係合させられる公知の油圧式の湿式の摩擦係合装置である。前進用クラッチC1及び後進用ブレーキB1は、各々、油圧制御回路40により調圧された油圧である制御圧が油圧アクチュエータへ供給されることにより作動状態が切り替えられる。このように構成された前後進切替装置24では、前進用クラッチC1が係合されると共に後進用ブレーキB1が解放されると、動力伝達装置16において前進用の動力伝達経路が形成される。又、後進用ブレーキB1が係合されると共に前進用クラッチC1が解放されると、動力伝達装置16において後進用の動力伝達経路が形成される。又、前進用クラッチC1及び後進用ブレーキB1が共に解放されると、動力伝達装置16は動力伝達が不能なニュートラル状態とされる。
無段変速機28は、入力軸26に連結された有効径が可変のプライマリプーリ50と、出力軸30に連結された有効径が可変のセカンダリプーリ52と、それら各プーリ50,52に巻き掛けられた伝達要素としての伝動ベルト54とを備えている。無段変速機28は、各プーリ50,52と伝動ベルト54との間の摩擦力を介して動力伝達が行われ、エンジン12の動力を駆動輪14側へ伝達する。このように、無段変速機28は、エンジン12と駆動輪14との間の動力伝達経路の一部を構成する。前記摩擦力は、各プーリ50,52が伝動ベルト54を挟む圧力である挟圧力も同意であり、ベルト挟圧力ともいう。このベルト挟圧力は、無段変速機28における伝動ベルト54のトルク容量であるベルトトルク容量Tcvtである。
プライマリプーリ50は、入力軸26に連結された固定シーブ50aと、固定シーブ50aに対して入力軸26の軸心回りの相対回転不能且つ軸心方向の移動可能に設けられた可動シーブ50bと、可動シーブ50bに対してプライマリ推力Winを付与するアクチュエータとしての油圧アクチュエータ50cとを備えている。プライマリ推力Winは、固定シーブ50aと可動シーブ50bとの間のV溝幅を変更する為のプライマリプーリ50の推力(=プライマリ圧Pin×受圧面積)である。つまり、プライマリ推力Winは、油圧アクチュエータ50cによって付与される伝動ベルト54を挟圧するプライマリプーリ50の推力である。プライマリ圧Pinは、油圧制御回路40によって油圧アクチュエータ50cへ供給される油圧であり、プライマリ推力Winを生じさせるプーリ油圧である。又、セカンダリプーリ52は、出力軸30に連結された固定シーブ52aと、固定シーブ52aに対して出力軸30の軸心回りの相対回転不能且つ軸心方向の移動可能に設けられた可動シーブ52bと、可動シーブ52bに対してセカンダリ推力Woutを付与するアクチュエータとしての油圧アクチュエータ52cとを備えている。セカンダリ推力Woutは、固定シーブ52aと可動シーブ52bとの間のV溝幅を変更する為のセカンダリプーリ52の推力(=セカンダリ圧Pout×受圧面積)である。つまり、セカンダリ推力Woutは、油圧アクチュエータ52cによって付与される伝動ベルト54を挟圧するセカンダリプーリ52の推力である。セカンダリ圧Poutは、油圧制御回路40によって油圧アクチュエータ52cへ供給される油圧であり、セカンダリ推力Woutを生じさせるプーリ油圧である。
無段変速機28では、後述する電子制御装置90により駆動される油圧制御回路40によってプライマリ圧Pin及びセカンダリ圧Poutが各々調圧制御されることにより、プライマリ推力Win及びセカンダリ推力Woutが各々制御される。これにより、無段変速機28では、各プーリ50,52のV溝幅が変化して伝動ベルト54の掛かり径(=有効径)が変更され、変速比γ(=入力軸回転速度Nin/出力軸回転速度Nout)が変化させられると共に、伝動ベルト54が滑りを生じないようにベルト挟圧力が制御される。つまり、プライマリ推力Win及びセカンダリ推力Woutが各々制御されることで、各プーリ50,52と伝動ベルト54との間での滑りであるベルト滑りが防止されつつ無段変速機28の変速比γが目標変速比γtgtとされる。尚、入力軸回転速度Ninは、入力軸26の回転速度であり、プライマリプーリ50の回転速度と同意である。又、出力軸回転速度Noutは、出力軸30の回転速度であり、セカンダリプーリ52の回転速度と同意である。
無段変速機28では、プライマリ圧Pinが高められると、プライマリプーリ50のV溝幅が狭くされて変速比γが小さくされる。変速比γが小さくされることは、無段変速機28がアップシフトされることである。一方で、無段変速機28では、プライマリ圧Pinが低められると、プライマリプーリ50のV溝幅が広くされて変速比γが大きくされる。変速比γが大きくされることは、無段変速機28がダウンシフトされることである。尚、無段変速機28では、プライマリ推力Winとセカンダリ推力Woutとによりベルト滑りが防止されつつ、プライマリ推力Winとセカンダリ推力Woutとの相互関係にて目標変速比γtgtが実現されるものであり、一方の推力のみで目標の変速が実現されるものではない。プライマリ圧Pinとセカンダリ圧Poutとの相互関係で、プライマリ推力Winとセカンダリ推力Woutとの比の値である推力比τ(=Wout/Win)が変更されることにより無段変速機28の変速比γが変更される。推力比τは、セカンダリ推力Woutのプライマリ推力Winに対する比の値である。例えば、推力比τが大きくされる程、変速比γが大きくされる、すなわち無段変速機28はダウンシフトされる。
車両10は、エンジン12、無段変速機28などの制御に関連する車両10の制御装置を含むコントローラとしての電子制御装置90を備えている。電子制御装置90は、例えばCPU、RAM、ROM、入出力インターフェース等を備えた所謂マイクロコンピュータを含んで構成されており、CPUはRAMの一時記憶機能を利用しつつ予めROMに記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことにより車両10の各種制御を実行する。電子制御装置90は、エンジン12の出力制御、無段変速機28の変速制御やベルト挟圧力制御、係合装置(C1,B1,LU)の各々の作動状態を切り替える油圧制御等を実行する。電子制御装置90は、必要に応じてエンジン制御用、油圧制御用等に分けて構成される。
電子制御装置90には、車両10に備えられた各種センサ等(例えば各種回転速度センサ60,62,64,66、アクセル操作量センサ68、スロットル開度センサ69など)による検出値に基づく各種信号等(例えばエンジン12の回転速度であるエンジン回転速度Ne、タービン軸22の回転速度であるタービン回転速度Nt、入力軸回転速度Nin、車速Vに対応する出力軸回転速度Nout、運転者の加速操作の大きさを表すアクセル操作量θacc、スロットル開度tapなど)が、それぞれ供給される。入力軸回転速度Ninや出力軸回転速度Noutを検出する回転速度センサ64,66としては、例えば良く知られた電磁ピックアップ式の回転速度センサ等が用いられる。又、電子制御装置90からは、車両10に備えられた各装置(例えばエンジン制御装置36、油圧制御回路40など)に各種指令信号(例えばエンジン12を制御する為のエンジン制御指令信号Se、無段変速機28の変速やベルト挟圧力等を制御する為のCVT油圧制御指令信号Scvt、前進用クラッチC1や後進用ブレーキB1の各々の作動状態を制御する為のCB油圧制御指令信号Scb、ロックアップクラッチLUの作動状態を制御する為のLU油圧制御指令信号Sluなど)が、それぞれ出力される。
図2は、車両10に備えられた、無段変速機28、ロックアップクラッチLU、前進用クラッチC1、及び後進用ブレーキB1に関わる作動を制御する油圧システム70の一例を示す図である。図2において、油圧システム70は、油圧制御回路40、オイルポンプ38、オイルパン72、ストレーナ74、吐出油路76などを備えている。
オイルポンプ38は、ケース18の下部に設けられたオイルパン72に還流した作動油を、ストレーナ74から吸い上げて吐出油路76へ吐出する。吐出油路76は、油圧制御回路40内の油路、例えばライン圧PLが流通するライン圧油路78に連結されている。
油圧制御回路40は、オイルポンプ38から吐出される油圧を元圧としてライン圧PLを調圧するレギュレータ弁80、ライン圧PLを元圧として無段変速機28の変速作動及びベルト挟圧力を制御するCVT油圧制御系82、ライン圧PLを元圧としてロックアップクラッチLUの作動状態を制御するLU油圧制御系84、ライン圧PLを元圧として前進用クラッチC1及び後進用ブレーキB1の各作動状態を制御するC1/B1油圧制御系86などを備えている。
CVT油圧制御系82は、例えば油圧アクチュエータ50cへ供給するプライマリ圧Pinを調圧するコントロール弁やそのコントロール弁を作動させる電磁弁、油圧アクチュエータ52cへ供給するセカンダリ圧Poutを調圧するコントロール弁やそのコントロール弁を作動させる電磁弁等を備えている。LU油圧制御系84は、例えばロックアップクラッチLUの作動状態を切り替える為の切替弁、ロックアップクラッチLUへ供給するLUクラッチ圧Pluを調圧するコントロール弁、それらの切替弁及びコントロール弁を作動させる1つ又は複数の電磁弁等を備えている。C1/B1油圧制御系86は、例えば前進用クラッチC1へ供給するC1クラッチ圧Pc1を調圧制御して出力する電磁弁、後進用ブレーキB1へ供給するB1ブレーキ圧Pb1を調圧制御して出力する電磁弁等を備えている。
図1に戻り、電子制御装置90は、車両10における各種制御を実現する為に、エンジン制御手段すなわちエンジン制御部92、及び変速機制御手段すなわち変速機制御部94を備えている。
エンジン制御部92は、要求されたエンジントルクTeが得られるようにエンジン制御装置36を制御する。具体的には、エンジン制御部92は、予め実験的に或いは設計的に求められて記憶された関係すなわち予め定められた関係である例えば駆動力マップにアクセル操作量θacc及び車速Vを適用することで要求駆動トルクTdemを算出する。エンジン制御部92は、無段変速機28の変速比γを考慮して、その要求駆動トルクTdemを実現するエンジントルクTeが得られるようにエンジン12を制御するエンジン制御指令信号Seをエンジン制御装置36へ出力する。
変速機制御部94は、無段変速機28のベルト滑りが発生しないようにしつつ無段変速機28の目標変速比γtgtを達成するように、無段変速機28の変速比γ及びベルト挟圧力を制御する。具体的には、変速機制御部94は、予め定められた関係である例えば変速マップやベルト挟圧力マップにアクセル操作量θacc及び車速Vを適用することで、無段変速機28のベルト滑りが発生しないようにしつつエンジン12の動作点が所定の最適ライン例えばエンジン最適燃費線上となる無段変速機28の目標変速比γtgtを達成する為の目標プライマリ推力Wintgt及び目標セカンダリ推力Wouttgtを算出する。変速機制御部94は、目標プライマリ推力Wintgt及び目標セカンダリ推力Wouttgtを実現する目標プライマリ圧Pintgt及び目標セカンダリ圧Pouttgtが得られるように、プライマリ圧Pin及びセカンダリ圧Poutを制御するCVT油圧制御指令信号Scvtを油圧制御回路40へ出力する。
ここで、無段変速機28では、ベルト滑りによる変動幅例えばベルト滑りに伴う出力軸回転速度Noutの変動における変動幅が小さなミクロスリップが発生する場合がある。このミクロスリップは、伝動ベルト54と各プーリ50,52との間で発生している伝達損失となるものであり、ベルト式の無段変速機28の構造上ゼロにすることが難しい。ミクロスリップが連続的に発生すると振動となり、この振動が持続する自励振動が発生すると、この自励振動に起因して発生する車両振動やノイズが問題となってくる。つまり、ミクロスリップ自体は問題ではなく、ミクロスリップによる振動が持続することで、無段変速機28の出力トルクToutが振動し、車両振動やノイズが発生するNV現象として顕在化することが問題である。無段変速機28におけるベルト滑りによる変動幅が小さな振動であるミクロスリップによる振動が持続することを抑制して、すなわち自励振動を抑制して、ミクロスリップによる振動に起因した車両振動やノイズを抑制することが望まれる。無段変速機28における自励振動は、伝動ベルト54と各プーリ50,52との間のスティックスリップによる振動である。
具体的には、電子制御装置90は、上述したようなミクロスリップによる振動に起因した車両振動やノイズを抑制するという制御機能を実現する為に、更に、状態判定手段すなわち状態判定部96を備えている。
状態判定部96は、回転速度センサ66による検出値に基づく出力軸回転速度Noutを走行中に常時取得する。状態判定部96は、無段変速機28のベルト滑りが発生したか否かを判定する。つまり、状態判定部96は、出力軸回転速度Noutの変動が発生したか否かを判定する。例えば、状態判定部96は、出力軸回転速度Noutを所定のアルゴリズムで解析し、解析したデータに基づいて出力軸回転速度Noutの変動が発生しているか否かを判定する。
状態判定部96は、出力軸回転速度Noutの変動が発生していると判定した場合には、発生した出力軸回転速度Noutの変動がミクロスリップかマクロスリップかを判定する。例えば、状態判定部96は、発生した出力軸回転速度Noutの変動における変動幅が所定の変動幅以下であるか否か、すなわち出力軸回転速度Noutの変動幅が所定量以下であるか否かを判定することで、発生した出力軸回転速度Noutの変動がミクロスリップであるか否かを判定する。上記所定の変動幅や上記所定量は、例えば発生した出力軸回転速度Noutの変動における変動幅がミクロスリップに対応した小さな変動幅であることを判定する為の予め定められた閾値である。
状態判定部96は、発生した出力軸回転速度Noutの変動がミクロスリップであると判定した場合には、ミクロスリップが連続的に発生しているか否か、すなわちミクロスリップによる振動が発生しているか否かを判定する。つまり、状態判定部96は、変動幅が所定量以下となる出力軸回転速度Noutの変動が連続して発生しているか否かを判定する。
状態判定部96は、変動幅が所定量以下となる出力軸回転速度Noutの変動が連続して発生していると判定した場合には、そのような変動が連続して発生している状態で出力軸回転速度Noutの変動周期が所定の時間以上変化していないか否かを判定することで、ミクロスリップによる振動が自励振動であるか否か、すなわち自励振動が発生しているか否かを判定する。上記所定の時間は、例えばミクロスリップによる振動を自励振動と判定する為の予め定められた閾値である。尚、出力軸回転速度Noutの変動周期が変化していないということには、変動周期が一定又は略一定で変化していないことの他に、変動周期の変化量が予め定められた所定変化量の範囲内に収まっていることも含んでいる。
変速機制御部94は、状態判定部96により自励振動が発生していると判定された場合には、自励振動を抑制するように、無段変速機28のベルト挟圧力を高くする。例えば、変速機制御部94は、ベルト挟圧力を高くするように、プーリ油圧を現時点よりも所定圧増大する油圧アップ制御を実行するCVT油圧制御指令信号Scvtを油圧制御回路40へ出力する。変速機制御部94は、状態判定部96により自励振動が発生していないと判定されるまで、この油圧アップ制御を繰り返し実行する。上記所定圧は、例えば自励振動の発生時にベルト挟圧力を漸増させる為の予め定められたプーリ油圧の増大分である。
図3は、電子制御装置90の制御作動の要部すなわち無段変速機28におけるミクロスリップによる振動に起因した車両振動やノイズを抑制する為の制御作動を説明するフローチャートであり、例えば車両10の走行中に繰り返し実行される。
図3において、先ず、状態判定部96の機能に対応するステップ(以下、ステップを省略する)S10において、回転速度センサ66による検出値に基づく出力軸回転速度Noutが走行中に常時取得される。次いで、状態判定部96の機能に対応するS20において、出力軸回転速度Noutの変動が発生しているか否かが判定される。このS20の判断が否定される場合は、本ルーチンが終了させられる。このS20の判断が肯定される場合は状態判定部96の機能に対応するS30において、出力軸回転速度Noutの変動幅が所定量以下であるか否かが判定される。出力軸回転速度Noutの変動幅が所定量以下である場合、ミクロスリップと判定される。このS30の判断が否定される場合は、本ルーチンが終了させられる。このS30の判断が肯定される場合は状態判定部96の機能に対応するS40において、出力軸回転速度Noutの変動が連続して発生しているか否かが判定される。出力軸回転速度Noutの変動が連続して発生している場合、つまりミクロスリップが連続的に発生している場合、ミクロスリップによる振動が発生していると判定される。このS40の判断が否定される場合は、本ルーチンが終了させられる。このS40の判断が肯定される場合は状態判定部96の機能に対応するS50において、出力軸回転速度Noutの変動周期が所定の時間以上変化していないか否かが判定される。発生している出力軸回転速度Noutの変動の周期が所定の時間変化しない場合、ミクロスリップによる振動が自励振動であると判定される。このS50の判断が否定される場合は、本ルーチンが終了させられる。このS50の判断が肯定される場合は変速機制御部94の機能に対応するS60において、自励振動を抑制する為に無段変速機28のベルト挟圧力が高くされる。
上述のように、本実施例によれば、出力軸回転速度Noutの変動が発生しているときに、変動幅が所定量以下となる出力軸回転速度Noutの変動が連続して発生している状態で出力軸回転速度Noutの変動周期が所定の時間以上変化していない場合には、ベルト挟圧力が高くされるので、変動幅が所定量以下となる出力軸回転速度Noutの変動が連続して発生している状態が持続することすなわち自励振動が抑制される。これにより、変動幅が所定量以下でも出力軸回転速度Noutの変動が連続して発生している状態が変動周期の変化無く持続しているときに顕在化する可能性がある車両振動やノイズを抑制することができる。つまり、無段変速機28におけるベルト滑りによる変動幅が小さな振動に起因した車両振動やノイズを抑制することができる。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
また、動力源と駆動輪との間の動力伝達経路にギヤ機構を介した第1動力伝達経路とベルト式の無段変速機を介した第2動力伝達経路との複数の動力伝達経路が並列に設けられた自動変速機を備えた車両などにも本発明を適用することができる。要は、動力源と駆動輪との間の動力伝達経路の一部を構成するベルト式の無段変速機を備えた車両であれば本発明を適用することができる。
尚、上述したのはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
10:車両
12:エンジン(動力源)
14:駆動輪
28:無段変速機
50:プライマリプーリ
50a:固定シーブ
50b:可動シーブ
50c:油圧アクチュエータ(アクチュエータ)
52:セカンダリプーリ
52a:固定シーブ
52b:可動シーブ
52c:油圧アクチュエータ(アクチュエータ)
54:伝動ベルト
90:電子制御装置(制御装置)
94:変速機制御部
12:エンジン(動力源)
14:駆動輪
28:無段変速機
50:プライマリプーリ
50a:固定シーブ
50b:可動シーブ
50c:油圧アクチュエータ(アクチュエータ)
52:セカンダリプーリ
52a:固定シーブ
52b:可動シーブ
52c:油圧アクチュエータ(アクチュエータ)
54:伝動ベルト
90:電子制御装置(制御装置)
94:変速機制御部
Claims (1)
- 動力源と駆動輪との間の動力伝達経路の一部を構成すると共に、各々アクチュエータにより付与される推力によって固定シーブと可動シーブとの間の溝幅が変更させられるプライマリプーリ及びセカンダリプーリと、前記プライマリプーリと前記セカンダリプーリとに巻き掛けられた伝動ベルトとを有する無段変速機を備えた車両の、制御装置であって、
前記セカンダリプーリの回転速度の変動が発生しているときに、変動幅が所定量以下となる前記回転速度の変動が連続して発生している状態で前記回転速度の変動周期が所定の時間以上変化していない場合には、前記伝動ベルトを挟むベルト挟圧力を高くする変速機制御部を、含むことを特徴とする車両の制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019021065A JP2020128767A (ja) | 2019-02-07 | 2019-02-07 | 車両の制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019021065A JP2020128767A (ja) | 2019-02-07 | 2019-02-07 | 車両の制御装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2020128767A true JP2020128767A (ja) | 2020-08-27 |
Family
ID=72174338
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2019021065A Pending JP2020128767A (ja) | 2019-02-07 | 2019-02-07 | 車両の制御装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2020128767A (ja) |
-
2019
- 2019-02-07 JP JP2019021065A patent/JP2020128767A/ja active Pending
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