JP2008214915A - 薄板材の高力ボルト接合構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】薄板材11、12の接合部を挟み込んで相対する、傾斜面を形成した座金5、51の凸部と凹部間、または傾斜面を形成した高力ボルト頭部の凸部と座金または座金を兼ねる接合金物の凹部との間で、挟み込んだ薄板材11、12の接合部を、高力ボルト・ナットによる締結力で押し込んで変形薄板材に面外方向の変形部分11s、12sを作り、一方で、薄板材11、12の面外方向の移動を座金5、51や高力ボルト3や接合金物により拘束することで接合部耐力を強化する高力ボルト接合構造と、この接合構造で使用する高力ボルト、座金。
【選択図】図3
Description
例えば、厚板材と厚板材を接合対象とする場合では、図30に示すように、ボルト孔1oを設けた厚板材1a、1bを隙間eを設けて突き合わせるように配置し、この厚板材1a、1bの接合部に跨がって、その両側からボルト孔2oを設けた添板2a、2bを当接して、厚板材1a、1bを添板2a、2bのボルト孔2oに挿通した高力ボルト3・ナット4で締結する接合構造が多く用いられている。
このような厚板材の高力ボルト接合構造での接合耐力は、高力ボルトの軸部の剪断力に頼らず、高力ボルトに強い締め付け力を与え、厚板材1a、1bと添板2a、2b間の接触面に高い摩擦力を生じさせることによって得られる。そのため、摩擦面で高い摩擦係数を得るために、厚板材1a、1b、添板2a、2bの摩擦面に対して、赤錆を発生させたり、ブラスト処理で粗くしたり、化成処理を行ったり、あるいは添板2a、2bと厚板材1a、1b間に隙間調整に用いられるフィラーに微小凹凸を設けるなど、すべり係数(接合部のすべり耐力をボルトに導入した張力で除した値)の設計の基準(現在、建築の分野では0.45、橋梁の分野では0.4)を十分に満足させるための対策が講じられている。
支圧接合では、ボルト孔とボルトは施工時には接触しておらず(接触するとボルト孔にボルトの挿入が困難)、薄板材のボルト孔の縁とボルト軸部が接触して初めて応力が伝達されるため、接合部を加力した場合、すぐに、すべりが生じる。また、このすべりの量を減らすため、ボルト孔径を摩擦接合の場合より小さくしており、これにより接合位置の微調整がしにくくなる。
従来、この対策として、例えば図31(a)に示すように、薄板材11、12を重ね合せて、重ね合せ部を多数のネジ10を用いて締結して、支圧耐力を強化するようにした接合構造や、図31(b)に示すように、例えば耐力壁を形成する場合で、2本の薄板軽量形鋼(C形鋼)111、112のウェブ11uの背面を合わせ接合部材12の接合部12aに多数のネジ10を用いて締結した接合構造がある。また、薄板軽量形鋼を接合する場合で、フランジやウェブを添板と多数のネジを用いて締結する接合構造(図示省略)などもある。これらの接合構造では、いずれも先孔をあける必要がないため、すべりのない接合部が実現できる。しかし、これらの接合構造では、いずれも多数のネジを用いるため、接合作業負担が大きく、施工工期も長くなるという問題がある。
(1)請求項1に係わる発明は、重ね合わせた薄板材の接合部を一対の座金間に挟み込んで高力ボルト・ナットにより締結する薄板材の高力ボルト接合構造であって、一方の座金に傾斜面を有する凸部を形成し、他方の座金に一方の座金の凸部の傾斜面に相対する傾斜面を有する凹部を形成しておき、高力ボルト・ナットで締結する過程の締付力で、重ね合わせた薄板材の接合部を一対の座金の凸部と凹部間で押圧して変形させて薄板材に面外方向の変形部分を形成し締結することを特徴とする薄板材の高力ボルト接合構造である。
(2)請求項2に係わる発明は、重ね合わせた薄板材の接合部を高力ボルト頭部と座金間に挟み込んで、高力ボルト・ナットで締結する薄板材の高力ボルト接合構造であって、高力ボルトの頭部側に傾斜面を有する凸部を形成し、座金に高力ボルト頭部の凸部の傾斜面に相対する傾斜面を有する凹部を形成しておき、高力ボルト・ナットにより締結する過程の締付力で、重ね合わせた薄板材の接合部を高力ボルト頭部の凸部と座金の凹部間で押圧して変形させて薄板材に面外方向の変形部分を形成し締結することを特徴とする薄板材の高力ボルト接合構造である。
(3)請求項3に係わる発明は、薄板材の接合部を座金または高力ボルト頭部と接合金物(ここでいう接合金物とは添板や連結座金が主体であるが、凹部を形成可能な厚板材相当の厚みを有する部材の板状の接合部を含み、以下「接合金物」という。)間に挟み込んで、高力ボルト・ナットで締結する薄板材の高力ボルト接合構造であって、座金または高力ボルト頭部に凸部を形成し、接合金物に座金または高力ボルト頭部の凸部の傾斜面に相対する傾斜面を有する複数の凹部を形成しておき、高力ボルト・ナットにより締結する過程の締付力で、薄板材の接合部を座金または高力ボルト頭部の凸部と接合金物の凹部間で押圧して変形させて薄板材に面外方向の変形部分を形成し締結することを特徴とする薄板材の高力ボルト接合構造である。
(5)請求項5に係わる発明は、(2)〜(4)のいずれかの薄板材のボルト接合構造において凹部を形成した座金または接合金物との間で薄板材の接合部を押圧して変形させるための高力ボルトであって、薄板材の押し込みストロークが薄板材の板厚の0.5〜5.0倍である傾斜面を有する凸部を頭部に形成したことを特徴とする薄板材の高力ボルト接合構造用高力ボルトである。
(6)請求項6に係わる発明は、(1)、(3)、(4)のいずれかの薄材の高力ボルト接合構造において凹部を形成した座金または接合金物との間で薄板材の接合部を押圧して変形させるための座金であって、薄板材の押し込みストロークが薄板材の板厚の0.5〜5.0倍である傾斜面を有する凸部を形成したことを特徴とする薄板材の高力ボルト接合構造用座金である。
(7)請求項7に係わる発明は、重ね合わせた薄板材の接合部を高力ボルト・ナットにより締結する薄板材の高力ボルト接合構造であって、座金または高力ボルト頭部で押圧する範囲に薄板材同士の重なり合いのない部分を設け、高力ボルト・ナットにより締結する過程の締付力で、薄板材の接合部を押圧して変形させて重なり合いのない部分の薄板材に面外方向の変形部分を形成し締結することを特徴とする薄板材の高力ボルト接合構造で、凸部加工した座金や高力ボルト、および凹部加工した座金や接合金物を用いずに薄板材に面外方向の変形部分を形成する接合構造である。
本発明では、薄板材の接合部を、例えば、一方の側に接する座金または高力ボルト頭部に形成した傾斜面を有する凸部と、他方の側に接する座金または接合金物に形成した凹部間で挟み込んで、高力ボルト・ナットにより締結する際の締結力で、薄板材の接合部を押圧して変形させて、薄板材に面外方向の変形部分を作り、一方で薄板材の面外方向の移動を座金や高力ボルトや接合金物で拘束することで薄板材とボルト軸部の接触を必要としない接合部を実現できる。
これによって、厚みが0.6〜3.0mm程度の薄板材を接合対象とした場合に、摩擦面管理を不要にして、ボルト孔径が大きくとも、すべりのない安定した接合部を確保し、接合部耐力を強化することができる。
また、高力ボルトを用いて薄板材の接合部の支圧耐力を安定確保でき、支圧耐力を確保のためネジを多数使用してきた従来の薄板材の接合構造に比べて、少数の高力ボルトの使用により、接合作業負担を大幅に削減することができ、施工工期の短縮もできる。
また、薄板材の接合部の面外方向の変形部分は、薄板材の接合部を高力ボルト・ナットによる締結力で押圧することにより容易に形成できるので、現場施工の場合に適用しても施工が容易になる。
本発明の基本形としては、薄板材の接合部を挟み込んで相対する、一対の座金の傾斜面を有する凸部と凹部間、または高力ボルト頭部の傾斜面を有する凸部と座金または接合金物の凹部との間で、挟み込んだ薄板材の接合部を、高力ボルト・ナットにより締結する過程で、締付力により押し込んで変形させて薄板材に面外方向の変形部分を作り、一方で薄板の面外方向の移動を座金や高力ボルトや接合金物で拘束することで接合部耐力を強化する構造を有することを特徴とする。この接合部において薄板材の面内方向(加力方向)にすべりを生じるには薄板の面外変形部分が面外方向に移動しなければならないが、この面外方向の移動は座金や高力ボルトや接合金物で抑えられているので、すべりは容易に生じない。
この接合部での高力ボルトや座金の凸部および座金や接合金物の凹部は、高力ボルト・ナットで締結した状態で、傾斜面全体で薄板材の面外方向の変形部分と密着させることは不可欠ではなく、この面外方向の変形部分の面外方向の移動を座金や高力ボルトや接合金物で拘束した状態において、加力による薄板材の面内方向のすべりを止められる範囲で面外方向の変形部分に接触させればよい。
また、座金や高力ボルト頭部に形成した凸部に相対する座金や接合金物の傾斜面を有する凹部は、基本形としては、ボルト孔を中心として、1列〜複数列の傾斜面(凹曲面の傾斜面を含む)を環状に形成してなるものである。
薄板材の押し込みストロークが0.5倍未満では、薄板材に面外方向の変形部分を十分に形成できず、十分な支圧耐力を確保できない。また、薄板材の板厚の5.0倍超では、薄板材の接合部周辺で過大な歪みが発生して、十分な接合部耐力を確保できなくなる懸念が大である。
本発明で、上記の薄板材の接合部の押し込みストロークを確保するために高力ボルトの頭部または座金に傾斜面を有する凸部を形成する場合には、この凸部は、薄板材の押し込みストロークが薄板材の板厚の0.5〜5.0倍になる高さに形成することが好ましい。
一方、上記の凸部を形成した高力ボルトの頭部または座金との間で薄板材の接合部を押し込んで変形させる、凹部を形成する座金または接合金物側では、上記凸部を形成した高力ボルトまたは座金との間で、薄板材の接合部を上記所定の押し込みストロークで押し込むときに、薄板材の接合部に対して過大または過小の変形を生じない深さの傾斜面を有する凹部を形成することが好ましい。
トルシア形高力ボルトの締付けは、専用レンチによりピンテール部を掴みナットを回すことで行われるので、ナットの回転方向に反力を薄板材からとる必要がなく、これによる薄板材の変形が生じる恐れもない。
JIS規格にある一般的な高力ボルト、例えば一方の側に頭部を有し他側にナットを螺合して締め付ける高力ボルト、両端側にナットを螺合して締め付ける頭部を有しない高力ボルトなども用いることもできる。
これらの高力ボルト・ナットは、薄板材の接合部を押し込んで変形させる締付力を付与するものであるので、薄板材、座金や接合金物より高強度で、高硬度材であることが望ましい。
また、薄板材の接合部を押し込んで変形させる凹凸部を形成する座金や接合金物は、薄板材より厚くして高強度で高硬度材であることが望ましい。座金は通常より大きくして、薄板材の接合部に十分な面外方向の変形部分を形成できる凹凸部を形成可能にすることが望ましい。
高力ボルト頭部や座金の凸部、座金や接合金物の凹部は、例えば転造加工、切削加工、プレス加工、型鍛造加工、などによって形成することができる。
この場合には、高力ボルト頭部または座金と、座金または接合金物間で押圧する範囲に薄板材同士の重なり合いのない部分(薄板材の一方または双方にボルト孔を兼ねる通常のボルト孔より大径の孔部)を設け、高力ボルト・ナットにより締結する過程の締付力で薄板材の接合部を押圧し、孔部のない薄板材を孔部の縁に沿って孔部側に折り曲げて面外方向の変形部分を作り、一方で薄板の面外方向の移動を座金や高力ボルトや接合金物で拘束することで接合部耐力を強化することができる。
重なり合いのない部分を設けるための孔部は、高力ボルト・ナットの締付力による押圧力を効率的に作用させる位置に、折り曲げ部分による支圧耐力が効果的に分布するように形成するものである。例えば、重ね合わせた薄板材の一方または双方に、ボルト孔を兼ねる円形や楕円形などの円弧状の縁を有する孔部(薄板材の双方に孔部を形成する場合はその形成位置をずらした孔部とする)として、作用する力の方向に対して安定した支圧耐力を確保できるように形成するものである。
本発明の請求項1の形態例に相当する高力ボルト接合構造の実施形態例1について、要部を図1、図2、図3に基づき具体的に説明する。通常高力ボルトは複数用いるが、ここでは、1本の高力ボルト31による接合部について代表説明する。
この実施形態例1は、図1に示すように、2枚の薄板材11、12の接合部を重ね合わせて、この重ね合わせ接合部(以下「薄板材の接合部」という。)を、締付けトルクを管理するピンテール3pを備えたトルシア形の高力ボルト31とナット4と一対の座金5、51を用いて接合する場合のものである。ここで用いる座金5は、凸部5kを有する請求項6に係わる座金例に相当するものである。ここで、ナット4と座金5間に座金55が介在しているが、これはトルシア形高力ボルト31による締付トルク管理した締付けを円滑にするためのものである。
図1(a)は、薄板材の接合部を高力ボルト31・ナット4で締付け開始直前の状態を示した断面説明図。図1(b)は、図1(a)の平面図。図2(a)は、実施形態例1で使用する凸部を形成した座金の凸部形成側の平面説明図。図2(b)は、図2(a)の凸部を形成した座金5に相対する凹部を形成した座金51の凹部形成側の平面説明図。図3は、図1(a)の状態から薄板材の接合部を高力ボルト31・ナット4で締付け締結後の状態を示した断面説明図である。
実施形態例1では、ナット4側の座金5には、ボルト孔5oを中心とする環状の傾斜面5sを有する凸部5kを形成し、高力ボルト31の頭部に支持された座金51にはボルト孔5oを中心とする環状の傾斜面5sを有する凹部5uを形成して、高力ボルト31・ナット4による締付力で薄板材の接合部を座金5の凸部5kと座金51の凹部5u間で押圧して変形させ、薄板材に面外方向の変形部分を作り、一方で薄板の面外方向の移動を座金や高力ボルトや接合金物で拘束することで接合部耐力を強化する構造を有することを特徴とする。この実施形態例1での応力伝達については、薄板材11から薄板材12に直接伝達されることになる。
薄板材の接合部の下面側にあり、高力ボルト31頭部に支持された座金51は、図2(b)にも示すように、ボルト孔5o面から環状の傾斜面5sを有する深さdの凹部5uを形成したものであり、傾斜面5sの上端には薄板材の接合部の下面側を抑える環状の抑え面5faを形成したものである。
薄板材の接合部は、ナット4側の座金5の凸部5kと、高力ボルト31頭部側の座金51の凹部5u間に挟み込まれた状態になっている。
この変形に際しては、ナット側の座金5の抑え面5fと、高力ボルト31頭部側の座金51の抑え面5faの拘束効果で、薄板材の接合部の変形精度が安定確保される。
この状態において、薄板材には面外方向の変形部分11s、12sが形成され、一方で薄板の面外方向の移動を高力ボルト31頭部側の座金51の抑え面5faで拘束しているので、薄板材同士の面内方向のずれ(すべり)を止め、接合部の耐力を強化することができる。
なお、ここでの座金5の凸部5kおよび座金51の凹部5uによる薄板材の接合部の押し込みストロークは、座金5の凸部5kの高さhと座金51の凹部5uの深さdで決まるが、ここでは各傾斜面効果を十分に確保するために、薄板材11、12の合計板厚程度とし、各傾斜面の傾斜角度θは30程度とした。なお、この実施形態例1については凹部5uの傾斜面5sの傾斜角度θは凸部5kの傾斜面5sの傾斜角度θより大きくしてもよい。
本発明の請求項1の形態例に相当する高力ボルト接合構造の実施形態例2について、要部を図4、図5、図6に基づき具体的に説明する。
図4(a)は、薄板材の接合部を高力ボルト31・ナット4で締付け開始直前の状態を示した断面説明図。図4(b)は、図4(a)の平面図。図5(a)は、実施形態例2で使用する高力ボルト31頭部の凸部形成側の平面説明図。図5(b)は、図5(a)の高力ボルト31頭部の凸部形成側に相対する凹部を形成した座金51の凹部形成側の平面説明図。図6は、図4(a)の状態から薄板材の接合部を高力ボルト31・ナット4で締付け締結後の状態を示した断面説明図である。
この実施形態例2は、実施形態例1と同様、高力ボルト31を挿通した薄板材の接合部を、ナット4側の座金5と高力ボルト31頭部側の座金51の一対の座金間に挟み込んで高力ボルト31とナット4で締付け締結するものであるが、一対の座金5、51の形状、作用効果が実施形態例1と若干異なるものである。実施形態例1と共通する部分については、詳細説明を省略する。
薄板材の接合部の下面側にあり、ナット4に支持された座金51は、図5(b)にも示すように、ボルト孔5oを中心とした環状の傾斜面5sを有する深さdの凹部5uを形成したものであり、この凹部5uの底部には平坦な環状の底面5zaを形成し、傾斜面5sの上端には薄板材の接合部の下面側を抑える環状の抑え面5faを形成したものである。
薄板材の接合部は、ナット4側の座金5と、高力ボルト31頭部側の座金51間に挟み込まれた状態になっている。
この薄板材の接合部の変形に際しては、薄板材がボルト心から外周方向に向かって2カ所曲げられることになるので、より安定した耐力を確保することができる。
なお、ここでの座金5の凸部5kおよび座金51の凹部5uによる薄板材の接合部の押し込みストロークは、高力ボルト31の凸部3kの高さhと座金51の凹部5uの深さdで決るが、ここでは各傾斜面を十分に確保するために、薄板材11、12の合計板厚程度とし、各傾斜面の傾斜角度θは45度程度とした。
本発明の請求項2の形態例に相当する高力ボルト接合構造の実施形態例3について、要部を図7、図8、図9に基づき具体的に説明する。通常、高力ボルト32は、複数用いるが、ここでは1本の高力ボルト32による接合部について代表説明する。
この実施形態例3は、図7に示すように、2枚の薄板材11、12の接合部を重ね合わせて、この重ね合わせ接合部(以下「薄板材の接合部」という。)を締付けトルクを管理するピンテール3pを備えたトルシア形高力ボルト32とナット4と座金51を用いて接合する場合のものである。ここで用いる高力ボルト32は、頭部に凸部3kを有する請求項5に係わる高力ボルト例に相当するものである。
図7(a)は、薄板材の接合部を高力ボルト32・ナット4で締結開始直前の状態を示した断面説明図。図7(b)は、図7(a)の平面説明図。図8(a)は、実施形態例3で使用する高力ボルト32頭部の凸部形成側の平面説明図。図8(b)は、図8(a)の高力ボルト32頭部の凸部に相対する凹部を形成したナット4側の座金51の凹部形成側の平面説明図。図9は、図7(a)の状態から薄板材の接合部を高力ボルト32・ナット4で締結後の状態を示した断面説明図である。
この実施形態例3では、高力ボルト32に、ボルト軸を中心とした環状の傾斜面3sを有する凸部3kを形成し、ナット4に支持された座金51には環状の傾斜面5sを有する凹部5uを形成して、薄板材の接合部を、高力ボルト32・ナット4による締付け力で薄板材の接合部を高力ボルト32の凸部3kと座金51の凹部5u間で、押圧して変形させ、薄板材に面外方向の変形部分を作り、一方で薄板も面外方向の移動を高力ボルト32や座金51で拘束することで締結することを特徴とする。この実施形態例3での応力伝達については、実施形態例1、2と同様で、薄板材11と薄板材12間で直接伝達されることになる。
なお、高力ボルト32の傾斜面3sを有する環状の凸部3k部分は、ボルト孔を有するリング状の部品として別途製作し、頭部に凸部を有しない高力ボルトに挿通して、凸部を有する座金と同様に機能させるようにしてもよい。
薄板材の接合部の下面側にあり、ナット4に支持された座金51は、図8(b)にも示すように、ボルト孔5oを中心とした環状の傾斜面5sを有する深さdの凹部5uを形成したものであり、傾斜面5sの上端には薄板材の接合部の下面側を受ける環状の受面5faを形成したものである。
薄板材の接合部は、高力ボルト32頭部の凸部3kと、座金51の凹部5u間に挟み込まれた状態になっている。
この変形に際しては、高力ボルト32の抑え面3fと、ナット4側の座金51の抑え面5faによる拘束効果で、薄板材の接合部の変形精度が安定確保される。
図9の状態において、薄板材には面外方向に変形部分11s、12sが形成され、一方で薄板材の面外方向の移動を高力ボルト32の抑え面3fと、ナット4側の座金51の抑え面5faで拘束しているので、薄板材同士の面内方向のすべり(ずれ)を止め、接合部の耐力を強化することができる。
なお、ここでの高力ボルト32の凸部kおよび座金51の凹部5uによる薄板材の接合部の押し込みストロークは、高力ボルト32の凸部kの高さと座金51の凹部5uの深さdで決るが、ここでは各傾斜面を十分に確保するために、薄板材11、12の合計板厚程度とし、ボルト軸3aから連続形成した環状の傾斜面3sの傾斜角度は30度程度、座金51の凹部5uの傾斜面5sの傾斜角度θは45度程度とした。
本発明の請求項2の形態例に相当する高力ボルト接合構造の実施形態例4について、要部を図10、図11、図12に基づき具体的に説明する。
この実施形態例4は、実施形態例3と同様、高力ボルト32の頭部座面にボルト軸3aを中心とした環状の傾斜面3sを有する凸部3kを形成し、ナット4に支持された座金51に環状の傾斜面5sを有する凹部5uを形成して、重ね合わせた薄板材11、12の接合部を、高力ボルト32頭部座面の凸部3kとナット4側の座金51の凹部5u間で、押圧して変形させ締結するものであり、高力ボルト32頭部座面の凸部3kと座金51の凹部5uの形状、作用効果において実施形態例3と異なるものである。実施形態例3と共通部分については詳細説明を省略する。
図10(a)は、薄板材の接合部を高力ボルト32とナット4で締付け開始直前の状態を示した断面図。図10(b)は、図10(a)の平面説明図。図11(a)は、高力ボルト32頭部の凸部の凸部形成側の平面説明図。図11(b)は、座金51の凹部形成側の平面説明図。図12は、図10(a)の状態から薄板材の接合部を高力ボルト32とナット4で締付け締結した後の状態を示した断面説明図である。
薄板材の接合部の下面側は、ナット4に支持された座金51に支持されている。この座金51は、図11(b)にも示すように、ボルト孔5oを中心とした環状の傾斜面5sを有する深さdの凹部5uを形成したものであり、凹部5uの下端に平坦な環状の底部受面5zaを形成し、上端には薄板材の接合部の下面側を受ける環状の受面5faを形成したものである。
図10(a)において、薄板材の接合部は、高力ボルト32頭部の凸部3kと、座金51の凹部5u間に挟み込まれた状態になっている。
この変形に際しては、薄板材がボルト心から外周方向に向かって2箇所曲げられることになるので、より安定した支圧耐力を確保することができる。
なお、高力ボルト32の凸部3kと座金51の凹部5uによる薄板材の接合部の押し込みストロークは、高力ボルト32の凸部3kの高さhと座金51の凹部5uの深さで決るが、ここでは各傾斜面を十分に確保するために、薄板材11、12の合計板厚程度とし、各傾斜面の傾斜角度θは45度程度とした。
本発明の請求項3の形態例に相当する高力ボルト接合構造の実施形態例5について、要部を図13、図14、図15に基づき具体的に説明する。通常、高力ボルト31は複数用いるが、ここでは2本の高力ボルト31を用いた場合で代表説明する。
この実施形態例5は、図13に示すように、重ね合わせた2枚の薄板材11、12の接合部を接合金物2に、締付けトルクを管理するピンテール3pを備えたトルシア形高力ボルト31・ナット4と座金5を用いて接合する場合のものである。
図13(a)は、薄板材の接合部を高力ボルト31・ナット4で締付け開始直前の状態を示した断面図。図13(b)は、図13(a)の平面説明図。図14(a)は、座金5の凸部形成側の平面説明図。図14(b)は、接合金物2の凹部形成側の平面説明図。図15は、図13(a)の状態から薄板材の接合部を高力ボルト31・ナット4で締付けて変形させ締結した後の状態を示した断面説明図である。
この実施形態例5では、ナット4側の座金5には、ボルト孔5oを中心とした環状の傾斜面5sを有する凸部5kを形成し、高力ボルト31頭部に支持された接合金物2にはボルト孔2oを中心とした環状の傾斜面2sを有する凹部2uを形成して、高力ボルト31とナット4による締付力で薄板材の接合部をナット4側の座金5の凸部5kと接合金物2の凹部2u間で押圧して変形させ、薄板材に面外方向の変形部分11s、12sを作り、一方で薄板材の面外方向の移動を座金5の抑え面5fと接合金物2の上面で拘束することで締結することを特徴とする。この実施形態例5での応力伝達については、薄板材11、12から接合金物2に伝達されることになる。
また、薄板材の接合部の下面側は、高力ボルト31の頭部座面に支持された接合金物2に支持されている。この接合金物2は、図14(b)にも示すように、ボルト孔2oを中心としてボルト孔2oに連続形成した環状の傾斜面2sを有する深さdの凹部2uを形成したものである。
薄板材の接合部は、接合金物2の凹部2uの傾斜面2sと、座金5の凸部5kの傾斜面5s間に挟み込まれた状態になっている。
薄板材の接合部の変形に際しては、座金5の抑え面5fと接合金物2の凹部2u周辺の平坦面による抑え効果で変形精度が安定確保される。
図15において、薄板材には面外方向に変形部分11s、12sが形成され、一方で薄板材の面外方向の移動をナット4側の座金5の抑え面5fと高力ボルト31頭部側の接合金物2の抑え面2fで拘束しているので、薄板材同士が面外方向にずれることなく、接合部の耐力を強化することができる。
なお、座金5の凸部5kおよび接合金物2の凹部2uによる薄板材の接合部の押し込みストロークは、座金5の凸部5kの高さhと接合金物2の凹部2uの深さで決るが、ここでは各傾斜面を十分に確保するために、薄板材11、12の合計板厚程度とし、各傾斜面の傾斜角度θは30度程度とした。
本発明の請求項3の形態例に相当する高力ボルト接合構造の実施形態例6について、要部を図16、図17に基づき具体的に説明する。通常、高力ボルト31は複数用いるが、ここでは2本の高力ボルト31を用いた場合で代表説明する。
この実施形態例6は、図16に示すように、2枚の薄板材11、12の接合部を、接合金物(添板)2を介して、締付トルクを管理するピンテール3pを備えたトルシア形高力ボルト31・ナット4と座金5を用いて接合する場合のものである。
図16(a)は、高力ボルト31・ナット4で締付け開始直前の状態示した断面説明図、図16(b)は、(a)の平面説明図である。図17は、図16(a)の状態から薄板材の接合部を高力ボルト31・ナット4で締付けて変形させ締結した後の状態を示した断面説明図である。なお、ここで用いる座金5の凸部5kと、接合金物2の凹部2uは、実施形態例5での図14(a)、(b)と同様のものなので平面説明図を省略する。
この実施形態例6では、実施形態例5と同様、ナット4側の座金5にはボルト軸を中心とした環状の傾斜面3sを有する凸部3kを形成し、高力ボルト31頭部に支持された接合金物2には環状の傾斜面2sを有する凹部2uを形成して、高力ボルト31とナット4による締付力で薄板材の接合部をナット4側の座金5の凸部5kと接合金物2の凹部2u間で押圧して変形させ、薄板材に面外方向の変形部分11s、12sを作り、一方で薄板材の面外方向の移動を座金5の抑え面5fと接合金物2の上面で拘束することで締結するものである。
ただし、薄板材11、12の接合部は独立しており、別々の高力ボルト31、ナット4、座金5を用いて接合金物2の別の位置に接合するため、この実施形態例6での応力伝達については、薄板材11から接合金物2を介して薄板材12伝達されることになり、実施形態例5とは応力伝達経路を異にするものである。
実施形態例5と共通する部分については詳細説明を省略する。
なお、実施形態例5、6ではナット4側に凸部を形成した座金5を配置し、高力ボルト31頭部側に凹部2を形成した接合金物2を配置したが、高力ボルト31頭部側に凸部5kを形成した座金5を配置し、ナット4側に凹部2uを形成した接合金物2を配置してもよい。
本発明の請求項1の形態例に相当する他の高力ボルト接合構造の実施形態例7について、要部を図18、図19、図20に基づき具体的に説明する。通常、高力ボルト31は複数用いるが、ここでは1本の高力ボルト31を用いた場合で代表説明する。
この実施形態例7は、図18に示すように、ボルト孔1oを有する重ね合わせた2枚の薄板材11、12の接合部を、実施形態例1で用いた一対の座金5、51とは形状、作用の若干異なる、凸部7kを形成した座金7と凹部6vを形成した座金6間に挟み込んだ状態で、締付けトルクを管理するピンテール3pを備えたトルシア形高力ボルト31・ナット4で締付けて接合する場合のものである。
ここで用いる座金7は、凸部7kを有する請求項6に係わる座金例に相当する。
図18(a)は、高力ボルト31・ナット4で締付け開始直前の状態を示した断面説明図、図18(b)は、(a)の平面説明図。図19は、図18(a)の状態から薄板材の接合部を高力ボルト31・ナット4で締付けて変形させ締結した後の状態を示した断面説明図である。
また、薄板材の接合部の上面側には、高力ボルト31に挿通され背面側がナット4に当接される座金7が当接されている。この座金7は、図20(b)に示すように、ボルト孔7oの同心円上でボルト孔7o面から離れた位置で高力ボルト31頭部側の座金6の凹部6vに対応する環状の傾斜面7sを有する高さhの山形断面の凸部7kを形成したものである。
図18(a)において、薄板材の接合部は、座金6と座金7との間で挟み込まれた状態になっている。
この実施形態例7での応力伝達については、薄板材11から薄板材12に伝達されることになる。
なお、座金6の凹部6vと座金7の凸部7kによる薄板材の接合部の押し込みストロークは、座金6の凹部6vの深さと座金7の凸部7kの高さで決るが、ここでは、各傾斜面を十分に確保するために、薄板材の接合部の合計板厚程度とし、各傾斜面の傾斜角度θは45度程度とした。
なお、実施形態例7ではナット4側に凸部7kを形成した座金7を配置し、高力ボルト31頭部側に凹部6vを形成した接合金物6を配置したが、高力ボルト31頭部側に凸部7kを形成した座金7を配置し、ナット側に凹部6vを形成した座金6を配置してもよい。
この場合、高力ボルト31に挿通されたとき、座金8の凹部8vと座金9の凸部9kが円周方向でずれた場合には、薄板の接合部の押し込み空間を安定確保することが困難になることから、例えば高力ボルト31に位置合わせの目安線を付すなどの位置ずれ対策を講じる。
例えば図22に示すように、図21に示したような座金9の凸部9kをボルト孔9oを中心として同心円上に不連続の環状に形成した場合に、図20(a)に示すような凹部6vを、ボルト孔6oを中心として同心円上に連続させ環状に形成した座金6を用いることも位置ずれ対策になる。ここで用いる座金9は、凸部9kを有する請求項6に係わる座金例に相当するものである。
本発明の請求項3の形態例に相当する他の高力ボルト接合構造の実施形態例8について、要部を図23、図24、図25、図26に基づき具体的に説明する。通常、高力ボルト31は複数用いるが、ここでは2本の高力ボルト31を用いた場合で代表説明する。
この実施形態例8は、図23に示すように、重ね合わせた薄板材11、12の接合部を、凹部2vを形成した接合金物2に、締付けトルクを管理するピンテール3pを備えたトルシア形高力ボルト31・ナット4と凸部7kを形成した座金7を用いて接合する場合のものである。
図23(a)は、高力ボルト31・ナット4で締付け開始直前の状態示した断面説明図。図23(b)は、(a)の平面説明図。図24は、図23(a)の状態から薄板材の接合部を高力ボルト31・ナット4で締付けて変形させ締結した後の状態を示した断面説明図。図25は、ナット4側の座金7の凸部7kの凸部7k形成側の平面説明図と断面説明図。図26は、接合金物2の凹部2vの凹部形成側の平面説明図と断面説明図である。
また、薄板材の接合部の上面側には、ナット4側の座金7が当接されている。この座金7は、図25にも示すように、ボルト孔7oから離れた位置において、ボルト孔7oの同心円上に環状の傾斜面7sを有する、高さhの山形断面の凸部7kを形成し、この凸部7kの周面の基部に薄板材の接合部の上面を抑える抑え面7fを形成したものである。
図23(a)において、薄板材の接合部は、座金7の凸部7kの傾斜面7sと、添板2の凹部2vの傾斜面2s間に挟み込まれた状態になっている。
図24において、薄板材に面外方向の変形部分を作り、一方で薄板材の面外方向の移動を座金7の抑え面7fや接合金物2の上面で拘束することで接合部の耐力を強化することができる。
実施形態例8では、応力伝達については、薄板材11、12から接合金物2に伝達されることになる。
なお、実施形態例8ではナット4側に凸部7kを形成した座金7を配置し、高力ボルト31頭部側に凹部2vを形成した接合金物2を配置したが、高力ボルト31頭部側に凸部7kを形成した座金7を配置し、ナット4側に凹部2vを形成した接合金物2を配置してもよい。
本発明の請求項7の形態例に相当する他の高力ボルト接合構造の実施形態例9について、要部を図27、図28、図29に基づき具体的に説明する。通常、高力ボルト31は複数用いるが、ここでは1本の高力ボルト31を用いた場合で代表説明する。
この実施形態例9は、凸部加工した座金や高力ボルトおよび凹部加工した座金や接合金物を用いずに薄板材に面外方向の変形部分を形成することが可能な接合構造であり、図27に示すように、座金55と締付トルクを管理するピンテール3pを備えたトルシア形高力ボルト31・ナット4を用いて接合する場合のものである。
図27(a)は、高力ボルト31・ナット4で締付け開始直前の状態示した断面説明図。図27(b)は、図27(a)の平面説明図。図28は、図27(a)の状態から薄板材の接合部を高力ボルト31・ナット4で締付けて変形させ締結した後の状態を示した断面説明図。図29(a)は、この実施形態例9での重ね合わせた薄板材同士の重なりのない部分の形成例を示す平面説明図。図29(b)、(c)は、重ね合わせた薄板材同士の重なりのない部分の他の形成例を示す平面説明図である。
重ね合わせた薄板材11、12には、図29(a)に示すように、高力ボルト31頭部と座金55により押圧する範囲(ここでは、高力ボルト31頭部の抑え面3fと座金55の押圧面55fで押圧する範囲)35において、それぞれ、通常のボルト孔より大きい径のボルト孔を兼ねる孔1oa、1obを、薄板材の長さ方向で孔縁同士の位置ずれxが生じるようにあけて、薄板材同士の重なりのない部分を設けている。
この薄板材同士の重なりのない部分では、高力ボルト31・ナット4による締付力により高力ボルト31頭部と座金55間で押圧したとき、重ね合わせた一方の薄板材の孔のない部分が、相対する他方の薄板材の孔1oa、1obの孔縁部で孔内側に折り曲げられ面外方向の変形部分11s、12sが形成される。
この面外方向の変形部分の形成に際しては、高力ボルト31頭部の抑え面3fと座金55の押圧面55fにより拘束しており、この拘束効果で薄板材の接合部の変形精度が安定確保される。
図28に示す高力ボルト31・ナット4による締結後の状態では、薄板材同士の重なりのない部分において、薄板材11、12に面外方向の変形部分11s、12sが形成され、一方で薄板材の面外方向の移動を高力ボルト31頭部の抑え面3fと座金55の押圧面55fにより拘束されているので、薄板材同士が面内方向にずれることなく、接合部の耐力を強化することができる。この実施形態例9では、応力伝達については、薄板材11から薄板材12に伝達されることになる。
このように、各孔をボルト孔を兼ねる孔にした場合、座金55の押圧面55fと高力ボルト31の抑え面3fがフラットの場合にも、通常レベルの締付力により、片持梁状態の孔縁で薄板材に面外方向の変形部分を形成しやすい。
重ね合わせた薄板材双方にあけるボルト孔を兼ねる孔の形状、大きさは同じでなくてもよい。薄板材双方の板厚や強度に差がある場合なども考慮し、接合部の耐力を十分に確保するために必要な面外方向の変形部分を効率的に形成できるように、薄板材双方の孔の形状、大きさ、双方の孔の位置関係などの孔形成条件を選択するものである。
このように、重ね合わせた薄板材間に重なりのない部分を設けるために薄板材11、薄板材12に孔をあける場合の孔縁同士の位置ずれxは、薄板材の板厚の1.0倍以上あることが望ましい。1.0倍未満では面外方向の変形部が少ないため十分な接合部の耐力が得られない。また、孔の径の上限としては、座金または高力ボルト頭部により押圧する範囲35内に収まる径とすることが望ましい。孔の径が座金または高力ボルト頭部の押圧する範囲を超えると、薄板材の断面欠損による接合部の性能低下が顕著になる。
1o ボルト孔 2a 上側の添板
2b 下側の添板 2o ボルト孔
3 高力ボルト 11s、12s 変形部分
2 接合金物 2u 凹部
2s 傾斜面 2f 抑え面
31、32 トルシア形高力ボルト 3s 傾斜面
3k 凸部 3p ピンテール
3f 抑え面 3z 押圧面
4 ナット 5、51 座金
5k 凸部 5u 凹部
5o ボルト孔 5s 傾斜面
5f 抑え面 5fa 抑え面
5z 押圧面 5za 底部受面
6 座金 6v 凹部(v字断面)
6o ボルト孔 6s 傾斜面
6f 抑え面 7k 凸部(山形断面)
7s 傾斜面 7f 抑え面
7o ボルト孔 8 座金
8v 凹部(v字断面不連続) 8s 傾斜面
8o ボルト孔 9 座金
9k 凸部(山形断面不連続) 9s 傾斜面
9o ボルト孔 10 ネジ
111、112 薄板軽量形鋼(C形鋼) 11u ウェブ
12 接合部材 12a 接合部
35 押圧する範囲 55 座金
55f 押圧面
Claims (7)
- 重ね合わせた薄板材の接合部を一対の座金間に挟み込んで高力ボルト・ナットにより締結する薄板材の高力ボルト接合構造であって、一方の座金に傾斜面を有する凸部を形成し、他方の座金に一方の座金の凸部の傾斜面に相対する傾斜面を有する凹部を形成しておき、高力ボルト・ナットで締結する過程の締付力で、重ね合わせた薄板材の接合部を一対の座金の凸部と凹部間で押圧して変形させて薄板材に面外方向の変形部分を形成し締結することを特徴とする薄板材の高力ボルト接合構造。
- 重ね合わせた薄板材の接合部を高力ボルト頭部と座金間に挟み込んで、高力ボルト・ナットで締結する薄板材の高力ボルト接合構造であって、高力ボルトの頭部側に傾斜面を有する凸部を形成し、座金に高力ボルト頭部の凸部の傾斜面に相対する傾斜面を有する凹部を形成しておき、高力ボルト・ナットにより締結する過程の締付力で、重ね合わせた薄板材の接合部を高力ボルト頭部の凸部と座金の凹部間で押圧して変形させて薄板材に面外方向の変形部分を形成し締結することを特徴とする薄板材の高力ボルト接合構造。
- 薄板材の接合部を座金または高力ボルト頭部と接合金物間に挟み込んで、高力ボルト・ナットで締結する薄板材の高力ボルト接合構造であって、座金または高力ボルト頭部に傾斜面を有する凸部を形成し、接合金物に座金または高力ボルト頭部の凸部の傾斜面に相対する傾斜面を有する複数の凹部を形成しておき、高力ボルト・ナットにより締結する過程の締付力で、薄板材の接合部を座金または高力ボルト頭部の凸部と接合金物の凹部間で押圧して変形させて薄板材に面外方向の変形部分を形成し締結することを特徴とする薄板材の高力ボルト接合構造。
- 薄板材に生じる面外方向の変形部分の高さが薄板材の板厚の0.5〜5.0倍であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の薄板材の高力ボルト接合構造。
- 請求項2〜請求項4のいずれかに記載の薄板材の高力ボルト接合構造において凹部を形成した座金または接合金物との間で薄板材の接合部を押圧して変形させるための高力ボルトであって、薄板材の押し込みストロークが薄板材の板厚の0.5〜5.0倍である傾斜面を有する凸部を頭部に形成したことを特徴とする薄板材の高力ボルト接合構造用高力ボルト。
- 請求項1、請求項3、請求項4のいずれかに記載の薄板材の高力ボルト接合構造において凹部を形成した座金または接合金物との間で薄板材の接合部を押圧して変形させるための座金であって、薄板材の押し込みストロークが薄板材の板厚の0.5〜5.0倍である傾斜面を有する凸部を形成したことを特徴とする薄板材の高力ボルト接合構造用座金。
- 重ね合わせた薄板材の接合部を高力ボルト・ナットにより締結する薄板材の高力ボルト接合構造であって、座金または高力ボルト頭部で押圧する範囲に薄板材同士の重なり合いのない部分を設け、高力ボルト・ナットにより締結する過程の締付力で、薄板材の接合部を押圧して変形させて重なり合いのない部分の薄板材に面外方向の変形部分を形成し締結することを特徴とする薄板材の高力ボルト接合構造。
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