JP2008214245A - アルドース還元酵素阻害剤およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 細胞内のソルビトール生成をより効果的に阻害し得るとともに、生体に対する安全性が向上した、アルドース還元酵素阻害剤を提供すること。
【解決手段】 食品分野、医薬品分野等で利用可能な、アルドース還元酵素阻害剤が開示されている。本発明のアルドース還元酵素阻害剤は、褐藻類コンブ目コンブ科のマコンブ、アラメ、サガラメ、ツルアラメ、クロメ、カジメ、褐藻類コンブ目チガイソ科のワカメ、アオワカメ、ヒロメ、アイヌワカメ、およびチガイソ;褐藻類ヒバマタ目ホンダワラ科のホンダワラ、ヒジキ、およびアカモク;褐藻類ナガマツモ目モズク科のモズクおよびオキナワモズク;および、紅藻類スギノリ目スギノリ科に属する海藻;からなる群より選択される少なくとも1種の海藻由来の抽出物を有効成分として含有する。
【選択図】 なし
【解決手段】 食品分野、医薬品分野等で利用可能な、アルドース還元酵素阻害剤が開示されている。本発明のアルドース還元酵素阻害剤は、褐藻類コンブ目コンブ科のマコンブ、アラメ、サガラメ、ツルアラメ、クロメ、カジメ、褐藻類コンブ目チガイソ科のワカメ、アオワカメ、ヒロメ、アイヌワカメ、およびチガイソ;褐藻類ヒバマタ目ホンダワラ科のホンダワラ、ヒジキ、およびアカモク;褐藻類ナガマツモ目モズク科のモズクおよびオキナワモズク;および、紅藻類スギノリ目スギノリ科に属する海藻;からなる群より選択される少なくとも1種の海藻由来の抽出物を有効成分として含有する。
【選択図】 なし
Description
本発明は、アルドース還元酵素阻害剤およびその製造方法に関し、より詳細には飲食物や医薬品に応用可能なアルドース還元酵素阻害剤およびその製造方法に関する。
糖尿病性腎症、網膜症など糖尿病合併症の成因は多彩であり未だ不明の点が多い。しかし、これらの疾患は、高血糖が慢性的に持続する病態に特徴的に発症することから、グルコースの関与は明白である。
糖尿病性合併症を引き起こす組織にある腎メサンギウム細胞、血管内皮細胞、網膜血管周皮細胞などで取り込まれたグルコースは、通常、親和性の高いヘキソキナーゼの作用を受けて通常の解糖系に入り、速やかに代謝される。しかし、高血糖状態では細胞内グルコース濃度が上昇し、解糖系初発酵素が飽和状態となりポリオール経路にグルコースが流入し、このグルコースにアルドース還元酵素が作用してソルビトールが生成する。
ソルビトールは、代謝が遅いため細胞内に蓄積し、これが細胞内浸透圧を上昇させるため、組織的・機能的にダメージを与えると考えられている。このようなポリオール代謝経路の活性亢進化が、糖尿病合併症の重要な成因の一つであることが示されている(例えば、非特許文献1参照)。
糖尿病合併症の予防と改善とを目的として、このような細胞内でのソルビトールの生成阻害を目的とした種々のアルドース還元酵素阻害剤が知られている。
こうした目的を達成し得る従来のアルドース還元酵素阻害剤としては、例えば、腎症、網膜症などの糖尿病合併症などを引き起こす成因となる細胞内でのソルビトールの生成を阻害する、新規合成化合物がアルドース還元酵素阻害剤として用いられ得ることが開示されている(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。しかし、このような合成化合物には目的の効果に代えて予期し得ない副作用を伴うことがあり安全性の観点で直ちに、工業的に使用され得るものではない。
これに対し、安全性を重視する観点から、食品に使用され得る植物の抽出物をアルドース還元酵素阻害剤として用いることが開示されている(例えば、特許文献3、特許文献4および特許文献5参照)。しかしながら、上記特許文献に記載の植物抽出物は、アルドース還元酵素阻害作用を奏する有効成分の含有量が決して高いとは言えず、工業的量産の観点から未だ充分とはいえない。
本発明は、上記問題の解決を課題とするものであり、その目的とするところは、細胞内でのソルビトール生成をより効果的に阻害し得るとともに、生体に対する安全性が向上したアルドース還元酵素阻害剤およびその製造方法を提供することにある。
本発明は、褐藻類コンブ目コンブ科のマコンブ(Laminaria japonica)、アラメ(Eisenia bicyclis)、サガラメ(Eisenia arborea)、ツルアラメ(Ecklonia stlonifera)、クロメ(Ecklonia kurome)、カジメ(Ecklonia cava)、褐藻類コンブ目チガイソ科のワカメ(Undaria pinnatifida)、アオワカメ(Undaria peterseniana)、ヒロメ(Undaria undarioides)、アイヌワカメ(Alaria praelomga)、およびチガイソ(Alaria crassifolia);褐藻類ヒバマタ目ホンダワラ科のホンダワラ(Sargassum fuluvellum)、ヒジキ(Hizikia fusiforme)、およびアカモク(Sargassum horneri);褐藻類ナガマツモ目モズク科のモズク(Nemacystus decipieus)およびオキナワモズク(Cladosiphon okamuranus);および、紅藻類スギノリ目スギノリ科に属する海藻;からなる群より選択される少なくとも1種の海藻由来の抽出物を有効成分として含有する、アルドース還元酵素阻害剤である。
1つの実施態様では、上記抽出物は、上記海藻由来の熱水粗抽出物を含有する50(v/v)%以上のC1〜C3アルコール液の上清から得られた抽出物である。
さらなる実施態様では、上記抽出物は、上記上清を濃縮し、かつ40(v/v)%から90(v/v)%のC1〜C3アルコール水溶液を用いるカラムクロマトグラフィーにかけることにより得られた画分由来の抽出物である。
またさらなる実施態様では、上記カラムクロマトグラフィーに用いる吸着剤はスチレン−ジビニルベンゼン系吸着剤である。
本発明はまた、海藻由来の抽出物を有効成分として含有するアルドース還元酵素阻害剤であって、該抽出物が該抽出物に含まれる固形分の重量を基準としてフロロタンニンを15重量%以上の割合で含有する、アルドース還元酵素阻害剤である。
本発明はまた、フロロタンニンを有効成分として含有する、アルドース還元酵素阻害剤である。
1つの実施態様では、上記フロロタンニンは海藻由来である。
本発明はまた、アルドース還元酵素阻害剤の製造方法であって、褐藻類コンブ目コンブ科のマコンブ(Laminaria japonica)、アラメ(Eisenia bicyclis)、サガラメ(Eisenia arborea)、ツルアラメ(Ecklonia stlonifera)、クロメ(Ecklonia kurome)、カジメ(Ecklonia cava)、褐藻類コンブ目チガイソ科のワカメ(Undaria pinnatifida)、アオワカメ(Undaria peterseniana)、ヒロメ(Undaria undarioides)、アイヌワカメ(Alaria praelomga)、およびチガイソ(Alaria crassifolia);褐藻類ヒバマタ目ホンダワラ科のホンダワラ(Sargassum fuluvellum)、ヒジキ(Hizikia fusiforme)、およびアカモク(Sargassum horneri);褐藻類ナガマツモ目モズク科のモズク(Nemacystus decipieus)およびオキナワモズク(Cladosiphon okamuranus);および、紅藻類スギノリ目スギノリ科に属する海藻;からなる群より選択される少なくとも1種の海藻を、60℃から100℃の熱水中で抽出して熱水粗抽出物を得る工程;該熱水粗抽出物に、C1〜C3アルコールまたはC1〜C3アルコール水溶液と合わせて、50(v/v)%以上の該アルコールを含有するC1〜C3アルコール液を得る工程;ならびに該C1〜C3アルコール液の上清を分取する工程;を包含する、方法である。
1つの実施態様では、さらに、上記上清を濃縮して、該上清の濃縮物を得る工程;および該上清の濃縮物を、40(v/v)%から90(v/v)%のC1〜C3アルコール水溶液を用いるカラムに通す工程;を包含する。
さらなる実施態様では、上記カラムはスチレン−ジビニルベンゼン系吸着剤を含有する。
本発明によれば、細胞内のソルビトール生成をより効果的に阻害し得るとともに、生体に対する安全性をも向上させることができる。このため、本発明のアルドース還元酵素阻害剤は日常的な使用がより可能となり、食品分野、医薬分野などの種々の分野における汎用性を高めることができる。さらに、本発明は、糖尿病合併症である網膜症、腎症、神経障害、虚血性心疾患、脳血管障害などの予防または治療の目的に利用することができる。また、動脈硬化症、アルツハイマー病、老化、炎症反応等、細胞内のソルビトール生成が関与する多くの疾患に対する予防または治療の目的に利用することもできる。
まず、本発明の第一のアルドース還元酵素阻害剤について説明する。
本発明の第一のアルドース還元酵素阻害剤は、海藻由来の抽出物を有効成分として含有する。ここで、本明細書中に用いられる用語「アルドース還元酵素阻害」とは、細胞内ポリオール経路にグルコースが流入し、当該グルコースとアルドース還元酵素とが作用してソルビトールが生成することを防止または抑制することを意味し、アルドース還元酵素自体の機能の防止または抑制;グルコースとアルドース還元酵素との作用に対する防止または抑制;など、いずれの防止または抑制をも包含して言う。
本発明に用いられる海藻の例としては、褐藻類のコンブ目コンブ科、褐藻類コンブ目チガイソ科、褐藻類ヒバマタ目ホンダワラ科、褐藻類ナガマツモ目モズク科、または紅藻類スギノリ目スギノリ科に属する海藻が挙げられる。
上記海藻に包含される、具体的な例としては、褐藻類コンブ目コンブ科のマコンブ(Laminaria japonica)、アラメ(Eisenia bicyclis)、サガラメ(Eisenia arborea)、ツルアラメ(Ecklonia stlonifera)、クロメ(Ecklonia kurome)、カジメ(Ecklonia cava)、褐藻類コンブ目チガイソ科のワカメ(Undaria pinnatifida)、アオワカメ(Undaria peterseniana)、ヒロメ(Undaria undarioides)、アイヌワカメ(Alaria praelomga)、およびチガイソ(Alaria crassifolia);褐藻類ヒバマタ目ホンダワラ科のホンダワラ(Sargassum fuluvellum)、ヒジキ(Hizikia fusiforme)、およびアカモク(Sargassum horneri);褐藻類ナガマツモ目モズク科のモズク(Nemacystus decipieus)およびオキナワモズク(Cladosiphon okamuranus);および、紅藻類スギノリ目スギノリ科に属する海藻;が挙げられる。本発明に用いられる海藻としては、特に、海藻自体の生産量が比較的多く入手が容易であり、かつ後述するアルドース還元酵素に対する阻害作用を有する抽出物の画分がより得られ易いという理由から、アラメ、クロメ、ワカメ、ヒジキが好ましい。
本明細書において、海藻とは、これらの海藻の藻体全体、あるいは根、茎、および葉を包含する少なくとも一つの部位を包含していう。本発明に用いられる海藻の形態は、未加工のもの、断片、細片または粉末を包含する。さらに、本発明に用いられる海藻は、乾燥物または生の状態のものいずれをも包含する。
また、本発明において、抽出物とは、上記のような海藻を、水、極性または非極性の溶媒、あるいはこれらの混合物を抽出溶媒として用い適切な条件で抽出された抽出物を意味する。抽出物の形態は特に限定されず、抽出液、あるいは当該抽出液を当業者が通常用いる手段により濃縮または乾燥して得られる粉末またはペースト状物も含まれる。
本発明に用いられる海藻由来の抽出物は、好ましくは、上述したような種類の海藻由来の水および/またはアルコール(例えば、メタノール、エタノール、またはプロパノール)から抽出されたもの、より好ましくは、上述したような種類の海藻由来の熱水粗抽出物を含有するC1〜C3アルコール液の上清から得られたもの、である。特に、「海藻由来の熱水粗抽出物を含有するC1〜C3アルコール液の上清から得られたもの」は、後述するような操作を通じて、上記海藻から熱水粗抽出物を得、次いで、これにC1〜C3アルコールまたはC1〜C3アルコール水溶液と合わせた、50(v/v)%以上のC1〜C3アルコール液から、上清を分取して得ることができる。
本発明の第一のアルドース還元酵素阻害剤において、上記抽出物は、当該抽出物に含まれる固形分の重量を基準として、フロロタンニンを好ましくは15重量%以上、より好ましくは18重量%〜100重量%、さらにより好ましくは30重量%〜99重量%、さらにより好ましくは60重量%〜99重量%の割合で含有する。ここで、本明細書中に用いられる用語「抽出物に含まれる固形分の重量」とは、上記抽出物を構成する液体成分を取り除く(例えば、蒸発させる)ことにより、固体成分として残存し得る物質の重量を指して言う。当該抽出物がこのような範囲をフロロタンニン含量を満足することにより、細胞内のソルビトール生成に対する阻害作用は著しく向上する。なお、本明細書中に用いられる用語「フロロタンニン」とは、一般に海藻タンニンとも呼ばれるポリフェノールの一種であり、フロログルシノールを基本骨格単位とする、フロロタンニン類全体を包含する低分子あるいは高分子化合物を指して言う。本発明に用いられ得るフロロタンニンは、1種の当該フロロタンニン類または複数の当該フロロタンニン類でなる混合物のいずれをも包含する。あるいは、本発明においては上記抽出物単独で構成されていてもよい。
次に、本発明の第二のアルドース還元酵素阻害剤について説明する。
本発明の第二のアルドース還元酵素阻害剤は、海藻由来の抽出物を有効成分として含有し、該抽出物は該抽出物に含まれる固形分の重量を基準としてフロロタンニンを15重量%以上、好ましくは18重量%〜100重量%、より好ましくは30重量%〜99重量%、さらにより好ましくは60重量%〜99重量%、さらにより好ましくは60重量%〜99重量%の割合で含有する。あるいは、本発明においては上記フロロタンニン単独で構成されていてもよい。
本発明の第二のアルドース還元酵素阻害剤は、海藻由来の抽出物海藻中に含まれるフロロタンニンが上記範囲(すなわち、下限値を満足する範囲)で含有されていることが重要である。よって、この含有量の範囲を満足する限り、使用され得る海藻の種類は特に限定されない。本発明の第二のアルドース還元酵素阻害剤に含まれる抽出物として使用可能な海藻の例としては、褐藻類または紅藻類に属する海藻が挙げられる。また、これら褐藻類または紅藻類のより具体的な例としては、褐藻類のコンブ目コンブ科、褐藻類コンブ目チガイソ科、褐藻類ヒバマタ目ホンダワラ科、褐藻類ナガマツモ目モズク科、または紅藻類スギノリ目スギノリ科に属する海藻が挙げられるが、これらもまた特に限定されない。
本発明の第二のアルドース還元酵素阻害剤に用いられ得る海藻のさらに具体的な例としては、上記本発明の第一のアルドース還元酵素阻害剤に用いられる海藻と同様のものが包含される。
本発明の第一および第二のアルドース還元酵素阻害剤において、当該抑制剤に用いられる海藻由来の抽出物は、特に限定されないが、例えば、以下のようにして製造される。
まず、上記海藻を熱水中に所定時間浸漬することにより、熱水粗抽出物が製造される。
この浸漬における当該海藻と熱水との量比は特に限定されないが、例えば、海藻100g(乾燥重量)に対して、好ましくは1リットル〜10リットル、より好ましくは2リットル〜5リットルの熱水が使用される。
使用される熱水の温度(抽出温度)は、好ましくは60℃〜100℃、より好ましくは80℃〜100℃、さらにより好ましくは90℃〜100である。なお、上記海藻を浸漬している間は、本発明に用いられる有効成分がより抽出されやすくする目的で、熱水の温度を低下させることのないよう、当業者に公知の手段を用いて加熱することにより温度を維持することが好ましい。
熱水中に浸漬する時間(抽出時間)は、使用する抽出温度によって変化するため、必ずしも限定されないが、例えば、熱水をほぼ100℃に維持する場合、好ましくは1分〜120分、より好ましくは10分〜60分である。抽出時間をこのような範囲内で行うことにより、本発明に用いられる有効成分がより効率良く抽出され得るとともに、不要物の過度の抽出を防止することができる。
上記浸漬の後、例えば、室温まで放冷され、濾過または遠心分離により海藻が取り除かれる。こうして熱水粗抽出物を得ることができる。なお、得られた熱水粗抽出物は、その後、予め不純物を除去する目的で、ヘキサン、クロロホルムなどの有機溶媒と合わせ、有機層が取り除かれた水層由来のものであってもよい。さらに、得られた熱水粗抽出物は、後述の工程に対し、そのまま用いられてもよく、あるいは必要に応じ、当業者に公知の手段を用いて水分を蒸発させた乾固物またはペースト状物の形態で用いられてもよい。
次いで、当該熱水粗抽出物にC1〜C3アルコールまたはC1〜C3アルコール水溶液が合わされ、好ましくは50(v/v)%以上、より好ましくは60(v/v)%〜98(v/v)%の当該アルコール濃度を有するC1〜C3アルコール液が調製される。ここで、調製され得るC1〜C3アルコール液の濃度は、好ましくはこのような範囲において、当業者によって任意の濃度に設定され得る。すなわち、使用する海藻の種類、使用部位、産地、採取時期、採取後の保存状態等によって、本発明において重要な細胞内のソルビトール生成を抑制する成分の含量が変動することがある。また、後述する一連の抽出操作においても、得られる成分含量に誤差が生じることもある。よって、当業者は、このような条件に応じて、当該調製され得るアルコール液の濃度を好ましくはこのような範囲内で任意に設定することができる。
より具体的には、当該熱水粗抽出物を、1個〜3個の炭素原子を有するアルコールまたは所定濃度に調製された1個〜3個の炭素数を有するアルコール水溶液(含水アルコール)と合わすことにより、上記のようなアルコール濃度を有するアルコール液が調製される。このような操作において使用可能な1個〜3個の炭素原子を有するアルコールの例としては、メタノール、エタノールおよびプロパノール、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。生体に対する安全性をさらに向上させることを考慮すれば、エタノールを用いることが好ましい。このようなアルコールまたは含水アルコールの使用量は、合わせる熱水粗抽出物の量によって変化するため特に限定されない。
その後、このC1〜C3アルコール液の上清が分取される。
上記アルコール濃度に設定されたアルコール液を調製することにより、当該アルコール液に不溶な物質が沈殿する場合がある。上清の分取はこの沈殿物を除去する目的で行われ、上清は当業者に周知の方法(例えば、濾過または遠心分離)によって取り出すことができる。
このようにして本発明に用いられる海藻由来の抽出物を製造することができる。なお、得られた海藻由来の抽出物は、本発明における細胞内のアルドース還元酵素阻害活性を高める目的で精製が行われてもよい。この精製は、例えば、上記で得られた上清を、当業者に周知の手段を用いて濃縮することにより濃縮物を得た後、好ましくは40(v/v)%〜90(v/v)%、より好ましくは50(v/v)%〜80(v/v)%のC1〜C3アルコール(好ましくはエタノール)水溶液を用いるカラムに通すことによって行われる。このカラムクロマトグラフィーに有用な吸着剤は、好ましくは芳香族系吸着剤であり、より具体的な例としては、スチレン−ジビニルベンゼン系吸着剤が挙げられる。スチレン−ジビニルベンゼン系吸着剤は、例えば、ダイヤイオンHP20という商品名で三菱化学(株)より市販されている。なお、本発明においては、アルドース還元酵素阻害活性をさらに高める目的で、上記C1〜C3アルコール水溶液を用いる精製を行う前に、上記カラムに対し、水(例えば、蒸留水)を用いて予備的な精製を行うことが好ましい。さらに、この水を用いる予備的な精製は複数回に分けて行うことが好ましい。
上記クロマトグラフィーを行うことにより、よりアルドース還元酵素阻害活性が高められた画分を抽出することができる。得られた画分は、本発明のアルドース還元酵素阻害剤としてそのまま使用することができる。
本発明のアルドース還元酵素阻害剤は、経口による投与または摂取を目的としたもの、経皮吸収を目的としたもの、あるいは皮膚外用剤を目的としたもののいずれの目的にも使用することができる。
本発明のアルドース還元酵素阻害剤はまた、有効成分である上記海藻由来の抽出物以外に、目的に応じて他の成分を含有していてもよい。本発明に含有され得る他の成分の例としては、水;アルコール;食肉加工品;米、小麦、トウモロコシ、ジャガイモ、スイートポテト、大豆、コンブ、ワカメ、テングサなどの一般食品材料およびそれらの粉末;デンプン、水飴、乳糖、グルコース、果糖、スクロース、マンニトールなどの糖類;香辛料、甘味料、食用油、ビタミン類などの一般的な食品添加物;界面活性剤;賦形剤;着色料;保存料;コーティング助剤;ラクトース;デキストリン;コーンスターチ;ソルビトール;結晶性セルロース;ポリビニルピロリドン;油分;保湿剤;増粘剤;防腐剤;香料;ならびにこれらの組み合わせが挙げられる。本発明のアルドース還元酵素阻害剤はさらに、必要に応じて他の薬剤(漢方薬を包含する)を含有していてもよい。このような他の成分および/または他の薬剤の含有量は、特に限定されず、当業者によって適切な量が選択され得る。
さらに、本発明のアルドース還元酵素阻害剤は、必ずしもインビボまたはインビトロのいずれに限定されることなく、さらに細胞内のソルビトール生成に対する阻害作用を発揮させたい任意の用途において広範に利用され得る。すなわち、本発明のアルドース還元酵素阻害剤は、特に限定されないが、例えば、健康食品などの食品組成物に添加される添加物の一種として使用されてもよく、家畜または養殖魚などの生産分野に利用される飼料組成物として、そのままあるいは他の飼料用材料と組み合わせて使用されてもよく、あるいは医薬品、医薬部外品などの医薬組成物として、そのままあるいは他の医薬組成物と組み合わせて使用されてもよい。
本発明のアルドース還元酵素阻害剤が食品組成物として使用される場合、その形態には固定食品に限定されず、飲料(例えば、液体飲料)のようなものを包含される。より具体的な例としては液状、ペースト状、固形状等の形態でなる、茶飲料、コーヒー飲料、清涼飲料、乳飲料、菓子類、シロップ類、果実加工品、野菜加工品、漬物類、畜肉製品、魚肉製品、珍味類、缶・ビン詰類、即席飲食物、内服液、肝油ドロップ、口中清涼剤、ゼリーなどが挙げられるが特にこれらに限定されない。本発明のアルドース還元酵素阻害剤を含有するこのような食品組成物は、当業者に公知の手法を用いて製造され得る。
本発明のアルドース還元酵素阻害剤が医薬組成物として使用される場合、その投与剤形は特に限定されず、日本薬局方に記載の方法にしたがって適切な剤形に加工される。投与剤形のより具体的な例としては、経口投与を目的とする医薬組成物の場合、カプセル剤、錠剤、粉剤、顆粒剤、細粒剤、徐放剤、液剤などの剤形が挙げられ、そして非経口投与を目的とする医薬組成物の場合、注射剤、輸液剤、点眼剤、軟膏剤、クリーム剤、貼付剤などの剤形が挙げられる。用量は、対象となる者の体重等の条件によって容易に変動し得るため、当業者によって適宜選択され得る。
本発明のアルドース還元酵素阻害剤は、その使用形態に応じて当該分野で通常用いる方法によって製造され、その形態に応じた方法で適宜に適量摂取または適用することができる。
以下、本発明を実施例によって具体的に記述する。しかし、これらによって本発明は制限されるものではない。
<実施例1:クロメ抽出物の製造>
乾燥クロメ粉末250gを量り、5Lの蒸留水を添加し、100℃にて10分間加熱して抽出の後、抽出残渣を濾過にて取除いて熱水粗抽出物(1.5L)を得、これにエタノールを添加して70(v/v)%エタノール溶液(5L)を調製した。
乾燥クロメ粉末250gを量り、5Lの蒸留水を添加し、100℃にて10分間加熱して抽出の後、抽出残渣を濾過にて取除いて熱水粗抽出物(1.5L)を得、これにエタノールを添加して70(v/v)%エタノール溶液(5L)を調製した。
得られたエタノール溶液を吸引ろ過し、得られたろ液を減圧留去して1L以下になるまで濃縮した。この濃縮液に精製水で平衡処理したスチレン−ジビニルベンゼン系吸着剤(三菱化学(株)製ダイヤイオンHP20)(900g)を添加し、ゆるやかに攪拌しながら室温で3時間吸着させた後、吸引ろ過し、さらに精製水でろ過洗浄して吸着済み吸着剤(吸着HP20)を得た。
その後、当該吸着HP20を60(v/v)%エタノール溶液(500ml)に20分間浸漬し、吸引ろ過して溶出液を回収した。60(v/v)%エタノール溶液への浸漬と溶出液回収の作業をさらに二度行い、合計3回分としての溶出液(1.5L)を得た。この溶出液を減圧留去してエタノールを除去した後、凍結乾燥を行って抽出粉末16.3gを得た。
<実施例2:フロロタンニンの定量>
実施例1で得られた海藻抽出粉末100mgを正確に量りとり、当該画分の総フロロタンニン量を、フロログルシノールを標準物質として用いるFolin−Denis法(日本食品科学工学会誌,2002年,第49巻,pp.507−511)により測定した。得られた総フロロタンニン量は、91%であった。このことから、上記実施例1で得られた海藻抽出粉末が高濃度のフロロタンニンを含有していることを見出した。
実施例1で得られた海藻抽出粉末100mgを正確に量りとり、当該画分の総フロロタンニン量を、フロログルシノールを標準物質として用いるFolin−Denis法(日本食品科学工学会誌,2002年,第49巻,pp.507−511)により測定した。得られた総フロロタンニン量は、91%であった。このことから、上記実施例1で得られた海藻抽出粉末が高濃度のフロロタンニンを含有していることを見出した。
<実施例3:アルドース還元酵素阻害活性試験>
実施例1で得た海藻抽出粉末を試験物質として用い、これをジメチルスルホキシドで段階希釈して0.1mg/ml、0.33mg/ml、1mg/ml、3.3mg/mlのそれぞれに濃度設定されたサンプル溶液を調製した。各サンプル溶液から3μlを採り、それぞれに700μlの0.2M リン酸緩衝液(pH6.2)、100μlの1.5mM NADPH溶液および100μlの0.003units/ml アルドース還元酵素を添加し、最後に100μlの100mM DL−グリセルアルデヒドを加えて、25℃条件下で反応を開始した。反応開始30秒後から180秒後までの波長340nmにおける吸光度変化を測定し、阻害率を下式により算出した。なお、このときの各溶液における実施例1で得られた海藻抽出粉末の最終濃度は、それぞれ0.3μg/ml、1μg/ml、3μg/ml、および10μg/mlであった。
実施例1で得た海藻抽出粉末を試験物質として用い、これをジメチルスルホキシドで段階希釈して0.1mg/ml、0.33mg/ml、1mg/ml、3.3mg/mlのそれぞれに濃度設定されたサンプル溶液を調製した。各サンプル溶液から3μlを採り、それぞれに700μlの0.2M リン酸緩衝液(pH6.2)、100μlの1.5mM NADPH溶液および100μlの0.003units/ml アルドース還元酵素を添加し、最後に100μlの100mM DL−グリセルアルデヒドを加えて、25℃条件下で反応を開始した。反応開始30秒後から180秒後までの波長340nmにおける吸光度変化を測定し、阻害率を下式により算出した。なお、このときの各溶液における実施例1で得られた海藻抽出粉末の最終濃度は、それぞれ0.3μg/ml、1μg/ml、3μg/ml、および10μg/mlであった。
上記反応溶液について、反応開始30秒と180秒の波長340nmにおける吸光度を測定し、これら2点の吸光度の差を時間で割って吸光度変化を算出し、以下の式を用いてアルドース還元酵素の阻害率(%)を算出した。
なおこの時、ブランク(サンプル溶液のかわりに同量のジメチルスルホキシド、アルドース還元酵素のかわりに同量の0.2M リン酸緩衝液(pH6.2)を使用)と、コントロール(サンプル溶液のかわりに同量のジメチルスルホキシドを使用)も同時に測定した。得られた結果を表1に示す。
他方、実施例1で得られた海藻抽出粉末の代わりに、試験物質として、ポリフェノールであって従来よりアルドース還元酵素剤として使用されているケルセチン(ナカライテスク(株)製298−12)を、ジメチルスルホキシドで段階希釈して、1mg/mlに濃度設定された比較溶液を調製した。この比較溶液から3μlを採り、それぞれに700μlの0.2M リン酸緩衝液(pH6.2)、100μlの1.5mM NADPH溶液および100μlの0.003units/ml アルドース還元酵素を添加し、最後に100μlの100mM DL−グリセルアルデヒドを加えて、25℃条件下で反応を開始し、反応開始30秒後から180秒後までの波長340nmにおける吸光度の変化を測定することにより、上記と同様にして、アルドース還元酵素の阻害率(%)を計算した。得られた結果を表1に示す。
表1に示されるように、実施例1で得られた海藻抽出粉末は、アルドース還元酵素を有効に阻害し得ることがわかる。特に、従来よりアルドース還元酵素阻害剤として知られているケルセチンと比較した場合、最終濃度が同一であっても当該阻害率は実施例1の海藻抽出粉末の方がおよそ1.5倍も高くなっており、優れたアルドース還元酵素阻害剤であることがわかる(表1の(c)と(e))。さらに、最終濃度をより高く(例えば、10μg/ml)にすることによってアルドース還元酵素阻害がほぼ完全に達成され得たこともわかる。
<実施例4:糖尿病合併症改善効果の検討>
39日間の予備飼育を行い糖尿病態を示したKK−Ayマウス(オス、9.5週齢、日本クレア(株)製)14匹について予備飼育最終日に血糖値および体重を測定し、測定した血糖値の結果を基準にしてこれらを2群(サンプル群7匹とコントロール群7匹)に分けた。
次いで、サンプル群には、餌以外として水道水に溶解した0.1重量%の海藻抽出粉末(実施例1で得られた抽出物)を自由摂取させ、そしてコントロール群には、餌以外として水道水を自由摂取させた。餌は、通常食(オリエンタル酵母工業(株)製CE−2)を4週間にわたって自由摂取させた。なお、当該期間を通してサンプル群のマウスの行動、体毛、糞便などには、コントロールのものと比較して差異が認められなかった。
39日間の予備飼育を行い糖尿病態を示したKK−Ayマウス(オス、9.5週齢、日本クレア(株)製)14匹について予備飼育最終日に血糖値および体重を測定し、測定した血糖値の結果を基準にしてこれらを2群(サンプル群7匹とコントロール群7匹)に分けた。
次いで、サンプル群には、餌以外として水道水に溶解した0.1重量%の海藻抽出粉末(実施例1で得られた抽出物)を自由摂取させ、そしてコントロール群には、餌以外として水道水を自由摂取させた。餌は、通常食(オリエンタル酵母工業(株)製CE−2)を4週間にわたって自由摂取させた。なお、当該期間を通してサンプル群のマウスの行動、体毛、糞便などには、コントロールのものと比較して差異が認められなかった。
上記自由摂取による投与4週間後、各マウスを16時間絶食させた後、20(w/v)%グルコース300μlを経口投与(60mg/マウス)し、0分後、30分後、60分後、および120分後に各マウスの血糖値を測定する耐糖能試験を行った。得られたサンプル群およびコントロール群における各マウスの平均血糖値の変化の様子を図1に示す。
図1に示すように、実施例1で得られた海藻抽出粉末を摂取させたサンプル群のマウスでは、コントロール群のものと比較して有意差をもって血糖値が低下しており、耐糖能の改善が確認された。
その後、上記サンプル群およびコントロール群の各マウスを、さらに通常食(CE−2;オリエンタル酵母工業(株)製)にて2日間飼育し、エーテル麻酔をかけ、開腹して、心臓より全血採取して血清を分離し、グリコアルブミン量、フルクトサミン量、およびインスリン量を、日立自動分析装置7180型((株)日立ハイテクノロジーズ製)を使用し、グリコアルブミン量はルシカ GA−L(旭化成ファーマ(株)製)を、フルクトサミン量はオートワコー フルクトサミン(和光純薬工業(株)製)を用いて酵素法により、インスリン量はモリナガ 超高感度マウスインスリン測定キット((株)森永生科学研究所)を用いてELISA法により測定した。結果を表2に示す。
表2に示すように、当該血清における血中インスリン量は、サンプル群のマウスの量が、コントロール群のものよりも有意性をもって低い値を示した(p<0.05)。また、糖タンパクの観点から見れば、サンプル群のマウスの場合が、コントロール群のものよりも、フルクトサミン量において有意差をもって低い値を示し(p<0.02)、グリコアルブミン量についても同様の傾向を示した。
さらに、その後、各マウスから腎臓および膵臓を摘出し、10%中性緩衝ホルマリン液に浸漬して固定後、腎臓の糸球体性状、および膵臓のランゲルハンス氏島の病理検査を行った。
具体的には、湿標本(10%中性緩衝ホルマリン液に浸漬した臓器)よりパラフィンブロック標本を作製し、腎臓についてはPAS染色後標本について鏡検を行い、各例100個の糸球体についてメサンギウム基質の増加が見られるかを判定した。膵臓についてはヘマトキシリン・エオジン(HE)染色を実施し、標本において各例20個のランゲルハンス氏島の大きさを測定した。各結果を表3および表4に示す。
具体的には、湿標本(10%中性緩衝ホルマリン液に浸漬した臓器)よりパラフィンブロック標本を作製し、腎臓についてはPAS染色後標本について鏡検を行い、各例100個の糸球体についてメサンギウム基質の増加が見られるかを判定した。膵臓についてはヘマトキシリン・エオジン(HE)染色を実施し、標本において各例20個のランゲルハンス氏島の大きさを測定した。各結果を表3および表4に示す。
表3に示すように、腎臓の組織検査において、コントロール群およびサンプル群ともに、メサンギウム基質の増加を示す糸球体および尿細管の変化(尿細管拡張、尿細管硝子円柱および再生尿細管)を観察することができた。メサンギウム基質の増加を示す糸球体の個数/(100個当たり)について、サンプル群においてはコントロール群と比較して有意に減少していた(p<0.05)。
他方、表4に示すように、膵臓の組織検査において、ランゲルハンス氏島20個の平均面積、大きいもの10個の平均面積、および大きいもの3個の平均面積のいずれにおいても、コントロール群とサンプル群との間で統計学的に有意差が認められなかった。しかし、コントロール群では、サンプル群と比較して、面積の大きなランゲルハンス氏島が多い傾向を見出すことができた。
インスリンを分泌するランゲルハンス氏島がある膵臓は、アルドース還元酵素が多く存在する臓器であり、 高血糖状態の持続によってポリオール代謝系の亢進が進むと、多量のソルビトール蓄積によって細胞浮腫などが起こり、臓器の機能低下に繋がると考えられている。本実験の表4に示されるランゲルハンス氏島の肥大の抑制傾向、図1に示される耐糖能の改善、表2に示される高インスリン血症の抑制は、膵臓の機能改善ないしインスリン感受性の改善によって起こるものであり、海藻抽出物のアルドース還元酵素阻害効果による膵臓の機能不全の改善がその一因であると考えられる。
<実施例5:食品組成物の調製>
上記実施例1で得られた海藻抽出粉末を用いて、以下の表5に示される組成を有する食品組成物を調製した。
上記実施例1で得られた海藻抽出粉末を用いて、以下の表5に示される組成を有する食品組成物を調製した。
上記各成分を流動造粒機中で混合した後、水を噴霧して造粒を行い、入風温度80℃で乾燥して、顆粒状食品を得た。
本発明のアルドース還元酵素阻害剤は、食品として広く用いられ得る海藻に由来する抽出物を有効成分として含有するため、安全性が高く、日常的な使用が可能であり、食品分野、医薬分野などの種々の分野における汎用性を高めることができる。本発明のアルドース還元酵素阻害剤はまた、細胞内のソルビトール生成を阻害する効果を有するため、糖尿病合併症である網膜症、腎症、神経障害、虚血性心疾患、脳血管障害などの予防または治療の目的に利用することができる。また、動脈硬化症、アルツハイマー病、老化、炎症反応等、細胞内のソルビトール生成が関与する多くの疾患に対する予防または治療の目的に利用することもできる。
Claims (10)
- 褐藻類コンブ目コンブ科のマコンブ(Laminaria japonica)、アラメ(Eisenia bicyclis)、サガラメ(Eisenia arborea)、ツルアラメ(Ecklonia stlonifera)、クロメ(Ecklonia kurome)、カジメ(Ecklonia cava)、褐藻類コンブ目チガイソ科のワカメ(Undaria pinnatifida)、アオワカメ(Undaria peterseniana)、ヒロメ(Undaria undarioides)、アイヌワカメ(Alaria praelomga)、およびチガイソ(Alaria crassifolia);褐藻類ヒバマタ目ホンダワラ科のホンダワラ(Sargassum fuluvellum)、ヒジキ(Hizikia fusiforme)、およびアカモク(Sargassum horneri);褐藻類ナガマツモ目モズク科のモズク(Nemacystus decipieus)およびオキナワモズク(Cladosiphon okamuranus);および、紅藻類スギノリ目スギノリ科に属する海藻;からなる群より選択される少なくとも1種の海藻由来の抽出物を有効成分として含有する、アルドース還元酵素阻害剤。
- 前記抽出物が、前記海藻由来の熱水粗抽出物を含有する50(v/v)%以上のC1〜C3アルコール液の上清から得られた抽出物である、請求項1に記載のアルドース還元酵素阻害剤。
- 前記抽出物が、前記上清を濃縮し、かつ40(v/v)%から90(v/v)%のC1〜C3アルコール水溶液を用いるカラムクロマトグラフィーにかけることにより得られた画分由来の抽出物である、請求項2に記載のアルドース還元酵素阻害剤。
- 前記カラムクロマトグラフィーに用いる吸着剤がスチレン−ジビニルベンゼン系吸着剤である、請求項3に記載のアルドース還元酵素阻害剤。
- 海藻由来の抽出物を有効成分として含有するアルドース還元酵素阻害剤であって、該抽出物が該抽出物に含まれる固形分の重量を基準としてフロロタンニンを15重量%以上の割合で含有するアルドース還元酵素阻害剤。
- フロロタンニンを有効成分として含有する、アルドース還元酵素阻害剤。
- 前記フロロタンニンが海藻由来である、請求項6に記載のアルドース還元酵素阻害剤。
- アルドース還元酵素阻害剤の製造方法であって、
褐藻類コンブ目コンブ科のマコンブ(Laminaria japonica)、アラメ(Eisenia bicyclis)、サガラメ(Eisenia arborea)、ツルアラメ(Ecklonia stlonifera)、クロメ(Ecklonia kurome)、カジメ(Ecklonia cava)、褐藻類コンブ目チガイソ科のワカメ(Undaria pinnatifida)、アオワカメ(Undaria peterseniana)、ヒロメ(Undaria undarioides)、アイヌワカメ(Alaria praelomga)、およびチガイソ(Alaria crassifolia);褐藻類ヒバマタ目ホンダワラ科のホンダワラ(Sargassum fuluvellum)、ヒジキ(Hizikia fusiforme)、およびアカモク(Sargassum horneri);褐藻類ナガマツモ目モズク科のモズク(Nemacystus decipieus)およびオキナワモズク(Cladosiphon okamuranus);および、紅藻類スギノリ目スギノリ科に属する海藻;からなる群より選択される少なくとも1種の海藻を、60℃から100℃の熱水中で抽出して熱水粗抽出物を得る工程;
該熱水粗抽出物に、C1〜C3アルコールまたはC1〜C3アルコール水溶液と合わせて、50(v/v)%以上の該アルコールを含有するC1〜C3アルコール液を得る工程;ならびに
該C1〜C3アルコール液の上清を分取する工程;
を包含する、方法。 - さらに、前記上清を濃縮して、該上清の濃縮物を得る工程;および該上清の濃縮物を、40(v/v)%から90(v/v)%のC1〜C3アルコール水溶液を用いるカラムに通す工程;を包含する、請求項8に記載の方法。
- 前記カラムがスチレン−ジビニルベンゼン系吸着剤を含有する、請求項9に記載の方法。
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