JP2008213795A - シートサスペンション装置 - Google Patents

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井 徹 石
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Abstract

【課題】低いバネ定数で床面から入力される衝撃を緩和し、その上、上下端での底付きや伸びきりによるショックが生じないように構成したシートサスペンション装置を提供する。
【解決手段】キャビン側ブラケット(3)とシートブラケット(2)との間に緩衝手段を介装し、その緩衝手段をエアスプリング(6)とショックアブソーバ(9)とで構成し、そのショックアブソーバ(9)をそのストロークに対して減衰力が可変になるように構成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、エアスプリングを採用した自動車用のシートサスペンション装置の改良に関する。
図1を参照し、従来のトラック用のシートサスペンション装置の一例を説明する。
図1において、図示しないキャビンのフロワFには、枠状のキャビン側ブラケット3が取り付けられている。そして、キャビン側ブラケット3の上方には、枠状のシートブラケット2が対向して設けられており、シートブラケット2の上面はシート1が取り付けられている。
シートブラケット2及びキャビン側ブラケット3には、それぞれ、リンク4およびリンク5の一端部(図1の左方)が回転自在に軸支されており、且つ、リンク4およびリンク5の他端部(図1の右方)が水平方向に摺動自在に支持されている。
そしてリンク4およびリンク5は、シートブラケット2及びキャビン側ブラケット3の間の領域中央部で、X字状に交差して配置されている。
リンク4およびリンク5は、図示しない車両の左右方向(図1の紙面に垂直な方向)に対となって設けられており、シートブラケット2を、図1の上下方向に変位可能に支持している。
前記キャビン側ブラケット3とシートブラケット2との間には、エアスプリング6が介装されている。エアスプリング6は、緩衝手段として両ブラケット3、2間を適正な間隔で保持し、かつ、シートブラケット2の上下方向の急激な動きを緩衝している。
さらに、キャビン側ブラケット3とシートブラケット2との間には、ショックアブソーバ9が介装されている。ショックアブソーバ9は、シートブラケット2の上下方向の急激な動き(振動)を減衰させている。
このようにエアスプリング6を採用したシートサスペンション装置においては、バネ定数を低くすることができる。特にトラックのように振動の多い車両では、振動衝撃を緩和するように、バネ乗数を低く設定すれば、ソフトな乗り心地となって好都合である。
しかしシートサスペンション装置のエアスプリング6におけるバネ乗数を低く設定すれば、そのソフトさの反面、振幅(ストローク)が増大し、エアスプリングの最大収縮時のいわゆる「底付き」によるショックや、エアスプリングの最大伸長時のいわゆる「伸びきり」によるショックが生じてしまう。
「底付き」によるショックや、「伸びきり」によるショックを回避するため、従来技術では、ショックアブソーバの減衰力を増加し、ソフトな乗り心地を犠牲にしているのが現状である。
従来技術において、シートサスペンション装置のショックアブソーバを、ストローク量に応じて減衰力を確保することが出来ると共に、シートに着座する者の操作により、ショックアブソーバの減衰力を切り換え可能とする技術が開示されている(特許文献1)。
しかし、この技術(特許文献1)は、緩衝手段として、エアスプリングではなく圧縮コイルばねが用いられているので、図1で示すシートサスペンション装置にそのまま適用することは困難である。
また、この技術(特許文献1)は、ショックアブソーバにおける減衰力を、ソフトとハードに切り換えるものであるので、当該切り換えが適切に行われないと、通常のストローク範囲におけるソフトな乗り心地と、「底付き」によるショックや「伸びきり」によるショックの防止・緩和とを両立することが出来ない。
さらに、この技術(特許文献1)は、ショックアブソーバにおける減衰力を自動または手動で切り換えるものであるため、減衰力切換機構を設けなければならず、全体の構成が複雑になってしまうという問題が存在する。
特開平8−11607号公報
本発明は上述した従来技術の問題点に鑑みて提案されたものであり、バネ定数の低いエアスプリングの特性を生かして床面から入力される衝撃を緩和し、しかも、上下端での底付きや伸びきりによるショックが生じないように構成したシートサスペンション装置を提供することを目的としている。
本発明のシートサスペンション装置は、キャビンのフロワ(F)に取り付けられたキャビン側ブラケット(3)にリンク(4、5)を介して上下方向に変位可能にシートブラケット(2)が取り付けられているシートサスペンション装置において、前記キャビン側ブラケット(3)とシートブラケット(2)との間に緩衝手段が介装され、その緩衝手段はエアスプリング(6)とショックアブソーバ(9)とで構成されており、そのショックアブソーバ(9)がそのストロークに対して減衰力が可変になるように構成されている(請求項1)。
本発明において、前記ショックアブソーバ(9)は、その減衰力が通常使用されるストロークの範囲から短縮される方向に向かって減衰力が増加する特性を有しているのが好ましい(請求項2)。
また本発明において、前記ショックアブソーバ(9)は、その減衰力が通常使用されるストロークの範囲より短縮される方向に向かって減衰力が増加すると共に、通常使用される範囲より伸張する方向に向かっても減衰力が増加する特性を有しているのが好ましい(請求項3)。
上述した構成を具備する本発明によれば、シートサスペンションはエアスプリングによって柔らかい特性が得られる一方、ショックアブソーバ(9)は、そのストロークに対して減衰力が可変に構成されているので(請求項1)、減衰力を適正かつ連続して変化するように調節することにより、シートに作用する衝撃を柔らげることができる。
そして、シートにおいて特に問題となる衝撃、すなわち、シートが最も沈む状態における衝撃(ショックアブソーバが収縮した際の「底付き」による衝撃)や、エアスプリングが伸び切った状態における衝撃(ショックアブソーバが伸長した際の「伸びきり」による衝撃)を回避し、あるいは緩和することができる。
ここで、ショックアブソーバ(9)が、その減衰力が通常使用されるストロークの範囲から短縮される方向に向かって減衰力が増加する特性を有する様に構成すれば(請求項2)、通常の使用範囲(通常使用されるストロークの範囲)においては、適正なエアスプリングのバネ定数とショックアブソーバの減衰力により、最適な特性とすることができる。
そして、その範囲より沈み込む領域(通常使用されるストロークの範囲から、圧縮される範囲)では、ショックアブソーバによる減衰力が増大されるので、いわゆる「底付き」による衝撃が防止され、或いは緩和される。
また、ショックアブソーバ(9)が、通常使用される範囲より伸張する方向に向かっても減衰力が増加する特性を有するように構成すれば(請求項3)、いわゆる「底付き」によるショックの防止・緩和に加えて、通常の使用範囲(通常使用されるストロークの範囲)よりもストロークが大きい領域(上方領域)において、いわゆる「伸びきり」によるショックも防止或いは緩和される。
これに加えて本発明によれば、ショックアブソーバ(9)の減衰特性を自動或いは手動で切り換える必要が無く、減衰特性切換機構を設ける必要が無いので、構成が煩雑化することと、コストが増大することとが防止される。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
図2、図3は、本発明の第1実施形態を示す。
第1実施形態のシートサスペンション装置は、図1で説明したシートサスペンション装置と同様な構成を具備している。
ただし、第1実施形態のシートサスペンション装置では、キャビン側ブラケット3とシートブラケット2との間に介装されているショックアブソーバ9において、そのストロークxに対する減衰力fの関係を、従来とは異なる様に設定している。
図2において、横軸はストロークx、縦軸は(所定伸縮速度による)減衰力fを示している。
図2において、従来技術に係るショックアブソーバの減衰特性は、ストロークにかかわらず一定となっている(図2における破線)。
それに対して、第1実施形態におけるショックアブソーバ9の特性は、図2において、実線で示す特性となっている。すなわち、図2において、通常使用される領域sと、領域sよりもショックアブソーバが伸長する方向(図2では右方向)ついては、減衰力fが一定な(フラットな)特性となっている。
一方、図2において、領域sよりもショックアブソーバが短縮する方向(図2では左方向)では、シートブラケット2が底付きする位置に近づくため、減衰力fを増加する特性となっている。
したがって、通常使用されている領域sでは、ショックアブソーバによる減衰力は作用せず、エアスプリング6によるばね定数の低いソフトな状態である。
一方、シートが沈み込んで、底付きに近くなると、ショックアブソーバ9の減衰力fが増加し、底付きの衝撃を防止し、或いは、緩和する。
図示の実施形態において、ショックアブソーバの減衰力がストロークに対応して変化する特性は、ショックアブソーバの絞りとなる流路面積を、ショックアブソーバのストロークに対応して可変とすることで、実現できる。
係る構成は、例えば、図3に示されている。図3において、ショックアブソーバ9の内部には、減衰力を生じる絞り孔Hが設けられている。そして、絞り孔Hには、ショックアブソーバ9のストロークによって移動するロッドRが通っている。そのロッドRの断面積を、ロッドRの移動方向において変更することにより、減衰力を変更することが出来る。
図3において、ショックアブソーバ9の減衰力が一定の場合は、図3(1)で示す様に、ロッドRは断面積が小さく且つ一定であり、そのため、絞り孔Hを通過する作動流体の流量は比較的大きく、且つ、を一定に保たれる。その結果、ショックアブソーバ9の減衰力は、小さな数値で一定となる。
シートが沈み込んで底付きに近くなり、ショックアブソーバ9の減衰力fを増加する場合には、図3(2)で示す様に、絞り孔HにおけるロッドRの部分は、テーパ部aとなる。
係るテーパ部aにより、絞り孔Hの流路面積が徐々に絞られて、作動流体の流量が徐々に減少して、減衰力fが増加する。
図4は、本発明の第2実施形態を示す。
第2実施形態も、第1実施形態と同様に、図1で説明したシートサスペンション装置と同様な構成を具備している。
ただし、第2実施形態では、ショックアブソーバ9Aの減衰力fの特性が、図4で示す様になっている。
図4において、ショックアブソーバ9Aの減衰力fは、ストロークが通常使用される領域sから短縮方向(図4の左方向)において増加しているのに加えて、通常使用される領域sから伸張方向(図4の右方向)においても減衰力fが増加する特性となっている。
通常使用される領域sから伸張方向(図4の右方向)において減衰力fが増加する特性とすることにより、リバウンド等によりエアスプリングが伸び切ってしまった際のショック(「伸びきり」によるショック)が防止され、或いは、緩和される。
図4で示す様な減衰力特性を獲得するためには、例えば、通常使用される領域sよりも伸張側においても、ショックアブソーバ9Aの絞り孔Hを通過するロッドの部分に、図3(2)で示すのと同様なテーパ部分及び大径部を形成すれば良い。
第2実施形態におけるその他の構成及び作用効果については、第1実施形態と同様である。
図示の実施形態はあくまでも例示であり、本発明の技術的範囲を限定する趣旨の記述ではない旨を付記する。
エアスプリングを採用したシートサスペンション装置を示す側面図。 本発明の第1実施形態における減衰力特性を示す図。 図2の減衰力特性を得る機構の一例を説明する図。 本発明の第2実施形態における減衰力特性を示す図。
符号の説明
1・・・シート
2・・・シートブラケット
3・・・キャビン側ブラケット
4、5・・・リンク
6・・・エアスプリング
9、9A・・・ショックアブソーバ

Claims (3)

  1. キャビンのフロワに取り付けられたキャビン側ブラケットにリンクを介して上下方向に変位可能にシートブラケットが取り付けられているシートサスペンション装置において、前記キャビン側ブラケットとシートブラケットとの間に緩衝手段が介装され、その緩衝手段はエアスプリングとショックアブソーバとで構成されており、そのショックアブソーバがそのストロークに対して減衰力が可変になるように構成されていることを特徴とするシートサスペンション装置。
  2. 前記ショックアブソーバは、その減衰力が通常使用されるストロークの範囲から短縮される方向に向かって減衰力が増加する特性を有している請求項1のシートサスペンション装置。
  3. 前記ショックアブソーバは、その減衰力が通常使用されるストロークの範囲から短縮される方向に向かって減衰力が増加すると共に、通常使用される範囲から伸張する方向に向かっても減衰力が増加する特性を有している請求項1のシートサスペンション装置。
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