JP2008213011A - 射出装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 スリーブ内のチップ位置に対応してチップ内を流れる冷却水量及び通水位置を変化させることにより、鋳造品の品質を向上させ、鋳造機の生産性を向上させる射出装置を提供することである。
【解決手段】 鋳造に用いる溶融金属が充填される金型85と、金型85に連通し、溶融金属を内部に蓄える筒状のスリーブ9と、スリーブ9内で溶融金属を金型85に充填させ、金型85に充填後の溶融金属を冷却する冷却部53(50,54)とを有するチップ3と、スリーブ9内でチップ3を移動させるロッド14と、チップ3とロッド14を結合するチップジョイント2と、ロッド14内からチップジョイント2の内部を通って、チップ3内に延在され、チップ3内の冷却部53(50,54)と連通することによりチップ3を冷却する冷却管8(7,6)とを備える射出装置1において、スリーブ9内におけるチップ3の位置によりチップ3と冷却管8(7,6)の相対位置が変化する射出装置1としたことである。
【選択図】 図2

Description

本発明は、鋳造機の射出装置に関するものであり、特に、チップに流れる冷却水を制御することによりチップを均一に冷却する射出装置に関するものである。
従来、文献1に示されるようにスリーブ内に供給された溶湯をチップを用いてキャビティに向けて充填する装置において、チップを冷却するための技術が知られている。このチップ冷却装置は、外周がスリーブの内周に摺接しており内部に冷却室が形成されたチップ、後述するロッドに係合されて冷却室に冷却水を通水する給水管、チップの内部で冷却室と連通し、内部に給水管を格納する空間が設けられた中空形状のロッドを有している。そして、チップとロッドが結合しており、チップの一側にロッドが連結している。更に、チップ内とロッド内に各々形成されている内部空間が連通するように係合される。このとき、ロッドの内周壁と給水管の外周壁の間にはクリアランスが形成される構成となる。そして、給水管から通水される冷却水が、チップとロッドの内部を連通している空間を経てチップ内部の冷却室に流れる。このとき冷却室に通水された冷却水は、チップ内部に接触し、チップに加えられた熱を吸収する。その後、熱を吸収した冷却水は、上記クリアランスを通りチップ冷却装置の外部に排出される構成を有する。
実開平3−18953号公報(図1)
このようにスリーブに供給された溶湯を金型のキャビティ及び湯道部に向けて射出するチップは、溶湯の熱により加熱されることから冷却を行っている。このとき、チップ全体から見て冷却されている位置や冷却水量が不均一だった場合には、チップが不均一に膨張しスリーブとチップの摺動抵抗が上昇し、チップ等の寿命低下により生産性が低下するおそれがある。また、摺動抵抗の上昇によりチップの移動速度(以下射出速度という。)が低下する可能性がある。この射出速度が低下すると、溶湯をキャビティに充填する時間が長くなるおそれがある。このように溶湯を充填する速度が低下すると金型に充填中の溶湯温度が所望の温度以下に低下し、キャビティ全体に溶湯が廻らなくなるおそれがある。その他、チップの冷却が不足すると、例えば、チップ本体の温度が高くなりすぎ、キャビティに溶湯を充填後に圧力を加える厚肉の湯道部等(以下ビスケット等という。)の凝固が遅れる。このように凝固が遅れると鋳造サイクルの延長につながり、鋳造品の生産性が低下するおそれがある。しかし、冷却能力が大きすぎると、チップ表面と接触する溶湯の凝固が進み凝固片(以下破断チル層という。)が生成される。この破断チル層は、キャビティに向けて凝固していない溶湯と共に金型内に充填され、充填完了後は、キャビティ及び湯道に点在する。すると、充填後に保圧を加えた場合に、破断チル層が保圧による圧力伝播を阻害し、キャビティ等の所定の部位まで圧力が伝播せず所定の保圧効果を得ることができない。この場合、金型に溶湯を充填中に溶湯がキャビティ中の空気等を巻き込むことにより発生する所謂ガス巣を保圧により潰すことができないおそれがある。また、溶湯の凝固速度の違いから生ずる巣である所謂ヒケ巣への溶湯補充を行うことができずヒケ巣を潰せないおそれがある。このように巣を潰せないと、巣部分を基点とする破壊や洩れ等の発生につながり鋳造品の品質が低下するおそれがある。このことからチップの冷却は、鋳造における重要な要因である。
しかし、文献1に記載のチップ冷却装置では、冷却室の容積が広く、冷却室と上記クリアランスには段差があることから全ての冷却水を効率よく排水できないおそれがある。そして、チップの冷却室内で部分的に冷却水の対流が弱くなり冷却水の入れ替わりが行われない部分が発生するおそれがある。これにより、チップ内の一部において冷却効率が低下し、チップの膨張が不均一となるおそれがある。
この他、文献1に記載のチップ冷却装置は、チップと給水管の相対位置が変わらない為にスリーブ内におけるチップの位置の如何を問わずにチップ内の冷却室にほぼ一定量の冷却水を供給してしまう問題が生じる。例えば、冷却能力を小さく設定したい工程である溶湯をスリーブに供給している工程と、冷却能力を大きく設定したい保圧をビスケット等に加えている工程では、必要な冷却能力が異なる。しかし、文献1記載のチップ冷却装置では、鋳造機の動作工程が異なる場合の冷却水量の制御ができない。つまり、冷却能力を強くする側に調整するのか、冷却能力を弱い側に調整するのか、これらの中間の冷却能力に調整するのか、いずれかに決める必要がある。この場合、調整が不十分であると、例えば、チップの冷却能力過剰により破断チル層が増加したり、逆に、チップの冷却能力不足による保圧時のチップ温度上昇によるビスケット等の凝固時間が延びる等の品質低下及び生産性低下のおそれがある。
そこで、本発明は、スリーブ内のチップ位置に対応してチップ内を流れる冷却水量及び通水位置を変化させることにより、鋳造品の品質を向上させ、鋳造機の生産性を向上させる射出装置を提供することである。
上記課題を解決する為に講じた技術的手段は、請求項1に示すように鋳造に用いる溶融金属が充填される金型と、金型に連通し、溶融金属を内部に蓄える筒状のスリーブと、スリーブ内で溶融金属を金型に充填させ、金型に充填後の溶融金属を冷却する冷却部とを有するチップと、スリーブ内でチップを移動させるロッドと、チップとロッドを結合するチップジョイントと、ロッド内からチップジョイントの内部を通って、チップ内に延在され、チップ内の冷却部と連通することによりチップを冷却する冷却管とを備える射出装置において、スリーブ内におけるチップの位置によりチップと冷却管の相対位置が変化する射出装置としたことである。
このとき、請求項2に示すように、冷却管は、スリーブとチップの摺動抵抗により相対位置が変化するとよい。そして、請求項3に示すように相対位置は、ロッドに係合された冷却管に形成された穴とチップ内の冷却水通路が連通する位置であると良い。
また、請求項4に示すようにチップは、スリーブの内周に摺接する一端が閉じられた筒状のアウターチップと、このアウターチップの内周に当接する筒状のインナーチップとを有し、冷却部は、アウターチップの先端を冷却する先端冷却部と、アウターチップの周面を冷却する周面冷却部との少なくとも一方を備えていると良い。そして、請求項5に示すように先端冷却部はアウターチップの閉じられた端部とインナーチップの先端面とにより形成され、周面冷却部はアウターチップの内周面と前記インナーチップの外周面とにより形成されると良い。更に、請求項7に示すように、インナーチップは、延在方向に冷却水供給管、冷却水排水管および加圧気体管をその延在方向に格納する配管孔と、配管孔と先端冷却部及び周面冷却部の少なくとも一方とに連通する内部通路とを有すると良い。ここで、請求項8に示すように内部通路は、先端冷却部と配管孔を連通する先端通路及び周面冷却部と配管孔を連通する周面通路の少なくとも一方を備えると良い。この他、請求項9に示すように冷却水供給管、冷却水排水管および加圧気体管は、ロッドの内部に配設され、チップジョイントを貫通し、インナーチップの配管孔に延在すると良い。
この他、請求項6に示すように、冷却管は、チップ内に冷却水を供給する冷却水供給管と、冷却水供給管からチップ内に供給された冷却水をチップの外に排出する冷却水排水管と、チップ内に供給された冷却水がチップ内から排水管へと流れることを補助するために、チップ内に加圧気体を噴射する加圧気体管とを有し、冷却水供給管、冷却水排水管および加圧気体管の各々はその延在方向における一側の外周面に冷却管の内部と連通する少なくとも1つの連通穴を有すると良い。そして、請求項10に示すように、チップジョイントは、ロッド内にロッドの軸方向に移動自在に配設されて、チップ内の冷却部と冷却管の連通穴との相対位置が変化することにより冷却水を通水すると良い。
請求項1に記載の発明によれば、スリーブ内におけるチップと冷却管の相対位置が変化することで、スリーブ内におけるチップの動作位置に対応してチップの冷却水量、冷却位置を制御することができ、品質及び生産性を向上させることができる。このとき、請求項2に記載の発明のように、スリーブとチップの摺動抵抗によりチップの冷却位置を変化させるので、個別の動力源を用いて作動をさせる必要が無く、スリーブ内のチップの通常動作中で冷却位置を変化させることができる。よって、冷却位置を変化させる機構を簡素化でき、装置の故障等の可能性が低減され生産性を向上させることができる。また、簡素な構造なので、低コストで最適なチップの冷却を行うことができる。更に、請求項3に記載のように、チップの冷却位置は、ロッドに係合された冷却管に形成された穴とチップ内の冷却水通路の相対位置により決定することで、射出装置に冷却水通路毎の冷却水供給管やバルブ等の装置が不要となりチップを冷却する為の装置を小型化することができる。よって、チップの冷却装置に起因する故障が発生する可能性を低減させることができる。また、チップを冷却する装置のコストを低減でき、設置スペースも低減することができる。
また、請求項4に記載のように先端冷却部と周面冷却部を設けることにより、溶湯から伝わる熱に対する先端部の冷却と、スリーブから伝わる熱に対する周面部の冷却が可能となる。これによりチップを均一に冷却でき、品質及び生産性を向上させることができる。そして、請求項5に記載のようにアウターチップの内周とインナーチップの外周により冷却水通路を形成することにより冷却水通路を配設できる範囲が広がり、チップの冷却範囲を均一にすることができる。更に、チップ内の冷却水通路を形成する為の製作が一体加工で内部に冷却水通路を製作することに比べ簡易となるので、一体加工に比べチップの製作コストを下げることができる。更に、チップを別体にすることで分解と点検が一体加工品に比べ容易にでき、例えば、冷却水内の不純物が冷却水通路内に堆積したときの点検及び保守が容易となるので早期の故障発見と早期の修理ができる。また、請求項7に記載のように配管孔と先端冷却部及び周面冷却部の少なくとも一方とに連通する内部通路を設けることにより、チップの先端及び周面の少なくとも一方に冷却水を行き渡らせることができ、チップの加熱分布に併せた均一な冷却を行うことができる。この構成とすることにより鋳造品の品質及び生産性を向上することができる。このとき、請求項8に記載のように、内部通路は先端通路及び周面通路の少なくとも一方を備えることにより各配管と冷却通路の相対位置を変化させてチップ内に通水することができ、品質及び生産性を向上させることができる。この他、請求項9に記載のように冷却水供給管、冷却水排水管および加圧気体管を、ロッドの内部からインナーチップ内に格納することにより、チップがスリーブ内にあっても配管がスリーブ等に干渉することなくチップ内の冷却部に冷却水を給排水できる。更に、スリーブ等に干渉することなく加圧気体管も配設でき、加圧気体の補助により効率良くチップ内から冷却水の排出を行うことができる。
この他、請求項6に記載のように、冷却水供給管、冷却水排水管および加圧気体管を備え、各管が少なくとも1個の管の内部と連通する連通穴を外周面に設けることで、各配管の側面方向に冷却水等を通水させることができ、チップ全体を均一に冷却することができる。また、請求項7に記載の内部通路と組合せることによりチップ内の隅部や角部の蓄熱量が多くなる部分にも冷却水を通水させることができ、チップを均一に冷却させることができる。そして、請求項10のようにチップジョイントがロッド内で所定の距離だけ移動により、チップ内の冷却部と冷却管の連通穴との相対位置が変化するようにしたことで、簡易な機構で冷却水の制御ができる。これにより、チップ冷却に起因する射出装置の故障発生を抑制し、更に均一なチップ冷却を行う射出装置の製作コストを低減できる。
以下に、本発明の実施形態の射出装置について図8を参照して説明する。
図8は、金型85と本発明の射出装置1を備える鋳造機の部分概略図である。金型85は、可動型85bと固定型85aから構成される。可動型85bは、図8におけるX1及びX2方向に開閉し、固定型85aと当接する。そして、可動型85bと固定型85aが当接することにより、金型85の内部にキャビティ81とキャビティ81に連通する湯道84を形成する構成を有する。そして、この湯道84にスリーブ9が軸方向に当接し、スリーブ9の内部空間92が湯道84に連通する構成を有する。ここで、スリーブ9は図示しない給湯機がスリーブ9の内部92に溶融金属を供給するための給湯口91を有している。
そして、射出装置1は、主に、図示しない射出シリンダ、この射出シリンダに一方が格納され他方が射出シリンダから露出している移動自在のロッド14、このロッド14と一端が係合するチップ3を備えている。更に、図示しない射出シリンダ内の流体の圧力変動によりロッド14が図8におけるX1及びX2方向に移動自在となる構成を有する。そして、チップ3は、スリーブ9の内部に配設され、ロッド14に連動する構成を有する。ここで、チップ3とロッド14は略同軸に配設される構成を有する。また、チップ3及びロッド14とスリーブ9も略同軸に配設される。
このように金型85と射出装置1は係合しており、図示しない給湯機により給湯口91から溶融金属をスリーブ9の内部に供給し、チップ3により金型85に向けて溶融金属を充填する構成を有する。そして、充填された溶融金属により、キャビティ81で形成される製品部81aと湯道84で形成されるランナー84aとスリーブ9の内部で形成される筒状のビスケット82を有する構成となる。そして、本実施形態では、一回の鋳造において、製品部81a、ランナー84a、ビスケット82が一体で形成される構成を有する。
図1を参照して本発明の実施形態に係る射出装置1について説明する。本発明の射出装置1は、主に、チップ3を構成する筒状のインナーチップ3aとアウターチップ3b、チップジョイント2、ロッド14を構成する第1ロッド11と第2ロッド10、加圧気体管6等を有する。
チップ3は、一端が閉じられた先端面3cを有する端部と他端が開放された筒状のアウターチップ3bとアウターチップ3bの内周に係合される筒状のインナーチップ3aを有する。アウターチップ3bは、外周面5とスリーブ9の内周面が略摺接する構成を有する。そして、アウターチップ3bの先端面3cと軸方向で反対側側の端部から軸方向にインナーチップ3aが内嵌される構成を有する。
次にインナーチップ3aについて、図3を参照して説明する。インナーチップ3aは、外周面31の軸方向に螺旋状に形成される外周通路51を有する。この外周通路51は、インナーチップ3aがアウターチップ3bと軸方向に係合することにより、アウターチップ3bの内周と当接して周面冷却部50を形成する。この外周通路51は螺旋状の一端がインナーチップ3aの内部から延在する周面冷却水通路40と連通する構成を有する。そして、周面冷却水通路40は、インナーチップ3aの内部を貫通する冷却水供給管用孔39と連通している。更に、この外周通路51の螺旋状の他端は、周面排水通路43と連通する構成を有する。この周面排水通路43は、インナーチップ3aの内部に配設される盲孔状の冷却水排水管用孔38と連通する構成を有する。この構成とすることにより、冷却水供給管用孔39と冷却水排水管用孔38は、外周通路51を介して連通する構成を有する。ここで、本実施形態では、外周通路51は、溝数は6溝であるが、溝数は本実施形態に限定されるものではなく、チップ3の大きさ、冷却水量等によって任意に定めるものである。また、外周通路51の断面形状は、本実施形態では矩形であるが、本実施形態に限定されるものではなく、例えば、断面形状が半円形等であっても良い。
更に、インナーチップ3aの先端部の略中央に中冷却通路53が形成されており、図3の上面視に記したように、中冷却通路53を挟んで左右対称に半円筒形状の段部52が形成されている。この他、段部52の円周方向には、所定の幅で環状の周冷却通路54が形成されている。ここで、アウターチップ3bの内周にインナーチップ3aを係合させると、この段部52の端面がアウターチップ3bの閉じている端部の内面に当接し、先端冷却部53(54)を形成する。そして、チップ3の先端面6の全体が冷却されないので、チップ3の先端が過冷却となることを抑制できる。この構成とすることで、例えば、溶融金属の給湯時や金型85への充填時にチップ3の表面と接触する溶湯により発生する破断チルの発生を抑制することができる。
また、中冷却通路53には、ほぼ中央に後述する冷却水供給管8を格納する為の冷却水供給用孔39が配設されている。そして、中冷却通路53と周冷却通路54の交差する位置に後述する気体供給通路36が配設されている。これにより冷却水供給用孔39と気体用供給通路36は中冷却通路53を介して連通する構成を有する。更に、周冷却通路54の中心軸上であり、中冷却通路53と直行する位置には、先端排水通路41(42)が配設されている。この先端排水通路41(42)は、インナーチップ3aの内部で冷却水排水管用孔38と連通する構成を有する。よって、中冷却通路53に配設された冷却水供給用孔39と気体供給通路36は、周冷却通路54を経て先端排水通路41(42)と連通する構成を有する。
この構成とすることで、先端冷却部53(54)に通水された冷却水を冷却水排水管用孔38に向けて排水できる。そして、早期に冷却を止めたい場合に、先端冷却部53(54)は、気体供給通路36と連通しているので、加圧気体の噴射により、冷却水自体の流水だけで排水するよりも効率良く冷却水排水管用孔38に排水させることができる。そして、チップ3の過冷却による破断チルの発生やスリーブ9内における溶融金属の温度低下等を抑制することができる。ここで、本実施形態では、先端排水通路41(42)及び周面排水通路43は、相対角度が180度に配設される構成を有している。また、周面冷却水通路40及び気体供給通路36も相対角度が180度となるように配設する構成を有する。そして、先端排水通路41(42)及び周面排水通路43と周面冷却水通路40及び気体供給通路36も、相対角度が180度と成るように配設する構成を有する。更に、スリーブ9と周面冷却水通路40及び気体供給通路の関係は、スリーブ9の重力方向に周面冷却水通路40が延在するように配設する。また、スリーブ9の反重力方向に気体供給通路が延在するように配設する構成を有する。
但し、周面冷却水通路40及び気体供給通路36の相対角度、先端排水通路41(42)及び周面排水通路43、先端排水通路41(42)及び周面排水通路43と周面冷却水通路40及び気体供給通路36が成す各相対角度は、本実施形態に限定されるものではない。例えば、チップ3の温度分布を考慮して相対角度を変更しても良い。
この他、中冷却通路53又は周冷却通路54と軸方向で反対側の端部には、チップジョイント2を内嵌する為の空間46が配設されている。この空間46と加圧気体供給孔37と冷却水排水管用孔38及び冷却水供給用孔39は連通している。そして、空間46にチップジョイント2の一方を内嵌すると後述するチップジョイント2の内部空間55と加圧気体供給孔37と冷却水排水管用孔38及び冷却水供給用孔39が連通する構成を有する。本実施例では、図示していないがチップジョイント2とインナーチップ3aは螺子結合されている。しかし、結合方法は本実施形態に限定されるものではなく、例えばボルト結合等であっても良く、チップジョイント2とインナーチップ3aが結合されていれば良い。
次に、チップジョイント2について図2を参照して説明する。チップジョイント2は、円筒形の小径部24を有しており、略中央部に小径部24よりも一段大きい径の大径部23を有している。そして、小径部24の一方は、軸方向でインナーチップ3aの空間46に内嵌され、大径部23は、軸方向に後述する第1ロッド11の内部に配設される構成を有する。このとき、小径部24のインナーチップ3a側の一部外周と大径部23の外周は、第1ロッド11の内周と略摺接する構成を有する。そして、チップジョイント2の小径部24の他方は、第2ロッド10の段部10aに挿入される構成を有する。この構成により、チップジョイント2は、第1ロッド11の内周面11aと第2ロッドの段部10aに支持される構成を有する。更に、インナーチップ3aと第1ロッド11の間には、空間15が形成されるようにチップジョイント2を配設する構成を有する。
ここで、アウターチップ3bの外周面5にスリーブ9の内周との摺動抵抗が発生するとチップジョイント2は、第1ロッド11の内部の空間13、第2ロッド10の段部10aにより形成される空間13aを図2におけるX1及びX2方向に移動する。このときチップジョイント2と内嵌されているチップ3は空間15をチップジョイント2と連動して移動する構成を有する。
また、チップジョイント2の内部には、加圧気体供給孔37と冷却水排水管用孔38及び冷却水供給用孔39を格納する空間55を有している。この構成により、加圧気体供給管6と冷却水排水管7及び冷却水供給管8をインナーチップ3aの内部まで延在させることができる。これにより、チップ3の内部に流れる冷却水量と冷却位置を変化させることができ、鋳造品の品質及び鋳造機の生産性を向上させることができる。
次に、ロッド14について図1を参照して説明する。ロッド14は、第1ロッド11と第1ロッドの開放された一端と軸方向に結合される第2ロッド10及び第1ロッドの内部に配設される皿バネ12を有する。本実施形態では、皿バネ12の設定は、皿バネ12の反発力がアウターチップ3bの外周面5の全周とスリーブ9の内周面が略摺接するときに発生する摺動抵抗より大きく設定している。しかし、皿バネ12の反発力の設定は本実施形態に限定されるものではなく、例えば、外周面5の半分の面積とスリーブ9の内周面が略摺接することによる摺動抵抗よりも大きい反発力の設定を選んでも良い。また、本実施形態では、6枚の皿バネ12を使用しているが、皿バネ12の枚数はこれに限定されるものではなく、使用されるチップ種類、寸法、皿バネ12の規格等を考慮し定めたものであれば良い。
この他、第1ロッド11は、端部16にチップジョイントの小径部24が移動する図示しない穴部を有している。そして、他端には後述する第2ロッド10と結合する為の図示しない開口された一端を有している。
ここで、第1ロッド11の内部には、チップジョイント2が軸方向に移動自在に格納される。このとき、端部16の図示しない穴部からチップジョイント2の一方の小径部24が移動自在に配設される構成を有する。また、第1ロッド11の内周面11aは、チップジョイント2の大径部23の図示しない外周面と略摺接する構成を有する。そして、アウターチップ3bの外周面5にスリーブ9との摺動抵抗が発生すると、チップジョイント2の大径部23が第1ロッド11の内部の空間13を図1におけるX1及びX2方向に自在に移動する構成を有する。
ここで、チップジョイント2の大径部23の外周面が摺接する第1ロッド11の内周面11aの材質は、本実施形態では、第1ロッドと同種の材料を使用している。しかし、内周面11aの材質は、本実施形態に限定されるものではなく、摺動抵抗の小さい別種の部材を配設する構成としても良い。
次に第1ロッド11は、端部16の内周面とチップジョイント2の大径部23の金型85側に有する端面が当接することによりチップジョイント2の金型85方向の移動が規制される構成を有する。そして、チップジョイント2の第2ロッド10の方向への移動規制は、大径部23の第2ロッド側の端面が皿バネ12に当接する構成及び第2ロッド10の空間13aとチップジョイント2aの先端部2aが当接する構成の少なくとも一方により規制する。このとき、皿バネ12の大径部23の第2ロッド側の端面との当接による変形量は、皿バネ12の変形量が最大のときにチップジョイント2の移動が規制されても良いし、皿バネ12の変形量が最大となる前にチップジョイント2の移動を規制しても良い。
この構成により、鋳造後に、ビスケット82をチップ3を用いてスリーブ9から押し出すと、アウターチップ3bの外周面5の一部がスリーブ9から露出する。そして、アウターチップ3bに加わる摺動抵抗が減少し皿バネ12の反発力がチップ3に発生する摺動抵抗より大きくなり、チップ3を金型85の方向に押し出す。すると、チップ3の先端冷却部53に位置していた冷却水供給管8の外周に配設された連通穴86がインナーチップ3aの内部に格納され、先端冷却部53への冷却水の供給が抑制される。この構成によって、チップ3の先端面3cの過冷却を抑制することができる。
また、第2ロッド10は、第1ロッド11との結合部に円筒状の段部10aを有している。そして、段部10aの内部にチップジョイント2の小径部24の一方が配設される空間13aを有している。この空間13aにチップジョイント2の小径部24が配設されることにより、大径部23の外周面と小径部24により第1ロッド11及び第2ロッド10の内部でチップジョイント2が移動自在に支持される構成を有する。本実施形態では、摺動している面は第2ロッドと同種の材質を用いている。しかし、これに限定されるものではなく、空間13aのチップジョイント2が当接する面は、第2ロッド10と同種の材質でも良いし、摩擦抵抗の小さい摺動部材を配設する構成としても良い。
そして、第2ロッド10の第1ロッド11と結合していない側の図示しない端部は、図示しない射出シリンダの内部に格納されており、射出シリンダ内部の流体の移動により、第2ロッドが図1におけるX1方向及びX2方向に移動自在とする構成を有する。
この他、ロッド14には冷却水供給管8、冷却水排水管7、加圧気体管6が配設されている。そして、冷却水供給管8、冷却水排水管7、加圧気体管6は、アウターチップ3a、チップジョイント2の内部空間55を経て、インナーチップ3aの内部に配設された冷却水供給用孔39、冷却水排水管用孔38、加圧気体供給孔37に向けて延在する構成を有する。
ここで、冷却水供給管8、冷却水排水管7、加圧気体管6は、チップ3が接続されているロッド14と軸方向に反対側の端部にある図示しない接続口によりロッド14の外部と接続をされる。これにより、本実施形態の射出装置1は、ロッド14の図示しない接続口から冷却水供給管8、加圧気体管6に対して冷却水、加圧気体が供給され、供給された冷却水及び加圧気体はチップ3の内部を冷却する。そして、チップ3の内部を冷却した冷却水及び加圧気体は、冷却水排水管7を経て、ロッド14の図示しない接続口からロッド14の外部に排出される構成を有する。
また、冷却水供給管8、冷却水排水管7、加圧気体管6は、チップ3が図1におけるX1及びX2方向に移動可能なように冷却水供給用孔39、冷却水排水管用孔38、加圧気体管用供給孔37に所定のクリアランスを持って配設される。冷却水供給管8の外周面の連通穴86、冷却水排水管7の外周面の連通穴71(72,73)、加圧気体管6の外周面の連通穴61は、インナーチップ3aの移動により周面冷却水通路40、周面排水通路43、気体用供給通路36と各々が連通することにより水や気体を通し、連通しないときは水や気体の通過を抑制する構成を有する。この構成によりチップ3の内部の先端冷却部53(54)や周面冷却部50に流れる冷却水量を制御する。これによりチップ3の動作状況に適した冷却水の通水制御が可能となり、チップ3の過冷却や、チップ3の冷却不足を抑制することができる。ここで、冷却水供給管8の外周面の連通穴86は、冷却水供給管8の中心軸と直交方向に冷却水供給管8を貫通するように配設されている。また、冷却水排水管7の外周面の連通穴71(72,73)も、各々の穴が冷却水排水管7の中心軸と直交方向に冷却水排水管7を貫通するように配設されている。
次に、本実施形態のチップ3等にスリーブ9を配設したときの構成を説明する。図4から図7の上段は、図1におけるチップ3、ロッド14、チップジョイント2等のスリーブ9内の配置を示す構成図である。図4から図7の下段は、図2におけるチップ3、ロッド14、チップジョイント2等のスリーブ9内の配置を示す構成図である。
射出装置1が射出待機位置のときの構成について図4を参照して説明する。ここで、射出装置1が射出待機位置のときは、アウターチップ3bの外周面5の一部分がスリーブ9に略摺接する構成を有する。ここで、スリーブ9の内周面とアウターチップ3bの外周面5は本実施形態に限られず、溶融金属が進入してこないクリアランスを有していても良い。このとき、チップジョイント2は、大径部23の図示しない一方の端面が、第1ロッド11のチップ3側にある端部の内面と当接する構成を有する。ここで、チップ3における冷却水の通水は、ロッド14の図示しない接続口から冷却水が供給される。そして、供給された冷却水は、ロッド14の内部に配設された冷却水供給管8から冷却水供給管8の外周面の連通穴86を経て周面冷却水通路40に流される。更に、冷却水は、チップ3の周面冷却部50に通水されて冷却水排水通路43に流される。このとき、冷却水排水管用孔38に配設された冷却水排水管7の外周面に配設された連通穴のうちロッド14側に配設された連通穴73と冷却水排水通路43が連通する構成を有する。そして、周面冷却部50を流れた冷却水が冷却水排水管7に流され、ロッド14の図示しない接続口を経て射出装置1の外部に排出される。この構成とすることによりアウターチップ3bの周面が冷却されて、アウターチップ3bの先端面3cの冷却が抑制される。そして、溶湯をスリーブ9の内部に供給するときに、先端面3cの過冷却を抑える事ができ破断チルの発生が抑制されて鋳造品の品質を向上させることができる。
次に、射出装置1が図5における左方向に動作すると、スリーブ9の内周面とアウターチップ3bの外周面5の間で発生する摺動抵抗により、チップ3とチップジョイント2がロッド14側に移動する構成を有する。この摺動抵抗により、チップ3と第1ロッド11間の空間15が狭くなる。また、第1ロッド11の内部では、チップジョイント2の大径部23が空間13をチップ3と軸方向で反対側に移動する構成を有する。そして、チップジョイント2の端部2aは、第2ロッド10の段部10aに形成される空間13aに向けて移動する構成を有する。このとき、冷却水供給管8の連通穴86と周面冷却水通路40、冷却水排水管7の連通穴71(72、73)と周面排水通路43、加圧気体管6の連通穴61と気体用供給通路36は連通しない。この作動により周面冷却部50に流れる冷却水量は各穴が連通している場合と比較して少なくなる。そして、冷却水供給管8と冷却水供給管用孔39のクリアランスを流れる冷却水が先端冷却部53(54)に流れ、先端排水通路41(42)を経て冷却水排水管7からチップ3の外に排水される。この構成とすることでチップ3の移動時にチップ3の先端面3cに所望の冷却を行いつつ、チップ3全体の過冷却を防止することができる。そして、破断チル層の発生や、溶湯温度低下による湯廻り不良等を抑制できる。ここで、本実施形態のように射出装置1の動作中に冷却水を流す作動としても良いし、冷却水を流さない作動としても良く、チップの大きさ、溶融金属の量等によって定めれば良い。
そして、射出装置1は、図6のように溶融金属を金型85に充填完了させ、溶融金属により製品部81a、ランナー84a、ビスケット82を形成した後に保圧を加える構成を有する。ここでチップ3は、先端面3cをビスケット82の押圧面83に当接させ、射出装置1が発生させる力を押圧面83を通じて、ランナー84a及び製品部81aに伝達する構成を有する。このときチップ3のロッド側の端面30は第1ロッド11と当接するまで移動し、第1ロッド内の皿バネ12は、最も圧縮される構成となる。そして、冷却水供給管8の外周面の連通穴86は、先端冷却部53(54)に入る。これにより先端冷却部53(54)に冷却水が図6(a)における重力方向及び反重力方向に向けて供給される。この先端冷却部53(54)に供給された冷却水は、中冷却通路53から周冷却通路54へと流れてチップ3の先端面3cを冷却する構成となる。そして、周冷却通路54を流れる冷却水は、先端排水通路41(42)を経て冷却水排水管7に流れる。このとき先端排水通路41(42)は冷却水排水管7の外周面の連通穴72と連通する構成とする。本実施形態では、溶融金属の充填完了時には周面冷却部50への冷却水の通水はしないが、本実施形態に限定するものではなく、チップ3の大きさ、溶融金属の温度等によっては周面冷却部50に通水する構成としても良い。
ここで、所定の凝固時間を経ると鋳造機は、可動型85bを図8における左方向に移動させる。このとき、溶融金属により形成された製品部81a、ランナー84a、ビスケット82は可動型85bに付いて固定型85aより離型する。また、可動型85bの移動に連動して、チップ3は充填完了位置から更に可動型85bの方向にビスケット82を所定距離だけ押し出す構成を有する。このとき、チップ3の外周面5とスリーブ9の内周面に発生する摺動抵抗よりも皿バネ12の反発力を大きくなるように設定することでチップ3は金型85に向かって前進する構成となる。ここで、チップ3の前進距離は、ビスケット82の厚さにより定める。そして、チップ3の前進距離に合わせて冷却水排水管7の連通穴71と周面排水通路41(42)、加圧気体管6の連通穴61と気体用供給通路36が連通する構成とする。
この構成とすることにより、加圧気体管6から出た加圧気体は、連通穴61から噴出され、気体用供給通路36を通り、先端冷却部53(54)へ流れる。この加圧気体が、先端冷却部53(54)に残存する冷却水を先端排水通路41(42)に向けての流れを補助する。そして、先端冷却部53(54)の内部で冷却水が滞留することを抑制することができる。これによりチップ3の冷却を均一に行うことができる。また、チップの過冷却を抑制し、次サイクルにおける射出待機位置で発生する破断チルを抑制できる。
そして、チップ3が射出待機位置に戻るときは、前述の図5(a)及び図5(b)
におけるチップ3の位置で戻る構成とする。この構成により、チップ3が後退中の過冷却を抑制することができる。但し、チップ3の後退時の位置は、チップ3の大きさや、供給される溶融金属量等々により定めれば良く、本実施形態に限定されるものではない。例えば、図4(a)及び図4(b)におけるチップ3の位置又は前述の図6(a)及び図6(b)におけるチップ3の位置若しくは図4と図6間の任意の位置でチップ3が戻る構成としても良い。
次に、本実施形態の射出装置1の作動について説明を図9のフローチャートを参照して行う。ここで、本実施形態の射出装置1の作動は図9のフローチャートに限定されるものではない。
射出装置1は、図9のように射出待機工程→射出動作工程→保圧工程→製品取出工程→射出後退工程を1サイクルとする作動をさせる。
図4は、射出待機工程におけるチップ等の作動を記した構成図である。(ステップ1)
図5は、射出動作工程におけるチップ等の作動を記した構成図である。(ステップ2)
図6は保圧工程におけるチップ等の作動を記した構成図である。(ステップ3)
図7は製品取出工程におけるチップ等の動作を記した構成図である(ステップ4)
図4から図7の上段は、図1におけるチップ3、ロッド14、チップジョイント2等のスリーブ9内の配置を示す構成図である。図4から図7の下段は、C−C断面におけるチップ3、ロッド14、チップジョイント2等のスリーブ9内の配置を示す構成図である。
射出装置1が射出待機位置のときの作動について図4を参照して説明する。射出装置1が射出待機位置のときは、アウターチップ3bの外周面5の先端から略半分がスリーブ9の内周に摺接する。このとき、チップジョイント2は、大径部23のチップ3に対向する図示しない端面が、第1ロッド11のチップ3側の端部の内面と当接している。また、チップ3における冷却水の通水は、ロッド14の図示しない接続口からロッド14の内部に配設された冷却水供給管8から冷却水供給管8の外周面の連通穴86を経て周面冷却水通路40に流される作動とする。そして、冷却水は、チップ3の周面冷却部50に流されて図4(b)のように冷却水排水通路43に通水される作動とする。このとき、冷却水排水管用孔38に配設された冷却水排水管7の外周面における連通穴のうちロッド14方向に配設された連通穴73と冷却水排水通路43が連通する作動とする。そして、周面冷却部50を流れた冷却水が冷却水排水管7に流され、ロッド14の図示しない接続口を経て射出装置1の外部に排出される作動となる。この作動とすることによりアウターチップ3bの周面が冷却されて、アウターチップ3bの先端面3cの冷却が抑制される。そして、先端面3cの過冷却を抑える事ができ破断チルの発生が抑制されて鋳造品の品質を向上させることができる。(ステップ1)
次に、図5のように射出装置1が図5における左方向に動くと、スリーブ9の内周面とアウターチップ3bの外周面5の間で発生する摺動抵抗により、チップ3とチップジョイント2がロッド14側に移動する。すると、第1ロッド11の内部では、チップジョイント2の大径部23が空間13をチップ3と軸方向で反対方向に移動する。そして、チップジョイント2の端部2aは、第2ロッド10の段部10aに形成される空間13aをチップ3と軸方向で反対方向に移動する。
このとき、冷却水供給管8の連通穴86と周面冷却水通路40、冷却水排水管7の連通穴71(72、73)と周面排水通路43、加圧気体管6の連通穴61と気体用供給通路36は連通していない。この作動により周面冷却部50に流れる冷却水量は各穴が連通している場合と比較して少なくなる。そして、冷却水供給管8と冷却水供給管用孔39のクリアランスから冷却水が先端冷却部53(54)に流れ、先端排水通路41(42)を経て冷却水排水管7に流れる作動となる。この作動とすることでチップ3の移動時にチップ3の先端面3cに所望の冷却を行ないながら、チップ3全体の過冷却を防止することができる。そして、破断チル層の発生や、溶湯温度低下による湯廻り不良等を抑制できる。ここで、射出動作工程においては、本実施形態のように先端冷却部53(54)へ冷却水供給管用孔39のクリアランスを経て通水させることに限定はされない。チップ寸法、溶融金属の量等によって、通水をさせなくとも良い。また、チップ寸法、溶融金属の量等によっては冷却水供給管8の連通穴86と周面冷却水通路40、冷却水排水管7の連通穴71(72、73)と周面排水通路43、加圧気体管6の連通穴61と気体用供給通路36は連通させる構成としても良い。(ステップ2)
そして、射出装置1は、図6のように溶融金属を金型85に充填完了させ、溶融金属により製品部81a、ランナー84a、ビスケット82を形成した後に保圧を加える作動を行う。ここでチップ3は、先端面3cをビスケット82の押圧面83に当接させ、射出装置1が発生する力をビスケット82の押圧面83を通してランナー84a、製品部81aに伝える作動を行う。このときチップ3の端面30は第1ロッド11と当接し、第1ロッド内の皿バネ12は、圧縮される作動となる。そして、冷却水供給管8の外周面の連通穴86は、先端冷却部53(54)に入る。これにより連通穴86から先端冷却部53(54)に冷却水が図6(a)における重力方向及び反重力方向に向けて供給される。この先端冷却部53(54)に供給された冷却水は、中冷却通路53から周冷却通路54へと流れてチップ3の先端面3cを冷却する作動となる。そして、周冷却通路54を流れる冷却水は、先端排水通路41(42)を経て冷却水排水管7に流れる。このとき先端排水通路41(42)は冷却水排水管7の外周面の連通穴72と連通する作動とする。また、先端冷却部53(54)に供給された冷却水量と排水される冷却水量の関係は、供給された冷却水量は排水される冷却水量よりも多くなる作動を行う。但し、供給される冷却水量と排水される冷却水量の関係は、本実施形態に限定されるものではなく、チップの大きさ、溶融金属の量等との関係で定めれば良い。例えば供給される冷却水量と排水される冷却水量は等しくても良く、供給される冷却水量よりも排水される冷却水量が多い設定でも良い。また、本実施形態では、溶融金属の充填完了時には周面冷却部50への冷却水の通水はしていないが、本実施形態に限定されるものではなく、チップ3の大きさ、溶融金属の温度等によって周面冷却部50に通水する作動としても良い。(ステップ3)
ここで、鋳造機は、溶融金属の充填完了後に所定の凝固時間を経ると、可動型85bを図8におけるx2方向に移動させる作動を行う。このとき、溶融金属により形成された製品部81a、ランナー84a、ビスケット82は可動型85bに付いて固定型85aから離型する作動をさせる。このとき、可動型85bの移動に連動して、図7のようにチップ3は充填完了位置から更に可動型85bの移動方向にビスケット82を押し出す作動をさせる。そして、チップ3の外周面5とスリーブ9の内周面に発生する摺動抵抗よりも皿バネ12の反発力を大きくし、ビスケット82がスリーブ9から抜けた時に、チップ3は金型85に向かって前進する作動をさせる。ここで、チップ3の前進距離は、後述する冷却水排水管7の連通穴71と先端排水通路41(42)、加圧気体管6の連通穴61と気体用供給通路36の相対位置関係により定める。そして、チップ3が前進することにより冷却水排水管7の連通穴71と周面排水通路41(42)、加圧気体管6の連通穴61と気体用供給通路36が連通する作動を行う。この作動により、加圧気体管6から出た加圧気体は、連通穴61から噴出され、気体用供給通路36を通り、先端冷却部53(54)へ供給される。供給された加圧気体は、先端冷却部53(54)に残存する冷却水を先端排水通路41(42)に向けて流す。この作動をさせることにより、先端冷却部53(54)内部での冷却水の滞留を抑制することができチップ3の冷却を均一に行うことができる。また、チップの過冷却を抑制し、次サイクルにおける射出待機位置で発生する破断チルを抑制できる。(ステップ4)
そして、チップ3が射出後退位置に戻る際には、前述の図5(a)及び図5(b)
におけるチップ3、チップジョイント2、ロッド14、冷却管7(8,9)の位置で戻る作動とする。この作動とすることにより、チップ3の後退途中での過冷却を抑制することができる。但し、チップ3等の後退時の位置は、チップ3等の大きさや、供給される溶融金属量等々が関係する為、本実施形態に限定されるものではない。例えば、図4(a)及び図4(b)におけるチップ3、チップジョイント2、ロッド14、冷却管7(8,9)の位置又は前述の図6(a)及び図6(b)におけるチップ3、チップジョイント2、ロッド14、冷却管7(8,9)の位置若しくは図4と図6間の任意の位置でチップ3、チップジョイント2、ロッド14、冷却管7(8,9)が戻る作動としても良い。(ステップ5)
以下、射出装置1により溶融金属を金型85に充填させるごとに、ステップ1からステップ5を繰り返す作動をさせる。
ここで、冷却水及び加圧気体は、各ステップにおいて必要な時に加圧気体管6
冷却水供給管8に流れる作動としても良いし、常時各配管内に流れる作動としても良い。
本発明の実施形態における射出装置の断面組図である。 本発明の実施形態における射出装置を図1のC−C断面方向の断面組図である。 本発明の実施形態における射出装置のインナーチップの部品図である。 本発明の射出装置における射出待機工程における構成図である。 本発明の射出装置における射出動作工程における構成図である。 本発明の射出装置における保圧工程における構成図である。 本発明の射出装置における製品取出工程における構成図である。 本発明の射出装置を備える鋳造機の部分配置図である。 本発明の射出装置のフローチャートである。
符号の説明
1 射出装置
2 チップジョイント
3 チップ
3a インナーチップ(チップ)
3b アウターチップ(チップ)
6 加圧気体管
7 冷却水排水管
8 冷却水供給管
14 ロッド
36 気体供給通路(先端通路)
37 加圧気体管用供給孔(配管孔)
38 冷却水排水管用孔(配管孔)
39 冷却水供給管用孔(配管孔)
40 周面冷却水通路(周面通路)
41 先端排水通路(先端通路)
42 先端排水通路(先端通路)
43 冷却水排水通路(周面通路)
61 連通穴
71 連通穴
72 連通穴
73 連通穴
50 周面冷却部
53 中冷却通路(先端冷却部)
54 周冷却通路(先端冷却部)
85 金型
85a 固定型(金型)
85b 可動型(金型)

Claims (10)

  1. 鋳造に用いる溶融金属が充填される金型と、
    前記金型に連通し、前記溶融金属を内部に蓄える筒状のスリーブと、
    該スリーブ内で前記溶融金属を前記金型に充填させ、前記金型に充填後の前記溶融金属の冷却を行う冷却部を有するチップと、
    前記スリーブ内で前記チップを移動させるロッドと、
    前記チップと前記ロッドを結合するチップジョイントと、
    前記ロッド内から前記チップジョイントの内部を通って、前記チップ内に延在し、前記チップ内の前記冷却部と連通することにより前記チップを冷却する冷却管とを備える射出装置において、
    前記チップの位置に応じて前記チップと前記冷却管の相対位置が変化することを特徴とする射出装置。
  2. 前記冷却管は、前記スリーブと前記チップの摺動抵抗により前記相対位置が変化することを特徴とする請求項1に記載の射出装置。
  3. 前記相対位置は、前記冷却管に形成された穴と前記チップ内の冷却水通路が連通する位置であることを特徴とする請求項2に記載の射出装置。
  4. 前記チップは、前記スリーブの内周に摺接する一端が閉じられた筒状のアウターチップと、該アウターチップの内周に当接する筒状のインナーチップとを有し、
    前記冷却部は、前記アウターチップの先端を冷却する先端冷却部と、前記アウターチップの周面を冷却する周面冷却部との少なくとも一方を備えていることを特徴とする請求項1に記載の射出装置。
  5. 前記先端冷却部は前記アウターチップの前記閉じられた端部と前記インナーチップの先端面とにより形成され、
    前記周面冷却部は前記アウターチップの内周面と前記インナーチップの外周面とにより形成されることを特徴とする請求項4記載の射出装置。
  6. 前記冷却管は、前記チップ内に前記冷却水を供給する冷却水供給管と、
    該冷却水供給管から前記チップ内に供給された前記冷却水を前記チップの外に排出する冷却水排水管と、
    前記チップ内に供給された前記冷却水が前記チップ内から前記冷却水排水管へと流れることを補助するために、前記チップ内に加圧気体を噴射する加圧気体管とを有し、
    前記冷却水供給管、前記冷却水排水管および前記加圧気体管の各々はその延在方向における一側の外周面に前記冷却管の内部と連通する少なくとも1つの連通穴を有することを特徴とする請求項1又は請求項3に記載の射出装置。
  7. 前記インナーチップは、延在方向に前記冷却水供給管、前記冷却水排水管および前記加圧気体管をその延在方向に格納する配管孔と、
    該配管孔と前記先端冷却部及び前記周面冷却部の少なくとも一方とに連通する内部通路とを有することを特徴とする請求項5に記載の射出装置。
  8. 前記内部通路は、前記先端冷却部と前記配管孔を連通する先端通路及び前記周面冷却部と前記配管孔を連通する周面通路の少なくとも一方を備えることを特徴とする請求項7に記載の射出装置。
  9. 前記前記冷却水供給管、前記冷却水排水管および前記加圧気体管は、前記ロッドの内部に配設され、前記チップジョイントを貫通し、前記インナーチップの前記配管孔に延在することを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の射出装置。
  10. 前記チップジョイントは、前記ロッド内にロッドの軸方向に移動自在に配設されて、前記チップ内の前記冷却部と前記冷却管の連通穴との相対位置が変化することにより冷却水を通水することを特徴とする請求項6に記載の射出装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2012106278A (ja) * 2010-11-19 2012-06-07 Toyota Motor Corp 鋳造装置
JP2015077602A (ja) * 2013-10-15 2015-04-23 宇部興産機械株式会社 ダイカストマシンのプランジャチップ及びプランジャチップの冷却方法

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