JP2008212980A - 異形断面長尺薄板コイル及びこれを使用した成形体 - Google Patents

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Abstract

【課題】薄板で充分な曲げ強度及び曲げ剛性を具備する金属薄板をコイルで提供すること、及び熱間溝圧延により製造した充分な曲げ強度及び曲げ剛性を具備する金属板をプレス成形した、高強度、高剛性、及び意匠性に優れる成形体を提供すること。
【解決手段】片面に長手方向に延びる断面矩形の溝を幅方向に一定の間隔をおいて複数本設け、他面は平坦である厚さ0.4mm以上1.0mm以下のマグネシウム又はマグネシウム合金の薄板であり、前記溝を一回の熱間圧延を用いた連続加工により形成したことを特徴とする異形断面長尺薄板コイル。
【選択図】図1

Description

本発明は、マグネシウム及びマグネシウム合金を使用した異形断面長尺薄板コイル及びこれを使用した成形体、さらに詳しくは、ノートブック型パソコン及び携帯電話等の電子機器筐体に好適な曲げ剛性、曲げ強度及び意匠性に優れた異形断面のマグネシウム及びマグネシウム合金を使用した長尺薄板コイル及びこれを使用して成形した成形体に関する。
従来からノートPCや携帯電話などの電子機器の筐体には樹脂が使用されてきたが、樹脂筐体には次の問題がある。強度が低く、ノートPCなどでは、満員電車の中など天板を圧迫するような場面があり、強度が低いと筐体がたわみ、ディスプレイ部を破壊することがある。携帯電話などでは落下することがあり、強度が低いと筐体そのものが破損することがある。
電子機器では、装置内部で熱が発生し、ファンやフィンなどにより放熱しているが、樹脂筐体では熱が放散しにくいため、高集積化が困難である。
電子機器は電磁波を発生するが、これが遮断できないと、人体に有害となる。樹脂では電磁波を遮断できないため、筐体内面に金属めっきなどを施しているが、その分コスト高である。
一方、金属筐体では樹脂に比べ曲げ強度が高く、熱伝導がよいため放熱性にも優れる。また、導電率が高いため電磁波遮蔽性もよくなる。すなわち、金属筐体では筐体そのものがアースの役割を果たし、電磁波を吸収する。以上の観点から近年ではステンレスやアルミニウムなどが筐体用の材料として用いられている。しかし、近年、携帯用電子機器では、小型化、軽量化の要求が高まっており、ステンレスやアルミニウムではその要求を満たせなくなってきた。
そこで、電子機器等の筐体の材料として、マグネシウムが注目され始めている。マグネシウムは、比重が鉄の1/4、アルミの2/3と非常に軽量である上、比強度、比剛性が非常に高い。比強度、比剛性が高い材料では、等重量の他の部材と比較した場合、強度、剛性が最も高くなる。また、同じ強度、剛性を持つ他の部材と比較した場合、最も軽量になる。この後者の特性を生かして、マグネシウム合金を電子機器筐体に適用し、軽量化を達成している。適用当初は、ダイカストやチキソキャスティングなどの鋳造法に依っており、板厚も1mm以上と厚く、歩留まりもよくなかった。最近になって軽量化の要求がさらに厳しくなり、材料板厚も1mmより薄くする必要が出てきた。鋳造法ではそのようなマグネシウム及びマグネシウム合金薄板を歩留まりよく生産することは困難であるため、圧延による薄板材料が注目されるようになった。この場合、薄いことによる剛性不足が問題となるため、補強板や、表面に凹凸を付けたいわゆるボンネット構造として剛性を確保している。
しかしながら、補強板の使用は、そのものの部品コストがかかる上に重量も重くなる。さらに、その加工と組み付けの工程を要するため、生産性とコストの面からも好ましくない。また、ボンネット構造ではデザインすなわち意匠設計の自由度が制限される。デザイナーが完全にフラットな表面を要求する場合も多い。
マグネシウム又はマグネシウム合金又は金属の表面が平らな薄板を使用して、絞りや張出しなどのプレス成形によりノートブック型パソコン等の筐体を成形した場合、剛性不足によるたわみが生じるおそれが高い。
特に、ノートブック型パソコン、及び携帯電話等の電子機器筐体においては、優れた携帯性を要するため、その重量は小さい方が好ましく、電子機器筐体の素材厚さは、可能な限り薄く軽量であることが要求される。一方、これらの電子機器筐体は、落下や衝突等に耐え収容機器を保護するに充分な剛性及び強度も要求される。
従来、上述した筺体の剛性不足を解決するため、
(1)板厚を考慮すること、
(2)ダイカスト、チキソキャスティング等の鋳造法を用い、リブを付与すること、さらに
(3)裏面に補強板を接着により貼り付けること(例えば、特許文献1、2及び3参照)、
(4)プレス成形により凸形状に張出させ、または凹形状に窪ませたいわゆるボンネット構造とすること(例えば、特許文献4及び5参照)が行われている。
一方、溝圧延を利用して、片面に溝を設け、他面を平坦とした板材を製造する技術が提案されている。すなわち、
(5)主に銅材料又はアルミニウム材料にて押出し、溝圧延、ダイス引抜きの1種又は2種以上を用いて作製されていることを特徴とするフィン放熱器のベースプレートである(例えば、特許文献6参照)。
また、
(6)大きな断面変化を伴う場合や、板幅の広い材料の場合や、冷間圧延性の悪い材料の場合などの冷間圧延加工を可能とする冷間加工装置に関し、外周に溝を設けた下ローラと一定の外径を有する上ローラとで加圧しながら冷間圧延する装置であって、上ローラの下面と下ローラの上面との間に設けた空間の中をスリットコイルを通過させることにより、空間の形状と同じ断面を有する異形圧延材を製造する(例えば、特許文献7参照)。
さらに、
(7)蒸発性能及び凝縮性能の双方が優れていると共に、圧力損失が小さい交差溝付溶接管、その素材となる交差溝付溶接管用条材、この交差溝付溶接管用条材を溝圧延する溝付ロール及び前記交差溝付溶接管の製造方法であって、交差溝付溶接管において、管軸方向に沿って平坦部を設け、管内面における管軸方向に平行な直線に対して一定の角度θで傾斜するように延びた複数の交差溝付帯を一定の間隔で設け、交差溝付部間に螺旋溝付帯を設け、複数の交差溝付部と複数の螺旋溝付帯とを交互に配置する(例えば、特許文献8参照)。
上述の方法には次の解決されなければならない問題がある。すなわち、(1)に関して、板厚を増した分だけ剛性は増加するが、同時に材料費も製品重量も増加する、という問題がある。
(2)に関しては、充填不良、ポロシティ、湯境等による欠陥製品、及びランナー部は廃棄となり歩留まりが低い。また、表面には湯じわ、ピンホール等が存在し、パテ埋め、研磨など後工程を要する。従って、コスト増となる。さらに、板厚1.0mm以下の薄肉製品の製造が困難である。例えば引用文献1では、ダイカストにより0.7mm以下の厚さの電子機器筐体でも安定して生産できることが示されているが、ランナー部による低歩留まり及び後工程の問題、並びに板厚全体に渡って1.0mm以下とすることは困難という問題が残る。
(3)に関しては、補強板材料費及び加工費が必要となる。また、補強板加工及び接着工程が必要となる。さらに、補強板の分だけ重量が増加する。
(4)に関しては、剛性確保を目的としてボンネット構造とするため、デザインの自由度が制限される。表面が平面形状のプレス用金型と比して金型加工費が追加になる。また、成形時には曲げ及び張出の部位にてクラック等の欠陥を生ずることがある。
(5)に関しては、銅合金又はアルミニウム合金によるものであって、冷間溝圧延、押出し、引抜き等既存技術で製造可能なものである。
(6)に関しては、片面に溝を設け、他面を平坦とした板材をコイル状に巻き取る方法が提案されているが、冷間圧延を前提としており、冷間加工性に劣るマグネシウム又はマグネシウム合金に適用することは困難である。
(7)に関しては、50mm以上の幅で、曲がり、及び波打を生じさせず、10m以上の圧延を行い、コイル状に巻き取ることは困難である。
特開2002-45956号公報 特開2004-7262号公報 特開2006-237948号公報 特開2003-204174号公報 特開2006-323800号公報 特開2001-162341号公報 特開2001-239305号公報 特開2002-327995号公報
(発明の目的)
本発明は、前記従来技術の上述した問題点に鑑みてなされたものであって、薄板で充分な曲げ強度及び曲げ剛性を具備する金属薄板をコイルで提供することを目的とする。また、本発明は、熱間溝圧延により製造した充分な曲げ強度及び曲げ剛性を具備する金属板をプレス成形した、高強度、高剛性、及び意匠性に優れる成形体を提供することを目的とする。
第1発明は、片面に長手方向に延びる断面矩形の溝を幅方向に一定の間隔をおいて複数本設け、他面は平坦である厚さ0.4mm以上1.0mm以下のマグネシウム又はマグネシウム合金の薄板であり、前記溝を一回の熱間圧延を用いた連続加工により形成したことを特徴とする異形断面長尺薄板コイルである。
第1発明の実施形態は、前記マグネシウム又はマグネシウム合金の薄板が、熱間溝圧延により製造されていることを特徴とする。
第2発明は、片面に長手方向に延びる断面矩形の溝を幅方向に一定の間隔をおいて複数本設け、他面は平坦である厚さ0.4mm以上1.0mm以下のマグネシウム又はマグネシウム合金の薄板を使用して、平坦面を外側にしてプレス成形により成形されていることを特徴とする異形断面長尺薄板コイルを使用した成形体である。
第2発明の実施形態は、以下のとおりである。前記マグネシウム又はマグネシウム合金の薄板が、熱間溝圧延により製造されていることを特徴とする。
本発明の他の実施形態は、以下のとおりである。
前記溝部の板厚をt、溝が無い部位の板厚をTとするとき、t/Tの値が0.5以上0.8以下であることを特徴とする。0.5以上であることは、溝部に波打ちが発生することを防ぐための限定であり、0.8以下であることは、市場の要求を鑑みて必要な曲げ剛性及び曲げ強度を確保した上で有効な軽量化を実現するための限定である。
また、前記溝部の幅をw、素材の板厚をt0とするとき、w/t0の値が15以下であり、前記溝部の幅が1mm以上であることを特徴とする。w/t0の値が15以下であることは、溝部に波打ちが発生することを防ぐための限定であり、前記溝部の幅が1mm以上であることは、ロール加工を困難にしないための限定である。
さらに、溝を形成するための熱間圧延は、圧延ロールを100℃ないし400℃に加熱し、材料のマグネシウム又はマグネシウム合金の薄板を室温ないし400℃に加熱して行うことが、効率的に圧延を行うために好ましい。
本発明の異形断面長尺薄板コイル及びこれを使用した成形体によれば、薄板で充分な強度及び剛性を具備する金属薄板コイルを提供することができる効果を有する。熱間溝圧延により製造した充分な曲げ強度及び曲げ剛性を具備する金属板をプレス成形した、高強度、高剛性、及び意匠性に優れる成形体を提供することができる効果を有する。
仮に、本発明のマグネシウム及びマグネシウム合金構造体及びその製造方法において、溝形成を冷間圧延で行うと、マグネシウム合金薄板は、所望の溝深さになる前に破壊してしまうことが推察される。溝形成を押出しで行うと、厚さ1mm程度の薄板を得ようとする場合、押出し荷重が非常に高くなることに加え、押出し速度が1m/min以下となり生産性が悪く、産業上採用不可である。溝形成を鋳造で行うと、板の長さが制限され、現実的には1m以下と推定される。空孔などの欠陥が存在し、表面性状も良くない。湯道などがスクラップとなることに加え、薄板では湯回り不良などにより歩留まりも悪くなる。溝形成を鍛造で行うと、板の長さが制限される。せいぜい500mm程度であると推定される。非常に大きな荷重を要し、プレス機などの設備面でも現実的でない。溝形成を切削で行うと、切削した分だけ材料がロスする。マグネシウムの切りくずが発生し、危険である。さらに、加工に時間がかかり、非効率である。
以下、本発明の実施形態の異形断面長尺薄板コイル及びこれを使用した成形体について具体的に説明する。
(剛性の増加)
本発明の実施形態の異形断面長尺薄板コイル1は、図1に示すように、片面の複数の凸部2と凹部3、及び反対面の平坦部4からなる。図1では、溝の数は6本、凸部の数は7本である。異形断面長尺薄板コイル1の幅方向の軸線G周りの剛性は、断面二次モーメントに比例するため、異形断面長尺薄板コイル1の断面二次モーメントIdと同一の幅方向長さ且つ断面積を有する平板の断面二次モーメントIfとの比をとることにより、剛性の増加の程度がわかる。
表1は、種々の溝深さtと凸部板厚Tの比、t/Tに対して断面二次モーメントの比較を行った結果である。溝幅および溝間隔は各3mmである。t/Tが、0.8では、剛性の増加は7%、0.65では25%、さらに、0.5では58%と、非常に高剛性となる。t/Tが0.8を超えると、剛性の増加率はわずかで、溝付きの効果が現れない。また、t/Tが0.5より小さくなるにつれて、剛性の増加率はさらに大きくなるが、溝部において波打が生じ、圧延が困難となる。
表2は、異形断面長尺薄板コイル1の断面二次モーメントIdと同一の幅方向長さを有する平板の断面二次モーメントIfを同一とした場合の、異形材の断面積AdとAfとの比較である。これは、材質を両者の間で同一とすれば単位長さにおいては重量の比較となり、Ad/Afより軽量化の割合を計算している。t/Tが、0.8では、軽量化の割合は2.3%、0.65では7.1%、さらに、0.5では14.1%の軽量化が達成される。即ち、t/Tが小さい方が、剛性及び強度の増加、並びに軽量化に対して有効である。
Figure 2008212980
Figure 2008212980
(実施例1)
実施例1は、図2に部分的形状を示す、溝幅及び溝間隔がそれぞれ3mmのロールを用いて、熱間で単板圧延を行った。溝深さは、0.2mmで、溝は板幅一杯に付与されるようにした。もう一方のロールはフラットとした。素材に公称板厚0.6mm及び0.4mmのAZ31Bマグネシウム合金板、及び0.625mmのAZ61マグネシウム合金板を使用し、素材を室温、及び300℃に加熱し、ロールを240℃に加熱して圧延を行った。潤滑を行う場合には窒化ホウ素を用いた。また、比較として、冷間圧延も行った。素材に公称板厚0.6mm及び1.35mmのAZ31Bマグネシウム合金板を使用した。
圧延した材料の評価は、溝部と溝間の凸部の板厚を測定し、同じ幅を持つ同一断面積の平板に対して剛性の比較を、また、同じ幅を持つ同一剛性の平板に対して重量の比較をそれぞれ計算により行った。溝幅3mmのロール形状に対して、種々の条件にて圧延した結果を表3に示す。初期板厚0.6mmのNo.1のサンプルでは、熱間で圧延をすることにより、100mm幅で、溝部の圧下率が36.2%となり、t/T=0.67が得られる。
一方、潤滑を行わないNo.2のサンプルでは、圧下量が低下し、t/Tは0.72となる。従って、圧延時には潤滑を行う方が好ましい。材料を室温としたNo.3のサンプルでは、さらに圧下量が低下し、t/Tは0.83まで増加する。No.4のサンプルでは幅を狭くした結果、強圧下が可能となり、溝部の圧下率は46.9%となる。このときのt/Tは0.61と小さい値が得られる。さらに、幅を狭くしたNo.5のサンプルではt/Tは0.59となる。なお、板幅を変化させたことに対する形状の変化はなく、溝部における波打ちも生じなかった。35mm幅で、初期板厚を0.4mmとしたNo.6のサンプルではt/Tは0.53に達するが、依然として波打ちは生じなかった。
このことから、さらに圧下を行い、t/Tを0.5とすることは充分可能であると言える。異なる合金として、AZ61合金でも圧延を行った。板幅70mmのNo.7のサンプル、及び板幅35mmとしたNo.8のサンプルでAZ31B合金と同様に溝を付与することが可能で、t/Tはそれぞれ0.70、及び0.68となり、同様の板形状を持つAZ31B合金よりは若干大きい。比較のため、冷間で圧延を行ったが、t/Tは板厚1.35mmで0.96、板厚0.6mmで0.87程度であった。これ以上の圧下を行った場合、材料は破壊する。熱間で圧延した各サンプルにおけるt/Tの値は、材料の破壊によるものではなく、同一の圧下トルクの基で圧延した結果である。従って、材料の変形抵抗が大きいほど、また幅が広いほど圧下量は小さくなる。逆に言うと、変形抵抗及び幅の増加に応じて圧下トルクを増せば、幅広の材料においてもNo.6のサンプルと同様にt/Tが0.5〜0.6の圧延も可能である。
これに対して、冷間で圧延したサンプルでは、上記の圧下量以上では破断が生じたため、0.8以下のt/Tを得ることは不可能である。また、溝部を36.2%圧下したNo.1のサンプルでは、凸部の反対面には約0.03〜0.04mmの窪みが生じており、完全に平坦ではなかった。一方、凸部を21.5%圧下したNo.6のサンプルでは、裏面はほぼ平坦となっていた。この凸部を21.5%圧下したサンプルにおいては、同じ幅を持つ同一断面積の平板に対して36.8%剛性が増加し、また、同じ幅を持つ同一剛性の平板に対しては9.9%重量低減となる。
Figure 2008212980
(実施例2)
次に、溝幅の影響を調べるため、図3に部分的形状を示すロールを作製し熱間で単板圧延を行った。溝幅及び溝の間隔はそれぞれ6mm、溝深さは0.16mmとした。素材に公称板厚0.6mm及び0.4mmのAZ31Bマグネシウム合金板を使用し、素材を300℃、ロールを240℃に加熱して圧延を行った。潤滑には窒化ホウ素を用いた。評価方法は実施例1に準ずる。
溝幅6mmのロール形状に対して、板厚0.6mm及び0.4mmの板を用い、種々の条件にて圧延した結果を表4に示す。No.11,12,13の順で板幅が狭くなるほど、即ち変形抵抗が小さくなるほど、強圧下ができ、No.13のサンプルでは、溝部の圧下率は41.5%で、t/Tは0.76が得られる。それ以上の圧下を行ったNo.14のサンプルでは溝部にて波打ちが生じた。溝部を41.5%圧下したNo.13のサンプルにおいては、同じ幅を持つ同一断面積の平板に対して11.0%剛性が増加し、また、同じ幅を持つ同一剛性の平板に対しては3.4%の重量低減となる。
6mm幅の溝ロールにおいて、厚さ0.4mmの板を用いた場合、No.16のサンプルではt/Tが0.81にて波打ちが生じ、段差を付与することが困難であった。このことから、溝の幅は、素材の板厚に対して15倍が限度である。
Figure 2008212980
(実施例3)
次に、素材に公称板厚0.6mm、板幅300mmのAZ31Bマグネシウム合金コイルを用いて、熱間で連続的に圧延を行った。ロール形状は、図2の溝ロールに準じている。加熱温度は素材を300℃、ロールを240℃とした。
AZ31Bマグネシウム合金コイルを用いて熱間で圧延した結果、曲がりや破断無く、片面に溝が付与され、他面が平坦なマグネシウム合金コイルができた。
(実施例4)
3mm及び6mm幅の溝ロールにて圧延したAZ31Bマグネシウム合金板を使用して、熱間における角筒深絞りを行い、成形体を作製した。加熱温度は、ダイ及びしわ押さえを280℃、パンチを180℃とし、絞り速度は5mm/secで成形した。成形体の寸法は、底面が50mm×50mm、高さは30mmである。ブランクと、溝の位置関係は、図4(a)ないし(d)に示す通りであり、それぞれ平坦面が成形体の外側となるように成形した。熱間深絞りの評価は、30mm高さの成形の可否により判断した。また、絞り底部に負荷し、撓みを測定することで、剛性の評価を行った。
3mm幅及び6mm幅の溝ロールにて溝を付与したt/Tが0.8〜0.5の圧延板を使用して、熱間における深絞りを行った結果、30mm高さの成形体が割れなしに成形可能であった。また、溝と成形体の稜線を平行又は垂直にしても、45°の角度で交差させても成形可能であった。さらに、成形体の側壁部に溝を付与しない板についても成形可能であった。各成形体の底部中央に一定負荷加重し、撓みを測定したところ、同じ断面積を持つ平板の成形体に比して、撓みが小さいことがわかった。
(実施例5)
3mm幅の溝ロールにて圧延したAZ31Bマグネシウム合金板を使用して、熱間におけるプレス成形により、電子機器部品筐体を作製した。成形体は、絞り底部に負荷し、撓みを測定することで、剛性の評価を行った。その結果、プレス成形は割れなしに成功し、等重量の筐体に比して、高い剛性を持つことが確認され、ノートブック型パソコン筐体に供することができた。
発明の変形態様
深絞り成形において、成形体側壁部に溝が付与されている場合、却って成形時の破断を生じ易くすることから、側壁部の面積が小さく、剛性および強度を必要としない場合、成形体側壁部の溝は必ずしも要しない。
本発明の実施形態の異形断面長尺薄板コイルの幅方向の断面図である。 本発明の実施例1で使用したロールの部分正面図である。 本発明の実施例2で使用したロールの部分正面図である。 本発明の実施例4で使用したブランクの溝の配置図である。
符号の説明
G 軸線
1 異形断面長尺薄板コイル
2 凸部
3 凹部
4 平坦部

Claims (2)

  1. 片面に長手方向に延びる断面矩形の溝を幅方向に間隔をおいて複数本設け、他面は平坦である厚さ0.4mm以上1.0mm以下のマグネシウム又はマグネシウム合金の薄板であり、前記溝を一回の熱間圧延を用いた連続加工により形成したことを特徴とする異形断面長尺薄板コイル。
  2. 片面に長手方向に延びる断面矩形の溝を幅方向に間隔をおいて複数本設け、他面は平坦である厚さ0.4mm以上1.0mm以下のマグネシウム又はマグネシウム合金の薄板を使用して、平坦面を外側にしてプレス成形により成形されていることを特徴とする請求項1記載の異形断面長尺薄板コイルを使用した成形体。
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