JP2008209736A - 電子複写機のクリーニングブレード用ポリウレタンエラストマー - Google Patents
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Abstract
広範囲の雰囲気温度下においても、粘弾性の変化が小さい電気複写機のクリーニングブレード用ポリウレタンエラストマーを提供すること。
【解決手段】
ポリウレタンエラストマーは、(1)ポリオール成分、(2)鎖延長剤および(3)イソシアネート成分を含んで構成されており、ポリオール成分は両末端に水酸基を有する2官能で分子中にエステル基を含むシリコーンオイルを含み、イソシアネート成分は芳香族イソシアネートを含み、ポリウレタンエラストマーに対してシリコーンオイルが5.0〜50重量%であり、 ポリウレタンエラストマーに対して、両末端に水酸基を有し分子中にエステル基を含むシリコーンオイルとポリカプロラクトンエステルポリオールを含有させる。
【選択図】なし
Description
クリーニングブレードは感光ドラムの表面と直接接触していることや、近年、印字等の印刷状態の鮮度を上げるために感光ドラム表面に残留すると除去しにくくなる微細化されたトナーの除去のため、強度、伸び等の高い機械的特性や弾性また低摩擦性で耐摩耗性に優れたポリウレタンエラストマーが要求されている。
コピー機やファックス等の電子複写機を使用(設置)する場所は、必ずしも常温に一定調整された好環境下の事務所や一般家庭内だけではなく、高温下(高温域)および寒冷下(低温域)など様々な雰囲気温度下で使われることが多い。従って、それに対応した温度依存性の小さいクリーニングブレードが求められている。
また、寒冷下ではポリウレタンエラストマーの粘弾性が失われて、感光ドラムの表面に残留するトナーの除去が不十分になり、印字の滲みやかすれ等のトラブルが起こる。
特開昭57−201276公報には、ポリウレタンゴムにポリシロキサンオイルを含有させ低摩擦係数化を達成する方法が記載されている。
特開平5−224573公報には、シリコーン含有多元共重合体と飽和および不飽和の脂肪酸アミドを用い、摩擦係数が低く耐熱性に優れる電子複写機用クリーニングブレードを得る方法が記載されている。この方法ではポリシロキサンジオールの使用量が少ないため、ポリシロキサン鎖が表面に出にくく低摩擦性や物性への効果が少なく不十分である。
特開平7−290601公報には片末端に水酸基を持ったポリシロキサンモノオールをウレタンゴムに使用し、低摩擦層を備えたクリーニングブレードを製造する方法が記載されている。ポリシロキサンモノオールではモノオールのため生成ウレタン組成物の分子量が大きくならず強度が低下する欠点がある。
ド用ポリウレタンエラストマーを見出し、本発明を完成するに至った。
ポリウレタンエラストマーは、(1)ポリオール成分、(2)鎖延長剤および(3)イソシアネート成分を含んで構成されており、
ポリオール成分は、両末端に水酸基を有する2官能で分子中にエステル基を含むシリコーンオイルを含み、
イソシアネート成分は芳香族イソシアネートを含み、
ポリウレタンエラストマーに対してシリコーンオイルが5.0〜50重量%であり、
ポリウレタンエラストマーについて、硬度がショアAで70〜90、粘弾性の10℃の値tanδ(10)が0.32以下、55℃の値tanδ(55)が0.02以上であり、tanδ(10)とtanδ(55)の差が0.30以内である電子複写機のクリーニングブレード用ポリウレタンエラストマー
このことにより、広範囲の雰囲気温度下に有ってもクリーニングブレードとしての性能を損なわない電子複写機のクリーニングブレード用ポリウレタンエラストマーを提供することができる。
ポリウレタンエラストマーは、(1)ポリオール成分、(2)鎖延長剤および(3)イソシアネート成分を含んで構成されており、
ポリオール成分は、両末端に水酸基を有する2官能で分子中にエステル基を含むシリコーンオイルを含み、
イソシアネート成分は芳香族イソシアネートを含む。
ポリウレタンエラストマーは、硬度がショアAで70〜90、粘弾性の10℃の値tanδ(10)が0.32以下、55℃の値tanδ(55)が0.02以上であり、tanδ(10)とtanδ(55)の差が0.30以内である。
但しポリオール成分がシリコーンオイルのみの場合は、シリコーンオイルの価格が高くコスト面で不利になるため、ポリウレタンエラストマーの低温特性が他のポリエステルポリオールより優れるポリカプロラクトンエステルポリオールを併用するのが好ましい。
シリコーンオイルは、一般に、ジメチルシリコーンオイルのメチル基の一部を高級脂肪酸エステルに置換したシリコーンオイルであることが好ましい。高級脂肪酸は、一般に炭素数10〜30の脂肪酸である。
本明細書において、「シリコーン含有量」とは、シリコーンオイルに対するシリコーン残基の重量%を意味し、「エステル基含有量」とは、シリコーンオイルに対するエステル残基の重量%を意味する。
エステル基を30〜70重量%含んでいれば、電子複写機のクリーニングブレード用ポリウレタンエラストマーとしての適切な強度などの物性が得られる。
5〜50重量%の範囲であれば、電気複写機のクリーニングブレード用ポリウレタンエラストマーとしての摩擦係数が小さくり、また適切な物性が得られる。
平均分子量が500以下であるとポリウレタンエラストマーの弾性が低下する。また3000を超えると芳香族イソシアネートと予め反応させイソシアネートプレポリマーとした場合粘度が高くなり作業性が悪くなる。ポリカプロラクトンエステルポリオールは単独で使用しても良く、2種類以上併用しても良い。
シリコーンオイルおよびポリカプロラクトンエステルポリオール含有NCO末端プレポリマーのNCO含量は8〜25%が好ましく、特に10〜20%が好ましい。粘度は100〜3000mPas/70℃が好ましく、特に400〜2000mPas/70℃が好ましい。粘度が100〜3000 mPas/70℃の範囲であれば作業性を損なうことも無く好都合である。
鎖延長剤の量は、鎖延長剤は、ポリウレタンエラストマーに対して、1〜50重量%、例えば3〜20重量%であってよい。
ジメチルポリシロキサンが存在すると、ポリウレタンエラストマーを作成するときに、配合ポリオールとイソシアネート成分の混合物の泡を消すことから、ポリウレタンエラストマーの表面に大きな泡の生成も無くなり、強度低下等も起こさない。またジメチルポリシロキサンの潤滑性によって摩擦係数が小さくなる。
しかもガラス転移点が−5℃以下であるので、10℃以下の低温域でも粘弾性を有した低温特性に優れたポリウレタンエラストマーが得られる。
得られたポリウレタンエラストマーは、このように広範囲の雰囲気温度下でも粘弾性の変化幅が小さいので、様々な雰囲気温度下で使用される電子複写機のクリーニングブレード用ポリウレタンエラストマーとして最適である。
」、「%」は「重量%」を示す。
1.シリコーンオイル含有NCO末端プレポリマー(B)の作製
溶解した液状のMDI100gを50℃に保ちながら、60℃に加温したX22−613
2(信越化学工業社製シリコーンオイル・OH価25mgKOH/g、MW約4500、
シリコーン含有量40%、エステル基含有量60%)を98gと、消泡剤としてSH200(トーレ・シリコーン社製ジメチルポリシロキサン、粘度:1000mPas/25℃)を0.007g加えた後、80℃の温度にて4時間反応させた。得られたNCO末端プレポリマー(a)は、NCO含量が16%、粘度は420mPas/70℃であった。また白濁等の濁りも殆ど見られなかった。
溶解した液状のMDI100gを50℃に保ちながら、60℃に加温したプラクセル220(PCL220:ダイセル化学(株)製ポリカプロラクトンエステルポリオール・2f OH価56mgKOH/g MW約2000)119gと、消泡剤としてSH200(トーレ・シリコーン社製ジメチルポリシロキサン、粘度:1000mPas/25℃)を0.007g加えた後、80℃の温度にて4時間反応させた。
得られたNCO末端プレポリマー(B)は、NCO含量が13%、粘度は580mPas/70℃であった。
(1)100℃に加熱した上記NCO末端プレポリマーに、100℃に加熱したポリオール成分を加え、プロペラミキサーで約60秒間攪拌混合を行った。この混合液を140℃に加熱した鉄製の型(サイズ:150×200×2mm)に注入して成形をした。注入後30分で脱型し、110℃のオーブン内で16時間ポストキュアを行ない、その後、常温で1週間キュアを行い物性測定試験用の試料とした。
(2)上記(1)の条件で、混合液を型に注入後、蓋を閉じずにブレードを引いて、10ミル厚の粘弾性測定試験用の試料(フィルム)を作製した。
1.ガラス転移点(ピーク温度とtanδ値)および10〜55℃間のtanδ値測定試験方法
(1)測定試験用の試料サイズ:10×20×0.254mm(10ミル厚)
(2)セイコー化成(株)製 DMS-220型を用い、周波数10Hzで−60℃〜80℃の温度範囲を毎分2℃の昇温速度で粘弾性を測定し、そのガラス転移点でのピーク温度とtanδまた10〜55℃間のtanδを測定した。
(3)tanδとは、粘弾性の測定試験方法(JIS K7244準拠)における粘弾性を示す指数の事である。
(1)10〜55℃間でガラス転移点が生じた場合は不良。
(2)10℃(低温)での状態
tanδ値が0.32以下であれば適度な粘弾性を有しており良好、0.32を超えると不足(劣)と判断した。
(3)55℃(高温)での状態
tanδ値が0.02以上であれば適度な粘弾性を有しており良好、0.02以下の時は、過度の粘弾性であると判断した。
(4)粘弾性の変化状態
10〜55℃のtanδ値の変化幅で判断した。
tanδ値の変化幅が0.30以内であれば、粘弾性の変化が小さく良好(優)、0.30を超えると粘弾性の変化が大きく不良(劣)と判断した。
表1のように、配合ポリオール中のシリコーンオイルが14.1重量%、PCL220が70.5重量%になるようにシリコーンオイル、PCL220および鎖延長剤を混合した。
配合ポリオール100gとNCO末端プレポリマー(B)78gを撹拌混合し、反応硬化させ、シリコーンオイルの含有量が7.9重量%、PCL(ポリカプロラクトンエステルポリオール)の含有量が63.4重量%のポリウレタンエラストマーの成形品を作製した。
得られたポリウレタンエラストマーは、硬度がショアAで82、ガラス転移点は−6.7℃、10℃のtanδ値は0.214で良好な粘弾性を有しており、10〜55℃のtanδ値の変化幅は0.185であった。比較例1に比べて、低温特性に優れ、10〜55℃間のtanδ値の変化幅も0.30以内の温度依存性が小さいポリウレタンエラストマーが得られた。
表1のように、配合ポリオール中のシリコーンオイルが45.5重量%になるように、シリコーンオイル、鎖延長剤を混合した。配合ポリオール100gとNCO末端プレポリマー(B)22.7gを撹拌混合し反応硬化させ、シリコーンオイルの含有量が37.1重量%、PCLの含有量が10.0重量%のポリウレタンエラストマーの成形品を作製した。
得られたポリウレタンエラストマーは、硬度がショアAで84、ガラス転移点は−8.0℃、10℃のtanδ値は0.164で良好な粘弾性を有しており、10〜55℃のtanδ値の変化幅は0.102であった。比較例1に比べて、低温特性に優れ、10〜55℃間のtanδ値の変化幅も0.30以内の温度依存性が小さいポリウレタンエラストマーが得られた。
表1のように、配合ポリオール中のPCL220が84.4重量%になるように、PCL220および鎖延長剤を混合した。配合ポリオール100gとNCO末端プレポリマー(A)77gを撹拌混合し、反応硬化させ、シリコーンオイルの含有量が21.5重量%、PCLの含有量が47.7重量%のポリウレタンエラストマーの成形品を作製した。
得られたポリウレタンエラストマーは、硬度がショアAで78、ガラス転移点は−5.4℃、10℃のtanδ値は0.299で良好な粘弾性を有しており、10〜55℃のtanδ値の変化幅は0.263であった。比較例1に比べて、低温特性に優れ、10〜55℃間のtanδ値の変化幅も0.30以内の温度依存性が小さいポリウレタンエラストマーが得られた。
配合ポリオールおよびイソシアネート成分のどちらにもシリコーンオイルを混合しないで、ポリウレタンエラストマーの成形品を作製した。
得られたポリウレタンエラストマーは、硬度がショアAで85、ガラス転移点は−2.0℃、10℃のtanδ値は0.391で粘弾性は不足しており、10〜55℃のtanδ値の変化幅も0.362と大きく、温度依存性の大きいポリウレタンエラストマーであった。
Claims (4)
- 電子複写機のクリーニングブレード用ポリウレタンエラストマーであって、
ポリウレタンエラストマーは、(1)ポリオール成分、(2)鎖延長剤および(3)イソシアネート成分を含んで構成されており、
ポリオール成分は、両末端に水酸基を有する2官能で分子中にエステル基を含むシリコーンオイルを含み、
イソシアネート成分は芳香族イソシアネートを含み、
ポリウレタンエラストマーに対してシリコーンオイルが5.0〜50重量%であり、
ポリウレタンエラストマーについて、硬度がショアAで70〜90、粘弾性の10℃の値tanδ(10)が0.32以下、55℃の値tanδ(55)が0.02以上であり、tanδ(10)とtanδ(55)の差が0.30以内である電子複写機のクリーニングブレード用ポリウレタンエラストマー。 - シリコーンオイルの分子量が1000〜10000であり、シリコーンオイルにおいて、シリコーン含有量が30〜70重量%、エステル基含有量が30〜70重量%である請求項1に記載の電子複写機のクリーニングブレード用ポリウレタンエラストマー。
- 電子複写機のクリーニングブレード用ポリウレタンエラストマーは、ポリオール成分として、官能基数が2〜3、平均分子量が500〜3000のポリカプロラクトンエステルポリオールを含む請求項1および請求項2に記載の電子複写機のクリーニングブレード用ポリウレタンエラストマー。
- ポリカプロラクトンエステルポリオールが、官能基数が2〜3、平均分子量が2000〜3000のポリカプロラクトンエステルポリオールである請求項1乃至請求項3に記載の電子複写機のクリーニングブレード用ポリウレタンエラストマー。
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