JP2008208097A - アレルギー症状緩和用難消化性タンパク質 - Google Patents

アレルギー症状緩和用難消化性タンパク質 Download PDF

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Abstract

【課題】日常的に摂取しても特段副作用が観察されず、かつ安価に入手できる食品を用いて、アレルギー症状の緩和に有用な難消化性タンパク質を提供すること。
【解決手段】
[1]溶液中で微生物に由来するプロテアーゼにより加工水産物を酵素分解して得られた混合液を濾過することにより得られた濾過残渣からなる、アレルギー症状緩和用難消化性タンパク質。
[2]前記加工水産物は、魚節、荒節、食用魚粉および煮干しからなる群より選ばれる少なくとも一つであることを特徴とする、上記[1]に記載のアレルギー症状緩和用難消化性タンパク質。
【選択図】なし

Description

本発明は、アレルギー症状緩和用難消化性タンパク質に関し、さらに詳細には魚節等の加工水産物の酵素分解物を原料とするアレルギー症状緩和用難消化性タンパク質に関する。
一般に免疫とは生体が自己と非自己を識別する機構であるとされ、免疫反応とは生体が非自己を抗原として認識し、特異的に抗体を生産して抗原に対応し処理する一連の防御機構であるとされる。
通常生体は免疫を備えていることから、生体内部に細菌等が侵入した場合でもその影響を最小限に抑えることができる。
しかしながらこの免疫は自己に有利に働くだけではなく、ときとして自己に不利に働く場合がある。
自己に有利に働くはずの防御機構に異常が生じ、本来生体に有利に作用する抗原抗体反応が過剰に起きる結果、逆に免疫が生体に不利に作用する場合がある。この様な作用は一般にアレルギーとして知られている。
このアレルギーは、一般にある抗原に対する特異的な抗体が結合し、複雑な種々の反応が加わった結果生じると考えられていて、実際に生体の局所の細胞または生体の全身の細胞や組織の障害を伴う症状として観察することができる。
この様なアレルギーは即時型アレルギーと遅延型アレルギーとに大きく分類される。そしてこの即時型アレルギーとしてI型アレルギー、II型アレルギーおよびIII型アレルギーが分類されている。
中でもI型アレルギーは、最初の抗原刺激により産生されたレアギンと呼ばれるIgE抗体が細胞等の表面にFc部分で結合している状態の中へ、再び同じ抗原が侵入した場合に起きるとされる。
すなわち、再び侵入した同じ抗原が前記レアギンと特異的に結合することにより脱顆粒等を起こし、続いてヒスタミン、セロトニン等のケミカルメディエーターが放出された結果、種々の病的状態が引き起こされることにより生じるとされる(非特許文献1)。
この様なI型アレルギーとしてはアトピー、気管支炎喘息、花粉症等が挙げられる。 このI型アレルギーは幼少期の一過性のものに限定されず、成人してからも症状が続く場合があり、我が国においてもこれらの症状を持つ患者に大きな精神的、肉体的な負担を強いる結果となっている。この様な問題に対応するため、I型アレルギーの症状を緩和する薬剤等が開発されている。
一方、鰹節の酵素分解物は健康上一定の寄与があることが確認されていて、胆汁酸吸着用途の食品に応用されている(特許文献1)。
中村仁志夫ら著「医療系学生のための病理学第3版」講談社サイエンティフィク 2005年 特開2004−203859号公報
しかしながら、I型アレルギーの症状を緩和する薬剤を継続的に投与することは前記患者に経済的な負担を強いるものであり、またこれらの症状を持つ患者の治療に要する医療費や薬価の社会的負担増も社会健康保障費の中で軽視することのできない領域に達しつつある。
また、前記鰹節の酵素分解物の効用についてもI型アレルギーとの関係は未だ明らかではない。
本発明の目的は、日常的に摂取しても特段副作用が観察されず、かつ安価に入手できる食品を用いて、I型アレルギー症状の緩和に有用な難消化性タンパク質を提供することにある。
本発明者らが鋭意検討した結果、単に魚節等を酵素分解したものではなく、溶液中で微生物に由来するプロテアーゼにより魚節等の加工水産物を酵素分解して得られた混合液を濾過することにより得られた濾過残渣にI型アレルギー症状緩和作用があることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
[1]溶液中で微生物に由来するプロテアーゼにより加工水産物を酵素分解して得られた混合液を濾過することにより得られた濾過残渣からなる、アレルギー症状緩和用難消化性タンパク質を提供するものであり、
[2]前記加工水産物は、魚節、荒節、食用魚粉および煮干しからなる群より選ばれる少なくとも一つであることを特徴とする、上記[1]に記載のアレルギー症状緩和用難消化性タンパク質を提供するものであり、
[3]前記加工水産物は、鰹類、鰯類、鯖類、鰺類、鮪類および鮭類からなる群より選ばれる少なくとも一つを原料とするものであることを特徴とする、上記[1]または[2]に記載のアレルギー症状緩和用難消化性タンパク質を提供するものであり、
[4]溶液中で微生物に由来するプロテアーゼにより加工水産物を酵素分解する工程と、
前記加工水産物を酵素分解して得られた混合液を濾過することにより濾過残渣を得る工程と、
を少なくとも含むことを特徴とする、アレルギー症状緩和用難消化性タンパク質の製造方法を提供するものであり、
[5]前記加工水産物は、魚節、荒節、食用魚粉および煮干しからなる群より選ばれる少なくとも一つであって、鰹類、鰯類、鯖類、鰺類、鮪類および鮭類からなる群より選ばれる少なくとも一つを原料とするものであり、
前記プロテアーゼは、エンド型プロテアーゼおよびエキソ型プロテアーゼからなる群より選ばれる少なくとも一つであり、
前記前記加工水産物を酵素分解する工程は、温度が10〜70℃の範囲であり、前記溶液のpHが3〜11の範囲で実施されることを特徴とする、上記[4]に記載のアレルギー症状緩和用難消化性タンパク質の製造方法を提供するものであり、
[6]上記[1]〜[3]のいずれかに記載のアレルギー症状緩和用難消化性タンパク質を含む加工食品を提供するものである。
本発明によれば、日常的に摂取しても特段副作用が観察されず、かつ安価に入手できる食品を用いて、I型アレルギー症状の緩和に有用な難消化性タンパク質を提供することができる。
まず本発明に使用する加工水産物について説明する。
前記加工水産物としては、例えば、魚節、荒節、食用魚粉、煮干し等を挙げることができる。
前記加工水産物は、鰹類、鰯類、鯖類、鰺類、鮪類、鮭類等の魚類等を原料とするものを使用することが好ましい。
前記加工水産物は一種もしくは二種以上を使用することができる。
中でも魚節、荒節が好ましく、魚節であればより好ましい。
また前記魚節は鰹類を原料とするものであればさらに好ましい。
また、本発明に使用する加工水産物は、前記加工水産物を切削装置等により切削した薄片状や粉体状等のものを使用することが好ましい。
次に本発明に使用する魚節について説明する。
本発明に使用する魚節の原料としては、例えば、前記魚類等を挙げることができる。
前記原料は鰹類であれば好ましい。
前記原料は一種もしくは二種以上を使用することができる。
また前記原料は鮮度が低下することを防止するため、凍結状態のものを使用することが好ましい。
この原料の解凍処理は、水の入った解凍槽に前記原料を入れて一昼夜程度流水に晒したり、一昼夜バブリングしたりすることにより前記解凍槽内部の水を循環させながら通常実施される。
次に裁断工程により前記原料の頭部を裁断除去し、続いて腹肉、内臓、鱗等を除去する身卸し工程を実施する。
次に身卸し工程後の前記原料を別途加熱手段を備えた処理容器を準備し、水温80〜95℃の範囲により煮熟工程を実施する。
前記処理容器には水道水や塩素分が含まれていない工業用水等と、蒸気注入配管等が設置されていて、前記処理容器内部の水温を蒸気の注入により昇温させたり、水道水等の注入により降温させたりすることができる。
前記煮熟工程は通常30分〜5時間の範囲であり、1時間〜3時間の範囲であれば好ましい。
前記煮熟工程終了後、前記原料を放冷してから骨を抜く等の処理を行う。続いて前記原料を適宜切り分けて、魚肉片を得る。
次に焙乾・あん蒸工程について説明する。
前記煮熟工程により得られた前記魚肉片を専用の燻製室に入れて、樫、楢、椚等の落葉広葉樹を薪として前記魚肉片を燻製する操作を実施する。この燻製操作のことを焙乾という。
前記焙乾は、前記燻製室の温度が通常50〜100℃の範囲となるようにして行う。
前記焙乾の実施後、前記魚肉片を一晩静置することにより、前記魚肉片の内部から水分が前記魚肉片の表面に滲出する。この静置操作のことをあん蒸という。
前記あん蒸後、引き続き前記焙乾を実施する。
この焙乾、あん蒸を2週間程度の時間をかけて交互に実施する。
この焙乾・あん蒸工程により、荒節を得ることができる。
前記荒節を冷暗所で保管し、表面を削ってタール分等を除去してから黴付け工程を行うことにより、前記魚節を得ることができる。
前記黴付け工程に特に限定はなく、通常魚節を製造する際に実施される方法を適宜選択して実施することができる。
上述した製造方法により、前記魚節を得ることができる。
次に溶液中で微生物に由来するプロテアーゼにより前記加工水産物を酵素分解する工程について説明する。
前記溶液には通常水が使用されるが、本発明に使用する水としては、例えば、水道水、前記水道水から塩素を除去した工業用水、イオン交換水、海水等の一種もしくは二種以上を挙げることができる。
本発明に使用する酵素としては、微生物に由来するプロテアーゼを挙げることができる。
前記プロテアーゼとしては、例えば、エンド型プロテアーゼ、エキソ型プロテアーゼ等を挙げることができる。
前記プロテアーゼはエンド型プロテアーゼおよびエキソ型プロテアーゼの二種を使用することが好ましい。
前記プロテアーゼにより加工水産物を酵素分解する際の温度は、10〜70℃の範囲が好ましく、30〜60℃の範囲であればより好ましい。
また、前記プロテアーゼにより加工水産物を酵素分解する際の前記溶液のpHは、3〜11の範囲が好ましく、5〜10の範囲であればより好ましい。
前記プロテアーゼにより加工水産物を酵素分解する際の時間は、1〜24時間の範囲であり、2〜20時間の範囲であれば好ましく、10〜18時間の範囲であればより好ましい。
本発明の難消化性タンパク質を含む混合液を製造する工程を第一の実施態様に基づき説明すると次の通りである。
まず先の魚節を得る工程で得られる荒節を蒸気殺菌処理する。
そして、この蒸気殺菌処理にて蒸気が結露し、荒節の表面に付着するタール分が結露に含有される。このタール分を含有する結露を回収して蒸煮液を取り出す。
一方、魚節の製品化の際に魚節の表面を切削して整形する工程で生じる削り滓である粉末魚節や魚節の削り節の製造の際に歩留まりとして生じる粉末状の削り滓である粉末魚節を回収しておく。
そして、この粉末魚節と魚節の製造の際に生成される蒸煮液とを適宜混合、例えば50℃〜60℃で粉末魚節と蒸煮液とを1:4の比で攪拌混合して混合液を調製する。
次に、50℃〜60℃に保温しつつ前記プロテアーゼを適宜、例えば粉末魚節に対して1/25の割合で添加し、16時間程度反応させる。この後、85℃程度で10分〜20分加熱しプロテアーゼを失活させ、濾過により水溶性画分を除去して不溶性画分を得る。
なおこの得られた水溶性画分は、別途だし汁の源などに直接用いたり、別途魚醤油などの調味液を製造するためのエキス分として用いることができる。
前記魚節の切削にて生じる粉末魚節は、既に蒸煮や焙乾・あん蒸などにて加水分解された変性したタンパク質を含有している。このため、粉末魚節と蒸煮液との混合により、蒸煮液中に粉末魚節中の変性されたタンパク質が溶出される。また、蒸煮液には、魚節の蒸煮により、表面に付着するタール分の他に魚節中の変性されたタンパク質が溶出されている。さらに、蒸煮液中に溶出したタール分はフェノール系の香気成分が多量に含まれている。
そして、粉末魚節と蒸煮液との混合液に50℃〜60℃に保温しつつプロテアーゼを添加し、所定時間加熱することにより、変性されたタンパク質はほとんどアミノ酸およびペプチドに分解される。なお、プロテアーゼにより分解されたエキス分は、アミノ酸約50%、ジペプチド約20%、トリペプチド約15%、テトラペプチド約10%、その他のペプチド約5%程度で、アミノ酸とペプチドとの比が略1:1程度である。
またこの一方で前記混合液には不溶性画分が含まれている。この不溶性画分は容易には水に溶けないものであり、難消化性タンパク質を含むものである。
本発明の難消化性タンパク質は、この不溶性画分から得られるものである。
また本発明の難消化性タンパク質を含む混合液を製造する工程を第二の実施態様に基づき説明すると次の通りである。
まず前記粉末魚節を水に懸濁させた混合液を調製する。
次に、前記混合液を50℃〜60℃に保温しつつ前記プロテアーゼを適宜、例えば粉末魚節に対して1/25の割合で添加し、16時間程度反応させる。この後、85℃程度で10分〜20分加熱しプロテアーゼを失活させ、濾過により水溶性画分を除去して不溶性画分を得る。
前記粉末魚節に代えて、あるいは前記粉末魚節と共に、薄片状等の魚節を使用することができる。
上記の第一の実施態様および第二の実施態様では魚節を使用した場合を例にして説明したが、それぞれ前記魚節に代えて、あるいは前記魚節と共に、荒節、食用魚粉、煮干し等を使用することができる。
また、前記混合液を製造する際にはこれらの加工水産物から熱湯等により抽出した液体成分を添加して実施することもできる。
本発明に使用する混合液は、上記実施態様に例示される様に、酵素分解用容器内部に水等を供給し、微生物に由来するプロテアーゼの存在下、前記酵素分解用容器内部で前記加工水産物を酵素分解することにより得ることができる。
この混合液を濾過することにより、前記混合液を水溶性画分と不溶性画分(以下、「濾過残渣」という。)とに分離することができる。
前記濾過装置は濾紙、濾布、濾膜等を備えた密閉容器が通常使用される。
前記濾過装置や、濾紙、濾布、濾膜等は市販されており、これらの一種もしくは二種以上を適宜選択して使用することができる。
また濾過を実施する際には前記濾過装置に、前記酵素分解用容器から配管を通じて前記混合液を導入する。
続いて前記酵素分解用容器側から、空気、窒素、二酸化炭素等の気体を送り込み圧力を加えながら濾過を実施してもよいし、前記濾過装置の濾液を回収する側を減圧にしながら濾過を実施してもよい。
これらの方法は一種もしくは二種以上を採用することができる。
この様にして濾過残渣を得ることができる。
得られた濾過残渣はこのまま使用することもできるし、続く乾燥工程により乾燥させたものを使用してもよい。
前記濾過残渣を乾燥させる工程としては、例えば、耐電防止のために金属製のトレイを使用して加熱通風オーブン等により加熱する工程、ロータリーキルン型の回転乾燥塔に前記濾過残渣を入れて加熱回転させる工程等を挙げることができる。
前記乾燥工程は、温度60〜100℃の範囲で実施することが好ましく、70〜90℃の範囲であればより好ましい。
また前記乾燥工程は、30分〜48時間の範囲で実施することが好ましく、2〜24時間の範囲であればより好ましい。
前記乾燥工程に特に限定はなく、一種もしくは二種以上の方法を採用することができる。
この様にして得られた濾過残渣は難消化性タンパク質であり、特にアレルギー症状緩和用途に好適に使用することができる。
以下に実施例によりさらに詳細に本発明について説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
[鰹節の酵素分解物から得られた難消化性タンパク質(SDBR)の調製]
520gの鰹節粉末を2Lの蒸留水により縣濁させる。
続いて酵素としてエンド型プロテアーゼおよびエキソ型プロテアーゼの混合物52g(商品名アルカラーゼおよび商品名フレーバーザイム、ノボザイムズジャパン社製)を加え、この混合液を52℃で17時間保温する。
その後、85℃で20分間加熱し、前記酵素を失活させる。
混合液を二重の濾布(100μm、ライオン社製)で濾過する。得られた濾過残渣を、80℃で15時間乾燥させる。
この様にして鰹節の酵素分解物から得られた難消化性タンパク質を得た。以下、これを「SDBR」という。
SDBRは鰹節粉末100gから42.3g得られる。SDBRはタンパク質を主体とする固形分であり、タンパク質および脂質含量はそれぞれ73.8%と12.9%である。
[実験動物]
5週齢のNC/Nga雄マウス(日本SLC社製)20匹をケクイダニおよびケモチダニが付いた状態で使用し、アトピー性皮膚炎が前記マウスに自然発症する様にした。
前記マウスは23±1℃に維持された12時間明暗サイクル(明サイクル7:00−19:00)の部屋で、個別にスクリーンボトムのステンレスゲージにて飼育した。馴化のため、市販の固形飼料(商品名RodenLab Diet EQ、PMI社製)により7日間飼育した。
馴化後、前記マウスを10匹づつ2つのグループに分け、それぞれのグループについて18週間、コントロール(C)食と、SDBR食とを摂取させた。C食とSDBR食との成分を表1に示した。またこれらのグループについて下記の分析を実施した。
Figure 2008208097
[分析方法]
(1)皮膚炎症スコア
皮膚炎症の度合いを2週間ごとに観察した。アトピー性皮膚炎による皮膚損傷に対する臨床的な段階評価は、a)紅斑、出血、b)浮腫、c)ただれおよびd)乾燥の4項目の症状について0(症状なし)、1(軽度)、2(中度)、3(重度)の4段階で評価した合計より算出した。
本スコアの算出方法は、日本皮膚科学会「アトピー性皮膚炎の診断基準」(日皮会誌104:1210(1994))、「アトピー性皮膚炎の定義・診断基準」(日皮会誌104:68(1994))に従った。
(2)血中IgE濃度 血液サンプルは尾静脈から2週間おきに採血した。400Gで20分間遠心分離し、分離した血清を分析まで−80℃で保管した。
血中のIgE濃度は、市販されているELISAキット(Bethyl Laboratories社製)を使用し分析した。
(3)赤血球のロイコトリエンB4(LTB4)産生能力
血液サンプルを、実験終了時に腹部大動脈より、ヘパリン処理されたプラスチック容器に採血した。
300μLを3000rpmで15分間遠心分離し、血液細胞をリン酸緩衝(PBS、pH7.4)で二度洗浄した。LTB4放出試薬を使用した新鮮な赤血球細胞(80μL)を1.8μMカルシウムイオノフォアA23187を追加した80μLのPBSで30分保温した。遠心分離後、放出されたLTB4を、LTB4測定キット(Cayman Chemical社製)を用いて測定した。
先の表1の場合と同様、SDBR食を摂取させた場合を実施例1、C食を摂取させた場合を比較例1として以下の表2〜4に結果を示した。
Figure 2008208097
皮膚炎症スコアは、表1に示したSDBR食(実施例1)またはC食(比較例1)を摂取させた後にそれぞれ上昇したが、実施例1の場合では、比較例1の場合に比べより低い値が得られた(表2)。
Figure 2008208097
実施例1および比較例1の血清中IgE濃度は、実験開始後5週目でピークを示し、その後徐々に減少した。実施例1の場合は、比較例1の場合に比べより低い値が得られた(表3)。
Figure 2008208097
赤血球をカルシウムイオノフォアA23187で処理しなかった場合、赤血球からのLTB4放出は、実施例1と比較例1との間に有意な差は認められなかった。しかし、赤血球をカルシウムイオノフォアA23187で処理した場合、実施例1の値は比較例1の値に比べ有意に低下した(表4)。
SDBRによりI型アレルギーの原因となるIgEやLTB4を減少させることができることから、SDBRはI型アレルギーを緩和する効果を有するものである。
この様に本発明の難消化性タンパク質はアレルギー症状を緩和する効果を有することから、アレルギー症状緩和用途の医薬品、食品、食材、食用添加剤、飲料用添加剤等に好適に使用することができる。

Claims (6)

  1. 溶液中で微生物に由来するプロテアーゼにより加工水産物を酵素分解して得られた混合液を濾過することにより得られた濾過残渣からなる、アレルギー症状緩和用難消化性タンパク質。
  2. 前記加工水産物は、魚節、荒節、食用魚粉および煮干しからなる群より選ばれる少なくとも一つであることを特徴とする、請求項1に記載のアレルギー症状緩和用難消化性タンパク質。
  3. 前記加工水産物は、鰹類、鰯類、鯖類、鰺類、鮪類および鮭類からなる群より選ばれる少なくとも一つを原料とするものであることを特徴とする、請求項1または2に記載のアレルギー症状緩和用難消化性タンパク質。
  4. 溶液中で微生物に由来するプロテアーゼにより加工水産物を酵素分解する工程と、
    前記加工水産物を酵素分解して得られた混合液を濾過することにより濾過残渣を得る工程と、
    を少なくとも含むことを特徴とする、アレルギー症状緩和用難消化性タンパク質の製造方法。
  5. 前記加工水産物は、魚節、荒節、食用魚粉および煮干しからなる群より選ばれる少なくとも一つであって、鰹類、鰯類、鯖類、鰺類、鮪類および鮭類からなる群より選ばれる少なくとも一つを原料とするものであり、
    前記プロテアーゼは、エンド型プロテアーゼおよびエキソ型プロテアーゼからなる群より選ばれる少なくとも一つであり、
    前記前記加工水産物を酵素分解する工程は、温度が10〜70℃の範囲であり、前記溶液のpHが3〜11の範囲で実施されることを特徴とする、請求項4に記載のアレルギー症状緩和用難消化性タンパク質の製造方法。
  6. 請求項1〜3のいずれかに記載のアレルギー症状緩和用難消化性タンパク質を含む加工食品。
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