JP2008204556A - Tmr素子抵抗値安定化方法、tmr素子抵抗値安定化装置、磁気ヘッド及び磁気ディスク装置 - Google Patents

Tmr素子抵抗値安定化方法、tmr素子抵抗値安定化装置、磁気ヘッド及び磁気ディスク装置 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、製造工程において、ショートモード品のTMR素子のMRR抵抗値を安定化させたり、あるいはTMR素子を選別することによりTMR素子の品質向上を行い、TMR素子を使用した磁気ヘッドが組み込まれた磁気ディスク装置の品質安定化を図るための手法を提供することを目的とする。
【解決手段】TMR素子に対する印加電圧値を段階的に増加するに伴い、TMR素子の素子抵抗値が増大し、素子抵抗値の増大後に素子抵抗値が減少を開始する変曲点を有するTMR素子において、TMR素子に対する印加電圧値を所定の第1の印加電圧値から段階的に増加させ、変曲点を示す印加電圧値より大きくかつTMR素子について想定されるブレークダウン電圧値より小さな所定の第2の印加電圧値までTMR素子に対して電圧を印加することにより、TMR素子を破壊することなく前記変曲点を除去する。
【選択図】図1

Description

本発明は、磁気ヘッドのリードヘッドに使用するTMR素子の抵抗値安定化方法、抵抗値安定化装置、磁気ヘッド及び磁気ディスク装置に関する。
近年、磁気ディスク装置の磁気ディスク媒体に磁気信号をライトヘッドにより書き込み、磁気ディスク媒体に記録された磁気信号を読み出すために使用されるリードヘッドは、ディスク装置の高密度化が進み、GMR(Giant Magneto Resistive Effect)素子が使用されている。
しかし、磁気ディスク装置の小型化・高密度化に伴う磁気ヘッドの微細化により、GMR素子より感度の高い、TMR(Tunneling Magneto Resistive Effect)素子が注目されている。
TMR素子には素子の層の中に絶縁材料でできたバリア層が設けられている。極めて薄い絶縁膜を強磁性薄膜で挟んだ構造においては強磁性薄膜の磁化方向によって膜厚方向の抵抗値が大きく変化する強磁性トンネル効果現象を利用して、バリア層を流れるトンネル電流が磁気ディスク媒体表面からの磁力によって変化することにより、磁気ディスク媒体表面に書き込まれている磁気的信号が0か1かを判断するようになっている。
TMR素子のセンス電流はTMR素子を構成する各層に垂直の方向に流れ、バリア層の膜面に垂直に流れる。TMR素子を形成するプロセスにおいて、バリア層を挟む両面の層間に導電性物質が付着して両面の層間を電気的に短絡することがあると、短絡している部分の状況によっては、TMR素子としての特性が異なってくる。
従来から行われているTMR素子の破壊評価の1つであるブレークダウン評価(TMR素子にパルス電圧を徐々に印加し、TMR素子が破壊するまでの経過を観察し評価する)において、観察されるTMR素子の素子抵抗値(Magneto Recording Resistance Value、以下、MRR抵抗値と呼ぶ)と印加電圧との関係を、例として、図5のブレークダウン電圧評価図に示す。
図5において、横軸はTMR素子に加える印加電圧値を、縦軸はTMR素子のMRR抵抗値を示す。例えば、TMR素子の初期抵抗値を測定後、TMR素子への電圧印加を50mVからはじめて、増加印加電圧ステップを5mV、印加電圧のパルス幅を0.2秒として順次増大していくと、TMR素子のバリア層が正常な通常品においてはトンネル劣化モードと書かれた曲線を示し、印加電圧値に対してMRR抵抗値がなだらかに下降し、700mV以上でバリア層が破壊されるブレークダウンが発生する傾向を示す。
一方、TMR素子のバリア層を挟む両面の層間に導電性物質が付着して両面の層間が多少なりとも電気的に短絡あるいは短絡に近い状態にあるショートモード品においてはショートモードと書かれた曲線を示し、初期抵抗値を測定後、TMR素子への電圧印加を50mVを始めとして、同様に順次印加電圧値を増大していくと、しばらくの間、MRR抵抗値が不安定に増大し、やがて、印加電圧値が500mV付近で変曲点をもち、その後、TMR素子への印加電圧値が増大するにしたがい、MRR抵抗値が安定して、なだらかに減少し、例えば、700mV以上の印加電圧値でバリア層が破壊されるブレークダウンが発生する傾向を示す。ブレークダウンが発生する印加電圧を臨界電圧として図示してある。
図においては、典型的な2種類のモード、すなわち、MRR抵抗値が初期値から除々に減少しバリア層の臨界電圧で一気に劣化する通常モード(トンネル劣化モードと呼ぶ)のTMR素子(以下に、通常モード品と呼ぶ)と、バリア層を挟む両面の層間に導電性物質が付着して両面の層間が電気的に短絡したり、あるいは電気的な短絡が消滅したりして、MRR抵抗値が不安定なモード(ショートモードと呼ぶ)のTMR素子(以下に、ショートモード品と呼ぶ)が示されている。
ショートモード品は、磁気ヘッドに組み込まれて磁気ディスク装置に用いられたとき、磁気ディスク装置の動作中にバリア層を挟む両面の層間に付着していた導電性物質による電気的短絡が消失して特性変化が起きる可能性がある。電気的短絡は程度の差こそあれ特性変化に影響を与える。
上記の問題に関連する非破壊の検査装置として、例えば、特許文献1に示す検査装置が開示されている。特許文献1によれば、TMR素子のトンネルバリア層中のピンホールの状態を非破壊で検査する磁気ヘッド検査装置であって、TMR素子の温度係数に基づきトンネルバリア層中のピンホールの状態を判定するようになっている。
しかし、製造工程において、品質向上あるいは判別を目的とした実際的な判定方法、さらには、ショートモード品の安定化処理(図5において、当初、ショートモード品の曲線を示していたショートモード品を、通常品の曲線のように、変曲点を持たない曲線を示すようにする)を行う手法が望まれている。
すなわち、ショートモード品に付着している付着物による電気的短絡の要因を何らかの方法で消失させ、ショートモード品のMRR抵抗値を安定させ、TMR素子が組み込まれた磁気ヘッドを磁気ディスク装置に使用した場合に、磁気ディスク装置の長期間に亘る安定稼動を図る手法が従来確立されていなかった。
このため、磁気ヘッド製造工程において、あるいは磁気ディスク装置が出荷される前に、ショートモード品を把握し、一定の基準にもとづき、使用不可とするか、あるいは、安定化処理をしたことにより、通常モード品と同等のTMR素子となっていることを確認し、最終的に使用可とするかの判断を行う実際的な方法がなかった。
特開2005−158195号公報
本発明は、製造工程において、ショートモード品のTMR素子のMRR抵抗値を安定化させたり、あるいはTMR素子を選別することによりTMR素子の品質向上を行い、TMR素子を使用した磁気ヘッドが組み込まれた磁気ディスク装置の品質安定化を図るための手法を提供することを目的とする。
請求項1記載の発明は、TMR素子に対する印加電圧値を段階的に増加するに伴い、前記TMR素子の素子抵抗値が増大し、前記素子抵抗値の増大後に前記素子抵抗値が減少を開始する変曲点を有する前記TMR素子において、前記TMR素子に対する印加電圧値を所定の第1の印加電圧値から段階的に増加させ、前記変曲点を示す前記印加電圧値より大きくかつ前記TMR素子について想定されるブレークダウン電圧値より小さな所定の第2の印加電圧値まで前記TMR素子に対して電圧を印加することにより、前記TMR素子を破壊することなく前記変曲点を除去することを特徴とするTMR素子抵抗値安定化方法である。
請求項1記載の発明は、磁気ディスク装置において、磁気記録媒体が面内磁化記録方式あるいは垂直磁化記録方式にかかわらず、これに対応する磁気ヘッドがリードヘッド素子としてTMR素子を用いた磁気ヘッドに適用できるものである。
請求項1記載の発明によれば、TMR素子を搭載したスライダ、磁気ヘッド、ヘッド・ディスクアセンブリ、あるいは磁気ディスク装置の状態において、TMR素子の抵抗値を安定化させるTMR素子抵抗値安定化方法を提示する。さらには、TMR素子抵抗値安定化方法を適用したTMR素子について、通常品と同等のTMR素子となっているかどうかの確認手段を提供する。
本発明は、例えば、予め、TMR素子の中から、サンプリングによって、サンプルとするTMR素子を選び、破壊試験であるブレークダウン電圧評価を行い、通常品のブレークダウン平均電圧値、ショートモード品の平均変曲点電圧値、ブレークダウン電圧値の平均値を求める。
TMR素子の初期抵抗値を測定後、これらの値から、TMR素子に対する所定の第1の印加電圧値として、平均変曲点電圧値よりも低い平均変曲点電圧値の80%の印加電圧値からTMR素子への印加電圧を開始し、増加印加電圧ステップを5mV、印加電圧のパルス幅を0.2秒として順次印加電圧値を増大し、通常品、ショートモード品のそれぞれのブレークダウン電圧値の平均値の小さな方の値をTMR素子に対する所定の第2の印加電圧値としてTMR素子への電圧の印加を終了する。
こうすることにより、TMR素子の中に通常品、ショートモード品が混在しているロットについて、上記のTMR素子抵抗値安定化方法により非破壊でほとんどのショートモード品の上記変曲点が消滅されることが期待される。TMR素子に電圧を徐々に印加し、MRR抵抗の変曲点を越えてブレークダウン電圧値以下で電圧印加を終了すると、TMR素子のトンネルバリア層に付着したショート要因が消失する為、MRR抵抗が安定化することにより特性変化が起こり難くなる。
つまり、ショートモード品であっても本発明のTMR素子抵抗値安定化方法が上記のような条件で適用されると、ほとんどのショート部分が消滅することにより、ショートモード品は、変曲点をもたないMRR抵抗−印加電圧の曲線をもつようになることが期待される。
また、通常品についても本発明のTMR素子抵抗値安定化方法が上記のような条件で適用される限りは、破壊されずに済む。
このように、本発明のTMR素子抵抗値安定化方法は、通常品とショートモード品が混在しているロットについて、すべて適用してもよいし、はじめに、ロットの中の通常品とショートモード品とを、ロット内のTMR素子の平均ブレークダウン電圧値を推定し、この推定値以下の所定の電圧値までTMR素子への電圧の印加を個々に行い、通常品とショートモード品とを分別してから、ショートモード品だけについて個々に行ってもよい。
請求項2記載の発明は、前記印加電圧は所定時間内に印加するパルス波形電圧であることを特徴とする請求項1記載のTMR素子抵抗値安定化方法である。
請求項2記載の発明によれば、本発明によるTMR素子抵抗値安定化方法を適用するとき、所定時間内にTMR素子へ印加する印加電圧をパルス波形電圧とし、TMR素子にストレスを極力かけずに行うことができる。
請求項3記載の発明は、前記印加電圧は所定時間内に印加する微分波形電圧であることを特徴とする請求項1記載のTMR素子抵抗値安定化方法である。
請求項3記載の発明によれば、本発明によるTMR素子抵抗値安定化方法を適用するとき、所定時間内にTMR素子へ印加する印加電圧を微分波形電圧とし、TMR素子にストレスを極力かけずに行うことができる。
請求項4記載の発明は、TMR素子に対する印加電圧値を段階的に増加するに伴い、前記TMR素子の素子抵抗値が増大し、前記素子抵抗値の増大後に前記素子抵抗値が減少を開始する変曲点を有する前記TMR素子の抵抗値安定化装置であって、前記TMR素子に対する印加電圧値を所定の第1の印加電圧値から段階的に増加させ、前記変曲点を示す前記印加電圧値より大きくかつ前記TMR素子について想定されるブレークダウン電圧値より小さな所定の第2の印加電圧値まで前記TMR素子に対して電圧を印加することにより、前記TMR素子を破壊することなく前記変曲点を除去することを特徴とするTMR素子抵抗値安定化装置である。
請求項5記載の発明は、請求項1乃至請求項3に記載のTMR素子抵抗値安定化方法を適用したTMR素子を有する磁気ヘッドである。
本発明により、TMR素子をリードヘッドに有する磁気ディスク装置用の磁気ヘッドの製造工程、あるいは、磁気ヘッドの完成後において、ショートモード品のTMR素子のMRR抵抗値を安定化させたり、あるいはTMR素子を選別することによりTMR素子の品質向上を行い、磁気ディスク装置の品質安定化を図ることができる。
さらには、TMR素子抵抗値安定化方法を適用したTMR素子について、通常品と同等のTMR素子となっているかどうかの確認手段を提供することができる。
図1は、本発明によるTMR素子抵抗値安定化方法説明図である。図1には図5のブレークダウン電圧評価図と似た曲線が描かれているが、図5と異なる点は、TMR素子の抵抗値安定化方法を示す図であり、図5の示されるような破壊試験ではないという点である。
図1において、横軸はTMR素子に加えられる印加電圧値を、縦軸はTMR素子のMRR抵抗値を示す。本図において、印加電圧値700mV以上の範囲においてグラフ曲線が仮想線で描かれているが、この部分は図5と対比させた説明用に示してある。
本発明においては、複数のTMR素子を含む製品ロットの中から幾つかのTMR素子をサンプルとして抜き取り、製品ロットに想定されるブレークダウン電圧値(臨界電圧値)を予め把握しておく。
ここでは、想定ブレークダウン電圧値が700mV以上と想定されたとする。この段階では、製品ロットの中に、どの位の数量のショートモード品が混在しているかは分かっていないとする。
図1は、TMR素子の初期抵抗値を測定後、例えば、デジタルソースメータによりTMR素子への印加電圧値を(a)の箇所である50mVを印加開始電圧として、増加印加電圧ステップを5mV、印加電圧のパルス幅を0.2秒として順次印加電圧値を増大していくと、TMR素子のバリア層が正常な通常品においてはトンネル劣化モードと描かれた曲線を示し、印加電圧値に対してMRR抵抗値がなだらかに下降する例である。想定ブレークダウン電圧値が700mV以上と想定されていたら、たとえば、700mVの約80%の値である(b)の箇所である560mVまで順次印加電圧値を増大させ、(b)で電圧の印加を終了する。
一方、ショートモードと書かれた曲線を示すショートモード品のTMR素子は、初期抵抗値を測定後、TMR素子への印加電圧値を(a)の箇所である50mVから、正常品と同じ条件で順次印加電圧値を増大していくと、しばらくの間、MRR抵抗値が不安定に増大し、やがて、印加電圧値がこの例では500mV付近で変曲点をもち、その後、TMR素子への印加電圧値が増大するにしたがい、MRR抵抗値が安定して、なだらかに減少する。この場合においても、(b)の箇所である700mVまで順次印加電圧値を増大させ、(b)で電圧の印加を終了する。
正常品、ショートモード品ともに、印加電圧を(a)の箇所である50mVから(b)の箇所である700mVの間の電圧値で負荷をかけたため、正常品については電気的特性に変化は現れないはずである。しかし、ショートモード品については500mV付近で変曲点をもっていたが、700mVまで順次印加電圧値を増大させ、ここで電圧の印加を終了しているので、再びTMR素子への印加電圧値を50mVから同じ条件で電圧を印加しても、殆どの場合、電圧の印加とともにMRR抵抗値がなだらかに減少し、500mV付近にあった変曲点が消失し、通常品と同じような曲線を描くことが経験上認められる。これは、最初に(b)の箇所である700mVまで順次印加電圧値を増大させた段階で、TMR素子のトンネルバリア層に付着したショート要因が消失したため、MRR抵抗値が安定し変曲点をもたなくなったと考えられる。
ここで、TMR素子への印加電圧値を50mVからとした例を述べたが、初めに変曲点が現れると想定される印加電圧値近くの前後、例えば、(c)あるいは(d)の箇所から開始しても構わない。ただし、時間はかかるが、50mV付近の低い電圧値から開始した方が、TMR素子のトンネルバリア層に付着したショート要因の消失が急激に進行せず、TMR素子に与えるダメージは、より少ないと考えられる。
ショートモード品に付着している付着物による電気的短絡の要因を消失させ、ショートモード品のMRR抵抗値を安定させ、磁気ヘッドが組み込まれた磁気ディスク装置の安定化を図る手法の一例を示したが、別に、例えば、TMR素子への電圧印加を開始してから不安定にMRR抵抗値が変化し、700mVまで順次印加電圧値を増大させた段階でなお変曲点が現れないTMR素子や、通常品に比して著しくMRR抵抗値が減少するものなど、異常と判断されるTMR素子を使用不可とすることを妨げるものではない。
また、通常品、ショートモード品の混在するロットのTMR素子に対して、機械的に上記の方法を用いて安定化処理を行っても、また、1つ1つのTMR素子について通常品、ショートモード品かの判別をして選別し、ショートモード品だけに安定化処理を施しても構わない。
さらに、安定化処理を施したショートモード品について、確かに安定化されたか否かを、変曲点が消失したかどうかを観察することにより確認すること妨げるものではない。
図2は、本発明によるTMR素子のMRR抵抗値測定時の電圧印加方向を示す図であり、図において紙面の上から下への矢印で示す。図は、磁気ヘッドが回転する磁気ディスク面に浮上する浮上面側から見た図である。
ここで簡単にTMR素子を使ったリードヘッドの一例について説明する。図2において、リードヘッド20は中央部にTMR素子21を有し、その上下面に電極22を配し、磁気ディスク面から読み取った磁気信号を両方の電極22間の電圧変化として外部へ取り出すようになっている。また、両方の電極22の外側には磁気的なシールドの役目をしているシールド層23を配している。
さらに、図においてTMR素子21の両側には強磁性体24を配し、TMR素子21にバイアス磁界をかけている。強磁性体24の表面部が太線で示されているのは、絶縁層画面存在していることを示している。
TMR素子21は、図の上部から、フリー層21−1、バリア層21−2、ピンド層21−3、ピン層21−4から構成されている。各層の詳しい説明は省略するが、バリア層21−2は絶縁層であり、磁気ディスク面から読み取る磁気信号の方向により、フリー層21−1の磁化方向が変わり、バリア層21−2を通して、電流が流れたり流れなかったりする。
したがって、図3に示す本発明によるTMR素子における電気的短絡の説明図Aにあるように、例えば、リードヘッド20の製造工程中に、フリー層21−1、バリア層21−2、ピンド層21−3にわたって、図に示す付着した導電性物質25が付着すると、フリー層21−1とピンド層21−3が電気的に短絡した状態となる。
そこで、本発明では、付着した導電性物質25を、少なくともフリー層21−1とピンド層21−3とが電気的短絡をしない程度にどのように取り除くかの解決策として、先に図1を使って説明したTMR素子抵抗値安定化方法を用いたTMR素子抵抗値安定化処理を行うことによって、図4に示すような効果を生ずる。
図4は本発明によるTMR素子における電気的短絡の説明図Bを示す。ここで図2乃至図4において、図中の番号が同じ部分は同じものを指す。付着した導電性物質25はTMR素子抵抗値安定化処理を行うことによって、模式的に示す除去された導電性物質の跡26のように、少なくとも電気的短絡は消滅する。
図6に本発明によるTMR素子抵抗値安定化装置の一例を示す。ここでは、TMR素子抵抗値安定化装置として、市販のディジタルソースメータを使用した例を示す。図において磁気ヘッド61にはR(リード)ヘッドとW(ライト)ヘッドが組み込まれている(図中それぞれR、Wで示す)。TMR素子が組み込まれているRヘッドであるTMRヘッド61−1のリード線(図2乃至図4に示した2つの電極22に接続されている)は、磁気ヘッド61を支持しているヘッドアーム(図示省略)に取り付けられたリード線61−2に接続され、ディジタルソースメータ60の端子60−1に接続される。
ディジタルソースメータ60は、内部に電圧印加部60−2と抵抗測定部60−3を有し、それぞれ端子60−1に接続され、TMR素子抵抗値安定化処理を行う際のパルス電圧印加および抵抗測定をディジタルソースメータ60内部に有するCPUにより交互に行うように制御され、出力結果は、例えば、図示されていない外部に接続されたモニターの画面に図5に示すようなグラフとして表示するようになっている。
図7に本発明によるTMR素子抵抗値安定化処理を示すフロー図を示す。ここでは、図6に示したTMR素子抵抗値安定化装置を用いて、TMR素子抵抗値安定化処理のフローを説明する。まず、測定されるTMR素子の初期抵抗測定を初めに行っておく(S01)。続いて所要のモードで、例えばパルス電圧印加を行う(S02)。所要のモードで電圧印加を開始、終了するスケジュールは、図6におけるディジタルソースメータ60が内蔵するCPUに予めセットしておく。所定印加電圧値に達するまでTMR素子抵抗値安定化装置は印加電圧を増加させながら測定値を採集し、所定印加電圧値に達すると(S03)、電圧印加を止め処理終了する(S04)。
ここで本発明の詳細な特徴を改めて説明する。
(付記1) TMR素子に対する印加電圧値を段階的に増加するに伴い、前記TMR素子の素子抵抗値が増大し、前記素子抵抗値の増大後に前記素子抵抗値が減少を開始する変曲点を有する前記TMR素子において、前記TMR素子に対する印加電圧値を所定の第1の印加電圧値から段階的に増加させ、前記変曲点を示す前記印加電圧値より大きくかつ前記TMR素子について想定されるブレークダウン電圧値より小さな所定の第2の印加電圧値まで前記TMR素子に対して電圧を印加することにより、前記TMR素子を破壊することなく前記変曲点を除去することを特徴とするTMR素子抵抗値安定化方法。
(付記2) 上記印加電圧は所定時間内に印加するパルス波形電圧であることを特徴とする付記1記載のTMR素子抵抗値安定化方法。
(付記3) 上記印加電圧は所定時間内に印加する微分波形電圧であることを特徴とする付記1記載のTMR素子抵抗値安定化方法。
(付記4) TMR素子に対する印加電圧値を段階的に増加するに伴い、前記TMR素子の素子抵抗値が増大し、前記素子抵抗値の増大後に前記素子抵抗値が減少を開始する変曲点を有する前記TMR素子の抵抗値安定化装置であって、前記TMR素子に対する印加電圧値を所定の第1の印加電圧値から段階的に増加させ、前記変曲点を示す前記印加電圧値より大きくかつ前記TMR素子について想定されるブレークダウン電圧値より小さな所定の第2の印加電圧値まで前記TMR素子に対して電圧を印加することにより、前記TMR素子を破壊することなく前記変曲点を除去することを特徴とするTMR素子抵抗値安定化装置。
(付記5) 付記1乃至付記3のいずれか1に記載のTMR素子抵抗値安定化方法を適用したTMR素子を有する磁気ヘッド。
(付記6) 付記5記載の上記磁気ヘッドを搭載した磁気ディスク装置。
本発明によるTMR素子抵抗値安定化方法説明図。 本発明によるTMR素子のMRR抵抗値測定時の電圧印加方向 本発明によるTMR素子における電気的短絡の説明図A 本発明によるTMR素子における電気的短絡の説明図B ブレークダウン電圧評価図 本発明によるTMR素子抵抗値安定化装置の一例 本発明によるTMR素子抵抗値安定化処理を示すフロー図
符号の説明
20 リードヘッド
21 TMR素子
22 電極
23 シールド層
24 強磁性体
25 付着した導電性物質
26 除去された導電性物質の跡
60 ディジタルソースメータ
61 磁気ヘッド

Claims (5)

  1. TMR素子に対する印加電圧値を段階的に増加するに伴い、前記TMR素子の素子抵抗値が増大し、前記素子抵抗値の増大後に前記素子抵抗値が減少を開始する変曲点を有する前記TMR素子において、
    前記TMR素子に対する印加電圧値を所定の第1の印加電圧値から段階的に増加させ、
    前記変曲点を示す前記印加電圧値より大きくかつ前記TMR素子について想定されるブレークダウン電圧値より小さな所定の第2の印加電圧値まで前記TMR素子に対して電圧を印加することにより、
    前記TMR素子を破壊することなく前記変曲点を除去することを特徴とするTMR素子抵抗値安定化方法。
  2. 前記印加電圧は所定時間内に印加するパルス波形電圧であることを特徴とする請求項1記載のTMR素子抵抗値安定化方法。
  3. 前記印加電圧は所定時間内に印加する微分波形電圧であることを特徴とする請求項1記載のTMR素子抵抗値安定化方法。
  4. TMR素子に対する印加電圧値を段階的に増加するに伴い、前記TMR素子の素子抵抗値が増大し、前記素子抵抗値の増大後に前記素子抵抗値が減少を開始する変曲点を有する前記TMR素子の抵抗値安定化装置であって、
    前記TMR素子に対する印加電圧値を所定の第1の印加電圧値から段階的に増加させ、前記変曲点を示す前記印加電圧値より大きくかつ前記TMR素子について想定されるブレークダウン電圧値より小さな所定の第2の印加電圧値まで前記TMR素子に対して電圧を印加することにより、
    前記TMR素子を破壊することなく前記変曲点を除去することを特徴とするTMR素子抵抗値安定化装置。
  5. 請求項1乃至請求項3のいずれか1に記載のTMR素子抵抗値安定化方法を適用したTMR素子を有する磁気ヘッド。


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