JP2008202605A - シリンダ内直接噴射式内燃機関 - Google Patents

シリンダ内直接噴射式内燃機関 Download PDF

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純一 山口
Yoshiyuki Tanabe
好之 田辺
Koji Onishi
浩二 大西
Toshio Ishii
俊夫 石井
Takashi Fujii
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Abstract

【課題】燃料をシリンダ内に直接噴射する燃料噴射弁と、混合気に複数回の点火を行う点火装置を有する内燃機関において、複数回点火する際の時間またはクランク角の間隔をバッテリの状態に応じて適正に変える。
【解決手段】内燃機関は、燃料をシリンダ内に直接噴射する燃料噴射弁と、混合気に複数回の点火を行う点火装置を有する。エンジン制御装置は、バッテリ電圧を監視する手段と、バッテリ電圧に応じて、複数回点火する際の時間またはクランク角の間隔を変える点火制御装置と、を備える。
【選択図】図1

Description

本発明はシリンダ内に燃料を直接噴射し、点火によりシリンダ内の混合気を燃焼させる内燃機関に関する。
従来、シリンダ内に燃料を直接噴射する内燃機関においては、例えば低負荷運転時に点火プラグの周辺に局部的に燃焼に適した混合気を形成して燃焼を行なう(いわゆる成層燃焼と称せられる)方式が知られている。この燃焼は、燃費低減や排出ガスの浄化を図り得る。
このようなシリンダ内直接噴射式内燃機関では、失火をなくして燃焼安定性の向上を図るために、1行程内で複数の点火を行なう多重点火、または1シリンダ当たり複数の点火プラグを用いた多点点火システムが提案されている。例えば、特許文献1(特開2000−179377)に記載されているような多重点火システムがある。
この多重点火システムは、点火プラグ近傍に光電変換素子からなる空燃比計測システムを備え、設定空燃比を調節しながら、理想となる設定点火時期から最遅角点火時期までの間に複数回の点火を行ない、燃焼安定性を確保する構成となっている。多点点火システムとしては、特許文献2(特開2000−179441)に記載されているシステムがある。
特開2000−179377 特開2000−179441
点火プラグ近傍の空燃比を計測し、フィードバック制御により空燃比を調節する場合には、燃焼安定性は確保できる。それはあくまで点火プラグ近傍においてのみであって、使用される燃料噴射弁の噴霧特性によっては、必ずしもシリンダ全体で良好な燃焼を保証するものではない。
なぜならば、一般的な円錐形(中実または中空)の噴霧特性では、必ずしも点火プラグに多くの燃料が指向しているとは言えず、また、設定点火時期から最遅角点火時期の間に点火を行なったとしても、その間の空燃比分布に変動が大きいために、1回の点火では確実に燃焼させることができないこともある。
そのために、4〜5回の多重点火を行なって安定性を確保しているが、点火プラグの電極の消耗が大きかったり、電力消費が大きくなる。また、混合気の成層化が十分ではなく、よって燃費や排気の低減が充分でない場合もある。さらに、空燃比計を用い、その経時劣化や汚損などの影響を補正するために、点火時期を意図的に変えてデータ取得を行なったりするので、システムが複雑になり、高価になる。
また、このような火花点火エンジンにおいては、排気管に触媒を装備して排気成分の浄化を行なうことが多いが、触媒は温度が高くならないと浄化作用を得ることができない。
そこで、エンジン始動時および始動直後は成層燃焼により、少ない燃料量で安定した燃焼を成立させ、有害排出ガスの量を抑えると共に、触媒を早期に活性化させるために点火時期を遅らせて、発生する高温の排気ガスを排気管に排出させたい。このためには燃料噴射時期を遅くする方法があるが、噴射時期が遅くなると、燃焼室内が高圧下し、従来用いられている燃料噴霧では、噴霧貫通力(ペネトレーション)が不足し、燃料が点火プラグに届かなくなり、燃焼が不安定になってしまうという課題があった。
本発明の目的は、良好な燃焼安定性を確保しながら、電極消耗や電力消費が少なく、簡潔かつ安価なシリンダ内直接燃料噴射システムを新たに提供しようとするものである。
また、始動時に触媒の早期活性化を行なうために、点火時期を遅らせながら、かつ、安定した燃焼が実現できるシリンダ内直接燃料噴射システムを新たに提供しようとするものである。
上記課題を解決するために,本発明は基本的には、燃料をシリンダ内に直接噴射する燃料噴射弁と、混合気に複数回の点火を行う点火装置を有する内燃機関において、
バッテリ電圧を監視する手段と、バッテリ電圧に応じて、複数回点火する際の時間またはクランク角の間隔を変える点火制御装置と、を備えたことを特徴とする。
従来の多重点火システムと比較して、簡潔な構成で安価であり、かつ、電極消耗や電力消費が少ないシリンダ内直接燃料噴射システムとすることができる。
本発明の実施例を図面に基づき説明する。
第1図に本発明の第1の実施例に係る内燃機関の構成図を示す。エンジンについては、複数シリンダのうち一つを断面して表している。
燃料噴射弁101は、エンジン102の燃焼室(シリンダ)104内に燃料を直接噴射するように取付けられている。
コンピュータ(燃料噴射制御装置,点火制御装置)113は、エンジンの冷却水温、回転数、吸入空気量などの情報をもとに、燃料噴射弁101の作動信号を演算し出力する。また、点火時期を演算して点火コイル115に点火信号を送り、点火プラグ114に点火火花を発生させるように制御する。
燃料噴射弁101には、燃料タンク112からの燃料が燃料ポンプ111により加圧されて供給されている。
エンジンの吸気行程では、排気弁110が閉じ、吸気弁109が開き、吸気管107から吸入空気が流入する。
続いて圧縮行程では、吸気弁109が閉じ、ピストン103が上昇することにより吸入空気が圧縮される。そして上死点前で燃料噴射弁101から燃料が噴射される。
この燃料は、流速が速くかつ点火プラグ114を指向する先行噴霧(リード噴霧,初期噴霧等と称されることもある)105と、その後に続く流速の遅い主噴霧106の二つの分布を持っている(このような燃料噴霧パターンを形成する燃料噴射弁については、第3図を用いて後述する)。先行噴霧と主噴霧との割合は、例えば先行噴霧が全体の10〜30%、主噴霧が全体の90〜70%である。
そして、先行噴霧105が点火プラグ114に到達する時期を予め調べておき、到達したときに、点火プラグ114で第1回目の点火を行なうように点火時期が設定されている。
先行噴霧105への点火が成功した場合、燃焼は先行噴霧から主噴霧へと広がり、良好な成層燃焼を行なうことができる。
一方、先行噴霧105への点火が失敗した場合には、主噴霧106が燃焼室104内に拡散し、点火プラグ114付近に混合気を形成する。このときに第2回目の点火を行なうように、点火時期をコンピュータ内で制御する。これにより、燃焼が行われない状態、いわゆる失火を防ぐことができる。
そして膨張行程により、ピストン103を押し下げる力が、クランクシャフト(図示しない)により回転軸トルクに変換され、次の排気行程では排気弁110が開き、燃焼ガスが排気管108に排出される。これで1サイクルが終了し、次の吸入行程が行われる。これを繰り返してエンジン102が運転される。
第2図に、本実施例における、エンジンの制御フローチャートを示す。
第2図に示すように、車載コンピュータ113は、最初にエンジン回転数や、アクセル開度、水温、吸入空気負圧などの情報を取り込み、目標トルクを演算する。これらの情報を基にして、燃料噴射量、具体的には、燃料噴射弁の開弁パルス幅を決定する。次に、1回目の点火を行なう点火時期を決定する。
次に、アイドル状態かどうかを判定する。アイドル状態であると判定された場合には、燃料噴射量が少ないため、先行噴霧105については絶対的な量が少なく着火が困難であるので、主噴霧106からの混合気への1回点火を行なうように設定し、それに応じた燃料噴射時期を定める。
アイドル状態でないと判定されると、次に、バッテリ電圧を参照する。バッテリ電圧VBが基準値、例えば8V(これをVminとする)以下である場合には、多重点火を行なうのに十分なエネルギーがないので、1回点火に設定し、それに応じた燃料噴射時期を定める。バッテリ電圧がVmin以上の場合は、バッテリ電圧がVminより高い次の基準値、例えば9V(これをVnとする)以下であるかどうかを調べる。
バッテリ電圧VBがVn以上(VBVn)である時には、燃料噴射から1回目の点火までの時間(これをDT1とする)と1回目の点火から2回目の点火までの時間(これをDT2とする)を、例えばDT1=1ms、DT2=0.5msに設定する。
バッテリ電圧がVn以下(Vn>VBVmin)の時は、1回目の点火後に点火コイル115をチャージするのに時間がかかることから、1回目の点火から2回目の点火までの時間DT2を、VBVnの場合よりも長めに、例えば、DT2=1msに設定する。DT1についてはVBVnの場合と変わらない。
こうして定めたDT1、DT2により、先に決定した1回目の点火時期の決定時を基準にして、燃料噴射時期と、1回目の点火時期と、2回目の点火時期とが決定される。
以上のようにして燃料噴射時期、1回目の点火時期、2回目の点火時期が定まると、順次燃料噴射、点火を行なう。これで燃焼1サイクルが終了し、次の燃焼に向けて同様に演算を行なう。なお、上記制御においては、成層燃焼モード(低負荷時)時に複数回の点火制御が行われ、燃料噴射量が多く、噴霧が燃焼室内で均質化される均質燃焼(高負荷時)には、1行程あたり1回の点火制御が行われる。
第3図および第4図に、本実施例に用いる燃料噴射弁101のノズル部の構成、及び燃料噴霧形状を示す。
第3図において、燃料噴射弁(以下、インジェクタと称する)101は、例えば噴射弁本体内の電磁コイル(図示せず)の通電,遮断により弁を開閉する電磁弁よりなる。
インジェクタのノズル部150は、ボール弁151と、これに接続されたロッド152、噴霧に旋回力を与えるスワラー(燃料旋回子)153、断面L字形の切り欠き157が設けられた噴射口154により概ね構成される。
ロッド152は、電磁コイルの通電時にリターンスプリング(図示せず)の力に抗して磁気吸引され、ボール弁151が弁座から離れて開弁する。スワラー153は、その外周に複数の燃料通路溝156が軸方向に形成され(この溝を軸方向溝と称することもある)、底面に溝156とつながる燃料通路溝155(この溝を径方向溝と称することもある)がスワラー内径に向けて偏心して形成されている。
ボール弁151が開くことにより、噴射弁本体内に通る燃料が軸方向溝155から径方向溝156に流れ、噴霧の周方向に旋回力が与えられる。
燃料噴射弁101は、噴射口154の切り欠き157が点火プラグ114側となるように設置される。
燃料噴霧は第4図に示す形状となっており、A−A横断面を見ると、噴射口154に設けられた切り欠き157により、点火プラグ114に向けた先行噴霧105の流量密度及び噴霧速度が主噴霧106より高くなり、先行噴霧105が主噴霧に先立ち噴出すると共に、主噴霧となる円錐形噴霧の一部に隙間の有る形状となっている。そのため、先行噴霧105の噴霧到達距離(ペネトレーション)は主噴霧106より長くなる。また、先行噴霧105によってプラグ方向に向かう流れ116(図示しない)が形成され、これに先行されて、主噴霧106も点火プラグ114に向かう作用がある。
第5図から第10図を用いて、本実施例における噴霧および混合気の挙動と、点火動作について説明する。ここで、エンジン102は、始動直後のいわゆるファストアイドル運転を想定している。
第5図から第10図は、圧縮行程の進行を示す断面側面図および断面上面図を示している。第5図および第6図に至る前(吸気行程)では、吸気弁109が開きピストン103が下降することにより、燃焼室104内に吸気ポート107から空気が流入される。吸気ポート107が斜めに取付けられていることから、燃焼室104内には弱いタンブル流(縦渦流)が形成される。本実施例ではタンブル生成機構を設けていないが、タンブル生成機構が有る場合と同様の効果を得ることができるため、本実施例はタンブル生成機構の有無を限定するものではない。
圧縮行程になると吸気弁109を閉じ、ピストン103が上昇することにより燃焼室104内の温度と圧力が上昇する。ピストン103が上死点に近づくにつれ燃焼室104内に生成されたタンブルは減衰し、上死点に達する頃にはタンブル流動が維持できず乱れた流れとなる。
点火リタードの場合、点火時期を上死点付近にするため、燃料噴射時期をクランク角で上死点前40°付近に設定する。なお、最適な噴射時期はエンジンによって異なる。
第5図および第6図に、燃料噴射直後における燃焼室内の挙動を示す。第5図はエンジンを側面から、第6図ではエンジンを上面から見た図をそれぞれ示している。
この時点はエンジン102は圧縮行程であるので、吸気弁109および排気弁110は閉じており、ピストン103が上昇することにより吸入空気が圧縮される。そして、燃料噴射弁101から燃料が噴射されるが、この燃料は、流速が速く、かつ点火プラグ114を指向する先行噴霧105と、流速の遅い主噴霧106の二つの分布を持っている。先行噴霧105は、主噴霧106に比べると流速が速く、噴霧密度が高いため、主噴霧106よりも先行し、点火プラグ114近傍に到達する。主噴霧106は、先行噴霧105に遅れてピストン103に向かう。このとき、先行噴霧105と、燃焼室104内の吸入空気との間で摩擦が生じ、燃料噴射弁101から点火プラグ114へ向かう噴流116が生成される。主噴霧106は、噴霧が比較的分散し噴霧密度が低いため、強い噴流を生成するまでは至らない。
噴流116は噴霧自身によって生成されるため、エンジン回転数などの運転条件に影響されにくく、噴霧自身の挙動の安定性が高いという特徴がある。
第7図および第8図に、ピストンが上死点前20°付近にある場合の燃焼室内の挙動を示す。第7図は側面から、第8図は上面からエンジンを見た図である。時間の経過によりピストン103が上昇し、主噴霧106はピストン103の上面付近に停滞する。この時、上述した噴流116が、主噴霧106から気化した着火用混合気126を点火プラグ114方向へ導く。
先行噴霧105は、点火プラグ114を通過しつつ気化し、点火プラグ114周りに混合気125を形成する。このとき、点火プラグ114により、予め定めた第1回目の点火時期に点火が行なわれる。点火時期は、噴霧流速をあらかじめ推定し、これと燃料噴射弁から点火プラグまでの距離とに基づき点火プラグへの燃料噴霧の到達に要する時間を推定し、燃料噴射後から上記到達時間を加えることにより算出される。
先行噴霧105への点火が成功した場合、燃焼は先行噴霧から主噴霧へと広がり、良好な成層燃焼を行なうことができる。
第9図および第10図に、第7図および第8図で、先行噴霧からの混合気への着火に失敗した場合の、ピストンが上死点付近にある場合の混合気の挙動を示す。第9図は側面から、第10図は上面からエンジンを見た図である。
ピストン103が圧縮上死点に近づくと燃焼室104の内圧が急激に上昇し、このため噴流116は主噴霧106からの混合気126が点火プラグ114へ到達する頃には消滅する。そのため、混合気126の移動速度は点火プラグ114付近で遅くなり、点火プラグ114を大きく通過することなく、その近傍で成層化することができる。
また、噴流116を生成した先行噴霧105は、ピストン103の上昇に伴って殆ど気化し、混合気125となって点火プラグ114を過ぎたところで成層化する。
このときに第2回目の点火を混合気126に対して行なうように、点火時期を第1図
のコンピュータ113内で制御する。これにより、点火に失敗して燃焼が行われない状態、いわゆる失火を防ぐことができる。さらにこのとき、混合気126は点火プラグ114近傍で比較的安定して留まっているので、ここで第3回目、またはそれ以上の点火を行なって、点火をさらに確実にすることもできる。
このようにして、本実施例によって、先行噴霧からの混合気125と、主噴霧からの混合気126を点火プラグ114のまわりに順次成層化でき、これらに順次点火することにより、点火時において安定に成層燃焼することが出来る。
第11図から第16図に、本発明の第2の実施例における噴霧および混合気の挙動と、点火動作について示す。基本的な構成は第1の実施例と同じであり、燃料噴射弁の基本構造も第3図または第4図で示したものと同様であるが、燃焼室の頂上付近に位置する点火プラグ114に加えて、燃料噴射弁101の直上に補助点火プラグ201が設けられている。
第11図および第12図に、燃料噴射直後の燃焼室内の挙動を示す。第11図はエンジンを側面から、第12図ではエンジンを上面から見た図をそれぞれ示している。
エンジン102は圧縮行程にあり、吸気弁109および排気弁110は閉じており、ピストン103が上昇することにより吸入空気が圧縮される。そして、燃料噴射弁101から燃料が噴射されるが、この燃料は、流速が速く、かつ点火プラグ114を指向する先行噴霧105と、流速の遅い主噴霧106の二つの分布を持っている。
ここで、燃料噴射弁101は、補助点火プラグ201を設けた関係上、燃料噴射弁と点火プラグとの位置関係が第1実施例と較べて異なるために(燃料噴射弁101は第1実施例のものより下に位置している)、第1実施例と比較すると広角に噴霧が噴射されるものを用いる。
先行噴霧105は、主噴霧106に比べると流速が速く、噴霧密度が高いため、主噴霧106よりも先行して点火プラグ114近傍に到達する。主噴霧106は、先行噴霧105に遅れてピストン103に向かう。このとき、先行噴霧105と、燃焼室104内の吸入空気との間で摩擦が生じ、燃料噴射弁101から点火プラグ114へ向かう噴流116が生成される。主噴霧106は、噴霧が比較的分散し噴霧密度が低いため、強い噴流を生成するまでは至らない。
噴流116は噴霧自身によって生成されるため、既述したようにエンジン回転数などの運転条件に影響されにくく、噴霧自身の挙動の安定性が高いという特徴がある。
第13図および第14図に、ピストンが上死点前20°付近にある場合の燃焼室内の挙動を示す。第13図は側面から、第14図は上面からエンジンを見た図である。時間の経過によりピストン103が上昇し、主噴霧106はピストン103の上面付近に停滞する。この時、上述した噴霧116が、主噴霧106から気化した混合気126を、補助点火プラグ201、および点火プラグ114方向へ導く。このようにして、点火プラグ114または補助点火プラグ201の近傍に、着火に適した成層混合気が形成され、この時点で点火を行なうこともできるが、第1実施例で記載したように、点火時期をなるべく遅らせたいので、次のステップに進む。
第15図および第16図に、ピストンが上死点付近にある場合の混合気の挙動を示す。第15図は側面から、第16図は上面からエンジンを見た図である。
ピストン103が圧縮上死点に近づくと燃焼室104の内圧が急激に上昇し、このため噴流116は、主噴霧106からの混合気126が点火プラグ114へ到達する頃には消滅する。そのため、混合気126の移動速度は点火プラグ114付近で遅くなり、点火プラグ114を大きく通過することなく、その近傍で成層化することができる。
また、噴流116を生成した先行噴霧105は、ピストン103の上昇に伴って殆ど気化するため、混合気125は点火プラグ114を過ぎたところで成層化する。
このとき、第1図に記載のコンピュータ113により、点火プラグ114および補助点火プラグ201の両方に、同時または時間差を設けて点火を行なう。
2点で略同時に点火を行なうので、点火に失敗して燃焼が行われない状態、いわゆる失火の確率を非常に小さく抑えることができる。さらにこのとき、混合気126は点火プラグ114近傍で比較的安定して留まっているので、ここで、第1実施例にあるような第2回目、またはそれ以上の点火を行なって、混合気125、126への着火をさらに確実にすることもできる。
さらに、アイドル時は、燃料噴射量が少ないことから、先行噴霧105により点火プラグ114付近に混合気125を形成することが難しいため、点火プラグ114への点火を取りやめて、補助点火プラグ201でのみ点火するようにしてもよい。このようにすれば、着火性を確保しながら、点火エネルギーを抑え、エンジン102の総合効率を上げることができる。
また、複数の点火プラグへの点火は成層燃焼モード時に行い、均質燃焼モード時には、いずれか一方の点火プラグだけを使用するように制御する。
第17図および第18図に、本発明に用いられる、燃料噴射弁101の他の形態とそれによる燃料噴霧形状を示す。
本例における燃料噴射弁101のノズル150は、燃料を噴射する燃料噴射口154Aと空気を噴射する空気噴射口154Bを有する構造となっており、空気噴射口154Bは、燃料噴射弁101をエンジンに取付けたとき、点火プラグ114を指向するように設けられる。
燃料噴射口154A側の内部構造は第2図に示したものとほぼ同じであるが、噴射口に切り欠きはなく、周方向に均一なコーン噴霧が噴射される。空気噴射口154Bには空気の噴射を制御するためにボール弁151Bと、これに接続されたロッド152Bが設けられている。高圧ポンプから供給される加圧された空気は、空気配管(図示しない)を通り、空気噴射口154Bの上流に充填される。ボール弁151Bを上に動かすことにより、空気噴射口154Bから高圧の空気流が噴射される。この空気流は、既述した第1,第2実施例の噴流116に対応する。したがって、この噴流116に主噴霧106の一部が先行噴霧105として引きこまれ、点火プラグ105側に案内される。本実施例ではボール弁151A,151Bは同時に動く様に制御するが、必ずしもこの動作に限定するものではなく、若干ボール弁151Bが早く動作してもかまわない。
第19図および第20図に、本発明に用いられる、燃料噴射弁101の別の態様と燃料噴霧形状を示す。
本例における燃料噴射弁101のノズル150は、先行噴霧105を生成する燃料噴射口154Cと、主噴霧106を生成する燃料噴射口154Dを有する構造となっている。燃料噴射口154Cは、径が燃料噴射口154Dより大きく、燃料噴射弁101をエンジンに取付けたときに先行噴霧105が点火プラグ114を指向するように設けられる。また、燃料噴射口154Dは径が小さく、運転に必要な燃料量を噴射するために噴口を複数設けると共に、配置する位置を分散させて主噴霧106の噴霧密度が小さくなるようにしている。
以上に述べた先行噴霧および主噴霧に複数の点火を実行した効果を実験により次のように確認した。
第21図に、燃焼安定領域の比較結果を示す。ここでは、吸気ポートにタンブル生成機構を設け、タンブルにより混合気を点火プラグへ成層化させる方式を空気ガイド方式と称し、本発明のように、先行噴霧により生じる噴流で混合気を点火プラグへ成層化させる手段をスプレイリード方式と称する。
第21図に示すグラフの横軸は燃料噴射時期を、縦軸は点火時期を表す。斜線で囲まれた領域が、図面左から順に、空気ガイド方式、スプレイリード方式の安定燃焼領域を示している。エンジン回転数は1200rpmの低負荷運転条件である。
空気ガイド方式では、燃料噴射時期が上死点前60°以降では安定燃焼ができないため上死点前20°以降は、安定燃焼領域が生じていない。しかし、スプレイリード方式では、燃料噴射時期を上死点前30°までリタード可能で、点火時期が上死点近くでも安定に燃焼できることを確認した。またスプレイ先行方式では、点火時期を遅らせることにより、燃費とNOx排出量を低減することができる。
第22図に、本発明の第1実施例で用いた2回点火を行なった場合と、1回点火の従来方式の比較結果を示す。
従来方式では、燃料噴射時期、および点火時期を遅くすると、混合気分布のばらつきなどの影響で、数十回に1回の割合で失火が起こっていた。本発明により、同一条件での失火回数を0とすることが出来た。
なお、第2の実施例では、点火プラグの数を2つとしたが、本発明の範囲は必ずしもこれに限定されるものではなく、燃焼噴射弁からの噴霧が気化する位置に配置すれば、その数はもっと多くてもよい。また、点火プラグの場所も、吸排気弁109,110などと干渉しなければ、別の位置でも良い。噴霧形状についても同様であり、先行噴霧により主噴霧に流れを与える構成であればよい。
第1図は、本発明の第1実施例における構成図。 第2図は、第1実施例における、エンジンの制御フローチャート。 第3図は、第1実施例における燃料噴射弁101の構成図。 第4図は、第1実施例における燃料噴射弁101の噴霧形状を示す説明図。 第5図は、第1実施例の燃料噴射直後における燃焼室内の挙動を示す側面図。 第6図は、第1実施例の燃料噴射直後における燃焼室内の挙動を示す上面図。 、第7図は、第1実施例の上死点前20°付近における燃焼室内の挙動を示す側面図。 第8図は、第1実施例の上死点前20°付近における燃焼室内の挙動を示す上面図。 第9図は、第7図で混合気への着火に失敗した場合の、上死点付近の挙動を示す側面図。 第10図は、混合気への着火に失敗した場合の、上死点付近の挙動を示す上面図。 第11図は、第2実施例の燃料噴射直後における燃焼室内の挙動を示す側面図。 第12図は、第2実施例の燃料噴射直後における燃焼室内の挙動を示す上面図。 第13図は、第2実施例の上死点前20°付近における燃焼室内の挙動を示す側面図。 第14図は、第2実施例の上死点前20°付近における燃焼室内の挙動を示す上面図。 第15図は、第2実施例の上死点付近における燃焼室内の挙動を示す側面図。 第16図は、第2実施例の上死点付近における燃焼室内の挙動を示す上面図。 第17図は、燃料噴射弁101の別の態様を示す構成図。 第18図は、第17図の燃料噴射弁101による噴霧形状を示す図。 第19図は、燃料噴射弁101の別の態様を示す構成図。 第20図は、第19図の燃料噴射弁101による噴霧形状を示す図。 第21図は、本発明と従来例との実験による燃焼安定領域の比較結果を示すグラフ。 第22図は、実験による、従来方式と本発明との燃焼安定度の比較結果を示すグラフである。
符号の説明
101…燃料噴射弁、113…コンピュータ(燃料噴射制御装置,点火制御装置)、114…点火プラグ、115…点火コイル。

Claims (2)

  1. 燃料をシリンダ内に直接噴射する燃料噴射弁と、混合気に複数回の点火を行う点火装置を有する内燃機関において、
    バッテリ電圧を監視する手段と、バッテリ電圧に応じて、複数回点火する際の時間またはクランク角の間隔を変える点火制御装置と、を備えたことを特徴とするシリンダ内直接噴射式内燃機関。
  2. 1回目の点火は燃料噴射から1ms以上の時間間隔を置き、かつ、2回目以降は、1回目の点火からそれぞれ0.5ms以上の時間間隔を置くようにした請求項1記載のシリンダ内直接噴射式内燃機関。
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