JP2008202507A - スタータ - Google Patents

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Abstract

【課題】安定した滑りトルクを維持でき、且つ、長寿命化を可能にできる衝撃吸収装置を備えたスタータを提供する。
【解決手段】衝撃吸収装置に使用される回転ディスク50は、リング形状の内周全周にインターナルギヤ26を形成する複数の歯が設けられ、これらの歯に減速機の遊星ギヤが噛み合わされている。つまり、回転ディスク50は、減速機のインターナルギヤ26と一体に設けられている。この回転ディスク50は、素材である低炭素鋼材または中炭素鋼材に軟窒化処理が施されており、固定ディスク49と接触する表層部に窒化鉄の化合物層Aが形成されている。これにより、耐摩耗性および潤滑性が向上するため、インターナルギヤ26に要求される表面硬度を確保しつつ、固定ディスク49の摩耗を抑制することが可能である。また、化合物層は、摩擦係数が低く安定しているため、滑りトルクの変動を抑えることができ、安定した滑りトルクを維持できる。
【選択図】図2

Description

本発明は、遊星歯車減速装置と衝撃吸収装置を備えるスタータに関する。
特許文献1に示されるスタータには、多板式の衝撃吸収装置が採用されている。
この衝撃吸収装置は、遊星歯車減速装置のインターナルギヤと一体に設けられた複数枚の回転ディスクと、この回転ディスクと交互に配置され、且つ、回転不能に支持された複数枚の固定ディスクと、固定ディスクと回転ディスクとの間に摩擦面圧力を付与する皿ばね等より構成され、各回転ディスクを両側から固定ディスクで挟み込んでいる。
この衝撃吸収装置は、回転ディスクの滑りトルクを超える過大トルクがインターナルギヤを介して回転ディスクに加わると、その回転ディスクが固定ディスクとの間に生じる摩擦力に抗して滑る(回転する)ことにより、インターナルギヤの回転が許容されて、遊星歯車減速装置に加わる衝撃力を吸収する働きを有する。
特開2005−113816号公報
ところで、インターナルギヤに要求される仕様は、歯面の摩耗を抑制するために、相手側の遊星ギヤと同等以上の表面硬度(HV600前後)が必要である。
一方、回転ディスクの滑り面として要求される仕様は、相手部材となる固定ディスクの摩耗を抑制するために、固定ディスクに使用される材質(りん青銅)と同等の硬度(約HV200)、または硬度差を抑えることが必要である。
従って、回転ディスクとインターナルギヤとが一体に設けられる構成では、上記の相反する仕様を両立させることが求められる。
しかし、従来からギヤに採用される熱処理(浸炭焼き入れ、高周波焼き入れ等)では、表面硬度がHV700以上あり、固定ディスクとの硬度差が大きいため、固定ディスクを異常摩耗させてしまう。その結果、固定ディスクの異常摩耗により、皿ばねの撓み量が減少して、皿ばねの荷重が低下することにより、滑りトルクが低下する問題があった。
また、回転ディスクの材質が鉄の場合、熱処理を行わなければ、固定ディスクと同等の硬度になるが、インターナルギヤに要求される硬度が得られないため、歯面の摩耗及び変形が生じて異音が発生する恐れがある。
他の方策として、a)潤滑剤であるグリースの添加材を改良、b)固体潤滑剤(二硫化モリブデン他)の追加、c)インターナルギヤの表面に潤滑層(化成処理)を追加する等も試みたが、固定ディスクの摩耗を抑制することはできず、寿命も満足できない結果となった。
本発明は、上記事情に基づいて成されたもので、その目的は、安定した滑りトルクを維持でき、且つ、長寿命化を可能にできる衝撃吸収装置を備えたスタータを提供することにある。
(請求項1の発明)
本発明は、回転力を発生するモータと、軸上にピニオンギヤを有するピニオン軸と、モータの回転を減速してピニオン軸に伝達する遊星歯車減速装置と、この遊星歯車減速装置に使用されるインターナルギヤと一体に設けられた回転ディスクと、この回転ディスクの板厚方向に隣接して回転不能に配置される固定ディスクとを有し、回転ディスクと固定ディスクとが所定の押圧力を受けて摩擦接触すると共に、インターナルギヤを介して回転ディスクに所定値以上の負荷トルクが加わった時に、回転ディスクが摩擦力に抗して回転することにより、遊星歯車減速装置に加わる衝撃を吸収する衝撃吸収装置とを備えるスタータであって、回転ディスクに軟窒化処理を施したことを特徴とする。
上記の構成によれば、回転ディスクの表面に生成される窒化鉄の化合物層により、耐摩耗性、および潤滑性が向上するため、インターナルギヤに要求される表面硬度を確保しながら、固定ディスクの摩耗を抑制することが可能である。また、化合物層は、摩擦係数が低く安定しているため、滑りトルクの変動を抑えることができ、安定した滑りトルクを維持できる。
(請求項2の発明)
請求項1に記載したスタータにおいて、軟窒化処理を施した回転ディスクの表面硬度をHV500〜HV650とすることを特徴とする。
これにより、インターナルギヤに噛み合う遊星ギヤと同等の表面硬度を得ることができるので、インターナルギヤの歯面の摩耗を抑制できる。なお、表面硬度の数値(HV500〜HV650)は、軟窒化処理の処理時間によって調整できる。
(請求項3の発明)
請求項2に記載したスタータにおいて、軟窒化処理によって回転ディスクの表面に生成された化合物層の厚みを10〜30μmとすることを特徴とする。
スタータに使用される衝撃吸収装置では、回転ディスクに焼き付きが発生するまでの総回転数を所定の回転数(例えば5000回転)以上に確保する必要がある。ここで、回転ディスクの表面に生成された化合物層の厚みが10μmに満たない場合は、所定の回転数を満足することができず、衝撃吸収装置の寿命が短くなる。一方、化合物層の厚みが30μmを超える場合は、化合物層の亀裂、剥離が発生し易くなるため、必要以上に厚くする必要性はない。
上記の観点から、回転ディスクの表面に生成された化合物層の厚みを10〜30μmとすることにより、要求される衝撃吸収装置の寿命を確保できる。
(請求項4の発明)
請求項3に記載したスタータにおいて、回転ディスクの材質は、低炭素鋼材または中炭素鋼材であることを特徴とする。
低炭素鋼材または中炭素鋼材に軟窒化処理を実施することにより、表面に生成される化合物層の厚みを10〜30μmに設定でき、且つ、HV500〜HV650の表面硬度を得ることができる。
(請求項5の発明)
請求項1〜4に記載した何れかのスタータにおいて、遊星歯車減速装置に使用されるグリースの材料と、衝撃吸収装置に使用されるグリースの材料とが異なり、且つ、遊星歯車減速装置に使用されるグリースの使用量が、衝撃吸収装置に使用されるグリースの使用量の50%以下に設定されていることを特徴とする。
衝撃吸収装置に使用されるグリースは、他のグリースが50%以上混入すると、グリースの摩擦係数が変動して滑りトルクが不安定になるため、本発明では、減速装置に使用されるグリースの使用量を、衝撃吸収装置に使用されるグリースの使用量の50%以下に設定した。
なお、衝撃吸収装置および減速装置に使用されるグリースは、例えば、ベースとなる潤滑油(基油)にリチウム石けんを増ちょう剤として配合したリチウム系グリースである。但し、衝撃吸収装置に使用されるグリースには、添加剤として極圧添加剤と固体潤滑剤(二硫化モリブデン等)が配合されるのに対し、減速装置に使用されるグリースには、極圧添加剤が配合されていない。
ベースとなる潤滑油には、例えば、エステル系あるいはポリアルファオレフィン(PAO)等の合成油が使用される。
(請求項6の発明)
請求項1〜5に記載した何れかのスタータにおいて、衝撃吸収装置は、リング形状を有するケースの内周に固定ディスクと回転ディスクとが交互に重ねて配置されると共に、固定ディスクは、自身の外周に径方向外側へ突き出る凸部が設けられて、この凸部がケースの内周に窪んで設けられた凹部に係合することで回転不能に配置され、ケースに設けられた凹部の内周と回転ディスクの外周との間に、その回転ディスクの両側に配置される2枚の固定ディスクに設けられた凸部によって両側を区画された空間が形成され、この空間にグリースが充填されていることを特徴とする。
上記の空間は、四方が囲まれているため、充填されたグリースが容易に流出することはなく、長期に渡ってグリースを保持できる。
本発明を実施するための最良の形態を以下の実施例により詳細に説明する。
図1は衝撃吸収装置4とその周辺構造を示す拡大断面図、図7はスタータ1の全体断面図である。
本実施例のスタータ1は、図7に示す様に、回転力を発生するモータ2と、このモータ2の回転を減速する減速機3と、エンジン始動時に生じる衝撃力を吸収する衝撃吸収装置4と、減速機3にクラッチ5を介して連結されるピニオン軸6と、このピニオン軸6に支持されるピニオンギヤ7と、モータ2の通電回路(モータ回路と呼ぶ)に設けられるメイン接点(後述する)を開閉すると共に、シフトレバー8を介してピニオン軸6を軸方向に移動させる働きを有する電磁スイッチ9等より構成される。なお、図7に示すピニオン軸6及び電磁スイッチ9の中心線より上側は、スタータ1の停止状態を表し、中心線より下側は、スタータ1の作動状態を表している。
モータ2は、磁気回路を形成する円筒状のヨーク10と、このヨーク10の内周に配置される複数の界磁コイル11と、整流子12を具備する電機子13と、電機子13の回転によって整流子12の表面上を摺接するブラシ14等より構成される周知の整流子型直流電動機である。なお、界磁コイル11に代えて永久磁石を使用することもできる。
電機子13は、電機子軸15の外周に圧入状態でセレーション嵌合する電機子鉄心16と、この電機子鉄心16に巻線される電機子コイル17とを有し、この電機子コイル17が整流子12を構成する個々のセグメントに接続されている。電機子軸15は、整流子12より後方(図示右方向)へ突き出る後端部が軸受18を介してエンドフレーム19に支持され、電機子鉄心16より前方へ突き出る前端側が軸受20を介してセンタプレート21に支持されている(図1参照)。
センタプレート21は、ブラシ粉等の異物が減速機3側へ飛散しない様に、電機子軸15と直交して電機子13と減速機3との間に配置され、外周部がセンタケース22とヨーク10との間に挟持されている。
センタケース22は、スタータ1の前方を覆うフロントハウジング23とヨーク10との間に配置されて、クラッチ5と減速機3の外周を覆っている。
このセンタケース22とヨーク10、及びエンドフレーム19は、複数本のスルーボルト24(図7参照)をフロントハウジング23に締め付けて固定されている。
減速機3は、電機子軸15と同軸上で減速できる遊星歯車減速機であり、電機子13の反整流子側に構成されている。この減速機3は、図1に示す様に、センタプレート21より突き出る電機子軸15の端部に設けられる太陽ギヤ25と、この太陽ギヤ25と同心に配置されると共に、衝撃吸収装置4を介して回転規制されるインターナルギヤ26と、両ギヤ25、26に噛み合う複数の遊星ギヤ27とで構成され、この遊星ギヤ27の公転運動がクラッチ5を介してピニオン軸6に伝達される。遊星ギヤ27は、軸受28(例えばニードルベアリング)を介して遊星ピン27aに回転自在に支持され、その遊星ピン27aが、以下に説明するクラッチアウタ29に圧入等により固定されている。
クラッチ5は、図1に示す様に、減速機3とピニオン軸6との間に設けられ、減速機3を介してモータ2の駆動トルクが伝達されるクラッチアウタ29と、ベアリング30を介してセンタケース22に回転自在に支持されたインナチューブ31と、クラッチアウタ29の内周に形成されたカム室に配置されて、クラッチアウタ29とインナチューブ31との間でトルクの伝達を断続するローラ32等より構成される。このクラッチ5は、モータ2の駆動トルクをピニオン軸6に伝達すると共に、ピニオン軸6からモータ2側へのトルク伝達を遮断する一方向クラッチとして構成されている。
ピニオン軸6は、電機子軸15と同軸線上に配置されると共に、一端側が軸受33を介してフロントハウジング23に回転自在及び摺動自在に支持され、他端側がインナチューブ31の内周に挿入されてヘリカルスプライン結合されている。
ピニオンギヤ7は、エンジン始動時にエンジンのリングギヤ34(図7参照)に噛み合わされて、モータ2の駆動トルクをリングギヤ34に伝達する働きを有する。このピニオンギヤ7は、軸受33より前方(図7の左方向)へ突き出るピニオン軸6の先端部にセレーション嵌合すると共に、ピニオンギヤ7の内周に配設されたピニオンスプリング35に付勢され、ピニオン軸6の先端部に取り付けられたストッパ36に当接して位置決めされている。
電磁スイッチ9は、バッテリから通電されて電磁石を形成する電磁コイル37と、この電磁コイル37の内周を軸方向に可動するプランジャ38とを有し、電磁コイル37への通電によって電磁石が形成されると、その電磁石にプランジャ38が吸引されて、図7に示す右方向へ移動することにより、プランジャ38の動きに連動してモータ回路のメイン接点を閉操作する。また、電磁コイル37への通電が停止して電磁石の吸引力が消滅すると、リターンスプリング39の反力を受けてプランジャ38が押し戻されることにより、メイン接点を開操作する。
メイン接点は、2本の外部端子40、41を介してモータ回路に接続される一組の固定接点42と、プランジャ38と一体に可動して一組の固定接点42間を断続する可動接点43とで形成され、この可動接点43を介して一組の固定接点42間が導通することでメイン接点が閉状態となり、一組の固定接点42間の導通が遮断されることでメイン接点が開状態となる。
2本の外部端子40、41は、バッテリケーブル(図示せず)を介して車載バッテリに接続されるB端子40と、モータ2から取り出されたターミナル44が接続されるM端子41であり、それぞれ電磁スイッチ9の樹脂カバー9aに固定されている。なお、ターミナル44は、ヨーク10とエンドフレーム19との間に挟持されたグロメット45に保持されて、反M端子側の端部が界磁コイル11に接続されている。
シフトレバー8は、揺動自在に支持されるレバー支点部8aを有し、このレバー支点部8aより一端側のレバー端部が電磁スイッチ9に設けられるシフト用ロッド46に連結され、レバー支点部8aより他端側のレバー端部がピニオン軸6に係合して、プランジャ38の動きをピニオン軸6に伝達する。
シフト用ロッド46は、電磁スイッチ9のプランジャ38にドライブスプリング47と共に組み付けられ、そのドライブスプリング47を介してプランジャ38の動きをシフトレバー8に伝達する働きを有する。
次に、本発明に係る衝撃吸収装置4について詳述する。
衝撃吸収装置4は、例えば、ピニオンギヤ7がリングギヤ34に噛み合う時に発生する衝撃トルクを低減する働きを有し、図1に示す様に、円筒状のケース48、固定ディスク49、回転ディスク50、皿バネ51、及びナット52等より構成される。
ケース48は、センタケース22の内部に挿入されて回転不能に固定されている。このケース48には、図1に示す右端から内径側へ折り曲げられた環状の底壁部48aが設けられている。底壁部48aの内径は、減速機3の遊星ギヤ27と干渉しない大きさを有している。また、ケース48の内周には、図5に示す様に、固定ディスク49の回転を規制するための凹部48bが複数箇所形成されている。さらに、ケース48の開口部側(反底壁部側)内周には、ナット52を螺着するための雌ねじ部48cが形成されている。
固定ディスク49と回転ディスク50は、図3(固定ディスク49の平面図)及び図4(回転ディスク50の平面図)に示す様に、それぞれ金属板をリング形状にプレス成形して設けられ、表面に多数のディンプル49a、50aが形成されている。また、固定ディスク49と回転ディスク50の表面には、潤滑剤であるグリースが塗布されている。この両ディスク49、50は、1枚ずつ交互に重ね合わされ、且つ、両外側にそれぞれ固定ディスク49が配置されて、ケース48の内周に挿入されている。
固定ディスク49は、図3に示す様に、外周部に外径方向へ突き出る凸部49bが複数形成され、この凸部49bが、ケース48の内周に設けられた凹部48bに係合して回転不能に支持されている(図5参照)。なお、固定ディスク49の内径は、減速機3の遊星ギヤ27と干渉しない大きさに設定されている。
回転ディスク50は、ケース48の内周径より僅かに小さい外径を有し、固定ディスク49に対し相対回転可能に配置されている。この回転ディスク50は、図4に示す様に、リング形状の内周全周にインターナルギヤ26を形成する複数の歯が設けられ、これらの歯に減速機3の遊星ギヤ27が噛み合わされている(図1参照)。つまり、回転ディスク50は、減速機3のインターナルギヤ26と一体に設けられている。
また、ケース48に設けられた凹部48bの内周と回転ディスク50の外周との間には、図1に示す様に、回転ディスク50の両側に配置される2枚の固定ディスク49に設けられた凸部49bによって両側を区画された空間(グリース溜め部53と呼ぶ)が形成され、このグリース溜め部53に潤滑剤であるグリースが充填されている。なお、衝撃吸収装置4に使用されるグリースは、例えば、ベースとなる潤滑油(基油)にリチウム石けんを増ちょう剤として配合したリチウム系グリースであり、添加剤として極圧添加剤と固体潤滑剤(二硫化モリブデン等)が配合されている。
皿バネ51は、固定ディスク49と回転ディスク50とを重ね合わせた積層体に荷重を加えて、固定ディスク49と回転ディスク50との間に摩擦力を発生させている。なお、図1では、ワッシャ54を介して皿バネ51を二段に配置しているが、皿バネ51を一段にしても良い。
ナット52は、図6に示す様に、ケース48の雌ねじ部48cに螺着され、固定ディスク49と回転ディスク50との間に規定の滑りトルクが得られる様に、皿バネ51が積層体を押圧する初期荷重を調節している。
ところで、上記の回転ディスク50は、素材である低炭素鋼材または中炭素鋼材に軟窒化処理が施されている。これにより、図2に示す様に、固定ディスク49と接触する回転ディスク50の表層部に窒化鉄の化合物層Aが形成され、その内部に窒素が浸透した拡散層Bが形成されている。表層部の化合物層Aは、10〜30μmの厚みを有し、HV500〜HV650の表面硬度を得ている。なお、化合物層Aの厚み、および表面硬度は、軟窒化処理の処理時間によって調整される。
上記の軟窒化処理は、固定ディスク49と接触する回転ディスク50の接触面だけでなく、インターナルギヤ26を形成する歯の部分も含めた回転ディスク50の全体に実施されるが、例えば、インターナルギヤ26を形成する歯の部分をマスキングして、固定ディスク49と接触する接触面のみを軟窒化処理することも可能である。
次に、スタータ1の作動を説明する。
始動スイッチ(図示せず)の閉操作により、電磁スイッチ9の電磁コイル37に通電されてプランジャ38が吸引されると、そのプランジャ38の動きがシフトレバー8を介してピニオン軸6に伝達される。その結果、ピニオン軸6は、インナチューブ31に対してヘリカルスプラインの作用で回転しながら反モータ方向(図7の左方向)へ移動し、ピニオンギヤ7の端面がリングギヤ34の端面に当接した後、ピニオンスプリング35を押し縮めた状態で一旦停止する。
その後、ドライブスプリング47に反力を蓄えながら、プランジャ38が更に移動してメイン接点を閉じると、バッテリからモータ2に給電されて電機子13に回転力が発生し、その電機子13の回転が減速機3で減速された後、クラッチ5を介してピニオン軸6に伝達される。これにより、ピニオン軸6が強制的に回されるため、ピニオンギヤ7がリングギヤ34に噛み合い可能な位置まで回転した時点で、ドライブスプリング47に蓄えられた反力によりピニオンギヤ7がリングギヤ34の歯の間に飛び出す。その結果、ピニオンギヤ7がリングギヤ34に噛み合って、減速機3で増幅されたモータ2の駆動トルクがピニオンギヤ7からリングギヤ34に伝達されることにより、エンジンをクランキングする。
上記のクランキング時には、ピニオンギヤ7がリングギヤ34に噛み合ってリングギヤ34を駆動する際に衝撃力が発生する。この衝撃力は、ピニオンギヤ7からピニオン軸6→インナチューブ31→ローラ32→クラッチアウタ29→遊星ピン28→遊星ギヤ27→インターナルギヤ26へと伝達される。この時、インターナルギヤ26に伝わる衝撃力が、回転ディスク50の滑りトルクを超えると、回転ディスク50が固定ディスク49との間に生じる摩擦力に抗して滑る(回転する)ことにより、衝撃力が低減される。
エンジン始動後、始動スイッチの開操作により、電磁コイル37への通電が停止して電磁石の吸引力が消滅すると、リターンスプリング39の反力でプランジャ38が押し戻されるため、メイン接点が開いてバッテリからモータ2への給電が停止されることにより、電機子13の回転が次第に減速して停止する。
一方、プランジャ38が押し戻されると、エンジン始動時とは反対方向にシフトレバー8が揺動して、ピニオン軸6が後退する。
(実施例1の効果)
上記のスタータ1は、衝撃吸収装置4に使用される回転ディスク50に軟窒化処理が実施されて、表層部に窒化鉄の化合物層Aが形成されている。この化合物層Aは、10〜30μmの厚みと、HV500〜HV650の表面硬度を有している。これにより、インターナルギヤ26に要求される表面硬度、つまり、遊星ギヤ27と同等以上の表面硬度(HV600前後)を確保できるので、歯面の摩耗を抑制できる。また、固定ディスク49との接触面に潤滑性に優れた化合物層Aが形成されることにより、固定ディスク49の摩耗を抑制でき、回転ディスク50とインターナルギヤ26とに要求される相反する仕様を両立させることができる。
さらに、化合物層Aは、摩擦係数が低く安定しているため、滑りトルクの変動を抑えることができ、安定した滑りトルクを維持できる効果もある。
また、衝撃吸収装置4には、ケース48に設けられた凹部48bの内周と回転ディスク50の外周との間にグリース溜め部53が形成され、このグリース溜め部53にグリースが充填されている。グリース溜め部53は、回転ディスク50の両側に配置される2枚の固定ディスク49に設けられた凸部49bによって両側を区画されている、つまり、四方が囲まれているため、充填されたグリースが容易に流出することはなく、長期に渡ってグリースを保持できる。
(変形例)
本実施例のスタータ1では、衝撃吸収装置4の回転ディスク50と、減速機3のインターナルギヤ26とが一体に設けられているので、衝撃吸収装置4と減速機3とで同一種類のグリースを使用することも可能である。但し、衝撃吸収装置4と減速機3とで異なる種類のグリースを使用する場合には、減速機3に使用されるグリースの使用量を、衝撃吸収装置4に使用されるグリースの使用量の50%以下に設定することが良い。
衝撃吸収装置4に使用されるグリースは、リチウム系グリースに添加剤として極圧添加剤と固体潤滑剤が配合されているため、他のグリースが50%以上混入すると、グリースの摩擦係数が変動して滑りトルクが不安定になる。このため、減速機3に使用されるグリースの使用量を、衝撃吸収装置4に使用されるグリースの使用量の50%以下に設定することで、万が一、減速機3に使用されるグリースが衝撃吸収装置4に使用されるグリースに混入しても、摩擦係数の変動を抑制でき、安定した滑りトルクを維持することが可能である。
実施例1では、固定ディスク49と回転ディスク50とを1枚ずつ交互に配置した多板式構造の衝撃吸収装置4を記載しているが、本発明は、固定ディスク49と回転ディスク50とをそれぞれ1枚ずつ使用する単板式構造の衝撃吸収装置にも適用できる。
衝撃吸収装置の構成を示す拡大断面図である。 軟窒化処理を施した回転ディスク表層部の拡大断面図である。 固定ディスクの平面図である。 回転ディスクの平面図である。 回転ディスクと固定ディスクとをケースの内部に挿入した状態を示す平面図である。 衝撃吸収装置をナット側から見た平面図である。 スタータの全体断面図である。
符号の説明
1 スタータ
2 モータ
3 減速機(遊星歯車減速装置)
4 衝撃吸収装置
6 ピニオン軸
7 ピニオンギヤ
26 インターナルギヤ
48 ケース
48b ケースに設けられた凹部
49 固定ディスク
49b 固定ディスクに設けられた凸部
50 回転ディスク
53 グリース溜め部(空間)

Claims (6)

  1. 回転力を発生するモータと、
    軸上にピニオンギヤを有するピニオン軸と、
    前記モータの回転を減速して前記ピニオン軸に伝達する遊星歯車減速装置と、
    この遊星歯車減速装置に使用されるインターナルギヤと一体に設けられた回転ディスクと、この回転ディスクの板厚方向に隣接して回転不能に配置される固定ディスクとを有し、前記回転ディスクと前記固定ディスクとが所定の押圧力を受けて摩擦接触すると共に、前記インターナルギヤを介して前記回転ディスクに所定値以上の負荷トルクが加わった時に、前記回転ディスクが摩擦力に抗して回転することにより、前記遊星歯車減速装置に加わる衝撃を吸収する衝撃吸収装置とを備えるスタータであって、
    前記回転ディスクに軟窒化処理を施したことを特徴とするスタータ。
  2. 請求項1に記載したスタータにおいて、
    軟窒化処理を施した前記回転ディスクの表面硬度をHV500〜HV650とすることを特徴とするスタータ。
  3. 請求項2に記載したスタータにおいて、
    軟窒化処理によって前記回転ディスクの表面に生成された化合物層の厚みを10〜30μmとすることを特徴とするスタータ。
  4. 請求項3に記載したスタータにおいて、
    前記回転ディスクの材質は、低炭素鋼材または中炭素鋼材であることを特徴とするスタータ。
  5. 請求項1〜4に記載した何れかのスタータにおいて、
    前記遊星歯車減速装置に使用されるグリースの材料と、前記衝撃吸収装置に使用されるグリースの材料とが異なり、且つ、前記遊星歯車減速装置に使用されるグリースの使用量が、前記衝撃吸収装置に使用されるグリースの使用量の50%以下に設定されていることを特徴とするスタータ。
  6. 請求項1〜5に記載した何れかのスタータにおいて、
    前記衝撃吸収装置は、リング形状を有するケースの内周に前記固定ディスクと前記回転ディスクとが交互に重ねて配置されると共に、前記固定ディスクは、自身の外周に径方向外側へ突き出る凸部が設けられて、この凸部が前記ケースの内周に窪んで設けられた凹部に係合することで回転不能に配置され、
    前記ケースに設けられた凹部の内周と前記回転ディスクの外周との間に、その回転ディスクの両側に配置される2枚の前記固定ディスクに設けられた前記凸部によって両側を区画された空間が形成され、この空間にグリースが充填されていることを特徴とするスタータ。
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