JP2013133854A - 遊星歯車減速装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】遊星歯車19の軸受18に対する潤滑構造の改善によって軸受18の耐久性を向上できる遊星歯車減速装置を提供する。
【解決手段】軸受18を介して遊星歯車19を回転自在に支持する遊星ピン17の反荷重側、つまり、太陽歯車15の回転が遊星歯車19に伝達される際に、軸受18と接触することはなく、トルク伝達時の荷重も掛からない反荷重側では、遊星ピン17の外径を周方向に所定の範囲で切り欠いて形成される油溜まり27が設けられている。この油溜まり27を遊星ピン17に形成することで、長期に渡って安定した軸受18の潤滑が可能となり、且つ、遊星歯車19の回転に伴うトルク伝達時に軸受18と遊星ピン17との摺動隙間に適正な油量を適宜に供給することが可能となる。その結果、軸受18の耐久性を向上でき、長寿命化を図ることが出来る。
【選択図】図4

Description

本発明は、駆動軸の回転を減速して従動軸に伝達する遊星歯車減速装置に係わり、特に、遊星歯車の軸受を潤滑する潤滑構造に関する。
従来、エンジン始動用のスタータに用いられる遊星歯車減速装置が知られている。
この遊星歯車減速装置は、図14に示す様に、軸受100を介して遊星ピン110に回転自在に支持される遊星歯車120を有し、この遊星歯車120が太陽歯車130と内歯車140とに噛み合い、太陽歯車130の回転を受けて自転しながら太陽歯車130の周囲を公転している。従って、遊星歯車120の内周に圧入される軸受100は、遊星歯車120の回転(自転)によって遊星ピン110に対し高速回転すると共に、遊星歯車120の公転運動により遠心力を受けている。このため、遊星歯車120の軸受100と遊星ピン110との摺動部には、回転トルクの伝達による耐荷重と高速回転に伴う潤滑が求められる。この潤滑を保持する構造として、特許文献1では、軸受100の軸方向端部の内周面に凹部150を設けて、この凹部150と遊星ピン110の外周面との間に油溜まりを形成する技術が開示されている。
特許第3659158号公報
ところで、上記の特許文献1に開示された従来技術では、軸受100の内周面全周に凹部150が形成されるため、凹部150の長さ分だけ遊星ピン110と軸受100とが接触する軸方向長さ(図示左右方向の長さ)が短くなり、軸受100の面圧が高くなる。このため、太陽歯車130から遊星歯車120に伝達される回転トルクが高い場合は、軸受100の面圧が許容面圧(P値、PV値)を超える恐れがある。従って、高い回転トルクの伝達にも対応できるように、軸受100の長さを長くする、あるいは、耐荷重(P値、PV値)の高い軸受材の選定が必要となる。
しかし、軸受100の長さを長くすることは、軸受100だけの寸法変更に止まらず、遊星ピン110の長さも長くする必要があり、それに伴って、遊星ピン110を固定する遊星キャリア160(図14参照)、この遊星キャリア160と一体に設けられる出力軸170(図14参照)等の設計を見直す必要が生じる。
一方、耐荷重の高い軸受材を選定することは、必然的に製品コストの増加に繋がる。このため、軸受100の長さUPや耐荷重の高い軸受材の選定によることなく、軸受100の耐久性を向上させることが望まれている。
本発明は、上記事情に基づいて成されたもので、その目的は、遊星歯車の軸受に対する潤滑構造を改善することによって軸受の耐久性を向上できる遊星歯車減速装置を提供することにある。
(請求項1の発明)
本発明は、駆動軸の回転速度を減速して従動軸に伝達する遊星歯車減速装置であって、駆動軸に設けられる太陽歯車と、この太陽歯車と同心に配置される内歯車と、軸受を介して遊星ピンに回転自在に支持されると共に、太陽歯車と内歯車とに噛み合い、太陽歯車の回転を受けて遊星ピンを中心に自転しながら太陽歯車の周囲を公転する遊星歯車と、この遊星歯車の公転運動を従動軸に伝達する遊星キャリアとを有し、太陽歯車の回転が遊星歯車に伝達される際に、太陽歯車と遊星歯車との間に働く噛み合い荷重の作用により、遊星歯車より軸受を介して遊星ピンに荷重が加わる方向に対し、遊星ピンが荷重を受ける荷重側と180度反対側を反荷重側と定義した時に、遊星ピンの反荷重側には、遊星ピンの外径が周方向に所定の範囲で欠けている油溜まりが形成されていることを特徴とする。
本発明の遊星歯車減速装置では、太陽歯車の回転が遊星歯車に伝達される際に、軸受を介して遊星歯車より遊星ピンに荷重が加わる。この荷重が加わる方向に対して、遊星ピンが荷重を受ける荷重側では、遊星ピンに対し軸受が摺接しながら回転する。一方、遊星ピンの反荷重側では、軸受との間にクリアランスが生じるため、軸受と接触することはなく、トルク伝達時の荷重も掛からない。よって、遊星ピンの反荷重側に油溜まりを形成することで、長期に渡って安定した軸受の潤滑が可能となり、且つ、遊星歯車の回転に伴うトルク伝達時において、軸受と遊星ピンとの摺動隙間に適正な油量を適宜に供給することが可能となる。その結果、軸受の耐久性を向上でき、長寿命化を図ることが出来る。
本発明の構成によれば、軸受側に油溜まりを形成する必要はないので、遊星ピンと軸受とが接触する軸方向長さが短くなることはない。つまり、軸受の全長に渡って遊星ピンと接触できるので、軸受に掛かる面圧が高くなることはない。従って、高回転トルクを伝達する場合でも軸受の強度を保つことができるので、軸受の長さを長くしたり、耐荷重の高い軸受材を選定する必要はなく、コストの上昇を抑えることができる。
さらに、油溜まりは、遊星ピンの反荷重側に形成される、つまり、油溜まりの位置が遊星ピンの周方向において限定されるので、油溜まりに重点して給油すれば良く、組み付け時の給油のしやすさ、および、油補給時のメンテナンス性が向上する。
(請求項2の発明)
請求項1に記載した遊星歯車減速装置において、油溜まりは、遊星ピンの中心に対して周方向に180度以下の範囲に形成されていることを特徴とする。
上記の構成であれば、遊星ピンの周方向に180度を超えて油溜まりが形成されることはないので、軸受と遊星ピンとの間に適正なクリアランスを保ちながら円滑な回転を維持することが可能である。
(請求項3の発明)
請求項1または2に記載した遊星歯車減速装置において、油溜まりは、遊星ピンの外径を凹面状に切り欠いて形成されていることを特徴とする。
この場合、油溜まり量を多く設定できる。
(請求項4の発明)
請求項1または2に記載した遊星歯車減速装置において、油溜まりは、遊星ピンの外径を直線状に切り欠いて形成されていることを特徴とする。
この場合、遊星ピンの外径をストレートにカットすれば良いので、油溜まりの形成が容易である。
(請求項5の発明)
請求項1または2に記載した遊星歯車減速装置において、油溜まりは、遊星ピンの外径を円弧状に切り欠いて形成されていることを特徴とする。
この場合、油溜まりの表面が円弧状に形成されるので、その油溜まりの円弧状表面と遊星ピンの外径面との間の形状変化を小さくできる。つまり、油溜まりの円弧状表面と遊星ピンの外径面との境界にエッジが出にくいため、遊星ピンに対し軸受が滑らかに回転することができる。なお、油溜まりの表面を形成する円弧は、遊星ピンの荷重側の表面を形成する円弧より曲率が小さく(曲率半径が大きく)、その曲率中心は、遊星ピンの軸心より荷重側にオフセットした位置にある。
(請求項6の発明)
請求項1〜5に記載した何れか一つの遊星歯車減速装置において、油溜まりの表面に複数の凹凸が形成されていることを特徴とする。
この場合、油溜まりの表面積が増大して表面張力による油の保持性が向上するため、油が外部に流出しにくくなり、長期に渡って安定した軸受の潤滑が可能となる。
(請求項7の発明)
請求項1〜6に記載した何れか一つの遊星歯車減速装置において、油溜まりは、遊星キャリアより突き出る遊星ピンの長さ方向に対し、遊星ピンの外径を一部残した状態で所定の範囲に形成されていることを特徴とする。
この場合、油溜まりは、遊星ピンの長さ方向全体に形成されるのではなく、遊星ピンの全長より短い所定の範囲に形成される。例えば、遊星ピンの根元部は外径を残した状態、つまり、遊星ピン本来の形状である断面円形とし、根元部より先端にかけて油溜まりを形成する。あるいは、遊星ピンの根元部と先端部は外径が残る断面円形とし、根元部と先端部との間に油溜まりを形成する。さらには、遊星ピンの先端部は外径が残る断面円形とし、先端部より根元側にかけて油溜まりを形成する。
(請求項8の発明)
請求項1〜7に記載した何れか一つの遊星歯車減速装置において、油溜まりの表面粗さは、軸受が摺接する遊星ピンの外径面の表面粗さより粗くなっていることを特徴とする。 軸受が摺接する遊星ピンの外径面(荷重側の外径面)の表面粗さは、摩擦、摩耗を考慮して、一般的に12.5Z以下に設定するが、油溜まりの表面は、回転トルクの伝達時に軸受の内径面と接触しないため、表面粗さを考慮する必要はなくなる。よって、遊星ピンは、荷重側の外径面の表面粗さより油溜まりの表面粗さが粗くなっていても何ら問題はない。また、油溜まりに油分を溜めることを考えると、表面粗さが粗く、凹凸が大きい方が油との接触面積が大きくなるため、油が止まりやすくなる。その結果、油溜まりから外部へ油が流出し難くなるため、長期に渡って軸受の潤滑を維持できる。
(請求項9の発明)
請求項1〜8に記載した何れか一つの遊星歯車減速装置を備えるエンジン始動用のスタータであって、駆動軸を形成するモータの電機子軸と、従動軸を形成する出力軸と、この出力軸上に配置されるピニオンとを有し、このピニオンをエンジンのリングギヤに噛み合わせて、遊星歯車減速装置によって増幅されたモータの発生トルクをピニオンからリングギヤに伝達してエンジンの始動を行うことを特徴とする。
請求項1〜8に記載した何れか一つの遊星歯車減速装置は、遊星歯車の軸受を変更することなく、高回転トルクを伝達する場合でも軸受の強度を保つことができるので、エンジンを始動するために大きな回転トルクを必要とするスタータへの採用が好適である。
本発明に係る歯車減速装置の断面図である。 本発明に係る歯車減速装置の軸方向正面図である。 軸受と遊星ピンとの荷重側と反荷重側を説明する平面図である。 遊星ピンに形成された油溜まりの形状を示す平面図である(実施例1)。 (a)遊星キャリアと遊星ピンの側面図、(b)軸方向から見た遊星ピンの平面図である(実施例1)。 スタータの半断面図である。 遊星ピンに形成された油溜まりの形状を示す平面図である(実施例2)。 遊星ピンに形成された油溜まりの形状を示す平面図である(実施例3)。 遊星ピンに形成された油溜まりの形状を示す平面図である(実施例4)。 遊星ピンに形成された油溜まりの形状を示す平面図である(実施例5)。 (a)遊星キャリアと遊星ピンの側面図、(b)軸方向から見た遊星ピンの平面図である(実施例6)。 (a)遊星キャリアと遊星ピンの側面図、(b)軸方向から見た遊星ピンの平面図である(実施例6)。 (a)遊星キャリアと遊星ピンの側面図、(b)軸方向から見た遊星ピンの平面図である(実施例6)。 従来技術に係る歯車減速装置の断面図である。
本発明を実施するための形態を以下の実施例1〜6により詳細に説明する。
(実施例1)
実施例1では、本発明の遊星歯車減速装置をエンジン始動用のスタータに用いた一例を説明する。
スタータ1は、図6に示す様に、車載バッテリ(図示せず)より電力の供給を受けて回転トルクを発生するモータ2と、このモータ2の回転速度を減速して回転トルクを増幅する減速装置3と、この減速装置3で増幅された回転トルクが伝達される出力軸4と、この出力軸4の外周にクラッチ5と一体に配置されるピニオン6と、モータ2の電源ラインに設けられるメイン接点(後述する)を開閉すると共に、シフトレバー7を介してクラッチ5とピニオン6を一体に軸方向へ移動させる働きを行う電磁スイッチ8と、エンジン側のスタータ取付け面に固定されるスタータハウジング9等より構成される。
モータ2は、磁気回路を形成するヨーク10の内周に複数の永久磁石11を配置して構成される界磁と、この界磁の内側に回転自在に配置される電機子12と、この電機子12に設けられる整流子13の外周面に摺接するブラシ14等を有し、電磁力の働きによって回転トルクを発生する周知の直流電動機である。なお、界磁は、永久磁石11に替えて界磁コイルを用いることも出来る。
減速装置3は、図1及び図2に示す様に、モータ2の電機子軸12aに設けられる太陽歯車15と、この太陽歯車15と同心に配置される内歯車16と、遊星ピン17に軸受18を介して回転自在に支持され、且つ、太陽歯車15と内歯車16とに噛み合う複数(本実施例で3個)の遊星歯車19と、遊星ピン17が固定される遊星キャリア20とで構成される遊星歯車減速装置である。なお、遊星ピン17は、図1に示す様に遊星キャリア20と一体に設けることも出来るが、遊星キャリア20と別体に設けて、例えば、遊星キャリア20に形成される嵌合孔に遊星ピン17を圧入して固定する構成でも良い。
出力軸4は、電機子軸12aと同一軸線上に配置されて、フロント側(図示左側)の端部が軸受21を介してスタータハウジング9に回転自在に支持され、リヤ側の端部が減速装置3の遊星キャリア20と一体に設けられている。
クラッチ5は、出力軸4の外周にヘリカルスプライン嵌合して軸方向に移動可能に設けられている。このクラッチ5は、エンジン始動時に出力軸4の回転をピニオン6に伝達する一方、エンジンの始動によってピニオン6の回転速度が出力軸4の回転速度を上回ると、ピニオン6側から出力軸4側への動力伝達を遮断する一方向クラッチとして構成されている。
ピニオン6は、出力軸4の外周に軸受22を介して相対回転自在に嵌合すると共に、クラッチ5と一体に出力軸4の外周上を軸方向へ移動可能に設けられている。
電磁スイッチ8は、始動スイッチ(図示せず)の閉操作によってバッテリから通電される励磁コイル(図示せず)と、この励磁コイルの内側を軸心方向に可動するプランジャ(図示せず)とを有し、励磁コイルへの通電によって電磁石が形成されると、その電磁石にプランジャが吸引されてメイン接点を閉操作する。また、励磁コイルへの通電が停止して電磁石の吸引力が消滅すると、図示しないリターンスプリングの反力にプランジャが押し戻されてメイン接点を開操作する。
メイン接点は、電磁スイッチ8の樹脂カバー8aに取り付けられる2本の端子ボルト23、24を介してモータ2の電源ラインに接続される一組の固定接点(図示せず)と、プランジャと一体に可動して一組の固定接点間を断続する可動接点(図示せず)とで構成され、この可動接点が一組の固定接点に当接して両固定接点間が導通することでメイン接点が閉状態となり、可動接点が一組の固定接点から離れて両固定接点間の導通が遮断されることでメイン接点が開状態となる。
シフトレバー7は、レバーホルダ25により回動自在に支持されるレバー支点部7aを有し、このレバー支点部7aより一端側のレバー端部が電磁スイッチ8のプランジャに組み込まれたシフト用ロッド26に連結され、レバー支点部7aより他端側のレバー端部がクラッチ5に係合して、プランジャの動きをクラッチ5に伝達する働きを有する。
続いて、遊星ピン17に形成される油溜まり27について説明する。
先ず、減速装置3の作動について説明する。
モータ2の回転によって太陽歯車15が回転すると、回転が規制されている内歯車16と太陽歯車15とに噛み合う遊星歯車19が、太陽歯車15の回転を受けて遊星ピン17を中心に自転しながら太陽歯車15の周囲を公転する。この遊星歯車19の公転運動が遊星ピン17を介して遊星キャリア20に伝達され、その遊星キャリア20と一体に設けられた出力軸4に回転トルクを伝達する。
上記の作動において、太陽歯車15の回転が遊星歯車19に伝達される際には、図3に示す様に、両歯車15、19の噛み合い法線方向に噛み合い荷重が働き、この噛み合い荷重の作用により、軸受18を介して遊星歯車19より遊星ピン17に荷重が加わる。なお、噛み合い法線とは、図中のピッチ点Pで接触する両歯車15、19の共通法線であり、図中一点鎖線で示す太陽歯車15のピッチ円と遊星歯車19のピッチ円との共通接線に対し圧力角αだけ傾いている。
遊星ピン17に加わる荷重は、遊星ピン17の軸心を通って噛み合い法線方向と平行な方向(以下、荷重作用方向と呼ぶ)に作用する。ここで、荷重作用方向に対し、遊星ピン17が荷重を受ける荷重側と180度反対側を反荷重側と定義した時に、その遊星ピン17の反荷重側には、遊星ピン17の外径が周方向に所定の範囲で欠けている油溜まり27が形成されている。
実施例1に係る油溜まり27は、図4に示す様に、遊星ピン17の外径を荷重作用方向と直交する方向に直線状に切り欠いて形成されている。この油溜まり27は、図5(a)に示す様に、遊星キャリア20より突き出る遊星ピン17の長さ方向全体に渡って形成され、同図(b)に示す様に、遊星ピン17の反荷重側(図示上側)の外径が周方向に所定の範囲で直線状に切り取られて形成される。
次に、スタータ1の作動を説明する。
始動スイッチの閉操作により、電磁スイッチ8の励磁コイルに通電されて電磁石が形成されると、その電磁石にプランジャが吸引されて、図6の右方向へ移動する。このプランジャの移動がシフトレバー7を介してクラッチ5に伝達されると、クラッチ5がピニオン6と一体に出力軸4の外周上を反モータ方向へ押し出される。
一方、プランジャの移動によってメイン接点が閉じると、バッテリからモータ2に給電されて電機子12に回転力が発生する。電機子12の回転は、減速装置3で減速されて出力軸4に伝達され、更に、出力軸4からクラッチ5を介してピニオン6に伝達される。このピニオン6がエンジンのリングギヤ28(図6参照)に噛み合うことにより、ピニオン6からリングギヤ28に回転トルクが伝達されてエンジンをクランキングする。
クランキングからエンジンが始動して始動スイッチが開操作されると、励磁コイルへの通電停止により電磁石の吸引力が消滅する。これにより、リターンスプリングの反力でプランジャが押し戻されるため、メイン接点が開いてバッテリからモータ2への給電が停止されることにより、電機子12の回転が次第に減速して停止する。
また、プランジャが押し戻されると、エンジン始動時と反対方向にシフトレバー7が揺動して、クラッチ5がモータ方向へ押し戻される。このため、ピニオン6がリングギヤ28から離脱して、クラッチ5と一体に出力軸4の外周上を後退して所定の位置(図6に示す位置)で停止する。
(実施例1の作用および効果)
本実施例のスタータ1に用いられる減速装置3は、太陽歯車15の回転が遊星歯車19に伝達される際に、軸受18を介して遊星歯車19より遊星ピン17に荷重が加わる。この荷重が加わる荷重作用方向に対して、遊星ピン17が荷重を受ける荷重側では、遊星ピン17に対し軸受18が摺接しながら回転する。一方、遊星ピン17の反荷重側では、軸受18との間にクリアランスが生じるため、遊星ピン17が軸受18と接触することはなく、トルク伝達時の荷重も掛からない。よって、遊星ピン17の反荷重側に油溜まり27を形成しても、回転トルクの伝達には何ら支障は生じない。
上記の様に、遊星ピン17の反荷重側に油溜まり27を形成することで、長期に渡って安定した軸受18の潤滑が可能となり、且つ、遊星歯車19の回転に伴うトルク伝達時に軸受18と遊星ピン17との摺動隙間に適正な油量を適宜に供給することが可能となる。その結果、軸受18の耐久性を向上でき、長寿命化を図ることが出来る。
また、遊星ピン17の反荷重側に油溜まり27を形成することにより、軸受18の内周に油溜まり27を形成する必要はなくなるので、遊星ピン17と軸受18とが接触する軸方向長さが短くなることはない。つまり、軸受18の全長に渡って遊星ピン17と接触できるため、軸受18に掛かる面圧が高くなることはない。従って、高回転トルクを伝達する場合でも軸受18の強度を保つことができるので、軸受18の長さを長くしたり、耐荷重の高い軸受材を選定する必要はない。
さらに、遊星ピン17の反荷重側に油溜まり27を形成するので、油溜まり27の位置が遊星ピン17の周方向において限定される。これにより、油溜まり27に重点して給油すれば良く、組み付け時の給油のしやすさ、および、油補給時のメンテナンス性が向上する。
また、実施例1に記載した油溜まり27は、遊星ピン17の外径を直線状に切り欠いて形成されている。この場合、遊星ピン17の外径をストレートにカットすれば良いので、油溜まり27の形成が容易である。
(実施例2)
この実施例2は、遊星ピン17の周方向に対して油溜まり27が形成される範囲を限定した一例である。具体的には、図7に示す様に、遊星ピン17の中心に対して周方向に180度以下の範囲に油溜まり27を形成している。
上記の構成であれば、遊星ピン17の周方向に180度を超えて油溜まり27が形成されることはないので、軸受18と遊星ピン17との間に適正なクリアランスを保ちながら円滑な回転を維持することが可能である。
(実施例3)
この実施例3は、図8に示す様に、遊星ピン17の外径を凹面状に切り欠いて油溜まり27を形成した一例である。
この場合、油溜まり27の表面が凹面状に窪んで形成されるので、遊星ピン17の外径を直線状に切り欠いて油溜まり27を形成した実施例1と比較して、油溜まり27を形成する周方向の範囲が同一であれば、実施例3の方が油溜まり量をより多く設定できる。
(実施例4)
この実施例4は、図9に示す様に、遊星ピン17の外径を円弧状に切り欠いて油溜まり27を形成した一例である。
この場合、油溜まり27の表面が円弧状に形成されるので、油溜まり27の円弧状表面と遊星ピン17の外径面との間の形状変化を小さくできる。つまり、油溜まり27の円弧状表面と遊星ピン17の外径面との境界にエッジが出にくいため、遊星ピン17に対し軸受18が滑らかに回転することができる。なお、遊星ピン17の荷重側表面を形成する円弧の曲率半径(遊星ピン17の軸心から外径面までの半径)をR1、油溜まり27の表面を形成する円弧の曲率半径をR2とすると、R1<R2であり、その曲率中心は、遊星ピン17の軸心より荷重側にオフセットした位置にある。
(実施例5)
この実施例5は、図10に示す様に、油溜まり27の表面に複数の凹凸27aを形成した一例である。この場合、油溜まり27の表面に凹凸27aを形成することで油溜まり27の表面積が増大するため、表面張力による油の保持性が向上する。その結果、油が外部に流出しにくくなり、長期に渡って安定した軸受18の潤滑が可能となる。
(実施例6)
この実施例6は、遊星ピン17の長さ方向に対し、遊星ピン17の外径を一部残した状態で所定の範囲に油溜まり27を形成した例である。つまり、油溜まり27は、遊星ピン17の長さ方向全体に形成されるのではなく、遊星ピン17の全長より短い所定の範囲に形成される。
例えば、図11(a)に示す様に、遊星キャリア20より突き出る遊星ピン17の根元部(遊星キャリア20側)は外径を残した状態、つまり、遊星ピン17の本来の形状である断面円形(図11(b)参照)のまま残し、根元部より遊星ピン17の先端にかけて油溜まり27を形成する。遊星ピン17に過大な軸トルクが作用した場合を考えると、遊星ピン17の根元部に最大曲げ応力が発生するため、上記のように、遊星ピン17の根元部は断面円形のまま残しておき、根元部より曲げ応力が小さくなる遊星ピン17の先端にかけて油溜まり27を形成することで、過大な軸トルクが作用しても遊星ピン17の破損を防止できる。
また、図12(a)に示す様に、遊星ピン17の根元部と先端部は外径が残る断面円形(図12(b)参照)とし、根元部と先端部との間に油溜まり27を形成する。
この場合、断面円形である遊星ピン17の根元部と先端部では、遊星ピン17の外径と軸受18の内径とが所定の隙間を有して近接しているため、油溜まり27が遊星ピン17の根元側と先端側とで閉ざされた状態となる。これにより、遊星ピン17の根元方向および先端方向への油の流出を抑制できるので、油溜まり27に長期に渡って油を溜めることが出来る。その結果、軸受18の潤滑性を安定的に保つことができ、軸受18の寿命向上に繋がる。
さらに、図13(a)に示す様に、遊星ピン17の先端部は外径が残る断面円形(図13(b)参照)とし、先端部より根元側にかけて油溜まり27を形成する。この場合、断面円形である遊星ピン17の先端部では、遊星ピン17の外径と軸受18の内径とが所定の隙間を有して近接しているため、油溜まり27が遊星ピン17の先端側で閉ざされた状態となる。これにより、遊星ピン17の根元方向への油の流出を抑制できるので、油溜まり27に長期に渡って油を溜めることが出来る。その結果、軸受18の潤滑性を安定的に保つことができるので、軸受18の寿命向上に繋がる。
(実施例7)
この実施例7は、例えば、実施例1の図4に示す遊星ピン17において、油溜まり27の表面粗さは、回転トルクの伝達時に軸受18が摺接する外径面の表面粗さより粗くなっていることを特徴とする。
軸受18が摺接する遊星ピン17の外径面、つまり荷重側の外径面の表面粗さは、摩擦および摩耗を考慮して、一般的に12.5Z以下に設定される。一方、油溜まり27の表面は、回転トルクの伝達時に軸受18の内径面と接触しないため、表面粗さを考慮する必要はない。よって、遊星ピン17は、荷重側の外径面の表面粗さより油溜まり27の表面粗さが粗くなっていても何ら問題はない。また、油溜まり27に油分を溜めることを考えると、油溜まり27の表面粗さが粗く、凹凸が大きい方が油との接触面積が大きくなるため、油が止まりやすくなる。その結果、油溜まり27から外部へ油が流出し難くなるため、長期に渡って軸受18の潤滑を維持できる。
なお、この実施例7は、実施例1に記載した油溜まり27の構成に限定して適用するものではなく、実施例2〜実施例6に記載した油溜まり27の構成にも同様に適用できることは言うまでもない。
1 スタータ
2 モータ
3 減速装置(遊星歯車減速装置)
4 出力軸(従動軸)
6 ピニオン
12a 電機子軸(駆動軸)
15 太陽歯車
16 内歯車
17 遊星ピン
18 遊星歯車の軸受
19 遊星歯車
20 遊星キャリア
27 油溜まり
27a 油溜まりの表面に形成される複数の凹凸
28 リングギヤ

Claims (9)

  1. 駆動軸の回転速度を減速して従動軸に伝達する遊星歯車減速装置であって、
    前記駆動軸に設けられる太陽歯車と、
    この太陽歯車と同心に配置される内歯車と、
    軸受を介して遊星ピンに回転自在に支持されると共に、前記太陽歯車と前記内歯車とに噛み合い、前記太陽歯車の回転を受けて前記遊星ピンを中心に自転しながら前記太陽歯車の周囲を公転する遊星歯車と、
    この遊星歯車の公転運動を前記従動軸に伝達する遊星キャリアとを有し、
    前記太陽歯車の回転が前記遊星歯車に伝達される際に、前記太陽歯車と前記遊星歯車との間に働く噛み合い荷重の作用により、前記遊星歯車より前記軸受を介して前記遊星ピンに荷重が加わる方向に対し、前記遊星ピンが荷重を受ける荷重側と180度反対側を反荷重側と定義した時に、
    前記遊星ピンの前記反荷重側には、前記遊星ピンの外径が周方向に所定の範囲で欠けている油溜まりが形成されていることを特徴とする遊星歯車減速装置。
  2. 請求項1に記載した遊星歯車減速装置において、
    前記油溜まりは、前記遊星ピンの中心に対して周方向に180度以下の範囲に形成されていることを特徴とする遊星歯車減速装置。
  3. 請求項1または2に記載した遊星歯車減速装置において、
    前記油溜まりは、前記遊星ピンの外径を凹面状に切り欠いて形成されていることを特徴とする遊星歯車減速装置。
  4. 請求項1または2に記載した遊星歯車減速装置において、
    前記油溜まりは、前記遊星ピンの外径を直線状に切り欠いて形成されていることを特徴とする遊星歯車減速装置。
  5. 請求項1または2に記載した遊星歯車減速装置において、
    前記油溜まりは、前記遊星ピンの外径を円弧状に切り欠いて形成されていることを特徴とする遊星歯車減速装置。
  6. 請求項1〜5に記載した何れか一つの遊星歯車減速装置において、
    前記油溜まりの表面に複数の凹凸が形成されていることを特徴とする遊星歯車減速装置。
  7. 請求項1〜6に記載した何れか一つの遊星歯車減速装置において、
    前記油溜まりは、前記遊星キャリアより突き出る前記遊星ピンの長さ方向に対し、前記遊星ピンの外径を一部残した状態で所定の範囲に形成されていることを特徴とする遊星歯車減速装置。
  8. 請求項1〜7に記載した何れか一つの遊星歯車減速装置において、
    前記油溜まりの表面粗さは、回転トルクの伝達時に前記軸受が摺接する前記遊星ピンの外径面の表面粗さより粗くなっていることを特徴とする遊星歯車減速装置。
  9. 請求項1〜8に記載した何れか一つの遊星歯車減速装置を備えるエンジン始動用のスタータであって、
    前記駆動軸を形成するモータの電機子軸と、
    前記従動軸を形成する出力軸と、
    この出力軸上に配置されるピニオンとを有し、
    前記ピニオンを前記エンジンのリングギヤに噛み合わせて、前記遊星歯車減速装置によって増幅された前記モータの発生トルクを前記ピニオンから前記リングギヤに伝達して前記エンジンの始動を行うことを特徴とするスタータ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN108332700A (zh) * 2018-04-03 2018-07-27 银川威力传动技术股份有限公司 一种轴承侧隙检测装置
JP7484476B2 (ja) 2020-06-18 2024-05-16 株式会社ジェイテクト 測定装置、転がり軸受の荷重測定方法、及び歯車機構
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