JP2008202150A - 板ベルト状ロープ及び樹木の支持具 - Google Patents

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Abstract

【課題】
樹木支持具として十分な初期の引張強力を持ち、かつ作業性に優れた柔らかさを持ち、目的や用途に応じて2〜5年は強力を保持するポリ乳酸ロープ及び樹木の支持具を提供する。
【解決手段】
ポリ乳酸繊維からなり、初期の引張強力が15kN以上、長手方向のガーレ法による剛軟度が40000mg以下である事を特徴とする板ベルト状ロープ。
【選択図】なし

Description

本発明は、板ベルト状ロープ及び樹木の支持具に関する。
従来、樹木を土中に支持施工するときに使用される支持具として、綿、麻、ジュートなどの天然繊維や、金属ワイヤー等の金属類、ポリエステル、ナイロンなどがおよびポリオレフィンなどの合成繊維が使用されてきた(例えば特許文献1参照。)。
しかし、天然繊維は土中での分解速度が速く、樹木の根が十分に発達するまえに分解してしまうために、樹木が傾いたり、倒壊してしまうなどの問題があった。
一方、金属類やポリエステル等の合成繊維を用いた場合は、分解速度が非常に遅いために、成長した樹木の幹を締め付け、幹が傷つき樹木が枯れてしまう問題や、自然環境下ではほとんど分解しないために地中に残存し、環境面での問題があった。
そこで、近年は生分解性プラスチックを使用したロープ状の支持具が検討されている。
しかし、生分解性プラスチックは合成繊維に比べて強力が低く、また硬いといった欠点や、生分解性プラスチックの種類や物性によっては分解速度が速すぎて実用上使用できないという問題があった。
たとえば、ポリ乳酸の硬さを改善するため、結晶性ポリ乳酸と脂肪族ポリエステル及び芳香族ポリエステルを共重合した生分解性紐(特許文献2)が開示されているが、この紐は十分な強力を持っていないために、樹木の支持具の構成素材として使用した場合には、紐が切れて樹木が倒壊したり、ガラス転移温度を0℃まで下げたために分解速度が速く、根が十分に発達するまえに分解してしまう問題がある。
石油原料から生産される芳香族ジカルボンサンと脂肪族とを酸性分とし、脂肪族ジオールをグリコールとする共重合ポリエステルを使用した樹木の支持具(特許文献3)は逆に分解速度が遅すぎて、成長した樹木の幹を傷つけてしまう問題がある。
又、従来の生分解性支持具は単繊維繊度が100〜3000dtexや、直径あるいは短径が0.1〜1mmのモノフィラメントが使われているが(特許文献3,4)、支持具のロープとして使用した場合、硬いために金具に通したり、結びにくいなどの欠点があり、作業性が非常に悪い問題があった。
特許3035661号公報 特開2004−204387号公報 特開2006−257569号公報 特開2005−95048号公報
本発明の目的は、かかる従来の問題点を解消し、樹木支持具として十分な初期の引張強力を持ち、かつ作業性に優れた柔らかさを持ち、目的や用途に応じて2〜5年は強力を保持するポリ乳酸ロープ及び樹木の支持具を提供する事にある。
すなわち本発明は、ポリ乳酸繊維からなり、初期の引張強力が15kN以上、長手方向のガーレ法による剛軟度が40000mg以下であることを特徴とする板ベルト状ロープである。
また本発明は、樹木を土中に支持施工するための支持具であり、本発明の板ベルト状ロープを有することを特徴とする樹木の支持具である。
本発明によれば、樹木の育成に適した生分解速度と、優れた強力、及び作業性に優れた柔らかさをもった板ベルト状ロープおよび樹木の支持具を提供することができる。
本発明の板ベルト状ロープは、適度な生分解性と所定の初期の引張強力や剛軟度を兼ね備えたロープである。また本発明の樹木の支持具は、樹木が根を張るまでは十分な強力を保持し、その後土中で生分解して消滅するために回収の必要がなく、樹木の幹を傷めることがない。
本発明の板ベルト状ロープはポリ乳酸繊維からなる。ポリ乳酸は−(O−CHCH−CO)−を繰り返し単位として有するポリマーであり、乳酸やラクチド等の乳酸のオリゴマーを重合したものである。
乳酸にはD体とL体の2つの光学異性体が存在するが、L体またはD体のいずれにしても、ポリ乳酸の光学純度が高いほどポリ乳酸の融点も高く、すなわち耐熱性が向上するため好ましい。ポリ乳酸の光学純度としては、95%以上が好ましい。またポリ乳酸の融点としては、繊維の耐熱性を維持するために150℃以上であることが好ましい。
また、ポリ(L乳酸)とポリ(D乳酸)とをブレンドして繊維に成形した後、140℃以上の高温熱処理を施してラセミ結晶を形成させたステレオコンプレックスにすると、融点を220〜230℃にまで高めることができ、好ましい。この場合のポリ(L乳酸)とポリ(D乳酸)とのブレンド比としては、40/60〜60/40が、ステレオコンプレックス結晶の比率を高めることができ好ましい。
また、通常、ポリ乳酸中には低分子量残留物として残存ラクチドが存在しうるが、ポリ乳酸中の残存ラクチド量としては3000質量ppm以下が好ましく、より好ましくは1000質量ppm以下、さらに好ましくは300質量ppm以下である。ポリ乳酸中の残存ラクチド量を抑えることにより、延伸や仮撚加工工程での加熱ヒーター汚れを防ぐことができる。また、繊維や繊維成型品の加水分解を防ぎ、耐久性を維持することができる。ポリ乳酸中の残存ラクチド量を低減させる方法としては、重合方法として固相重合を採用することや、ペレットを80℃程度の温水で洗浄することが上げられる。
また、ポリ乳酸繊維の生分解性を損なわない範囲で、乳酸以外の成分を共重合していてもよい。共重合する成分としては、ポリエチレングリコールなどのポリアルキレンエーテルグリコール、ポリブチレンサクシネートやポリグリコール酸などの脂肪族ポリエステル、ポリエチレンイソフタレートなどの芳香族ポリエステル、及びヒドロキシカルボン酸、ラクトン、ジカルボン酸、ジオールなどのエステル結合形成性の単量体が挙げられる。
又、ポリ乳酸繊維の分解速度をコントロールするために、ポリ乳酸繊維にカルボキシル基封鎖剤を添加して耐加水分解性を向上させても良い。その場合の封鎖剤としては、両末端にエポキシ基を有するエポキシ化合物、オキサゾリン化合物、オキサジン化合物やそれらのコポリマー、カルボジイミド化合物やそれらのコポリマー等が上げられる。
ポリ乳酸繊維のカルボキシル末端濃度としては、繊維全体に対し30当量/ton以下が好ましい。30当量/ton以下とすることで、ポリ乳酸繊維の加水分解を抑えることができ、板ベルト状ロープを土中に支持施工するための支持具として使用した時に、適度な分解速度を得る事ができる。又、用途によっては分解速度を遅くして使用する場合もあるが、その場合は10当量/ton以下であることが好ましい。一方、用済み後の板ベルト状ロープを土中で分解させる上で、5当量/ton以上にはカルボキシル末端を残しておくことが好ましい。
さらに、外部との接触において滑性を高め、耐摩耗性を向上させるために、ポリ乳酸繊維に滑剤を添加してもよい。滑剤としては、流動パラフィンやパラフィンワックス、マイクロワックス、ポリエチレンワックス等の炭化水素系のワックス類、ステアリン酸や12−ヒドロキシステアリン酸、ステアリンアルコール等の脂肪酸・高級アルコール系ワックス類、ステアリン酸アミドやオレイン酸アミド、エルカ酸アミド、メチレンビスステアリンサン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド等のアミド系滑剤、ステアリンサン酸ブチルやステアリン酸モノグリセリド、ペンタエリスリトールテトラステアレート等のエステル系ワックス、ステアリン酸カルシウムやステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムやステアリン酸鉛等の金属石鹸が適用できる。その中でも、脂肪酸ビスアミド、およびアルキル置換型の脂肪酸モノアミドが好ましい。また、これらの滑剤を複数含有させてもよい。ポリ乳酸繊維に対する滑剤の添加量としては、0.05〜5質量%が好ましい。ポリ乳酸繊維に滑剤を添加する段階としては、重合工程、チップ乾燥、紡糸等のいずれでも良い。
またポリ乳酸繊維は、粒子、結晶核剤、難燃剤、可塑剤、帯電防止剤、抗酸化剤、紫外線吸収剤等の添加物を、それぞれ単独または組み合わせて含有していることも好ましい。
ポリ乳酸の重合方法としては、乳酸を有機溶媒及び触媒の存在下でそのまま脱水縮合する直接脱水縮合法や、少なくとも2種類のホモポリマーを重合触媒の存在下で共重合およびエステル交換反応させる方法や、乳酸を一旦脱水して環状二量体とした後に開環重合する間接重合法等を挙げることができる。
本発明の板ベルト状ロープにおけるポリ乳酸繊維は、マルチフィラメントを構成していることが好ましい。そうすることで、十分な強力を有し、かつロープとして使用する時の金具の通過性や結び易さに適した柔らかさ(柔軟性)を得ることができる。
ポリ乳酸繊維を溶融紡糸する際の紡糸温度としては、190〜260℃が好ましく、より好ましくは200〜240℃である。
また、ポリ乳酸繊維の延伸方法としては、多段延伸方法が好ましく、延伸段数としては2〜5段階が好ましい。1段延伸法では糸の失透現象が発生して十分な強度を得る事ができない。
また、ポリ乳酸繊維の延伸温度としては、110〜150℃が好ましい。
ポリ乳酸繊維の重量平均分子量(Mw)としては、ロープとしての初期の強力を保持する上で8万以上とすることが好ましく、より好ましくは10万以上、さらに好ましくは12万以上である。一方、延伸性、ひいては分子配向による繊維強度を維持する上で、ポリ乳酸の重量平均分子量は25万以下が好ましく、より好ましくは20万以下である。
ポリ乳酸繊維の単繊維繊度としては、5〜20dtexが好ましく、より好ましくは5〜10dtexである。単糸繊度が5dtex未満ではロープとしての耐摩耗性が不十分で、作業時に毛羽が発生し作業性に劣ることがある。一方、単糸繊度が20dtexを超えると、ロープの表面が粗硬となり、柔軟性が十分得られない。
ポリ乳酸繊維の強度としては、3.0〜9.0cN/dtexが好ましく、より好ましくは4.0〜8.0cN/dtex、さらに好ましくは5.0〜8.0cN/dtexである。3.0cN/dtex未満では板ベルト状ロープとして使用した際に十分な強力を得る事ができない。一方、ポリ乳酸繊維の強度は高い方が好ましいが、9.0cN/dtexを超えるものを工業的に生産する事は困難である。
本発明のロープの形態としては、板ベルト状であることが、樹木を土中に支持施工する支持具として使用する際の作業性や、支持具としての安定性の点から必要である。
板ベルト状ロープの織組織としては、より高い強力が得られる袋織芯とじ織が好ましい。
本発明の板ベルト状ロープの初期の引張強力は15kN以上である事が必要である。土壌埋設前の初期の引張強力が15kN未満であると、強力が低いために、たとえば樹木の支持具の一部として用いた場合には、樹木が十分に根を張るまでに強力を維持する事ができず、台風などの強風が吹いた場合、樹木が傾いたり、倒壊するなどの問題が発生する。当該特性は、ポリ乳酸繊維の引張強度を3.0〜9.0cN/dtexとすることにより達成できる。
また、本発明の板ベルト状ロープの土中での強力保持率としては、初期の引張強力に対して2年で70%以上保持している事が好ましく、さらに好ましくは75%以上である。上記範囲内であれば、特に樹木を植えてから1年以内の初期段階で台風等の強風が吹いた場合などに樹木の傾きや転倒を防ぐ事が可能である。一方、用済み後の板ベルト状ロープを土中で分解させる上で、5年で30%以下となることが好ましい。このように高い強力保持率は、前述のようにポリ乳酸繊維にカルボキシル基封鎖剤を添加してカルボキシル末端濃度を30当量/ton以下としたりポリ乳酸の重量平均分子量(Mw)を8万以上とすることにより達成できる。
本発明の板ベルト状ロープの長手方向のガーレ法による剛軟度は40000mg以下である事が必要である。剛軟度が40000mg超であると、柔軟性に乏しくロープを金具に通したり、ロープ結びにくいなどの欠点があり作業性に欠けたロープとなる。
[測定方法]
(1)ポリ乳酸の重量平均分子量(Mw)
ポリ乳酸をクロロホルムに溶解させて測定溶液とし、これをゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定し、ポリスチレン換算で重量平均分子量(Mw)を求めた。
(2)ポリマーの融点
パーキンエルマー社製示差走査型熱量計DSC−7型を用い、試料20mgを昇温速度16℃/分にて測定して得た融解吸熱曲線の極値を与える温度を融点(℃)とした。
(3)カルボキシル末端濃度
精秤した試料をo−クレゾール(水分5%)に溶解し、この溶液にジクロロメタンを適量添加した後、0.02規定のKOHメタノール溶液にて滴定することにより求めた。この時、乳酸の環状2量体であるラクチド等のオリゴマーが加水分解し、カルボキシル基末端を生じるため、繊維のカルボキシル基末端の全てを合計したカルボキシル基末端濃度が求まる。
(4)繊度
JIS L 1013:1999 8.3.1 A法に基づき、112.5m分の小かせをサンプル数5採取し、その質量を測定し、その値(g)に10000/112.5をかけ、見掛け繊度(dtex)を求めた。見かけ繊度から、次の式によって正量繊度を求め、平均値を算出した。
正量繊度(dtex)=D’×(100+Rc)/(100+Re)
ここに、D’:見かけ繊度(dtex)
Rc:公定水分率(%)
Re:平衡水分率(%)。
(5)糸の強度
JIS L 1013:1999 8.5.1に拠って測定した。
試料を緩く張った状態で、引張試験機(株式会社オリエンテック製テンシロン(登録商標)UCT−100)のつかみにつかみ間隔20cmで取り付け、引張速度20cm/分の定速伸長にて試験を行った。初荷重をかけたときの伸びを緩み(mm)として読み、更に試料を引っ張り、試料が切断したときの荷重及び伸び(mm)を測定し、次の式によって引張強さ及び伸び率を算出した。試験回数は10回とし、その平均値を算出した。
=SD/F
ここに、T:引張強さ
SD:切断時の強さ
:試料の正量繊度
伸び率(%)=[(E−E)/(L+E)]×100
ここに、E:緩み(mm)
:切断時の伸び(mm)
L:つかみ間隔(mm)。
(6)引張強力及び伸び率(標準時試験)
JIS D 4604:1995に準じて測定した。
試料を緩く張った状態で、引張試験機(株式会社オリエンテック製テンシロン(登録商標)UCT−100)のつかみにつかみ間隔60cmで取り付け、引張速度20cm/分の定速伸長にて試験を行った。試料が破断するまで引張り、破断時の引張強力を測定した。又、初荷重をかけたときの伸びを緩み(mm)として読み、更に試料を引っ張り、試料が切断したときの荷重及び伸び(mm)を測定し、次の式によって引張強さ及び伸び率を算出した。試験回数は10回とし、その平均値を算出した。
Tb=SD
ここに、Tb:引張強力
SD:切断時の強力(kN)
伸び率(%)=[(E2−E1)/(L+E1)]×100
ここに、E1:緩み(mm)
E2:切断時の伸び(mm)
L:つかみ間隔(mm)。
(7)剛軟度(ガーレ法)
JIS L 1096−1999 8.20.1 A法に拠って測定した。
試料を長さ89mm、幅25mmにて、ガーレ式剛軟度測定器(株式会社安田精機製作所)を使用し、荷重200gにてロープのたて方向を測定した。n=5の試料片の表裏を測定し、平均値を算出した。
(8)土壌埋設後の強力保持率
東レ(株)瀬田工場内の黒土にて、ロープを深さ50cmに埋設して2年後の強力保持率を次式により求めた。引張強力の測定方法は上記(6)に準じて測定した。
強力保持率(%)=[(Tb−Tb’)/Tb]×100
ここに、Tb :土壌埋設前の初期の引張強力
Tb’:土壌埋設後の引張強力。
(9)金具通過性
板ベルト状ロープを使用して、樹木を支持施工する時の金具通過性を次の3段階で評価を実施した。
◎:金具の通過性も非常に良好で、作業性に極めて優れる。
○:金具の通過性が良好で、良好で作業性に優れる。
△:金具の通過性が悪く、作業性が劣る。
×:ロープが硬いために金具の通過性が極めて悪く、作業性が極めて劣る。
(10)ロープ結び性
板ベルト状ロープを使用して、樹木を支持施工する時の結び性を次の3段階で評価を実施した。
◎:ロープの結びも非常に良好で、作業性に極めて優れる。
○:ロープの結びも良好で、作業性に優れる。
△:ロープの結びも結びにくく作業性が劣る。
×:ロープも結びにくいために、作業性が極めて劣る。
(11)耐久性
板ベルト状ロープを使用して、樹木を支持施工し、1年間土中に埋設した後にロープ及び樹木の状態について評価を実施した。(n=10)
○:ロープの破損が見られず、樹木が傾いたり、倒壊することもなく、支持具として十分に機能している。
×:ロープが破損し、樹木が傾いたり、倒壊したりして支持具として十分に機能していない。
[実施例1]
(紡糸・延伸)
重量平均分子量20万、融点170℃のポリ乳酸(光学純度97%L乳酸)のチップを真空下、100℃で12時間乾燥した。
乾燥したポリ乳酸を、紡糸温度220℃にて、紡糸パック中でメッシュサイズ20μmの金属不織布フィルターで濾過した後、吐出孔直径0.35mm、孔数144の口金を通じて糸条を吐出した。
口金から吐出された紡糸糸条は、チムニー風により冷却固化した後、低粘度鉱物油で希釈した25質量%の油剤液を付与した後、引取ロール(1FR)(ネルソンタイプロール、回転速度500m/分、ロール温度60℃)にて引取った。ついで、引取り糸条を一旦巻き取ることなく連続して引取りロール(2FR)(ロール温度100℃)と給糸ロールとの間で1.5%のストレッチをかけた。引き続いて、第1延伸ロール(1DR)(ロール温度115℃)、第2延伸ロール(2DR)(ロール温度140℃)、第3延伸ロール(3DR)(ロール温度140℃)により総合延伸倍率7.0倍、各段の延伸倍率が総合延伸倍率の34%、33%、33%の3段延伸を行った。そして、弛緩ロール(RR)(非加熱)により弛緩率3.0%で弛緩してから巻き取り、フィラメント数144、単繊維繊度7.6dtex、総繊度1100dtexのポリ乳酸マルチフィラメントを得た。
得られたポリ乳酸マルチフィラメントは、強度5.45cN/dtex、伸度30.3%、と良好な物性を示した。また、繊維としての重量平均分子量は18万、カルボキシル末端濃度は25当量/tonであった。
(ロープ作成)
得られたポリ乳酸マルチフィラメントを、経糸に4本合撚糸(60t/m)、耳糸・とじ糸・芯糸に2本合撚糸(60t/m)、緯糸に2本合糸(無撚り)として使用し、緯糸密度が16本/30mm、幅40mm、厚さ3.9mmの板ベルト状ロープを作成した。
得られた板ベルト状ロープは、初期の引張強力が27.2kN、剛軟度が30350mgであった。また、樹木の支持施工するための支持具としての作業性に優れ、土壌埋設後の強力保持率は82%と良好で、耐久性も実用上全く問題なかった。
[実施例2]
(紡糸・延伸)
実施例1で用いたのと同様のポリ乳酸チップを実施例1と同条件にて乾燥し、さらに、末端封鎖剤としてポリカルボジイミド((株)日清紡製“カルボジライト”(R) HMV−8CA)を1質量%添加、混合した。
この混合物を用い、実施例1と同条件にて紡糸・延伸を実施し、フィラメント数144、単繊維繊度7.6dtex、総繊度1100dtexのポリ乳酸マルチフィラメントを得た。
得られたポリ乳酸マルチフィラメントは、強度5.65cN/dtex、伸度29.8%と良好な糸物性を示した。また、繊維としての重量平均分子量は19万、カルボキシル末端濃度は4当量/tonであった。
(ロープ作成)
上記ポリ乳酸マルチフィラメントを用い、実施例1と同条件にて板ベルト状ロープを作成した。得られた板ベルト状ロープは初期の引張強力28.7kN、剛軟度30000mgであった。
土壌埋設後の強力保持率は98%と非常に良好で、又、樹木の支持施工するための支持具としても作業性に優れ、耐久性も実用上全く問題なかった。
[実施例3]
(紡糸・延伸)
実施例1で用いたのと同様のポリ乳酸チップを実施例1と同条件にて乾燥し、さらに、滑剤としてエチレンビスステアリン酸アミド(EBA)(日本油脂社製“アルフロー” (R)(H−50S)を1質量%添加、混合した。
この混合物を用い、実施例1と同条件にて紡糸・延伸を実施し、フィラメント数144、単繊維繊度7.6dtex、総繊度1100dtexのポリ乳酸マルチフィラメントを得た。
得られたポリ乳酸マルチフィラメントは、強度5.32cN/dtex、伸度30.8%と良好な糸物性を示した。また、繊維としての重量平均分子量は18万、カルボキシル末端濃度は23当量/tonであった。
(ロープ作成)
上記ポリ乳酸マルチフィラメントを用い、実施例1と同条件にて板ベルト状ロープを作成した。得られた板ベルト状ロープは初期の引張強力26.2kN、剛軟度29980mgであった。
土壌埋設後の強力保持率は80%と良好で、又、ロープの滑りも非常に良く、樹木の支持施工するための支持具としても作業性に非常に優れ、耐久性も実用上全く問題なかった。
[比較例1]
(紡糸・延伸)
重量平均分子量10万、融点170℃のポリ乳酸(光学純度97%L乳酸)のチップを実施例1と同条件にて乾燥した。
このポリ乳酸チップを用い、紡糸温度を210℃とした以外は実施例1と同条件にて紡糸・延伸を実施し、フィラメント数144、単繊維繊度7.6dtex、総繊度1100dtexのポリ乳酸マルチフィラメントを得た。
得られたポリ乳酸マルチフィラメントは、強度2.32cN/dtex、伸度30.8%であった。また、繊維としての重量平均分子量は7万、カルボキシル末端濃度は26当量/tonであった。
(ロープ作成)
上記ポリ乳酸マルチフィラメントを用い、実施例1と同条件にて板ベルト状ロープを作成した。得られた板ベルト状ロープは初期の引張強力13.6kN、剛軟度28500mgであった。
土壌埋設後の強力保持率は65%とやや低く、又、樹木の支持施工するための支持具としての作業性に優れていたが、耐久性確認でベルトの破損が見られた。
[比較例2]
(紡糸・延伸)
実施例1で用いたのと同様のポリ乳酸チップを実施例1と同条件にて乾燥した。
このポリ乳酸チップを用い、フィラメント数54、単繊維繊度20.3dtexとなるようにした以外は実施例1と同条件にて紡糸・延伸を実施し、フィラメント数54、単繊維繊度20.3dtex、総繊度1100dtexのポリ乳酸マルチフィラメントを作成した。
得られたポリ乳酸マルチフィラメントは、強度5.02cN/dtex、伸度30.8%、重量平均分子量18万あった。また、カルボキシル末端濃度は22当量/tonであった。
(ロープ作成)
上記ポリ乳酸マルチフィラメントを用い、実施例1と同条件にて板ベルト状ロープを作成した。得られた板ベルト状ロープは初期の引張強力23.2kN、剛軟度42000mgであった。
樹木の支持施工するための支持具として使用したところ、ベルトが硬いために金具の通過性や、ロープも結びにくく作業性が劣る結果となった。
[比較例3]
(紡糸・延伸)
ポリブチレンサクシネート(昭和高分子製 ビオノーレ#1001(R) 融点115℃)を紡糸温度220℃で、吐出孔直径1.5mmにて紡出し、20℃の温水中で冷却固化した。
冷却固化した未延伸糸を引き続き、70℃の温水バス中で3.0倍に1段延伸を行い、さらに95℃の熱風ヒーター中で1.5倍の2段延伸を実施して、1300dtexのモノフィラメントを得た。
得られたモノフィラメントは、強度4.85cN/dtex、伸度45.2%であった。
(ロープ作成)
得られたモノフィラメントを3本引き揃えた合糸を、4本ずつ撚り合わせ、さらに撚り合わせた糸2本をより合わせて経糸とした。
緯糸には麻糸を使用して、18本の経糸と緯糸からなる幅38mm、厚さ4.0mmの板ベルト状ロープを作成した。
得られた板ベルト状ロープは、初期の引張強力が10.2kN、剛軟度が53000mgであった。土壌埋設後の強力保持率は10%と極めて低く、又、樹木の支持施工するための支持具としてもロープが硬く作業性が極めて劣り、耐久性確認ではベルトの破損が見られ、実用できないレベルであった。
Figure 2008202150
本発明の板ベルト状ロープは、樹木を植林する際に土中に支持施工するための支持具に好適に用いることができる。

Claims (4)

  1. ポリ乳酸繊維からなり、初期の引張強力が15kN以上、長手方向のガーレ法による剛軟度が40000mg以下であることを特徴とする板ベルト状ロープ。
  2. ポリ乳酸繊維の重量平均分子量(MW)が8万〜25万である、請求項1記載の板ベルト状ロープ。
  3. ポリ乳酸繊維の単繊維が5〜20dtexである、請求項1または2記載の板ベルト状ロープ。
  4. 樹木を土中に支持施工するための支持具であり、請求項1〜3のいずれか1項に記載の板ベルト状ロープを有することを特徴とする樹木の支持具。
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