JP2008202090A - 制動安定性に優れた高耐熱ブレーキディスクの製造方法 - Google Patents

制動安定性に優れた高耐熱ブレーキディスクの製造方法 Download PDF

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克久 山内
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Abstract

【課題】ディスク摺動部が適正な焼入れ硬さを有し、走行時のブレーキ制動発熱による硬さ変化(軟質化または硬質化)が少ない、制動安定性に優れた高耐熱ブレーキディスクの製造方法を提供する。
【解決手段】ブレーキディスクとして、高耐熱の低炭素マルテンサイト系Cr含有鋼を用いる。通常の製造方法で製造したCr含有鋼を、900〜1300℃の温度で焼入れ処理し、次いで、焼戻し処理を行い、硬さをHRCで32〜45とする。この時、焼戻し処理温度は、450〜700℃で、かつ、前記焼入れ処理後における鋼の耐熱温度Tmに対して、Tm+100℃以下とする(鋼の耐熱温度Tmとは、焼入れ処理後に60分保持の熱処理を行った場合の、硬さ(HRC)が32以上を維持できる熱処理温度の最高温度)。このように、予め焼戻し処理を行うことで、ブレーキ制動発熱による硬さ変化を少なく抑えることができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、オートバイ、自転車等のブレーキディスクの製造方法に関し、特に、高耐熱性を有する低炭素マルテンサイト系ステンレス鋼を用いたブレーキディスクの製造方法に関する。
オートバイ、自転車等のブレーキディスクの摺動部は、ブレーキ制動時にパッドとの摩擦により500℃以上の温度域まで繰り返し昇温する。そのため、ブレーキディスク用素材としては、上記のようなブレーキ制動発熱に対して軟質化せず、変形や磨耗が少ない特性が要求される。通常、硬さは、HRC(ロックウェル硬さのCスケール)で30〜45が適正範囲(オートバイ用では、好ましくは32〜38)とされ、30より低い場合には、変形や磨耗によるブレーキ制動力の低下や割れの発生、45より高い場合には、滑りによるブレーキ制動力の低下やパッド寿命の著しい低下などの問題が発生しやすくなる。また、制動力の低下防止や外観上の理由から、ブレーキディスクに対して耐食性(耐錆性)も要求される。
以上の点から、ブレーキディスク用素材としてはCrを12〜13%含有するSUS410系のマルテンサイト系ステンレス鋼が多く採用されており、900〜1000℃で1〜10分程度の焼入れ処理により適正な硬さとした状態で使用され、さらに、ブレーキ制動発熱に対する耐熱性評価として500℃で60分保持の熱処理を行った場合、硬さがHRCで32以上を維持できるように設計されている。
また、最近では、ブレーキ性能向上やブレーキディスク軽量化の要求に対応して、より高い耐熱性を有する素材や高耐熱化するための焼入れ技術も開発されている。例えば、特許文献1〜3では、C、N、Nb、V、Cu、Ti、Moなどブレーキ制動発熱に対する焼戻し軟化抵抗を高める元素を添加、または増加させ、焼入れ処理後や550〜650℃で1時間の熱処理後においても、硬さがHRCで30以上となるような高耐熱鋼が開発されている。
特許文献4では、元素の添加だけでなく、1000℃を超える温度で焼入れ処理を行い、耐熱性を向上させる技術が開発されている。
特開2001-220654号公報 特開2002-121656号公報 特開2002-146489号公報 特開2005-126735号公報
特許文献1〜4のようにブレーキディスク用素材の高耐熱化が図られてきたが、素材本来の耐熱温度より低い制動発熱によっても変形や割れが発生し、ブレーキ制動力が低下する場合があった。この原因は、ブレーキ制動時に、ディスク摺動部の径方向に温度分布が生じ、さらに冷却孔やデザイン孔等の形状の影響を受けて、素材の局部的な軟質化あるいは硬質化が起こったためと考えられる。素材を高耐熱化すれば、局部的な軟質化は起こり難くなるが、一方で、このような高耐熱材にはブレーキ制動発熱による500℃前後の昇温により大幅に硬質化するものがあり、やはり、局部的な硬質化に起因して、十分に耐熱性が発揮されていなかったものと考えられる。
以上より、本発明は、係る従来の問題に省みてなされたものであり、ディスク摺動部が適正な焼入れ硬さを有し、走行時のブレーキ制動発熱による硬さ変化(軟質化または硬質化)が少なく、安定したブレーキ制動力が得られる制動安定性に優れた高耐熱ブレーキディスクの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、ディスク摺動部の材質変化をなるべく抑制する方法として、焼入れ処理後に、予め所定の焼戻し処理を施すことを考えた。そこで、500℃以上の耐熱性を有する素材に関して、焼入れ処理や焼戻し処理の温度と時間を変化させ、硬さ変化を詳細に調査した。その結果、マルテンサイト相の焼戻しが進み、炭窒化物が析出、成長する温度域である450℃以上で、また、素材の耐熱性に合わせ、その耐熱寿命を損なわない条件で、予め焼戻し処理を行うことが重要であるとの知見を得た。また、予め焼戻し処理を行うことによって、耐熱性は高いが、450〜550℃域での硬質化が大きく、場合によっては硬さが適正範囲の上限を超えてしまうような素材の使用も可能となる。
本発明は、以上の知見に基づきなされたもので、その要旨は以下のとおりである。
[1]mass%で、C:0.01〜0.10%、Si≦0.6%、Mn:0.3〜2.5%、P≦0.05%、S≦0.01%、Al≦0.05、Cr:10.5〜14.5%、N:0.01〜0.10%、Ni:0.01〜1.5%を含み、さらにNb、Cu、V、Mo、W、Ta、Tiの1種以上を合計で0.1〜3.0%含み、残部が実質的にFeであるCr含有鋼からなるブレーキディスクを、900〜1300℃の温度で焼入れ処理し、次いで、温度を、450〜700℃で、かつ、前記焼入れ処理後における鋼の耐熱温度Tmに対して、Tm+100℃以下で焼戻し処理を行い、硬さをHRCで32〜45とすることを特徴とする制動安定性に優れた高耐熱ブレーキディスクの製造方法。
なお、鋼の耐熱温度Tmとは、焼入れ処理後に60分保持の熱処理を行った場合の硬さ(HRC)が32以上を維持できる熱処理温度の最高温度とする。
なお、本明細書において、鋼の成分を示す%は、すべてmass%である。
本発明の技術を用いれば、オートバイ、自転車等のブレーキディスクとして使用する場合、素材の耐熱温度付近まで制動安定性に優れた高耐熱ブレーキディスクが得られる。
以下、本発明について具体的に説明する。
まず、本発明が対象とするブレーキディスクは高耐熱Cr含有鋼、すなわち、ブレーキディスク部材として十分な耐食性を有し、焼入れ後の硬さがHRCで32〜45であり、また、500℃以上で60分保持の熱処理後においても同様の硬さ範囲となるように設計された高耐熱の低炭素マルテンサイト系Cr含有鋼である。このような特性を得るための成分組成は、C:0.01〜0.10%、Si≦0.5%、Mn:0.3〜2.5%、P≦0.05%、S≦0.01%、Al≦0.05%、Cr:10.5〜14.5%、N:0.01〜0.10%、Ni:0.01〜1.5%を含み、さらにNb、Cu、V、Mo、W、Ta、Tiの1種以上が合計で0.1〜3.0%、残部が実質的にFeである。以下、成分組成の限定理由について説明する。
Cは、焼入れ処理後、焼戻し処理後の硬さを決定する元素であり、適正な硬さ範囲を確保するため、0.01%以上の含有が必要である。一方で、0.10%を超えて含有すると、粗大な炭化物が多数形成して発錆起点となり、耐錆性が著しく低下する。よって、Cは0.01%以上0.10%以下とする。なお、安定して500℃以上の耐熱性を確保するためには、0.04%以上、より良好な耐錆性を得るためには0.08%以下とすることが好ましい。
Siは、脱酸剤として作用する。しかし、0.6%を超えて添加すると、焼入れ後に十分なマルテンサイト相が生成せず、焼入れ後の硬さ低下や靭性の低下を招く。よって、Siは、0.6%以下とする。脱酸剤としての作用の点から0.05%以上添加することが望ましい。
Mnは、高温でのフェライト相の生成を抑制し、900〜1300℃の広い温度範囲で十分な焼入れ性を得るために有用であり、このためには0.3%以上の含有が必要である。一方で、2.5%を超えて含有すると、加工性や耐錆性が著しく低下する。よって、Mnは0.3%以上2.5%以下とする。なお、焼入れ性向上の観点から0.5%以上、加工性や耐錆性の観点から2.0%以下が好ましい。
Pは、熱間加工性や靭性を低下させるためできる限り低減した方が良く、0.05%以下とする。好ましくは、0.04%以下である。
Sは、熱間加工性や耐錆性を低下させるためできる限り低減した方が良く、0.01%以下とする。好ましくは、0.004%以下である。
Alは、Siと同様に脱酸剤として作用するが、過剰に含有すると硬質の介在物や析出物が増加して表面疵など欠陥の原因になる。そのため、0.05%以下とする。なお、脱酸剤としてSiも添加する場合には、介在物や析出物の増加を抑えるため、Alの添加量は少ない方が好ましく、Siが0.05%以上であればAlは0.03%以下が好ましく、Siが0.10%以上であればAlは0.01%以下が好ましい。
Crは、耐錆性を向上する主たる元素であり、ディスクブレーキ素材として十分な耐錆性を得るには10.5%以上の含有が必要である。一方、14.5%を超えて含有すると、焼入れ処理後に十分なマルテンサイト相が生成せず、適正な硬さ範囲を確保できず、また、加工性や靭性も著しく低下する。よって、Crは10.5%以上14.5%以下とする。なお、耐錆性の観点から、11.5%以上、加工性や靭性の観点から、13.5%未満が好ましい。
Nは、Cと同様に、焼入れ処理後、焼戻し処理後の硬さを決定する元素であり、特に、微細な窒化物を形成し、450〜700℃での焼戻し軟化抵抗向上への寄与が大きい。適正な硬さ範囲を保持するために、0.01%以上の添加が必要である。一方、過度の添加は、熱間加工性の著しい低下をもたらす。よってNは、0.01%以上0.10%以下とする。なお、550℃以上の耐熱性を確保するためには、0.03%以上添加することが好ましく、特に安定して550℃を超える耐熱性を付与するためには、0.04%以上の添加が好ましい。
Niは、耐食性や焼入れ安定性を向上させる元素であり、0.01%以上を添加する。好ましくは、0.05%以上である。一方、過剰に添加すると、焼入れ前の硬さが高くなり過ぎて加工性が低下し、また、素材コストも上昇する。よって、Niは、0.1〜1.5%とする。
Nb、Cu、V、Mo、W、Ta、Tiは、焼入れ性を高めたり、固溶または析出物として焼戻し軟化を抑制する元素であり、焼入れ処理後や焼戻し処理後に適正な硬さを安定的に確保するために有効な元素である。このため、Nb、Cu、V、Mo、W、Ta、Ti の1種以上を合計で0.1%以上添加する。一方で、過剰に添加すると、著しい硬化あるいは軟化をまねき、硬さが適正範囲から外れる原因となる。よって上限は合計で3.0%以下とする。なお、安定して550℃を超える耐熱性を付与するためには、0.11%以上の添加が好ましい。
以上の必須添加元素で、本発明は目的とする特性が得られるが、上記の必須添加元素に加えて、耐熱性、耐錆性、および製造性の観点から、Co、B、Ca、Mg、Hf、Y、Zr等を合計で0.5%以下を含有しても良い。
次に、ブレーキディスク用素材としての鋼板の製造方法ならびにブレーキディスクの熱処理方法について説明する。
鋼板の製造方法は、特に限定する必要はなく、従来の公知の方法が使用できる。例えば、上記化学成分範囲に調整された鋼を、転炉や電気炉で溶製し、VODやAODで精錬した後、連続鋳造等で鋼塊とする。次いで、1050〜1250℃で加熱し、熱間圧延を行い、所定の板厚の熱延鋼板とする。さらに、ディスク形状への加工を容易にするため、箱型焼鈍炉で650〜880℃で8時間以上の熱延板焼鈍を行い、徐冷し、十分にフェライト相を生成させて軟質化する。必要に応じて、研削や酸洗等のスケール除去を行う。あるいは、さらに冷間圧延と600〜850℃の焼鈍、スケール除去等を行い、ブレーキディスク用素材を製造する。
次いで、本発明では、上記の素材に対して、ディスクに加工した後、焼入れ処理および焼戻し処理を行う。本発明において、この焼入れ処理および焼戻し処理の方法が重要であり、適切な条件で行うことにより、摺動部が適正な焼入れ硬さを有し、走行時のブレーキ制動発熱による硬さ変化(軟質化または硬質化)が少なく、安定したブレーキ製動力を得られることになる。
焼入れ処理は、処理温度:900〜1300℃で行うことによって、硬さ(HRC)を32〜45の範囲内の所定値とする。処理温度が上記範囲外である場合、マルテンサイト相に対してフェライト相量が増加し、安定して十分な硬さが得難くなる。
また、この時、冷却は、マルテンサイト変態がほぼ完了する200℃までの冷却速度を0.3〜300℃/秒とすることが好ましい。冷却速度がこの範囲外である場合、フェライト相量増加による硬さ外れや処理時間増加による製造コスト増加が問題となる場合がある。尚、焼入れ処理方法は特に限定しない。例えば、加熱炉に挿入する方法、短時間で昇温する高周波加熱方法等を用いることができる。冷却方法は、冷却速度が適正であればよく、水冷、油冷、ガス冷却、空冷、あるいは形状矯正と冷却を兼ねた金型プレスによる方法等を用いることができる。
焼入れ処理後に行う焼戻し処理は、処理温度を450〜700℃で、かつ、上記の組成と焼入れ処理で決まる鋼の耐熱温度Tmに対して、Tm+100℃以下とする。ここで、鋼の耐熱温度Tmとは、焼入れ処理後に60分保持の熱処理を行った場合に、硬さ(HRC)が32以上を維持できる熱処理温度の最高温度とする。本発明が対象とする上記の組成の鋼について上記焼入れ処理を行った場合の耐熱温度は、500〜700℃である。
耐熱性に寄与する炭窒化物、ε-Cu相などの析出や成長は、450〜550℃で顕著になる。そのため、ブレーキ制動発熱によりこの温度域まで昇温すると、鋼中のC、N、Nb、Mo、VやCuの含有量に応じて、素材の硬質化や過時効による軟質化が起こる。よって、このような変化を抑制し、素材の耐熱温度に達するまでほぼ一定の硬さとするには、予め、加熱温度450〜700℃で焼戻し処理を行い、これらの析出物や析出相を析出あるいは成長させておけばよい。その結果、ブレーキ制動発熱により、ディスクあるいはその一部が500℃程度に昇温しても、処理した温度域までは硬さの変化が抑制できる。
また、鋼の耐熱温度より高い温度で短時間の焼戻し処理を行う場合は、板厚やディスク形状により、部分的に硬さのムラを生じやすく、制御が難しい。そのため、焼戻し処理は耐熱温度Tm +100℃以下の温度で行う必要がある。
なお、焼戻し処理温度が500℃未満の場合は、均熱時間を長くする必要があるため製造効率が低下する。一方、処理温度が550℃超え、または耐熱温度以上で処理時間が短い場合は、材質制御が難しく、長い場合には耐熱寿命の低下をもたらす。そのため、焼戻し処理の好ましい範囲は、500℃〜耐熱温度Tm-10℃、0.5〜60分であり、耐熱温度がこれ以上の場合には処理時間は10分以下が好ましい。また、本成分系では、700℃を超えると急激に軟質化するため、処理温度は700℃以下とする。
図1は、12.5%Cr-0.07%C-1.5Mn-0.04%N-0.2%Nb-1.5Cu-残部Feより成る鋼を1100℃で焼入れ処理した場合の熱処理時間と硬さ(HRC)の関係を示したものである。図1に示すように、この鋼の耐熱温度Tm、すなわち、焼入れ処理後に60分保持の熱処理を行った場合に硬さが32以上となる熱処理の最高温度は610℃である。また、焼入れ処理後の硬さは37、500℃×60分の熱処理後で42、600℃×60分の熱処理後で33であるから、例えば、ブレーキ制動発熱を繰り返し、積算で600℃×60分相当分を受ければ、局部的に、HRでC9程度の硬さ変化が生じ得ることになる。これに対して、本発明のように、焼入れ処理後、予め10分または、30分の焼戻し処理を行った場合、ブレーキ制動発熱を繰り返し、積算で600℃×60分相当分を受けたとしても、最大でHRC3程度の硬さ変化に止まり、ブレーキ制動発熱が積算で550℃×60分相当分であれば、殆ど硬さの変化はなくなる。
以下、実施例にもとづいて本発明を説明する。
表1に示す成分組成の鋼を高周波溶解炉で鋳造し、厚さ170mmの鋼塊とした。次いで、鋼塊を1150℃×30分以上の均熱処理後、熱間圧延を行い、5〜7mmtの熱延鋼板とした。次いで、700〜850℃の間で8時間以上の焼鈍、徐冷を行って、ブレーキディスク用素材を得た。
Figure 2008202090
得られた熱延鋼板から、表2に示す条件にて焼入れ処理または焼戻し処理を行い、材料No.1〜19の試験材を作製した。ここで、焼戻し処理は、焼入れ処理後のサンプルにおける60分保持の熱処理後の硬さからHRC32以上となる最高温度(耐熱温度Tm)を求め、それを基に決定し、本発明例では、450〜Tm+100℃の範囲内で行った。このように焼入れ処理または焼戻し処理を行った試験材について、ブレーキ制動発熱に相当する熱処理として、素材の耐熱温度以下で60分保持の熱処理を行い、硬さの変化を調査した。そして、焼入れ処理後または焼戻し処理後の試験材の硬さを初期硬さとし、熱処理による最大硬さと初期硬さの差、および最大硬さと耐熱温度での硬さ(HRC32)の差の大きさを評価した。なお、上述の全ての硬さ測定は、JIS Z2245に準拠し、スケールを除去した鋼板表面について、ロックウェル硬度計によるCスケールで行った。
得られた結果を処理条件と併せて表2に示す。
Figure 2008202090
表2より、本発明例は、同じ鋼種、同じ焼入れ処理を行った比較例に比べて、硬さ変化が小さいことがわかる。
本発明のブレーキディスクは、500℃以上の高温域まで材質変化が小さく、安定したブレーキ製動力が得られるため、高耐熱が要求されるオートバイ、自転車用のディスクブレーキとして有用である。
熱処理温度と硬さ(HRC)との関係を示す図である。

Claims (1)

  1. mass%で、C:0.01〜0.10%、Si≦0.6%、Mn:0.3〜2.5%、P≦0.05%、S≦0.01%、Al≦0.05、Cr:10.5〜14.5%、N:0.01〜0.10%、Ni:0.01〜1.5%を含み、さらにNb、Cu、V、Mo、W、Ta、Tiの1種以上を合計で0.1〜3.0%含み、
    残部が実質的にFeであるCr含有鋼からなるブレーキディスクを、
    900〜1300℃の温度で焼入れ処理し、
    次いで、温度を、450〜700℃で、かつ、前記焼入れ処理後における鋼の耐熱温度Tmに対して、Tm+100℃以下で焼戻し処理を行い、
    硬さをHRCで32〜45とすることを特徴とする制動安定性に優れた高耐熱ブレーキディスクの製造方法。
    なお、鋼の耐熱温度Tmとは、焼入れ処理後に60分保持の熱処理を行った場合の硬さ(HRC)が32以上を維持できる熱処理温度の最高温度とする。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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