JP2008201377A - 車両用ドアビームの取付構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】 電食を的確に防止でき、しかも、ドアビームの強度を十分に確保することができる車両用ドアビームの取付構造を提供する。
【解決手段】 一端にフランジ部26aを備え耐食処理を施したインサートナット26を、ドアビーム20に開口する各孔部25a〜25cに対して対向面20a側から挿入しカシメにより固定する。これにより、ドアビーム20と各ブラケット21,22との間に、スペーサとして機能するフランジ部26aを介在させる。そして、耐食処理を施したボルト27を各ブラケット21,22のボルト挿入孔21c,22cに対し車外側(ドアビーム20との非対向面側)から挿入し、対応する各インサートナット26に螺合することにより、ドアビーム20と各ブラケット21,22とを非接触で締結する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ドアパネル本体とは異なる金属を用いて構成された車両用ドアビームの取付構造に関する。
近年、車両用のドアパネルにおいては、コストの高騰を抑制しつつ効率よく軽量化を実現するため、例えば、ドアパネル本体(ドアアウタパネルやドアインナパネル等)を鋼板で構成し、このドアパネル本体内に配設されるドアビームを、強度的にも高く且つ軽量なアルミニウム合金を用いて構成したものが広く採用されている。
その一方で、ドアパネル本体とドアビームとを異種金属材料で構成した場合、これらの接合部に、イオン化傾向の相違に起因する電気化学的腐食(電食)が生じやすくなる。このような異種金属材料間の電食対策として、例えば、特許文献1には、鋼板製のドアインナパネルの前後に鋼板製のブラケットをスポット溶接し、これらブラケットを介して、アルミニウム合金製の角パイプ状のドアガードバー(ドアビーム)の両端部をドア本体(ドアパネル本体)に固設するドアガードバーの取付構造において、ブラケットと、ドアガードバーの両端部とにバカ孔を穿孔し、少なくとも一方のバカ孔の周縁部にシーラーを塗布し、バカ孔にボルトを挿入して、ブラケットとドアガードバーとを締結することにより、少なくともブラケットとドアガードバーとの接触面縁にシーラーを行き渡らせる技術が開示されている。
特開平8−58373号公報
しかしながら、上述の特許文献1に開示された技術のように、ブラケットとドアガードバーとの締結によりシーラーを塗布する場合、ブラケットとドアガードバーの接触面縁に確実にシーラーを行き渡らせることは困難であり、精度のばらつきも生じやすい。
また、上述の特許文献1に開示された技術では、ドアガードバー及びブラケットのバカ孔の周囲をボルトとナットとの間に挟み込んで締結する必要があるため、筒状のドアガードバーの両端部を斜めに切り欠く等して締結作業用のスペースを確保する必要があり、その分、ドアガードバーの強度が低下する等して衝突対応上不利な構造となってしまう。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、電食を的確に防止でき、しかも、ドアビームの強度を十分に確保することができる車両用ドアビームの取付構造を提供することを目的とする。
本発明は、ドア本体の内部に固設されるブラケットに、当該ブラケットとは異なる金属で構成されたドアビームを固定する車両用ドアビームの取付構造であって、耐食処理が施され一端にフランジ部を備えたインサートナットを、前記ドアビームに開口する孔部に前記ブラケットとの対向面側から挿入して固定し、前記ドアビームを、前記インサートナットの前記フランジ部を介して前記ブラケットに当接させ、前記ブラケットに開口するボルト挿入孔にボルトを貫通させて前記インサートナットに螺合したことを特徴とする。
本発明の車両用ドアビームの取付構造によれば、電食を的確に防止でき、しかも、ドアビームの強度を十分に確保することができる。
以下、図面を参照して本発明の形態を説明する。図面は本発明の一実施形態に係わり、図1はドアアウタパネルを除いてドアパネル内の要部を示す平面図、図2はドアパネルの要部を図1のII−II線に沿って示す断面図、図3はドアパネルの要部を図1のIII−III線に沿って示す断面図、図4(a)はドアビーム取付用の前側ブラケットを示す斜視図であり(b)はドアビーム取付用の後側ブラケットを示す斜視図、図5はドアビームをブラケットとの対向面側から見た平面図、図6はドアパネルの要部を図1のVI−VI線に沿って示す断面図、図7はドアパネルの剛性リンフォースを示す斜視図である。
図1,2に示すように、ドアパネル1は、ドアインナパネル(インナパネル)6とドアアウタパネル(アウタパネル)7とが接合された中空のドアパネル本体5を有する。
本実施形態において、インナパネル6は、例えば、鋼板を用いた板金部材で構成され、その前後縁部及び下縁部には、アウタパネル7と接合するためのフランジ部6aが形成されている。また、インナパネル6は、フランジ部6aの内側で車室側に凹設する凹部6cを有し、これらフランジ部6aと凹部6cとの間には段部6bが形成されてる。
また、アウタパネル7は、例えば、鋼板を用いた板金部材で構成され、その後部上方寄りには、車外側からドアパネル1を開閉操作するためのドアハンドルユニット8が設けられている。
ここで、ドアパネル1の軽量化を図るため、インナパネル6及びアウタパネル7は、比較的板厚の小さい鋼板を用いて形成されている。
インナパネル6内において、凹部6cの略中央には車体の略上下方向に延びるガイドレール10が固設され、このガイドレール10には、キャリアプレート11を介して、ドアガラス12が昇降移動自在に支持されている。また、ガイドレール10の前方には、ドアガラス12の前縁部に摺接するフロントサッシュ13が配設され、ガイドレール10の後方には、ドアガラス12の後縁部に摺接するリアサッシュ14が配設されている。
また、ドアパネル本体5内において、ドアガラス12よりも車外側には、車体の略前後方向に延在するドアビーム20及びリンフォース30が配設され、これらドアビーム20及びリンフォース30は、インナパネル6の前後の段部6b間に架設されている。
ドアビーム20は、ドアパネル1に対して車体側方から所定値以上の衝撃荷重が作用した場合、すなわち側面衝突の場合であっても、衝撃荷重をピラー等の車体フレーム(図示せず)に伝達することで、ドアパネル1が車室内に進入することを防止して、乗員を有効に保護するためのものである。
本実施形態において、ドアビーム20は、例えば、アルミニウム合金を用いた押し出し成型によって角筒状に形成されている。このドアビーム20は、ドアパネル本体5内の下方寄りの位置に配設され、前後端部が、例えば、鋼板を用いた板金製のフロントブラケット21及びリアブラケット22を介して、インナパネル6の前後の段部6bにそれぞれ固定されている。
図3、図4(a)に示すように、フロントブラケット21は、インナパネル6の前側の段部6bにスポット溶接等により固定される基部21aと、この基部21aの後方で車室側に凹設されたビーム支持部21bとを備え、ビーム支持部21bには上下一対のボルト挿入孔21cが設けられている。
また、図3、図4(b)に示すように、リアブラケット22は、インナパネル6の後側の段部6bにスポット溶接等により固定される一対の基部22aと、これらの基部22a間から車外側に突設されたビーム支持部22bとを備えた断面略ハット形状のブラケットで構成され、ビーム支持部22bには、上下一対のボルト挿入孔22cが設けられている。ここで、リアブラケット22を車外側に突出する断面略ハット形状に形成し、各基部22aとビーム支持部22bとの間に微小な歪みを許容可能な形状とすることにより、リアブラケット22は、押し出し成型によって形成されるドアビーム20の製造誤差を吸収可能となっている。
また、図3、図5に示すように、ドアビーム20の各端部には、各ブラケット21,22との対向面20a上に、フロントブラケット21の上側のボルト挿入孔21c及びリアブラケット22の上側のボルト挿入孔22cに共通して対応する孔部25aと、フロントブラケット21の下側のボルト挿入孔21cに対応する孔部25bと、リアブラケット22の下側のボルト挿入孔22cに対応する孔部25cとが、互いに鏡像関係となる位置にそれぞれ開口されている。そして、このように各孔部25a〜25cを鏡像関係となる位置にそれぞれ開口することにより、ドアビーム20は、左右のドアパネルの何れにも適用することが可能となっている。
各孔部25a,25b,25cには、一端にフランジ部26aを備えたインサートナット26が、ブラケット21,22との対向面側から挿入され、カシメにより固定されている。これにより、各インサートナット26は、フランジ部26aが対向面20a上に突出された状態でドアビーム20に保持されている。ここで、各インサートナット26は、例えば、表面がジオメット処理されることにより、電気化学的腐食に対する耐食処理が施されている。
そして、各ブラケット21,22のボルト挿入孔21c,22cに対し、ボルト27を車室側から挿入し、対応する孔部25a〜25cに固定されたインサートナット26と螺合させることにより、ドアビーム20は、ブラケット21,22を介してインナパネル6に保持される。ここで、各ボルト27は、インサートナット26と同様、例えば、表面がジオメット処理されることにより、電気化学的腐食に対する耐食処理が施されている。
このように、一端にフランジ部26aを備えたインサートナット26を、ドアビーム20に開口する各孔部25a〜25cに対して対向面20a側から挿入しカシメにより固定することにより、簡単な構成で、ドアビーム20と各ブラケット21,22との間に、スペーサとして機能するフランジ部26aを介在させることができる。そして、各ブラケット21,22のボルト挿入孔21c,22cに対し車外側(ドアビーム20との非対向面側)からボルト27を挿入し、対応する各インサートナット26に螺合することにより、ドアビーム20と各ブラケット21,22とを非接触で締結することができる。従って、インサートナット26及びボルト27に耐食処理を施すだけで、ドアパネル本体5(すなわち、インナパネル6)に固設されたブラケット21,22とドアビーム20との間の電気化学的腐食を的確に防止することができる。なお、ボルト27と各ブラケット21、22とを同種の金属で構成した場合には、ボルト27に対する耐食処理を省略することも可能である。
また、ドアビーム20に対し、インサートナット26をカシメにより固定することにより、ドアビーム20と各ブラケット21,22との締結作業をブラケット21,22側からのみの作業で行うことができる。従って、作業スペースの確保等を目的としてドアビーム20の端部の一部を切り欠く等の必要がなく、ドアビーム20の強度を全域に亘って十分に確保することができる。
また、ドアビーム20の各端部にそれぞれ孔部25a〜25cを設けてインサートナット26を保持させることにより、ドアビーム20を左右のドアパネルの何れにも適用でき、製造コストを低減することができる。しかも、ドアビームの各端部に各3個のインサートナット26を配設し、締結に供しないインサートナット26のフランジ部26aもスペーサとしての機能させることにより、各ブラケット21,22とドアビーム20の各端部との間には、各3箇所にスペーサを介在させることができ、安定的な取付性を実現することができる。
図1、図2、図6及び図7に示すように、リンフォース30は、板厚の小さな鋼板で構成されたアウタパネル7の張り剛性等を補剛するためのもので、ドアハンドルユニット8の近傍で車体の前後方向に延在されている。そして、リンフォース30は、アウタパネル7の内面に当接することにより、アウタパネル7の剛性を補剛する。
このリンフォース30には、例えば、当該リンフォース30上の後端側(一端側)から予め設定された中途までの領域であって、且つ、車体の前後方向において少なくともドアハンドルユニット8とラップする領域が、他の領域(以下、通常領域と称す)A2よりも相対的に剛性が高い高剛性領域A1として設定されている。ここで、本実施形態において、高剛性領域A1と通常領域A2との境界は、ドアパネル1の内側に着座する乗員の着座位置よりも前方に設定されている。なお、高剛性領域はドアハンドルユニットの位置や乗員の着座位置に応じて適宜変更可能である。
単一のリンフォース30上に剛性の異なる2つの領域(高剛性領域A1及び通常領域A2)を設定するため、本実施形態において、リンフォース30は、当該リンフォース30上の後端側(一端側)から前端側(他端側)にかけての略全域に延在するリンフォース本体31と、リンフォース30上に予め設定された高剛性領域A1内に延在して当該領域を補剛する補剛部材32とを有する。
リンフォース本体31は、上下縁部にフランジ部31aを備えた断面略ハット形状をなす板金部材で構成されている。このリンフォース本体31の前端部には、平板形状をなす接合部31bが形成され、この接合部31bはインナパネル6の前側の段部6bにスポット溶接等によって接合されている。ここで、リンフォース本体31の剛性は、当該リンフォース本体31単体であってもアウタパネル7の張り剛性等を補剛するに必要十分な剛性に設定されている。
補剛部材32は、上下縁部にフランジ部32aを備えた断面略ハット形状をなす板金部材で構成されている。この補剛部材32の後端部には、平板形状をなす接合部32bが形成され、この接合部32bはインナパネル6の後側の段部6bにスポット溶接等によって接合されている。また、リンフォース30をドアガラス12やリアサッシュ14等から迂回させてこれらとの干渉を回避するため、補剛部材32の中途には、略’L’字状に屈曲する屈曲部32cが形成されている。この補剛部材32は、屈曲部32cよりも前方部分のフランジ部32aが、リンフォース本体31のフランジ部31aに対して車室側から重畳され、スポット溶接等によって接合されることにより、リンフォース本体31との間に閉断面を形成する。そして、このようにリンフォース本体31との間に閉断面を形成することにより、補剛部材32は、大幅な重量の増加を招くことなく、リンフォース30上における高剛性領域A1の剛性を効率よく高めることが可能となっている。
なお、電食を防止するため、リンフォース本体31及び補剛部材32は、インナパネル6及びアウタパネル7と同種の鋼板を用いて構成されている。
このように、リンフォース30をドアハンドルユニット8の近傍で車体の前後方向に延在させ、リンフォース30上の一端側から予め設定された中途までの領域であって、且つ、車体の前後方向において少なくともドアハンドルユニット8とラップする領域を、他の通常領域A2よりも相対的に剛性が高い高剛性領域A1に設定することにより、ドアハンドルユニット8に影響されることなく、側突時におけるドアパネル1の屈曲起点部を、リンフォース30によって適切な位置に規定することができる。すなわち、リンフォース30上の高剛性領域A1をドアハンドルユニット8とラップさせることにより、ドアハンドルユニット8が剛性に寄与する割合を低下させることができ、しかも、リンフォース30上の領域を剛性の異なる2つの領域(高剛性領域A1と通常領域A2)に分割することにより、これらの境界をドアパネル1の屈曲起点部として設定することができる。そして、この屈曲起点部を、乗員の着座位置等を考慮して適切な位置に設定することにより、側突時における好適な乗員保護を実現することができる。
しかも、高剛性領域A1は、リンフォース30上の全領域に設定されるものではないため、リンフォース30の重量が過剰な増加することを的確に抑制することができる。
また、リンフォース本体31と補剛部材32の2部材を用いてリンフォース30を構成することにより、リンフォース30上に剛性の異なる2つの領域を容易に形成することができる。
ドアアウタパネルを除いてドアパネル内の要部を示す平面図 ドアパネルの要部を図1のII−II線に沿って示す断面図 ドアパネルの要部を図1のIII−III線に沿って示す断面図 (a)はドアビーム取付用の前側ブラケットを示す斜視図であり(b)はドアビーム取付用の後側ブラケットを示す斜視図 ドアビームをブラケットとの対向面側から見た平面図 ドアパネルの要部を図1のVI−VI線に沿って示す断面図 ドアパネルの剛性リンフォースを示す斜視図
符号の説明
1 … ドアパネル
5 … ドアパネル本体
6 … インナパネル
6a … フランジ部
6b … 段部
6c … 凹部
7 … アウタパネル
20 … ドアビーム
20a … 対向面
21 … フロントブラケット
21a … 基部
21b … ビーム支持部
21c … ボルト挿入孔
22 … リアブラケット
22a … 基部
22b … ビーム支持部
22c … ボルト挿入孔
25a,25b,25c … 孔部
26 … インサートナット
26a … フランジ部
27 … ボルト

Claims (1)

  1. ドア本体の内部に固設されるブラケットに、当該ブラケットとは異なる金属で構成されたドアビームを固定する車両用ドアビームの取付構造であって、
    耐食処理が施され一端にフランジ部を備えたインサートナットを、前記ドアビームに開口する孔部に前記ブラケットとの対向面側から挿入して固定し、
    前記ドアビームを、前記インサートナットの前記フランジ部を介して前記ブラケットに当接させ、
    前記ブラケットに開口するボルト挿入孔にボルトを貫通させて前記インサートナットに螺合したことを特徴とする車両用ドアビームの取付構造。
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