図1は、本発明の実施の一形態の画像形成装置であるデジタルカラー複写機1の構成を示す正面断面の略図である。デジタルカラー複写機1は、複写機本体11と両面自動原稿送り装置(Reversing Automatic Document Feeder:略称RADF)12とを備える。複写機本体11の上部には、原稿台111および操作パネル(図示せず)が設けられ、複写機本体11の内部に読取装置である画像読取り部40および画像形成部210が設けられる。
複写機本体11の上部には、原稿台111に対して開閉可能な状態で支持され、すなわち角変位可能に支持されて、原稿台111面に対して所定の位置関係をもって両面自動原稿送り装置112が装着されている。
両面自動原稿送り装置112は、まず、原稿の一方の面が原稿台111の所定位置において画像読取り部40に対向するように原稿を搬送し、この一方の面についての画像読取りが終了した後に、他方の面が原稿台111の所定位置において画像読取り部40に対向するように原稿を反転して原稿台111に向かって搬送するようになっている。そして、両面自動原稿送り装置112は、1枚の原稿について両面の画像読取りが終了した後にこの原稿を排出し、次の原稿についての両面搬送動作を実行する。以上の原稿の搬送および表裏反転の動作は、複写機全体の動作に関連して制御されるものである。児童原稿送り装置112の原稿台111に臨む表面部には、白の基準となる白板が設けられている。白板は、画像読取り部40が読取ることができる領域に設けられる。
画像読取り部40は、両面自動原稿送り装置112により原稿台111上に搬送されてきた原稿の画像を読取るために、原稿台111の下方に配置されている。原稿台111は、板状のコンタクトガラスによって実現される。画像読取り部40は、原稿台111の下面に沿って平行に往復移動する原稿走査体113,114と、光学レンズ115と、光電変換素子であるCCD(Charge Coupled Device)ラインセンサ40aとを有している。
この原稿走査体113,114は、第1の走査ユニット113と第2の走査ユニット114とから構成されている。第1の走査ユニット114は、原稿画像表面を露光する露光ランプと、原稿からの反射光像を所定の方向に向かって偏向する第1ミラーとを有し、原稿台111の下面に対して一定の距離を保ちながら所定の走査速度で平行に往復移動する。第2の走査ユニット114は、第1の走査ユニット113の第1ミラーによって偏向された原稿からの反射光像をさらに所定の方向に向かって偏向する第2および第3ミラーとを有し、第1の走査ユニット113と一定の速度関係を保って平行に往復移動する。
光学レンズ115は、第2の走査ユニットの第3ミラーによって偏向された原稿からの反射光像を縮小し、縮小された光像をCCDラインセンサ40a上の所定位置に結像させる。
CCDラインセンサ40aは、結像された光像を順次光電変換して電気信号として出力する。CCDラインセンサ40aは、白黒画像あるいはカラー画像を読取り、R(赤)、G(緑)、B(青)の各色成分に色分解したラインデータを出力することのできる3ラインのカラーCCDイメージセンサである。このCCDラインセンサ40aによって電気信号に変換された原稿画像情報は、さらに、後述する画像処理部41に転送されて予め定める画像データ処理が施される。
次に画像形成部210の構成、および画像形成部210に係わる各部の構成について説明する。画像形成部210の下方には、用紙トレイ内に積載収容されている用紙(記録媒体)Pを1枚ずつ分離して画像形成部210に向かって供給する給紙機構211が設けられている。そして給紙機構211によって1枚ずつ分離供給された用紙Pは、画像形成部210の手前、すなわち用紙Pの搬送方向上流側に配置された一対のレジストローラ212によってタイミングが制御されて画像形成部210に搬送される。さらに、片面に画像が形成された用紙Pは、画像形成部210の画像形成にタイミングを合わせて画像形成部210に再供給搬送される。
画像形成部210の下方には、転写搬送ベルト機構213が配置されている。転写搬送ベルト機構213は、駆動ローラ214と従動ローラ215との間に略平行に伸びるように張架された転写搬送ベルト216に用紙Pを静電吸着させて搬送する構成となっている。そして、転写搬送ベルト216の下側に近接して、パターン画像検出ユニットが設けられている。
さらに、用紙搬送路における転写搬送ベルト機構213の下流側には、用紙P上に転写形成されたトナー像を用紙P上に定着させるための定着装置217が配置されている。この定着装置217の一対の定着ローラ間のニップを通過した用紙Pは、搬送方向切り換えゲート218を経て、排出ローラ219によって複写機本体11の外壁に取り付けられている排紙トレイ220上に排出される。
切り換えゲート218は、定着後の用紙Pの搬送経路を、複写機本体11から用紙Pを排出する経路と、画像形成部210に向かって用紙Pを再供給する経路とのいずれかに選択的に切り換えるものである。切り換えゲート218によって再び画像形成部210に向かって搬送方向が切り換えられた用紙Pは、スイッチバック搬送経路221を介して表裏反転された後、画像形成部210へと再度供給される。
また、画像形成部210における転写搬送ベルト216の上方には、転写搬送ベルト216に近接して、第1の画像形成ステーションPa、第2の画像形成ステーションPb、第3の画像形成ステーションPc、および第4の画像形成ステーションPdが、用紙搬送経路上流側から順に並設されている。
転写搬送ベルト216は、駆動ローラ214によって、図1において矢印Zで示す方向に摩擦駆動され、前述したように給紙機構211を通じて給送される用紙Pを担持し、用紙Pを画像形成ステーションPa〜Pdへと順次搬送する。
各画像ステーションPa〜Pdは、実質的に同一の構成を有している。各画像ステーションPa,Pb,Pc,Pdは、図1に示す矢印F方向に回転駆動される感光体ドラム222a,222b,222cおよび222dをそれぞれ含んでいる。
各感光体ドラム222a〜222dの周辺には、感光体ドラム222a〜222dをそれぞれ一様に帯電する帯電器223a,223b,223c,223dと、感光体ドラム222a〜222d上に形成された静電潜像をそれぞれ現像する現像装置224a,224b,224c,224dと、現像された感光体ドラム222a〜222d上のトナー像を用紙Pへ転写する転写用放電器225a,225b,225c,225dと、感光体ドラム222a〜222d上に残留するトナーを除去するクリーニング装置226a,226b,226c,226dとが感光体ドラム222a〜222dの回転方向に沿って順次配置されている。
また、各感光体ドラム222a〜222dの上方には、レーザービームスキャナユニット227a,227b,227c,227dがそれぞれ設けられている。レーザービームスキャナユニット227a〜227dは、画像データに応じて変調されたドット光を発する半導体レーザ素子を含む画像データ出力部42(図2参照)、半導体レーザ素子からのレーザービームを主走査方向に偏向させるためのポリゴンミラー(偏向装置)240と、ポリゴンミラー240によって偏向されたレーザービームを感光体ドラム222a〜222d表面に結像させるためのfθレンズ241およびミラー242,243などから構成されている。
レーザービームスキャナユニット227aにはカラー原稿画像の黒色成分像に対応する画素信号が入力され、レーザービームスキャナユニット227bにはカラー原稿画像のシアン色成分像に対応する画素信号が入力され、レーザービームスキャナユニット227cにはカラー原稿画像のマゼンタ色成分像に対応する画素信号が入力され、そして、レーザービームスキャナユニット227dにはカラー原稿画像のイエロー色成分像に対応する画素信号がそれぞれ入力される。
これにより色変換された原稿画像情報に対応する静電潜像が各感光体ドラム222a〜222d上に形成される。そして、現像装置227aには黒色のトナーが、現像装置227bにはシアン色のトナーが、現像装置227cにはマゼンタ色のトナーが、現像装置227dにはイエロー色のトナーがそれぞれ収容されており、感光体ドラム222a〜222d上の静電潜像は、これら各色のトナーによって現像される。これによって、画像形成部210にて色変換された原稿画像情報が各色のトナー像として再現される。
また、第1の画像形成ステーションPaと給紙機構211との間には用紙吸着用帯電器228が設けられており、この吸着用帯電器228は転写搬送ベルト216の表面を帯電させ、給紙機構211から供給された用紙Pは、転写搬送ベルト216上に確実に吸着させた状態で第1の画像形成ステーションPaから第4の画像形成ステーションPdの間をずれることなく搬送させる。
一方、第4の画像形成ステーションPdと定着装置217との間で駆動ローラ214のほぼ真上部には除電器229が設けられている。この除電器229には搬送ベルト216に静電吸着されている用紙Pを転写搬送ベルト216から分離するための交流電流が印加されている。
上記構成のデジタルカラー複写機1においては、用紙Pとしてカットシート状の紙が使用される。この用紙Pは、給紙カセットから送り出されて給紙機構211の給紙搬送経路のガイド内に供給されると、その用紙Pの先端部分がセンサ(図示せず)にて検知され、このセンサから出力される検知信号に基づいて一対のレジストローラ212により一旦停止される。
そして、用紙Pは各画像ステーションPa〜Pdとタイミングをとって図1の矢印Z方向に回転している転写搬送ベルト216上に送られる。このとき転写搬送ベルト216には前述したように吸着用帯電器228により所定の帯電が施されているので、用紙Pは、各画像ステーションPa〜Pdを通過する間、安定して搬送供給される。
各画像ステーションPa〜Pdにおいては、各色のトナー像が、それぞれ形成され、転写搬送ベルト216により静電吸着されて搬送される用紙Pの支持面上で重ね合わされる。第4の画像形成ステーションPdによる画像の転写が完了すると、用紙Pは、その先端部分から順次、除電用放電器により転写搬送ベルト216上から剥離され、定着装置217へと導かれる。最後に、トナー画像が定着された用紙Pは、用紙排出口(図示せず)から排紙トレイ220上へと排出される。
なお、上述の説明ではレーザービームスキャナユニット227a〜227dによって、レーザービームを走査して露光することによって、感光体ドラム222a〜222dへの光書き込みを行う。本発明の他の実施の形態では、レーザービームスキャナユニットの代わりに、発光ダイオードアレイと結像レンズアレイからなる書き込み光学系(LEDヘッド)を用いてもよい。LEDヘッドはレーザービームスキャナユニットに比べ、サイズも小さく、また可動部分がなく無音である。よって、複数個の光書き込みユニットを必要とするタンデム方式のデジタルカラー複写機などの画像形成装置では、好適に用いることができる。
図2は、デジタルカラー複写機1の電気的な構成を示すブロック図である。デジタルカラー複写機1は、画像読取り部40、ADF12、給紙機構211および画像形成部210の他に、画像処理部41、画像処理部41、ハードディスク装置もしくはRAM(ランダムアクセスメモリ)等から構成される画像メモリ43、画像データ出力部42、中央処理装置(Central Processing Unit:略称CPU)44、画像編集部45、および外部インタフェイス部46,47を含んで構成される。
画像読取り部40は、白黒原稿あるいはカラー原稿画像を読取りRGBの色成分に色分解したラインデータを出力することのできる3ラインのCCDラインセンサ40aと、CCDラインセンサ40aにて読取られたラインデータのライン画像レベルを補正するシェーディング補正回路40bと、3ラインのCCDラインセンサ40aにて読取られた画像ラインデータのずれを補正するラインバッファなどのライン合わせ部40cと、3ラインのCCDラインセンサ40aから出力される各色のラインデータの色データを補正するセンサ色補正部40dと、各画素の信号の変化にめりはりを持たせるよう補正するMTF(
Modulation Transfer Function)補正部40eと、画像の明暗を補正して視感度補正を行うγ補正部40fとを含んで構成される。
画像処理部41は、画像読取り部40から入力されるカラー画像信号であるRGB信号(RGBの画像データ)に基づいてモノクロデータを生成するモノクロデータ生成部41a(白黒原稿)と、RGB信号を記録装置の各記録部に対応したYMC信号(YMCの画像データ)に変換し、またクロック変換する入力処理部41bと、入力された画像データが文字部なのか網点写真なのか印画紙写真なのかをそれぞれを分離する領域分離部41cと、入力処理部41bから出力されるYMC信号に基づいて下色除去処理を行い黒生成する黒生成部41dと、各色変換テーブルに基づいてカラー画像信号の各色を調整する色補正回路41eと、設定されている倍率に基づいて入力された画像情報を倍率変換するズーム処理回路41fと、および空間フイルタ41gと、多値誤差拡散や多値ディザなどの階調性を表現するための中間調処理部41hとを含んで構成される。
中間調処理された各色画像データは、画像メモリ43にいったん貯えられる。画像メモリ43は、画像処理部41からシリアル出力される8ビット4色(32ビット)の画像データを順次受け取り、バッファに一時的に貯えながら32ビットのデータから8ビット4色の画像データに変換して色毎の画像データとして記憶管理する4基のハードディスク(回転記憶媒体)43a,43b,43c,43dからなる。また各画像ステーションの位置が異なるため、画像メモリ43の遅延バッファメモリ43e(半導体メモリ)に各色画像データを一旦記憶させ、それぞれ時間をずらすことにより、各レーザスキャナユニットに画像データを送りタイミングを合わせて印刷される画像における色ずれを防ぐ。さらに画像メモリ43には複数の画像の合成を行うための画像合成用メモリ43fが含まれている。
画像データ出力部42は、中間調処理部41hからの各色画像データに基づいてパルス幅変調を行うレーザコントロールユニット42aと、レーザコントロールユニット42aから出力される各色の画像信号に応じたパルス幅変調信号に基づいてレーザ記録を行う各色のレーザスキャナユニット42b,42c,42d,42eとを含んで構成される。
中央処理装置44は、画像読取り部40、ADF12、給紙機構211、画像形成部210、画像処理部41、画像メモリ43、画像データ出力部42、さらに後述する画像編集部45、および外部インタフェイス(I/F)部46,47を、操作パネルから与えら得る指令に応じて、所定のシーケンスに基づいて制御する。
画像編集部45は、画像読取り部40、画像処理部41、あるいは後述するインタフェイス部を経て一旦画像メモリ43に記憶された画像データに対して所定の画像編集を施し、画像データの編集作業は、画像合成用メモリ43fを用いて行われる。
IRインタフェイス部46は、デジタル複写機1とは別に設けられた外部の画像入力処理装置からの画像データを受け入れるための通信インタフェイス手段である。画像入力処理装置とは、たとえば通信携帯端末、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ等などである。
IRインタフェイス部46から入力される画像データも、一旦画像処理部41に入力して色空間補正などを行うことでデジタルカラー複写機1の画像形成部210で取扱うことのできるデータレベルに変換してハードディスク43b,43c,43d,43eに記憶管理されることとなる。
さらに、通信・プリンタ・FAXインタフェイス部47は、パーソナルコンピュータ2により作成された画像データを入力するプリンタインタフェイスとして機能し、またFAX受信した画像データを受け入れるための白黒またはカラーFAXインタフェイスとして機能する。この通信・プリンタ・FAXインタフェイス部47から入力される画像データは、すでにCMYK信号であり、一旦中間調処理41hを施して画像メモリ43のハードディスク43b,43c,43d,43eに記憶管理されることとなる。
図3は、デジタルカラー複写機1における色変換処理を示すフローチャートである。この色変換処理は、本発明の実施の一形態の画像処理方法である。
操作パネルから印刷する指令が与えられると、色変換処理を開始して、ステップa0からステップa1に移り処理を開始する。ステップa1では、CPU44が、原稿読取り部40の第1の走査ユニット113と第2の走査ユニット114とを制御して、第1の走査ユニット113を白板に対向する位置に移動させて、ステップa2に移る。
ステップa2では、CPU44が原稿読取り部40の露光ランプを点灯して、ステップa3に移る。
ステップa3では、原稿読取り部40のCCDラインセンサ40aによって光電変換されて出力されるRGB表色系で表される画像データ(以下、RGB表色系で表される画像データを、RGBの画像データという)を、シェーディング補正回路40bがR、GおよびBの階調値が、最大階調値よりも小さな予め定める第1の基準値となるように補正して、ステップa4に移る。本実施の形態では、RGBの画像データは、各色8ビットで表される。すなわち各色の階調数は、255である。したがって、本実施の形態における最大階調値は、255であり、最小階調値は0である。また本実施の形態では、白の階調値が黒の階調値よりも大きくなるように選ばれており、予め定める第1の基準値は、230に選ばれる。ステップa3では、白の基準となる階調値、すなわち白を表すときのR,GおよびBの階調値を決定している。
ステップa4では、CPU44が原稿読取り部40の露光ランプを消灯して、ステップa3に移る。
ステップa5では、原稿読取り部40のCCDラインセンサ40aから光電変換によって出力されるRGBの画像データを、シェーディング補正回路40bがR、GおよびBの階調値が、最小階調値よりも大きな予め定める第2の基準値となるように補正して、ステップa6に移る。本実施の形態では前述したように最小階調値は0であり、予め定める第2の基準値は、15に選ばれる。ステップa5では、黒の基準となる階調値、すなわち白を表すときのR,GおよびBの階調値を決定している。
ステップa6では、CPU44が原稿読取り部40を制御して、原稿読取り部40に原稿を読取らせてステップa7に移る。読取られた原稿の画像データの各画素のR,GおよびBの階調値は、シェーディング補正回路40bによって、基本的には15〜230のいずれかとなる。これによって、原稿を読取るときに、電気ノイズ、電源変動などで、読取装置の出力値が変動しても、この出力値の変動を吸収するマージン領域を確保することができる。
電気ノイズ、電源電圧の変動、蛍光色、用紙の白色度などによって、シェーディング補正回路40bによって調整しきれず、予め定める第1および第2の基準値を逸脱する階調値が与えられる場合がある。この場合、原稿読取り部40は、前記予め定める第1および第2の基準値を逸脱する階調値を出力することとなる。
シェーディング補正回路40bによって階調値が補正されたR,GおよびBのそれぞれの画像データは、CCDラインセンサ40aにて読取られた画像ラインデータのずれを補正するラインバッファなどのライン合わせ部40cと、CCDラインセンサ40aから出力される各色のラインデータの色データを補正するセンサ色補正部40dと、各画素の信号の変化にめりはりを持たせるよう補正するMTF(Modulation Transfer Function)補正部40eと、画像の明暗を補正して視感度補正を行うγ補正部40fとによって、それぞれ処理されて原稿読取り部40から出力される。
CPU44は、原稿読取り部40を制御して、読取った原稿のRGBの画像データは、入力処理部41bに与えられる。
ステップa7では、入力処理部41bが、原稿を読取ったときの原稿読取り部40の出力値、すなわちR,GおよびBのそれぞれの画像データの階調値のうちの少なくともいずれか1つが、前述した予め定める第1基準値(以下、単に第1基準値という)を超えるか否かを判断する。ステップa7において、第1基準値を超えないと判断すると、ステップa8に移る。ステップa7では、入力処理部41bは、原稿読取り部40から与えられるR,GおよびBのそれぞれの画像データにおける階調値の最大値を、第1基準値と比較する。Rの最大値、Gの最大値、およびBの最大値は、たとえば1枚の原稿毎に対応する画像データ毎に求められてもよく、印刷される画像について1つのジョブ単位で求められてもよい。
ステップa8では、入力処理部41bが、原稿を読取ったときの原稿読取り部40の出力値、すなわちR、GおよびBのそれぞれの画像データの階調値のうちの少なくともいずれか1つが、前述した予め定める第2基準値(以下、単に第2基準値という)未満であるか否かを判断する。ステップa8において、予め定める基準値未満であると判断すると、ステップa9に移る。ステップa8では、原稿読取り部40から与えられるR,GおよびBのそれぞれの画像データにおける階調値の最小値について、第2基準値と比較する。Rの最大値、Gの最大値、およびBの最小値は、たとえば1枚の原稿毎に対応する画像データ毎に求められてもよく、印刷される画像について1つのジョブ単位で求められてもよいが、ステップa7で最大値を求めた範囲と同じ範囲の画像データで判断する。
ステップa10では、入力処理部41bが、予め記憶される第1色変換テーブル(TBL1)を選択して、ステップa11に移る。第1色変換テーブルTBL1は、メモリに記憶されている。
ステップa11では、入力処理部41bが、選択された色変換テーブル(TBL)で、RGBの画像データをYMCの画像データに変換して、ステップa12に移る。
ステップa12では、CPU44が画像処理部41によって処理されたYMCの画像データを用いて、印刷ジョブを実行し、すなわち画像メモリ43、画像形成部210、給紙機構211を制御して、印刷を行って、ステップa13に移り処理動作を終了する。
前述したステップa8において、入力処理部41bが、原稿を読取ったときの原稿読取り部40の出力値のうち、R、GおよびBの画像データの階調値のいずれも、前述した第1基準値以下であると判断すると、ステップa13に移り、伸張処理を行い、すなわち第1色変換テーブルTBL1に基づいて第1色変換テーブルTBL2を作成して、ステップa14に移る。伸張処理については、後述する図7に関する説明で詳細に述べる。
ステップa14では、入力処理部41bが、ステップa8で作成された第2色変換テーブルTBL2を選択して、ステップa10に移る。ステップa13で生成された第2色変換テーブルTBL2は、メモリに一時的に記憶されている。
図4は、RGB表色系の色空間を示す図であり、図5は、色変換テーブルTBLの一部の一例を示す図である。図5(1)は、グレー色を表す第1色変換テーブルTBL1−1の一例を示す図であり、図5(2)は赤色を表す第1色変換テーブルTBL1−2の一例を示す図であり、図5(3)はグレー色を表す第2色変換テーブルTBL2−1の一例を示す図であり、図5(4)は赤色を表す第2色変換テーブルTBL2−2の一例を示す図である。第1色変換テーブルTBL1−1,TBL1−2を総称するときは、単に第1色変換テーブルTBL1と記載し、第2色変換テーブルTBL2−1,TBL2−2を総称するときは、単に第2色変換テーブルTBL2と記載し、第1色変換テーブルTBL1および第2色変換テーブルTBL2を総称するときは、単に色変換テーブルTBLと記載する。
第1色変換テーブルLTB1は、RGB表色系の色空間を複数のブロック体に区切った各領域を、Y(イエロ),M(マゼンタ)およびC(シアン)の予め定める階調値をそれぞれ対応させて作成される。第1色変換テーブルLTB1では、R,GおよびBの階調値が0〜255の間で、1階調刻みでY,MおよびCの予め定める階調値をそれぞれ対応させると、データ量が膨大になってしまうので、R,GおよびBについて、それぞれ予め定める数NのグリッドポイントGPを定めておき、このグリッドポイントGPで各領域を表す。本実施の形態では、予め定める数Nは24に選ばれる。RGB表色系の色空間におけるR,GおよびBの階調値は、24×24×24数のグリッドポイントGPのいずれかに対応する。R方向のグリッドポイントGPの位置をGPrで表し、G方向のグリッドポイントの位置をGPgで表し、B方向のグリッドポイントの位置をGPbで表す。したがってRGB表色系の色空間におけるグリッドポイントGPの位置は、(GPr,GPg,GPb)で表される。
それぞれのグリッドポイントGPは、R,GおよびBのそれぞれについて、複数の階調値に対応している。各グリッドポイントGPに対応して、R,GおよびBの代表の階調値と、Y,MおよびCの予め定める階調値が対応付けされる。R,GおよびBの代表の階調値は、そのグリッドポイントに対応する領域に含まれるR,GおよびBの複数の階調値を代表する。シェーディング補正回路40bにCCDラインセンサ40aから出力されるR,GおよびBのそれぞれの階調値は、前述したグリッドポイントGPに対応する階調値と重ならない場合が多いので、立体補完処理によってどのグリッドポイントGPに属するのかを求める。この立体補完処理では、具体的には8点補間を行う。図6は、8点補間を説明する図である。図6に示す入力信号空間は、RGB表色系の色空間に相当し、それぞれが直交するX,Y,Z軸は、それぞれR,G,Bの軸にそれぞれ対応する。図6に示すように、相互に隣接する8つの格子点p0〜p7(p0〜p7は、それぞれグリッドポイントGPである)に囲まれた格子空間において、入力信号空間における画像データpについて、R,G,Bの階調値が最も小さくなる格子点poを基準としたときに格子内での格子幅Wに対する相対比を、それぞれa,b,cとすると、8点補間の補間値f(p)は点piにおけるテーブル値をf(pi)として、
f(p)=(1−a)(1−b)(1−c)・f(p0)
+a(1−b)(1−c)・f(p1)
+ab(1−c)・f(p2)
+(1−a)b(1−c)・f(p3)
+(1−a)(1−b)c・f(p4)
+a(1−b)c・f(p5)
+abc・f(p6)
+(1−a)bc・f(p7)
で表される。
グリッドポイントGPの数は、色補正テーブルを記憶するメモリの記憶容量および生産コストとの兼ね合いによって決定されるが、R,GおよびBの階調値が0〜255であれば、R,GおよびBのそれぞれに対して24以上のグリッドポイントGPを決定すれば階調再現性が低下してしまうことが防止される。
第1色変換テーブルTBL1は、RGB表色系とYMC表色系とをマッチングさせるように、デジタルカラー複写機1に個別に対応して作成される。すなわち原稿読取り部40による原稿の読取りおよび画像形成部210による印刷を行って、階調再現性が良好となるように、各グリッドポイントGPと、Y,MおよびCの予め定める階調値とを対応付けしておく。
たとえば図5(1)を参照すると、第1基準値よりも大きな階調値を有する領域(R,GおよびBについてそれぞれのグリッドポイントGPの値GPr,GPg,GPbがそれぞれ、「21」、「22」、「23」となる領域)は、Y,MおよびCの階調値を、それぞれ「0」に対応させている。また第2基準値未満の階調値を有する領域(R,GおよびBについてそれぞれのグリッドポイントGPの値GPr,GPg,GPbが、それぞれ「0」、「1」となる領域)は、Y,MおよびCの階調値を、それぞれ「255」に対応させている。
またたとえば図5(2)を参照すると、Rについては、第1基準値を超える階調値を有し、GおよびBについては、第1基準値よりも大きな階調値以下の階調値を有する領域(RについてそれぞれのグリッドポイントGPの値GPrが、「21」、「22」、「23」となり、かつGおよびBについてのグリッドポイントGPの値が「0」となる領域)は、YおよびMの階調値をそれぞれ「0」に対応させ、Cの階調値を「255」に対応させている。また第2基準値未満の階調値を有する領域(GおよびBの階調値が「0」であり、かつRについてそれぞれのグリッドポイントGPの値が、「0」、「1」となる領域)は、YおよびMの階調値を「0」にそれぞれ対応させ、Cの階調値を「0」に対応させている。
前述したステップa9で、第1色変換テーブルTBL1が選択されると、入力処理部41bは、ステップa10で、図5に示す第1色変換テーブルTBL1を用いて、色変換を行う。たとえば、入力処理部41bは、原稿読取り部40から与えられる画像データの、ある画素についてR,GおよびBの階調値が、それぞれ「144」である場合、この画素についてY,MおよびCの階調値を、それぞれ「107」として出力する。
シェーディング補正回路40bによるシェーディング補正によって、白を読取ったときのR,GおよびBの階調値を第1基準値(ここでは230)に調整し、黒を読取ったときのR,GおよびBの階調値を第2基準値(ここでは0)に調整すると、第1および第2基準値間の範囲から逸脱する階調値を有する画像データが与えられたとき、たとえば図4のAで示す領域など、第1および第2基準値付近の色変換において色ずれが発生してしまう。そこで第1および第2基準値間の範囲から逸脱する階調値を有する画像データが与えられた場合であっても階調再現性が低下しないように前述したフローチャートの図3のステップa13において、図5(3)および(4)に示すような、第2色変換テーブルTBL2を作成する。
図7は、入力処理部41bにおける伸張処理の動作を示すフローチャートである。図3のステップa13に移ると、ステップb0からステップb1に移り、伸張処理を開始する。ステップb1では、入力される画像データにおけるR,GおよびBの階調値のうち、最大値P1を求めて、ステップb2に移る。
ステップb2では、第1色変換テーブルTBL1において、R,GおよびBの階調値が、第1基準値から予め定める値R1だけ小さな予め定める第3基準値(以下、第3基準値という)から、第1基準値寄りの範囲を伸張すべき範囲として、第1基準値から第3基準値に対応するグリッドポイントGPが、前記最大値P1〜第3基準値の範囲を含むように、各グリッドポイントGPに対するRGB表色系の各領域に含まれる範囲を伸張する。すなわち、Y,MおよびCの予め定める階調値に対応するRGB表色系の各領域に含まれる範囲が伸張する。本実施の形態では、予め定める値R1は「30」に選ばれ、したがって第3基準値は「200」に選ばれる。本実施の形態では、第1基準値から第3基準値に対応するグリッドポイントGPの値は、「18」〜「21」であり、図5(3)および(4)に示すように、このグリッドポイントGPの値「18」〜「21」に対応するR,GおよびBの代表の階調値の間隔を、2階調から5階調程度広げる。
第1基準値付近の伸張処理には、式(1)が用いられる。式(1)において、T1は、伸張すべき領域に対応するグリッドポイントGPに対応する新たな階調値を表し、INTは、四捨五入によって整数にすることを表し、P1は、入力される画像データにおけるR,GおよびBの階調値の最大値を表し、GPは、伸張すべき領域に対応するグリッドポイントの値を表す。
T1=INT[(P−199)/3×(GP−18)+199] …(1)
入力処理部41bでは、式(1)によって求められた新たな階調値を、伸張すべき領域に対応するグリッドポイントGPに対応させて、たとえば図5(1)および(2)に示す第1色変換テーブルTBL1では、Bで囲まれる領域について伸張処理を行い、たとえば最大値P1が「245」である場合には、230〜200に対応するグリッドポイントGP、すなわちグリッドポイントGPの値が18〜21について、このグリッドポイントGPが対応するRGB表色系の各領域に含まれる範囲を伸張して、図5(3)および(4)に示す第2色変換テーブルTBL2を作成する。
ステップb3では、入力される画像データにおけるR,GおよびBの階調値のうち、最小値P2を求めて、ステップb4に移る。
次にステップb3では、第1色変換テーブルTBL1において、R,GおよびBの階調値が、第2基準値よりも予め定める値R2だけ大きな予め定める第4基準値(以下、第4基準値という)から、第2基準値寄りの範囲を伸張すべき範囲として、第2基準値から第4基準値に対応するグリッドポイントGPが、前記最小値P2〜第4基準値の範囲を含むように、各グリッドポイントGPに対するRGB表色系の各領域に含まれる範囲を伸張する。すなわち、Y,MおよびCの予め定める階調値に対応するRGB表色系の各領域に含まれる範囲が伸張する。本実施の形態では、予め定める値R2は「35」に選ばれ、したがって第4基準値は「50」に選ばれる。
本実施の形態では、第2基準値から第4基準値に対応するグリッドポイントGPの値は、「2」〜「5」であり、図5(3)および(4)に示すように、このグリッドポイントGPの値「2」〜「5」に対応するR,GおよびBの代表の階調値の間隔を、2階調から5階調程度広げる。
第2基準値付近の伸張処理には、式(2)が用いられる。式(2)において、T2は、伸張すべき領域に対応するグリッドポイントGPに対応する新たな階調値を表し、INTは、四捨五入によって整数にすることを表し、P2は、入力される画像データにおけるR,GおよびBの階調値の最小値を表し、GPは、伸張すべき領域に対応するグリッドポイントの値を表す。
T2=INT[(55−P2)/3×(GP−2)+P2] …(2)
入力処理部41bでは、式(2)によって求められた新たな階調値を、伸張すべき領域に対応するグリッドポイントGPに対応させて、たとえば図5(1)および(2)に示す第1色変換テーブルTBL1では、Cで囲まれる領域について伸張処理を行い、たとえば最大値P1が「5」である場合には、本実施の形態では、15〜50に対応するグリッドポイントGP、本実施の形態では、グリッドポイントGPの値が2〜5について、このグリッドポイントGPが対応するRGB表色系の各領域に含まれる範囲を伸張して、図5(3)および(4)に示す第2色変換テーブルTBL2を作成する。
ステップb4が終了すると伸張処理を終了して、図3のフローチャートのステップb3に移る。
本実施の形態では、原稿を読取るときに、電気ノイズ、電源電圧の変動などで、読取装置の出力値が変動して、原稿読取り部40の出力値のうち、R,Gおよび青の少なくともいずれか、前記第1および第2基準値間の値を逸脱すると、この変動にあわせて、第1色変換テーブルTBL1の、予め定める第1および第2基準値の付近であって、Y,MおよびCの予め定める階調値に対応するRGB表色系の各領域に含まれる範囲を伸張して、第2色変換テーブルTBLを作成して、この第1色変換テーブルを用いてRGB表色系からYMC表色系への色変換を行う。
これによって、原稿読取り部40の出力値が、RGB表色系の各領域外に出てしまうことが抑制され、各領域のいずれかに対応させることができる。また各領域には、Y,MおよびCの予め定める階調値が対応するので、YMC表示系の画像データに変換することができるようになる。したがって、RGB表色系の画像データのうち、色ずれが発生しやすいR,GおよびBの階調値のうち最大階調値および最小階調値の付近におけるYMCの画像データへの変換で、色ずれが小さくなるように補正することができ、階調再現性の高い画像を得ることができる。
また本実施の形態では、第1基準値から第2基準値寄りに予め定める値小さな予め定める第3基準値から、第1基準値寄りの範囲を伸張すべき範囲とすることによって、伸張による色ずれを最小限にすることができ、さらに階調再現性の高い画像を得ることができる。
また本実施の形態では、RGB表色系の各領域は、R,GおよびBの1つの階調値にそれぞれ対応するのではなく、R,GおよびBのそれぞれについて、複数の階調値に対応する。したがって、R,GおよびBの階調値が、予め定める複数の階調値のいずれかであるときには、C,MおよびYが1つの階調値に変換されるように、色補正テーブルTBLには、これらが対応している。RGB表色系の色空間を複数のブロック体に区切った各領域と、YMC表色系の予め定める値とを対応させることによって、色補正テーブルTBLには、各領域の数だけ、YMCの階調値を設けておけばよいので、色補正テーブルのデータ量を小さくすることができる。
また本実施の形態では、RGB表色系の各領域に含まれる範囲を伸張するときに、伸張したときのRGB表色系の階調値の最大値が、原稿を読取ったときの読取装置の出力値のうち、R,GおよびBの最大値となるように選ばれることによって、色相を維持することができ、さらに階調再現性の高い画像を得ることができる。
また本実施の形態は、第1および第2色変換テーブルTBL1,TBL2に、RGB表色系の色空間のうち、R,GおよびBの階調値が第1および第2基準値間の値を逸脱する領域についても、Y,MおよびCの予め定める階調値を対応させている。すなわち、グリッドポイントGPの値が、「21」、「22」、「23」ならびに「0」、「1」にも、R,GおよびBの代表の階調値と、Y,MおよびCの階調値とを対応させている。これによって、R,GおよびBの少なくともいずれか1つの階調値が、第1および第2基準値間の値を逸脱する範囲であるときに作成される第2色変換テーブルTBL2においても、グリッドポイントGPの値が、「21」、「22」、「23」ならびに「0」、「1」にも、R,GおよびBの代表の階調値と、Y,MおよびCの階調値とを対応しており、想定外の階調値の画像データが入力された場合にも対応することができる。
また本実施の形態では、第1色変換テーブルTBL2を第1色変換テーブルTBL1に基づいて作成することによって、予め第1色変換テーブルTBL2を記憶するための記憶領域を確保する必要がない。
また本実施の形態では、第1色変換テーブルTBL2を作成しているが、第1色変換テーブルTBL2についても、メモリに予め記憶しておいてもよい。この場合には色補正テーブルTBLを作成する時間が短縮され、前述の実施の形態と比較して、色変換処理に要する時間を短縮することができる。
図8は、本発明の実施の他の形態における色変換テーブルTBLの一部の一例を示す図である。本実施の形態と、前述の実施の形態とは、色変換テーブルTBLが異なるのみであり、他の構成は同様であるので、対応する部分には同様の参照符号を付して、異なる部分についてのみ説明する。図8(1)は、グレー色を表す第1色変換テーブルTBL1−3の一例を示す図であり、図8(2)は赤色を表す第1色変換テーブルTBL1−4の一例を示す図であり、図8(3)はグレー色を表す第2色変換テーブルTBL2−3の一例を示す図であり、図8(4)は赤色を表す第2色変換テーブルTBL2−4の一例を示す図である。第1色変換テーブルTBL1−3,TBL1−4を総称するときは、単に第1色変換テーブルTBL1と記載し、第2色変換テーブルTBL2−3,TBL2−4を総称するときは、単に第2色変換テーブルTBL2と記載し、第1色変換テーブルTBL1および第2色変換テーブルTBL2を総称するときは、単に色変換テーブルTBLと記載する。
本実施の形態の第1色変換テーブルTBLでは、RGB表色系の色空間のうち、R,GおよびBの階調値が第1および第2基準値間の領域についてのみ、Y,MおよびCの予め定める階調値を対応させている。図8(1)および(2)の第1色変換テーブルTBLは、第1基準値が「230」であり、第2基準値が「15」のときの例である。第1色変換テーブルTBLでは、第1基準値とグリッドポイントGPの値「23」とを対応させており、第1基準値を超える階調値には、Y,MおよびCの階調値を対応させず、また第2基準値とグリッドポイントGPの値「0」とを対応させており、第2基準値未満の階調値には、Y,MおよびCの階調値を対応させない。
本実施の形態においても、第2色変換テーブルの作成については、前述の実施の形態と同様であるが、本実施の形態では、伸張処理において前述した式(1)に代えて、以下の式(3)を用い、前述した式(2)に代えて、以下の式(4)を用いる。
T1=INT[(P1−201)/3×(GP−20)+201] …(3)
T2=INT[(52−P2)/4×GP+P2] …(4)
(3)、(4)式により、きめ細かいテーブルを得ることができる。
図8(3)および(4)は、最大値P1が「245」であり、最小値P2が「15」のときの第2色変換テーブルTBL2を示している。第1色変換テーブルTBL1と同様に、第2色変換テーブルTBL2については、最大値P1および最小値P2間の範囲に、Y,MおよびCの予め定める階調値を対応させており、すなわち最大値P1がY,MおよびCが取り得る最大階調値に対応し、最小値P2がY,MおよびCが取り得る最小階調値に対応する。このように色変換テーブルTBLが作成されるので、本実施の形態では、Y,MおよびCのそれぞれについて、1つの階調値に対応する第1および第2基準値間の領域に含まれる範囲を狭くして、よりきめ細かい色補正テーブルとすることができ、さらに階調再現性の高い画像を得ることができる。
図9は、本発明の実施のさらに他の形態における色変換処理を示すフローチャートである。この色変換処理は、本発明の実施の他の形態の画像処理方法である。本実施の形態と、前述した図1〜6に示した実施の形態とは、色変換処理が異なるのみであるので、同様な構成には同様の参照符号を付して、その説明を省略する。
図9に示すフローチャートにおいて、ステップc0〜ステップc6までの各処理は、図3に示すフローチャートにおけるステップa1〜ステップa6までの各ステップにそれぞれ対応し、対応するステップと同様の処理を行うので説明を省略する。ステップc6が終了すると、ステップc7に移り、色変換テーブルTBLを選択する選択処理を行う。ステップc7の処理については、後述する。
ステップc7が終了すると、ステップc8に移る。ステップc8〜ステップc10の処理は、図3に示すフローチャートにおけるステップa10〜ステップa12の各ステップにそれぞれ対応し、対応するステップと同様の処理を行うので説明を省略する。
図10は、本実施の形態で用いられる色変換テーブルTBLの構成を示す図である。本実施の形態で用いられる色変換テーブルTBLは、基本領域テーブルBTBLと、高階調領域テーブルHSTBLと、低階調領域テーブルLSTBLによって構成される。基本領域テーブルBTBLは、第1および第2色変換テーブルTBL1,TBL2において共通に用いられるテーブルである。本実施の形態では、複数の高階調領域テーブルHSTBLと、複数の低階調領域テーブルLSTBLとを備え、入力される画像データのR,GおよびBの階調値に応じて、複数の中から選択した1つの高階調領域テーブルHSTBLと、1つの低階調領域テーブルLSTBLと、基本領域テーブルBTBLとを用いて色変換を行う。
R,GおよびBについて前述した第3基準値と第4基準値との間の階調値については、基本領域テーブルBTBLをもちいて、Y,MおよびCの階調値に変換する。基本領域テーブルBTBLと、高階調領域テーブルHSTBLと、低階調領域テーブルLSTBLとは、メモリに記憶されている。
図11は、基本領域テーブルBTBLの一部の一例を示す図である。図11(1)は、グレー色を表す色変換テーブルTBLの基本領域テーブルBTBL1の一例を示す図であり、図11(2)は赤色を表す色変換テーブルTBLの基本領域テーブルBTBL2の一例を示す図である。基本領域テーブルBTBL1,BTBL2を総称するときは、単に基本領域テーブルBTBLと記載する。基本領域テーブルBTBLでは、グリッドポイントGPの値が「4」〜「19」に対応するR,GおよびBの階調値を含む領域に、それぞれY,MおよびCの階調値を対応させている。
図12は、高階調領域テーブルHSTBLの一部の一例を示す図である。図12(1)〜(6)は、グレー色を表す色変換テーブルTBLの高階調領域テーブルHSTBL0−1〜HSTBL5−1の一例をそれぞれ示す図であり、図12(7)〜(12)は、赤色を表す色変換テーブルTBLの高階調領域テーブルHSTBL0−2〜HSTBL5−2の一例をそれぞれ示す図である。図12は、高階調領域テーブルHSTBLの一部の一例を示す図である。高階調領域テーブルHSTBL0−1〜HSTBL5−1およびHSTBL0−2〜HSTBL5−2を総称するときは、単に高階調領域テーブルHSTBLと記載する。
高階調領域テーブルHSTBL0−1〜HSTBL5−1ならびにHSTBL0−2〜HSTBL5−2は、それぞれR,GおよびBの階調値の最大値P1に応じて決定される。各高階調領域テーブルHSTBLでは、グリッドポイントGPの値が「20」〜「23」に対応するR,GおよびBの階調値を含む領域に、それぞれY,MおよびCの階調値を対応させている。
高階調領域テーブルHSTBL0−1,HSTBL0−2は、複数の高階調領域テーブルHSTBLにおいて基本となるテーブルであって、最大値P1が、第1基準値以下のときに選択される。
高階調領域テーブルHSTBL0−1,HSTBL0−2よりも高階調領域テーブルHSTBL1−1,HSTBL1−2の方が、各グリッドポイントGPに対するRGB表色系の各領域に含まれる範囲が伸張されて広くなるように、各グリッドポイントGPと、R,GおよびBの代表の階調値と、Y,MおよびCの階調値とが対応付けられている。階調領域テーブルHSTBL0−1,HSTBL0−2を総称するときには、単に高階調領域テーブルHSTBL0と記載する。
また高階調領域テーブルHSTBL1−1,HSTBL1−2よりも高階調領域テーブルHSTBL2−1,HSTBL2−2の方が、各グリッドポイントGPに対するRGB表色系の各領域に含まれる範囲が伸張されて広くなるように、各グリッドポイントGPと、R,GおよびBの代表の階調値と、Y,MおよびCの階調値とが対応付けられている。高階調領域テーブルHSTBL1−1,HSTBL1−2を総称するときには、単に高階調領域テーブルHSTBL1と記載する。
また高階調領域テーブルHSTBL2−1,HSTBL2−2よりも高階調領域テーブルHSTBL3−1,HSTBL3−2の方が、各グリッドポイントGPに対するRGB表色系の各領域に含まれる範囲が伸張されて広くなるように、各グリッドポイントGPと、R,GおよびBの代表の階調値と、Y,MおよびCの階調値とが対応付けられている。高階調領域テーブルHSTBL2−1,HSTBL2−2を総称するときには、単に高階調領域テーブルHSTBL2と記載する。
また高階調領域テーブルHSTBL3−1,HSTBL3−2よりも高階調領域テーブルHSTBL4−1,HSTBL4−2の方が、各グリッドポイントGPに対するRGB表色系の各領域に含まれる範囲が伸張されて広くなるように、各グリッドポイントGPと、R,GおよびBの代表の階調値と、Y,MおよびCの階調値とが対応付けられている。高階調領域テーブルHSTBL3−1,HSTBL3−2を総称するときには、単に高階調領域テーブルHSTBL3と記載する。
また高階調領域テーブルHSTBL4−1,HSTBL4−2よりも高階調領域テーブルHSTBL5−1,HSTBL5−2の方が、各グリッドポイントGPに対するRGB表色系の各領域に含まれる範囲が伸張されて広くなるように、各グリッドポイントGPと、R,GおよびBの代表の階調値と、Y,MおよびCの階調値とが対応付けられている。高階調領域テーブルHSTBL4−1,HSTBL4−2を総称するときには、単に高階調領域テーブルHSTBL4と記載する。また高階調領域テーブルHSTBL5−1,HSTBL5−2を総称するときには、単に高階調領域テーブルHSTBL5と記載する。
図13は、低階調領域テーブルLSTBLの一部の一例を示す図である。図13(1)〜(4)は、グレー色を表す色変換テーブルTBLの低階調領域テーブルLSTBL0−1〜LSTBL3−1の一例をそれぞれ示す図であり、図13(5)〜(8)は、赤色を表す色変換テーブルTBLの低階調領域テーブルLSTBL0−2〜LSTBL5−2の一例をそれぞれ示す図である。低階調領域テーブルLSTBL0−2〜LSTBL5−2を総称するときは、単に低階調領域テーブルLSTBLと記載する。各低階調領域テーブルLSTBLでは、グリッドポイントGPの値が「0」〜「3」に対応するR,GおよびBの階調値を含む領域に、それぞれY,MおよびCの階調値を対応させている。
低階調領域テーブルLSTBL0−1,LSTBL0−2は、複数の低階調領域テーブルLSTBLにおいて基本となるテーブルであって、最大値P1が、第1基準値以下のときに選択される。
低階調領域テーブルLSTBL0−1,LSTBL0−2よりも低階調領域テーブルLSTBL1−1,LSTBL1−2の方が、各グリッドポイントGPに対するRGB表色系の各領域に含まれる範囲が伸張されて広くなるように、各グリッドポイントGPと、R,GおよびBの代表の階調値と、Y,MおよびCの階調値とが対応付けられている。低階調領域テーブルLSTBL0−1,LSTBL0−2を総称するときには、単に低階調領域テーブルLSTBL0と記載する。
また低階調領域テーブルLSTBL1−1,LSTBL1−2よりも低階調領域テーブルLSTBL2−1,HSTBL2−2の方が、各グリッドポイントGPに対するRGB表色系の各領域に含まれる範囲が伸張されて広くなるように、各グリッドポイントGPと、R,GおよびBの代表の階調値と、Y,MおよびCの階調値とが対応付けられている。低階調領域テーブルLSTBL1−1,LSTBL1−2を総称するときには、単に低階調領域テーブルLSTBL1と記載する。
また低階調領域テーブルLSTBL2−1,LSTBL2−2よりも低階調領域テーブルLSTBL3−1,LSTBL3−2の方が、各グリッドポイントGPに対するRGB表色系の各領域に含まれる範囲が伸張されて広くなるように、各グリッドポイントGPと、R,GおよびBの代表の階調値と、Y,MおよびCの階調値とが対応付けられている。低階調領域テーブルLSTBL2−1,LSTBL2−2を総称するときには、単に低階調領域テーブルLSTBL2と記載する。また低階調領域テーブルLSTBL3−1,LSTBL3−2を総称するときには、単に低階調領域テーブルLSTBL3と記載する。
図14は、図9のフローチャートのステップc7における入力処理部41bの選択処理を示すフローチャートである。図9のフローチャートのステップc7に移ると、ステップd0からステップd1に移り、選択処理を開始する。
ステップd1では、原稿を読取ったときの原稿読取り部40の出力値、すなわちR,GおよびBのそれぞれの画像データの階調値のうちの少なくともいずれか1つが、第1基準値を超えるか否かを判断する。ステップd1において、第1基準値以下であると判断すると、ステップd2に移る。ステップd1では、入力処理部41bは、原稿読取り部40から与えられるR,GおよびBのそれぞれの画像データにおける階調値の最大値を、第1基準値と比較する。Rの最大値、Gの最大値、およびBの最大値は、たとえば1枚の原稿毎に対応する画像データ毎に求められてもよく、印刷される画像について1つのジョブ単位で求められてもよい。
ステップd2では、高階調領域テーブルHSTBL0を選択して、ステップd3に移る。
ステップd3では、入力処理部41bが、原稿を読取ったときの原稿読取り部40の出力値、すなわちR,GおよびBのそれぞれの画像データの階調値のうちの少なくともいずれか1つが、第2基準値未満であるかを判断する。ステップd3において、第1基準値未満ではないと判断すると、ステップd4に移る。
ステップd4では、低階調領域テーブルLSTBL0を選択して、ステップd5に移る。
ステップd5では、複数の高階調領域テーブルHSTBLのうち、選択されたテーブルと、複数の低階調領域テーブルLSTBLのうち、選択されたテーブルと、基本領域テーブルBTBLとを用いて、色変換テーブルTBLを作成して、ステップd6に移り、図9のフローチャートのステップs8に移る。
前述したステップd1において、R,GおよびBのそれぞれの画像データの階調値のうちの少なくともいずれか1つが、第1基準値を超えると判断すると、ステップd7に移る。ステップd7では、R,GおよびBのそれぞれの画像データの階調値のうちの少なくともいずれか1つが、「235」を超えるか否かを判断する。ステップd7で、階調値が「235」以下であると判断すると、ステップd8に移る。ステップd8では、高階調領域テーブルHSTBL1を選択して、ステップd3に移る。
前述したステップd7において、R,GおよびBのそれぞれの画像データの階調値のうちの少なくともいずれか1つが、「235」を超えると判断すると、ステップd9に移る。ステップd9では、R,GおよびBのそれぞれの画像データの階調値のうちの少なくともいずれか1つが、「240」を超えるか否かを判断する。ステップd9で、階調値が「240」以下であると判断すると、ステップd10に移る。ステップd10では、高階調領域テーブルHSTBL2を選択して、ステップd3に移る。
前述したステップd9において、R,GおよびBのそれぞれの画像データの階調値のうちの少なくともいずれか1つが、「240」を超えると判断すると、ステップd11に移る。ステップd11では、R,GおよびBのそれぞれの画像データの階調値のうちの少なくともいずれか1つが、「245」を超えるか否かを判断する。ステップd11で、階調値が「245」以下であると判断すると、ステップd12に移る。ステップd12では、高階調領域テーブルHSTBL3を選択して、ステップd3に移る。
前述したステップd11において、R,GおよびBのそれぞれの画像データの階調値のうちの少なくともいずれか1つが、「245」を超えると判断すると、ステップd13に移る。ステップd13では、R,GおよびBのそれぞれの画像データの階調値のうちの少なくともいずれか1つが、「250」を超えるか否かを判断する。ステップd13で、階調値が「250」以下であると判断すると、ステップd14に移る。ステップd14では、高階調領域テーブルHSTBL4を選択して、ステップd3に移る。
前述したステップd13において、R,GおよびBのそれぞれの画像データの階調値のうちの少なくともいずれか1つが、「250」を超えると判断すると、ステップd15に移る。ステップd15では、高階調領域テーブルHSTBL5を選択して、ステップd3に移る。
前述したステップd3において、R,GおよびBのそれぞれの画像データの階調値のうちの少なくともいずれか1つが、第2基準値未満であると判断すると、ステップd16に移る。ステップd16では、R,GおよびBのそれぞれの画像データの階調値のうちの少なくともいずれか1つが、「10」未満であるか否かを判断する。ステップd16で、階調値が「10」未満ではない判断すると、ステップd7に移る。ステップd7では、低階調領域テーブルLSTBL1を選択して、ステップd5に移る。
また前述したステップd16において、R,GおよびBのそれぞれの画像データの階調値のうちの少なくともいずれか1つが、「10」未満であると判断すると、ステップd18に移る。ステップd18では、R,GおよびBのそれぞれの画像データの階調値のうちの少なくともいずれか1つが、「19」未満であるか否かを判断する。ステップd19で、階調値が「5」未満はないと判断すると、ステップd19に移る。ステップd19では、低階調領域テーブルLSTBL2を選択して、ステップd5に移る。
また前述したステップd18において、R,GおよびBのそれぞれの画像データの階調値のうちの少なくともいずれか1つが、「5」未満であると判断すると、ステップd20に移る。ステップd20では、低階調領域テーブルLSTBL3を選択して、ステップd5に移る。
以上のように本実施の形態では、前述の実施の形態と同様に、階調再現性を向上させることができる、またR,GおよびBの階調値の最大値、および最小値に応じて、高階調領域テーブルHSTBLおよび低階調領域テーブルLSTBLを選択することができるので、入力される画像データに応じて最適な色変換テーブルによって、Y,MおよびCの階調値に変換することができる。また高階調領域テーブルHSTBLおよび低階調領域テーブルLSTBLならびに基本領域テーブルBTBLを組にして、この組を予め複数記憶する場合と比較して、テーブルの記憶に必要な記憶容量を小さくすることができる。
上述した各実施の形態では、白の階調値が黒の階調値よりも大きな値の場合について説明したが、黒の階調値が白の階調値よりも大きな値となる場合についても、数値の大小が異なるだけで、基本的な処理は同様であり、したがって前述の実施の形態と同様な効果を得ることができる。
また上述した各実施の形態では、白寄りの第1基準値と、黒寄りの第2基準値の近傍において、伸張処理をおこなっているが、本発明の他の実施の形態では、白寄りの第1基準値の近傍においてのみ、伸張処理を行ってもよい。黒に近い色よりも白に近い色を印刷する方が、色ずれの影響が大きくなるので、このような構成であっても、階調階調性を向上させることができる。この場合、図3に示す実施の形態では、たとえば図5(3)および(4)の第2色変換テーブルTBL2におけるグリッドポイントGPの値が2〜5に対応する階調値を、図5(1)および(2)の第1色変換テーブルTBL1におけるグリッドポイントGPの値が2〜5にそれぞれ対応する階調値とすればよく、図9に示す実施の形態では、図11のフローチャートにおいてステップd3,d4,d16〜d20を削除した構成とすればよい。
また本発明のさらに他の実施の形態では、前述した画像処理方法を実行するためのプログラムを、コンピュータによって実行させることによって、前述した各実施の形態の画像処理方法を行ってもよい。