JP2008198653A - 窒化物半導体発光素子 - Google Patents

窒化物半導体発光素子 Download PDF

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Abstract

【課題】紫外領域の発光効率に優れた窒化物半導体発光素子を提供する。
【解決手段】m面を主面としたAlN基板1上に、III族窒化物半導体層2が形成されている。III族窒化物半導体層2は、AlN基板1側から順に、n型コンタクト層21、発光層(活性層)としての多重量子井戸(MQW:Multiple Quantum Well)層22、AlGaNファイナルバリア層25、p型電子阻止層23、およびp型コンタクト層24を積層した積層構造を有している。多重量子井戸層22は、量子井戸層とバリア層とを交互に複数回繰り返し積層した構造を有している。量子井戸層は、AlInNからなる。
【選択図】図1

Description

この発明は、III族窒化物半導体を用いた窒化物半導体発光素子(発光ダイオード、レーザダイオード等)に関する。
III-V族半導体においてV族元素として窒素を用いた半導体は「III族窒化物半導体」と呼ばれ、その代表例は、窒化アルミニウム(AlN)、窒化ガリウム(GaN)、窒化インジウム(InN)である。一般には、AlxInyGa1-x-yN(0≦x≦1,0≦y≦1,0≦x+y≦1)と表わすことができる。
III族窒化物半導体を用いた発光素子は、p型半導体層、発光層およびn型半導体層を有する窒化物半導体積層構造を有している。発光素子は、たとえば、量子井戸層とバリア層(障壁層)とを交互に複数周期繰り返し積層したMQW(多重量子井戸)層で構成される。たとえば、バリア層はGaNからなり、量子井戸層はInGaN層からなる。
窒化物半導体積層構造の一般的な形成方法は、c面を主面とする窒化ガリウム(GaN)基板上にIII族窒化物半導体を有機金属気相成長法(MOVPE法)によって成長させる方法である。この方法を適用することにより、p型層、発光層およびn型層を有するGaN半導体積層構造を形成することができ、この積層構造を利用した発光素子を作製できる。
T. Takeuchi et al., Jap. J. Appl. Phys. 39, 413-416, 2000
紫外領域で効率の良い発光を実現するには、量子井戸層にAlInN層を適用するとよい。
この場合、基板には、紫外線を吸収しないように、バンドギャップの大きい材料のものを用いる必要がある。具体的には、GaN基板では紫外線を吸収してしまうので、AlN基板を用いるのが適当である。
ところが、AlNとAlInNとは格子不整合が大きいため、AlInN層で構成された量子井戸層に圧電分極が生じやすく、その影響で、紫外線発光の効率が悪くなる。
そこで、この発明の目的は、紫外領域の発光効率に優れた窒化物半導体発光素子を提供することである。
上記の目的を達成するための請求項1記載の発明は、非極性面または半極性面を成長主面とするIII族窒化物半導体からなり、p型半導体層、発光層およびn型半導体層を含むIII族窒化物半導体積層構造を有する発光素子であって、前記発光層がAlInNからなる量子井戸層を含む、窒化物半導体発光素子である。この構成によれば、AlInNからなる量子井戸層を含む発光層は、非極性面または半極性面を成長主面とするIII族窒化物半導体からなるIII族窒化物半導体積層構造内に備えられている。したがって、c面のような極性面を成長主面としたIII族窒化物半導体でIII族窒化物半導体積層構造を形成する場合に比較して、ピエゾ分極を抑制することができる。その結果、AlInNからなる量子井戸層に生じる分極を緩和することができるから、紫外領域の発光効率を改善することができる。
請求項2記載の発明は、前記量子井戸層を構成するAlInNのIn組成が0.5%〜3%であり、前記発光層の発光波長が230nm〜260nmである、請求項1記載の窒化物半導体発光素子である。また、請求項3記載の発明は、前記量子井戸層を構成するAlInNのIn組成が7%〜15%であり、前記発光層の発光波長が300nm〜350nmである、請求項1記載の窒化物半導体発光素子である。これらの構成により、紫外領域(波長230nm〜260nm、300nm〜350nm)の光を効率良く発生させることができる。
前記III族窒化物半導体積層構造は、有機金属気相成長(MOVPE)法または分子線エピタキシー(MBE)法のいずれかによって結晶成長されたIII族窒化物半導体からなるものであってもよい(請求項4)。分子線エピタキシー法は、NH3ソースを用いたガスソース分子線エピタキシー法であってもよいし、高周波(RF)窒素ラジカル源からプラズマ状態の窒素を基板に供給する高周波プラズマ分子線エピタキシー(RF−MBE)法であってもよい。
また、前記III族窒化物半導体積層構造は、トリイソブチルアルミ(TIBAl)、エチルジメチルアミンアラン(EDMAAl)、トリメチルアミンアラン(TMAAl)およびジメチルアルミニウムハイドライド(DMAlH)のうちのいずれかをAl原料として用いた有機金属気相成長法によって結晶成長されたIII族窒化物半導体からなるものであってもよい(請求項5)。上記のようなAl原料を用いることにより、III族窒化物半導体結晶を低温(たとえば、700℃以下)で結晶成長させることができる。これにより、窒素原料として用いられるアンモニア等との気相反応を抑えることができるとともに、半導体結晶中へのInの取り込み効率を上げることができる。また、半導体結晶中への不純物炭素の取り込みがほとんどなくなることから、転位や非発光結合中心の生成を抑制することができる。
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、この発明の発光素子の一実施形態に係る発光ダイオードの構造を説明するための図解的な断面図である。この発光ダイオードは、m面を主面としたAlN(窒化アルミニウム)基板1上にIII族窒化物半導体積層構造をなすIII族窒化物半導体層2を再成長させて構成されている。III族窒化物半導体層2は、AlN基板1側から順に、n型コンタクト層21、発光層(活性層)としての多重量子井戸(MQW:Multiple Quantum Well)層22、AlGaNファイナルバリア層25、p型電子阻止層23、およびp型コンタクト層24を積層した積層構造を有している。p型コンタクト層24層の表面には、透明電極としてのアノード電極3が形成されており、さらに、このアノード電極3の一部には、配線接続のための接続部4が接合されている。また、n型コンタクト層21には、カソード電極5が接合されている。こうして、発光ダイオード構造が形成されている。
AlN基板1は、支持基板(配線基板)10に接合されている。支持基板10の表面には、配線11,12が形成されている。そして、接続部4と配線11とがボンディングワイヤ13で接続されており、カソード電極5と配線12とがボンディングワイヤ14で接続されている。
n型コンタクト層21は、シリコンをn型ドーパントとして添加したn型AlGaN層からなる。
多重量子井戸層(活性層)22は、量子井戸層とバリア層とを交互に積層して構成されている。より具体的には、たとえば3nm厚のAlx1In1-x1N層(0<x1<1)からなる量子井戸層と、たとえば10nm厚のAlx2In1-x2N層(0<x2<1,x1<x2)からなるバリア層とを、交互に所定周期(たとえば5周期)積層したものである。量子井戸層のIn組成を調整することによって、発光波長を調整することができる。
この多重量子井戸層22と、p型電子阻止層23との間に、AlGaNファイナルバリア層25(たとえば10nm厚)が積層されている。
p型電子阻止層23は、p型ドーパントとしてのマグネシウムを添加したAlGaN層からなる。
p型コンタクト層24は、p型ドーパントとしてのマグネシウムを高濃度に添加したAlGaN層からなる。p型コンタクト層24の表面はIII族窒化物半導体層2の表面2aをなし、この表面2aは、多重量子井戸層22で発生した光が取り出される光取り出し側表面である。
発光波長を230nm〜260nmとする場合の各層の構成例を表1に示す。
また、発光波長を300nm〜350nmとする場合の各層の構成例を表2に示す。
Figure 2008198653
Figure 2008198653
アノード電極3は、NiとAuとから構成される透明な薄い金属層(たとえば、200Å以下)で構成される。このアノード電極3の表面3aから光が取り出される。
カソード電極5は、TiとAl層とから構成される膜である。
AlN基板1は、非極性面または半極性面を主面とするものであり、図1の例ではm面を主面としている。AlN基板1上に結晶成長されて形成されたIII族窒化物半導体層2の成長主面は、AlN基板1の主面の面方位に従う。したがって、AlN基板1の主面がm面であれば、III族窒化物半導体層2の成長主面はm面となる。
図2は、III族窒化物半導体の結晶構造のユニットセルを表した図解図である。III族窒化物半導体の結晶構造は、六方晶系で近似することができ、六角柱の軸方向に沿うc軸を法線とする面(六角柱の頂面)がc面(0001)である。III族窒化物半導体では、分極方向がc軸に沿っている。そのため、c面は、+c軸側と−c軸側とで異なる性質を示すので、極性面(Polar Plane)と呼ばれる。一方、六角柱の側面がそれぞれm面(10-10)であり、隣り合わない一対の稜線を通る面がa面(11-20)である。これらは、c面に対して直角な結晶面であり、分極方向に対して直交しているため、極性のない平面、すなわち、非極性面(Nonpolar Plane)である。さらに、c面に対して傾斜している(平行でもなく直角でもない)結晶面は、分極方向に対して斜めに交差しているため、若干の極性のある平面、すなわち、半極性面(Semipolar Plane)である。半極性面の具体例は、(10-1-1)面、(10-1-3)面、(11-22)面などである。
非特許文献1に、c面に対する結晶面の偏角と当該結晶面の法線方向の分極との関係が示されている。この非特許文献1から、(11-24)面、(10-12)面なども分極の少ない結晶面であり、III族窒化物半導体層2の結晶成長に適した半極性面であると言える。
図3は、III族窒化物半導体層2を構成する各層を有機金属気相成長法(MOVPE:Metal-Organic Vapor Phase Epitaxy)で成長させるための処理装置の構成を説明するための図解図である。処理室30内に、ヒータ31を内蔵したサセプタ32が配置されている。サセプタ32は、回転軸33に結合されており、この回転軸33は、処理室30外に配置された回転駆動機構34によって回転されるようになっている。これにより、サセプタ32に処理対象のウエハ35を保持させることにより、処理室30内でウエハ35を所定温度に昇温することができ、かつ、回転させることができる。ウエハ35は、前述のAlN基板1を構成するAlNウエハであり、たとえば、m面を主面とするAlN単結晶ウエハである。
処理室30には、排気配管36が接続されている。排気配管36はロータリポンプ等の排気設備に接続されている。これにより、処理室30内の圧力は、1/10気圧〜常圧力(好ましくは1/5気圧程度)とされ、処理室30内の雰囲気は常時排気されている。
一方、処理室30には、サセプタ32に保持されたウエハ35の表面に向けて原料ガスを供給するための原料ガス供給路40が導入されている。この原料ガス供給路40には、窒素原料ガスとしてのアンモニアを供給する窒素原料配管41と、ガリウム原料ガスとしてのトリメチルガリウム(TMG)を供給するガリウム原料配管42と、アルミニウム原料ガスとしてのトリイソブチルアルミ(TIBAl)を供給するアルミニウム原料配管43と、インジウム原料ガスとしてのトリメチルインジウム(TMIn)を供給するインジウム原料配管44と、マグネシウム原料ガスとしてのエチルシクロペンタジエニルマグネシウム(EtCp2Mg)を供給するマグネシウム原料配管45と、シリコンの原料ガスとしてのシラン(SiH4)を供給するシリコン原料配管46とが接続されている。これらの原料配管41〜46には、それぞれバルブ51〜56が介装されている。各原料ガスは、いずれも水素もしくは窒素またはこれらの両方からなるキャリヤガスとともに供給されるようになっている。
たとえば、m面を主面とするAlNウエハ35をサセプタ32に保持させる。この状態で、バルブ52〜56は閉じておき、窒素原料バルブ51を開いて、処理室30内に、キャリヤガスおよびアンモニアガス(窒素原料ガス)が供給される。さらに、ヒータ31への通電が行われ、ウエハ温度が1000℃〜1100℃(たとえば、1050℃)まで昇温される。これにより、表面の荒れを生じさせることなくIII族窒化物半導体結晶を成長させることができるようになる。
ウエハ温度が1000℃〜1100℃に達するまで待機した後、窒素原料バルブ51、ガリウム原料バルブ52、アルミニウム原料バルブ53およびシリコン原料バルブ56が開かれる。これにより、原料ガス供給路40から、キャリヤガスとともに、アンモニア、トリイソブチルアルミ、トリメチルガリウムおよびシランが供給される。その結果、ウエハ35の表面に、シリコンがドープされたAlGaN層からなるn型コンタクト層21が成長する。
次に、シリコン原料バルブ56が閉じられ、多重量子井戸層22の成長が行われる。多重量子井戸層22の成長は、窒素原料バルブ51、アルミニウム原料バルブ53およびインジウム原料バルブ54を開いて、アンモニア、トリイソブチルアルミおよびトリメチルインジウムをウエハ35へと供給するとともに、量子井戸層の成長時とバリア層の供給時とで、原料ガスの供給流量を変更することによって行われる。たとえば、インジウム原料ガス(トリメチルインジウム)の供給流量比を小さくしてバリア層を始めに形成し、次いで、インジウム原料ガスの供給流量比を大きくして量子井戸層を形成する。これを5回に渡って繰り返し行った後、最後に、InGaN層上にGaNファイナルバリア層25が形成される。多重量子井戸層22およびGaNファイナルバリア層25の形成時には、ウエハ35の温度は、たとえば、700℃〜800℃(たとえば730℃)とされることが好ましい。
次いで、p型電子阻止層23が形成される。すなわち、窒素原料バルブ51、ガリウム原料バルブ52、アルミニウム原料バルブ53およびマグネシウム原料バルブ55が開かれ、他のバルブ54,56が閉じられる。これにより、ウエハ35に向けて、アンモニア、トリメチルガリウム、トリメチルアルミニウムおよびエチルシクロペンタジエニルマグネシウムが供給され、マグネシウムがドープされたAlGaN層からなるp型電子阻止層23が形成されることになる。このp型電子阻止層23の形成時には、ウエハ35の温度は、1000℃〜1100℃(たとえば1000℃)とされることが好ましい。
次に、p型コンタクト層24が形成される。すなわち、窒素原料バルブ51、ガリウム原料バルブ52およびマグネシウム原料バルブ55が開かれ、他のバルブ53,54,56が閉じられる。これにより、ウエハ35に向けて、アンモニア、トリメチルガリウムおよびエチルシクロペンタジエニルマグネシウムが供給され、マグネシウムがドープされたGaN層からなるp型コンタクト層24が形成されることになる。p型コンタクト層24の形成時には、ウエハ35の温度は、1000℃〜1100℃(たとえば1000℃)とされることが好ましい。
こうして、ウエハ35上にIII族窒化物半導体層2が成長させられると、このウエハ35は、エッチング装置に移され、たとえばプラズマエッチングによって、図1に示すように、n型コンタクト層21を露出させるための凹部7が形成される。凹部7は、多重量子井戸層22、p型電子阻止層23およびp型コンタクト層24を島状に取り囲むように形成されてもよく、これにより、多重量子井戸層22、p型電子阻止層23およびp型コンタクト層24をメサ形に整形するものであってもよい。
さらに、抵抗加熱または電子線ビームによる金属蒸着装置によって、アノード電極3、接続部4、カソード電極5が形成される。これにより、図1に示す発光ダイオード構造を得ることができる。
このようなウエハプロセスの後に、ウエハ35から個別素子が切り出され、この個別素子は、ダイボンディングおよびワイヤボンディングによってリード電極に接続される。こうして、発光ダイオード素子が作製される。
アルミニウム原料ガスとして用いたトリイソブチルアルミは、Alとイソブチル基との結合が弱く、150℃程度以上でAlとイソブチル基との分離が発生する。そのため、700℃以下の低温の成長温度で結晶成長を行うことが可能である。これにより、アンモニアとの気相反応を抑えることができるうえに、インジウムを結晶中に効率的に取り込むことができるのでIn組成の高い窒化物半導体結晶を形成できる。また、トリイソブチルアルミが熱分解したときの分解生成物は、Alとイソブタンまたはイソブテンであるが、イソブタンおよびイソブテンの分子構造がいずれも大きいので半導体結晶中への取り込みはほとんどなく、不純物としての炭素(C)が結晶中に取り込まれることを抑制できる。これにより、半導体結晶中に転位や非発光結合中心が生じることを効果的に抑制できる。
同様の効果を得ることができる他のアルミニウム原料ガスとしては、エチルジメチルアミンアラン(EDMAAl)、トリメチルアミンアラン(TMAAl)およびジメチルアルミニウムハイドライド(DMAlH)を例示することができる。
AlInN層からなる量子井戸層を含む多重量子井戸層22の構成としては、前述の例のほかにも、量子井戸層としてのAlInN層とバリア層としてのAlInGaN層とを交互に所定周期だけ積層した構造を採用してもよい。この場合には、バリア層の形成時に、窒素原料バルブ51、ガリウム原料バルブ52、アルミニウム原料バルブ53およびインジウム原料バルブ54を開いて、処理室30内に、窒素、ガリウム、アルミニウムおよびインジウムの各原料ガスを供給すればよい。
以上、この発明の実施形態について説明してきたが、この発明は、さらに他の形態で実施することもできる。たとえば、前述の実施形態では、発光ダイオード構造の形成に本願発明が適用された例について説明したが、この発明は、レーザダイオード等の他の発光デバイスはもちろんのこと、トランジスタやダイオードといった他の電子デバイスの作製にも適用することができる。レーザダイオードを作製する場合には、n型コンタクト層21と多重量子井戸層22(活性層)との間にn型クラッド層を設け、p型電子阻止層23とp型コンタクト層24との間にp型クラッド層を設けることになる。さらに、多重量子井戸層22とn型クラッド層との間にn型ガイド層を設け、p型電子阻止層23とp型クラッド層との間にp型ガイド層を設ける。一例としては、両ガイド層は活性層バリアと同じ組成とし、クラッド層は両ガイド層よりも大きなバンドギャップ(低屈折率)の組成とすれば、光導波路を形成できる。
また、前述の実施形態では、有機金属気相成長法によってIII族窒化物半導体結晶の成長を行う例について説明したが、このほかにも、分子線エピタキシー法を用いることができる。たとえば、高周波プラズマ分子線エピタキシー法によってIII族窒化物半導体結晶を行うための構成を図4に示す。
この分子線エピタキシー装置は、高真空処理室61と、この処理室61内に配置されウエハ35を保持するためのサセプタ62と、このサセプタ62に付設されウエハ35を加熱するための加熱機構63と、サセプタ62に保持されたウエハ35に向けて原料の分子線を供給する原料セル71〜76と、各原料セルとサセプタ62との間に配置されて原料の供給を制御するシャッタ81〜86と、反射高速電子線回折(RHEED: Reflection High Energy Electron Diffraction)電子銃65と、この電子銃65に対向配置されたRHEEDスクリーン66とを備えている。
原料セル71〜76は、具体的には、窒素原料セル71、ガリウム原料セル72、アルミニウム原料セル73、インジウム原料セル74、マグネシウム原料セル75、およびシリコン原料セル76である。
窒素原料セル71は、原料原子をプラズマ状態で供給するプラズマセルであり、セルに導入された原料ガスに高周波電界を印加する高周波印加装置としての高周波コイル71aを備えている。この窒素原料セル71には、原料ガスとしての高純度窒素ガスが供給されるようになっている。これにより、窒素原料セル71は、プラズマ化された窒素をウエハ35に供給するプラズマ窒素源として機能することになる。また、このセルのプラズマを一切使用せずに、原料ガスに高純度アンモニアガスを供給する、いわゆるアンモニアガスソースMBE方式で窒素を基板に供給してもよい。
ガリウム原料セル72、アルミニウム原料セル73、インジウム原料セル74、マグネシウム原料セル75およびシリコン原料セル76は、るつぼ内に配置した原料をヒータ加熱によって蒸発させて原料原子ビームを生成するクヌーセンセルである。むろん、これらの原料セル72〜76をプラズマセルとし、たとえば、これらの原料セル72〜76に対して、ガリウム原料ガスとしてのトリメチルガリウム(TMG)、アルミニウム原料ガスとしてのトリイソブチルアルミ(TIBAl)、インジウム原料ガスとしてのトリメチルインジウム(TMIn)、マグネシウム原料ガスとしてのエチルシクロペンタジエニルマグネシウム(EtCp2Mg)、シリコンの原料ガスとしてのシラン(SiH4)を、それぞれ供給するようにしてもよい。また、前述の実施形態の場合と同じく、アルミニウム原料ガスとして、エチルジメチルアミンアラン(EDMAAl)、トリメチルアミンアラン(TMAAl)およびジメチルアルミニウムハイドライド(DMAlH)を用いてもよい。
シャッタ81〜86の開閉によって、各原料セル71〜76からの各原料原子のビームの供給/非供給が制御される。
この構成により、加熱機構63によってウエハ35の温度を制御しながら、さらに、シャッタ81〜86の開閉を制御することによって、高周波プラズマ分子線エピタキシー法によって、III族窒化物半導体層2をウエハ35上に結晶成長させることができる。成長表面の様子は、RHEEDスクリーン66に投影されるRHEED像によって観測することができる。すなわち、RHEED電子銃65からウエハ35の表面に2〜3°の入射角で電子線が照射される。ウエハ35の表面で反射した電子線は、RHEEDスクリーン66の裏面に塗布された蛍光剤を発光させる。この蛍光パターンを観察することより、ウエハ35の表面に成長する結晶の表面状態を観測できる。
なお、窒素をプラズマ状態で供給する代わりに、加熱したアンモニアガスをウエハ35に吹き付けるガスソース分子線エピタキシー法を適用しても、ウエハ35上にIII族窒化物半導体層2を成長させることができる。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
この発明の一実施形態に係る発光ダイオードの構造を説明するための図解的な断面図である。 III族窒化物半導体の結晶構造のユニットセルを表した図解図である。 III族窒化物半導体層を構成する各層を有機金属気相成長法によって成長させるための処理装置の構成を説明するための図解図である。 III族窒化物半導体層を構成する各層を分子線エピタキシー法によって成長させるための処理装置の構成を説明するための図解図である。
符号の説明
1 AlN基板
2 III族窒化物半導体層
2a III族窒化物半導体層の表面
3 アノード電極
3a アノード電極の表面
4 接続部
5 カソード電極
7 凹部
10 支持基板
11,12 配線
13,14 ボンディングワイヤ
21 n型コンタクト層
22 多重量子井戸層
23 p型電子阻止層
24 p型コンタクト層
25 ファイナルバリア層
30 処理室
31 ヒータ
32 サセプタ
33 回転軸
34 回転駆動機構
35 ウエハ
36 排気配管
40 原料ガス供給路
41 窒素原料配管
42 ガリウム原料配管
43 アルミニウム原料配管
44 インジウム原料配管
45 マグネシウム原料配管
46 シリコン原料配管
51 窒素原料バルブ
52 ガリウム原料バルブ
53 アルミニウム原料バルブ
54 インジウム原料バルブ
55 マグネシウム原料バルブ
56 シリコン原料バルブ
61 高真空処理室
62 サセプタ
63 加熱機構
65 RHEED電子銃
66 RHEEDスクリーン
71 窒素原料セル
71a 高周波コイル
72 ガリウム原料セル
73 アルミニウム原料セル
74 インジウム原料セル
75 マグネシウム原料セル
76 シリコン原料セル
81〜86 シャッタ

Claims (5)

  1. 非極性面または半極性面を成長主面とするIII族窒化物半導体からなり、p型半導体層、発光層およびn型半導体層を含むIII族窒化物半導体積層構造を有する発光素子であって、
    前記発光層がAlInNからなる量子井戸層を含む、窒化物半導体発光素子。
  2. 前記量子井戸層を構成するAlInNのIn組成が0.5%〜3%であり、前記発光層の発光波長が230nm〜260nmである、請求項1記載の窒化物半導体発光素子。
  3. 前記量子井戸層を構成するAlInNのIn組成が7%〜15%であり、前記発光層の発光波長が300nm〜350nmである、請求項1記載の窒化物半導体発光素子。
  4. 前記III族窒化物半導体積層構造が、有機金属気相成長法または分子線エピタキシー法のいずれかによって結晶成長されたIII族窒化物半導体からなる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の窒化物半導体発光素子。
  5. 前記III族窒化物半導体積層構造が、トリイソブチルアルミ、エチルジメチルアミンアラン、トリメチルアミンアランおよびジメチルアルミニウムハイドライドのうちのいずれかをAl原料として用いた有機金属気相成長法によって結晶成長されたIII族窒化物半導体からなる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の窒化物半導体発光素子。

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