JP2008197126A - 導光体付ピンおよび導光体付ピンを有する温度センサならびに射出成形用金型 - Google Patents

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Abstract

【課題】
導光体付エジェクタピンを比較的単純な構造で実現し、且つ耐衝撃性を向上させる。
【解決手段】円筒状の中空軸部と、前記中空軸部に内接して第1の耐熱性接着材層で固着される管状スペーサと、前記管状スペーサに内接して第2の耐熱性接着材層で固着される円柱状の導光体を有し、前記導光体はその表面の一部に緩衝層が形成され、前記第2の耐熱接着材層の前記中空軸部内の端部は前記緩衝層上に形成される構成する導光体付きエジェクタピンにより上記課題を解決する。
【選択図】図1

Description

本発明は、温度センサに光を導くための温度センサ用導光器に関する。特に成形金型のキャビティ内の樹脂の温度を測定するための導光体付ピンに関する。
近年、成形金型のキャビティ内に樹脂を射出充填して製品を成形する射出成形法においては、成形される部品の形状精度・微細化の要求が高まっている。また新しく開発された高機能性材料はその性能を発揮させるために従来よりも高温・高圧の条件をより精密且つ安定的に制御する必要がある。これらの要求に対応するため射出成形時の金型キャビティ内の温度・圧力を測定し成形条件にフィードバックする、いわゆるインテリジェント化が進んでいる。
具体的には金型のキャビティ内の樹脂圧力を測定するセンサ、樹脂温度を測定するセンサを設け、これらの情報を成形機にフィードバックするようになって来ている。
金型のキャビティ内の樹脂温度を測定する方法の一つとして樹脂の赤外輻射線から直接的に測定する方法がある。この場合樹脂から放出される赤外輻射線は、光ファイバ束を導光体として赤外線検出器に伝達されることが多く、かかる導光体は金型内に必要となるエジェクタピン・コアピン等に組み込むことが出来る。
図5は一般的な金型の断面図であるが、この金型はキャビティ1を設けた第1の型板としての固定側型板2とコア3を設けた第2の型板としての可動側型板4との界面で分かれて開閉される。エジェクタピン100はキャビティ内に樹脂が充填された際は導光体として樹脂温度の測定に関与し、金型が開いたときに前記コアから突出して成形品を金型外に突き出すエジェクタピンとして機能する。なお図5では配線等は省略している。
本願出願人は比較的単純な構造でピン長さ調整の容易な導光体付ピンを特許文献1に開示している。図6に当該ピンの構造を示す。
図6の分図(a)に上面図、分図(b)にa‐a´部での矢印方向の断面図、分図(c)に左側面図を示す。エジェクタピン200は円筒状の中空軸部10を有し、その下端に中空軸部10より拡径した鍔部11が設けられる。鍔部11の下面には蓋部材13が固定される。
中空軸部10には内部を軸方向に貫通する断面が一様な円形断面の中空部14が設けられ、中空軸部10の長さ方向の中央付近より上側は断面が一様で中空部14より拡径した拡径部15が設けられている。
前記拡径部15にはステンレス(SUS)製の管状のスペーサ16が接着材で固着される。エジェクタピン200は管状スペーサ16の部分で切断されるので、管状スペーサ16の軸方向全長に渡り接着材により前記拡径部15にエポキシ樹脂等で固着されるようにする。
管状スペーサ16には単線の光ファイバ17が挿入され、管状スペーサ16の内面に光ファイバ17の表面が接着材18で固着される。光ファイバ17は導光体として機能するようコアの表面に反射層としてのクラッド層を設けた2層構造を有する。
光ファイバ17は鍔部11に対応する位置で所定の局率で90度曲げられ、鍔部11の下面に設けた溝12からエジェクタピン200の外部に導出される。
そして光ファイバ17は赤外線を受光する受光部21に接続され、受光部21はプリアンプ22、ゼロ調整器、ゲイン調整器としての可変抵抗器23・24を介してラップトップパソコンの表示部25に接続される。
エジェクタピン200の先端から光ファイバ17に入射した赤外線は光ファイバ17を通り受光部21で光電気変換された上、最終的に温度信号に変換され表示部25で温度表示される。或いは温度信号が射出成形機の制御部にフィードバックされて利用される。
特願2006−184009号
光ファイバには石英ガラス製やプラスチック製のものがあるが、金型内に射出される樹脂の温度は200℃〜500℃にもなるので、上記のような金型内の温度測定用のピンには耐熱性に優れた石英ガラス製の光ファイバが用いられる。ここで石英ガラス製光ファイバは傷の防止や補強等のためにクラッド層の表面にシリコーンやPFA(ポリテトラフルオロエチレン)などの樹脂製の1層又は2層の被覆層が形成されるのが一般的である。
しかし被覆層の耐熱温度は250℃程度なので、特許文献1に開示した金型内温度測定用ピンでは樹脂に接触する先端部分及び光ファイバを加熱・曲げ加工する部分のように光ファイバの被覆層が高温に晒される部分(以下「被覆高温部」とする。)に被覆層があると不都合なことからピン内部の光ファイバの被覆層は全て除去していた。
ここで特許文献1に開示した金型内温度測定用ピンでは耐衝撃性があまり高くないという問題が生じた。図7に落下衝撃試験での破壊状態を示す。分図(a)に示すように管状スペーサ16の下端部で光ファイバ17にクラック26が生ずることがあった。分図(b)は接着材18の量を増やして管状スペーサ16の下面に接着材18の肉盛りをした例だが、この場合は接着材18が固化した接着材層の肉盛りの端部に相当する部分から光ファイバ17にクラック26が生ずることがあった。
そこで本発明は特許文献1に開示したエジェクタピンの問題点を解決し、導光体付ピンにおいて耐衝撃性の向上を課題とする。ここで「ピン」は上述のエジェクタピンや、成形品の突き出し機能を有しないコアピンの他、高温での温度測定用のピンを含む用語として用いる。
本発明に係る導光体付ピンは円筒状の中空軸部と、前記中空軸部に内接して耐熱性接着材層で固着される円柱状の導光体を有し、前記導光体はその表面の一部に緩衝層が形成され、前記中空軸部内の前記耐熱接着材層の端部は前記緩衝層上に配設されていることを特徴としている。
また本発明に係る導光体付ピンは中空軸部と導光体の間に管状スペーサを有することができ、導光体として光ファイバを用いることができ、緩衝層として光ファイバの被覆層を用いることができる。また本発明に係る導光体付ピンは温度センサや成形用金型に組み込むことができる。
本発明によれば軸部を任意の位置で切断可能とした比較的単純な構造の導光体付ピンにおいて耐衝撃性を向上する効果がある。
本発明の実施の形態を図1に基づいて説明する。ここで従来技術と共通する部分は同じ符号を用いる。本発明に係る導光体付きピンは図6に示す従来技術と同様に受光部21・プリアンプ22等と組合わせて温度センサとして用いることができる。
図1の分図(a)に底面図、分図(b)にa‐a´部での矢印方向の断面図、分図(c)に管状スペーサ16下端部の拡大図を示す。エジェクタピン400は円筒状の中空軸部10を有し、その下端に中空軸部10より拡径した鍔部11が設けられる。
鍔部11の下面には管状のジャバラホース31が固定され、当該ジャバラホース31の内壁には光ファイバ17と干渉しないよう側壁に開口を有する管状のファイバ固定パイプ32が固定される。当該ファイバ固定パイプ32の内部にはコア・クラッド・第1被覆層33・第2被覆層34を有する光ファイバ17が多少の隙間を持って収納される。
第1被覆層33・第2被覆層34は中空軸部10に向かって延在するが、光ファイバ17を90度曲げる際に被覆高温部となる範囲から先は後述する一部分を残してカッター、溶剤等を用いて除去される。
前記鍔部11、ジャバラホース31、ファイバ固定パイプ32の固定はそれぞれ接着・溶接等の周知の方法で行うことができる。
中空軸部10には内部を軸方向に貫通する断面が一様な円形断面の中空部14が設けられ、中空軸部10の長さ方向の中央付近より上側は断面が一様で中空部14より拡径した拡径部15が設けられている。なお本明細書で「断面が一様」とは当該部分の断面形状が実質的に同一であることをいう。
前記拡径部15にはステンレス(SUS)製の管状のスペーサ16が接着材で固着される。エジェクタピン400は管状スペーサ16の部分で切断されるので、管状スペーサ16の軸方向全長に渡り接着材により前記拡径部15に固着されるようにする。接着材としてはエポキシ樹脂や珪酸アルカリ系接着剤等の耐熱性接着材が好適である。この接着材が固化した層を第1の接着材層27とする。
管状スペーサ16には単線の光ファイバ17が挿入され、管状スペーサ16の内面に光ファイバ17の表面が接着材18で固着される。この部分の接着にもエポキシ樹脂や珪酸アルカリ系接着剤等の耐熱性接着材が好適である。この接着材が固化した層を第2の接着材層28とする。
光ファイバ17は導光体として機能するようコアの表面に反射層としてのクラッド層を設けた2層構造を有する。光ファイバ17は石英ガラス製であり、コアにはGe(ゲルマニウム)やP(リン)、クラッドにはB(ホウ素)やF(フッ素)などが添加される。
光ファイバ17の素線は中空軸部10内においては図1分図(b)に示すように管状のスペーサ16の端面に当接する部分から鍔部11方向へ所定長さの1次被覆層を残してある。ここで「当接」とは実際に接触している場合の他、被覆層の厚さ程度の隙間を有して近接している場合も含む。
そして図1分図(c)に示すように管状のスペーサ16と光ファイバ17間の第2の接着材層28は光ファイバ17の独立した1次被覆層35の上に乗り上げてその下端は前記独立した1次被覆層35上に形成される。
本実施の形態では光ファイバー17はφ1mm程度の物を使用し、管状スペーサ10はそれに対応して内径φ1mm程度、外径φ2.5mm程度、長さ100mm程度の物を使用した。SUS製の管状スペーサは引抜き成形により形成され、比較的容易に内径の小さい管を得ることができた。
工具鋼(SKD)製の中空軸部10は内径φ2.5mm程度、外径φ4mm程度、長さ200mm程度の物を使用した。SKD製の鍔部11は径φ10mm厚さ6mmとした。SUS製のジャバラホースは外径φ3.4mmの物を使用した。
図1に示す本発明に係る導光体付ピンについて落下衝撃試験を行った。高さ0.5mからコンクリートの床に自由落下を5回繰返す試験をサンプル数n=10について行ったが、光ファイバ17がクラックしたものは無かった。
従来技術に示す導光体付ピンでは半数程度のサンプルでクラックが発見されており、本発明により耐衝撃性が改善されていることが確認できた。
ここで、本発明が耐衝撃性を向上するメカニズムについて考察する。光ファイバ17は管状のスペーサ16の部分で固定される一種の片持梁と考えられる。そして従来技術においては管状のスペーサ16と光ファイバ17は固化後の剛性が高い耐熱性接着材で固定される。衝撃試験の際には光ファイバ17は自重により曲げモーメントが生じるので、形状的に応力集中し易く、且つ剛体的に支持されている接着材層の端部でクラックが発生したものと考えられる。
本発明では光ファイバ17は弾性を有するシリコーンの1次被覆層を介して耐熱性接着材の層と固定される。衝撃試験の際に光ファイバ17の自重による曲げモーメントが生じても1次被覆層がその応力を緩和する緩衝層として機能するので光ファイバ17にクラックが生じるほどの応力がかからないものと考える。
上記最良の形態では緩衝層35として光ファイバの独立した1次被覆を用いたが、緩衝層35はこれに限るものではない。上述の所定箇所に弾性部材を配設したものであれば良く、溶液状のシリコーンラバーを刷毛で塗布した後に乾燥させてシリコーンラバー層を形成する、ポリイミドの粘着フィルムを巻きつける、ラバーのチューブを装着する、光ファイバの1次被覆と2次被覆を残す等の方法で形成してもよい。
図2に本発明の他の実施例としてエジェクタピン500を示す。図の構成や主要な点は図1に示したエジェクタピン400と同様である。エジェクタピン400との相違点は環状のスペーサ16をなくし、中空軸部10の上部を図1の環状のスペーサ16の内径と同じ径の縮径部36にした点である。
エジェクタピン400ではエジェクタピンの長さを半完成品の状態で切断して調整出来るようにしている。そのために光ファイバ17を固着する細径の穴を長く開ける必要があるがSKD材にこのような加工を施すのは困難なことから環状のスペーサ16を用いている。
エジェクタピン500はエジェクタピンの長さが予め決まっている場合を対象にしたものである。この場合、縮径部35の長さは樹脂の射出圧で光ファイバ17の接着がずれない範囲で短くできるので、中空軸部10の上側から径の小さなドリル・エンドミル等で直接穴加工することができる。エジェクタピン400と比較して部品点数の削減、加工工数の低減を図ることができる。
図3に本発明の他の実施例としてエジェクタピン600を示す。図の構成や主要な点は図1に示したエジェクタピン400と同様である。エジェクタピン400との相違点は光ファイバ17に中空部14との隙間を埋めるOリング37を装着した点である。
上述のように光ファイバ17の衝撃試験でのクラックは自重により固着部に過大な曲げモーメントがかかるためと考えられる。そこで光ファイバ17にOリング37を装着することで光ファイバ17の変形量を低減し、固着部にかかる曲げモーメントを一層低減できるのでより確実に光ファイバ17のクラックを防止できる。
Oリング37は管状スペーサ16の下端と鍔部11の間に設けられるが、この部分はそれ程高温に晒されることはない。Oリング37の材質はシリコーンゴム、ネオプレンゴム等一般的なゴムを用いることができる。また図3ではOリング37は1個設けてあるが、複数個設けても良い。
図4に本発明の他の実施例としてエジェクタピン700を示す。図の構成や主要な点は図1に示したエジェクタピン400と同様である。エジェクタピン400との相違点は光ファイバ17と中空部14との隙間を埋める緩衝材38を充填した点である。この場合も実施例2と同様の効果が得られる。
緩衝材38は中空軸部10の側面に設けた開口部39から充填する。充填材としてはエポキシ接着材、シリコーン接着材等を用いることができる。
尚、実施例2及び本例のように光ファイバの表面に異物が接触すると赤外線透過率が減少する傾向がある。導光体の要求透過率特性と耐衝撃性のバランスを考慮して適切な方法を選択する必要がある。
本発明の一実施形態に係る導光体付エジェクタピンの構造を示す図である。 本発明の一実施形態に係る導光体付エジェクタピンの構造を示す図である。 本発明の一実施形態に係る導光体付エジェクタピンの構造を示す図である。 本発明の一実施形態に係る導光体付エジェクタピンの構造を示す図である。 導光体付エジェクタピンを金型に組み込んだ図である。 従来の導光体付エジェクタピンの構造を示す図である。 従来の導光体付エジェクタピンの問題点を説明する図である。
符号の説明
1 キャビティ
2 固定側型板
3 コア
4 可動側型板
10 管状スペーサ
11 鍔部
12 溝
13 蓋部材
14 中空部
15 拡径部
16 中空軸部
17 光ファイバ
18 耐熱性接着材
21 受光部
22 プリアンプ
23 ゼロ調整器
24 ゲイン調整器
25 表示部
26 クラック
31 ジャバラホース
32 ファイバ固定パイプ
33 1次被覆層
34 2次被覆層
35 緩衝層
36 縮径部
37 Oリング
38 緩衝部材

Claims (7)

  1. 円筒状の中空軸部と、
    前記中空軸部に内接して耐熱性接着材層で固着される円柱状の導光体を有し、
    前記導光体はその表面の一部に緩衝層が形成され、前記中空軸部内の前記耐熱接着材層の端部は前記緩衝層上に配設されていることを特徴とする導光体付ピン。
  2. 円筒状の中空軸部と、
    前記中空軸部に内接して第1の耐熱性接着材層で固着される管状スペーサと、
    前記管状スペーサに内接して第2の耐熱性接着材層で固着される円柱状の導光体を有し、
    前記導光体はその表面の一部に緩衝層が形成され、前記中空軸部内の前記第2の耐熱接着材層の端部は前記緩衝層上に配設されていることを特徴とする導光体付ピン。
  3. 前記導光体がコア及びクラッド層を有する光ファイバであることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の導光体付ピン。
  4. 前記緩衝層が光ファイバの被覆層であることを特徴とする請求項3記載の導光体付ピン。
  5. 円筒状の中空軸部と、
    前記中空軸部に内接して第1の耐熱性接着材層で固着される管状スペーサと、
    前記管状スペーサに内接して第2の耐熱性接着材層で固着される円柱状の被覆層を有する光ファイバを有し、
    前記光ファイバはその表面の一部に被覆層が形成され、前記中空軸部内の前記第2の耐熱接着材層の端部は前記被覆層上に配設されていることを特徴とする導光体付ピン。
  6. 少なくとも導光体付ピンと受光部とプリアンプを有する温度センサにおいて、
    前記導光体付ピンが円筒状の中空軸部と、
    前記中空軸部に内接して第1の耐熱性接着材層で固着される管状スペーサと、
    前記管状スペーサに内接して第2の耐熱性接着材層で固着される円柱状の導光体を有し、
    前記導光体はその表面の一部に緩衝層が形成され、前記中空軸部内の前記第2の耐熱接着材層の端部は前記緩衝層上に配設されていることを特徴とする温度センサ。
  7. キャビティを有する第1の型板と、コアを有し前記第1の型板に対して相対的に移動可能とされた第2の型板とを組合せ、前記キャビティと前記コアの間に樹脂を充填して成形品を成形する成形用金型において、
    円筒状の中空軸部と、
    前記中空軸部に内接して第1の耐熱性接着材層で固着される管状スペーサと、
    前記管状スペーサに内接して第2の耐熱性接着材層で固着される円柱状の導光体を有し、
    前記導光体はその表面の一部に緩衝層が形成され、前記中空軸部内の前記第2の耐熱接着材層の端部は前記緩衝層上に配設されている導光体付ピンを備えたことを特徴とする成形用金型。
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