JP2006058740A - 複合型光ファイバ - Google Patents

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健一 中楯
Kiyoshi Oka
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Abstract

【課題】 大口径ファイバの周囲に多数のコアを有するマルチコアファイバが形成され、赤外光を使用する用途に適した複合型光ファイバを提供する。
【解決手段】 大口径ファイバ2の周囲に多数のコア6を有するマルチコアファイバ5が形成された複合型光ファイバであって、大口径ファイバ2のコア3は、純粋石英ガラスからなり、大口径ファイバ2のクラッド4は、純粋石英ガラスよりも屈折率が低い石英系ガラスからなり、マルチコアファイバ5のコア6は、GeOが添加された石英系ガラスからなり、マルチコアファイバ5のクラッド7は、純粋石英ガラス又は純粋石英ガラスよりも屈折率が低い石英系ガラスからなることを特徴とする複合型光ファイバ1を用いる。
前記純粋石英ガラスよりも屈折率が低い石英系ガラスは、ドーパントとしてフッ素を含有することが好ましい。
【選択図】 図1

Description

本発明は、大口径ファイバの周囲に多数のコアを有するマルチコアファイバが形成された複合型光ファイバに関する。
従来、二次元画像を伝送するため、溶融一体型のイメージファイバやイメージバンドルファイバ等、光ファイバを利用した二次元画像伝送用光ファイバは種々実用化されている。また、工業用、医療用などの各分野で大口径ファイバを用いたレーザ光伝送も実用化されている。
レーザ光伝送と画像伝送を併用した技術としては、本出願人らによる大口径ファイバの周囲に多数のコアを有するマルチコアファイバが形成された複合型光ファイバを用いたレーザ加工装置の開示がある。このレーザ加工装置においては、特定の加工位置を加工するレーザ光を大口径ファイバによって伝送し、かつ、その加工位置の画像の伝送をマルチコアファイバにより行う。これにより、配管内など作業者が直接目視できない加工位置を観察しながらレーザ加工することが可能となるものである(例えば、特許文献1,2参照)。
特開平9−216086号公報 特開平9−216087号公報
しかしながら、従来の複合型光ファイバは、限られた用途に対して提案されたものであり、このため、複合型光ファイバの構造や材料も限定されたものになっている。また、使用する光の波長も限定された領域に限られたものとなっている。
例えば、上述の特許文献に記載の複合型光ファイバにおいては、大口径ファイバおよびマルチコアファイバのコアは、好ましくは、純粋シリカ(純粋石英ガラス)から形成されるものとなっている。
これに対して、例えば温度計測等のように、赤外光(特に近赤外光)を伝送波長帯域として観察や計測等を行う用途に利用しようという場合、上記複合型光ファイバは赤外光に対する伝送特性が悪く、使用ができないか又は困難であるという問題があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、大口径ファイバの周囲に多数のコアを有するマルチコアファイバが形成された複合型光ファイバであって、赤外光を使用する用途に適した複合型光ファイバを提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明は、大口径ファイバの周囲に多数のコアを有するマルチコアファイバが形成された複合型光ファイバであって、前記大口径ファイバのコアは、純粋石英ガラスからなり、前記大口径ファイバのクラッドは、純粋石英ガラスよりも屈折率が低い石英系ガラスからなり、前記マルチコアファイバのコアは、GeOが添加された石英系ガラスからなり、前記マルチコアファイバのクラッドは、純粋石英ガラス又は純粋石英ガラスよりも屈折率が低い石英系ガラスからなることを特徴とする複合型光ファイバを提供する。
前記純粋石英ガラスよりも屈折率が低い石英系ガラスは、ドーパントとしてフッ素を含有することが好ましい。
前記複合型光ファイバは、マルチコアファイバを赤外光伝送用に用いることができる。
本発明の複合型光ファイバによれば、マルチコアファイバの赤外光に対する伝送特性が向上されるので、赤外光(特に近赤外光)を伝送波長帯域として観察や計測等を行う用途に利用することが可能となる。
以下、最良の形態に基づき、図面を参照して本発明を説明する。
図1は、本発明の複合型光ファイバ1の一例を示す断面図である。
この複合型光ファイバ1は、大口径ファイバ2の周囲に多数のコア6を有するマルチコアファイバ5が形成されている。
さらに、本形態例においては、マルチコアファイバ5の周囲にジャケット管8が設けられており、このジャケット管8の周上には、樹脂被覆層9が形成されている。
本発明における大口径ファイバ2とは、クラッドの影響をほとんど受けることなく光パワーを伝送できるコア径を有する光ファイバをいう。大口径ファイバ2は、大口径のコア3と、このコア3の周囲に同心状に形成され、前記コア3よりも屈折率が低いクラッド4とを有する。
大口径ファイバ2のコア3の径は50〜500μmが好ましい。また、大口径ファイバ2のクラッド4の径は、コア3に対して1.02〜1.3倍程度が好ましい。
図2に、大口径ファイバ2の屈折率分布の一例を示す。
本実施例の大口径ファイバ2は、純粋石英ガラスからなるコア3と、純粋石英ガラスよりも屈折率が低い石英系ガラスからなるクラッド4とからなっている。従って、大口径ファイバ2のコア3が純粋石英ガラスからなることにより、図2に示すように、該コア3の屈折率が均一なステップインデックス型の屈折率分布となる。
大口径ファイバ2のクラッド4を構成する石英系ガラスは、好ましくは、石英ガラスにフッ素(F)、ホウ素(B)等が添加されたものである。大口径ファイバ2の開口数(NA)は、好ましくは、0.1〜0.3程度に形成される。
図1に示すように、大口径ファイバ2の周囲には、多数のコア6を有するマルチコアファイバ5が形成されている。すなわち、このマルチコアファイバ5は、多数の島状のコア6と、これらの周囲に連続して形成された海状のクラッド7からなる海島構造をなしている。図1では大口径ファイバ2の周囲のうち部分的に図示しているが、本形態例の複合型光ファイバ1のマルチコアファイバ5のコア6は、マルチコアファイバ5の周囲全周にわたって分布している。このようなマルチコアファイバ5は、多数の光ファイバを集束してクラッド同士を一体化することにより、形成することができる。
マルチコアファイバ5のコア6は酸化ゲルマニウム(GeO)が添加された石英系ガラスからなる。
マルチコアファイバ5のクラッド7は、純粋石英ガラス又は純粋石英ガラスよりも屈折率が低い石英系ガラスからなる。純粋石英ガラスよりも屈折率が低い石英系ガラスとしては、好ましくは、石英ガラスにフッ素(F)、ホウ素(B)等が添加されたものである。
図3に、マルチコアファイバ5の屈折率分布の一例を示す。マルチコアファイバ5のコア6及びクラッド7の屈折率分布は、ドーパントの種類や濃度分布等により決定されるが、本形態例においては、図3に示すように、ほぼ、グレーテッドインデックス型の屈折率分布となる。
マルチコアファイバ5のコア6の径(画素径)は、例えば3〜12μm程度に好ましく形成される。また、マルチコアファイバ5のコア6の間隔は、コア6の径の1.1〜2倍程度の範囲で、必要とされる画質に合わせて適宜設定する。
マルチコアファイバ5のコア6の数(画素数)は、1,000〜100,000本程度とするのが好ましい。コア6の数(画素数)は、少ないと解像度が悪く、多いと複合型光ファイバ1の全体の径が太くなってしまうので、用途や目的等に応じて適宜選択することが好ましい。
本実施例における複合型光ファイバ1は、ジャケット管8の中心に大口径ファイバ2のロッドを配し、大口径ファイバ2のロッドの周囲にマルチコアファイバ5となる光ファイバをつめてプリフォームを形成し、このプリフォームを溶融線引き(紡糸)することによって製造することができる。
ジャケット管8は光ファイバとともに溶融線引きが可能な材料からなり、例えば純粋石英ガラス(純粋シリカ)から構成される。ジャケット管8の大きさ(特に内径)は、画素数(マルチコアファイバ5となる光ファイバの本数)に応じて適宜設定される。
樹脂被覆層9は、好適には、シリコーン樹脂、UV樹脂、ポリイミド樹脂等の樹脂、あるいはアルミ、金等の導電性金属などにより、形成することができる。
樹脂被覆層9の厚さは、好ましくは、20〜100μm程度である。樹脂被覆層9は、複合型光ファイバ1の線引き工程において、上記プリフォームの紡糸に引続いて形成することができる。
上記構成の複合型光ファイバ1の太さや長さは用途等に応じて適宜設定することができる。例えばジャケット管8の外径は、画素数等にもよるが、0.3〜2mm程度とすることができる。
上述のような複合型光ファイバによれば、マルチコアファイバの赤外光に対する伝送特性が向上されるので、赤外光(特に近赤外光)を伝送波長帯域として観察や計測等を行う用途に利用することが可能となる。
このような用途としては、例えば、大口径ファイバによって伝送されたレーザ光によって特定の加工位置を加工したり溶融させたりする際に、その加工位置からの放射光をマルチコアファイバにより捕捉して伝送し、観察や温度計測を行うことなどが挙げられる。マルチコアファイバのコアにGeO(酸化ゲルマニウム)が添加されていることにより、近赤外光の伝送特性に優れたものとなるので、物質の放射赤外線を低損失に伝送して感度の良好な赤外線画像を得ることができる。
複合型光ファイバは径が細く、配管内や人体内等の狭隘な箇所に挿入して用いることができる。
また、各種レーザ光を大口径ファイバによって伝送して被測定物にレーザ光を照射し、マルチコアファイバによって反射光、発光(励起光)などを伝送して分光器にて分光計測を二次元で行うことができる。
本発明は、赤外光を使用波長に含むような各種用途に利用することができる。
本発明の複合型光ファイバの一例を示す断面図である。 大口径ファイバの屈折率分布の一例を示す説明図である。 マルチコアファイバの屈折率分布の一例を示す説明図である。
符号の説明
1…複合型光ファイバ、2…大口径ファイバ、3…大口径ファイバのコア、4…大口径ファイバのクラッド、5…マルチコアファイバ、6…マルチコアファイバのコア、7…マルチコアファイバのクラッド。

Claims (3)

  1. 大口径ファイバの周囲に多数のコアを有するマルチコアファイバが形成された複合型光ファイバであって、
    前記大口径ファイバのコアは、純粋石英ガラスからなり、前記大口径ファイバのクラッドは、純粋石英ガラスよりも屈折率が低い石英系ガラスからなり、
    前記マルチコアファイバのコアは、GeOが添加された石英系ガラスからなり、前記マルチコアファイバのクラッドは、純粋石英ガラス又は純粋石英ガラスよりも屈折率が低い石英系ガラスからなることを特徴とする複合型光ファイバ。
  2. 前記純粋石英ガラスよりも屈折率が低い石英系ガラスは、ドーパントとしてフッ素を含有することを特徴とする請求項1に記載の複合型光ファイバ。
  3. 前記マルチコアファイバは、赤外光伝送用であることを特徴とする請求項1または2に記載の複合型光ファイバ。
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