JP2008195877A - カラーフィルター用インクジェットインク及びその製造方法、カラーフィルターの製造方法、並びに液晶表示装置の製造方法 - Google Patents

カラーフィルター用インクジェットインク及びその製造方法、カラーフィルターの製造方法、並びに液晶表示装置の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】長期間にわたってヘッドから吐出した時の直進性や吐出量安定性に優れるカラーフィルター用インクジェットインク及びその製造方法を提供することを主目的とする。
【解決手段】少なくとも顔料、バインダー成分、並びに、主溶剤として特定の溶剤成分を溶剤の全量に対して60重量%以上含有するカラーフィルター用インクジェットインクであって、濾過精度が0.2〜4.0μmのポリプロピレンを主材とする濾過フィルター及び/又は濾過精度が0.2〜4.0μmのポリテトラフルオロエチレンを主材とする濾過フィルターを、0.01〜2MPaの濾過圧力で通過したことを特徴とする、カラーフィルター用インクジェットインクである。
【選択図】なし

Description

本発明は、画素部のような所定パターンの硬化層を形成するのに用いられるカラーフィルター用インクジェットインク、当該インクジェット用インクの製造方法、当該インクジェット用インクを用いてカラーフィルターを製造する方法、並びに当該カラーフィルターを用いて液晶表示装置を製造する方法に関する。
近年、パーソナルコンピューターの発達、特に携帯用パーソナルコンピューターの発達に伴い、液晶ディスプレイ、とりわけカラー液晶ディスプレイの需要が増加する傾向にある。しかしながら、このカラー液晶ディスプレイが高価であることからコストダウンの要求が高まっており、特にコスト的に比重の高いカラーフィルターに対するコストダウンの要求が高い。
このようなカラーフィルターにおいては、通常赤(R)、緑(G)、および青(B)の3原色の着色パターンを備え、R、G、およびBのそれぞれの画素に対応する電極をON、OFFさせることで液晶がシャッターとして作動し、R、G、およびBのそれぞれの画素を光が通過してカラー表示が行われるものである。
従来より行われているカラーフィルターの製造方法としては、例えば染色法が挙げられる。この染色法は、まずガラス基板上に染色用の材料である水溶性の高分子材料を形成し、これをフォトリソグラフィー工程により所望の形状にパターニングした後、得られたパターンを染色浴に浸漬して着色されたパターンを得る。これを3回繰り返すことによりR、G、およびBのカラーフィルター層を形成する。
また、他の方法としては顔料分散法がある。この方法は、まず基板上に顔料を分散した感光性樹脂層を形成し、これをパターニングすることにより単色のパターンを得る。さらにこの工程を3回繰り返すことにより、R、G、およびBのカラーフィルター層を形成する。
さらに他の方法としては、電着法や、熱硬化樹脂に顔料を分散させてR、G、およびBの3回印刷を行った後、樹脂を熱硬化させる方法等を挙げることができる。
しかしながら、いずれの方法も、R、G、及びBの3色を着色するために、同一の工程を3回繰り返す必要があり、コスト高になるという問題や、同様の工程を繰り返すため歩留まりが低下するという問題がある。
これらの問題点を解決したカラーフィルターの製造方法として、基板表面にインクジェット方式でインクを吹き付けて着色層(画素部)を形成する方法が提案されている(特許文献1)。
インクジェット方式でインクを正確なパターンに合わせて吹き付けて画素を形成するためには、吐出ヘッドから吐出する際の直進性、安定性が求められる。しかし、インクの蒸発速度が早すぎると、吐出ヘッドのノズル先端でインクの粘度が急激に増加してインク滴の飛行曲がりが発生したり、時間を空けて間歇的に吐出すると目詰まりを起こして再吐出できなくなったりする。
さらに、ヘッド33のオリフィス表面33aにインクが塗れ広がっていると、図3に示すように正面方向Vxに吐出されたインク滴34が、インクの塗れ広がった方向Vyに引張られ、飛行曲がりが発生する。従って、オリフィス表面でのインクの塗れ広がりによって、吐出の直進性はさらに悪くなる。
また、カラーフィルターの着色剤としては顔料を用いることが多いが、カラーフィルター用インクの顔料分散性が悪いと、顔料粒子同士の凝集により吐出ヘッドのノズル部で目詰まりを起こす。従って、着色剤として顔料を用いる場合には、顔料分散性もインクの吐出性能に影響を与える。
特許文献2には、着色剤、バインダー樹脂、及び、常圧における沸点が250℃以上の溶媒を含有するインクジェット方式カラーフィルター用樹脂組成物が開示されている。この公報に開示されたインクジェット方式カラーフィルター用樹脂組成物は高沸点の溶剤を用いているので、やはり、吐出ヘッドのノズル先端でインクが乾燥し難く、目詰まりを起こし難い。しかし、これらの公報に開示されたインクを基板上に吐出した後は、インク層を乾燥させる過程において、乾燥し難い湿潤剤や高沸点溶剤が最後まで残り、完全に乾燥させることが困難となる。
以上の問題点を解決した、ヘッドから吐出した時の直進性、安定性に優れ、均一性の高いパターンが得られると共に、効率よく乾燥させることができるカラーフィルター用インクジェットインクとして、発明者らは、特許文献3に、少なくともバインダー成分、顔料、及び、溶剤からなり、主溶剤として沸点が180℃〜260℃で且つ常温での蒸気圧が0.5mmHg以下の溶剤成分を、前記溶剤の全量に対して90重量%以上の割合で含有することを特徴とするカラーフィルター用インクジェットインクを開示している。
特開昭59−75205号公報 特開2000−310706号公報 特開2002−201387号公報
特許文献3に記載されているようなインクを用いた場合であっても、1ヶ月以上もの長期間や、数百億ショットもの多くの回数を吐出していると、ヘッドの壁に経時でインクの成分が付着したり、吐出ヘッドのノズル部で目詰まりを起こす等して、吐出されるインクの重量が減少したり、インク滴の飛行曲がりが発生する問題が生じた。このようにヘッドからの吐出量の減少やインク滴の飛行曲がりが発生すると、インクの着弾精度が悪くなり精密且つ均一なパターンを得ることができなくなるため、吐出ヘッドの交換や製造ラインの洗浄を必要とする。短期間や少ないショット回数でノズル部での目詰まりやインク滴の飛行曲がりが発生すると生産効率が低減するため、長期間での吐出安定性が望まれる。
本発明は上記実状に鑑みて成し遂げられたものであり、その第一の目的は、長期間にわたってヘッドから吐出した時の直進性や吐出量安定性に優れるカラーフィルター用インクジェットインク及びその製造方法を提供することにある。
また、本発明の第二の目的は、上記目的を達成するインクジェットインクを用いた生産効率が高いカラーフィルターの製造方法を提供することにある。
また、本発明の第三の目的は、上記目的を達成するカラーフィルターの製造方法を用いた液晶表示装置の製造方法を提供することにある。
本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインクは、少なくとも顔料、バインダー成分、並びに、主溶剤としてエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジブチルエーテル、アジピン酸ジエチル、シュウ酸ジブチル、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、コハク酸ジメチル、及びコハク酸ジエチルよりなる群から選択される1種以上の溶剤成分を溶剤の全量に対して60重量%以上含有するカラーフィルター用インクジェットインクであって、濾過精度が0.2〜4.0μmのポリプロピレンを主材とする濾過フィルター及び/又は濾過精度が0.2〜4.0μmのポリテトラフルオロエチレンを主材とする濾過フィルターを、0.01〜2MPaの濾過圧力で通過したことを特徴とする。
また、本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインクの製造方法は、少なくとも顔料を、主溶剤としてエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジブチルエーテル、アジピン酸ジエチル、シュウ酸ジブチル、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、コハク酸ジメチル、及びコハク酸ジエチルよりなる群から選択される1種以上の溶剤成分を含有する分散体調製溶剤に混合して顔料分散体を調製する工程と、得られた前記顔料分散体、少なくともバインダー成分、及び新たに用意した前記主溶剤を含有する溶剤を混合することにより、溶剤全量に占める前記主溶剤の配合割合を60重量%以上に調節して予備調製インクを調製する工程と、前記予備調製インクを、濾過精度が0.2〜4.0μmのポリプロピレンを主材とする濾過フィルター及び/又は濾過精度が0.2〜4.0μmのポリテトラフルオロエチレンを主材とする濾過フィルターを、0.01〜2MPaの濾過圧力で通過させる濾過工程とを有することを特徴とする。
本発明によれば、上記特定の成分を含有するカラーフィルター用インクジェットインクであって、濾過精度が0.2〜4.0μmのポリプロピレンを主材とする濾過フィルター及び/又は濾過精度が0.2〜4.0μmのポリテトラフルオロエチレンを主材とする濾過フィルターを、0.01〜2MPaの濾過圧力で通過したことにより、長期間にわたってヘッドから吐出した時の直進性や吐出量安定性に優れるカラーフィルター用インクジェットインクを得ることができる。このため、長期間や数百億ショットもの多数回の吐出にわたって吐出ヘッドの交換や製造ラインの洗浄を必要とすることなく、ノズル部での目詰まりやインク滴の飛行曲がりが発生し難い。その結果、長期にわたってインクの着弾精度が良好となり、精密且つ均一なパターンを得ることができるため、カラーフィルターの生産効率が向上するという利点を有する。
本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインクにおいては、前記バインダー成分として、少なくとも下記式(1)で表される構成単位及び下記式(2)で表される構成単位から構成され且つグリシジル基を2個以上有するポリスチレン換算の重量平均分子量が3,000〜20,000のエポキシ基含有重合体、及びポリスチレン換算の重量平均分子量が4,000以下で且つ前記重合体よりも重量平均分子量が小さい一分子中にエポキシ基を2個以上有するエポキシ基含有化合物を含むことが、硬化膜に耐溶剤性や耐熱性を付与する点と、硬化膜の架橋密度を高くしたり、低粘度化によりインクジェット吐出性能を向上させる点を両立させることから、好ましい。
Figure 2008195877
(R1は水素原子または炭素数1〜3のアルキル基であり、R2は炭素数1〜12の炭化水素基である。)
Figure 2008195877
(R3は水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基である。)
本発明に係るカラーフィルターの製造方法は、基板上の所定領域に前記本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインクを、インクジェット方式によって選択的に付着させて着色層を形成する着色層形成工程を含むことを特徴とする。
本発明に係るカラーフィルターの製造方法は、上記本発明に係る長期吐出安定性に優れたインクジェットインクを用いてインクジェット方式によって選択的に付着させてインク層を形成する工程を有することにより、良好にパターニングされた画素を備え、表示不良が低減されたカラーフィルターを生産効率良く製造することが可能である。
上記本発明に係るカラーフィルターの製造方法においては、前記基板が基材と当該基材上に形成された遮光部とを有するものであり、前記基板の遮光部が撥液性材料を含有していることが好ましい。この場合にも、上記着色層形成工程において上記遮光部によって囲まれた開口部に吐出されたインクジェットインクが、隣接する開口部へ漏出することを効果的に防止できるため、本発明により製造されるカラーフィルターに混色が生じることを防止できるからである。
上記本発明に係るカラーフィルターの製造方法においては、前記基板が基材と当該基材上に形成された遮光部とを有するものであり、前記着色層形成工程の前に、前記基板の遮光部を撥液化する撥液化工程を更に含むことが好ましい。この場合には、上記着色層形成工程において上記遮光部によって囲まれた開口部に吐出されたインクジェットインクが、隣接する開口部へ漏出することを効果的に防止できるため、本発明により製造されるカラーフィルターに混色が生じることを防止できるからである。
上記本発明に係るカラーフィルターの製造方法においては、前記着色層形成工程の前に、前記基板表面の所定領域の表面を親液化する親液化工程を更に含むことが好ましい。この場合には、着色層形成領域にインクを付着させた後、インクの濡れ広がり性がより向上し、色抜けや膜厚ムラを効果的に防止でき、より表示不良が低減されたカラーフィルターを得ることができるからである。
また、本発明に係る液晶表示装置の製造方法は、上記本発明に係るカラーフィルターの製造方法を用いてカラーフィルターを製造する工程と、当該製造されたカラーフィルターと液晶駆動側基板を対向させて組み立てる工程を有する。
本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインクは、長期間にわたってヘッドから吐出した時の直進性や吐出量安定性に優れる。このため、長期間や数百億ショットもの多数回の吐出にわたって吐出ヘッドの交換や製造ラインの洗浄を必要とすることなく、ノズル部での目詰まりやインク滴の飛行曲がりが発生し難い。その結果、長期にわたってインクの着弾精度が良好となり、精密且つ均一なパターンを得ることができるため、カラーフィルターの生産効率が向上するという利点を有する。
本発明に係るインクを用いたカラーフィルターの製造方法によれば、良好にパターニングされた画素を備え、表示不良が低減されたカラーフィルターを生産効率良く製造することが可能である。
また、本発明に係る液晶表示装置の製造方法によれば、表示不良が低減されたより性能の良いカラーフィルターを用いることから、高品質な液晶表示装置とすることができる。
本発明は、カラーフィルター用インクジェットインク、及びその製造方法、カラーフィルターの製造方法、並びに、液晶表示装置の製造方法に関するものである。以下、カラーフィルター用インクジェットインク、及びその製造方法、カラーフィルターの製造方法、並びに、液晶表示装置の製造方法について順に説明する。なお本発明において光には、可視及び非可視領域の波長の電磁波、さらには放射線が含まれ、放射線には、例えばマイクロ波、電子線が含まれる。具体的には、波長5μm以下の電磁波、及び電子線のことを言う。また本発明において(メタ)アクリルとはアクリル又はメタクリルのいずれかであることを意味し、(メタ)アクリレートとはアクリレート又はメタクリレートのいずれかであることを意味し、(メタ)アクリロイルとはアクリロイル又はメタクリロイルのいずれかであることを意味する。
1.カラーフィルター用インクジェットインク
本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインクは、少なくとも顔料、バインダー成分、並びに、主溶剤としてエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジブチルエーテル、アジピン酸ジエチル、シュウ酸ジブチル、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、コハク酸ジメチル、及びコハク酸ジエチルよりなる群から選択される1種以上の溶剤成分を溶剤の全量に対して60重量%以上含有するカラーフィルター用インクジェットインクであって、濾過精度が0.2〜4.0μmのポリプロピレンを主材とする濾過フィルター及び/又は濾過精度が0.2〜4.0μmのポリテトラフルオロエチレンを主材とする濾過フィルターを、0.01〜2MPaの濾過圧力で通過したことを特徴とする。
本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインクは、カラーフィルターにおける画素や遮光部等の着色層を、インクジェット方式により形成するのに適したインクである。
カラーフィルター用インクジェットインクは、所定の溶剤中に顔料が分散されたものであって、更にバインダー成分を含むものである。インク中に含まれる顔料は、分散方法によって分散粒子径が様々な値や分布になる。インク中の顔料成分などは、インクジェット吐出によって凝集を引き起こす場合がある。このようなインクジェットインクは、1ヶ月以上もの長期間や、数百億ショットもの多くの回数を吐出していると、ヘッドの壁に経時でインクの成分が付着して吐出ヘッドのノズル部で目詰まりを起こす等して、吐出されるインクの重量が減少したり、インク滴の飛行曲がりが発生する問題が生じた。
この点、本発明によれば、所定の溶剤中に顔料とバインダー成分を含むインクについて、濾過精度が0.2〜4.0μmのポリプロピレンを主材とする濾過フィルター及び/又は濾過精度が0.2〜4.0μmのポリテトラフルオロエチレンを主材とする濾過フィルターを、0.01〜2MPaの濾過圧力で通過したことにより、長期間にわたってヘッドから吐出した時の直進性や吐出量安定性に優れるカラーフィルター用インクジェットインクを得ることができる。
本発明のカラーフィルター用インクジェットインクが、上記濾過精度が0.2〜4.0μmのポリプロピレンを主材とする濾過フィルター及び/又は濾過精度が0.2〜4.0μmのポリテトラフルオロエチレンを主材とする濾過フィルターを0.01〜2MPaの濾過圧力で通過させたことにより、長期間にわたってヘッドから吐出した時の直進性や吐出量安定性に優れるのは次のような理由によるものと考えられる。
カラーフィルター用インクジェットインクは、上述のように、様々な粒子径を有する粒子が所定の溶媒中に分散されている上、粒子は帯電している場合が多い。インクジェットの吐出ヘッドのノズル径は通常10μm〜50μm程度である。一方、カラーフィルター用インクジェットインクの場合、粒子の分散平均粒子径は通常0.02〜5μm程度であるため、フィルター孔径よりも大きい粒子は通り抜けることができず除去される原理に基づいた、精密濾過法を用いた濾過を吐出安定性の向上に適用可能と考えられた。しかしながら、上記インクジェットインクに用いる所定の溶媒を通過させることにより、インク中に濾過フィルター成分が含有されるとカラーフィルターに悪影響を及ぼす可能性がある。また、インク中には帯電している成分が含まれるため、インクの濾過に際しては、フィルター孔径よりも小さな粒子がフィルター内部を通過する際にゼータ電位、濃度、ブラウン運動による拡散、さえぎり、静電気的な力などにより、濾材に接触した結果、インク濾過重量を低下させるデプス濾過作用も考慮すべきと考えられた。ここで、デプス濾過作用は、濾過流速、粒子の電位などによっても影響されるものである。
それに対し、本発明のインクの濾過に用いられる濾過フィルターは、濾過精度が0.2〜4.0μmでポリプロピレンを主材とするものか、 或いは、濾過精度が0.2〜4.0μmでポリテトラフルオロエチレンを主材とするものという、特定の濾過精度と材質を組み合わせた上、さらに0.01〜2MPaという所定の濾過圧力を組み合わせて濾過する。このため、上記インクジェットインクに用いる所定の溶媒を通過させることによりインク中に濾過フィルター成分が含有されることなく、インク中に存在する顔料を主体とした着色微粒子の凝集物やその他の異物、更にノズル等に付着しやすい成分を除去できる。その結果、インクジェットヘッドの内部流路を着色微粒子の凝集物やその他の異物が閉塞したり、ノズル等にインク成分が付着することが抑制されると共に、インク中の微粒子の粒子径分布が狭く比較的均一化されることにより、長期間にわたってヘッドから吐出した時の直進性や吐出量安定性に優れるカラーフィルター用インクジェットインクが得られると推定される。
以下、本発明に係るインクジェットインクに用いられる成分をまず説明する。
(顔料)
着色剤は、画素(画素部)のR、G、B等やブラックマトリックス層の求める色に合わせて、有機着色剤及び無機着色剤の中から任意のものを選んで使用することができる。有機着色剤としては、例えば、染料、有機顔料、天然色素等を用いることができる。また、無機着色剤としては、例えば、無機顔料、体質顔料等を用いることができる。これらの中で顔料は、発色性が高く、耐熱性も高いので、好ましく用いられる。有機顔料としては、例えばカラーインデックス(C.I.;The Society of Dyers and Colourists 社発行) においてピグメント(Pigment)に分類されている化合物、具体的には、下記のようなカラーインデックス(C.I.)番号が付されているものを挙げることができる。
C.I.ピグメントイエロー1、C.I.ピグメントイエロー3、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー16、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー20、C.I.ピグメントイエロー24、C.I.ピグメントイエロー31、C.I.ピグメントイエロー55、C.I.ピグメントイエロー60、C.I.ピグメントイエロー61、C.I.ピグメントイエロー65、C.I.ピグメントイエロー71、C.I.ピグメントイエロー73、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー81、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー95、C.I.ピグメントイエロー97、C.I.ピグメントイエロー98、C.I.ピグメントイエロー100、C.I.ピグメントイエロー101、C.I.ピグメントイエロー104、C.I.ピグメントイエロー106、C.I.ピグメントイエロー108、C.I.ピグメントイエロー109、C.I.ピグメントイエロー110、C.I.ピグメントイエロー113、C.I.ピグメントイエロー114、C.I.ピグメントイエロー116、C.I.ピグメントイエロー117、C.I.ピグメントイエロー119、C.I.ピグメントイエロー120、C.I.ピグメントイエロー126、C.I.ピグメントイエロー127、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー129、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー151、C.I.ピグメントイエロー152、C.I.ピグメントイエロー153、C.I.ピグメントイエロー154、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー156、C.I.ピグメントイエロー166、C.I.ピグメントイエロー168、C.I.ピグメントイエロー175;
C.I.ピグメントオレンジ1、C.I.ピグメントオレンジ5、C.I.ピグメントオレンジ13、C.I.ピグメントオレンジ14、C.I.ピグメントオレンジ16、C.I.ピグメントオレンジ17、C.I.ピグメントオレンジ24、C.I.ピグメントオレンジ34、C.I.ピグメントオレンジ36、C.I.ピグメントオレンジ38、C.I.ピグメントオレンジ40、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントオレンジ46、C.I.ピグメントオレンジ49、C.I.ピグメントオレンジ51、C.I.ピグメントオレンジ61、C.I.ピグメントオレンジ63、C.I.ピグメントオレンジ64、C.I.ピグメントオレンジ71、C.I.ピグメントオレンジ73;C.I.ピグメントバイオレット1、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントバイオレット23、C.I.ピグメントバイオレット29、C.I.ピグメントバイオレット32、C.I.ピグメントバイオレット36、C.I.ピグメントバイオレット38;
C.I.ピグメントレッド1、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド4、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド8、C.I.ピグメントレッド9、C.I.ピグメントレッド10、C.I.ピグメントレッド11、C.I.ピグメントレッド12、C.I.ピグメントレッド14、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド17、C.I.ピグメントレッド18、C.I.ピグメントレッド19、C.I.ピグメントレッド21、C.I.ピグメントレッド22、C.I.ピグメントレッド23、C.I.ピグメントレッド30、C.I.ピグメントレッド31、C.I.ピグメントレッド32、C.I.ピグメントレッド37、C.I.ピグメントレッド38、C.I.ピグメントレッド40、C.I.ピグメントレッド41、C.I.ピグメントレッド42、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド48:2、C.I.ピグメントレッド48:3、C.I.ピグメントレッド48:4、C.I.ピグメントレッド49:1、C.I.ピグメントレッド49:2、C.I.ピグメントレッド50:1、C.I.ピグメントレッド52:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド57:2、C.I.ピグメントレッド58:2、C.I.ピグメントレッド58:4、C.I.ピグメントレッド60:1、C.I.ピグメントレッド63:1、C.I.ピグメントレッド63:2、C.I.ピグメントレッド64:1、C.I.ピグメントレッド81:1、C.I.ピグメントレッド83、C.I.ピグメントレッド88、C.I.ピグメントレッド90:1、C.I.ピグメントレッド97、C.I.ピグメントレッド101、C.I.ピグメントレッド102、C.I.ピグメントレッド104、C.I.ピグメントレッド105、C.I.ピグメントレッド106、C.I.ピグメントレッド108、C.I.ピグメントレッド112、C.I.ピグメントレッド113、C.I.ピグメントレッド114、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド146、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド150、C.I.ピグメントレッド151、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド168、C.I.ピグメントレッド170、C.I.ピグメントレッド171、C.I.ピグメントレッド172、C.I.ピグメントレッド174、C.I.ピグメントレッド175、C.I.ピグメントレッド176、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド179、C.I.ピグメントレッド180、C.I.ピグメントレッド185、C.I.ピグメントレッド187、C.I.ピグメントレッド188、C.I.ピグメントレッド190、C.I.ピグメントレッド193、C.I.ピグメントレッド194、C.I.ピグメントレッド202、C.I.ピグメントレッド206、C.I.ピグメントレッド207、C.I.ピグメントレッド208、C.I.ピグメントレッド209、C.I.ピグメントレッド215、C.I.ピグメントレッド216、C.I.ピグメントレッド220、C.I.ピグメントレッド224、C.I.ピグメントレッド226、C.I.ピグメントレッド242、C.I.ピグメントレッド243、C.I.ピグメントレッド245、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド255、C.I.ピグメントレッド264、C.I.ピグメントレッド265;
C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントブルー60;C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36;C.I.ピグメントブラウン23、C.I.ピグメントブラウン25;C.I.ピグメントブラック1、ピグメントブラック7。
また、前記無機顔料あるいは体質顔料の具体例としては、酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、亜鉛華、硫酸鉛、黄色鉛、亜鉛黄、べんがら(赤色酸化鉄(III))、カドミウム赤、群青、紺青、酸化クロム緑、コバルト緑、アンバー、チタンブラック、合成鉄黒、カーボンブラック等を挙げることができる。本発明において、顔料は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
カラーフィルターの基材上に、本発明のインクジェットインクを用いてブラックマトリックス層のパターンを形成する場合には、インクジェットインク中に遮光性の高い黒色顔料を配合する。遮光性の高い黒色顔料としては、例えば、カーボンブラックや酸窒化チタンなどの無機系着色剤、或いは、シアニンブラックなどの有機系着色剤を使用できる。
遮光性の高い顔料を含有するインクジェットインクで形成したインク層は、内部にまで光が到達し難いので、本発明のインクジェットインクを用いてブラックマトリックス層のパターンを形成する場合には、後述するバインダーは、光硬化性のバインダーを用いるよりも、熱硬化性バインダーを用いるのが好ましい。ただし、インク層の厚さや露光時間を長くするなど硬化方法を調節することによって、光でも硬化させることが可能である。
本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインクの一実施形態としては、前記顔料として、C.I.ピグメントレッド254(PR254)、C.I.ピグメントレッド177(PR177)、及びC.I.ピグメントイエロー150(PY150)よりなる群から選択される1種以上の顔料が含まれ、赤色用であることが挙げられる。
本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインクの他の一実施形態としては、前記顔料として、C.I.ピグメントグリーン36(PG36)、C.I.ピグメントグリーン7(PG7)、C.I.ピグメントイエロー150(PY150)、及びC.I.ピグメントイエロー138(PY138)よりなる群から選択される1種以上の顔料が含まれ、緑色用であることが挙げられる。
本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインクの他の一実施形態としては、前記顔料として、C.I.ピグメントブルー15:6(PB15:6)及び/又はC.I.ピグメントバイオレット23(PV23)が含まれ、青色用であることが挙げられる。
画素を形成する場合には、顔料をインクジェットインクの固形分全量に対して、通常は1〜60重量%、好ましくは15〜40重量%の割合で配合する。顔料が少なすぎると、インクジェットインクを所定の膜厚(乾燥時、通常は0.1〜2.5μm)に塗布した際の透過濃度が十分でないおそれがある。また、顔料が多すぎると、インクジェットインクを基板上へ塗布し硬化させた際の基板への密着性、硬化膜の表面荒れ、塗膜硬さ等の塗膜としての特性が不十分となるおそれがある。
(バインダー成分)
本発明に係るインクジェットインクは、成膜性や被塗工面に対する密着性を付与するために、バインダー成分を含有する。本発明において、バインダー成分とはインク中に含まれる、画素を所定の位置に付着させ固定するために含有させる成分であり、通常は混合物である。
本発明に係るインクジェットインクは、インクジェット方式に用いるインクであるため、所定のパターンを形成するためには、所定のパターン形成領域にのみインクを選択的に付着させて固化すれば形成することができ、露光及び現像を行なうことによりパターンを形成する必要がない。従って、バインダー成分としては、それ自体は重合反応性のない樹脂のみから構成されるような単に乾燥固化するバインダー成分を用いてもよい。しかしながら、塗工膜に十分な強度、耐久性、密着性を付与するためには、インクジェット方式により基板上にインク層(塗工膜)のパターンを形成後、当該インク層を重合反応により硬化させることのできるバインダー成分を用いるのが好ましく、例えば、可視光線、紫外線、電子線等により重合硬化させることができる光硬化性のバインダー成分や、加熱により重合硬化させることができる熱硬化性のバインダー成分のような、重合硬化可能なバインダー成分を用いることができる。
(1)熱硬化性バインダー成分
熱硬化性バインダーとしては、1分子中に熱硬化性官能基を2個以上有する化合物と硬化剤の組み合わせが通常用いられ、更に、熱硬化反応を促進できる触媒を添加しても良い。熱硬化性官能基としてはエポキシ基が好ましく用いられる。また、これらにそれ自体は重合反応性のない重合体を更に用いても良い。
1分子中に熱硬化性官能基を2個以上有する化合物として、通常は、1分子中にエポキシ基2個以上を有するエポキシ化合物が用いられる。1分子中にエポキシ基2個以上を有するエポキシ化合物は、エポキシ基を2個以上、好ましくは2〜50個、より好ましくは2〜20個を1分子中に有するエポキシ化合物(エポキシ樹脂と称されるものを含む)である。エポキシ基は、オキシラン環構造を有する構造であればよく、例えば、グリシジル基、オキシエチレン基、エポキシシクロヘキシル基等を示すことができる。エポキシ化合物としては、カルボン酸により硬化しうる公知の多価エポキシ化合物を挙げることができ、このようなエポキシ化合物は、例えば、新保正樹編「エポキシ樹脂ハンドブック」日刊工業新聞社刊(昭和62年)等に広く開示されており、これらを用いることが可能である。
エポキシ化合物としては、硬化膜に耐溶剤性や耐熱性を付与するために、比較的分子量の高い重合体と、硬化膜の架橋密度を高くしたり、低粘度化によりインクジェット吐出性能を向上させるために、比較的分子量の低い化合物とを併用することが好ましい。
比較的分子量の高い重合体であるエポキシ化合物(以下、「バインダー性エポキシ化合物」ということがある)としては、少なくとも下記式(1)で表される構成単位及び下記式(2)で表される構成単位から構成され且つグリシジル基を2個以上有する重合体を用いることができる。
Figure 2008195877
(R1は水素原子または炭素数1〜3のアルキル基であり、R2は炭素数1〜12の炭化水素基である。)
Figure 2008195877
(R3は水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基である。)
式(1)で表される構成単位は、下記式(3)で表されるモノマーから誘導される。
Figure 2008195877
(R1およびR2は式(1)と同じである。)
式(3)で表されるモノマーをバインダー性エポキシ化合物の構成単位として用いることにより、本発明の硬化性樹脂組成物から形成される硬化塗膜に充分な硬度および透明性を付与することができる。式(3)において、R2は、炭素数1〜12の炭化水素基であり、直鎖脂肪族、脂環式、芳香族いずれの炭化水素基であってもよく、さらに付加的な構造、例えば二重結合、炭化水素基の側鎖、スピロ環の側鎖、環内架橋炭化水素基等を含んでいてもよい。
上記式(3)で表されるモノマーとして具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、パラ−t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート等を例示することができる。
式(3)において、R1として好ましいのは水素またはメチル基であり、R2として好ましいのは炭素数1〜12のアルキル基であり、そのなかでも特にメチル基及びシクロヘキシル基が好ましい。上記式(3)で表されるモノマーのなかで好ましいものとして、具体的にはメチルメタクリレート(MMA)及びシクロヘキシルメタクリレート(CHMA)を挙げることができる。
重合体中の式(2)で表される構成単位は、下記式(4)で表されるモノマーから誘導される。
Figure 2008195877
(R3は式(2)と同じである。)
式(4)で表されるモノマーは、重合体中にエポキシ基(エポキシの反応点)を導入するために用いられる。当該重合体を含有する硬化性樹脂組成物は保存安定性に優れており、保存中および吐出作業中に粘度上昇を生じ難いが、その理由の一つは式(2)または式(4)中のエポキシ基がグリシジル基だからであると推測される。式(4)で表されるモノマーの代わりに脂環式エポキシアクリレートを用いると、硬化性樹脂組成物の粘度が上昇しやすい。
式(4)において、R3として好ましいのは水素またはメチル基である。式(4)で表されるモノマーとして、具体的にはグリシジル(メタ)アクリレートを例示することができ、特にグリシジルメタクリレート(GMA)が好ましい。
上記重合体は、ランダム共重合体であってもよいし、ブロック共重合体であってもよい。また、上記重合体は、カラーフィルターの各細部に必要とされる性能、例えば硬度や透明性等が確保できる限り、式(1)あるいは式(2)以外の主鎖構成単位を含んでいてもよい。そのようなモノマーとして具体的には、アクリロニトリル、スチレン等を例示することができる。
上記バインダー性エポキシ化合物中の式(1)の構成単位と式(2)の構成単位の含有量は、式(1)の構成単位を誘導する単量体と式(2)の構成単位を誘導する単量体との仕込み重量比(式(1)を誘導する単量体:式(2)を誘導する単量体)で表した時に、10:90〜90:10の範囲にあるのが好ましい。
式(1)の構成単位の量が上記の比10:90よりも過剰な場合には、硬化の反応点が少なくなって架橋密度が低くなるおそれがあり、一方、式(2)の構成単位の量が上記の比90:10よりも過剰な場合には、嵩高い骨格が少なくなって硬化収縮が大きくなるおそれがある。
また、上記バインダー性エポキシ化合物の重量平均分子量は、ポリスチレン換算重量平均分子量で表した時に3,000以上、特に4,000以上であることが好ましい。上記バインダー性エポキシ化合物の分子量が3,000よりも小さすぎるとカラーフィルターの細部としての硬化樹脂層に要求される強度、耐溶剤性等の物性が不足し易いからである。また、本発明に係るインクはインクジェット方式に用いられるので、上記バインダー性エポキシ化合物の重量平均分子量は、ポリスチレン換算重量平均分子量で表した時に20,000以下であることが好ましく、更に15,000以下であることが特に好ましい。当該分子量が20,000よりも大きすぎると粘度上昇が起こり易くなり、吐出ヘッドから吐出する時の吐出量の安定性や吐出方向の直進性が悪くなるおそれや、長期保存の安定性が悪くなるおそれがあるからである。
上記バインダー性エポキシ化合物としては、ポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)が上記範囲にあるグリシジルメタクリレート(GMA)/メチルメタクリレート(MMA)系共重合体を用いるのが特に好ましい。なお、GMA/MMA系共重合体は本発明の目的を達成し得るものである限り、他のモノマー成分を含有していてもよい。
上記バインダー性エポキシ化合物の合成例としては、例えば、温度計、還流冷却器、攪拌機、滴下ロートを備えた4つ口フラスコに、水酸基を含有しない溶剤を仕込み、攪拌しながら140℃に昇温する。水酸基を含有しない溶剤を用いるのは、合成反応の最中にエポキシ基が分解するのを避けるためである。次いで上記式(3)で表されるモノマー、上記式(4)で表されるモノマー、及び、必要に応じて他のモノマーを組み合わせた組成物と重合開始剤の混合物(滴下成分)を、2時間かけて滴下ロートより等速滴下する。滴下終了後、110℃に降温して触媒を追加し3時間反応させ、130℃に昇温し2時間保ったところで反応を終了することにより、上記バインダー性エポキシ化合物が得られる。
本発明に用いられる熱硬化性バインダー成分には、一分子中にエポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物であって、上記バインダー性エポキシ化合物よりも分子量が小さいもの(以下、「多官能エポキシ化合物」ということがある。)を添加するのが好ましい。多官能エポキシ化合物のポリスチレン換算の重量平均分子量は、これと組み合わせるバインダー性エポキシ化合物よりも小さいことを条件に、4,000以下が好ましく、3,000以下が特に好ましい。
なお、エポキシ化合物のポリスチレン換算重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により求めることができ、測定条件としては、例えば、テトラヒドロフランを展開液とし、HLC−8029(東ソー株式会社製)を用いて測定することができる。
上記バインダー性エポキシ化合物には、エポキシ基(グリシジル基)が式(2)で表される構成単位によって導入されているため、上記共重合体の分子内に導入できるエポキシ量には限界がある。硬化性樹脂組成物に比較的分子量が小さい多官能エポキシ化合物を添加すると、硬化性樹脂組成物中にエポキシ基が補充されてエポキシの反応点濃度が増加し、架橋密度を高めることができる。
多官能エポキシ化合物の中でも、酸−エポキシ反応の架橋密度を上げるためには、一分子中にエポキシ基を4個以上有するエポキシ化合物を用いるのが好ましい。特に、本発明の硬化性樹脂組成物をインクジェット方式で用いる場合であって、インクジェット方式の吐出ヘッドからの吐出性を向上させるために前記バインダー性エポキシ化合物の重量平均分子量を10,000以下とした場合には、硬化樹脂層の強度や硬度が低下し易いので、そのような4官能以上の多官能エポキシ化合物を硬化性樹脂組成物に配合して架橋密度を充分に上げるのが好ましい。
多官能エポキシ化合物としては、一分子中にエポキシ基を2個以上含有するものであれば特に制限はなく、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ジフェニルエーテル型エポキシ樹脂、ハイドロキノン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、3官能型エポキシ樹脂、テトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールA含核ポリオール型エポキシ樹脂、ポリプロピレングリコール型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、グリオキザール型エポキシ樹脂、脂環型エポキシ樹脂、複素環型エポキシ樹脂などを使用できる。
より具体的には、商品名jER828(ジャパンエポキシレジン社製)などのビスフェノールA型エポキシ樹脂、商品名YDF−175S(東都化成社製)などのビスフェノールF型エポキシ樹脂、商品名YDB−715(東都化成社製)などの臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、商品名EPICLON EXA1514(大日本インキ化学工業社製)などのビスフェノールS型エポキシ樹脂、商品名YDC−1312(東都化成社製)などのハイドロキノン型エポキシ樹脂、商品名EPICLON EXA4032(大日本インキ化学工業社製)などのナフタレン型エポキシ樹脂、商品名jERYX4000H(ジャパンエポキシレジン社製)などのビフェニル型エポキシ樹脂、商品名jER157S70(ジャパンエポキシレジン社製)などのビスフェノールA型ノボラック系エポキシ樹脂、商品名jER154(ジャパンエポキシレジン社製)、商品名YDPN−638(東都化成社製)などのフェノールノボラック型エポキシ樹脂、商品名YDCN−701(東都化成社製)などのクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、商品名EPICLON HP−7200(大日本インキ化学工業社製)などのジシクロペンタジエンフェノール型エポキシ樹脂、商品名jER1032H60(ジャパンエポキシレジン社製)などのトリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、商品名VG3101M80(三井化学社製)などの3官能型エポキシ樹脂、商品名jER1031S(ジャパンエポキシレジン社製)などのテトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂、商品名デナコールEX−411(ナガセ化成工業社製)などの4官能型エポキシ樹脂、商品名ST−3000(東都化成社製)などの水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、商品名jER190P(ジャパンエポキシレジン社製)などのグリシジルエステル型エポキシ樹脂、商品名YH−434(東都化成社製)などのグリシジルアミン型エポキシ樹脂、商品名YDG−414(東都化成社製)などのグリオキザール型エポキシ樹脂、商品名エポリードGT−401(ダイセル化学社製)などの脂環式多官能エポキシ化合物、トリグリシジルイソシアネート(TGIC)などの複素環型エポキシ樹脂などを例示することができる。また、必要であれば、エポキシ反応性希釈剤として、商品名ネオトートE(東都化成社製)などを混合することができる。
これらの多官能エポキシ化合物の中でも、商品名jER157S70(ジャパンエポキシレジン社製)などのビスフェノールA型ノボラック系エポキシ樹脂、及び、商品名YDCN−701(東都化成社製)などのクレゾールノボラック型エポキシ樹脂が特に好ましい。
本発明に用いられる熱硬化性バインダー成分には、通常、硬化剤が組み合わせて配合される。硬化剤としては、例えば、多価カルボン酸無水物または多価カルボン酸を用いる。
多価カルボン酸無水物の具体例としては、無水フタル酸、無水イタコン酸、無水コハク酸、無水シトラコン酸、無水ドデセニルコハク酸、無水トリカルバリル酸、無水マレイン酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水ジメチルテトラヒドロフタル酸、無水ハイミック酸、無水ナジン酸などの脂肪族または脂環族ジカルボン酸無水物;1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物などの脂肪族多価カルボン酸二無水物;無水ピロメリット酸、無水トリメリット酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸などの芳香族多価カルボン酸無水物;エチレングリコールビストリメリテイト、グリセリントリストリメリテイトなどのエステル基含有酸無水物を挙げることができ、特に好ましくは、芳香族多価カルボン酸無水物を挙げることができる。また、市販のカルボン酸無水物からなるエポキシ樹脂硬化剤も好適に用いることができる。
また、本発明に用いられる多価カルボン酸の具体例としては、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ブタンテトラカルボン酸、マレイン酸、イタコン酸などの脂肪族多価カルボン酸;ヘキサヒドロフタル酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、シクロペンタンテトラカルボン酸などの脂肪族多価カルボン酸、およびフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸などの芳香族多価カルボン酸を挙げることができ、好ましくは芳香族多価カルボン酸を挙げることができる。
これら多価カルボン酸無水物および多価カルボン酸は、1種単独でも2種以上の混合でも用いることができる。本発明に用いられる硬化剤の配合量は、エポキシ基を含有する成分(モノマーと樹脂)100重量部当たり、通常は1〜100重量部の範囲であり、好ましくは5〜50重量部である。硬化剤の配合量が1重量部未満であると、硬化が不充分となり、強靭な塗膜を形成することができない。また、硬化剤の配合量が100重量部を超えると、塗膜の基板に対する密着性が劣るうえに、均一で平滑な塗膜を形成することができない。
また、本発明において熱硬化性バインダー成分には、硬化樹脂層の硬度および耐熱性を向上させるために、酸−エポキシ間の熱硬化反応を促進できる触媒を添加してもよい。そのような触媒としては、加熱硬化時に活性を示す熱潜在性触媒を用いることができる。
熱潜在性触媒は、加熱されたとき、触媒活性を発揮し、硬化反応を促進し、硬化物に良好な物性を与えるものであり、必要により加えられるものである。この熱潜在性触媒は、60℃以上の温度で酸触媒活性を示すものが好ましく、このようなものとしてプロトン酸をルイス塩基で中和した化合物、ルイス酸をルイス塩基で中和した化合物、ルイス酸とトリアルキルホスフェートの混合物、スルホン酸エステル類、オニウム化合物類等が挙げられ、前記特開平4−218561号公報に記載されているような各種の化合物を使用することができる。具体的には、(イ)ハロゲノカルボン酸類、スルホン酸類、リン酸モノ及びジエステル類などを、アンモニア、モノメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、エタノールアミン類などの各種アミン若しくはトリアルキルホスフィン等で中和した化合物、(ロ)BF3、FeCl3、SnCl4、AlCl3、ZnCl2などのルイス酸を前述のルイス塩基で中和した化合物、(ハ)メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸などと第一級アルコール、第二級アルコールとのエステル化合物、(ニ)第一級アルコール類、第二級アルコール類のリン酸モノエステル化合物、リン酸ジエステル化合物等を挙げることができる。また、オニウム化合物としては、アンモニウム化合物[R3NR']+X-、スルホニウム化合物[R3SR']+X-、オキソニウム化合物[R3OR']+X-等を挙げることができる。なお、ここでR及びR'はアルキル、アルケニル、アリール、アルコキシ等である。
(2)光硬化性バインダー成分
紫外線、電子線等の光により重合硬化させることができる光硬化性樹脂を含むバインダー成分においては、成膜性や被塗工面に対する密着性を付与することを目的として比較的分子量の高い重合体を含むことが好ましい。ここでいう比較的分子量が高いとは、所謂モノマーやオリゴマーよりも分子量が高いことをいい、重量平均分子量5,000以上を目安にすることができる。比較的分子量の高い重合体としては、それ自体は重合反応性のない重合体、及び、それ自体が重合反応性を有する重合体のいずれを用いてもよく、また、2種以上を組み合わせて用いても良い。そして、比較的分子量の高い重合体を主体とし、必要に応じて、光重合性官能基を2つ以上有する多官能モノマーやオリゴマー、光重合性官能基を1つ有する単官能のモノマーやオリゴマー、光により活性化する光重合開始剤、及び、増感剤などを配合して、光硬化性バインダー成分を構成する。
それ自体は重合反応性のない重合体を比較的分子量の高い重合体として用いる場合には、バインダー成分に、光重合性官能基を2つ以上有する多官能モノマー、オリゴマーのような多官能重合性成分を配合する。この場合、バインダー系内において、多官能重合性成分が光照射によりそれ自体が自発的に重合するか、或いは、光照射により活性化した光重合開始剤等の他の成分の作用により重合して塗工膜中にネットワーク構造を形成し、当該ネットワーク構造内に重合反応性のない樹脂や顔料などの成分が包み込まれて硬化する。
そのような重合反応性のない重合体としては、例えば、次のモノマーの2種以上からなる共重合体を用いることができる:アクリル酸、メタクリル酸、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、スチレン、ポリスチレンマクロモノマー、及びポリメチルメタクリレートマクロモノマー。
より具体的には、メタクリル酸/ベンジルメタクリレート共重合体、メタクリル酸/ベンジルメタクリレート/スチレン共重合体、ベンジルメタクリレート/スチレン共重合体、ベンジルメタクリレートマクロモノマー/スチレン共重合体、ベンジルメタクリレート/スチレンマクロモノマー共重合体などを例示することができる。
それ自体が重合反応性を有する重合体としては、非重合性バインダーの分子に重合性の官能基を導入してなるオリゴマー又はオリゴマーよりも大分子量のポリマーであって、光照射を受けてそれ自体が重合反応を生じるか、或いは、光照射を受けて活性化した光重合開始剤などの他の成分の作用により重合反応を誘起するものを用いることができる。
各種のエチレン性二重結合含有化合物は、それ自体が重合反応性を有し、光硬化性樹脂として利用できる。従来において、例えばインク、塗料、接着剤などの各種分野で用いられているUV硬化性樹脂組成物に配合されているプレポリマーは、本発明における比較的分子量の高い重合体として使用できる。従来から知られているプレポリマーとしては、ラジカル重合型プレポリマー、カチオン重合型プレポリマー、チオール・エン付加型プレポリマーなどがあるが、いずれを用いてもよい。
この中で、ラジカル重合型プレポリマーは、市場において最も容易に入手でき、例えば、エステルアクリレート類、エーテルアクリレート類、ウレタンアクリレート類、エポキシアクリレート類、アミノ樹脂アクリレート類、アクリル樹脂アクリレート類、不飽和ポリエステル類などを例示できる。
本発明に係るインクの粘度が高すぎて吐出ヘッドからの吐出性に悪影響を及ぼさないように、それ自体が重合反応性を有する重合体として用いられるエチレン性二重結合含有化合物の分子量は、重量平均分子量で25,000以下であることが好ましい。
比較的分子量の高い重合体は、インクの固形分全量に対して、通常、1〜50重量%の割合で配合する。ここで、配合割合を特定するためのインクの固形分とは、溶剤を除く全ての成分を含み、液状の重合性モノマー等も固形分に含まれる。
それ自体が重合反応性を有する重合体を用いる場合にも、塗膜の強度や基盤に対する密着性を向上させるためには、多官能のモノマーやオリゴマーなどの多官能重合性成分を配合するのが好ましい。重合性を有する比較的分子量の高い重合体の分子は、比較的分子量の高い重合体同士で重合するだけでなく、多官能モノマー等の他の重合性成分とも重合してネットワークを形成し、硬化する。
塗工膜のネットワーク構造を形成する多官能重合性成分としては、2官能以上のモノマー又はオリゴマーを用いることができる。光硬化性樹脂に十分な膜強度や密着性を付与するために、通常は4官能以上のモノマーやオリゴマーが用いられている。
しかしながら、本発明に係るインクは、インクジェット方式のインクとして用いられるので、比較的分子量の高い重合体以外の重合性成分としては、官能基数が比較的少ない2官能乃至3官能のモノマー又はオリゴマーやモノマーを主体として用いるのが好ましく、粘度が100mPa・s以下の2乃至3官能モノマーを用いるのが特に好ましい。インクジェット方式の吹き付け作業中に、ヘッドの先端での粘度上昇が起こり難くなり、ヘッドの目詰まりが発生せず、作業中におけるインクの吐出性が安定するため、インクの吐出量や吐出方向が安定し、インクを基板上に所定のパターン通り正確に、且つ、均一に付着させることができるからである。
2官能乃至3官能のモノマーとしては、例えば、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、3−ブチレングリコールジメタクリレート等を例示することができる。
2乃至3官能モノマーの配合割合は、インクの固形分全量に対して、通常、20〜70重量%の割合で配合する。
ここで、2乃至3官能モノマーの配合割合が全固形分の20重量%に満たない場合には、インクがモノマーによって十分に希釈されず、インクの粘度が初めから高いか或いは溶剤分の揮発後に高くなり、インクジェットヘッドのノズルの目詰まりを起こすおそれがある。また、2乃至3官能モノマーの配合割合が全固形分の70重量%を超える場合には、塗膜の架橋密度が低くなり、塗膜の耐溶剤性、密着性、硬さが劣り、十分な特性が得られなくなるおそれがある。
ただし、インク中に配合される多官能モノマーが全て2乃至3官能性モノマーである場合には、インクの乾燥による粘度上昇が起こり難いので、インクジェットヘッドの吐出性が安定するが、その反面、インク層を硬化して得られた硬化層の膜強度、基板に対する密着性、耐溶剤性等が不十分となる場合がある。そこで、上記の2乃至3官能モノマーと共に、4官能以上の多官能モノマーやオリゴマーを適量配合することにより架橋密度を上げて、硬化層のパターンに十分な膜強度と密着性を付与することができる。
4官能のモノマー、オリゴマーとしては、例えば、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート等を例示することができる。
4官能以上の多官能成分は、インクの固形分全量に対して、通常、1〜30重量%の割合で配合する。また、2乃至3官能性モノマーによる吐出性安定化と、4官能以上の多官能成分による強度及び密着性向上のバランスをとるために、2乃至3官能性モノマー100重量部に対して、4官能以上の多官能成分の配合割合を、通常は1〜50重量部とし、好ましくは当該配合割合の下限を2重量部以上とし、且つ/又は、当該配合割合の上限を35重量部以下とする。
ここで、4官能以上の多官能成分の配合割合が前記2乃至3官能性モノマー100重量部に対して1重量部に満たない場合には、インクを硬化させた後の硬さ、耐溶剤性などの特性が十分に得られないおそれがある。また、4官能以上の多官能成分の前記配合割合が50重量部を超える場合には、インクの硬化速度が遅くなり、プロセススピードが遅くなるおそれがある。
また、光硬化性のバインダー成分には、必要に応じて、単官能のモノマー、オリゴマーを配合してもよい。
単官能のモノマー、オリゴマーとしては、例えば、スチレン、酢酸ビニル等のビニルモノマーや、n−ヘキシルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート等の単官能アクリルモノマーを例示することができる。
光硬化性バインダー成分には、通常、使用する光源の波長に対して活性を有する光重合開始剤が配合される。光重合開始剤は、バインダーや多官能モノマーの反応形式の違い(例えばラジカル重合やカチオン重合など)や、各材料の種類を考慮して適宜選択されるが、例えば、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モンフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニル−フォスフィンオキサイド、ビスアシルフォスフィンオキサイド、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−(3−ジメチルアミノ−2−ヒドロキシプロポキシ)−3,4−ジメチル−9H−チオキサントン−9−オンメソクロライド、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−ベンゾイル−4’−メチル−ジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、1,3,5−トリアクロイルヘキサヒドロ−s−トリアジン、2−〔2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔2−(フラン−2−イル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、メチルベンゾイルホルメート、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイドなどの光重合開始剤を用いることができる。
なお、光重合開始剤の含有量は、固形分全体に対して0.1〜5重量%、更に固形分全体に対して0.5〜2重量%であることが好ましい。
また、硬化したインク層に十分な密着性、強度、硬度を付与するためには、顔料やその他の成分を含めたインクの固形分全量に占めるバインダー成分の合計割合を50〜75重量%とするのが好ましい。
(溶剤)
本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインクに用いられる溶剤は、主溶剤としてエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジブチルエーテル、アジピン酸ジエチル、シュウ酸ジブチル、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、コハク酸ジメチル、及びコハク酸ジエチルよりなる群から選択される1種又は2種以上の溶剤成分を溶剤の全量に対して60重量%以上含有する。
上記主溶剤として挙げた溶剤はそれぞれ、沸点が180℃〜260℃で且つ常温での蒸気圧が0.5mmHg以下の溶剤成分であるため、適度な乾燥性及び蒸発性を有している。このような溶剤成分を主溶剤として高い配合割合で含有する本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインクは、間歇吐出及び連続吐出のいずれを行う場合でも急速には乾燥しないので、インクジェットヘッドのノズル先端において急激な粘度の上昇や目詰まりを起こし難く、オリフィス表面の濡れ広がりも生じ難く、吐出方向や吐出量の安定性に優れている。また上記主溶剤として挙げた溶剤は、顔料の分散性、分散安定性も比較的良好であり、3−メトキシブチルアセテートやプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)のような従来から顔料分散体の調製に用いられている溶剤と混合し或いは混合せずそのまま分散溶剤として用い、顔料分散体を調製することができる。従って、更に後述する濾過フィルターを所定の濾過圧力で通過した本発明のインクを用いて、インクジェット方式により基板表面に所定のパターンに合わせて吐出することにより、画素部や遮光部等の着色硬化層を正確且つ均一に形成することができる。
主溶剤の割合が溶剤全量の60重量%以上の場合には、インクジェット方式に適した乾燥性、蒸発性を得ることができ、インクジェットの間欠吐出安定性が向上する。主溶剤の割合は、溶剤全量の70〜95重量%、更に溶剤全量の75〜95重量%、より更に溶剤全量の80〜92重量%とするのが好ましい。
主溶剤の23℃での表面張力は、28mN/m以上であることが、パターニング時に親疎インク部へのインクの流出を低減できる点から好ましい。なお、主溶剤が2種以上の混合溶剤である場合には、混合溶剤全体として上記表面張力を有することが好ましい。
上記主溶剤として挙げた溶剤は、JIS K6768に規定する濡れ性試験において示された標準液を用い、液滴を接触させて30秒後の接触角(θ)を測定し、ジスマンプロットのグラフにより求めた臨界表面張力が30mN/mの試験片の表面に対する接触角が25°以上を示し、且つ、同じ測定法により求めた臨界表面張力が70mN/mの試験片の表面に対する接触角が10°以下を示すという要求も満たしている。濡れ性に関して上記挙動を示す溶剤を用いてインクを調製すると、インクは、後述する濡れ性可変層の濡れ性を変化させる前は当該濡れ性可変層の表面に対して大きな反撥性を示し、当該濡れ性可変層の濡れ性を変化させて親水性が大きくなる方向に変化させた後は当該濡れ性可変層の表面に対して大きな親和性を示す。従って、濡れ性可変層の表面の一部を選択的に露光して形成した親インク性領域に対するインクの濡れ性と、その周囲の領域に対する撥インク性領域の濡れ性の差を大きくとることができるようになり、親インク性領域にインクジェット方式で吹き付けたインクが、親インク性領域の隅々にまで均一に濡れ広がる。従って、本発明のインクは、基板表面に濡れ性可変層を形成し露光することにより、基板上のインク層を形成したい部分に親インク性領域を形成し、当該親インク性領域にインクジェット方式によってインクを選択的に付着させる場合にも、好適に用いることができる。
ここで、臨界表面張力に関し上記特性を有する試験片は如何なる材料で形成されていても差し支えない。臨界表面張力30mN/mを示す試験片としては、例えば、表面が平滑なポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレンテレフタレート、平滑なガラス表面に前記ポリマーや表面改質剤等を塗布したものの中から実際に上記試験を行って該当するものを選択することができる。また、臨界表面張力70mN/mを示す試験片としては、例えば、ナイロンや親水化処理したガラス表面等を塗布したものの中から実際に上記試験を行って該当するものを選択することができる。
更に、本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインクは、上記特定の主溶剤に加えて、着色層の形状を良好にするため、副溶剤を併用しても良い。例えば、副溶剤として沸点が130℃以上180℃未満の溶剤成分を適量組み合わせると、インクジェットヘッドのノズル先端においては急速に乾燥しないが、インク層乾燥時には乾燥速度が適度に速いことから溶質が流動することを抑制できる。従って、基板上に吐出された後は、基板表面になじんで十分にレベリングさせてから、適宜乾燥手段によって比較的短時間に且つ完全に乾燥させることができる。従って、このような副溶剤を併用したインクジェットインクを用いると、端部に厚膜部分が生じ難く、且つ表面ムラが低減された膜厚の均一性の高いパターンが得られると共に、効率よく乾燥させることができる。溶剤中に副溶剤として沸点が130℃以上180℃未満の溶剤成分を溶剤全量の5〜40重量%含有することが好ましい。副溶剤として用いられる溶剤成分は、上記沸点を有する溶剤であれば単独で又は2種以上混合して用いても良い。
中でも、副溶剤に用いられる各溶剤成分の沸点は、更に、140℃〜180℃であることが、特に140℃〜175℃であることが、端部に厚膜部分が生じ難く、且つ表面ムラが低減された良好な塗膜が得られ易い点から好ましい。
また、前記副溶剤の23℃での粘度は、0.5〜6mPa・sであることが好ましい。このような場合には、副溶剤が含まれることにより、上記主溶剤が奏する効果を阻害することなくインクの粘度を適切に低下することが可能で、インク自体の濡れ広がり性が向上する結果、着弾したインク滴がインク層形成領域全体の隅々にまで濡れ広がり易くなる。その結果、多様化している基板に対しても、着弾したインクがブラックマトリックスのきわ部分にまで濡れ広がることが可能になり、画素の色抜けや輝度低下を防止できる。領域の隅にインクを付着させるために領域の端の方にインクを着弾させる方法もあるが、この方法だとブラックマトリックスの間隙からインクが流出する恐れがある。それに対し、本発明のようにインク自体によってブラックマトリックスのきわ部分にまで濡れ広がらせることは、インク流出の恐れがなくより望ましい方法である。前記副溶剤の23℃での粘度は、更に0.5〜3mPa・sであることが好ましい。副溶剤が2種以上混合して用いられる場合には、単独では上記範囲外であっても混合溶剤の粘度が上記範囲であれば、好適に用いられる。ここで、本発明における23℃での粘度は、回転振動型粘度計(例えば、山一電機社製、回転振動型粘度計ビスコメイトVM−1Gなど)により測定することができる。
前記副溶剤の23℃での表面張力は、35mN/m以下であれば好適に用いることができる。中でも、前記副溶剤の23℃での表面張力が28mN/m以下である場合には、上記主溶剤が奏する効果を阻害することなく表面張力を適切に低下することが可能で、インク自体の濡れ広がり性が向上するため、着弾したインク滴がインク層形成領域全体の隅々にまで濡れ広がり易くなる。ここで、本発明における23℃での表面張力は、表面張力計(ウィルヘルミ法)(例えば、協和界面科学社製、自動表面張力計CBVP−Zなど)により測定することができる。
また、前記副溶剤としては、上記沸点を有する溶剤であれば良いが、主溶剤との相溶性に優れる溶剤を適宜選択して用いることが好ましい。
前記副溶剤としては、具体的には、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジプロピルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテルのようなグリコールエーテル類や、グリセリン1,3−ジメチルエーテルのようなグリセリンエーテル類などの多価アルコールエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメトキシメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートのようなグリコールエーテルエステル類を含むグリコールエステル類や、グリセリン1−モノアセタートのようなグリセリンエステル類などの多価アルコールエステル類;イソ吉草酸、イソ酪酸、プロピオン酸、酪酸のようなカルボン酸類;イソ吉草酸エチル、蟻酸ヘキシル、酢酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸シクロヘキシル、乳酸エチル、乳酸メチル、プロピオン酸イソアミル、プロピオン酸ブチル、酪酸ブチル、クエン酸トリブチル、シュウ酸ジメチルのような脂肪族エステル類;3−エトキシプロピオン酸エチルのようなアルコキシカルボン酸エステル類;アセト酢酸メチルのようなケトカルボン酸エステル類;n−アミルアルコール、イソアミルアルコール、2−エチルブタノール、グリシドール、n−ヘキサノール、2−メチルシクロヘキサノール、4−メチル−2−ペンタノール、2−オクタノール、シクロヘキサノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、n−ヘプタノールのような1価アルコール類;ジイソアミルエーテル、及び1、8−シネオールのようなエーテル類;エチル−n−ブチルケトン、ジイソブチルケトン、ジ−n−プロピルケトン、メチルシクロヘキサノン、メチル−n−ヘキシルケトン、アセチルアセトン、ジアセトンアルコールのようなケトン類;ノナン、デカン等のアルカン類等が挙げられる。
中でも、グリコールエーテル類やグリセリンエーテル類などの多価アルコールエーテル類を含むエーテル類、およびグリコールエステル類やグリセリンエステル類などの多価アルコールエステル類、脂肪族エステル類、アルコキシカルボン酸エステル類、ケトカルボン酸エステル類を含むエステル類よりなる群から選択される1種以上を用いることが好ましい。上記のようなエステル類、およびエーテル類を用いる場合には、バインダー成分等に反応性が高い樹脂を用いた場合であっても、インクの安定性を良好に維持しやすいという利点がある。また、グリコールエーテル類、グリコールエステル類を用いる場合には、ガラス基材に対する濡れ性が向上し、インク層形成領域全体の隅々にまで濡れ広がり易くなり、画素の色抜け防止に効果的である。
前記副溶剤としては中でも特にエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、グリセリン1,3−ジメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメトキシメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、アセト酢酸メチル、蟻酸ヘキシル、酢酸シクロヘキシル、乳酸エチル、プロピオン酸イソアミル、プロピオン酸ブチル、酪酸ブチル、クエン酸トリブチル、シュウ酸ジメチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、ジイソアミルエーテル、及び1、8−シネオールよりなる群から選択される1種以上である溶剤が好適に用いられる。
本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインクにおいては、前記副溶剤の含有量は、中でも、溶剤全量に対して5〜30重量%、より更に5〜25重量%、特に8〜20重量%であることが、上記主溶剤の効果を阻害することなく、ヘッドから吐出した時の直進性、安定性に優れ、更に効率よく乾燥させることができ、端部に厚膜部分が生じ難く、且つ表面ムラが低減された良好な画素等を形成し易い点から好ましい。
このような溶剤を、当該溶剤を含むインクの全量に対して、通常は40〜95重量%、更に70〜95重量%の割合で用いて吐出させるインクを調製する。溶剤が少なすぎると、インクの粘度が高く、インクジェットヘッドからの吐出が困難になる。また、溶剤が多すぎると、所定の濡れ性変化部位(インク層形成部位)に対するインク盛り量(インク堆積量)が十分でないうちに、当該濡れ性変化部位に堆積させたインクの膜が決壊し、周囲の非露光部へはみ出し、さらには、隣の濡れ性変化部位(インク層形成部位)にまで濡れ広がってしまう。言い換えれば、インクを付着させるべき濡れ性変化部位(インク層形成部位)からはみ出さないで堆積させることのできるインク盛り量が不十分となり、乾燥後の膜厚が薄すぎて、それに伴い十分な透過濃度を得ることができなくなる。
(顔料分散剤)
顔料分散剤は、顔料を良好に分散させるためにインクジェットインク中に配合されることが好ましい。顔料分散剤としては、例えば、カチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性、シリコーン系等の界面活性剤などを使用できる。また、特殊アクリル系重合体などの分散補助樹脂を更に用いても良い。本発明のインクジェットインクには、顔料分散剤として、ポリエチルイミン誘導体、又はポリアリルアミン誘導体を含有することが好ましい。
ここで、ポリエチルイミン誘導体とは、6−ヒドロキシヘキサン酸と、リシノール酸、12−ヒドロキシステアリン酸、12−ヒドロキシドデカン酸、5−ヒドロキシドデカン酸、5−ヒドロキシデカン酸および4−ヒドロキシデカン酸から選択される少なくとも1の他のヒドロキシカルボン酸とから誘導しうる複数の繰り返し単位を各々が含有している複数のポリ(カルボニルアルキレンオキシ)鎖を有していて、6−ヒドロキシヘキサン酸から誘導しうる単位の他のヒドロキシカルボン酸(単数または複数)から誘導しうる単位に対する重量比が90:10〜10:90の範囲内であるポリエチレンイミン基、あるいはそれらの酸との塩を含む分散剤である。
好ましくは、6−ヒドロキシヘキサン酸から誘導しうる単位の、他のヒドロキシカルボン酸(単数または複数)から誘導しうる単位に対する重量比は、20:80から80:20の範囲内であり、特には20:80から50:50の範囲内である。
上記ポリエチレンイミン(本明細書中の以下において「PEI」と称す)基は、分枝でも直鎖でもよく、典型的には少なくとも500、好ましくは少なくとも1,000、特には少なくとも10,000の重量平均分子量を有している。平均分子量は、好ましくは600,000より小さく、より好ましくは200,000より小さく、特には50,000より小さい。
上記ポリ(カルボニルアルキレンオキシ)鎖(本明細書の以下において「PCAO鎖」と称す)は、上記のヒドロキシカルボン酸(または、適当ならば対応するラクトン類)の重合によって誘導しうるポリエステル鎖であり、上記鎖は、6−ヒドロキシヘキサン酸と上記の他のヒドロキシカルボン酸の少なくとも1とから誘導しうる複数のカルボニルアルキレンオキシ(本明細書中の以下において「CAO」と称す)繰り返し単位を、ブロックまたはランダム配置中に含むコポリエステル鎖である。PCAO鎖は典型的には、平均で、2から100、好ましくは3から40、より好ましくは4から15の上記CAO基を含有しており、鎖終止末端基(chain-stopping terminal group)を、例えば、置換されていてもよいアルキルカルボニル、特には12以上の炭素原子を含有しているアルキルカルボニル基のようなオキシ末端に有していてもよい。
PCAO鎖は、PEI基とPCAO鎖のヒドロキシカルボン酸との間に形成される共有アミドおよび/またはイオン性塩結合によってPEI基に付着されていてもよい。当該酸は、本明細書中以下において、PCAO酸と称す。そのようなアミド結合は、PCAO酸の末端カルボキシレート基とPEI中の第一級または第二級アミノ基との反応によって形成されてもよい一方、塩結合は、PCAO酸の末端カルボキシレート基とPEI中の置換アンモニウム基の正に帯電した窒素原子との間に形成される。
PCAO鎖のPEI基に対する重量比は、典型的には、2:1から30:1、好ましくは3:1から20:1、より好ましくは8:1から20:1、そして特には10:1から15:1の範囲内である。
ポリエチルイミン誘導体は、PCAO鎖に結合していないPEI基中の窒素原子が遊離アミノ基として存在しているようなポリアミンの形態、または上記窒素原子が、有機および/または無機酸から誘導しうる対イオンと会合した置換アンモニウム基として存在しているような塩の形態、または遊離アミノ基と置換アンモニウム基とを含有する中間体形態であってもよい。
ポリエチルイミン誘導体は、PEIをPCAO酸(単数または複数)またはその前駆体と反応させることにより調製することができる。
また、ポリアリルアミン誘導体とは、ポリアリルアミンの側鎖のアミノ基をポリエステル、ポリアミド、ポリエステルとポリアミドの共縮合物(ポリエステルアミド)のいずれかで修飾することにより、顔料の分散されるべき樹脂に対する相溶性の範囲が広く、且つ優れた顔料分散能を有する、下記一般式(I)で表されるポリアリルアミン誘導体である。
Figure 2008195877
(式中、XおよびYは、それぞれ独立に水素、重合開始剤残基又は連鎖移動触媒残基のいずれかを、R11 は遊離のアミノ基、下記一般式(II)又は(III)で示される基を、nは2〜1,000の整数を表す。但しn個のR11 中、少なくとも1個は一般式(III)で示される基を表す。
Figure 2008195877
式中、R12 は遊離のカルボン酸を有するポリエステル、遊離のカルボン酸を有するポリアミド、または遊離のカルボン酸を有するポリエステルアミドのいずれかからカルボキシル基を除いた残基を表す。)
本発明のポリアリルアミン誘導体は、例えばポリアリルアミンと、遊離のカルボキシル基を有するポリエステル、ポリアミド又はエステルとアミドの共縮合物(ポリエステルアミド)の3種の化合物の中から選ばれる1種以上の化合物とを反応させて得られるものである。
上記顔料分散剤の市販品として、アジスパーPb821、Pb822(味の素ファインテクノ株式会社製)、Solsperse24000GR、24000SC、32000、33500(日本ルーブリゾール社製)等を用いることができる。
上記ポリエチルイミン誘導体、ポリアリルアミン誘導体の他、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類;ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類;ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート等のポリエチレングリコールジエステル類;ソルビタン脂肪酸エステル類;脂肪酸変性ポリエステル類;3級アミン変性ポリウレタン類などの高分子界面活性剤を用いることができる。
上記顔料分散剤の含有量は、固形分全体に対して5〜50重量%、更に固形分全体に対して10〜30重量%であることが好ましい。
(その他の成分)
本発明のカラーフィルター用インクジェットインクには、必要に応じて、その他の添加剤を1種又は2種以上配合することができる。そのような添加剤としては、次のようなものを例示できる。
a)増感剤:例えば、4−ジエチルアミノアセトフェノン、4−ジメチルアミノプロピオフェノン、エチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、2−エチルヘキシル−1,4−ジメチルアミノベンゾエートなど。
b)硬化促進剤(連鎖移動剤):例えば、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾールなど、
c)高分子化合物からなる光架橋剤又は光増感剤:高分子光架橋・増感剤は、光架橋剤あるいは光増感剤として機能しうる官能基を主鎖および/または側鎖中に有する高分子化合物であり、その例としては、4−アジドベンズアルデヒドとポリビニルアルコールとの縮合物、4−アジドベンズアルデヒドとフェノールノボラック樹脂との縮合物、4−(メタ)アクリロイルフェニルシンナモイルエステルの(共)重合体、1,4−ポリブタジエン、1,2−ポリブタジエン等を挙げることができる。
d)分散助剤:例えば、銅フタロシアニン誘導体等の青色顔料誘導体や黄色顔料誘導体等など。
e)充填剤:例えば、ガラス、アルミナなど。
f)密着促進剤:例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシランなど。
g)酸化防止剤:例えば、2,2−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,6−ジ−t−ブチルフェノールなど。
h)紫外線吸収剤:例えば、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、アルコキシベンゾフェノンなど。
i)凝集防止剤:例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、或いは各種の界面活性剤など。
また、本発明に係るインクジェットインクにおいて、上記顔料(P)と顔料以外の固形分(V)の配合重量比(P/V)は、0.3〜1.2であることが、インクの吐出性能、インクの決壊防止、及び得られる膜物性のバランスの点から好ましい。P/V比が低すぎると、充分な着色力を得るためには画素形成領域に付着させるインクの液滴量を多くしなければならないため、画素形成領域からインクが決壊するなどの問題が起こる場合がある。一方、P/V比が高すぎると、吐出ヘッドで目詰まりや飛行曲がりが発生する等の吐出性能が低下したり、膜の表面が荒れるなどの問題が起こる場合がある。
(濾過)
次に、本発明に係るインクジェットインクに特徴的な濾過について説明する。
上記のような成分を含み顔料が分散されたカラーフィルター用インクジェットインクの顔料の分散平均粒子径は通常0.01〜5μm程度であるため、精密濾過を行う。ここで上述のように、インクジェットインクは帯電した成分が含まれているため、インクの濾過に際しては、フィルター孔径よりも小さな粒子がフィルター内部を通過する際にゼータ電位、濃度、ブラウン運動による拡散、さえぎり、静電気的な力などにより、ろ材に接触した結果保持されるデプス濾過作用も考慮すべきと考えられた。デプス濾過作用は、濾過流速、粒子の電位などによっても影響されるものである。
本発明において濾過フィルターとしては、濾過精度が0.2〜4.0μmのポリプロピレンを主材とする濾過フィルター及び/又は濾過精度が0.2〜4.0μmのポリテトラフルオロエチレンを主材とする濾過フィルターを用いる。ここで、主材とするとは、濾過フィルターを形成する材料の中で成分量が最も多いことをいい、本発明の効果が損なわれない限り添加物が更に含有されていても良い旨である。
中でも、インク中にフッ素系界面活性剤等、フッ素系成分を含有する場合には、デプス濾過作用によりフッ素系界面活性剤が除去され得ることを考慮して、濾過精度が0.2〜4.0μmのポリプロピレンを主材とする濾過フィルターを用いることが好ましい。ここで通常、ポリテトラフルオロエチレンといえば親水化処理されていないものであり、本発明においてポリテトラフルオロエチレンは−(−CF−CF−)n−で表わされる高分子物質の意味で用いている。濾過フィルターの材質が親水化処理されたポリテトラフルオロエチレンの場合には、帯電した成分が濾過フィルターに吸着する等して、濾過流量が低下して好適に濾過できない場合が多い。また、濾過フィルターの材質によっては、上記インクに用いられる溶剤に対して一部溶解して、フィルター成分がインク中に混入する場合がある。更に、濾過精度が上記範囲未満であると、濾過が困難或いは不可能となる。一方、濾過精度が上記範囲を超えると、インク中に分散平均粒子径の大きな粒子が残り、吐出安定性が悪くなる場合がある。
なお、本発明における濾過精度は、濾過効率が99.9%以上となるところの粒子径であり、ANSI B93,31−1973に基づいたシングルパスF−2試験法によるものである。
濾過精度が0.2〜4.0μmのポリプロピレンを主材とする濾過フィルターと濾過精度が0.2〜4.0μmのポリテトラフルオロエチレンを主材とする濾過フィルターを併用して濾過を行ったり、濾過精度が0.2〜4.0μmのポリプロピレンを主材とする濾過フィルター又は濾過精度が0.2〜4.0μmのポリテトラフルオロエチレンを主材とする濾過フィルターのいずれかのみを2つ以上用いて濾過を行っても良い。このように2つ以上の濾過フィルターを用いて濾過する場合には、まずは濾過精度が大きな濾過フィルターを通過させ、その後、濾過精度が小さい濾過フィルターを通過させることが好ましい。また、上記特定の濾過精度が0.2〜4.0μmのポリプロピレンを主材とする濾過フィルター又は濾過精度が0.2〜4.0μmのポリテトラフルオロエチレンを主材とする濾過フィルターは1つのみしか用いない場合であっても、更に適宜、他の濾過フィルターを用いて濾過してもかまわない。
ポリプロピレンを主材とする濾過フィルターの濾過精度は、更に0.3〜3.5μmであることが好ましく、より更に0.4〜3.0μmであることが好ましい。また、ポリテトラフルオロエチレンを主材とする濾過フィルターの濾過精度は、更に0.3〜3.5μmであることが好ましく、より更に0.4〜3.0μmであることが好ましい。
また、本発明における濾過は、上記特定の濾過フィルターを用いて、0.01〜2MPaの濾過圧力で通過させることを特徴とする。特に上記デプス濾過作用は、濾過流速によっても影響されるものである。上記範囲未満の濾過圧力で通過させて得られたインクでは、0.01〜2MPaの濾過圧力で働く濾過作用が機能せずに、分散平均粒子径の大きな粒子が残り、長期の吐出安定性が向上し難い。また、上記範囲を超える濾過圧力で無理に通過させて得られたインクでは、同様に0.01〜2MPaの濾過圧力で働く濾過作用が機能せずに、分散平均粒子径が適切に調節されず、長期の吐出安定性が向上し難い。通過させる濾過圧力は、更に0.03〜1MPaが好ましく、より更に0.05〜0.6MPaが好ましい。
本発明に係るインクジェットインクの評価方法において、上記特定の濾過フィルターを通過できたインクジェットインクに含まれる顔料の分散平均粒子径は、0.02〜0.5μmであることが好ましく、更に0.02〜0.25μmであることが好ましい。0.02μm未満である場合には、顔料粒子の表面積が大きくなり顔料の凝集が起こりやすい。その結果ヘッドのノズル部で目詰まりを起こし、インクジェットでの吐出が不可能になる。一方、0.5μmを超える場合には、カラーフィルター形成後の膜表面に凹凸が発生しやすく、コントラストが低下するという問題がある。また、0.5μmを超える顔料粒子を核として、他の顔料の凝集が起こりやすい。凝集により、インクジェットの吐出において、直進性が低下し、飛行曲がりが生じるという問題がある。更に好ましくは、濾過後のインクジェットインクに含まれる顔料の分散平均粒子径は、0.02〜0.1μmである。ここで顔料の分散平均粒子径は、マイクロトラックUPA粒度分布計(日機装社製)を用い主溶剤で100倍希釈したサンプルを23℃の条件で測定したものであり、評価は体積基準中位径で行う。
(インクの製造方法)
本発明のカラーフィルター用インクジェットインクは、各成分を上記溶剤に投入して混合し、固形成分を溶解又は分散させた後、上記所定の条件で濾過することにより製造しても良い。
しかしながら、顔料をバインダー等の他の成分と共に溶剤全体中に直接投入し攪拌混合すると、顔料を溶剤中に十分に分散させられないことが多い。そこで通常は、上記主溶剤、及び必要に応じて顔料の分散性及び分散安定性が良好な溶剤(分散溶剤)を含む分散体調製溶剤を用意し、そこに顔料を必要に応じて顔料分散剤と共に投入してディソルバーなどにより十分攪拌し、顔料分散液を調製する。そして、得られた顔料分散液と、顔料以外の成分と、主溶剤からなるか又は主溶剤に副溶剤を添加した混合溶剤とを、ディソルバーなどにより十分に攪拌混合し、最後に場合に応じて副溶剤を添加することによって、本発明に係る濾過前のインクジェットインクとすることができる。
すなわち、本発明に係るインクジェットインクの製造方法は、少なくとも顔料を、主溶剤としてエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジブチルエーテル、アジピン酸ジエチル、シュウ酸ジブチル、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、コハク酸ジメチル、及びコハク酸ジエチルよりなる群から選択される1種以上の溶剤成分を含有する分散体調製溶剤に混合して顔料分散体を調製する工程と、得られた前記顔料分散体、少なくともバインダー成分、及び新たに用意した前記主溶剤を含有する溶剤を混合することにより、溶剤全量に占める前記主溶剤の配合割合を60重量%以上に調節して予備調製インクを調製する工程と、前記予備調製インクを、濾過精度が0.2〜4.0μmのポリプロピレンを主材とする濾過フィルター及び/又は濾過精度が0.2〜4.0μmのポリテトラフルオロエチレンを主材とする濾過フィルターに、0.01〜2MPaの濾過圧力で通過させる濾過工程とを有することを特徴とする。
上記の「得られた前記顔料分散体、少なくともバインダー成分、及び新たに用意した前記主溶剤を含有する溶剤を混合する」態様には例えば下記態様が含まれる。
1)得られた上記顔料分散体、及び少なくともバインダー成分を、新たに用意した前記主溶剤を含有する溶剤に投入する。
2)少なくともバインダー成分を新たに用意した前記主溶剤を含有する溶剤に溶解乃至分散してバインダー溶液を調製後、当該バインダー溶液、上記顔料分散液を混合する。
3)少なくともバインダー成分を新たに用意した前記主溶剤を含有する溶剤に溶解乃至分散してバインダー溶液を調製後、当該バインダー溶液、上記顔料分散液、更に主溶剤及び/又は副溶剤を混合する。
中でも上記副溶剤を併用する場合には、得られた当該顔料分散体、バインダー成分及び必要に応じてその他の成分を、新たに用意した前記主溶剤に混合後、副溶剤をインク使用直前など後から添加することにより、溶剤全量に占める前記主溶剤の配合割合が60〜95重量%及び前記副溶剤の配合割合が5〜40重量%になるように調節する工程を有する方が、インクの長期保存安定性の点から好ましい。副溶剤は分散剤やバインダー成分に対する溶解性が低いか無いことがあるため、顔料分散時や、バインダー成分溶解時に副溶剤を添加すると安定性を崩したりする恐れがあるからである。乾燥速度を最適化するために添加するという目的において、インクを調整した最終段階で添加することが好ましい。また、バインダー成分及び必要に応じてその他の成分は、予め、前記主溶剤に混合乃至分散させてバインダー溶液とした後、得られた当該顔料分散体と当該バインダー溶液を混合後、副溶剤をインク使用直前など後から添加することにより、溶剤全量に占める前記主溶剤の配合割合が60〜95重量%及び前記副溶剤の配合割合が5〜40重量%になるように調節する工程を有する方が好ましい。
しかしながら、副溶剤の中でも、顔料分散剤と親和性が高いなど好適に用いられる溶剤である場合には、顔料分散体調製溶剤中に副溶剤を分散溶剤として含有しても良い。
本発明に係るインクの製造方法において、前記予備調製インクを、濾過精度が0.2〜4.0μmのポリプロピレンを主材とする濾過フィルター及び/又は濾過精度が0.2〜4.0μmのポリテトラフルオロエチレンを主材とする濾過フィルターに、0.01〜2MPaの濾過圧力で通過させる濾過工程については、上記本発明に係るインクジェットインクの「濾過」の項目において説明したものと同様であるから、ここでの説明を省略する。
(用途)
本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインクは、カラーフィルターにおいて画素やブラックマトリックス等、所定のパターンを有する着色層を形成するのに特に好適に用いられる。また、カラーフィルターのオーバーコートや、カラーフィルターと電極基板の間のセルギャップを一定且つ均一に維持するためのスペーサーや、液晶配向用隔壁としてのリブ等にも適宜用いることができる。カラーフィルターとしては、液晶表示装置等の画像出力装置に用いられるカラーフィルター、或いは固体撮像素子等の画像入力装置に用いられるカラーフィルターのいずれにも好適に用いることができる。
2.カラーフィルターの製造方法
本発明に係るカラーフィルターの製造方法は、基板上の所定領域に上記本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインクを、インクジェット方式によって選択的に付着させて着色層を形成する着色層形成工程を含むことを特徴とする。
本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインクにR、G、B又はブラック等の所望の顔料を配合し、カラーフィルターの透明基板上の所定領域にインクジェット方式により選択的に付着させ、硬化させることによって、画素部や遮光層などの着色硬化層を形成することができる。
本発明に係るカラーフィルターの製造方法は、上記本発明に係る長期吐出安定性に優れたインクジェットインクを用いてインクジェット方式によって選択的に付着させてインク層を形成する工程を有することにより、良好にパターニングされた画素を備え、表示不良が低減されたカラーフィルターを生産効率良く製造することが可能である。
インクジェット方式によって選択的に付着させる方法としては、各画素表面上に所望の厚みの着色層を形成することができる方法であれば特に限定されるものではない。このような方法としては、通常、インクジェットヘッドを用い、インクジェットヘッドまたは基板を移動させながら上記画素表面上にカラーフィルター用インクジェットインクを滴下する方法が用いられる。
(1)インクジェットヘッド
本工程に用いられるインクジェットヘッドは、後述する遮光部が備える開口部内の基材表面上に、所望量のインクジェットインクを滴下できるものであれば特に限定されるものではない。このようなインクジェットヘッドとしては、例えば、帯電したインクジェットインクを連続的に吐出し磁場によって吐出量を制御する吐出方式のもの、圧電素子を用いて間欠的にインクジェットインクを吐出する吐出方式のもの、または、インクジェットインクを加熱しその発泡現象を利用して間欠的に吐出する吐出方式のもの等の一般的なインクジェットヘッドを用いることができる。
(2)カラーフィルター用基板
次に、本工程に用いられるカラーフィルター用基板について説明する。本工程に用いられるカラーフィルター用基板は基材と、上記基材上に形成された遮光部とを有するものである。
a.遮光部
まず、上記遮光部について説明する。上記遮光部は後述する基材上に形成され、開口部を有するものである。
本工程に用いられる上記遮光部としては、通常、同一の形状を有する開口部が等間隔で規則的に形成されたものが用いられる。ここで、上記開口部の具体的な大きさや配置態様は特に限定されるものではなく、本発明により製造されるカラーフィルターの用途等に応じて任意に決定することができる。
上記遮光部としては、所望の遮光性を有する材料からなるものであれば特に限定されるものではないが、通常、遮光材料および樹脂から構成されるもの、または、金属材料からなるものが用いられる。
上記遮光部が遮光材料および樹脂から構成されるものである場合、上記遮光材料としては、一般的にカラーフィルターに用いられる樹脂製遮光部に用いられる材料を用いることができる。このような遮光材料としては、例えば、カーボン微粒子、金属酸化物、無機顔料、有機顔料等の遮光性粒子等を挙げることができる。
上記樹脂としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレン−ビニル共重合体、ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体、ABS樹脂、ポリメタクリル酸樹脂、エチレン−メタクリル酸樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、塩素化塩化ビニル、ポリビニルアルコール、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、ポリビニルブチラール、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミック酸樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂等を例示することができる。
一方、上記遮光部が金属材料からなるものである場合、上記金属材料としては、所望の遮光性を有する金属であれば特に限定されないが、一般的にはクロム材料が用いられる。
また、上記遮光部には撥液性を示す撥液性材料が含有されても良い。このような撥液性材料が含有されることにより、後述する撥液化工程を実施することなく、撥液性に優れた遮光部を有するカラーフィルター用基板を得ることができる。
本発明に用いられる撥液性材料としては、遮光部を形成した際に所望の撥液性を発現できるものであれば特に限定されるものではない。このような撥液性材料としては、例えば、フッ素含有化合物、および、低表面エネルギー物質の微粒子等を挙げることができる。
上記フッ素含有化合物としては、例えば、下記式(1)または(2)で表される化合物のモノマーまたはオリゴマー等を例示することができる。
一般式(1):Rf−X−Rf’
一般式(2):(Rf−X−R)−Y−(R’−X’−Rf’)
ここで、上記式(1)または(2)において、RfおよびRf’はフルオロアルキル基、RおよびR’はアルキレン基を表し、RfとRf’また、RとR’は同一でも異なっていても良い。また、X、X’およびYは、−COO−、−OCOO−、−CONR”−、−OCONR”−、−SONR”−、−SO−、−SOO−、−O−、−NR”−、−S−、−CO−、OSOO−、−OPO(OH)O−のうちのいずれかを表し、X、X’およびYは同一でも異なっていても良い。R”はアルキル基または水素を表す。
また、上記フッ素含有化合物としては、ポリテトラフルオロエチレン、パーフルオロエチレンプロピレン樹脂、パーフルオロアルコキシ樹脂等も用いることができる。
一方、上記低表面エネルギー物質の微粒子としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン、フルオロオレフィンビニルエーテル系共重合体、3フッ化エチレン−フッ化ビニリデン共重合体等からなる微粒子や、シリコーン微粒子等を挙げることができる。
上記遮光部を製造する方法としては、所望の態様で配置された遮光部を形成できる方法であれば特に限定されるものではない。このような方法としては、例えば、例えばクロム等の金属を用いたスパッタ法により形成する方法、遮光性粒子を含有させた樹脂組成物を用いたフォトリソグラフィー法、および、上記樹脂組成物を用いた熱転写法等を挙げることができる。
b.基材
上記カラーフィルター用基板に用いられる基材としては、上記遮光部および着色層を形成できるものであれば特に限定されるものではなく、従来よりカラーフィルターに用いられているもの等を用いることができる。このような基材としては、例えば、石英ガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、合成石英板等の可撓性のない透明なリジット材、あるいは透明樹脂フィルム、光学用樹脂板等の可撓性を有する透明なフレキシブル材等を挙げることができる。なかでも本工程においてはコーニング社製7059ガラスを用いることが好ましい。上記7059ガラスは寸度安定性および高温加熱処理における作業性に優れ、かつ、ガラス中にアルカリ成分を含まない無アルカリガラスであることから、アクティブマトリックス方式によるカラー液晶表示装置用のカラーフィルタに好適に用いることができるからである。
上記基材は、透明な基材であっても良く、または、反射性の基板や白色に着色したものであっても良いが、本工程においては通常透明なものが用いられる。
また、上記基材は、必要に応じてアルカリ溶出防止やガスバリア性付与その他の目的の表面処理を施されたものであっても良い。このような表面処理としては例えば表面を親液性とするために、酸素ガスを導入ガスとしてプラズマ等を照射する処理を挙げることができる。
(3)着色層の形成
上述のように濾過して製造した各色のカラーフィルター用インクジェットインクを用意する。そして、図1の1(A)に示すように、基材21上に形成された遮光部22とを有するカラーフィルター用基板23において画成された各色の着色層形成領域24R、24G、24Bに、対応する色の着色層形成用インクジェットインクをインクジェット方式により吹き付けてインク層を形成する。このインクの吹き付け工程において、上述のように濾過して製造された着色層形成用インクジェットインクは、ヘッド25の先端部で顔料の凝集を起こし難く且つ壁面に付着し難く、長期にわたって、良好な吐出性を維持し続けることができる。従って、所定の着色層形成領域内に、対応する色のインクを正確に、且つ、均一に付着させることができ、正確なパターンで色ムラや色抜けのない画素部を形成することができる。また、各色の着色層形成用インクジェットインクを、複数のヘッドを使って同時に基板上に吹き付けることもできるので、各色ごとに着色層を形成する場合と比べて作業効率を向上させることができる。
次に、図1の1(B)に示すように、各色のインク層26R、26G、26Bを乾燥し必要に応じてプリベークした後、適宜露光及び/又は加熱することにより硬化させて着色層を形成する。中でも、本発明においては、通常のプリベーク段階の前に前記インク層を減圧乾燥する工程を更に含むことが、インク層の表面の形状を良好にすることが出来る点から好ましい。減圧乾燥の条件としては、例えば、0.1〜20Torrで1〜20分間減圧乾燥することが挙げられる。その際に、20℃〜60℃の温度範囲内で基板温度を制御することが好ましい。そして、減圧乾燥後に、例えば、60〜165℃のホットプレート上で3〜80分間のプリベークを行う。また、加熱と減圧乾燥を同時に行っても良い。その後インク層を適宜露光及び/又は加熱すると、インクジェットインク中に含まれる硬化性樹脂の架橋要素が架橋反応を起こし、インク層が硬化し着色層が形成される。
着色層が画素の場合、厚さは、通常0.5〜2.5μm程度とする。また、赤色画素26Rが最も薄く、緑色画素26G、青色画素26Bの順に厚くなるというように各色の画素の厚さを変えて、各色ごとに最適な厚みに設定してもよい。
また、本発明において製造されるカラーフィルターにおいては、前記画素の膜厚の最高値が3.5μm以下、更に3μm以下であることが好ましい。また、本発明において製造されるカラーフィルターにおいては、前記画素の膜厚の最高値と平均膜厚との差が1μm以下、更に0.7μm以下であることが好ましい。このような場合には、厚膜部分の画素が暗くなったり、クラックによるITO成膜不良が起こって断線等を引き起こす等の問題が生じないため、表示不良が低減するからである。また、液晶層のギャップが正確に取れなくなる等の問題が生じないからである。なお、膜厚は、基板からの高さをいう。また、画素の平均膜厚は、画素内の塗膜体積を画素面積で割ることにより、算出する。更に、端部の膜厚の最高値とは、端部盛り上がり部位の中で膜厚が最も高い箇所における膜厚の値をいう。
(4)その他の工程
本発明のカラーフィルターの製造方法は、上記着色層形成工程以外に他の工程を有するものであっても良い。このような他の工程としては、本発明により製造されるカラーフィルターの用途等に応じて任意に決定することができる。なかでも本発明においては上記着色層形成工程の前に上記カラーフィルター用基板に用いられる基板の表面の所定領域を親液化する親液化工程を有することが好ましい。
このような親液化工程を有することにより、上記着色層形成工程において上記遮光部が備える開口部内に、インクジェットインクを満遍なく濡れ拡げることが容易になるため、上記開口部内に着色層が形成されない部位が生じることを防止できる。
以下、本発明に用いられる親液化工程について説明する。
本発明に用いられる親液化工程において上記基板の表面を親液化する方法としては、上記基板の表面の上記インクジェットインクに対する親液性を向上できる方法であれば特に限定されない。このような方法としては、上記基材の表面に親液性の高い層を形成する方法および、基材表面自体の親液性を高くする方法等を例示することができる。
上記親液性の高い層を上記基材表面に形成する方法としては、上記基材表面に上記インクジェットインクに対して所望の親液性を示す層を形成できる方法であれば特に限定されない。なかでも本工程においては上記カラーフィルター用基板の上記遮光部および基材表面を覆うように、光触媒およびオルガノポリシロキサンを含有する光触媒含有層を形成した後、基材側からエネルギーを照射する方法を挙げることができる。このような方法によれば、上記光触媒含有層は、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により液体との接触角を低下する機能を有するものであり、上記基材側からエネルギー照射を行うことにより、上記開口部上に形成された光触媒含有層のみに、エネルギー照射を行うことができるため、上記基材表面上に形成された光触媒含有層のみ上記インクジェットインクに対する親液性を向上させることができるため、上記基材表面上に上記インクジェットインクに対する濡れ性に優れた光触媒含有層を形成することができる。
ここで、上記光触媒含有層や、エネルギー照射方法等については、特開2004−361426公報に記載されているものと同様とすることができるので、ここでの詳しい説明は省略する。
一方、上記基材の表面自体の親液性を高くする方法としては、例えば、基材表面にプラズマ等を照射する方法を挙げることができる。このようなプラズマを照射する方法としては、上記遮光部の開口部内の基材に存在する残渣をドライエッチングにより除去できる方法であれば特に限定されるものではなく、一般的に有機物をドライエッチングにより除去するために用いられるプラズマ照射方法を用いることができる。中でも本工程においては、上記プラズマ照射方法として、酸素と、窒素、ヘリウム、または、窒素からなる群から選択される少なくとも1種のガスとの存在下においてプラズマを照射する方法を用いることが望ましい。
本発明に用いられる上記親液化工程において上記基材表面が親液化される程度としては、表面張力40mN/mの液体との接触角が、10°未満となる程度であることが好ましく、特に表面張力50mN/mの液体との接触角が10°以下となる程度であることが好ましく、なかでも表面張力60mN/mの液体との接触角が10°以下となる程度であることが好ましい。
上記親液化工程以外に本発明に用いられる上記他の工程としては、上記着色層形成工程の前に、上記カラーフィルター用基板の遮光部を撥液化する撥液化工程を挙げることができる。このような撥液化工程を有することにより、上記着色層形成工程において上記遮光部によって囲まれた開口部に吐出されたインクジェットインクが、隣接する開口部へ漏出することを効果的に防止できるため、本発明により製造されるカラーフィルターに混色が生じることを防止できる。
以下、このような撥液化工程について説明する。
本発明に用いられる撥液化工程において上記遮光部を撥液化する方法としては、上記遮光部の撥液性を相対的に上記カラーフィルター用基板に用いられる基材表面の撥液性よりも高くできる方法であれば特に限定されるものではない。ここで、上記撥液性とは、上記インクジェットインクに対する撥液性を意味するものである。
このような撥液化方法としては、例えば、上記遮光部自体の撥液性を高くする方法や、上記遮光部上に撥液性の高い層を形成する方法等を挙げることができる。
上記遮光部自体の撥液性を高くする方法としては、例えば、上記遮光部にフッ素を導入する方法を挙げることができる。このような方法としては、上記遮光部に、相対的に上記開口部内の基板表面よりも多量のフッ素を導入できる方法であれば特に限定されるものではないが、例えば、遮光部を構成する材料として樹脂材料を用い、かつ、上記基材を構成する材料として無機材料が用いられたカラーフィルター用基板を用い、上記遮光部上からフッ素化合物を導入ガスとしたプラズマを照射する方法を挙げることができる。このような方法は有機物にのみ上記フッ素化合物を導入することができるため、上記遮光部のみに選択的にフッ素を導入できる結果、上記遮光部の撥液性を上記開口内の基板表面のそれよりも容易に高くすることができる。
ここで、上記プラズマ照射を行った際の、上記遮光部におけるフッ素の存在は、X線光電子分光分析装置(XPS:ESCALAB 220i−XL)による分析において、遮光部の表面より検出される全元素中のフッ素元素の割合を測定することにより確認することができる。
また、上記プラズマ照射に用いられる導入ガスのフッ素化合物としては、例えばフッ化炭素(CF)、窒化フッ素(NF)、フッ化硫黄(SF)等を挙げることができる。
また、上記プラズマ照射の方法は、フッ素化合物を導入ガスとして用いてプラズマを照射し、上記遮光部を撥液化することが可能であれば特に限定されるものではなく、減圧下でプラズマ照射してもよく、また大気圧下でプラズマ照射してもよい。なかでも、本発明においては特に大気圧下でプラズマ照射が行われることが好ましい。これにより、減圧用の装置等が必要なく、コストや製造効率等の面から好ましいものとすることができるからである。
上記大気圧プラズマの照射条件としては、例えば、以下のようなものとすることができる。電源出力としては、一般的な大気圧プラズマの照射装置に用いられるものと同様とすることができる。また、この際、照射されるプラズマの電極と、上記遮光部との距離は、0.2mm〜20mm程度、中でも0.4mm〜5mm程度とされることが好ましい。
また、上記導入ガスとして用いられるフッ素化合物の流量は1L/min〜100L/minの範囲内であることが好ましく、なかでも3L/min〜50L/minの範囲内であることが好ましい。
一方、上記遮光部上に撥液性の高い層を形成する方法としては、上記遮光部上に、上記基材表面よりも相対的に撥液性の高い層を形成できる方法であれば特に限定されるものではない。このような方法としては、例えば、上述した光触媒含有層を形成する方法を挙げることができる。
上記撥液化工程において、上記遮光部が撥液化される程度としては、相対的に上記開口部よりも撥液性が高いものとされれば特に限定されない。なかでも本発明においては上記撥液性が40mN/mの液体との接触角が、10°以上となる程度であることが好ましく、特に表面張力30mN/mの液体との接触角が10°以上となる程度であることが好ましく、さらには表面張力20mN/mの液体との接触角が10°以上となる程度であることが好ましい。また、純水との接触角が11°以上となる程度であることが好ましい。
一方、上記開口部の撥液性としては、上記遮光部の撥液性よりも低くければ特に限定されないが、40mN/mの液体との接触角が10°未満となる程度であることが好ましく、特に表面張力50mN/mの液体との接触角が10°以下となる程度であることが好ましく、さらには表面張力60mN/mの液体との接触角が10°以下となる程度であることが好ましい。
なお、上記液体との接触角は、種々の表面張力を有する液体との接触角を接触角測定器(協和界面科学(株)製CA−Z型)を用いて測定(マイクロシリンジから液滴を滴下して30秒後)した値を用いるものとする。また測定に用いる種々の表面張力を有する液体としては、純正化学株式会社製のぬれ指数標準液が用いるものとする。
本発明のカラーフィルターの製造方法は、上記他の工程として、上記親液化工程および撥液化工程以外に、カラーフィルターを製造するに際して通常用いられる工程を有していても良い。このような工程としては、例えば、上記着色層形成工程により形成される着色層上にオーバーコート層を形成するオーバーコート層形成工程等を挙げることができる。
3.液晶表示装置の製造方法
本発明に係る液晶表示装置の製造方法は、上記本発明に係るカラーフィルターの製造方法を用いてカラーフィルターを製造する工程と、当該製造されたカラーフィルターと液晶駆動側基板を対向させて組み立てる工程を有する。
本発明に係る液晶表示装置の製造方法によれば、上記本発明に係るインクジェットインクを用い、より性能の良いカラーフィルターが得られる上記本発明に係るカラーフィルターの製造方法を用いた工程を有することから、高品質な液晶表示装置とすることができる。
上記のようにして製造されたカラーフィルターと、液晶駆動側基板(TFTアレイ基板)を対向させ、両基板の内面側周縁部をシール剤により接合すると、両基板は所定距離のセルギャップを保持した状態で貼り合わされる。そして、基板間の間隙部に液晶を満たして密封することにより、本発明に係る製造方法により製造される液晶表示装置に属する、アクティブマトリックス方式のカラー液晶表示装置が得られる。
液晶表示装置におけるその他の製造方法及び構成は、通常用いられる方法及び構成を用いることができるので、ここでは説明を省略する。
本発明に係る製造方法によって得られる液晶表示装置としては、上述したカラーフィルターを有するものであれば特に限定はされず、公知の液晶表示装置を挙げることができる。具体的には、IPS(In-Plane Switching)型、STN(Super Twisted Nematic)型、TN(Twisted Nematic)型、強誘電性型、反強誘電性型、MVAモード型等を挙げることができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
(合成例1:バインダー性エポキシ化合物の合成)
温度計、還流冷却器、攪拌機、滴下ロートを備えた4つ口フラスコに、表1に示す配合割合に従って、水酸基を含有しない溶剤ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(別名ブチルカルビトールアセテート、以下、BCAと示すことがある。)を40.7重量部仕込み、攪拌しながら加熱して140℃に昇温した。次いで、140℃の温度で第1表に記載した組成の単量体、及び、重合開始剤の混合物(滴下成分)54.7重量部を、2時間かけて滴下ロートより等速滴下した。滴下終了後、110℃に降温し重合開始剤及び水酸基を含有しない溶剤ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(BCA)の混合物(追加触媒成分)4.6重量部を添加し、110℃の温度を2時間保ったところで反応を終了することにより、表1に記載の特性を有するバインダー性エポキシ化合物が得られた。
Figure 2008195877
*1)表中の略号は以下の通りである。
GMA:グリシジルメタクリレート
MMA:メチルメタクリレート
パーブチルO:t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート(日本油脂(株)製商品名)
*2)重量平均分子量:ゲル浸透クロマトグラフィーによるポリスチレン換算の値である。
(製造例R1:カラーフィルター用赤色インクジェットインクの調製)
(1)赤色顔料分散液の調製
C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド150の3つの顔料に対してそれぞれ顔料分散液を調製した。各顔料15重量部に対し、顔料分散(アジスパーPb821、商品名、味の素ファインテクノ(株)製)9重量部、及びBCA(ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート)76重量部を混合し、直径0.5mmのジルコニアビーズを300重量部加え、ペイントシェーカー(浅田鉄工(株)製)を用いて3時間分散を行った。分散後、5.0ミクロンのメンブランフィルターで濾過し、赤色インクジェットインク用顔料分散液を調製した。
(2)バインダー組成物の調製
サンプル瓶にテフロン(登録商標)被覆した回転子を入れ、マグネチックスターラーに設置した。このサンプル瓶の中に、下記の割合に従って前記合成例1に記載のバインダー性エポキシ化合物、多官能エポキシ樹脂等を加え、室温で十分に攪拌溶解し、次いで、粘度調整のために希釈溶剤BCAを加えて攪拌溶解した後、これを濾過してバインダー組成物を得た。
[熱硬化性バインダー溶液の配合割合]
・合成例1のバインダー性エポキシ化合物(溶剤BCA中に固形分30重量%):62.5重量部
・多官能エポキシ樹脂(商品名jER157S70、ジャパンエポキシレジン(株)製):12.5重量部
・ネオペンチルグリコールグリシジルエーテル:6.25重量部
・トリメリット酸:12.5重量部
・BCA(ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート):6.25重量部
(3)インクジェットインクの調製
表2に示す組成となるように、上記調製した各赤色顔料分散液、バインダー組成物、及び溶剤を充分に混合し、製造例R1のカラーフィルター用赤色インクジェットインクを得た。
Figure 2008195877
*表2において、略号は以下のとおりである。
BCA:ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート
EEP:3−エトキシプロピオン酸エチル
(実施例1〜6、比較例1〜4)
製造例R1のカラーフィルター用赤色インクジェットインクについて、表3に示す各濾過フィルターと各濾過圧力により濾過を行った。濾過には、ステンレスサニタリーハウジング、アドバンテック東洋社製1TWA−1S−PSを使用した。1TWA−1S−PSの構造を図2に示す。図2において、記号は以下のとおりである。
1:ボールバルブ、2:胴、3:4Sクランプ、4:胴ガスケット、5:ベース、6:袋ナットガスケット、7:袋ナット、8:入口、9:出口。
図2における胴内に表3に示す濾過フィルターを設置、表3に示す所定の圧力を印加し濾過を行った。濾過に用いるインク量は3kgとした。以下の評価基準による濾過性も併せて表3に示す。
[濾過性評価基準]
◎:インク全量に対して2分未満の濾過時間
○:インク全量に対して2分以上5分未満の濾過時間
△:インク全量に対して5分以上10分未満の濾過時間
×:インク全量に対して10分以上の濾過時間
また、用いた濾過フィルターの各インクジェットインクに対する耐性、各インクジェットインクのインクジェット吐出性について評価した。これらの評価結果を併せて表3に示す。
(1)濾過フィルターの耐インク性
濾過フィルターの初期重量をメトラー社製電子天秤で測定した。上記各インクジェットインクに用いられているBCA(ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート)とEEP(3−エトキシプロピオン酸エチル)の混合溶媒(重量比BCA:EEP=70:10)に24時間、濾過フィルターを浸漬した。
その後、上記混合溶媒から濾過フィルターを引き上げ、イソプロピルアルコールで充分に洗浄後、30℃で加熱しながら0.2Torrで乾燥を行った。
乾いた濾過フィルターの重量を測定し、初期重量よりも減少している濾過フィルターは、インクに濾過フィルターが溶解しているとし、初期重量に対して重量減少がないものは濾過フィルターが溶解せず、耐インク性に優れていると判断した。
[耐インク性評価基準]
○:初期濾過膜重量に対して重量減少がない
×:初期濾過膜重量に対して重量減少がある
(2)インクジェットインクのインクジェット吐出性
インクジェットヘッドに濾過後の各インクを充填し、当該インクジェットヘッドの全穴からインクを吐出、1孔につき20ngをガラス基材上に滴下した。
その後連続吐出し、飛翔曲がり、吐出不可能となる孔が発生した吐出発数により、インクの連続吐出性の良否を評価した。
[初期吐出性の評価基準]
◎:ヘッドの全孔(オリフィス)からインクを吐出することが可能。
○:ヘッドの95%以上の孔からインクの吐出が可能。
△:ヘッドの50%以上95%未満の孔からインクの吐出が可能。
×:ヘッドの全孔から吐出しないか、50%未満の孔からのみ吐出可能。
[長期連続吐出性の評価基準]
◎:10億発連続吐出しても飛翔曲がりが発生せず、吐出不可能となる孔がない。
○:5億発以上10億発未満で飛翔曲がり、吐出不可能となる孔が発生。
△:1万発以上5億発未満で飛翔曲がり、吐出不可能となる孔が発生。
×:1万発未満で飛翔曲がり、吐出不可能となる孔が発生。
Figure 2008195877
表中の略号は以下の通りである。
PP:ポリプロピレン
PTFE:疎水ポリテトラフルオロエチレン
GF:樹脂含浸グラスファイバー
なお、表3に示す濾過フィルターは、以下のものを用いた。
・材質ポリプロピレン、濾過精度0.6μm:品番HDCIIAB1J0067H、日本ポール(株)
・材質ポリプロピレン、濾過精度1.2μm:品番HDCIIAB1J0127H、日本ポール(株)
・材質ポリプロピレン、濾過精度2.5μm:品番HDCIIAB1J0257H、日本ポール(株)
・材質疎水ポリテトラフルオロエチレン、濾過精度0.45μm:品番エンフロンAB1FX7ESH11、日本ポール(株)
・材質疎水ポリテトラフルオロエチレン、濾過精度1.0μm:品番エンフロンAB1FN7ESH11、日本ポール(株)
・材質ポリプロピレン、濾過精度4.5μm:品番HDCIIAB1J0457H、日本ポール(株)
・材質疎水ポリテトラフルオロエチレン、濾過精度0.1μm:品番エンフロンAB1FT7ESH11、日本ポール(株)
・材質樹脂含浸グラスファイバー、濾過精度1μm:品番ウルチポアGFプラスAB1U010Z7H、日本ポール(株)
<評価結果>
表3に示すように、本発明に係るインクの製造方法において規定した範囲内の濾過フィルターと濾過圧力を用いて濾過を行った実施例1〜6のインクでは、インク全量に対して5分未満の濾過時間と良好な濾過性を示し、濾過フィルターの耐薬品性も良好で、濾過後のインクジェットインクの吐出性は、初期吐出性、及び長期連続吐出性の両方において良好であり、吐出安定性に優れていた。
一方、表3に示すように、同じ製造例R1のインクを用い、濾過精度を4.5μmと規定範囲外の大きな濾過精度のポリプロピレン製濾過フィルターを用いた比較例1は、濾過時間が2分未満と濾過性は良好であったが、当該濾過後のインクジェットインクの吐出性は、初期にヘッドの5%以上50%未満の孔に詰まりが見られ、更に、1万発未満で飛翔曲がり、吐出不可能となる孔が発生し吐出安定性が悪いものであった。
また、同じ製造例R1のインクを用い、濾過精度を0.1μmと規定範囲外の小さな濾過精度の疎水ポリテトラフルオロエチレン製濾過フィルターを用いた比較例2は、インク全量に対して10分以上の濾過時間がかかり、インクの製造時にインクの損失や濾過時間の損失が大きくなり、製造上問題があることが明らかになった。
また、同じ製造例R1のインクを用い、濾過圧力を0.005MPaと規定範囲外の小さな濾過圧力とした比較例3は、安定な濾過圧力が確保できず、かつインク全量に対して10分以上の濾過時間がかかり、インクの製造時にインクの損失や濾過時間の損失が大きくなり、製造上問題があることが明らかになった。
一方、濾過フィルターとして、濾過精度1μmの樹脂含浸グラスファイバー製濾過フィルターを用いた比較例4は、濾過時間が5分未満と濾過性は良好であったのにもかかわらず、濾過後のインクジェット吐出性は、初期にヘッドの50%以上の孔に詰まりが見られ、更に、1万発未満で飛翔曲がり、吐出不可能となる孔が発生し吐出安定性が悪いものであった。
(製造例G1:カラーフィルター用緑色インクジェットインクの調製)
(1)緑色顔料分散液の調製
C.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー150の4つの顔料に対してそれぞれ顔料分散液を調製した。各顔料15重量部に対し、顔料分散剤(アジスパーPb821、商品名、味の素ファインテクノ(株)製)9重量部、及びBCA(ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート)76重量部を混合し、直径0.5mmのジルコニアビーズを300重量部加え、ペイントシェーカー(浅田鉄工(株)製)を用いて3時間分散を行った。分散後、5.0ミクロンのメンブランフィルターで濾過し、緑色インクジェットインク用顔料分散液を調製した。
(2)バインダー組成物の調製
バインダー組成物は、実施例R1の赤色インクジェットインクで用いたバインダー組成物と同様のものを用いた。
(3)インクジェットインクの調製
表4に示す組成となるように、上記調製した各緑色顔料分散液、バインダー組成物、及び溶剤を充分に混合し、製造例G1のカラーフィルター用緑色インクジェットインクを得た。
Figure 2008195877
*表4において、略号は以下のとおりである。
BCA:ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート
EEP:3−エトキシプロピオン酸エチル
(実施例7〜9、比較例5)
製造例G1のカラーフィルター用緑色インクジェットインクを用いて、表5に示す各濾過フィルターと各濾過圧力により濾過を行った。各評価方法や評価基準は実施例1と同様に行った。
また、用いた濾過フィルターの各インクジェットインクに対する耐性、各インクジェットインクのインクジェット吐出性についても実施例1と同様に評価した。これらの評価結果を併せて表5に示す。
Figure 2008195877
表中の略号は以下の通りである。
PP:ポリプロピレン
PTFE:疎水ポリテトラフルオロエチレン
なお、表5に示す濾過フィルターは、以下のものを用いた。
・材質ポリプロピレン、濾過精度1.2μm:品番HDCIIAB1J0127H、日本ポール(株)
・材質ポリプロピレン、濾過精度2.5μm:品番HDCIIAB1J0257H、日本ポール(株)
・材質疎水ポリテトラフルオロエチレン、濾過精度1.0μm:品番エンフロンAB1FN7ESH11、日本ポール(株)
・材質ポリプロピレン、濾過精度4.5μm:品番HDCIIAB1J0457H、日本ポール(株)
表5のうち、実施例7〜9の結果により、本発明で規定した濾過フィルター及び濾過圧力を用いて濾過した後に得られたインクジェットインクは、インク全量に対して5分未満の濾過時間と良好な濾過性を示し、インクに濾過フィルター成分が溶出することもなく、且つ、インクジェット吐出性が初期吐出性、及び長期連続吐出性の両方において良好であり、吐出安定性に優れていた。
一方、濾過精度を4.5μmと規定範囲外の大きな濾過精度のポリプロピレン製濾過フィルターを用いた比較例5は、濾過時間が2分未満と濾過性は良好であったが、当該濾過後のインクジェットインクの吐出性は、初期にヘッドの5%以上50%未満の孔に詰まりが見られ、更に、1万発未満で飛翔曲がり、吐出不可能となる孔が発生し吐出安定性が悪いものであった。
(製造例B1:カラーフィルター用青色インクジェットインクの調製)
(1)青色顔料分散液の調製
C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントバイオレット23の2つの顔料に対してそれぞれ顔料分散液を調製した。各顔料15重量部に対し、顔料分散剤(アジスパーPb821、商品名、味の素ファインテクノ(株)製)9重量部、及びBCA(ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート)76重量部を混合し、直径0.5mmのジルコニアビーズを300重量部加え、ペイントシェーカー(浅田鉄工(株)製)を用いて3時間分散を行った。分散後、5.0ミクロンのメンブランフィルターで濾過し、青色インクジェットインク用顔料分散液を調製した。
(2)バインダー組成物の調製
バインダー組成物は、実施例R1の赤色インクジェットインクで用いたバインダー組成物と同様のものを用いた。
(3)インクジェットインクの調製
表6に示す組成となるように、上記調製した各青色顔料分散液、バインダー組成物、及び溶剤を充分に混合し、製造例B1のカラーフィルター用青色インクジェットインクを得た。
Figure 2008195877
*表6において、略号は以下のとおりである。
BCA:ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート
EEP:3−エトキシプロピオン酸エチル
(実施例10〜12、比較例6)
製造例B1のカラーフィルター用青色インクジェットインクを用いて、表7に示す各濾過フィルターと各濾過圧力により濾過を行った。各評価方法や評価基準は実施例1と同様に行った。
また、用いた濾過フィルターの各インクジェットインクに対する耐性、各インクジェットインクのインクジェット吐出性についても実施例1と同様に評価した。これらの評価結果を併せて表7に示す。
Figure 2008195877
表中の略号は以下の通りである。
PP:ポリプロピレン
PTFE:疎水ポリテトラフルオロエチレン
なお、表7に示す濾過フィルターは、以下のものを用いた。
・材質ポリプロピレン、濾過精度1.2μm:品番HDCIIAB1J0127H、日本ポール(株)
・材質ポリプロピレン、濾過精度2.5μm:品番HDCIIAB1J0257H、日本ポール(株)
・材質疎水ポリテトラフルオロエチレン、濾過精度1.0μm:品番エンフロンAB1FN7ESH11、日本ポール(株)
・材質ポリプロピレン、濾過精度4.5μm:品番HDCIIAB1J0457H、日本ポール(株)
表7のうち、実施例10〜12の結果により、本発明で規定した濾過フィルター及び濾過圧力を用いて濾過した後に得られたインクジェットインクは、インク全量に対して5分未満の濾過時間と良好な濾過性を示し、インクに濾過フィルター成分が溶出することもなく、且つ、インクジェット吐出性が初期吐出性、及び長期連続吐出性の両方において良好であり、吐出安定性に優れていた。
一方、濾過精度を4.5μmと規定範囲外の大きな濾過精度のポリプロピレン製濾過フィルターを用いた比較例6は、濾過時間が2分未満と濾過性は良好であったが、当該濾過後のインクジェットインクの吐出性は、初期にヘッドの5%以上50%未満の孔に詰まりが見られ、更に、1万発未満で飛翔曲がり、吐出不可能となる孔が発生し吐出安定性が悪いものであった。
本発明に係るインクジェットインクを用いてカラーフィルターを製造する方法の説明図である。 実施例の濾過試験に用いた濾過フィルターの構造を説明する図である。 インクのオリフィス表面への濡れ広がり及びインク滴の飛行曲がりを説明する図である。
符号の説明
21 基材
22 遮光部
23 カラーフィルター用基板
24(24R、24G、24B) 着色層形成領域
25 インクジェットヘッド
26(26R、26G、26B) インキ層
33 オリフィス
34 インク滴
100、101、102 カラーフィルター

Claims (8)

  1. 少なくとも顔料、バインダー成分、並びに、主溶剤としてエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジブチルエーテル、アジピン酸ジエチル、シュウ酸ジブチル、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、コハク酸ジメチル、及びコハク酸ジエチルよりなる群から選択される1種以上の溶剤成分を溶剤の全量に対して60重量%以上含有するカラーフィルター用インクジェットインクであって、濾過精度が0.2〜4.0μmのポリプロピレンを主材とする濾過フィルター及び/又は濾過精度が0.2〜4.0μmのポリテトラフルオロエチレンを主材とする濾過フィルターを、0.01〜2MPaの濾過圧力で通過したことを特徴とする、カラーフィルター用インクジェットインク。
  2. 前記バインダー成分として、少なくとも下記式(1)で表される構成単位及び下記式(2)で表される構成単位から構成され且つグリシジル基を2個以上有するポリスチレン換算の重量平均分子量が3,000〜20,000のエポキシ基含有重合体、及びポリスチレン換算の重量平均分子量が4,000以下で且つ前記重合体よりも重量平均分子量が小さい一分子中にエポキシ基を2個以上有するエポキシ基含有化合物を含むことを特徴とする、請求項1に記載のカラーフィルター用インクジェットインク。
    Figure 2008195877
    (R1は水素原子または炭素数1〜3のアルキル基であり、R2は炭素数1〜12の炭化水素基である。)
    Figure 2008195877
    (R3は水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基である。)
  3. 少なくとも顔料を、主溶剤としてエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジブチルエーテル、アジピン酸ジエチル、シュウ酸ジブチル、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、コハク酸ジメチル、及びコハク酸ジエチルよりなる群から選択される1種以上の溶剤成分を含有する分散体調製溶剤に混合して顔料分散体を調製する工程と、得られた前記顔料分散体、少なくともバインダー成分、及び新たに用意した前記主溶剤を含有する溶剤を混合することにより、溶剤全量に占める前記主溶剤の配合割合を60重量%以上に調節して予備調製インクを調製する工程と、前記予備調製インクを、濾過精度が0.2〜4.0μmのポリプロピレンを主材とする濾過フィルター及び/又は濾過精度が0.2〜4.0μmのポリテトラフルオロエチレンを主材とする濾過フィルターを、0.01〜2MPaの濾過圧力で通過させる濾過工程とを有することを特徴とする、カラーフィルター用インクジェットインクの製造方法。
  4. 基板上の所定領域に前記請求項1又は2に記載のカラーフィルター用インクジェットインクを、インクジェット方式によって選択的に付着させて着色層を形成する着色層形成工程を含むことを特徴とする、カラーフィルターの製造方法。
  5. 前記基板が基材と当該基材上に形成された遮光部とを有するものであり、前記基板の遮光部が撥液性材料を含有していることを特徴とする、請求項4に記載のカラーフィルターの製造方法。
  6. 前記基板が基材と当該基材上に形成された遮光部とを有するものであり、前記着色層形成工程の前に、前記基板の遮光部を撥液化する撥液化工程を更に含むことを特徴とする、請求項4又は5に記載のカラーフィルターの製造方法。
  7. 前記着色層形成工程の前に、前記基板表面の所定領域の表面を親液化する親液化工程を更に含むことを特徴とする、請求項4乃至6のいずれかに記載のカラーフィルターの製造方法。
  8. 前記請求項4乃至7のいずれかに記載のカラーフィルターの製造方法を用いてカラーフィルターを製造する工程と、当該製造されたカラーフィルターと液晶駆動側基板を対向させて組み立てる工程を有する、液晶表示装置の製造方法。
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