JP2008194527A - 遊技機 - Google Patents

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Abstract

【課題】外部から不正な操作を受けても開閉部材の施錠状態を容易に解除することができず、不正行為に対する防御性能(即ち防犯性能)に優れた施錠装置を備えた遊技機を提供する。
【解決手段】遊技機の開閉部材を施錠する施錠装置は、鍵の非装着状態では錠軸62が回動不能となるシリンダ錠60と、施錠位置と解錠位置との間を配置切替え可能な切替え係合体としての鉤部材50A,50Bと、シリンダ錠60と各鉤部材50A,50Bとの間の動作伝達に関与する作動機構(40,55,56,57,70等)とを備える。作動機構は、鉤部材を施錠位置から解錠位置へ切替えようとする外力が及んだときにその外力を前記錠軸62に伝達するように構成されている。このため、鍵の非装着時における錠軸62の回動不能特性を利用して前記外力による鉤部材の不正な配置切替えが阻止される。
【選択図】図3

Description

本発明は、開閉部材及びその開閉部材を施錠するための施錠装置を備えた遊技機に関する。
一般にパチンコ機等の遊技機では、内部を日常的に保守点検する必要から、遊技機の前面には前面枠(前面扉ともいう)等の開閉部材が開閉可能に設けられ、店員以外の者が無断で開閉部材を開放できないようにするために、遊技機には施錠装置が設けられている。かかる施錠装置としては、専用の鍵を用いて操作されるシリンダ錠と、遊技機本体に設けられた複数の被係止部に対しそれぞれ係脱可能に設けられた複数の鉤部材と、鍵によるシリンダ錠の解錠操作に応じて前記複数の鉤部材を作動させる作動機構とを備えたものが知られている。この施錠装置によれば、施錠状態では各鉤部材がそれぞれ対応する被係止部に係合することで開閉部材が開放不能となる。他方、専用の鍵でシリンダ錠を解錠操作することにより作動機構を介して各鉤部材が被係止部から同時に離脱し、開閉部材が開放可能となる。
しかしながら、従来の施錠装置付き遊技機は、遊技機本体と開閉部材との間に僅かに生じた隙間から針金等の線材を差し込み、その線材で鉤部材や作動機構に直接力を加えて鉤部材を被係止部から離脱させるという不正行為を受けるおそれがあった。このため、専用の鍵でシリンダ錠を解錠操作せずとも、開閉部材の施錠状態が不正に解除され、開閉部材が不正開放されてしまうという問題があった。
本発明の目的は、外部から不正な操作を受けても開閉部材の施錠状態を容易に解除することができず、不正行為に対する防御性能(即ち防犯性能)に優れた施錠装置を備えた遊技機を提供することにある。
上記の目的を達成するために、本発明では、開閉部材及びその開閉部材を施錠する施錠装置を備えた遊技機において、前記施錠装置は、鍵の非装着状態では錠軸が回動不能となる錠と、前記開閉部材が施錠状態となる施錠位置と、前記開閉部材が解錠状態となる解錠位置との間を配置切替え可能な切替え係合体と、前記錠と前記切替え係合体との間の動作伝達に関与する作動機構とを備え、前記作動機構は、前記切替え係合体又は当該作動機構に対して切替え係合体を施錠位置から解錠位置へ切替えようとする外力が及んだときにその外力を前記錠軸に伝達するように構成されていることを特徴とする。
本発明によれば、外部から不正な操作を受けても開閉部材の施錠状態を容易に解除することができず、不正行為に対する防御性能(即ち防犯性能)に優れた施錠装置を備えた遊技機を提供することができる。
はじめに、本実施の形態から抽出され得る発明群を手段n(n=1,2,3…)として区分して示し、それらを必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお以下においては、理解の容易のため、本実施の形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
手段1.開閉部材及びその開閉部材を施錠する施錠装置を備えた遊技機において、前記施錠装置は、鍵の非装着状態では錠軸が回動不能となる錠と、前記開閉部材が施錠状態となる施錠位置と、前記開閉部材が解錠状態となる解錠位置との間を配置切替え可能な切替え係合体と、前記錠と前記切替え係合体との間の動作伝達に関与する作動機構とを備え、前記作動機構は、前記切替え係合体又は当該作動機構に対して切替え係合体を施錠位置から解錠位置へ切替えようとする外力が及んだときにその外力を前記錠軸に伝達するように構成されていることを特徴とする遊技機。
手段1の遊技機によれば、錠に鍵を装着して解錠操作を行う場合には、錠の動作が作動機構を介して切替え係合体に伝達され、切替え係合体が施錠位置から解錠位置に切替えられて開閉部材の施錠が解除される。これに対し、不正な意図を持った者が切替え係合体又は作動機構に対して切替え係合体を施錠位置から解錠位置へ切替えようとする外力を及ぼす場合(例えば、線材等を外から遊技機内に挿入しその線材等を介して不正に外力を及ぼす場合)がある。しかしその場合でも、不正な外力は作動機構を介して錠の錠軸に伝達される一方で、その錠軸は錠に鍵が装着されない限り回動不能のままである。故に、不正な外力が及んだとしても、錠軸が動かないことで作動機構及び切替え係合体も動かされず、外力による切替え係合体の不正な配置切替えが阻止される。つまり、鍵の非装着時における錠軸の回動不能特性を利用して外力による切替え係合体の不正な配置切替えが阻止される。従って、この遊技機によれば、外部から不正な操作を受けても開閉部材の施錠状態を容易に解除することができず、不正行為に対する防御性能(即ち防犯性能)に優れている。
尚、この明細書において「錠」とは、扉などの部材の戸締りに用いられる狭義の錠に限定されるものではなく、鍵との組合せ使用により施錠及び解錠を行うことができる広い意味での機械部品(即ち広義の錠)を意味するものである。
手段2.前記作動機構は、前記錠の錠軸と共に一体回動可能な可動片と、前記切替え係合体と前記可動片との間の動作伝達を担う作動部材とを具備することを特徴とする手段1に記載の遊技機。
手段2によれば、前記切替え係合体又は前記作動部材に対して切替え係合体を施錠位置から解錠位置へ切替えようとする外力が及んだときに、その外力は可動片を介して錠の錠軸に伝達される。従って、上記手段1と同様、鍵の非装着時における錠軸の回動不能特性を利用して前記外力による切替え係合体の不正な配置切替えを阻止することができる。
手段3.前記作動部材は前記可動片の一部と係合可能な係合部を有しており、前記錠に鍵を非装着の状態では、不正な外力による切替え係合体の施錠位置から解錠位置への配置切替えに応じた作動部材の移動を阻止すべく、前記可動片の一部が作動部材の係合部と当接状態又はそれに近い状態にあることを特徴とする手段2に記載の遊技機。
手段3によれば、錠に鍵を非装着の状態では、不正な外力による切替え係合体の施錠位置から解錠位置への配置切替えに応じた作動部材の移動を阻止する目的で、可動片の一部が作動部材の係合部と当接状態又はそれに近い状態にある。従って、前記切替え係合体又は作動部材に対して切替え係合体を施錠位置から解錠位置へ切替えようとする外力が及んだときでも、その外力は、作動部材の係合部及び可動片を介して錠の錠軸に伝達される。従って、上記手段1及び2と同様、鍵の非装着時における錠軸の回動不能特性を利用して前記外力による切替え係合体の不正な配置切替えを阻止することができる。なお、「当接状態に近い状態」とは、可動片又は作動部材をごく僅かに動かすだけで、可動片の一部と作動部材の係合部とを当接状態にいたらしめることが可能な状態をいう。
手段4.前記可動片は少なくとも1本の腕部を有しており、前記作動部材は前記可動片の腕部と係合可能な係合凹部を有しており、前記錠に鍵を非装着の状態では、可動片の腕部が作動部材の係合凹部内に進入配置されると共に、不正な外力による切替え係合体の施錠位置から解錠位置への配置切替えに応じた作動部材の移動を阻止すべく、前記可動片の腕部が作動部材の係合凹部の壁面と当接状態又はそれに近い状態にあることを特徴とする手段2に記載の遊技機。
手段4によれば、錠に鍵を非装着の状態では、可動片の腕部が作動部材の係合凹部内に進入配置されると共に、不正な外力による切替え係合体の施錠位置から解錠位置への配置切替えに応じた作動部材の移動を阻止する目的で、可動片の腕部が作動部材の係合凹部の壁面と当接状態又はそれに近い状態にある。従って、前記切替え係合体又は作動部材に対して切替え係合体を施錠位置から解錠位置へ切替えようとする不正な外力が及んだときでも、その外力は、作動部材の係合凹部の壁面及び可動片を介して錠の錠軸に伝達される。このように、可動片の腕部と作動部材の係合凹部壁面との間に実質的な当接関係を構築するという簡素な構成に基づき、上記手段1及び2と同様、鍵の非装着時における錠軸の回動不能特性を利用して前記外力による切替え係合体の不正な配置切替えを阻止することができる。なお、「当接状態に近い状態」とは、可動片又は作動部材をごく僅かに動かすだけで、可動片の腕部と作動部材の係合凹部の壁面とを当接状態にいたらしめることが可能な状態をいう。
手段5.前記錠に鍵を非装着の状態において作動部材の係合凹部内に進入配置される可動片の腕部は、錠に鍵を装着しての解錠操作によって錠軸及び可動片を回動させた際に、可動片の回動方向が特定方向の場合には係合凹部の一部に係合して作動部材を押圧する一方、可動片の回動方向が前記特定方向と反対方向の場合には作動部材に何の作用も及ぼすことなく当該係合凹部から離脱し得るように形状設定されていることを特徴とする手段4に記載の遊技機。
手段5によれば、錠に鍵を装着しての正規の解錠操作によって錠軸及び可動片を回動させた際に、可動片の回動方向が特定方向の場合には、その可動片の腕部で作動部材を押圧して切替え係合体を施錠位置から解錠位置に配置切替えして開閉部材を解錠することが可能となる一方、可動片の回動方向が前記特定方向と反対方向の場合には、作動部材及び切替え係合体に何の変化ももたらすことなく、当該開閉部材の施錠状態を維持することが可能となる。このように可動片の回動方向に応じて開閉部材の施錠又は解錠の状態を選択可能となれば、施錠装置の設計の幅が広がる。例えば、一つの錠及びその錠軸に連結された一つの可動片(但し2本の腕部を持つ)だけで、二つの開閉部材にそれぞれ対応した二つの作動部材を選択的に作動させるような設計も可能となる。
手段6.鍵の非装着状態において作動部材の係合凹部内に進入配置される可動片の腕部の外側縁は、錠軸を中心とした仮想円にほぼ沿って円弧状に縁取られると共に、その円弧状外側縁の一部において当該腕部が作動部材の係合凹部の壁面に当接可能となっていることを特徴とする手段5に記載の遊技機。
手段6によれば、鍵の非装着状態において、不正な外力による切替え係合体の施錠位置から解錠位置への配置切替えに応じた作動部材の移動を阻止すべく、前記可動片の腕部が作動部材の係合凹部の壁面と当接状態又はそれに近い状態にあることが担保され、しかも、錠に鍵を装着しての正規の解錠操作において、可動片の回動方向が前記特定方向と反対方向の場合に、作動部材に何の作用も及ぼすことなく当該係合凹部から離脱することが許容される。
手段7.鍵の非装着状態において作動部材の係合凹部内に進入配置される可動片の腕部の前記外側縁と反対側に位置する内側端と、その内側端に対向する前記作動部材の係合凹部壁面との間に、所定間隔を確保するように構成したことを特徴とする手段6に記載の遊技機。
手段7によれば、可動片の腕部の外側縁と反対側に位置する内側端と、その内側端に対向する作動部材の係合凹部壁面との間には、所定間隔が確保される。このため、鍵の非装着状態において前記内側端がそれに対向する作動部材の係合凹部壁面に当接する場合(所定間隔が確保されない場合)に比べて、当該施錠装置を構成する部品(作動部材や可動片等)の組み付けが容易になると共に、施錠装置の設計がし易くなる。
手段8.前記切替え係合体は、遊技機に設けられた被係止部に対し係合することで前記開閉部材が施錠状態となる施錠位置と、前記被係止部から離脱することで前記開閉部材が解錠状態となる解錠位置との間を配置切替え可能に構成された鉤部材であることを特徴とする手段1〜7に記載の遊技機。
手段8によれば、不正な意図を持った者が例えば線材等を介して鉤部材に対し不正な外力を及ぼしても、前述のような鍵の非装着時における錠軸の回動不能特性により、鉤部材が施錠位置から解錠位置に不正に切替えられることがない。
手段9.前記切替え係合体は前記作動部材に一体化されており、その作動部材の配置切替えに応じて、前記開閉部材が施錠状態となる施錠位置と、前記開閉部材が解錠状態となる解錠位置との間を配置切替え可能であることを特徴とする手段2〜7に記載の遊技機。
手段9によれば、不正な意図を持った者が例えば線材等を介して切替え係合体に対し不正な外力を及ぼしても、前述のような鍵の非装着時における錠軸の回動不能特性により、作動部材に一体化された切替え係合体が施錠位置から解錠位置に不正に切替えられることがない。
手段10.第1開閉部材、第2開閉部材及び前記両開閉部材を施錠する施錠装置を備えた遊技機において、前記施錠装置は、鍵の非装着状態では錠軸が回動不能となる錠と、前記第1開閉部材が施錠状態となる施錠位置と、第1開閉部材が解錠状態となる解錠位置との間を配置切替え可能な第1開閉部材用の切替え係合体と、前記第2開閉部材が施錠状態となる施錠位置と、第2開閉部材が解錠状態となる解錠位置との間を配置切替え可能な第2開閉部材用の切替え係合体と、前記錠と前記第1開閉部材用及び第2開閉部材用の切替え係合体との動作伝達に関与する作動機構とを備え、前記作動機構は、第1開閉部材用又は第2開閉部材用の切替え係合体を施錠位置から解錠位置へ切替えようとする外力が及んだときにその外力を前記錠軸に伝達するように構成されていることを特徴とする遊技機。
手段10の遊技機によれば、錠に鍵を装着して解錠操作を行う場合には、錠の動作が作動機構を介して第1開閉部材用又は第2開閉部材用の切替え係合体に伝達され、その切替え係合体が施錠位置から解錠位置に切替えられて当該開閉部材の施錠が解除される。これに対し、不正な意図を持った者が第1開閉部材用又は第2開閉部材用の切替え係合体を施錠位置から解錠位置へ切替えようとする外力を及ぼす場合(例えば、線材等を外から遊技機内に挿入しこの線材等を介して不正に外力を及ぼす場合)がある。しかしその場合でも、不正な外力は作動機構を介して錠の錠軸に伝達される一方で、その錠軸は錠に鍵が装着されない限り回動不能のままである。故に、不正な外力が及んだとしても、錠軸が動かないことで作動機構及び切替え係合体も動かされず、外力による切替え係合体の不正な配置切替えが阻止される。つまり、鍵の非装着時における錠軸の回動不能特性を利用して外力による第1開閉部材用又は第2開閉部材用の切替え係合体の不正な配置切替えが阻止される。従って、この遊技機によれば、外部から不正な操作を受けても第1及び第2開閉部材の施錠状態を容易に解除することができず、不正行為に対する防御性能(即ち防犯性能)に優れている。
手段11.前記作動機構は、前記錠の錠軸と共に一体回動可能であり且つ第1腕部及び第2腕部を有する可動片と、前記第1開閉部材用切替え係合体と前記可動片の第1腕部との間の動作伝達を担うべく当該第1腕部と係合可能な係合凹部を有する第1作動部材と、前記第2開閉部材用切替え係合体と前記可動片の第2腕部との間の動作伝達を担うべく当該第2腕部と係合可能な係合凹部を有する第2作動部材とを備え、前記錠に鍵を非装着の状態では、可動片の第1及び第2腕部がそれぞれ第1及び第2作動部材の係合凹部内に進入配置されると共に、可動片の各腕部がそれぞれ対応する作動部材の係合凹部の壁面と当接状態又はそれに近い状態にあることを特徴とする手段10に記載の遊技機。
手段11によれば、錠に鍵を非装着の状態では、可動片の第1及び第2腕部がそれぞれ第1及び第2作動部材の係合凹部内に進入配置されると共に、可動片の各腕部がそれぞれ対応する作動部材の係合凹部の壁面と当接状態又はそれに近い状態にある。このため、第1開閉部材用又は第2開閉部材用の切替え係合体を施錠位置から解錠位置へ切替えようとする外力が及んだときでも、その外力は第1又は第2作動部材の係合凹部の壁面及び可動片を介して錠の錠軸に伝達される。このように可動片の各腕部と各作動部材の係合凹部壁面との間の実質的な当接関係を構築するという簡素な構成に基づいて、上記手段10と同様、鍵の非装着時における錠軸の回動不能特性を利用して、前記外力による切替え係合体の不正な配置切替えを阻止することができる。なお、「当接状態に近い状態」とは、可動片又は各作動部材をごく僅かに動かすだけで、可動片の各腕部と各作動部材の係合凹部の壁面とを当接状態にいたらしめることが可能な状態をいう。
手段12.前記錠に鍵を非装着の状態において各作動部材の係合凹部内に進入配置される可動片の第1及び第2腕部は、錠に鍵を装着しての解錠操作によって錠軸及び可動片を回動させた際に、可動片の回動方向が第1腕部が第1作動部材の係合凹部に係合して第1作動部材を押圧するような回動方向である場合には、第2腕部が第2作動部材に何の作用も及ぼすことなくその係合凹部から離脱し得る一方、可動片の回動方向が第2腕部が第2作動部材の係合凹部に係合して第2作動部材を押圧するような回動方向である場合には、第1腕部が第1作動部材に何の作用も及ぼすことなくその係合凹部から離脱し得るように形状設定されていることを特徴とする手段11に記載の遊技機。
手段12によれば、可動片が具備する第1腕部及び第2腕部を上述のように形状設定することにより、一つの錠及び一つの可動片だけで、第1及び第2作動部材のうちの一方に何の作用も及ぼすことなく、残る一方の作動部材だけを作動させることが可能となる。即ち、第1又は第2作動部材を選択的に作動させることで、第1開閉部材又は第2開閉部材を選択的に施解錠することが可能となる。
手段13.前記可動片の第1及び第2腕部の各外側縁は、錠軸を中心とした仮想円にほぼ沿って円弧状に縁取られており、錠に鍵を非装着の状態では、前記第1腕部がその円弧状外側縁の一部において第1作動部材の係合凹部の壁面と当接状態又はそれに近い状態にあると共に、前記第2腕部がその円弧状外側縁の一部において第2作動部材の係合凹部の壁面と当接状態又はそれに近い状態にあることを特徴とする手段12に記載の遊技機。
手段13によれば、鍵の非装着状態において、不正な外力による切替え係合体の施錠位置から解錠位置への配置切替えに応じた作動部材の移動を阻止する目的で、可動片の第1及び第2腕部がそれぞれ第1及び第2作動部材の係合凹部の壁面と当接状態又はそれに近い状態にあることが担保され、しかも、錠に鍵を装着しての正規の解錠操作において、第1及び第2腕部のうちの一方がそれと対応する作動部材の係合凹部と係合してその作動部材を押圧する場合に、残る一方の腕部がそれと対応する作動部材に何の作用も及ぼすことなく、その係合凹部から離脱することが許容される。
手段14.鍵の非装着状態において第1作動部材の係合凹部内に進入配置される可動片の第1腕部の前記外側縁と反対側に位置する内側端と、その内側端に対向する第1作動部材の係合凹部壁面との間に所定間隔を確保し、且つ、鍵の非装着状態において第2作動部材の係合凹部内に進入配置される可動片の第2腕部の前記外側縁と反対側に位置する内側端と、その内側端に対向する第2作動部材の係合凹部壁面との間に所定間隔を確保するように構成したことを特徴とする手段13に記載の遊技機。
手段14によれば、可動片の第1腕部の外側縁と反対側に位置する内側端と、その内側端に対向する第1作動部材の係合凹部壁面との間には、所定間隔が確保され、且つ、可動片の第2腕部の外側縁と反対側に位置する内側端と、その内側端に対向する第2作動部材の係合凹部壁面との間には、所定間隔が確保される。このため、各腕部の内側端がそれに対向する作動部材の係合凹部壁面に当接する場合(所定間隔が確保されない場合)に比べて、当該施錠装置を構成する部品(作動部材や可動片等)の組み付けが容易になると共に、施錠装置の設計がし易くなる。
手段15.手段1から手段14のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ機であること。中でも、パチンコ機の基本構成としては、操作ハンドルを備えており、そのハンドル操作に応じて遊技球を所定の遊技領域に発射させ、遊技球が遊技領域内の所定の位置に配置された作動口に入賞することを必要条件として表示装置における図柄の変動表示が開始すること、又、特別遊技状態発生中には遊技領域内の所定の位置に配置された入賞口が所定の態様で開放されて遊技球を入賞可能として、その入賞個数に応じた有価価値(景品球のみならず、磁気カードへの書込み等も含む)が付与されること等が挙げられる。上記パチンコ機には少なくとも、多数個の遊技球を取得できる遊技者に有利な状態である特別遊技状態(大当り状態)と、遊技球を消費する遊技者に不利な状態である通常遊技状態の二種類の遊技状態が存在する。
手段16.手段1から手段14のいずれかにおいて、前記遊技機はスロットマシンであること。中でも、スロットマシンの基本構成としては、「遊技状態に応じてその遊技状態を識別させるための複数の図柄からなる図柄列を変動表示した後に図柄を確定表示する表示装置を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して図柄の変動が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して或いは所定時間経過することにより図柄の変動が停止され、その停止時の確定図柄が特定図柄であることを必要条件として遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備えた遊技機」となる。この場合、遊技媒体は、コイン、メダル等が代表例として挙げられる。上記遊技機には少なくとも、多数個の遊技媒体を取得できる遊技者に有利な状態である特別遊技状態(大当り状態)と、遊技媒体を消費する遊技者に不利な状態である通常遊技状態の二種類の遊技状態が存在する。
手段17.手段1から手段14のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ機とスロットマシンとを融合させた遊技機であること。中でも、前記融合させた遊技機の基本構成としては、「遊技状態に応じてその遊技状態を識別させるための複数の識別情報からなる図柄列を変動表示した後に図柄を確定表示する表示装置を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して図柄の変動が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して或いは所定時間経過することにより図柄の変動が停止され、その停止時の確定図柄が特定図柄であることを必要条件として遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備え、遊技媒体として遊技球を使用するとともに、前記識別情報の変動開始に際しては所定数の遊技球を必要とし、特別遊技状態の発生に際しては多くの遊技球が払い出されるよう構成されてなる遊技機」となる。上記遊技機には少なくとも、多数個の遊技球を取得できる遊技者に有利な状態である特別遊技状態(大当り状態)と、遊技球を消費する遊技者に不利な状態である通常遊技状態の二種類の遊技状態が存在する。
以下に、本発明を遊技機としてのパチンコ機に具体化した一実施形態を図面を参照して説明する。
図1及び図2に示すようにパチンコ機10は、外枠11と、前面枠12(内枠ともいう)と、ガラス板が嵌め込まれたガラス枠13と、遊技盤14とを備えている。遊技盤14は前面枠12の内側(裏側)に組み付けられており、前面枠12と遊技盤14とが一体化して前面扉を構成している。前面枠12は外枠11の左側に設けられた上下一対のヒンジ部15,15を介して当該外枠11に対し回動可能に取り付けられ、外枠11に対して開閉可能となっている。ガラス枠13も上下一対の軸支部16,16により前面枠12に対して開閉可能に支持されている。本実施形態では、ガラス枠13が第1開閉部材に、前面枠12が第2開閉部材にそれぞれ相当する。
なお、前面枠12及び遊技盤14によって構成されるパチンコ機の正面は、その略上半部を占めるガラス枠13で区画された遊技盤領域と、略下半部を占めると共に前面枠12に造作された操作領域とに区分される。遊技盤領域には、表示装置、大小様々の入賞口、風車、ランプ、スピーカ、その他の遊技性を高めるための器具や装置(いずれも図示略)が設けられている。他方、操作領域には、弾発のための発射操作ハンドル17、打球供給皿としての上受け皿18、余剰玉受皿としての下受け皿19、その他の器具や装置が設けられている。
前面枠12の裏面の片側には、縦長の施錠装置20が設けられている。この施錠装置20は、前面枠12が閉じられたときに前面枠12を外枠11に係止して開放不能とするための前面枠用施解錠機構と、ガラス枠13が閉じられたときにガラス枠13を前面枠12に係止して開放不能とするためのガラス枠用施解錠機構とを具備した前面枠及びガラス枠両用の施錠装置である。尚、外枠11の右側内部には、前面枠12の施錠に関与する被係止部として、上側受け金具11a及び下側受け金具11bが固定されている。同様に前面枠12及び/又はガラス枠13には、ガラス枠13の施解錠に関する機構(図示略)が設けられている。
図3(A)及び(B)は、横倒し状態の施錠装置20を示す。この施錠装置の主要な構成部品としては、枠体21、第1作動部材30、第2作動部材40、上側及び下側の鉤部材50A,50B、シリンダ錠60並びにカム70がある。パチンコ機10への取付時に上下方向(図3では左右方向)に延びる枠体21に対して、第1作動部材以下の各種部品(30〜70)を取り付けることで施錠装置20が構成される。
図4(A)及び(B)は上記各種部品を取り付ける前の枠体21を示す。この枠体21は、長尺な金属板をほぼ直角に曲げてアングル状(即ち横断面L字状)に板金加工したものであり、互いに略直交する第1取付け板部22と第2取付け板部23とを有している。第1取付け板部22には少なくとも、シリンダ錠用の取付孔24と、バネ用のフック25とが形成されている。第2取付け板部23は第1及び第2の作動部材30,40や上下一対の鉤部材50A,50Bを取り付けるための部位である。第2取付け板部23には少なくとも、開口域26と、第1作動部材30用の一対の規制部27a,27bと、第2作動部材40用の一対の規制部28a,28bとが形成されている。
前記開口域26は、枠体21に各種部品を取り付けたときにそれぞれの部品の自由なスライドや回動を阻害しないための逃げ領域を提供するために存在する。第2取付け板部23の上縁に突設された一対の規制部27a,27bは、枠体21の長手方向に沿った第1作動部材30のスライドを制限するための部位であり、両規制部27a,27b間の間隔に応じて第1作動部材30の最大スライド範囲が定まる。同様に、第2取付け板部23の上縁から横方向に突設された一対の規制部28a,28bは、枠体21の長手方向に沿った第2作動部材40のスライドを制限するための部位であり、両規制部28a,28b間の間隔に応じて第2作動部材40の最大スライド範囲が定まる。
図5(A)及び(B)は、ガラス枠13の施解錠に関与する第1作動部材30を単品状態で示す。この第1作動部材30は、比較的全長が短めの長尺な板状部材であり、第2取付け板部23に対しその長手方向に沿ってスライド可能に取り付けられる。第1作動部材30の前後両端部近傍には、それぞれフック部31及び係合部32が横方向に突出形成されている。但し、フック部31が第1作動部材の一方の側面へ突出するのに対し、係合部32は第1作動部材の反対側面へ突出している。フック部31には、コイルバネの一端が掛けられる。
係合部32は、前面枠12及び/又はガラス枠13に設けられたガラス枠13を施錠又は解錠するための機構(周知ゆえ説明及び図示を省略)と第1作動部材30との間の機械的連動に関与する部位であって、第1作動部材30のスライドに伴う係合部32の位置変化に応じてガラス枠13の施錠又は解錠の状態を切り替えるという役目を担った第1開閉部材用の切替え係合体である。また、係合部32は、第1作動部材の枠体21への取付時に前記一対の規制部27a,27b間に配置されて、第1作動部材30のスライド規制に関与するスライド規制部としても機能する。更に、第1作動部材30の中央部上縁には、係合凹部33が切り欠き形成されている。この係合凹部33の端部と後述するカム70の一部(第1腕部71)との係合に基づいて、第1作動部材30とシリンダ錠60との間の動作伝達又は力の伝達が実現する。
図5(C)及び(D)は、前面枠12の施解錠に関与する第2作動部材40を単品状態で示す。この第2作動部材40は、枠体21の全長に匹敵する長さを有する長尺な板状部材であり、第2取付け板部23に対しその長手方向に沿ってスライド可能に取り付けられる。第2作動部材40の一側面には、二つのフック部41,42が突設されている。各フック部41,42にはコイルバネの一端が掛けられる。第2作動部材40の中央部上縁には、スライド規制部43が突出形成されている。このスライド規制部43は、第2作動部材40の枠体21への取付時に前記一対の規制部28a,28b間に配置されて、第2作動部材40のスライド規制に関与する。更に、第2作動部材40の下縁には、係合凹部44が切り欠き形成されている。この係合凹部44の端部と後述するカム70の一部(第2腕部72)との係合に基づいて、第2作動部材40とシリンダ錠60との間の動作伝達又は力の伝達が実現する。
図5(E)は、上側鉤部材50A及び下側鉤部材50Bとして使用される鉤部材を単品状態で示す。この鉤部材の略中央には支持孔51が形成され、その支持孔51よりも下側(基端側)には連結孔52が形成されている。支持孔51よりも上側(先端側)において鉤部材には係合凹部53が形成されている。この係合凹部53内に前記受け金具11a又は11bが収まるように鉤部材を配置することで、前面枠12が施錠状態となる(図2参照)。即ち、鉤部材50A及び50Bは第2開閉部材用の切替え係合体として機能する。
さて、図3(A)及び(B)に示すように、枠体21の第2取付け板部23の前後端部には、それぞれ上側鉤部材50A及び下側鉤部材50Bがリベット状の支持軸54を介して回動可能に取り付けられている。各支持軸54は各鉤部材の支持孔51内に配置されて、鉤部材の回動軸の役目を果たす。
第2取付け板部23の開口域26付近には、第1作動部材30が当該第2取付け板部23にほぼ接するように配置されている。その際、第1作動部材30は、その係合部32の根元が前記一対の規制部27a,27b間に位置するように枠体21に取り付けられる。そして、第1作動部材30の本体部分と係合部32の一部との間に枠体の第2取付け板部23が挟まれることで、第1作動部材30が第2取付け板部23から離間することなく当該第2取付け板部23に沿ってスライド可能となっている。
枠体の第2取付け板部23には更に、上下鉤部材50A,50Bを介して第2作動部材40が取り付けられている。具体的には、第2作動部材40の前後両端部が、それぞれ上側鉤部材50A及び下側鉤部材50Bの各基端部に対しリベット状の連結軸55を介して回動可能に連結されている。各連結軸55は各鉤部材の連結孔52内に配置される。その結果、第2作動部材40、上側鉤部材50A及び下側鉤部材50Bからなるリンク機構が構成され、そのリンク機構の動きに応じて、第2作動部材40が第2取付け板部23の長手方向に沿ってスライドする。
第2作動部材40の枠体21への取付け時、第2作動部材40のスライド規制部43は前記一対の規制部28a,28b間に位置する。また、図3(A)からわかるように、第1作動部材30の係合部32の根元付近が第2取付け板部23と第2作動部材40との間に挟まれる格好となっており、第2作動部材40が枠体21に装着されている限り、第1作動部材30は枠体21から脱落しないような組付け関係となっている。更に、枠体21にシリンダ錠60を装着する前の状態を示す図3(C)からわかるように、枠体21に第1及び第2作動部材30,40を装着した状態では、第2取付け板部23の高さ方向に対して、第1作動部材30が相対的に下に位置すると共に第2作動部材40が相対的に上に位置するような配置状況となる。そして、この相対配置状況を反映して、第1作動部材30の係合凹部33が相対的に下に位置する一方、第2作動部材40の係合凹部44が相対的に上に位置することになる。
図3(A)及び(B)に示すように、第2作動部材40のフック部41と第1作動部材30のフック部31との間には、付勢手段としての第1のコイルバネ56が架設されている。又、第2作動部材40のフック部42と枠体の第1取付け板部22上のフック25との間には、付勢手段としての第2のコイルバネ57が架設されている。
第1及び第2のコイルバネ56,57は、第2作動部材40を図3の右方向(下側鉤部材50Bの方向)に向けて付勢する。この付勢作用により、第2作動部材40は、そのスライド規制部43が枠体の規制部28bに当接する位置(即ち図3に示す待機位置)に位置決めされる。このとき、上下鉤部材50A,50Bは、第2作動部材40とのリンク関係に基づいて図3(B)及び(C)に示すような位置(施錠位置)に配置され、それぞれ対応する受け金具11a,11bと係合することで前面枠12の施錠状態が実現される。尚、両コイルバネ56,57の付勢力に抗して第2作動部材40を強制的に上動(図3では左移動)させると、上記リンク関係に基づいて上下鉤部材50A,50Bが図3(A)の矢印の方向に回動し、施錠位置から解錠位置に切り替わる。そして、両鉤部材50A,50Bが対応する受け金具11a,11bから離脱することで前面枠12が解錠される。スライド規制部43が規制部28aに当接することで、第2作動部材40のそれ以上の上動及び各鉤部材50A,50Bのそれ以上の回動が規制される。
第1のコイルバネ56は更に、第1作動部材30を図3の左方向(上側鉤部材50Aの方向)に向けて付勢する働きもする。この付勢作用により、第1作動部材30は、その係合部32の根元が枠体の規制部27aに当接する位置(即ち図3に示す待機位置)に位置決めされる。この場合に、係合部32がガラス枠用の施解錠機構に何の作用も及ぼさないことで、ガラス枠13の施錠状態が実現される。尚、コイルバネ56の付勢力に抗して第1作動部材30を強制的に下動(図3では右移動)させると、係合部32が枠体の規制部27bに到達するまでの間にガラス枠用の施解錠機構に対しプッシュボタン的に作用して、ガラス枠13が解錠される。
図3(A)及び(B)に示すように、枠体21にはシリンダ錠60が設けられている。シリンダ錠60は、その本体部を第1取付け板部22の取付孔24(図4参照)に挿入してからシリンダ錠60の取付フランジ部を第1取付け板部22に接合しネジ止めすることにより、枠体21に固着されている。シリンダ錠60の正面側には、専用鍵Kを差し込むための鍵穴61が設けられている(図1及び図2参照)。他方、シリンダ錠60の背面側(取付フランジ部側)には、錠軸62が突出している。このシリンダ錠60は、少なくとも鍵穴61に専用鍵Kを差し込まない限り錠軸62を回動させることができない内部構造となっている(即ち、専用鍵非装着時における錠軸の回動不能特性を有する)。
背面側に突出した錠軸62の先端部には、可動片としてのカム70が一体回動可能に取り付けられている。
図6(A)及びその要部拡大図である図8は、シリンダ錠の鍵穴61に専用鍵Kが差し込まれていない状態、即ち錠軸62及びカム70が待機位置にある場合を示している。特に図8に示すように、カム70は、その略円盤状本体部から延びる第1腕部71及び第2腕部72を有している。カムの両腕部71,72は第1取付け板部22とほぼ平行に延設されているが、第1腕部の先端部71aの高さが第1作動部材30の係合凹部33の高さに対応し且つ第2腕部の先端部72aの高さが第2作動部材40の係合凹部44の高さに対応するように、各腕部71,72の高さが設定されている。つまり錠軸62の方向において第1腕部71が相対的に低く位置すると共に第2腕部72が相対的に高く位置するように、各腕部71,72の高さが設定されている。
また、カム70及び錠軸62が待機位置にあるときに、第1腕部の先端部71aが第1作動部材の係合凹部33内に進入し、且つ第2腕部の先端部72aが第2作動部材の係合凹部44内に進入し得るように各腕部71,72の長さが設定されている。加えて、第1腕部の先端部71aと第2腕部の先端部72aとは、互いに接近し合う方向(内方向)に屈曲形成されている。
更に、第1腕部の先端部71aの外側縁73は、錠軸62を中心とした所定半径の仮想円C1にほぼ沿って縁取られると共に、その円弧状の外側縁73の端点74において第1腕部71が第1作動部材の係合凹部33を区画する上側区画壁33aと当接状態(又はそれに近い状態)となるように、第1腕部71の形状が設定されている。同様に、第2腕部の先端部72aの外側縁76は、錠軸62の中心とした所定半径の仮想円C2にほぼ沿って縁取られると共に、その円弧状の外側縁76の端点77において第2腕部72が第2作動部材の係合凹部44を区画する下側区画壁44bと当接状態(又はそれに近い状態)となるように、第2腕部72の形状が設定されている。
尚、図8によれば、第1腕部の先端部71aの内側頂点75が第1作動部材の係合凹部33の下側区画壁33bとほぼ当接状態にあるが、これは本実施形態に特有の設計に過ぎず本発明にとっての必須構成ではない。同じく図8によれば、第2腕部の先端部72aの内側頂点78が第2作動部材の係合凹部44の上側区画壁44aとほぼ当接状態にあるが、これも本実施形態に特有の設計に過ぎず本発明にとっての必須構成ではない。
このように、第1及び第2腕部71,72を備えたカム70は、第1作動部材30又は第2作動部材40とシリンダ錠60とを作動連結する。専用鍵Kによるシリンダ錠60の操作に応じて、カム70は時計方向(図6(B)及び(C)参照)又は反時計方向(図7参照)に回動する。カム70が所定方向に所定量回動することで、第1腕部71又は第2腕部72の一方がそれに対応する作動部材に作用を及ぼし、第1作動部材30又は第2作動部材40を定められた方向に移動させる。
(正規の解錠操作時における施錠装置20の作用等)
前面枠12及びガラス枠13が完全に閉じられると共に、シリンダ錠の鍵穴61に対して専用鍵Kが差し込まれていない待機状態(本実施形態では施錠状態でもある)においては、第1及び第2作動部材30,40もカム70も図3,図6(A)及び図8に示す待機位置に配置される。この状態では、上下の鉤部材50A及び50Bがそれぞれ対応する受け金具11a及び11bと係合して前面枠12が開放不能になると共に、第1作動部材30がその係合部32が枠体の規制部27aに当接する位置に位置決めされてガラス枠13も開放不能となる。
この施錠状態からガラス枠13を解錠したい場合には、シリンダ錠の鍵穴61に専用鍵Kを差し込み、その専用鍵Kをパチンコ機10の正面(図1参照)から見て左方向(反時計方向)に回動する。すると図6(B)に示すように、カム70が時計方向に回動して、カムの第1腕部71の内側縁が第1作動部材30の係合凹部33の下端部(図6では右端部)に当接する。それと同時に、カムの第2腕部72が第2作動部材40に何ら作用を及ぼすことなく(即ち第2作動部材40を待機位置から移動させることなく)、係合凹部44から離脱する。なぜなら、第2腕部の先端部72aの外側縁76が錠軸62を中心とした所定半径の仮想円C2にほぼ沿って縁取られているため、カム70の時計方向回動時に、第2腕部の先端部72aの外側縁76が第2作動部材の係合凹部44の区画壁44bを押圧し得ないからである。
その後、図6(C)に示すように更にカム70を時計方向に回動するに従い、第1腕部71が第1コイルバネ56の付勢力に抗して第1作動部材30を下方向(図6では右方向)に押す。このように第1作動部材30を強制下動させる過程で、係合部32が待機位置(施錠位置)から解錠位置に切替え配置され、解錠位置においてガラス枠用の施解錠機構に対しプッシュボタン的に作用してガラス枠13が解錠される。ガラス枠13が解錠された時点で専用鍵Kを操作する手の力を緩めると、第1作動部材30の下動時に蓄力された第1コイルバネ56のバネ力により、第1作動部材30が元位置(待機位置)に強制復帰される。これに伴い、カム70も待機位置付近にまで復帰回動される。
上記の施錠状態から前面枠12を解錠したい場合には、シリンダ錠の鍵穴61に専用鍵Kを差し込み、その専用鍵Kをパチンコ機10の正面(図1参照)から見て右方向(時計方向)に回動する。するとカム70が反時計方向に回動して、カムの第2腕部72の内側縁が第2作動部材40の係合凹部44の上端部(図7では左端部)に当接する。それと同時に、カムの第1腕部71が第1作動部材30に何ら作用を及ぼすことなく(即ち第1作動部材30を待機位置から移動させることなく)、係合凹部33から離脱する。なぜなら、第1腕部の先端部71aの外側縁73が錠軸62を中心とした所定半径の仮想円C1にほぼ沿って縁取られているため、カム70の反時計方向回動時に、第1腕部の先端部71aの外側縁73が、第1作動部材の係合凹部33の区画壁33aを押圧し得ないからである。
その後、図7に示すように更にカム70を反時計方向に回動するに従い、第2腕部72が第1及び第2のコイルバネ56,57の付勢力に抗して第2作動部材40を上方向(図7では左方向)に押す。このように第2作動部材40を強制上動させる過程で、第2作動部材40の両端部により上下鉤部材50A,50Bの各基端部が上方向に押され、各鉤部材50A,50Bが支持軸54を中心として施錠位置(図3の位置)から解錠位置に向けて時計方向(即ち図3の矢印方向)に回動する。その結果、上下鉤部材50A,50Bと、それぞれ対応する受け金具11a,11bとの係合が解除され、前面枠12が解錠される。前面枠12が解錠された時点で専用鍵Kを操作する手の力を緩めると、第2作動部材40の上動時に蓄力された第1及び第2コイルバネ56,57のバネ力により、第2作動部材40が元位置(待機位置)に強制復帰される。これに伴い、上下鉤部材50A,50Bが解錠位置から施錠位置(図3の位置)に戻されると共に、カム70も待機位置付近にまで復帰回動される。
(不正な解錠操作を受けた場合の施錠装置20の作用等)
ところで、不正な意図を持った者が、例えば針金等の線材をパチンコ機10の隙間から内部の施錠装置20に挿入し、この針金等を介して、例えば鉤部材50A又は50Bに直接外力を及ぼし両方の鉤部材を施錠位置から解錠位置に強制的に切り替えることで前面枠12の不正解錠を試みる場合がある。しかし、かかる不正解錠を試みても、専用鍵Kがシリンダ錠の鍵穴61に差し込まれていない限り、本実施形態の施錠装置20が不正に解錠されることはない。
例えば、不正な意図を持った者が、針金等の線材を用いて上側鉤部材50Aを施錠位置から解錠位置に切り替えることを試みたと仮定しよう。この場合、上側鉤部材50Aを施錠位置から解錠位置に向けて回動させようとする外力が上側鉤部材50Aに働くことになるが、その外力は、鉤部材50Aと第2作動部材40とのリンク関係に基づいて、第2作動部材40を強制上動させようとする力として当該第2作動部材40に伝達される。
しかしながら、図8に示すように、専用鍵Kが鍵穴61に差し込まれていない待機状態では、カム70の第2腕部72が第2作動部材40の係合凹部44内に位置すると共に、第2腕部72はその外側縁76の端点77において係合凹部44の下側区画壁44bと当接状態(又はそれに近い状態)にある。専用鍵Kが鍵穴61に差し込まれていない状況下では錠軸62及びカム70は回動不能であるため、不正な外力によって第2作動部材40を上動させようとしても、カムの第2腕部72によって第2作動部材40の上動が阻止される。従って、針金等の線材を用いて上側鉤部材50Aを施錠位置から解錠位置に不正に切り替えようと試みても、専用鍵非装着時における錠軸62の回動不能特性により、上側鉤部材50A及び第2作動部材40の不正な切替えが阻止され、前面枠12の不正解錠は失敗に帰する。針金等の線材を用い下側鉤部材50Bの不正解錠を試みた場合も同じく、前面枠12の不正解錠は成功しない。
不正な意図を持った者が、針金等の線材を用いて第1作動部材30の係合部32を施錠位置から解錠位置に切り替えてガラス枠13の不正解錠を試みた場合にも、上記と同様のことが言える。具体的には、その場合、第1作動部材30にはそれを強制下動させようとする外力が作用することになる。しかしながら、図8に示すように、専用鍵Kが鍵穴61に差し込まれていない待機状態では、カム70の第1腕部71が第1作動部材の係合凹部33内に位置すると共に、第1腕部71はその外側縁73の端点74において係合凹部33の上側区画壁33aと当接状態(又はそれに近い状態)にある。専用鍵Kが鍵穴61に差し込まれていない状況下では錠軸62及びカム70は回動不能であるため、不正な外力によって第1作動部材30を下動させようとしても、カムの第1腕部71によって第1作動部材30の下動が阻止される。従って、針金等の線材を用いて第1作動部材30の係合部32を施錠位置から解錠位置に不正に切り替えようと試みても、専用鍵非装着時における錠軸62の回動不能特性により、第1作動部材30の不正な切替えが阻止され、ガラス枠13の不正解錠は失敗に帰する。
(本実施形態の効果のまとめ)
本実施形態によれば、専用鍵Kが鍵穴61に差し込まれていない待機状態において、シリンダ錠の錠軸62が回動不能になるという特性、及び、カムの各腕部71,72と各作動部材の係合凹部33,44との間には実質的なリンク関係が構築されることを利用して、針金等の線材による前面枠12やガラス枠13の不正解錠を阻止することができる。故に、本実施形態のパチンコ機10によれば、不正行為に対する防御性能を従来よりも高めることができる。
また、専用鍵Kが鍵穴61に差し込まれていない待機状態において、カムの第1及び第2腕部71,72がそれぞれ対応する第1及び第2作動部材30,40の係合凹部33,44内に常駐するような構成を採用したにもかかわらず、各腕部の先端部71a,71bの外側縁73,76を錠軸62を中心とした所定半径の仮想円C1,C2にほぼ沿って縁取ることにより、一方の腕部がそれと対応する作動部材の係合凹部の区画壁を押す場合には、他方の腕部がそれと対応する作動部材の係合凹部から円滑に離脱して当該作動部材に何らの作用を及ぼさないという選択的作動を可能ならしめている。従って、本実施形態によれば、2本の腕部71,72を備えた一つのカム70で第1作動部材30又は第2作動部材40が選択的に作動することを許容しながら同時に、上述のような専用鍵非装着時における錠軸62の回動不能特性を利用して前面枠12及びガラス枠13の不正解錠を防止することが可能となる。
本実施形態によれば、前面枠12施錠用の上側鉤部材50A及び下側鉤部材50B、第2作動部材40並びにカム70の四者が、力の伝達において完全にリンクする関係にある。このため、専用鍵Kを用いて前面枠12を解錠し一旦開放した後に前面枠12を閉じて再び施錠する場合でも、鍵穴61に差し込まれた専用鍵Kを図1の右方向(時計方向)に回した状態を維持したまま前面枠12を完全に閉じてからでないと、専用鍵Kを握る手の力を緩めて専用鍵Kを元の位置に戻しても、各鉤部材50A,50Bの係合凹部53内に各受け金具11a,11bが完全に収まらない。つまり、開放状態にある前面枠12を完全に閉じ且つその施錠を完全ならしめるには、(1)専用鍵Kを図1の右方向にしっかりひねる、(2)その状態を維持したまま前面枠12を完全に閉じる、(3)前面枠12を正規の閉位置に配置したまま専用鍵Kを元の位置に戻す、という三段階の操作を確実にこなす必要がある。故に、本実施形態によれば、従来の施錠装置(殊更に鍵を回す操作をしなくても前面枠12を勢いよく閉じるだけで、鉤部材と受け金具とが自動的に噛み合うような機械構造を採用した施錠装置)にありがちだった「店員は前面枠12を閉めたつもりでも、実は前面枠12が閉じきらず施錠されていなかった」というようなウッカリ事故を未然に防止することができる。
(変更例)
上記実施形態では、一つのシリンダ錠60及びカム(可動片)70で二つの作動部材30,40を作動させる施錠装置について説明したが、一つの錠及び可動片で一つの作動部材を作動させる施錠装置を備えた遊技機に本発明を適用してもよい。また、本発明をパチンコ機以外の遊技機(例えばスロットマシンや、パチンコ機とスロットマシンとの融合機)に適用してもよい。
上記実施形態では図8に示すように、カム70の第1腕部の先端部71aの内側頂点75が第1作動部材の係合凹部33の下側区画壁33bにほぼ当接すると共に、カム70の第2腕部の先端部72aの内側頂点78が第2作動部材の係合凹部44の上側区画壁44aとほぼ当接するように構成したが、次のように構成変更してもよい。即ち、鍵の非装着状態において第1作動部材の係合凹部33内に進入配置されるカム70の第1腕部71の外側縁73と反対側に位置する内側端(即ち内側頂点75)と、その内側端(即ち内側頂点75)に対向する第1作動部材の係合凹部壁面(即ち下側区画壁33b)との間に所定間隔を確保する。また、鍵の非装着状態において第2作動部材の係合凹部44内に進入配置されるカム70の第2腕部72の外側縁76と反対側に位置する内側端(即ち内側頂点78)と、その内側端(即ち内側頂点78)に対向する第2作動部材の係合凹部壁面(即ち上側区画壁44a)との間に所定間隔を確保する。このような構成を採用すれば、各腕部の内側端(75又は78)がそれに対向する作動部材の係合凹部壁面(33b又は44a)に当接する場合(即ち所定間隔が確保されない上記実施形態の場合)に比べて、当該施錠装置を構成する部品(第1及び第2の作動部材やカム70等)の組み付けが容易になると共に、施錠装置の設計がし易くなる。
遊技機としてのパチンコ機の概略正面図。 遊技機としてのパチンコ機の概略右側面図。 (A)は施錠装置(横倒し状態)の平面図、(B)は正面図、(C)はシリンダ錠が無い状態での部分正面図。 (A)は施錠装置の枠体の平面図、(B)は正面図。 (A)は第1作動部材の平面図、(B)はその正面図、(C)は第2作動部材の平面図、(D)はその正面図、(E)は鉤部材の正面図。 施錠装置のシリンダ錠付近を平面的に示し、(A)は待機状態の部分平面図、(B)及び(C)はガラス枠解錠操作時の部分平面図。 前面枠解錠操作時の部分平面図。 上記図6(A)の待機状態における要部拡大平面図。
符号の説明
10…パチンコ機(遊技機)、11a,11b…受け金具(被係止部)、12…前面枠(第2の開閉部材)、13…ガラス枠(第1の開閉部材)、20…施錠装置、30…第1作動部材、32…係合部(第1開閉部材用の切替え係合体)、33…係合凹部、33a…上側区画壁(係合凹部の壁面)、40…第2作動部材、44…係合凹部、44b…下側区画壁(係合凹部の壁面)、50A,50B…鉤部材(第2開閉部材用の切替え係合体)、60…シリンダ錠(錠)、62…錠軸、70…カム(可動片)、71…第1腕部、72…第2腕部、73,76…第1及び第2腕部の外側縁、C1,C2…錠軸を中心とした仮想円、K…鍵。

Claims (1)

  1. 開閉部材及びその開閉部材を施錠する施錠装置を備えた遊技機において、
    前記施錠装置は、
    鍵の非装着状態では錠軸が回動不能となる錠と、
    前記開閉部材が施錠状態となる施錠位置と、
    前記開閉部材が解錠状態となる解錠位置との間を配置切替え可能な切替え係合体と、
    前記錠と前記切替え係合体との間の動作伝達に関与する作動機構とを備え、
    前記作動機構は、前記切替え係合体又は当該作動機構に対して切替え係合体を施錠位置から解錠位置へ切替えようとする外力が及んだときにその外力を前記錠軸に伝達するように構成されていることを特徴とする遊技機。
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