JP2008192544A - 燃料電池システム及びその制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】固体高分子電解質膜を有する燃料電池を備えた燃料電池システムにおいて、膜に適切な水分を供給して水分の過不足による発電能力の低下を抑制するとともに、システムの小型化を実現させる。
【解決手段】固体高分子電解質膜44の両側に触媒層45a・46a及び拡散層46a・46bが配置されてなる膜・電極接合体47と、膜・電極接合体47を両側から挟持するセパレータ48a・48bと、を有する燃料電池40を備え、セパレータ48aの膜・電極接合体側の面に反応ガスを流通させるための反応ガス流通部51を設け、反応ガス流通部51を経由して膜・電極接合体47に反応ガスを供給して発電を行う燃料電池システム1である。セパレータ48aの膜・電極接合体側の面に水を流通させるための水流通部52を設け、水流通部51を経由して膜・電極接合体47に水を供給する。
【選択図】図2
【解決手段】固体高分子電解質膜44の両側に触媒層45a・46a及び拡散層46a・46bが配置されてなる膜・電極接合体47と、膜・電極接合体47を両側から挟持するセパレータ48a・48bと、を有する燃料電池40を備え、セパレータ48aの膜・電極接合体側の面に反応ガスを流通させるための反応ガス流通部51を設け、反応ガス流通部51を経由して膜・電極接合体47に反応ガスを供給して発電を行う燃料電池システム1である。セパレータ48aの膜・電極接合体側の面に水を流通させるための水流通部52を設け、水流通部51を経由して膜・電極接合体47に水を供給する。
【選択図】図2
Description
本発明は、固体高分子電解質膜を用いた燃料電池を備えた燃料電池システムと、そのシステムの制御方法と、に関する。
燃料電池システムの燃料電池として、固体高分子電解質膜の両側に触媒層及び拡散層が配置された膜・電極接合体と、膜・電極接合体を両側から挟持するセパレータと、を有するものが採用されている。
このような固体高分子電解質膜を用いた燃料電池においては、固体高分子電解質膜の機能維持のために、稼働中に膜を水により常時湿潤させる必要がある。固体高分子電解質膜を湿潤させるための水は、燃料ガスや酸化ガス等の反応ガスを加湿して燃料電池に供給することにより、拡散層を介して固体高分子電解質膜に供給されるのが一般的である。
また、現在においては、反応ガス流路が設けられたセパレータを多孔質体により形成し、このセパレータを湿潤させ、反応ガス流路を流動する反応ガス中にセパレータ内の水を含有させ、この反応ガスを膜・電極接合体に供給することにより、固体高分子電解質膜に水分を供給する技術もされている。また、近年においては、燃料電池内を流通するガス内に、発電中に生成された水(生成水)を拡散させて、固体高分子電解質膜を湿潤させる技術が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2005−322546号公報
しかし、水分を気化させて反応ガスに含有させる従来の技術を採用すると、燃料電池に反応ガスを供給する配管系に加湿器等を設けなければならず、燃料電池システムが大型化してしまうという問題があった。また、多孔質体のセパレータを採用する場合には、水を気化させるために十分な表面積が必要であり、さらに強度を確保するためにセパレータが厚くなり易く、この結果、燃料電池の体格が増加し、やはり燃料電池システムが大型化し易かった。
また、前記した特許文献1に記載されたような技術においては、水分を気化させて反応ガスとともに固体高分子電解質膜に供給するため、反応ガス中に含有させる水分量を調整することが容易でなく、膜に適切な量の水分を供給することが困難であった。このため、過剰な水分が供給された場合には水分が燃料電池内に滞留してフラッディングが生じ易くなり、水分が不足する場合には固体高分子電解質膜のイオン交換能が低下しドライアップが生じて膜が劣化し易くなる、という問題があった。
本発明は、固体高分子電解質膜を有する燃料電池を備えた燃料電池システムにおいて、膜に適切な水分を供給して水分の過不足による発電能力の低下を抑制するとともに、システムの小型化を実現させることを目的とする。
前記目的を達成するため、本発明に係る燃料電池システムは、固体高分子電解質膜の両側に触媒層及び拡散層が配置されてなる膜・電極接合体と、膜・電極接合体を両側から挟持するセパレータと、を有する燃料電池を備え、セパレータの膜・電極接合体側の面に反応ガスを流通させるための反応ガス流通部が設けられ、反応ガス流通部を経由して膜・電極接合体に反応ガスが供給されて発電が行われる燃料電池システムであって、セパレータの膜・電極接合体側の面に水を流通させるための水流通部が反応ガス流通部とは別に設けられ、水流通部を経由して膜・電極接合体に水が供給されるように構成されてなるものである。
かかる構成を採用すると、セパレータの膜・電極接合体側の面に、反応ガス流通部と水流通部とが別々に設けられているため、反応ガスと水分とを別々に膜・電極接合体に供給することができる。従って、反応ガスの供給量とは別に固体高分子電解質膜への水分の供給量を調整することができるので、過剰な水分によるフラッディングや水分の不足によるドライアップ及び膜劣化等を抑制することができ、水分の過不足に起因する燃料電池の発電能力の低下を抑制することが可能となる。また、水分を水流通部から直接的に膜・電極接合体に供給することができるので、水分を気化させるための装備を省くことができる。この結果、燃料電池システムの小型化を実現させることが可能となる。
前記燃料電池システムにおいて、反応ガス流入部及び反応ガス排出部を有する反応ガス流通部を採用し、反応ガス流通部の反応ガス流入部近傍に水流路を設けることが好ましい。
このようにすると、供給される反応ガスの含水量が低く、反応ガスにより膜・電極接合体の水分が奪われ易い反応ガス流通部の反応ガス流入部付近に、水流通部を介して水分を供給することができる。従って、反応ガス流入部近傍における固体高分子電解質膜のドライアップや劣化を効果的に抑制することが可能となる。
また、前記燃料電池システムにおいて、燃料電池から排出される水分が水流通部に供給されるように構成されることが好ましい。
このようにすると、発電によって燃料電池で生成され燃料電池から排出された水分を、水流通部に供給して、固体高分子電解質膜の湿潤に有効利用することができる。従って、システム外部から水分を導入するための装備を別途設ける必要がないため、さらに燃料電池システムの小型化を図ることが可能となる。
また、前記燃料電池システムにおいて、水流通部への水の供給量及び/又は供給圧力を制御する水供給制御手段を備えることができる。かかる場合において、反応ガス流通部への反応ガスの供給量に応じて、水流通部への水の供給量及び/又は供給圧力を制御する水供給制御手段を採用することができる。また、システムに要求される要求発電量に基づいて、水流通部への水の供給量及び/又は供給圧力を制御する水供給制御手段を採用してもよい。さらに、燃料電池の実際の発電量と要求発電量との偏差に基づいて、水流通部への水の供給量及び/供給圧力を制御する水供給制御手段を採用することもできる。
かかる構成を採用すると、反応ガス流通部への反応ガスの供給量やシステムに要求される要求発電量に応じて、水流通部への水の供給量や供給圧力を調整することができる。従って、固体高分子電解質膜の含水量を適切に調整することが可能となり、過剰な水分によるフラッディングや水分不足によるドライアップ及び膜劣化等を効果的に抑制して、燃料電池の発電効率を高く維持することが可能となる。
また、本発明に係る燃料電池システムの制御方法は、固体高分子電解質膜の両側に触媒層及び拡散層が配置されてなる膜・電極接合体と、膜・電極接合体を両側から挟持するセパレータと、を有する燃料電池を備え、水を流通させるための水流通部と反応ガスを流通させる反応ガス流通部とがセパレータの膜・電極接合体側の面に各々設けられ、水流通部を経由して膜・電極接合体に水が供給されるとともに、反応ガス流通部を経由して膜・電極接合体に反応ガスが供給されて発電が行われる燃料電池システムの制御方法であって、反応ガス流通部への反応ガスの供給量に応じて、水流通部への水の供給量及び/又は供給圧力を制御する水供給制御工程を含むものである。
前記制御方法において、システムに要求される要求発電量に基づいて、水流通部への水の供給量及び/又は供給圧力を制御する水供給制御工程を採用することができる。また、燃料電池の実際の発電量と要求発電量との偏差に基づいて、水流通部への水の供給量及び/供給圧力を制御する水供給制御工程を採用することもできる。
かかる方法を採用すると、反応ガス流通部への反応ガスの供給量やシステムに要求される要求発電量に応じて、水流通部への水の供給量や供給圧力を調整することができる。従って、固体高分子電解質膜の含水量を適切に調整することが可能となり、過剰な水分によるフラッディングや水分不足によるドライアップ及び膜劣化等を効果的に抑制して、燃料電池の発電効率を高く維持することが可能となる。
本発明によれば、固体高分子電解質膜を有する燃料電池を備えた燃料電池システムにおいて、膜に適切な水分を供給して水分の過不足による発電能力の低下を抑制するとともに、システムの小型化を実現させることが可能となる。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る燃料電池システム1について説明する。本実施形態においては、本発明を燃料電池車両(移動体)の車載発電システムに適用した例について説明することとする。
まず、図1〜図3を用いて、本実施形態に係る燃料電池システム1の構成について説明する。
燃料電池システム1は、図1に示すように、反応ガスとしての空気等の酸化ガスと水素ガス等の燃料ガスとが供給されて電力を発生する燃料電池2と、燃料電池2に酸化ガスを供給し酸化オフガスを排出する酸化ガス配管系3と、燃料電池2に燃料ガスを供給し燃料オフガスを排出する燃料ガス配管系4と、燃料電池2の固体高分子電解質膜を湿潤するための水分を供給する水供給配管系5と、システム全体を統括制御する制御部6と、を備えている。
固体高分子電解質型の燃料電池2は、多数の単電池40が積層されてなるスタック構造を有している。燃料電池2の内部には、図1に示すように、複数のマニホールド42が積層方向に連続して形成されている。マニホールド42の端部には、酸化ガス配管系3、燃料ガス配管系4、水供給配管系5の各配管が各々接続されており、各単電池40と各配管とが連通されている。
燃料電池2の各単電池40は、図2に示すように、イオン交換膜である固体高分子電解質膜44と、固体高分子電解質膜44の両側に配置された白金等からなる触媒層45a、45bと、多孔質体からなる拡散層46a、46bと、から構成される膜・電極接合体47を有している。また、各単電池40は、膜・電極接合体47を両側から挟持するセパレータ48a、48bを有している。セパレータ48a、48bにより膜・電極接合体44を挟持した状態で構成された単電池40では、セパレータ48a側の触媒層45aが空気極(カソード)となり、セパレータ48b側の触媒層45bが燃料極(アノード)となっている。
セパレータ48aは、金属、樹脂、カーボン等の材料により形成されており、図3に示すように、周縁側には、複数のマニホールド42を構成するためのマニホールド用貫通孔42a〜42eが厚さ方向に貫通して設けられている。酸化ガス流通用のマニホールド用貫通孔42a、42cは酸化ガス配管系3の配管に連通し、燃料ガス流通用のマニホールド用貫通孔42b、42dは燃料ガス配管系4の配管に連通し、水流通用のマニホールド用貫通孔42eは水供給配管系5に連通している。
セパレータ48aの膜・電極接合体44側の面には、図3に示すように、マニホールド用貫通孔42a、42c間を連続するように屈曲した溝からなる反応ガス流通部51が設けられている。また、同じくセパレータ48aの膜・電極接合体44側の面には、マニホールド用貫通孔42eから連続する水流通部52が設けられている。本実施形態においては、水流通部52が反応ガス流通部51の反応ガス流入部(反応ガスが導入されるマニホールド用貫通孔42c側の部分)の近傍位置に設けられている。一方、セパレータ48aの膜・電極接合体44側と反対側の面には、溝状に冷却水通路55が設けられており、燃料電池2の外部に設けられた図示しない冷却水循環路と連通して冷却水が循環するように構成されている。
セパレータ48aを膜・電極接合体44に隣接させると、反応ガス流通部51の表面側の開口部が膜・電極接合体44の拡散層46aで覆われることにより、マニホールド用貫通孔42a、42c間を連続する中空の反応ガス流路53が形成される。また、水流通部52の表面側の開口部が拡散層46aで覆われることにより、マニホールド用貫通孔42eから連続する中空の水流路54が形成される。反応ガス流路53と水流路54とは相互に独立しており、反応ガス流路53の内部空間と水供給口54の内部空間との間で水分とガスとが直接流通しない非連通状態となっている。
セパレータ48bは、水流通部52を有さず、反応ガス流通部51がマニホールド用貫通孔42b、42d間を連続するように形成されている他は、セパレータ48aと同様に構成されている。
酸化ガス配管系3は、図1に示すように、燃料電池2のマニホールド42に接続されて燃料電池2に酸化ガスを供給するための酸化ガス供給流路11と、燃料電池2から排出された酸化オフガスが流通する酸化オフガス排出流路12と、を備えている。
酸化ガス供給流路11には、フィルタ13と、図示されていないモータの駆動により空気(酸化ガス)を取り込むコンプレッサ14と、が設けられている。本実施形態における酸化ガス供給流路11には、取り込まれた空気を加湿するための加湿器等の装置は設けられておらず、取り込まれた空気が燃料電池2のマニホールド42に直接供給されるようになっている。
酸化オフガス排出流路12には、気液分離器15が設けられている。気液分離器15は、燃料電池2からの酸化オフガスを気液分離し、分離気体を排気流路17から排出するように構成されている。排気流路17には、燃料電池2内の酸化ガスを所定圧に維持する背圧調整弁16が設けられている。なお、排気流路17には図示されていない希釈器が設けられており、排気流路17内の酸化オフガスを燃料オフガスと希釈器で合流させて燃料オフガスを希釈し、最終的に排ガスとしてシステム外の大気中に排気するようになっている。
燃料ガス配管系4は、水素供給源21と、水素供給源21から燃料電池2に供給される燃料ガスが流通する燃料ガス供給流路22と、燃料電池2から排出された燃料オフガスが流通する燃料オフガス排出流路23と、燃料オフガス排出流路23に接続され燃料オフガス中に含まれる水と燃料ガスとを分離する気液分離器30と、気液分離器30で分離された気体を燃料ガス供給流路22の合流点A1に戻すための循環流路25と、を備えている。
水素供給源21は、例えば高圧タンクや水素吸蔵合金などで構成され、例えば35MPa又は70MPaの水素ガスを貯留可能に構成されている。遮断弁26を開き、水素供給源21から燃料ガス供給流路22に水素ガスが流出し、レギュレータ27や電磁式の開閉弁28により最終的に例えば200kPa程度まで減圧されて、燃料電池2に供給されるようになっている。なお、炭化水素系の燃料から水素リッチな改質ガスを生成する改質器と、この改質器で生成した改質ガスを高圧状態にして蓄圧する高圧ガスタンクと、から水素供給源21を構成してもよい。また、水素吸蔵合金を有するタンクを水素供給源21として採用することもできる。
気液分離器30には、分離された水を燃料オフガスの一部とともに排出可能な排気排水弁31が設けられ、排気排水弁31には排出される水及び燃料オフガスを図示されていない希釈器に送る排気排水流路32が接続されている。循環流路25には、気液分離器30で分離されて燃料ガスが含まれる分離気体を燃料ガス供給流路22に圧送する水素ポンプ24が設けられている。
水供給配管系5は、酸化ガス配管系3に設けられた気液分離器15と、燃料電池2のマニホールド42と、の間に設けられた水供給路18を備えており、気液分離器15により分離された水を燃料電池2へ供給することができるように構成されている。水供給路18には水ポンプ19が設けられている。制御部6の制御の下で水ポンプ19が作動することにより、燃料電池2への水の供給量及び供給圧力を制御することができるようになっている。すなわち、制御部6及び水ポンプ19は、本発明における水供給制御手段の一実施形態を構成する。
制御部6は、車両に設けられた各種負荷装置の動作を制御可能に構成されている。なお、負荷装置とは、トラクションモータのほかに、燃料電池2を作動させるために必要な補機装置(例えばコンプレッサ14、水ポンプ19,水素ポンプ24等の各モータ、各部の弁等)、車両の走行に関与する各種装置(変速機、車輪制御部、操舵装置、懸架装置等)で使用されるアクチュエータ、乗員空間の空調装置(エアコン)、照明、オーディオ等を含む電力消費装置を総称したものである。
制御部6は、図示していないコンピュータシステムによって構成されている。かかるコンピュータシステムは、CPU、ROM、RAM、HDD、入出力インタフェース及びディスプレイ等を備えるものであり、ROMに記録された各種制御プログラムをCPUが読み込んで所望の演算を実行することにより、種々の処理や制御を行う。
次に、本実施形態に係る燃料電池システム1の動作について説明する。
燃料電池システム1の発電時には、空気(酸化ガス)が酸化ガス配管系3から燃料電池2の酸化ガス流通用のマニホールド42へ供給されるとともに、水素ガス(燃料ガス)が燃料ガス配管系4から燃料電池2の燃料ガス用のマニホールド42へ供給される。同時に、水が水供給配管系5から燃料電池2の水流通用のマニホールド42へ供給される。
燃料電池2では、各マニホールド42から各単電池40に空気、水素ガス及び水が供給されることにより発電が行われる。各単電池40では、水流通用のマニホールド用貫通孔42eからセパレータ48a側の水流路54に水が導入され、水流路54から膜・電極接合体47の空気極(カソード)側の拡散層46aに水が供給される。その際、水流路54に導入される水は気化させる必要はなく、液体状態のまま水流路54から直接拡散層46aに供給される。水が拡散層46aに供給されると、拡散層46aの全体が湿潤され、さらに触媒層45aを介して固体高分子電解質膜44がイオン交換能を十分に発揮できる程度に十分に湿潤される。
また、酸化ガス流通用のマニホールド用貫通孔42cからセパレータ48a側の反応ガス流路53に酸化ガスが導入され、反応ガス流路53から膜・電極接合体47の空気極(カソード)側の拡散層46aに酸化ガスが供給される。一方、燃料ガス流通用のマニホールド用貫通孔42dからセパレータ48b側の反応ガス流路53に燃料ガスが導入され、反応ガス流路53から膜・電極接合体47の燃料極(アノード)側の拡散層46bに燃料ガスが供給される。そして、各単電池40において、酸化ガスと燃料ガスとの電気化学反応により発電が行われる。なお、かかる電機化学反応により生成された水は、過剰に供給された酸化ガス及び燃料ガスとともに、マニホールド用貫通孔42a、42bを経由して燃料電池2の外部に排出される。
本実施形態においては、酸化ガス流通用のマニホールド42から酸化オフガス排出流路12に排出された酸化オフガスが気液分離器15で気液分離され、分離気体が排気流路17から排出され、分離液としての水が水供給配管系5に供給される。そして、水供給配管系5において、水ポンプ19により水供給路18を通して水が燃料電池2に供給される。酸化ガス配管系3に設けた気液分離器15で分離した過剰な水を、排気流路17から分離気体とともに排出することもできる。なお、燃料ガス流通用のマニホールド42から燃料オフガス排出流路23に排出された燃料オフガスは気液分離器30で気液分離され、分離気体が循環路25により燃料ガス供給流路22に返送され、分離液は燃料オフガスの一部とともに排気排水路32から排出される。
続いて、図4のフローチャートを用いて、本実施形態に係る燃料電池システム1の水供給制御について説明する。
まず、制御部6は、図示していないアクセル等から入力された各種操作信号に基づいて、燃料電池システム1に要求される発電量(要求発電量)を設定する(要求発電量設定工程:S1)。次いで、制御部6は、設定した要求発電量に基づいて、コンプレッサ14による酸化ガス供給量を算出する(酸化ガス供給量算出工程:S2)。そして、制御部6は、実際のガス供給量が算出した酸化ガス供給量となるように、例えば図示しない流量センサ等を用いて監視しながらコンプレッサ14を制御して酸化ガスの供給量を調整する。なお、燃料ガス供給流路22から供給される燃料ガスもまた適宜制御を実施して供給することができ、例えば、所定圧範囲や所定濃度範囲に維持したり、酸化ガス供給量に対応させて変化させたりすることができる。
次いで、制御部6は、酸化ガス供給量算出工程S2で算出した酸化ガス供給量に基づいて、水供給配管系5から各単電池40に供給する水の流量(必要水量)を算出するとともに、水ポンプ19により燃料電池2に供給する水の圧力(必要水圧)を算出する(水量・水圧算出工程:S3)。必要水量及び必要水圧は予め設定された相関関係に基づいて算出することができる。そして、制御部6は、実際の水圧が必要水圧となるように、例えば図示しない水圧力センサ等を用いて監視しながら水ポンプ19を制御して水の供給量を調整する(水供給量調整工程:S4)。
このようにして酸化ガス及び水の供給量を調整することにより、適切な水分を各単電池40の固体高分子電解質膜44に供給しつつ、所望の発電を行うことが可能である。本実施形態では、最適な水分を供給しつつ、システム要求電力をより確実に発電するために、さらに、次のような制御を行う。
すなわち、制御部6は、必要水量に達した後、電圧モニター等により燃料電池2の電圧を監視することにより、燃料電池2の発電量が要求発電量未満であるか否かを検出する(発電量判定工程:S5)。次いで、制御部6は、燃料電池2の発電量が要求発電量未満である場合には、要求発電量に対応する電圧と燃料電池2の発電量に対応する電圧との偏差を算出し、この偏差に基づいて必要水量及び必要水圧を補正し、この補正した必要水圧に基づいて水ポンプ19を制御して水の供給量を最適な量に再び調整する。以上の工程群(要求発電量設定工程S1、酸化ガス供給量算出工程S2、水量・水圧算出工程S3、水供給量調整工程S4、発電量判定工程S5)は、本発明における水供給制御工程の一実施形態を構成する。
なお、水量・水圧算出工程S3において算出された必要水量が増加する場合は、水の供給量を増加すればよいが、必要水量が減少する場合には、各単電池40には既に必要水量以上の水が拡散層46aに含まれているため、水を排出する必要がある。かかる場合には、酸化ガスの供給圧力より水の供給圧力より低くすることにより、圧力差により拡散層46a中の水を排出することができ、拡散層46aに含まれる水の量を調整することが可能である。
以上の実施形態に係る燃料電池システム1においては、セパレータ48aの膜・電極接合体47側の面に、反応ガス流通部51と水流通部52とが別々に設けられているため、反応ガスと水分とを別々に膜・電極接合体47に供給することができる。従って、反応ガスの供給量とは別に固体高分子電解質膜44への水分の供給量を調整することができるので、過剰な水分によるフラッディングや水分の不足によるドライアップ及び膜劣化等を抑制することができ、水分の過不足に起因する燃料電池2の発電能力の低下を抑制することが可能となる。また、水分を水流路54から直接的に膜・電極接合体47に供給することができるので、水分を気化させるための装備を省くことができる。この結果、燃料電池システム1の小型化を実現させることが可能となる。
また、以上の実施形態に係る燃料電池システム1においては、反応ガス流通部51流路の反応ガス流入部近傍に水流通部52を設けているので、供給される反応ガスの含水量が低く反応ガスにより膜・電極接合体47の水分が奪われ易い反応ガス流入部付近に水分を供給することができる。従って、反応ガス流入部近傍における固体高分子電解質膜44のドライアップや劣化を効果的に抑制することが可能となる。
また、以上の実施形態に係る燃料電池システム1においては、燃料電池2から排出される水分を水流路54に供給する水供給配管系5を採用しているため、発電によって燃料電池2で生成され燃料電池2から排出された水分を固体高分子電解質膜44の湿潤に有効利用することができる。従って、システム外部から水分を導入するための装備を別途設ける必要がないため、さらに燃料電池システム1の小型化を図ることが可能となる。
また、以上の実施形態に係る燃料電池システム1においては、水流路54への水の供給量及び供給圧力を制御する水供給制御手段(制御部6及び水ポンプ19)を備えており、反応ガス流路53への反応ガスの供給量やシステムに要求される要求発電量に応じて、水流路54への水の供給量や供給圧力を調整することができる。従って、固体高分子電解質膜44の含水量を適切に調整することが可能となり、過剰な水分によるフラッディングや水分不足によるドライアップ及び膜劣化等を効果的に抑制して、燃料電池2の発電効率を高く維持することが可能となる。
なお、以上の実施形態においては、酸化ガス流通用の反応ガス流路53が形成されるセパレータ48aに水流通部52を設け、この水流通部52に水を供給する水供給配管系5をカソード側に設けた例について説明したが、燃料ガス流通用の反応ガス流路53が形成されるセパレータ48bに水流通部を設け、この水流通部に水を供給する水供給配管系をアノード側に設けることもできる。
また、以上の実施形態においては、本発明に係る燃料電池システムを燃料電池車両に搭載した例を示したが、燃料電池車両以外の各種移動体(ロボット、船舶、航空機等)に本発明に係る燃料電池システムを搭載することもできる。また、本発明に係る燃料電池システムを、建物(住宅、ビル等)用の発電設備として用いられる定置用発電システムに適用してもよい。
1…燃料電池システム、2…燃料電池、6…制御装置(水供給制御手段)、19…水ポンプ(水供給制御手段)、40…単電池、44…固体高分子電解質膜、45a・45b…触媒層、46a・46b…拡散層、47…膜・電極接合体、48a…セパレータ、51…反応ガス流通部、52…水流通部、53…反応ガス流路、54…水流路。
Claims (10)
- 固体高分子電解質膜の両側に触媒層及び拡散層が配置されてなる膜・電極接合体と、前記膜・電極接合体を両側から挟持するセパレータと、を有する燃料電池を備え、前記セパレータの前記膜・電極接合体側の面に反応ガスを流通させるための反応ガス流通部が設けられ、前記反応ガス流通部を経由して前記膜・電極接合体に反応ガスが供給されて発電が行われる燃料電池システムであって、
前記セパレータの前記膜・電極接合体側の面に水を流通させるための水流通部が前記反応ガス流通部とは別に設けられ、前記水流通部を経由して前記膜・電極接合体に水が供給されるように構成されてなる、
燃料電池。 - 前記反応ガス流通部は、反応ガス流入部及び反応ガス排出部を有し、
前記水流通部は、前記反応ガス流通部の前記反応ガス流入部近傍に設けられている、
請求項1に記載の燃料電池システム。 - 前記燃料電池から排出される水分が前記水流通部に供給されるように構成されてなる、
請求項1又は2に記載の燃料電池システム。 - 前記水流通部への水の供給量及び/又は供給圧力を制御する水供給制御手段を備える、
請求項1から3の何れか一項に記載の燃料電池システム。 - 前記水供給制御手段は、前記反応ガス流路への反応ガスの供給量に応じて、前記水流通部への水の供給量及び/又は供給圧力を制御するものである、
請求項4に記載の燃料電池システム。 - 前記水供給制御手段は、システムに要求される要求発電量に基づいて、前記水流通部への水の供給量及び/又は供給圧力を制御するものである、
請求項4又は5に記載の燃料電池システム。 - 前記水供給制御手段は、前記燃料電池の実際の発電量と前記要求発電量との偏差に基づいて、前記水流路への水の供給量及び/供給圧力を制御するものである、
請求項6に記載の燃料電池システム。 - 固体高分子電解質膜の両側に触媒層及び拡散層が配置されてなる膜・電極接合体と、前記膜・電極接合体を両側から挟持するセパレータと、を有する燃料電池を備え、水を流通させるための水流通部と反応ガスを流通させる反応ガス流通部とが前記セパレータの前記膜・電極接合体側の面に各々設けられ、前記水流通部を経由して前記膜・電極接合体に水が供給されるとともに、前記反応ガス流通部を経由して前記膜・電極接合体に反応ガスが供給されて発電が行われる燃料電池システムの制御方法であって、
前記反応ガス流通部への反応ガスの供給量に応じて、前記水流通部への水の供給量及び/又は供給圧力を制御する水供給制御工程を含む、
燃料電池システムの制御方法。 - 前記水供給制御工程では、システムに要求される要求発電量に基づいて、前記水流通部への水の供給量及び/又は供給圧力を制御する、
請求項8に記載の燃料電池システムの制御方法。 - 前記水供給制御工程では、前記燃料電池の実際の発電量と前記要求発電量との偏差に基づいて、前記水流通部への水の供給量及び/供給圧力を制御する、
請求項9に記載の燃料電池システムの制御方法。
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JP2007027856A JP2008192544A (ja) | 2007-02-07 | 2007-02-07 | 燃料電池システム及びその制御方法 |
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JP2007027856A JP2008192544A (ja) | 2007-02-07 | 2007-02-07 | 燃料電池システム及びその制御方法 |
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JP2016167376A (ja) * | 2015-03-09 | 2016-09-15 | 大阪瓦斯株式会社 | 固体高分子形燃料電池システム |
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- 2007-02-07 JP JP2007027856A patent/JP2008192544A/ja active Pending
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