JP2008191652A - 画像形成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】低温(例えば120℃)の定着温度において、十分な定着強度で定着され、帯状やすじ状の画像欠陥が無い良好なプリント画像が得ら、該プリント画像を重ねて保存してもドキュメントオフセットが発生しないプリントが得られる画像形成方法の提供。
【解決手段】少なくとも離型剤を含有するトナーを用いて形成されたトナー像を、加熱ローラとベルト状の加圧体を有する接触加熱定着装置を用いて転写材上に定着する工程を有する画像形成方法において、該加熱ローラが該転写材の未定着のトナー像側に配置され、該離型剤が少なくとも下記一般式(1)により表されるモノエステル化合物よりなる第1の離型剤成分と、分岐鎖状構造を含む炭化水素化合物を含有してなる第2の離型剤成分よりなり、該第1の離型剤成分及び該第2の離型剤成分の総質量に対する該第1の離型剤成分の割合が40〜98質量%であることを特徴とする画像形成方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、画像形成方法に関する。
最近、電子写真法による画像形成装置の省エネルギー化の要請により、当該画像形成装置において電力をもっとも消費する定着装置の消費エネルギーを低下させるため、低温で定着する低温定着が進められている。
低温定着を達成するためには、低温の定着温度で、トナー中の結着樹脂及び離型剤を溶融させる必要がある。そのためには、一般に、トナー中の結着樹脂及び離型剤(ワックス)として溶融粘度の低いものを用いることが考えられる。
さらに、より低温の定着温度に対応するトナーを得るためには、離型剤として融点のより低いものを用いる必要があり、このような低融点の離型剤(以下、「低融点離型剤」ともいう)を用いた低温定着対応のトナーが提案されている(例えば、特許文献1、2参照。)。
さらに、地球環境保全の視点等から画像形成装置でのエネルギー消費のより低減化が求められており、前述の低温定着対応のトナーの開発に加え、定着装置での定着効率の向上も検討されている。この様な定着装置の1つとして、従来の加熱ローラと加圧ローラとを組み合わせたものに代わり、加熱ローラとベルト状の加圧体とを組み合わせた定着装置が提案されている(例えば、特許文献3参照。)。
この定着装置は、加圧体にベルト状の部材を用いることにより、定着部位におけるニップ部の幅を広げて定着効率を向上させるものである。
特開2000−321815号公報 特開2000−275908号公報 特開平10−228198号公報
しかしながら、提案された低温定着対応のトナーを、加熱ローラとベルト状の加圧体を組み合わせた接触加熱定着装置を用いて定着を行うと、定着画像に帯状やすじ状の画像欠陥が発生したり、得られたプリントを重ねて放置するとドキュメントオフセットが発生するという問題があった。
上記問題を解決しようと、定着温度を下げて定着すると帯状やすじ状の画像欠陥は抑制されるが定着性(定着強度)が低下するという問題が発生した。
加熱ローラとベルト状の加圧体を有する接触加熱定着装置を用い、低温定着しても帯状やすじ状の画像欠陥が無く、定着強度を満足するプリント画像が得られ、該プリント画像を重ねて保存してもドキュメントオフセットが発生しないプリントを得ることができる画像形成方法の開発が望まれてる。
本発明は、以上のような事情に基づいたものであって、低温(例えば、120℃)の定着温度において、十分な定着強度で定着され、帯状やすじ状の画像欠陥が無い良好なプリント画像が得ら、該プリント画像を重ねて保存してもドキュメントオフセットが発生しないプリントを得ることができる画像形成方法を提供することを目的とする。
本願発明は下記構成を採ることにより達成される。
1.少なくとも離型剤を含有するトナーを用いて形成されたトナー像を、加熱ローラとベルト状の加圧体を有する接触加熱定着装置を用いて転写材上に定着する工程を有する画像形成方法において、
該加熱ローラが該転写材の未定着のトナー像側に配置され、
該離型剤が少なくとも下記一般式(1)により表されるモノエステル化合物よりなる第1の離型剤成分と、分岐鎖状構造を含む炭化水素化合物を含有してなる第2の離型剤成分よりなり、
該第1の離型剤成分及び該第2の離型剤成分の総質量に対する該第1の離型剤成分の割合が40〜98質量%であることを特徴とする画像形成方法。
一般式(1)
1−COO−R2
(一般式(1)において、R1及びR2は、各々置換基を有していてもいなくてもよい主鎖の炭素数が13〜30の炭化水素基を示す。R1及びR2は、各々同一であっても異なっていても良い)
2.前記第1の離型剤成分及び前記第2の離型剤成分の総質量に対する該第1の離型剤成分の割合が、80〜98質量%であることを特徴とする前記1に記載の画像形成方法。
3.前記分岐鎖状構造を含む炭化水素化合物を構成する全炭素原子中の3級炭素原子及び4級炭素原子の合計の割合は、0.1〜20質量%であることを特徴とする前記1に記載の画像形成方法。
4.前記分岐鎖状構造を含む炭化水素化合物を構成する全炭素原子中の3級炭素原子及び4級炭素原子の合計の割合は、0.1〜1.0質量%であることを特徴とする前記1に記載の画像形成方法。
5.前記ベルト状の加圧体は、シームレスベルトであることを特徴とする前記1に記載の画像形成方法。
6.前記シームレスベルトは、基材(ポリイミド)の上に弾性層(シリコーンゴム)と表面層(PFA(パーフルオロアルコキシ)チューブ)を設けた層構造のものであることを特徴とする前記5に記載の画像形成方法。
7.前記シームレスベルトは、基材(ポリエステル、ポリパーフルオロアルキルビニルエーテル、ポリイミド或いはポリエーテルイミド)の上にフッ素樹脂に導電材を添加した離型層を設けた層構造のものであることを特徴とする前記5に記載の画像形成方法。
本発明の画像形成方法は、低温(例えば、120℃)で定着しても、十分な定着強度が得られると共に、帯状やすじ状の画像欠陥が無い良好なプリント画像が得られ、該プリント画像を保存してもドキュメントオフセットが起こらない優れた効果を有する。
本発明者らは、帯状やすじ状の画像欠陥が発生する原因を解析した結果、離型剤分子が機内に付着し、帯電極の汚れや露光系の汚れを引き起こしていることが判明した。本来、離型剤自体の融点は低いものの沸点は非常に高いものであるために、気化することは従来では考えられなかった。しかしながら、低温定着化を図るために離型剤の融点を低下させるに従い、沸点以下での蒸気圧が低下し、結果として定着装置などの温度で気化する離型剤分子が増加、或いは気化しやすい構造の離型剤分子が増加するものと推定される。
すなわち、低融点離型剤を用いたトナーを用い、熱定着して画像を形成する場合、低融点離型剤自体が比較的気化しやすい成分を含んでいるため、機内の熱にて気化成分が発生する。当該気化成分が帯電手段の帯電極などに付着し帯電ムラを引き起こしたり、露光系のポリゴンミラーに付着し露光においてすじ状欠陥を引き起こしたりすることにより、画像欠陥が発生することが判明した。
この現象は、転写材の未定着トナー像側に加熱ローラが配置された接触加熱定着装置において、発生しやすいものとなっている。
一方、低温定着化には、加熱ローラとベルト状の加圧体によるニップ部の幅を広く設定できる定着装置が望まれ、中でも、未定着のトナー像側に加熱ローラが配置される上側が加熱ローラ/下側がベルト状の加圧体のタイプが要求されている。これは、未定着のトナー像への加熱性とベルト状の加圧体の劣化抑制のためである。
本発明は、低融点離型剤の構造に着目することにより、気化成分の発生を抑制することと、定着効率に優れた接触加熱定着装置との組み合わせにより、十分な定着強度が得られ、帯状やすじ状の画像欠陥が無い良好なプリント画像を得るとともに、プリント画像を重ねて保存中にドキュメントオフセットを起こさない画像形成方法を見出し、本発明を完成するに至ったものである。
尚、本発明でいうドキュメントオフセットとは、プリントした転写材を重ねて放置したとき転写材の裏面にトナー像が転写したり、転写材がくっついてしまう現象をいう。
定着強度の問題を解決できた理由は、明確ではないが、上記離型剤を用いたトナーを用いることにより、加熱ローラとベルト状の加圧体を用いたニップ部の幅が広い接触型加熱定着装置を用いても、定着性が良いので定着強度が確保できたものと推察している。
帯状やすじ状の画像欠陥の発生を防止できた理由は、気化成分の少ないトナーを低温定着することで、トナー中から気化する量が少なくなり、気化成分による帯電極や露光系の汚れが少なくなったことによるものと推察している。
ドキュメントオフセットの発生が防止できた理由は、気化成分の少ないトナーを転写材に溶融固着することで、保存中にブリードアウトする気化成分量を少なくすることにより達成できたものと推察している。
以下、本発明について詳細に説明する。
(トナー)
本発明に係るトナーは、結着樹脂、着色剤、及び離型剤を含有するトナーであって、離型剤が、少なくとも下記一般式(1)により表されるモノエステル化合物よりなる第1の離型剤成分と、分岐鎖状構造を含む炭化水素化合物よりなる第2の離型剤成分とを含む2種以上の離型剤成分よりなる。尚、第1の離形剤成分と第2の離形剤成分の総質量に対する第1の離型剤成分の割合は40〜98質量%であり、好ましくは80〜98質量%である。
一般式(1)
1−COO−R2
(一般式(1)において、R1及びR2は、各々、置換基を有していてもいなくてもよい主鎖の炭素数が13〜30の炭化水素基を示す。R1及びR2は、各々、同一であっても異なっていても良い)
第1及び第2の離型剤成分における第1の離型剤成分の割合が40質量%以上であることによって、モノエステル化合物による極性基の存在により転写材との接着性がトナー像の全領域において発揮されるため、十分な接着性を保持することができる。
一方、第1の離型剤成分の割合が98質量%を越える場合は、非極性離型剤である後述の第2の離型剤成分の作用による加熱ローラと転写材との分離作用が十分に得られない。
〔第1の離型剤成分〕
離型剤を構成する第1の離型剤成分であるモノエステル化合物を示す上記一般式(1)において、R1及びR2は、各々、置換基を有していてもいなくてもよい主鎖の炭素数が13〜30、好ましくは17〜22の炭化水素基を示す。又、R1及びR2は、各々、同一であっても、異なっていてもよい。
このようなモノエステル化合物は、低融点であってしかも気化成分を発生させにくい構造を有する。この理由としては、第2の離型剤成分である分岐鎖状構造を含む炭化水素化合物との相溶性の観点から、当該分岐鎖状構造を含む炭化水素化合物と高い均一性で分散することができるためであると推測される。
本発明において、離型剤がモノエステル化合物よりなる第1の離型剤成分を含有することにより、非極性化合物である分岐鎖状構造を含む炭化水素化合物のみでは得られない転写材への良好な接着性が実現され、十分確実に定着することができる。
上記一般式(1)で表されるモノエステル化合物の具体例としては、例えば以下の式(a)〜式(h)に示す化合物を例示することができる。
式(a) CH3−(CH212−COO−(CH213−CH3
式(b) CH3−(CH214−COO−(CH215−CH3
式(c) CH3−(CH216−COO−(CH217−CH3
式(d) CH3−(CH216−COO−(CH221−CH3
式(e) CH3−(CH220−COO−(CH217−CH3
式(f) CH3−(CH220−COO−(CH221−CH3
式(g) CH3−(CH225−COO−(CH225−CH3
式(h) CH3−(CH228−COO−(CH229−CH3
これらのモノエステル化合物においては、低融点の観点から、基R1及び基R2は直鎖状構造を有することが好ましいが、分岐鎖状構造を含むものを用いてもよい。
分岐鎖状構造を含むモノエステル化合物の具体例としては、例えば以下の式(i)及び式(j)に示す化合物を例示することができる。
Figure 2008191652
〔第2の離型剤成分〕
離型剤を構成する第2の離型剤成分は分岐鎖状構造を含む炭化水素化合物である。分岐鎖状構造を含む炭化水素化合物における分岐の割合、すなわち分岐鎖状構造を含む炭化水素化合物を構成する全炭素原子中の3級炭素原子及び4級炭素原子の合計の割合は、下記の方法によって得られる値であって、0.1〜20質量%であることが好ましく、0.1〜1.0質量%であることがさらに好ましい。尚、分岐炭化水素系ワックスは、分岐鎖状構造を含む炭化水素化合物と分岐鎖構造を含まない炭化水素化合物、すなわち直鎖状炭化水素化合物との混合物であってもよい。
第1及び第2の離型剤成分における第2の離型剤成分の割合は、2〜60質量%、好ましくは2〜20質量%とされる。
分岐鎖状構造を含む炭化水素化合物を構成する全炭素原子中の3級炭素原子及び4級炭素原子の合計の割合が0.1〜20%の範囲であることにより、当該分岐鎖状構造を含む炭化水素化合物が、低融点でありながら気化成分を発生させにくいものとなる。
又、非極性の第2の離型剤成分は、加熱ローラと転写材との分離作用を良好にする効果を有する。
分岐鎖状構造を含む炭化水素化合物における分岐の割合は、具体的には、下記条件における13C−NMR測定方法により得られるスペクトルにより、下記式(1)により算出することができる。
式(1)
分岐の割合(%)=(C3+C4)/(C1+C2+C3+C4)×100
(上記式(1)において、C3は3級炭素原子に係るピーク面積、C4は4級炭素原子に係るピーク面積、C1は1級炭素原子に係るピーク面積、C2は2級炭素原子に係るピーク面積を示す。)
(13C−NMR測定方法の条件)
測定装置 :FT NMR装置 Lambda400(日本電子社製)
測定周波数 :100.5MHz
パルス条件 :4.0μs
データポイント:32768
遅延時間 :1.8sec
周波数範囲 :27100Hz
積算回数 :20000回
測定温度 :80℃
溶媒 :ベンゼン−d6/o−ジクロロベンゼン−d4=1/4(v/v)
試料濃度 :3質量%
試料管 :φ5mm
測定モード :1H完全デカップリング法
分岐鎖状構造を含む炭化水素化合物としては、例えば、日本精蝋(株)製のHNP−0190、Hi−Mic−1045、Hi−Mic−1070、Hi−Mic−1080、Hi−Mic−1090、Hi−Mic−2045、Hi−Mic−2065、Hi−Mic−2095などのマイクロクリスタリンワックスや、イソパラフィンが主成分であるワックスEMW−0001、EMW−0003なども挙げられる。
これらの中では分岐鎖状構造の割合が0.1〜20%の範囲内であるHNP−0190が好ましい。
ここに、マイクロクリスタリンワックスとは、石油ワックスの中で、主成分が直鎖状炭化水素(ノルマルパラフィン)であるパラフィンワックスとは異なり分岐鎖状炭化水素(イソパラフィン)を含むワックスをいい、一般に、マイクロクリスタリンワックスは、低結晶性のイソパラフィンやシクロパラフィンが多く含有されているために、パラフィンワックスに比べて結晶が小さく、パラフィンワックスに比べて分子量が大きいものである。このようなマイクロクリスタリンワックスは、炭素数が30〜60、重量平均分子量が500〜800、融点が60〜90℃である。
分岐鎖状構造を含む炭化水素化合物を構成するマイクロクリスタリンワックスとしては、重量平均分子量600〜800、融点60〜85℃であるものが好ましい。又、低分子量のもので特に数平均分子量が300〜1,000のものが好ましく、400〜800のものがより好ましい。又、重量平均分子量と数平均分子量との比Mw/Mnは1.01〜1.20であることが好ましい。
(分岐鎖状構造を含む炭化水素化合物の製造方法)
以上のような分岐鎖状構造を含む炭化水素化合物を得るための製造方法としては、原料油を特定温度に維持した状態で固化した炭化水素を分離して取り出すプレス発汗法、及び石油の減圧蒸留残渣油または重質留出油である原料油に溶剤を加えて結晶化させ、濾別する溶剤抽出法の2つが挙げられるが、後者の溶剤抽出法が好ましい。又、上記の製造方法によって得られる分岐鎖状構造を含む炭化水素化合物は着色されているため、硫酸白色土などを用いて精製してもよい。
本発明に係るトナーの離型剤を構成する第2の離型剤成分としては、以上の分岐鎖状構造を含む炭化水素化合物の2種以上を組み合わせて用いることもできる。
本発明に係るトナーにおける離型剤の含有量は、トナー中に1〜30質量%が好ましく、5〜20質量%がさらに好ましい。
本発明に係るトナーを構成する離型剤全体の融点は、例えば60〜100℃、好ましくは65〜85℃とされる。
本発明に係るトナーを構成する離型剤の融点は、離型剤吸熱ピークのピークトップの温度を表し、例えば「DSC−7示差走査カロリメーター」(パーキンエルマー製)、「TAC7/DX熱分析装置コントローラー」(パーキンエルマー製)などを用いて測定することができる。
具体的には、離型剤4.00mgを小数点以下2桁まで精秤してアルミニウム製パン(KITNO.0219−0041)に封入し、DSC−7サンプルホルダーにセットし、測定温度0℃〜200℃、昇温速度10℃/分、降温速度10℃/分の測定条件で、Heat−Cool−Heatの温度制御で行い、その2nd.Heatにおけるデータをもとに解析を行った。リファレンスの測定には、空のアルミニウム製パンを用いた。
(トナーの製造方法)
本発明に係るトナーを製造する方法としては、特に限定されるものではなく、粉砕法、懸濁重合法、ミニエマルション重合凝集法、乳化重合凝集法、溶解懸濁法、ポリエステル分子伸長法その他の公知の方法などを挙げることができるが、本発明に係るトナーを製造する方法としては、特にミニエマルション法とよばれる臨界ミセル濃度以下の濃度の界面活性剤を溶解してなる水系媒体中に、離型剤を重合性単量体中に溶解してなる重合性単量体溶液を、機械的エネルギーを利用して油滴(10〜1000nm)を形成して分散液を調製し、得られた分散液に水溶性重合開始剤を添加して、ラジカル重合させて得られる結着樹脂微粒子を会合(凝集/融着)してトナーを得る方法を用いることが好ましい。
この理由としては、前記油滴において重合が行われるために、トナー粒子においては離型剤分子が結着樹脂に確実に包含された状態となり、従って、定着装置において定着処理が行われるまで、すなわち熱を加えられるまでは離型剤についての気化成分の発生が抑制されると考えられるからである。
尚、このミニエマルション重合凝集法においては、水溶性重合開始剤を添加することに代えて、または、当該水溶性ラジカル重合開始剤を添加すると共に、油溶性ラジカル重合開始剤を前記単量体溶液中に添加してもよい。
本発明に係るトナーを製造するための方法として、ミニエマルション重合凝集法を用いる場合に形成させる結着樹脂微粒子は、組成の異なる結着樹脂よりなる2層以上の構成とすることもでき、この場合、常法に従ったミニエマルション重合処理(第1段重合)により調製した第1樹脂粒子の分散液に、重合開始剤と重合性単量体とを添加し、この系を重合処理(第2段重合)する方法を採用することができる。
本発明に係るトナーを製造するための方法として、ミニエマルション重合凝集法を用いる場合の一例を具体的に示すと、
(1)離型剤、着色剤及び必要に応じて荷電制御剤などのトナー粒子構成材料を結着樹脂となる重合性単量体に溶解または分散させて重合性単量体溶液を得る溶解・分散工程
(2)重合性単量体溶液を水系媒体中で油滴化し、ミニエマルション法により結着樹脂微粒子の分散液を調製する重合工程
(3)結着樹脂微粒子を水系媒体中で塩析、凝集、融着させて凝集粒子を形成する凝集・融着工程
(4)凝集粒子を熱エネルギーにより熟成して形状を調整しトナー粒子の分散液を得る熟成工程
(5)トナー粒子の分散液を冷却する冷却工程
(6)冷却されたトナー粒子の分散液から当該トナー粒子を固液分離し、当該トナー粒子から界面活性剤などを除去する濾過・洗浄工程
(7)洗浄処理されたトナー粒子を乾燥する乾燥工程
(8)乾燥処理されたトナー粒子に外添剤を添加する工程
から構成される。
以下、各工程について説明する。
(1)溶解・分散工程;
この工程は、重合性単量体に離型剤、着色剤などのトナー粒子構成材料を溶解或いは分散させて重合性単量体溶液を調製する工程である。
離型剤の添加量としては、最終的に得られるトナー中の離型剤の含有割合が上記の範囲となる量とされる。
この重合性単量体溶液中には、後述の油溶性重合開始剤及び/または他の油溶性の成分を添加することができる。
(2)重合工程;
この重合工程の好適な一例においては、臨界ミセル濃度以下の濃度の界面活性剤を含有した水系媒体中に、上記の重合性単量体溶液を添加し、機械的エネルギーを加えて油滴を形成し、次いで水溶性ラジカル重合開始剤からのラジカルにより当該油滴中において重合反応が行われる。尚、前記水系媒体中には、核粒子として樹脂粒子が添加してあってもよい。
この重合工程において、離型剤と結着樹脂とを含有する結着樹脂微粒子が得られる。この結着樹脂微粒子は、着色されていてもよく、着色されていなくてもよい。着色された結着樹脂微粒子は、着色剤を含有する単量体組成物を重合処理することにより得られる。又、着色されていない結着樹脂微粒子を使用する場合には、後述する凝集工程において、結着樹脂微粒子の分散液に、着色剤微粒子の分散液を添加し、結着樹脂微粒子と着色剤微粒子とを凝集させることでトナー粒子とすることができる。
ここに、「水系媒体」とは、主成分(50質量%以上)が水からなるものをいう。ここに、水以外の成分としては、水に溶解する有機溶媒を挙げることができ、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフランなどが挙げられる。これらの内、樹脂を溶解しない有機溶媒であるメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールのようなアルコール系有機溶媒が特に好ましい。
重合性単量体溶液を水系媒体中に分散させる方法としては、特に限定されるものではないが、機械的エネルギーにより分散させる方法が好ましく、機械的エネルギーによる油滴分散を行うための分散機としては、特に限定されるものではないが、例えば「クレアミックス」、超音波分散機、機械式ホモジナイザー、マントンゴーリン及び圧力式ホモジナイザーなどを挙げることができる。又、分散粒子径としては、10〜1000nmとされ、好ましくは30〜300nmとされる。
(3)凝集・融着工程;
凝集・融着工程においては、上記の重合工程により得られる結着樹脂微粒子の分散液に、当該結着樹脂微粒子が着色されていないものである場合は着色剤微粒子の分散液を添加し、結着樹脂微粒子を前記着色剤微粒子と共に水系媒体中で塩析、凝集及び融着させる。この凝集・融着工程の途中段階においては、樹脂組成の異なる結着樹脂微粒子を添加して凝集させることができる。
又、当該凝集・融着工程においては、結着樹脂微粒子及び着色剤微粒子と共に、荷電制御剤などの内添剤粒子なども融着させることもできる。
好ましい凝集・融着方法は、結着樹脂微粒子と着色剤微粒子とが存在している水系媒体中に、アルカリ金属塩及び/またはアルカリ土類金属塩などからなる塩析剤を臨界凝集濃度以上の凝集剤として添加し、次いで、前記結着樹脂微粒子のガラス転移点温度以上であって、且つ用いる離型剤の融解ピーク温度以上の温度に加熱することにより、塩析を進行させると同時に凝集・融着を行う工程である。
この凝集・融着工程においては、加熱により速やかに昇温させる必要があり、昇温速度は1℃/分以上とすることが好ましい。昇温速度の上限は、特に限定されないが、急速な塩析、凝集及び融着の進行による粗大粒子の発生を抑制する観点から15℃/分以下とすることが好ましい。
さらに、結着樹脂微粒子及び着色剤微粒子の分散液が前記ガラス転移温度以上かつ離型剤の融解ピーク温度以上の温度に到達した後、当該分散液の温度を一定時間保持することにより、塩析、凝集及び融着を継続させることが肝要である。これにより、トナー粒子の成長(結着樹脂微粒子及び着色剤微粒子の凝集)と、融着(粒子間の界面の消失)とを効果的に進行させることができ、最終的に得られるトナーの耐久性を向上することができる。
着色剤微粒子の分散液は、着色剤を水系媒体中に分散することにより、調製することができる。着色剤微粒子の分散処理は、水中で界面活性剤濃度を臨界ミセル濃度(CMC)以上にした状態で行われる。着色剤微粒子の分散処理に使用する分散機としては特に限定されないが、好ましくは超音波分散機、機械的ホモジナイザー、マントンゴーリンや圧力式ホモジナイザーなどの加圧分散機、サンドグラインダー、ゲッツマンミルやダイヤモンドファインミルなどの媒体型分散機が挙げられる。
この着色剤微粒子は表面改質されていてもよく、具体的には、溶媒中に着色剤微粒子を分散させ、この分散液中に表面改質剤を添加し、この系を昇温することにより反応させ、反応終了後、着色剤微粒子を濾別し、同一の溶媒で洗浄濾過を繰り返した後、乾燥することにより、表面改質剤で処理された着色剤微粒子を得ることができる。
(4)熟成工程;
この熟成工程は、熱エネルギー(加熱)により行う方法が好ましい。
具体的には、凝集粒子を含む系を加熱撹拌することにより、凝集粒子の形状を所望の平均円形度になるまで、加熱温度、撹拌速度、加熱時間により調整し、トナー粒子とするものである。
又、この熟成工程において、上記トナー粒子をコア粒子として、結着樹脂微粒子をさらに添加しコア粒子に付着、融着させることによって、コア−シェル構造のものとしてもよい。この場合には、シェル層を構成する結着樹脂微粒子のガラス転移点温度を、コア粒子を構成する結着樹脂微粒子のガラス転移点温度よりも20℃以上高くすることが好ましい。
又、上記の凝集・融着工程において用いた結着樹脂微粒子が、後述のイオン性解離基を有する重合性単量体を原料とする樹脂(親水性樹脂)と、イオン性解離基のない重合性単量体のみを原料とする樹脂(疎水性樹脂)とを含有して構成されている場合は、この熟成工程において、親水性樹脂を凝集粒子の表面側に、疎水性樹脂を当該凝集粒子の内部側へ配向させることによって、コア−シェル構造を有するトナー粒子を形成させることができる。
(5)冷却工程;
この冷却工程は、上記のトナー粒子の分散液を冷却処理する工程である。冷却処理における冷却速度は、1〜20℃/minとされる。冷却処理方法としては特に限定されるものではなく、反応容器の外部より冷媒を導入して冷却する方法や、冷水を直接反応系に投入して冷却する方法を例示することができる。
(6)濾過・洗浄工程;
この濾過・洗浄工程では、上記の工程で所定温度まで冷却されたトナー粒子の分散液から当該トナー粒子を固液分離させて濾別する濾過処理と、濾別されたトナー粒子(ケーキ状の集合物)から界面活性剤や塩析剤などの付着物、熟成工程で用いたアルカリ剤を除去する洗浄処理とが施される。
ここに、洗浄処理は、濾液の電気伝導度が10μS/cmになるまで水洗浄することにより行われる。又、濾過処理方法としては、遠心分離法、ヌッチェなどを使用して行う減圧濾過法、フィルタープレスなどを使用して行う濾過法などがあり、特に限定されるものではない。
(7)乾燥工程;
この工程は、洗浄処理されたトナーケーキを乾燥処理し、乾燥されたトナー粒子を得る工程である。この工程で使用される乾燥機としては、スプレードライヤー、真空凍結乾燥機、減圧乾燥機などを挙げることができ、静置棚乾燥機、移動式棚乾燥機、流動層乾燥機、回転式乾燥機、撹拌式乾燥機などを使用することが好ましい。乾燥されたトナー粒子の水分は、5質量%以下であることが好ましく、さらに好ましくは2質量%以下とされる。尚、乾燥処理されたトナー粒子同士が、弱い粒子間引力で凝集している場合には、当該凝集体を解砕処理してもよい。ここに、解砕処理装置としては、ジェットミル、ヘンシェルミキサー、コーヒーミル、フードプロセッサーなどの機械式の解砕装置を使用することができる。
(8)外添処理工程;
この工程は、乾燥処理されたトナー粒子に必要に応じて外添剤を添加する工程である。外添剤を添加するために使用される混合装置としては、ヘンシェルミキサー、コーヒーミルなどの機械式の混合装置を使用することができる。
〔結着樹脂〕
本発明に係るトナーを構成するトナー粒子が粉砕法、溶解懸濁法などによって製造される場合には、トナーを構成する結着樹脂として、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン−(メタ)アクリル系共重合体樹脂、オレフィン系樹脂などのビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、カーボネート樹脂、ポリエーテル、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリスルフオン、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、尿素樹脂などの公知の種々の樹脂を用いることができる。これらは1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
又、本発明に係るトナーを構成するトナー粒子が懸濁重合法、ミニエマルション重合凝集法、乳化重合凝集法などによって製造される場合には、トナーを構成する各樹脂を得るための重合性単量体として、例えばスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−クロロスチレン、3,4−ジクロロスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレンなどのスチレン或いはスチレンスチレン誘導体;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチルなどのメタクリル酸エステル誘導体;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸フェニルなどのアクリル酸エステル誘導体;エチレン、プロピレン、イソブチレンなどのオレフィン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、フッ化ビニル、フッ化ビニリデンなどのハロゲン化ビニル類;プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、ベンゾエ酸ビニルなどのビニルエステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテルなどのビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルヘキシルケトンなどのビニルケトン類;N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンなどのN−ビニル化合物類;ビニルナフタレン、ビニルピリジンなどのビニル化合物類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドなどのアクリル酸またはメタクリル酸誘導体などのビニル系単量体を挙げることができる。これらのビニル系単量体は、1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
又、重合性単量体としてイオン性解離基を有するものを組み合わせて用いることが好ましい。イオン性解離基を有する重合性単量体は、例えばカルボキシル基、スルフォン酸基、リン酸基などの置換基を構成基として有するものであって、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、フマール酸、マレイン酸モノアルキルエステル、イタコン酸モノアルキルエステル、スチレンスルフォン酸、アリルスルフォコハク酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルフォン酸、アシッドホスホオキシエチルメタクリレート、3−クロロ−2−アシッドホスホオキシプロピルメタクリレートなどが挙げられる。
さらに、重合性単量体として、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレートなどの多官能性ビニル類を用いて架橋構造の結着樹脂を得ることもできる。
〔界面活性剤〕
本発明に係るトナーを構成するトナー粒子を懸濁重合法、ミニエマルション重合凝集法または乳化重合凝集法によって製造する場合に、結着樹脂を得るために使用する界面活性剤としては、特に限定されるものではないが、スルホン酸塩(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アリールアルキルポリエーテルスルホン酸ナトリウム)、硫酸エステル塩(ドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウムなど)、脂肪酸塩(オレイン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、カプリン酸ナトリウム、カプリル酸ナトリウム、カプロン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウムなど)などのイオン性界面活性剤を好適なものとして例示することができる。又、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイドとポリエチレンオキサイドの組み合わせ、ポリエチレングリコールと高級脂肪酸とのエステル、アルキルフェノールポリエチレンオキサイド、高級脂肪酸とポリエチレングリコールとのエステル、高級脂肪酸とポリプロピレンオキサイドとのエステル、ソルビタンエステルなどのノニオン性界面活性剤も使用することができる。これらの界面活性剤はトナーを乳化重合法によって得る場合に乳化剤として使用されるが、他の工程または使用目的で使用してもよい。
〔重合開始剤〕
本発明に係るトナーを構成するトナー粒子を懸濁重合法、ミニエマルション重合凝集法または乳化重合凝集法によって製造する場合に、結着樹脂はラジカル重合開始剤を用いて重合することができる。
懸濁重合法を用いる場合においては油溶性ラジカル重合開始剤を用いることができ、油溶性重合開始剤としては、2,2′−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、1,1′−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2′−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリルなどのアゾ系またはジアゾ系重合開始剤、ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンペルオキサイド、ジイソプロピルペルオキシカーボネート、クメンヒドロペルオキサイド、t−ブチルヒドロペルオキサイド、ジ−t−ブチルペルオキサイド、ジクミルペルオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキサイド、ラウロイルペルオキサイド、2,2−ビス−(4,4−t−ブチルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、トリス−(t−ブチルペルオキシ)トリアジンなどの過酸化物系重合開始剤や過酸化物を側鎖に有する高分子開始剤などを挙げることができる。
又、ミニエマルション重合凝集法または乳化重合凝集法を用いる場合においては水溶性ラジカル重合開始剤を使用することができ、水溶性ラジカル重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩、アゾビスアミノジプロパン酢酸塩、アゾビスシアノ吉草酸及びその塩、過酸化水素などを挙げることができる。
〔連鎖移動剤〕
本発明に係るトナーを構成するトナー粒子を懸濁重合法、ミニエマルション重合凝集法または乳化重合凝集法によって製造する場合に、結着樹脂の分子量を調整することを目的として、一般的に用いられる連鎖移動剤を用いることができる。
連鎖移動剤としては、特に限定されるものではなく、例えばn−オクチルメルカプタン、n−デシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタンなどのメルカプタン、n−オクチル−3−メルカプトプロピオン酸エステル、ターピノーレン、四臭化炭素及びα−メチルスチレンダイマーなどが使用される。
〔着色剤〕
本発明に係るトナーを構成する着色剤としては、公知の無機または有機着色剤を使用することができる。以下に、具体的な着色剤を示す。
黒色の着色剤としては、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラックなどのカーボンブラックや、マグネタイト、フェライトなどの磁性粉が挙げられる。
又、マゼンタもしくはレッド用の着色剤としては、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48;1、C.I.ピグメントレッド53;1、C.I.ピグメントレッド57;1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド222などが挙げられる。
又、オレンジもしくはイエロー用の着色剤としては、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー138などが挙げられる。
又、グリーンもしくはシアン用の着色剤としては、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15;2、C.I.ピグメントブルー15;3、C.I.ピグメントブルー15;4、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントブルー62、C.I.ピグメントブルー66、C.I.ピグメントグリーン7などが挙げられる。
以上の着色剤は、単独でまたは2種類以上を組み合わせて用いることができる。
又、着色剤の添加量はトナー全体に対して1〜30質量%、好ましくは2〜20質量%の範囲とされる。
着色剤としては、表面改質されたものを使用することもできる。その表面改質剤としては、従来公知のものを使用することができ、具体的にはシランカップリング剤、チタンカップリング剤、アルミニウムカップリング剤などが好ましく用いることができる。
〔凝集剤〕
本発明に係るトナーを構成するトナー粒子をミニエマルション重合凝集法または乳化重合凝集法によって製造する場合に、結着樹脂を得るために使用する凝集剤としては、例えばアルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩を挙げることができる。凝集剤を構成するアルカリ金属としては、リチウム、カリウム、ナトリウムなどが挙げられ、凝集剤を構成するアルカリ土類金属としては、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムなどが挙げられる。これらの内、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウムが好ましい。前記アルカリ金属またはアルカリ土類金属の対イオン(塩を構成する陰イオン)としては、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、炭酸イオン、硫酸イオンなどが挙げられる。
〔荷電制御剤〕
本発明に係るトナーを構成するトナー粒子中には、必要に応じて荷電制御剤が含有されていてもよい。荷電制御剤としては、公知の種々の化合物を用いることができる。
〔トナー粒子の粒径〕
本発明に係るトナーの粒径は、個数基準におけるメディアン径(D50)で3〜8μmのものが好ましい。この粒径は、重合法によりトナー粒子を形成させる場合には、上述したトナーの製造方法において、凝集剤の濃度や有機溶媒の添加量、または融着時間、さらには重合体自体の組成によって制御することができる。
個数基準におけるメディアン径(D50)が3〜8μmであることにより、細線の再現性や、写真画像の高画質化が達成できると共に、トナーの消費量を大粒径トナーを用いた場合に比して削減することができる。
〔トナー粒子の平均円形度〕
本発明に係るトナーは、このトナーを構成する個々のトナー粒子について、転写効率の向上の観点から、下記式(3)で示される平均円形度が0.930〜1.000であることが好ましく、より好ましくは0.950〜0.995である。
式(3); 平均円形度=円相当径から求めた円の周囲長/粒子投影像の周囲長
〔外添剤〕
本発明に係るトナーには、流動性、帯電性の改良及びクリーニング性の向上などの目的で、いわゆる外添剤を添加して使用することができる。これら外添剤としては特に限定されるものではなく、種々の無機微粒子、有機微粒子及び滑剤を使用することができる。
この無機微粒子としては、シリカ、チタニア、アルミナなどの無機酸化物粒子を使用することが好ましく、さらに、これら無機微粒子はシランカップリング剤やチタンカップリング剤などによって疎水化処理されていることが好ましい。又、有機微粒子としては数平均一次粒子径が10〜2000nm程度の球形のものを使用することができる。この有機微粒子としては、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、スチレン−メチルメタクリレート共重合体などの重合体を使用することができる。
これらの外添剤の添加割合は、トナーにおいて0.1〜5.0質量%、好ましくは0.5〜4.0質量%となる割合である。又、外添剤としては種々のものを組み合わせて使用してもよい。
〔現像剤〕
本発明に係るトナーは、磁性または非磁性の一成分現像剤として使用することもできるが、キャリアと混合して二成分現像剤として使用してもよい。本発明に係るトナーを一成分現像剤として用いる場合は、非磁性一成分現像剤、或いはトナー中に0.1〜0.5μm程度の磁性粒子を含有させて磁性一成分現像剤としたものが挙げられ、何れも使用することができる。又、本発明に係るトナーを二成分現像剤として使用する場合において、キャリアとしては、鉄、フェライト、マグネタイトなどの金属、それらの金属とアルミニウム、鉛などの金属との合金などの従来から公知の材料からなる磁性粒子を用いることができ、特にフェライト粒子が好ましい。又、キャリアとしては、磁性粒子の表面を樹脂などの被覆剤で被覆したコートキャリアや、バインダー樹脂中に磁性体微粉末を分散してなる樹脂分散型キャリアなど用いてもよい。
コートキャリアを構成する被覆樹脂としては、特に限定はないが、例えばオレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、エステル樹脂、フッ素含有重合体系樹脂などが挙げられる。又、樹脂分散型キャリアを構成する樹脂としては、特に限定されず公知のものを使用することができ、例えばスチレン−アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂、フェノール樹脂などを使用することができる。
好ましいキャリアとしては、外添剤の離脱防止や耐久性の観点から、被覆樹脂としてスチレン−アクリル系樹脂系樹脂で被覆したコートキャリアを挙げられる。
キャリアの体積基準におけるメディアン径(D50)としては20〜100μmであることが好ましく、さらに好ましくは25〜80μmとされる。キャリアの体積基準におけるメディアン径(D50)は、代表的には湿式分散機を備えたレーザ回折式粒度分布測定装置「ヘロス(HELOS)」(シンパティック(SYMPATEC)社製)により測定することができる。
(定着装置)
本発明の画像形成方法で用いられる定着装置は、加熱ローラとベルト状の加圧体を有する接触加熱定着装置であり、加熱ローラは転写材の未定着のトナー像側に配置されてなるものである。
ここで、転写材の未定着のトナー像側とは、転写材に未定着のトナー像が形成された側のことをいう。通常、未定着のトナー像を有する転写材を定着装置に挿入するとき上となる側である。
この接触加熱定着装置は、加熱ローラとベルト状の加圧体で広いニップ部を形成できるので、定着に必要な熱をトナーと転写材に供給する時間を長く取ることができ、定着効率が優れている。
加熱ローラとしては、加熱部材により加熱されるので耐熱性を有し、溶融したトナーとの離型性を有するものを用いることが好ましい。具体的には、テトラフルオロエチレンやポリテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルコキシビニルエーテル共重合体類等を被覆した鉄やアルミニウム等で構成される金属シリンダ内部に熱源を有するものを挙げることができる。
ベルト状の加圧体としては、シームレスベルトを用いることが好ましく、該シムレスベルトとしては、耐熱性、柔軟性を有し、且つ離型性を有するものが好ましい。シームレスベルトの具体例としては、基材ポリイミドの上に弾性層シリコーンゴムと表面層PFA(パーフルオロアルコキシ)チューブの層構造のもの、基材ポリエステル、ポリパーフロオロアルキルビニルエーテル、ポリイミド或いはポリエーテルイミドにフッ素樹脂に導電材を添加した離型材層を被覆させた層構造のものを挙げることができる。
尚、ニップ部の幅としては、5〜40mmが好ましく、10〜30mmがより好ましい。
図1は、本発明で用いられる加熱ローラとシームレスベルトを有する接触加熱定着装置の一例を示す概略図である。
図1において、10は加熱ローラ、11はシームレスベルト、12aは圧力パッド(圧力部材)、12bは圧力パッド(圧力部材)、40は潤滑剤供給部材、Nはニップ部の幅を示す。
加熱ローラ10は、金属製のコア(円筒状芯金)10aの周囲に耐熱性弾性体層10b、及び離型層(耐熱性樹脂層)10cを形成したものであり、コア10aの内部には、加熱源としてのハロゲンランプ14が配置されている。シームレスベルト11の表面の温度は温度センサー15によって計測され、その計測信号により、図示しない温度コントローラーによってハロゲンランプ14がフィードバック制御されて、シームレスベルト11の表面温度が規定の温度になるように調整される。シームレスベルト11は、加熱ローラ10に対し所定の角度巻き付けられるように接触し、ニップ部の幅Nを形成している。
シームレスベルト11の内側には、低摩擦層を表面に有する圧力パッド12がシームレスベルト11を介して加熱ローラ10に押圧される状態で配置されている。圧力パッド12は、弱いニップ圧がかかる圧力パッド12aと、強いニップ圧がかかる圧力パッド12bとが設けられ、金属製等のホルダー12cに保持されている。
さらにホルダー12cには、シームレスベルト11がスムーズに摺動回転するようにベルト走行ガイドが取り付けられている。ベルト走行ガイドはシームレスベルト11内面と摺擦するため摩擦係数が低い部材が望ましく、且つ、シームレスベルト11から熱を奪いにくいように熱伝導の低い部材がよい。
加熱ローラ10は、図示しないモータにより矢印B方向に回転させられ、この回転によりシームレスベルト11も従動回転する。図示しない転写装置により転写材P上にトナー像17が転写され、図の右側からニップ部に向けて(矢印A方向)、この転写材Pが搬送されてくる。ニップ部に挿通させられた転写材P上のトナー像17は、ニップ部に作用する圧力と、ハロゲンランプ14により加熱ローラ10を通じて与えられる熱とにより定着させられる。図1に示す構成の装置により定着を行えば、ニップ部の幅を広く採ることができるため、安定した定着性能、定着効率を確保することができる。
定着後の転写材Pは、離型層10c及びニップ部における歪みの両効果により、加熱ローラ10に巻き付くことなく良好に剥離されるが、該剥離の補助手段として、加熱ローラ10の回転方向のニップ部の下流に剥離手段20を設けることが望ましい。剥離手段20は、剥離シート20aが加熱ローラ10の回転方向と対向する向き(リバース)に加熱ローラ10と接触する状態でガイド20bにより保持されて構成される。
以下、各構成に就いて詳細に説明する。コア10aとしては鉄、アルミニウムやステンレス等熱伝導率の高い金属製の円筒体を使用することができる。コア10aの外径及び肉厚は、本発明で用いられる定着装置においては、圧力パッド12の押圧力が小さいため、小径のもの、薄肉のものを用いることができ、具体的には、鉄製の場合、外径20〜35mm程度、肉厚0.3〜0.5mm程度のものを使用することができる。もちろん使用する材質により強度や熱伝導率が異なるため、最適な寸法は適宜決定すればよい。
コア10aの表面に形成される耐熱性弾性体層10bとしては、耐熱性の高い弾性体であればどのような材料を使用することもできる。特に、ゴム硬度25〜40°(JIS−A)程度のゴム、エラストマー等の弾性体を用いることが好ましく、具体的にはシリコーンゴム、フッ素ゴム等を挙げることができる。耐熱性弾性体層10bの厚みとしては、用いる材料のゴム硬度にもよるが0.3〜1.0mm程度が好ましい。
本発明で用いられる定着装置においては、ニップ部の幅が広く十分な定着性能が得られ、且つ、少ない歪み量で効果的に離型性を得ることができるため、圧力パッド12による総荷重が小さくて済み、又、耐熱性弾性体層10bを薄くすることができる。以上のように、本発明で用いられる定着装置はコア10aの外径を小さく、肉厚を薄くできるとともに、コア10aの表面に形成される耐熱性弾性体層10bの厚みも薄くできるため、従来のロール対方式の定着装置に比べ、極めて熱容量が低くインスタントスタート性が向上し及び/または加熱源としてのハロゲンランプ14の出力を低下させることができ、又、加熱ローラ10内面と外面との間の熱抵抗を小さくでき、熱応答が早くなる。従って、消費電力の低減及びより高速な定着が可能となる。
耐熱性弾性体層10bの上に形成される離型層(耐熱性樹脂層)10cとしては、耐熱性の樹脂であればどのような樹脂を用いてもよく、例えばフッ素樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。離型層10cの離型性や摩耗性を考慮すれば特にフッ素樹脂を用いることが好ましい。フッ素樹脂としては、PFA(パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合樹脂)、PTFE(ポリテトラフフルオロエチレン)、FEP(四フッ化エチレン六フッ化プロピレン共重合樹脂)等のフッ素樹脂が使用できるが、耐熱性と加工性の観点よりPFAが最適である。離型層10cの厚みとしては、好ましくは5〜30μm、より好ましくは10〜20μmである。離型層10cの厚みが5μm未満であると、加熱ローラ10の歪みに基づくシワが発生する可能性があり、又、30μmを超えると離型層10cが硬くなり、光沢ムラ等の画質欠陥が現れる可能性があり、共に好ましくない。離型層10cの形成方法としては、従来公知の如何なる方法も採用することができ、例えば、ディップコート法、スプレーコート法、ロールコート法、バーコート法、スピンコート法等を挙げることができる。
シームレスベルト11は、その厚さが50〜125μmが好ましく、75〜100μmがより好ましい。ベース層の表面に形成される離型層としては、前述の如きフッ素樹脂、例えばPFA等が5〜20μmの厚さでコーティングされたものが好ましい。
シームレスベルト11の加熱ローラ10への巻付角度としては、加熱ローラ10の回転速度にもよるが、ニップ部の幅を十分に広く確保できるよう、20〜45°程度とすることが好ましい。又、ニップ部のデュエルタイム(転写材の挿通時間)が、30msec.以上、特に50〜70msec.程度となるような巻付角度とすることが好ましい。このように、加熱ローラ10の形状に追従して従動可能なシームレスベルト11を用いることにより、ニップ部の幅を広く採ることができ、トナーの定着性や離型性の向上を図ることができる。
圧力パッド12の基本構成としては、幅の広いニップ部を確保するための弱いニップ圧の圧力パッド12aをニップ部の入口側に、加熱ローラ10との間で強いニップ圧を得るための圧力パッド12bをニップ部の出口側に、それぞれ配置する。圧力パッド12の基本構成としては、弱いニップ圧で幅が広いニップ部を確保するための圧力パッド12aをニップ部の上流側に、加熱ローラ10との間で強いニップ圧を得る圧力パッド12bをニップ部の下流側に、それぞれ配置する。圧力パッド12aの圧力:Xと、圧力パッド12bの圧力:Yの関係は、X<Yであることが好ましい。
X<Yの関係にあると、ニップ部下流付近にて加熱ローラ10の耐熱性弾性体層10bに局所的に変形を生じさせることができるため、転写材Pが加熱ローラに対して反る形状をとり、加熱ローラに巻き付きにくくなり、加熱ローラとの分離性が向上するためである。
Xとしては300〜500N、Yとしては400〜600Nが好ましく、X<Yの関係を満たすものが好ましい。
又、シームレスベルト11の周面と圧力パッド12との摺動抵抗を小さくするために、圧力パッド12a及び圧力パッド12bのシームレスベルト11と接する面に低摩擦層を設ける。
本発明では、圧力パッド12の表面とシームレスベルト11の内面との間には、潤滑剤が付与するようにしてもよい。例えば、シリコーンオイル、フッ素オイル、グリースなどが用いられる。この潤滑剤はベルト内面に塗布するものであるが、シームレスベルト11を回り込んで加熱ローラへ付着する可能性もあるため、離型性を有するものが望ましい。さらに、安全上の問題も考慮に入れると、フッ素オイルよりもシリコーンオイルが好ましい。
前記シリコーンオイルとしては、例えば、ジメチルシリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、カルボキシ変性シリコーンオイル、シラノール変性シリコーンオイル、スルホン酸変性シリコーンオイルなどが挙げられる。これらの中でも、画像定着装置の起動トルク及び駆動トルクを効果的に所望の低い範囲に維持でき、取扱性に優れる等の点で粘度500〜10000csのアミノ変性シリコーンオイルが好ましい。前記潤滑剤は消費されることはないが、長期的に使用していると前述のように回り込むことがあるため、徐々に減少し最終的には枯渇することがある。このときトルクは増大する。よって、本発明においては、潤滑剤が枯渇することがないように、定着装置のライフ相当分の潤滑剤を保持し供給する潤滑剤供給部材40を有している。
前記潤滑剤供給部材40の潤滑剤保持部材41は、多数の連続気孔を有し、定着温度における耐熱性を有すると共に適度の弾性率を有するものが好ましく、例えば、フェルト、スポンジ等が挙げられる。又、前記潤滑剤供給部材40の潤滑剤透過量規制膜42は、多数の連続気孔を有し、定着温度における耐熱性を有すると共に摩擦係数が小さいもの、例えば、耐熱性を有すると共に摩擦係数が小さい樹脂等を延伸成形したものが好ましく、好適にはフッ素樹脂を延伸成形したフィルムが挙げられる。
潤滑剤保持部材41には潤滑剤が含浸されており、潤滑剤供給部材40の潤滑剤透過量規制膜42はシームレスベルトの軸方向のほぼ全域に当接している。そして、シームレスベルト11が回転することにより、シームレスベルト11の内周面全面に潤滑剤を供給する。潤滑剤の供給量は多い必要はなく、従って、潤滑剤供給部材40のシームレスベルト11に対する当接圧力は小さく、微妙に接触する程度でよい。
潤滑剤は長期にわたって微少量をシームレスベルト11の内周面に供給しつづけることが重要である。潤滑剤をシームレスベルト11の内周面に供給する量は、多孔質の潤滑剤透過量規制膜42の空孔率を変えることにより、潤滑剤透過量規制膜42における潤滑剤の透過量を規制することにより行う。
前記潤滑剤供給部材40においては、シームレスベルト11の軸方向中央部付近の潤滑剤供給量が、シームレスベルト11の軸方向端部付近の潤滑剤供給量よりも多くするのが望ましい。これは、シームレスベルト11の中央部付近での潤滑剤供給部材40の当接幅を端部よりも広くする、または中央部付近での潤滑剤供給部材40の当接圧を端部よりも強くするなどによって可能である。潤滑剤供給部材40の中央部の当接幅を端部よりも広くすることにより、供給量を多くしている。これはシームレスベルト11の回転時のシワに影響を与えている。中央部のベルト速度が端部速度よりも速ければベルトのシワは発生しないが、中央部のベルト速度が端部速度よりも遅いとベルトにシワが生じ易い。そのため、潤滑剤の供給量を端部よりも中央部が多いようにすることにより、ベルト中央部が走行しやすいようにし、シワの発生を防止している。
潤滑剤供給部材40は、ベルト走行ガイドの外面に取り付けられており、シームレスベルト11の内周面と弱く接触している。潤滑剤供給部材40は、ニップ入口近傍に配置されている。ニップ部入口側では、シームレスベルト11の回転によりベルトを走行ガイドに押し付ける力が働くため、ここに潤滑剤供給部材40を、設けることによりベルトが逃げることなく押圧させることができる。
(画像形成方法)
本発明の画像形成方法は、感光体上に形成された潜像を本発明に係るトナーを含む現像剤で現像し、可視化した後に転写材にトナー像を転写する工程、転写されたトナー像を接触加熱定着装置を用いて転写材上に熱定着する工程を含むものである。
具体的には、感光体上に静電的に形成されたトナー潜像を、トナーとキャリアを混合した2成分現像剤による現像方法などを適用して顕在化させてトナー像を形成する工程、このトナー像を転写電界を作用させることにより転写材に転写する工程、転写材上に転写されたトナー像を加熱ローラとシームレスベルトを有する接触加熱定着装置を用いて転写材に定着する工程を経て、プリント画像を得る画像形成方法である。
図2は、本発明の画像形成方法に用いられる画像形成装置の一例を示す断面構成図である。
図2において、1Y、1M、1C、1Kは感光体、4Y、4M、4C、4Kは現像手段、5Y、5M、5C、5Kは1次転写手段としての1次転写ローラ、5Aは2次転写手段としての2次転写ローラ、6Y、6M、6C、6Kはクリーニング手段、7は中間転写ベルトユニット、24は接触加熱定着装置、70は中間転写ベルトを示す。
この画像形成装置は、タンデム型カラー画像形成装置と称せられるもので、複数組の画像形成部10Y、10M、10C、10Kと、転写部としての無端ベルト状中間転写ベルトユニット7と、転写材Pを搬送する無端ベルト状の給紙搬送手段21及び定着手段としてのベルト状の加熱体270を有する接触加熱定着装置24とを有する。画像形成装置の本体Aの上部には、ポリゴンミラーを用いた原稿画像読み取り装置SCが配置されている。
各感光体に形成される異なる色のトナー像の1つとして、イエロー色の画像を形成する画像形成部10Yは、第1の感光体としてのドラム状の感光体1Y、該感光体1Yの周囲に配置された帯電手段2Y、露光手段3Y、現像手段4Y、1次転写手段としての1次転写ローラ5Y、クリーニング手段6Yを有する。又、別の異なる色のトナー像の1つとして、マゼンタ色の画像を形成する画像形成部10Mは、第1の感光体としてのドラム状の感光体1M、該感光体1Mの周囲に配置された帯電手段2M、露光手段3M、現像手段4M、1次転写手段としての1次転写ローラ5M、クリーニング手段6Mを有する。又、さらに別の異なる色のトナー像の1つとして、シアン色の画像を形成する画像形成部10Cは、第1の感光体としてのドラム状の感光体1C、該感光体1Cの周囲に配置された帯電手段2C、露光手段3C、現像手段4C、1次転写手段としての1次転写ローラ5C、クリーニング手段6Cを有する。又、さらに他の異なる色のトナー像の1つとして、黒色画像を形成する画像形成部10Kは、第1の感光体としてのドラム状の感光体1K、該感光体1Kの周囲に配置された帯電手段2K、露光手段3K、現像手段4K、1次転写手段としての1次転写ローラ5K、クリーニング手段6Kを有する。
無端ベルト状中間転写ベルトユニット7は、複数のローラにより巻回され、回動可能に支持された中間転写エンドレスベルト状の第2の像担持体としての無端ベルト状中間転写ベルト70を有する。
画像形成部10Y、10M、10C、10Kより形成された各色の画像は、1次転写ローラ5Y、5M、5C、5Kにより、回動する無端ベルト状中間転写ベルト70上に逐次転写されて、合成されたカラー画像が形成される。給紙カセット20内に収容された転写材として用紙等の転写材Pは、給紙搬送手段21により給紙され、複数の中間ローラ22A、22B、22C、22D、レジストローラ23を経て、2次転写手段としての2次転写ローラ5Aに搬送され、転写材P上にカラー画像が一括転写される。カラー画像が転写された転写材Pは、接触加熱定着装置24により定着処理され、排紙ローラ25に挟持されて機外の排紙トレイ26上に載置される。
一方、2次転写ローラ5Aにより転写材Pにカラー画像を転写した後、転写材Pを曲率分離した無端ベルト状中間転写ベルト70は、クリーニング手段6Aにより残留トナーが除去される。
画像形成処理中、1次転写ローラ5Kは常時、感光体1Kに圧接している。他の1次転写ローラ5Y、5M、5Cはカラー画像形成時にのみ、それぞれ対応する感光体1Y、1M、1Cに圧接する。
2次転写ローラ5Aは、ここを転写材Pが通過して2次転写が行われる時にのみ、無端ベルト状中間転写ベルト70に圧接する。
又、装置本体Aから筐体8を支持レール82L、82Rを介して引き出し可能にしてある。
筐体8は、画像形成部10Y、10M、10C、10Kと、無端ベルト状中間転写ベルトユニット7とを有する。
画像形成部10Y、10M、10C、10Kは、垂直方向に縦列配置されている。感光体1Y、1M、1C、1Kの図示左側方には無端ベルト状中間転写ベルトユニット7が配置されている。無端ベルト状中間転写ベルトユニット7は、ローラ71、72、73、74、76を巻回して回動可能な無端ベルト状中間転写ベルト70、1次転写ローラ5Y、5M、5C、5K及びクリーニング手段6Aとからなる。
筐体8の引き出し操作により、画像形成部10Y、10M、10C、10Kと、無端ベルト状中間転写ベルトユニット7とは、一体となって、本体Aから引き出される。
このように感光体1Y、1M、1C、1K上に帯電、露光、現像によりトナー像を形成し、無端ベルト状中間転写ベルト70上で各色のトナー像を重ね合わせ、一括して転写材Pに転写し、接触加熱定着装置24で加圧及び加熱により固定して定着する。トナー像を転写材Pに転移させた後の感光体1Y、1M、1C、1Kは、クリーニング装置6Aで転写時に感光体に残されたトナーを清掃した後、上記の帯電、露光、現像のサイクルに入り、次の像形成が行われる。
〈転写材〉
本発明に用いられる転写材としては、トナー画像を保持する支持体で、通常画像支持体、転写材或いは転写紙といわれるものである。具体的には薄紙から厚紙までの普通紙、アート紙やコート紙等の塗工された印刷用紙、市販されている和紙やはがき用紙、OHP用のプラスチックフィルム、布等の各種転写材を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
以下に、実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明の実施態様はこれらに限定されるものではない。
《トナーの作製》
以下の手順でトナーを作製した。
〈離型剤の準備〉
表1は、準備した離型剤の成分、物質、炭素数(R1−R2)、炭化水素化合物の分岐の割合、融点及び分子量を示す。尚、離型剤(7)〜(11)は、石油減圧蒸留残渣油または重質留出油である原料油を、溶剤抽出法により分離して精製したものである。
Figure 2008191652
〈トナー1の作製〉
〔樹脂粒子分散液Aの製造〕
(第1段重合)
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器に、ドデシル硫酸ナトリウム8質量部をイオン交換水3000質量部に溶解させた溶液を仕込み、窒素気流下230rpmの撹拌速度で撹拌しながら、内温を80℃に昇温した。昇温後、過硫酸カリウム10質量部をイオン交換水200質量部に溶解させた溶液を添加し、再度液温80℃とし、スチレン480質量部、n−ブチルアクリレート250質量部、メタクリル酸68.0質量部及びn−オクチル−3−メルカプトプロピオネート16.0質量部よりなる重合性単量体溶液を1時間かけて滴下後、80℃にて2時間加熱、撹拌することにより重合を行い、樹脂粒子(1h)を含有する樹脂粒子分散液(1H)を調製した。
(第2段重合)
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器に、ポリオキシエチレン−2−ドデシルエーテル硫酸ナトリウム7質量部をイオン交換水800質量部に溶解させた溶液を仕込み、98℃に加熱後、上記の樹脂粒子分散液(1H)260質量部と、スチレン245質量部、n−ブチルアクリレート120質量部、n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート1.5質量部、表1に示す離型剤(No.1)の64質量部と離型剤(No.7)の96質量部を90℃にて溶解させた重合性単量体溶液を添加し、循環経路を有する機械式分散機「CREARMIX」(エム・テクニック社製)により1時間混合分散させ、乳化粒子(油滴)を含む分散液を調製した。
次いで、この分散液に、過硫酸カリウム6質量部をイオン交換水200質量部に溶解させた開始剤溶液を添加し、この系を82℃にて1時間にわたって加熱撹拌することにより重合を行い、樹脂粒子(1hm)を含有する樹脂粒子分散液(1HM)を調製した。
(第3段重合)
上記の樹脂粒子分散液(1HM)に過硫酸カリウム11質量部をイオン交換水400質量部に溶解させた溶液を添加し、82℃の温度条件下に、スチレン435質量部、n−ブチルアクリレート130質量部、メタクリル酸33質量部及びn−オクチル−3−メルカプトプロピオネート8質量部をからなる重合性単量体溶液を1時間かけて滴下した。滴下終了後、2時間にわたって加熱撹拌することにより重合を行った後、28℃まで冷却し樹脂粒子aを含有する樹脂粒子分散液Aを得た。この樹脂粒子分散液Aにおける樹脂粒子の粒子径を、電気泳動光散乱光度計「ELS−800」(大塚電子社製)を用いて測定したところ、体積基準のメディアン径で150nmであった。又、この樹脂粒子のガラス転移点温度を測定したところ、45℃であった。
〔着色剤微粒子の分散液Qの製造〕
ドデシル硫酸ナトリウム90質量部をイオン交換水1600質量部に溶解させた溶液を撹拌しながら、C.I.ピグメントブルー15;3の420質量部を徐々に添加し、次いで、撹拌装置「クレアミックス」(エム・テクニック社製)を用いて分散処理することにより、着色剤微粒子の分散液Qを調製した。この着色剤微粒子の分散液Qにおける着色剤微粒子の粒子径を、電気泳動光散乱光度計「ELS−800」(大塚電子社製)を用いて測定したところ、体積基準のメディアン径で110nmであった。
〔トナー粒子1の製造〕
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器に、樹脂粒子分散液Aを固形分換算で300質量部と、イオン交換水1400質量部と、着色剤微粒子の分散液Qを120質量部と、ポリオキシエチレン−2−ドデシルエーテル硫酸ナトリウム3質量部をイオン交換水120質量部に溶解させた溶液を仕込み、液温を30℃に調整した後、5Nの水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを10に調整した。次いで、塩化マグネシウム35質量部をイオン交換水35質量部に溶解した水溶液を、撹拌下、30℃にて10分間かけて添加し、3分間保持した後に昇温を開始し、この系を60分間かけて90℃まで昇温し、90℃を保持したまま粒子成長反応を継続した。この状態で、「コールターマルチサイザー3」(コールター社製)にて凝集粒子の粒径を測定し、所望の粒子径になった時点で、塩化ナトリウム150質量部をイオン交換水600質量部に溶解した水溶液を添加して粒子成長を停止させ、さらに、熟成工程として液温度98℃にて加熱撹拌することにより、「FPIA−2100」(シスメック社製)による測定で平均円形度0.965になるまで、粒子間の融着を進行させつつ、親水性樹脂を凝集粒子の表面側へ、疎水性樹脂を当該凝集粒子の内部側へ配向させることによって、コア−シェル構造を有するトナー粒子を形成させ、その後、液温30℃まで冷却し、塩酸を添加してpHを4.0に調整し、撹拌を停止した。
上記の工程にて生成したトナー粒子をバスケット型遠心分離機「MARK III型式番号60×40」(松本機械(株)製)で固液分離し、トナー粒子のウェットケーキを形成し、このウェットケーキを、前記バスケット型遠心分離機で濾液の電気伝導度が5μS/cmになるまで45℃のイオン交換水で洗浄し、その後「フラッシュジェットドライヤー」(セイシン企業社製)に移し、水分量が0.5質量%となるまで乾燥して「トナー粒子1」を得た。
この「トナー粒子1」に、疎水性シリカ(数平均一次粒子径=12nm)1質量%及び疎水性チタニア(数平均一次粒子径=20nm)0.3質量%を添加し、ヘンシェルミキサーにより混合して、「トナー1」を作製した。
尚、トナー粒子1について、疎水性シリカ及び疎水性酸化チタンの添加によっては、その形状及び粒径は変化しなかった。
〔トナー2〜9の製造〕
トナー1の作製で用いた第1の離型剤成分の離型剤とその量、第2の離型剤成分の離型剤とその量、離型剤の添加量を、表2のように変更した以外はトナー1の製造と同様にして、「トナー2〜9」を作製した。
表2は、上記で作製した各トナーの第1の離型剤成分の離型剤No.とその比率、第2の離型剤成分の離型剤No.とその比率、離型剤添加量を示す。
Figure 2008191652
〔現像剤1〜9の製造〕
トナー1〜9の各々に対して、シリコーン樹脂を被覆した体積平均粒径60μmのフェライトキャリアをトナー濃度が6質量%となるよう混合することにより、「現像剤1〜9」を調製した。
《評価》
評価用の画像形成装置として、「bizhub PRO C350(コニカミノルタビジネステクノロジーズ社製)」に、図1に記載の接触加熱定着装置(未定着のトナー像側となる上側に加熱ローラ、下側にシームレスベルトを配置(ニップ部の幅を15mmに設定)した接触加熱定着装置)を装着した画像形成装置を準備した。
又、定着装置の諸物性を以下に記す。
加熱源:ハロゲンヒータランプ、定格電力:600W
加熱ローラの円筒状芯金:材質;鉄、寸法;外径30mm、肉厚1.8mm、長さ360mm
加熱ローラの耐熱弾性体層:材質;JIS−A硬度35°であるシリコーンHTVゴム、寸法;厚み600μm
加熱ローラの離型層:材質;PFA、寸法;厚さ30μm、表面状態;鏡面状
加熱ローラの回転速度:線速度;194mm/sec
定着ベルトのベース層:材質;熱硬化性ポリイミド、寸法;周長94mm、厚さ75μm、幅320mm
定着ベルトの離型層:材質;PFA、寸法;厚さ30μm
圧力パッド12aの圧接部材:材質;シリコーン、加重;350N
圧力パッド12bの端部圧接部材:材質;ポリフェニレンサルファイド(PPS)、加重;500N
尚、「比較例5」の画像評価用に比較定着装置「未定着のトナー像側となる上側に加熱ベルト、下側に加圧ローラを配置(ニップ部の幅を15mmに設定)した接触加熱定着装置」、「比較例6」の画像評価用に比較定着装置「未定着のトナー像側となる上側に加熱ローラ、下側に加圧ローラを配置(ニップ部の幅を5mmに設定)した接触加熱定着装置」も準備した。
画像形成は、図1に記載の接触加熱定着装置を装着した上記画像形成装置に上記で作製したトナーと現像剤を順次装填し、常温常湿(20℃ 55%RH)の環境下で、転写紙「Jペーパー」(坪量64g/m2)(コニカミノルタビジネステクノロジーズ社製)を用いて行った。
「比較例5」は、未定着のトナー像側となる上側に加熱ベルト、下側に加圧ローラを配置した接触加熱定着装置を装着した上記画像形成装置に上記で作製したトナー1と現像剤1を装填し、上記と同じ条件で画像形成を行った。
「比較例6」は、未定着のトナー像側となる上側に加熱ローラ、下側に加圧ローラを配置した接触加熱定着装置を装着した上記画像形成装置に上記で作製したトナー1と現像剤1を装填し、上記と同じ条件で画像形成を行った。
評価は、以下の項目について行った。
(画像欠陥)
接触加熱定着装置のシムレスベルトの表面温度を、120℃、140℃、160℃とした状態で、画素率7%の文字画像、人物顔写真画像、相対画像濃度0.6のシアンハーフトーン画像を1/3づつを有するテスト画像を、1万枚プリントした。
画像欠陥は、1万枚目に得られたプリント画像について、帯状または白すじ状欠陥の程度を目視で評価した。
評価基準
◎:相対画像濃度0.6のシアンハーフトーン画像部に、帯状または白すじ状欠陥が全く無く良好
○:相対画像濃度0.6のシアンハーフトーン画像部に、白すじ状欠陥が若干見られるが良好
△:相対画像濃度0.6のシアンハーフトーン画像部に白すじ状欠陥が数本見られるが、文字画像と人物顔写真画像には目立った欠陥が見られず実用上問題なし
×:相対画像濃度0.6のシアンハーフトーン画像に、はっきりと白すじが見られ実用上問題有り。
(定着性)
定着ベルトの表面温度を、120℃、140℃、160℃とした状態で、べたシアン原稿をプリントし、プリント画像を得た。
得られたプリント画像の定着率を下記の方法で算出して評価した。
尚、画像濃度の測定には反射濃度計「RD−918」(マクベス社製)を使用した。
テープ剥離法
(1)5mm角のべたシアンの絶対反射濃度D0を測定する
(2)「メンディングテープ」(住友3M社製:No.810−3−12相当)を軽く張り付ける
(3)1kPaの圧力でテープを3.5回往復擦り付ける
(4)180°の角度、200gの力でテープを剥がす
(5)剥離後の絶対反射濃度D1を測定する
(6)定着強度=100×D1/D0(%)
評価基準
◎:定着強度が、95%以上で良好
○:定着強度が、90%以上、90%未満で実用上問題なし
×:定着強度が、90%未満で実用上問題有り。
(ドキュメントオフセット性)
上記画像欠陥の評価で形成したプリント画像を2枚、画像面(プリント面)と非画像面(裏面)を重ねてガラス板の上に置き、重ねた部分の上に7.8kPa相当の重りを載せ、60℃、50%RHの環境で1週間放置した。放置後、重ねた2枚を剥離し、目視により剥離したプリント画像の画像欠損度合いを、以下に示す「R1」〜「R4」の4段階にランク付けして評価した。尚、ランク「R3」と「R4」を合格とする。
「R1」:2枚がくっつき、剥離が難しいレベル
「R2」:2枚を剥離するとき、裏面に画像の移行が見られるレベル
「R3」:画像部のグロス低下が見られるが、画像としては画像欠陥(裏面に画像の移行)が殆ど無く許容レベル
「R4」:画像部、非画像部共に、画像欠陥や画像の移行が見られない良好なレベル。
表3に、評価結果を示す。
Figure 2008191652
表3から明らかなように、本発明に係るトナーと本発明に係る定着装置を使用して行った「実施例1〜5」の画像形成においては、画像欠陥、定着強度、ドキュメントオフセットの評価で問題無かった。
一方、比較トナーと比較定着装置を使用した「比較例1〜6」の画像形成においては、評価項目の何れかで問題が有り、本発明の目的を達成できなかった。
本発明で用いられる加熱ローラとシームレスベルトを有する接触加熱定着装置の一例を示す概略図である。 本発明の画像形成方法に用いられる画像形成装置の一例を示す断面構成図である。
符号の説明
10 加熱ローラ
11 シームレスベルト
12 圧力パッド
12a 圧力パッド(圧力部材)
12b 圧力パッド(圧力部材)
12c ホルダー
14 ハロゲンランプ
40 潤滑剤供給部材

Claims (7)

  1. 少なくとも離型剤を含有するトナーを用いて形成されたトナー像を、加熱ローラとベルト状の加圧体を有する接触加熱定着装置を用いて転写材上に定着する工程を有する画像形成方法において、
    該加熱ローラが該転写材の未定着のトナー像側に配置され、
    該離型剤が少なくとも下記一般式(1)により表されるモノエステル化合物よりなる第1の離型剤成分と、分岐鎖状構造を含む炭化水素化合物を含有してなる第2の離型剤成分よりなり、
    該第1の離型剤成分及び該第2の離型剤成分の総質量に対する該第1の離型剤成分の割合が40〜98質量%であることを特徴とする画像形成方法。
    一般式(1)
    1−COO−R2
    (一般式(1)において、R1及びR2は、各々置換基を有していてもいなくてもよい主鎖の炭素数が13〜30の炭化水素基を示す。R1及びR2は、各々同一であっても異なっていても良い)
  2. 前記第1の離型剤成分及び前記第2の離型剤成分の総質量に対する該第1の離型剤成分の割合が、80〜98質量%であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成方法。
  3. 前記分岐鎖状構造を含む炭化水素化合物を構成する全炭素原子中の3級炭素原子及び4級炭素原子の合計の割合は、0.1〜20質量%であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成方法。
  4. 前記分岐鎖状構造を含む炭化水素化合物を構成する全炭素原子中の3級炭素原子及び4級炭素原子の合計の割合は、0.1〜1.0質量%であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成方法。
  5. 前記ベルト状の加圧体は、シームレスベルトであることを特徴とする請求項1に記載の画像形成方法。
  6. 前記シームレスベルトは、基材(ポリイミド)の上に弾性層(シリコーンゴム)と表面層(PFA(パーフルオロアルコキシ)チューブ)を設けた層構造のものであることを特徴とする請求項5に記載の画像形成方法。
  7. 前記シームレスベルトは、基材(ポリエステル、ポリパーフルオロアルキルビニルエーテル、ポリイミド或いはポリエーテルイミド)の上にフッ素樹脂に導電材を添加した離型層を設けた層構造のものであることを特徴とする請求項5に記載の画像形成方法。
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